おことわり
R18
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。

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なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

    
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「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。



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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

育てる夫(10)おばさん女房


十八歳



 理生が高校に上がった頃、彼の両親は離婚した。こうした時、いつも割を食うのは子供である。そして、今回の場合、ひとみも不利益を被った。

 母に親権を預けられた彼は、家を出なくてはならなくなった。幸い学校は変わらないし、また母の仕事の都合から遠方への引っ越しではない。しかし、ひとみとはこれまでのように気軽に会うことが難しくなった。

 それでも彼は募る思いを抱いて、精勤にわざわざ家まで訪ねてきた。だが、既に成人然とした男性をしばしば招き入れるのは人目に立つ。仕方なしに、逢瀬はホテルで行うことになった。すっかり背の伸びた彼とは並んで歩いても見劣りしない。ひとみは、若いカレシに誇らしさを感じつつ、デートを楽しんだ。

 もっとも、こと性欲に関しては両者とも不満が残った。あれだけしつこく体を求め合ってきた者達が、限られた時間内で満足出来るわけもない。

 思い切って、ひとみは別にマンションを借りた。仕事部屋の名目である。

「へえ、そうなんだ……ンン……ッ!」

今日もその部屋で電話を受けている。相手は海外にいる娘だ。

「……ねえ、ママ、ひょっとして風邪引いてる? なんかさっきから声変だよ」

「そっ、ォオ、そうかしらぁ? ン……ちょっと風邪気味かもぉ……」

彼女は後ろ手に男の腕をはたく。相手はめげることなく、それを乳房へ伸ばした。ここ数年でまた実り、今ではFカップにまでなっている。成長期でもないのにふしだらに育ったものだ。今しもそれを持ち上げられながら、彼女は全裸で娘と会話していた。

「エー、気を付けてよ。もう若くないんだから」

「バカねぇ、ン、まだまだぁ、ア、若いわよぉ、オオォ……」

ひとみは時折口元を押さえながら、辛うじて意識を保っていた。気を抜くとアクメの波に飲み込まれてしまう。盛りのついた肉体は、とっくに雌と化して男根を食いしばっている。

「あ、真来た。真! グランマだよ」

電話の向こうで、娘が息子を呼び寄せるのが聞こえる。その瞬間にひとみは受話器を押さえ、眉根を寄せた顔で振り返って首を振った。無茶をしないで、という合図である。

 孫である真は現在大学生で、今は休暇の為に実家へ帰省していた。日本に住んだことはないが母親の影響はもちろんのこと、親日家の父の教えもあって、漢字の名前を持つと同時に、日本語もそれなりに流暢に使えた。

「ハイ、グランマ。元気ですか?」

「うん、ン……ッ、元気ぃ! 久しぶりねえぇ……アハァッ……ン……ハハ……」

喘ぎそうになるのを、必死で笑っているようにして誤魔化す。それがとりあえず上手くいって、真は祖母へ親し気に話しかけた。もっとも、彼とて想像だにしないだろう、孫の自分と電話で話しながら、自分より年下の男にペニスを刺されて、今まさにセックスしている最中だなんて。

 理生はこのマンションへ、ほとんど半同棲のような形で頻繁に訪れていた。来れば決まって愛欲の時間となる。今日も今日とて愉しんでいたところ、電話が掛かってきたわけだ。出ない選択もあった、性交をしない選択もあった。しかし、二人が選んだのは最悪手であった。

 彼は電話中のひとみを後背位から貫いたものだ。

「学校はぁ、ア、ァ、楽しいぃ、イ、ヒ……?」

踏ん張って頭を回転させ、会話の接ぎ穂を探す。後ろからは休む暇なく責め立てられ、家族で居たい頭と、雌に堕ちたい体がちぎれ飛びそうだ。

「ガ、ガールフレンドはぁ、いるのぉ、ォ、オ、オオー……?」

真は、仲良くやっているよ、などと答え、照れ笑いを浮かべた。彼が付き合っているのは同じ学校の同級生である。親より一回りの女性が性の対象になるなんて、思いつきもしない彼である。

