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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

湯けむ輪(104) 06:20

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前六時二十分


「おやまあ珍しい」

老婆の一人が矢板を見とめて言った。彼女らはこの近隣の住人であった。この温泉は宿泊客以外にも開放されている。

「やあ、たまにはねえ」

笑顔を返す矢板。地域では顔の広い男である。

「今日はまた随分大勢いらっしゃるわ」

別な老婆が言った。この時間帯で、日頃なら考えられない盛況ぶりだという。三人は年寄の故に早起きの朝風呂なのだとか。

三人はほとんど枯れ枝のような小さな体で湯船に入っていった。とりあえずタオルで胸元まで覆ってはいる。が、強いて隠す気もないようだ。さすがの性豪達も、彼女らとの混浴に心ときめきはしない。元来混浴風呂の現実とはこういうものだ。

「あら、女の方もいらっしゃるわ」

間もなく倫子の存在も気づかれた。倫子は辛うじて引きつらせた口角で少しだけ顎を引く。本当なら“おはよう”の一言ぐらいかけたいところだが。

相手方もその微妙な反応に手ごたえの無さを感じたらしく、すぐに別の質問をしてきた。

「ご夫婦?」

はじめ倫子を見、彼女がまた言葉を返さずにいると、その視線は徐々に周囲に移ろいでいって、最終的に矢板の前で止まった。

「ええっと……」

矢板は困った。どういう方向で行ったものかと。チラリと渡瀬の方を見やる。

すると、その答えに先んじて、一人の老婆が驚き加減に声を上げた。

「あらっ! あらあらあら……」

そうして隣の連れの肩を揺する。揺すられた方は、そうされるまでもなくこれも気づいていた。もう一人もすぐに、

「まあ、まあ!」

と驚きだす。

ビクリッ! と倫子の肩が怒り、次いで小刻みに震える。彼女と肌を合わせる渡瀬の仕業だ。それ故に彼女、何も言えないでいる。

渡瀬の悪行は続いていた。新客到来の気配で一旦合体を解きはしたが、それはただ対面での結合をやめただけで、間もなく彼女の尻を持ち上げるや、己が股間の上に無理やり後ろ向きに座らせたのである。老婆が倫子に気付いたのは既にこの体勢に入った後で、つまり倫子と密着して後ろから見え隠れしていた渡瀬に気が付いたものである。

(ああっ!)

倫子は顔を伏せた。覚醒した途端のこの仕打ち。これでとうとう事件は露見したのだ。もう終わりなのだと彼女の目は虚ろになった。

ところが、である。新客らは批難するでもなく、また立ち去るでもなかった。動じることなく、なんと堂々と真っ向から二人を眺め出したのである。

「やっぱり夫婦なのね」

クスクス笑いながら一人が言う。

「まあまあ仲のよろしいことで」

もう一人はニヤニヤと笑って言った。自身らは色気ババアというのでもないが、低俗な醜聞は好みと見える。田舎じみた前近代的な趣味であろう。性に大らかなのだ。

「ヘヘエ、バレました? 恥ずかしいなあ」

渡瀬が明らかに心とは裏腹なことを言う。さらに調子に乗って、倫子ごと湯船の縁へザブンと上がったものだ。それまでは一応湯の中にいたので結合部までは見えなかったのだが。

これを見て、

「ギャー」

と老婆の一人が大仰に叫んだ。そして大笑いである。

隣の一人は、

「いやあねえ、もう」

と、軽く顔を隠す素振りこそ見せたものの、決して視線を逸らしはしない。他の一人に至っては、手を打ってガハハと笑った。

「ほうれ」

さらに調子に乗った渡瀬は、倫子の大股を大開脚させた。交尾の状況が丸見えとなる。

「おいおい、大丈夫かいな」

宇川が苦笑して矢板を見る。矢板も苦笑いしながら、とりあえずは大丈夫だという風に頷き返した。彼とて確信があったではないが、観客三人の明るさは、まるで酒でも入っているかのようにあっけらかんとして見えたものだ。

「かなわんなあ、渡やんには」

牛滝もお手上げとばかりに渡瀬の暴走を見守った。晴れて“夫婦”となった二人の愛の営みを、少なくとも周囲の誰もが公然わいせつだなどと責めたりはしなかった。

倫子にも止められない。もちろんのごとく止められない。そもそも再結合すら避けられなかった彼女は、ただただ諦めの中で震えるだけだった。久しぶりに人心地の恥ずかしさを知りつつ。

そんな中で、渡瀬は意気揚々と叫ぶ。

「オーラ、イッくでえっ!」

掛け声と共に、肉棒の上下運動は大きな幅で出し入れを繰り返した。割れた肉ビラに白いあぶくが沸き立ち、生々しい性の躍動を見せつける。

「あらやだよ、ウフフ」

にやけた観客のそんな感想を浴びながら、交尾は完遂した。

「ウ……ン……」

瞬間、倫子は拳を握りしめた。そして真一文字に口を閉じ、顎を上げた。究極の恥ずかしさに包まれて、体中がチクチク痛い。犯されるのではなく、ただ鑑賞され笑われるだけの恥ずかしめ。この理不尽な環境は、今までにない羞恥を生んだ。

そして倫子は、だからイッた。

そうと知っての上でもないが、渡瀬が好タイミングで尋ねる。

「どや倫子。お前もイッたんか」

倫子は答えず、ひたすら目を閉じて羞恥に耐えた。必死に鎮めようとする火照りだが、深いところからとめどなく湧いてくる。なぜまだイくのか、否、イッていない状態とはどんなだったか、何が何だかもう分からない。湯の中で足の指をぐっと閉じた。

「へへへ、見られたら余計感じよるんですわ、こいつ」

渡瀬の声が遠くで聞こえる。それを聞きながら、倫子は後ろに倒れ込んだ。“夫”の胸に背中を預けながら、生殖器を外される。ゴポッというような変な音が鳴って、濡れた女陰と肉茎が白昼に現れた。

それを見比べて、老婆達がギャーギャーわめく。そして口々に言う。

「まあ立派な天狗さんだこと」

「子宝の湯だからねえ、ここ。あたしも昔ヤッたのよ、ここで」

「あんらいやあね、トメさん」

ゲラゲラ笑って興奮した口ぶりだ。

「じゃあ、今度はお姉さんとシましょうか」

倫子を置いてけぼりにして、渡瀬が肉棒を垂らしながら会話に入る。

「あれまあこの人は」

本気とも嘘ともつかない態度で、三人組は大いに爆笑した。


<つづく>




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(041)22:22~(050)23:53(051)23:54~(060)00:20
(061)00:24~(070)00:50(071)00:24~(080)01:36
(081)01:45~(090)03:59(091)04:12~(100)05:46
(101)05:52~(110)07:07(111)07:15~(120)08:35

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