 その意味では、理生はやはり特殊であったろう。それ以上に、ひとみは異常だ。己の孫より一つ年下の少年を男と定め、劣情を催すというのだから。

 パンパンという、肌と肌のぶつけ合う音が部屋に響き渡る。ぬめりを帯びた剛直はテラテラと光って、淫肉の発情を語るよりも明らかに示していた。

「日本にもまた行きたいよ」

真は人懐こく話し、祖母に会いたいと言ってくれたが、この時ひとみはもう、家族のことなんてどうでもよくなっていた。今体内にある男根が全てである。

「ウン……イくぅ……!」

「あ、グランマが来てくれるの?」

噛み合わない会話も当然だ。それは再び電話口に現れた娘にも同様だった。

「ねえ、ホントに大丈夫? 真も何だか変だったって。お医者さんに行った方がいいんじゃない?」

「イ、    イッてるぅ!」

「ああ、行ってんのね。それじゃ、いいけど」

その間も理生は益々腰を打ち付けて、このどうしようもない淫乱母の痴女穴を苛めぬいている。母はもう母ではなく一匹の淫獣と化して、呆けた顔に涙とよだれを垂れ流し、結合部からは小便まで漏らしていた。

「今度の休みには、またみんなで帰るからね」

電話が切れた途端、ひとみは気を失ってその場に崩れ落ちた。もうあと一秒遅かったら、狂い死にの断末魔を海外に届けていただろう。

「頑張ったね」

理生は彼女の髪を撫でながら、その口へ剛直を押し込んだ。すると、すぐに覚醒したひとみが、それを反射的にしゃぶり出す。

「ひどいわぁ」

「ごめんね。でも、興奮しちゃった」

「バカァ……」

理生は彼女の肉穴が、心なしかいつもよりキュッと収縮していたように感じられ、肉体的にも実際気持ち良かったのだ。

 彼の愛欲には、このところいよいよ拍車がかかっていた。会えない時間が増えてから、彼の中で一層ひとみの存在は大きくなっていった。中学以降、友達は全然いない、同世代のほかの女の子にも興味はない。そんな彼にとって、もはや彼女こそ生きることの全てであった。

 体で繋がった関係だから、セックスを抜きにして語れはしない。しかし、セックスとは関係性の極致ではないのか。互いの全てをさらけ出して向き合うからこそ、内なる愛がダイレクトに、それはもう心から信じられる。二人はこの点、一心同体の境地だった。

 彼の求めに従って、ひとみはかつての夫にさえ開かなかった扉を解放した。

 性交中に、理生がアナルに興味を示していたことは知っていた。そこを何度も愛撫された。彼女は戯れの一部と受け取っていたが、果たしてそうではない。彼はある時から真剣にそこを欲しがった。

 ひとみは戸惑った。アブノーマルが過ぎると思った。だが、彼が単に好奇心のみから所望するのでないことも知らされた。理生は、ひとみの初めてが欲しかったのである。ここまで愛し合う仲となった以上、それに応えるのが正道だと思われた。

 彼女は受け入れた。怖さはあったが、彼との初めてにときめきもした。ローションを加えて、丹念にゆっくりとほぐされていく。事前に念を入れて洗浄したつもりでも、火の出るように恥ずかしかった。尻を突き出し、座薬を入れられるような感覚で、まずは指を挿入される。

「ウッ!」

「痛かった?」

「ううん、大丈夫……」

つい笑顔も固くなった。処女を奪われた時も、こんなに緊張しただろうか。ふと遠い昔に思いを馳せたが、若さ故の勢いで当時は軽くかわしたような気がする。年齢を重ね、常識を積み重ねた今だからこそ、余計に怖いのかもしれない。

 やがて、亀頭が菊門に押し当てられた。ローションの所為で冷たく感じられる。ひとみは中空を睨みながら、それの埋まっていくのに耐えた。

「もう少し、力を抜いて」

そんな指示をされたが、これが難しい。理生は尻を優しく撫で回して出来るだけリラックスさせるように努めながら、最後は思い切って、剛直を突き刺していった。ミシミシと音が鳴りそうな窮屈さがあって、竿が隠れていく。最初の出っ張りが入ると、後は意外にすんなりと通っていった。

「ハッ!」

大きく息を吸い込むひとみ。膣とは全然違う苦しさがある。というより、苦しさしかなかった。

「どう? 気持ちいい?」

逸る気持ちを抑えきれずに理生は問うたが、これに、

「ん……分かんない……」

と答えたのは、彼女の率直な気持ちである。

「全部入ったよ」

肛門の皺に、理生の陰毛が絡まっている。根元まで入った証拠だ。

その報告を受けると、ひとみの脳裏に、あの見慣れた男根の絵が浮かんだ。もはや一流の太さと長さを兼ね備えた、見るからに雄々しい立派な男性器である。比べて申し訳ないと思うが、かつての夫より既にサイズは上だと思われた。

 あれが全部入ったのだという。彼女は信じられない気持ちであった。今はただ、割り箸を刺された飴細工のように、一ミリも動ける自信が無い。

「理生君は、どうなの? 気持ちいい?」

やっとの思いで訊いた。一番の関心事だ。

「うん……気持ちいいよ」

彼は感極まった調子で答えた。そして、こうも言った。

「これで、ひとみさんの処女を、ぼくがもらったんだね」

「ええ……」

それを聞くと、ひとみは全て報われた気分だった。そして、初めてのこの共同作業がどんなに困難でも、二人なら乗り越えられると確信した。

「動くね」

理生は告げると、ゆっくりと肉棒を引きずり出していく。途端に、ひとみの確信が不安定になり出す。

「オ、オオオ……待ってぇ……」

内臓ごと引っこ抜かれるようだ。

「痛い?」

「ううん、そうじゃないけど……」

今度は押し込まれると、また息が出来なくなる。これの何が良いというのか。もしも愛する理生が相手でなかったら、とっくに諦めていただろう。

「ひとみさんのお尻の穴、気持ちいいよ。オマンコとは全然違う気持ち良さで。ひとみさんのアナル、素敵だよ」

彼は興奮して盛んに褒めそやしながら、次第に出し入れを速めていく。ひとみは彼からの称賛を糧に、四つん這いになった肘をグッと張ったまま、彼の満足するまで耐え忍ぶのであった。

 ようやく解放されて、ローションの所為でブブッと放屁のような音が鳴った時は、普段ならもっと赤面したはずだが、苦しさが終わった安堵の方が大きくて、彼女はボーっとしたままだった。

 さて、一旦それが性器に変貌すると、当然それからも役割を与えられていく。理生は以降もそのメンテナンスに余念がなく、ひとみのアナルはどんどん開発されていった。特に生理中や危険日などは、これまで口や胸でもてなしてきたのが、そこに肛門性交もラインナップされることになった。

「ひとみさんのケツマンコ、もうすっかりオマンコと一緒だね」

などと、わざと下品な言い回しで理生が揶揄すれば、

「ヤダァ、理生君の所為で、また広がっちゃうぅ」

と、ひとみも甘えた声で応じる。今ではアナルファックがすっかり日常に溶け込んでいた。その効能で、彼女はお通じもよくなり、益々健康になっていった。

 それだものだから、セックスもどんどん活発になる。互いに準備したコンドームも、一晩で一箱の内に残る枚数が減っていき、果ては二箱目を開けるのも普通になった。

 理生は泊まっていくことも多い。彼の母親は、息子に女が出来たらしいことを薄々察していたが、あえて干渉はしなかった。望みの学校にも通わせられたし、そちらで問題を起こす様子もないし、順風満帆な学生生活を送っているものと高をくくっていた。相手の女がかつての隣人であり、自分より一回りも年上だと知ったら、さすがにひっくり返って驚いただろうが。

 しかし、理生は、実際にはそんなでもないような気がしている。形式的に反対はしてみせるだろうが、あくまで世間体を考えたパフォーマンスに過ぎず、結局は現状を追認するだろう。よしんば認められなくても、たとえ縁を切られても構わないと、彼は考えている。彼は、ひとみと終生を共にする覚悟だ。

「オ、オオ、オオォウゥ……ッ!」

幸せに失神と覚醒を繰り返しながら、ひとみは一晩中イき続けた。

男性が射精と同時にエクスタシーに達して後も、女性はにわかには体が冷めず、この齟齬がすれ違いを生んでいく。だから心ある男性は、自分の射精後も後戯をして、女性を満足させてやるのだが、理生のような絶倫が相手だと、わざわざそんな気遣いは要らない。火照った体は冷めることなく、何となれば新たに火を点けて、長い長いオーガズムが愉しめるのだ。

 ひとみが目覚めると、ずっと居座っていた肉茎は、その胎内で朝立ちし始めた。彼とてさすがに萎れる時もあるが、その間も挿入しっぱなしにしていたのである。

「ウフフ」

体の中でムクムクと男性が育っていくのは嬉しい。彼らは朝立ちを利用し、早速寝覚めの一発を決めるのであった。

 射精が終わると、いそいそと仕事終わりの男を口で慰める。ひとみにとって、朝一番に口にするものはペニスであった。

 理生は、こちらに向いている彼女の股へ目を向けた。アナルもヴァギナもパックリとくり抜かれたまま穴を広げっぱなしになっている。もう閉じている暇もない。理生は、この次はどちらで愉しもうか、と思案していたが、しかし当座は別のものを催してきた。

 ひとみを見ると、向こうも目配せしている。

「ちょうだい」

理生の下半身から一気に力が抜けていった。それと同時に、ひとみの口の中へ温かい水が流れ込んでくる。すぐに満水になりそうなのを、必死で喉へ送り込む。ひとみは朝起きるとまずペニスを食べ、そのあと小便を飲む。そうやって腹を満たすのだ。これも健康の秘訣である。

 今では日常となったこの行為だが、決して理生が強制したのではない。ひとみの方から望んで飲ませてもらっているのだ。理生だって、交尾使用後の膣からお漏らしを飲んでいる。ギブ・アンド・テイクである。

 それが終わると、二人して浴室へ移動する。といっても、ひとみは腰が抜けて立てないから、理生に運んでもらうことになる。当然のように結合してだ。

「オマンコとケツマンコ、どっちがいい?」

「スケベ。知らない」

プイッと横を向く彼女の、後ろの穴を選んで彼は挿し、その身を抱え上げた。アナルに入れながらヴァギナを責めると、両方の締まりが良くなる。逆もまた然りだ。

「あんまりいじめないでよぉ」

首に腕を回し、落っこちそうになるのを何とか耐えながら、ひとみは運搬されていった。

 風呂場に行ってもやることは同じ。もちろん体も洗うが、結局は淫らな時間となる。

「んもう、お化粧ボロボロォ」

顔に精液をぶっかけられて、彼女は今さらながらに嘆いてみせた。

「ひとみさんはスッピンでも綺麗だよ。出会った時からちっとも変わらない」

理生は言ったが、それはお世辞でなく常々本当に思っていることだった。その綺麗な顔へ、続けざまに小便をかけていく。

「ヤダァ、またおしっこぉ?」

ビチビチと顔面を尿が弾く。終わると海綿体でそこをゴシゴシとこすられもし、ひとみはキャッキャと笑いながら、それを捕まえてしゃぶり込んだ。

 風呂から上がると、彼女の姿は鏡台の前にあった。今日は生憎午後から打ち合わせの予定である。化粧をしながら、鏡越しに会話をする。

「今晩は時間ある?」

「あるけど。あなた、明日学校でしょ?」

「ううん、休み」

それを聞くと急に不安になって、ひとみは振り向いた。

「ダメよ、ズル休みしちゃ」

二人きりの時にどれだけ変態であっても、社会に対しては真っ当でなければならない。これが彼女の方針だ。

「大丈夫だよ。うちの学校、明日は本当に休みだから」

理生は笑って答えた。

「今晩さ、外で会おうよ」

彼は約束の時刻と場所を伝えると、彼女にキスした。

 キスは今までに何回もしてきたが、ここ数年来、特に真に迫った意味を持ち出している。情熱的なそれは、本当に愛し合う男女が、愛を確かめ合う行為だ。

「あ……」

唇が離れる時、名残惜し気にひとみは追いかけた。だが、すぐに思い直した。

「汚れちゃうから、ダメ」

彼女は彼とキスするだけで、アクメする体になっているのだった。

「ねえ、聞いたわよ!」

会社に出ると、理美に早速声を掛けられた。

「あんた、この前男と歩いてたらしいじゃん!」

どこからそんな情報を仕入れてくるのか、油断できないものである。いつぞや理生の父親を見かけたようなことは、当然我が身にもあって然るべきということだ。

「それも、結構年下のイケメンだったって」

「いや、そんな別に……」

ひとみにしてはいつになく歯切れ悪い調子に、女の勘はすぐに気付いた。恋する心は隠せないもので、女は特に良い人を匂わせたがる。彼を褒められでもしたら、つい調子にも乗ってしまうものだ。

「いいな、いいな。上手い事やっちゃって。ね、あたしにも紹介してよ」

「ウーン……」

やっと十八になったばかりの彼を、公明正大に紹介してよいものだろうか。多分良くないだろう。真実の恋ではあっても、茨の道を選んだものである。

「そのうち、ね」

「エー、絶対だよ」

理美は言うと、すぐに違う方を指さして言った。

「ほら、見て。ムッツリーニが拗ねてる」

目を向けると、こちらの方を窺っていたらしい寺山が慌てて視線を逸らした。彼に情報を吹き込んだのも理美だ。一体に噂話を喧伝して回るのが彼女なのであった。

 ひとみは近頃すっかりストレスを感じなくなって、タバコを吸うこともなく、約束の時間に、真っ直ぐ待ち合わせ場所へ向かった。

「ごめん、待った?」

その会話は、完全に恋人同士のそれである。

 理生が指定したのは、垢抜けたレストランだった。

「ヘー、シャレた店知ってんじゃん」

高校生が来るには、ちょっと値段が心配だったが、

「大丈夫。お金貯めてるから」

と、彼は笑い飛ばし、実際その店は彼のおごりであった。高校に進んでから、アルバイトを熱心にやっているのである。

 食事の後は、二人で海沿いの道を歩いた。黒い海の上に、対岸の灯りが揺らめいている。春の風が心地よかった。

「出会ってもう、十三年になるね」

理生は懐かしそうに言った。

「初めての時はびっくりすることばっかりで。ほら、ひとみさん、チンポとキンタマ、丸ごと呑み込んだりしたよね」

「ちょっとちょっと、外でそんな話しないでよ」

周りの目を気にして、声を潜めるひとみ。言われて困るようなことを、幾つも積み重ねてきた彼女である。

「あれからずっとひとみさんに惹かれて……ひとみさんはどんどん魅力的になって……」

ふいに理生は歩みを止めた。

「ねえ、約束覚えてる?」

「え?」

自然、ひとみも立ち止まり、振り返る。

「ぼくもう十八になったよ」

四月二日生まれの彼は、学年で一番に十八歳になっていた。この間、誕生祝いもしたところである。

「ひとみさん」

理生は急に真剣な眼差しになって言った。

「ぼくと、結婚してください」

「え……」

予想外の言葉だった。しかし、待ち焦がれていたような気もした。我知らず、涙が溢れてくる。

「わたしで……いいの?」

搾り出すように言う。

「だって、こんな……」

皆まで言わせず、理生は彼女を抱きしめた。

「結婚してください」

 その夜は、マンションではなく、久しぶりに自宅へ彼を招いた。幾つもの思い出を重ねたベッドで、二人は抱き合う。

 コンドームのストックは尽き、彼らは出会った頃のように、ありのままで結ばれた。何度も絶頂させられ、朦朧とする中、身内に広がる情熱を感じた時に、ひとみははっきりと意識した。

「ああ……受精……」

二人はまどろみながら、幸福な夢の中へ落ちていった。







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[2023/03/28 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
育てる夫(9)十年愛
 ある一組のカップルが仲睦まじそうに寄り添って歩いている。誰が見ても恋人同士の逢瀬である。

「あれは……」

ひとみにはその男性に見覚えがあった。間違いなく理生の父親である。隣にいるのは知らない若い女だった。二人は見られていることも気付かずに、ホテル街の中へ消えていった。

「フーン……」

自分の不道徳は棚に上げて、ひとみは白い目で見送る。

 彼とは一度家の前で挨拶したことがある。値踏みするようにこちらの体をイヤらしい目で見てきて、ちょっとゾッとしたものだ。これは決してひとみの自意識過剰とも言い切れず、実際に女へ向ける視線だったのである。

 親子だから女性の好みが似ていたり、あの子にしてこの親ありという、性欲の旺盛さはあるのかもしれない。だが、この場合は一種不愉快な感じがした。

 といって、彼の妻に同情もしなかった。子供より自分が可愛いという典型的な女で、そういう性分が垣間見えると、同性としてはあまりいい気がしない。あまつさえ、こちらは理生に思い入れもある。彼の味方になりこそすれ、母親までも愛す義理はなかった。

 あるいは嫉妬かもしれない。彼女も息子の隣人への異様な懐きぶりを不快に思っているようだし、お互い様と言ったところか。妨害をしてこないだけマシかもしれなかった。

「それにしても……」

理生の母親は、隣へ越してきた頃まだ三十代前半で、約十年経った今では四十そこそこ。それでも出会った当時のひとみよりは若いわけだ。改めて言うでもないが、理生はとんでもなく年上の女を相手にしたものである。自分の母親より一回りも上で、その事実は永久に動かない。そんな女と対等に子作りし続けているのである。

 裸で抱き合えばただの男女であるが、ふいに現実を思い出すと、ひとみはクラクラする思いである。時に、セックスの間にもそれを思い知らされる場面が多くなった。

 中学生の少年は素晴らしく絶倫である。日に何度も体を求めてくるし、飽きることを知らない。片や、五十路の女も大したもので、“五十ござむしり”を体現するかのように、いよいよ性欲が強烈になって男を受け入れる。折しも閉経前の妊娠機会を最後ととらまえるが如く、肉体は子種を貪欲に求めた。

 この点で、彼らの年齢差は、こと肉体関係においては抜群に相性が良かった。男性の性欲が十代から精々二十代前半にピークを迎えるのに対して、女性は四十代以降に伸びていくもの。もちろん個人差はあるが、二人には的確に当てはまっており、この説を実地に証明してみせていた。

 しかし、体力となると別問題である。育ち盛りの肉体が疲れを知らぬのに対して、人生も折り返しを迎えようとする身では到底対等に渡り合えない。欲求はあっても、体がついて行かないのである。

「ま、待って……」

事を終え、少年が事後の口淫を欲しても、ひとみは急に起き上がれないでいた。してやりたいとの気持ちが逸る程に、体は緩慢である。散々男根で突きまくられた後はクタクタで、情けないことに足腰に力が入らなかった。

 また、合体中に余程踏ん張っていたのであろう、彼が離れた後、下半身がガクガクと痙攣して治まらなかったこともある。ひとみはその所為で、何回も恥をかかされた。射精後例によって、しばらく静かに抱きしめていてくれたのにである。惨めである。

 時には、とっくにピストン運動は終了しているのに、惰性で喘ぎ続けたこともあった。

「オゥ……オゥ……オ、オォゥ……」

自分でも分かっているのであるが、どうにも長いアクメを止められない。最近ではその声も段々獣じみてきて、女らしい繕いの欠片もない無遠慮なものになっていた。

「オ、オ……待ってぇ……お、おば、おばちゃん、イ、イき過ぎちゃってぇ……」

そんなことを口走ってしまって、自ら恥の上塗りをしてしまう。

 実は最初に交わった頃からこうした予兆は見られたのだが、五十を一年、二年と経過する内には、著しく激しくなっていった。それでもセックスはやめられない。

 理生は彼女のそういう姿を好ましく見守っていた。一つには、己の手で女の肉を歓喜させられたことへの優越感がある。獣のような声は、女が真に快楽を得た時にのみ聞かれる音で、決して年齢の所為ばかりではない。取り繕った演技の声に始まり、やがて情熱的な女の叫びになる。そうして最後に、獣の咆哮が出るのだ。そういう変化に、少年は徐々に気付いていった。そして、ひとみの鳴き声は、彼の股間をも奮い立たせるのだった

 また、彼女が足腰を振るわせて、いじらしくも耐えている姿には、なんとも言えない愛おしさを禁じえなかった。あの凛とした大人が、赤ん坊のように無力に、ひっくり返って自力で起き上がれないでいる。普段の佇まいを知っているだけに、そのギャップが余計可愛く見えた。しかもこれは、自分だけに見せてくれる真の姿だ。容姿は若く美しく保っているくせに、セックスの後は年齢をさらけ出してしまうのも微笑ましい。

 とにかくひとみには悪いが、こんな有り様を見せつけられると、もっと困らせたくなってしまうのである。それでなくても、欲棒はビンビンだ。

 理生は自分の家まで招いて交わることもあった。こんな時、親がほとんど居ない環境は便利である。

 ひとみは初めて理生の部屋へ入った時こそ、

「ヘー、綺麗にしてるじゃない」

などと、若いカレシの生活スペースを興味深く眺め、余裕ある年長者の対応をしていたが、数分後には彼のベッドの上で、いつも通り正体もなく淫乱性をさらけ出している。

それでも、人の家ではあり、親がいつ帰ってくるかも分からない。彼は大丈夫だと言っているが不安だし、何よりさすがに後ろめたさもあった。よその家のお子さんを年増女が誘惑している事実に直面するからだ。見つかったらどう言い逃れするのか。

「お宅のお子さんに犯されまして」

とは言えないし、言うつもりもない。

「わたし達、愛し合ってるんです」

とでも宣言するか。でも今の淫乱ぶりに一番しっくりくるのは、

「ごめんなさいお母様、お宅の息子さんのオチンポ勝手に頂いています。息子さんのオチンポ、気持ちいいんです」

といった気分である。言うわけないが、土台あり得ない関係性だから、真面目に思案するのも馬鹿らしいというものだ。

それにしても考えてみれば、親の目を盗んでセックスするだなんて若い子がするような経験を、この歳になってするとは思いもしなかった。幾つになってもハラハラするものだ。そのハラハラが、余計に興奮のエッセンスともなる。

「アン、ア、ダメェ……オ、オォウ、オゥゥ……!」

少年の匂いが染みついた寝具の上へ、熟女のエキスを撒き散らす。幼少期から使用しているベッドをギシギシと鳴らし、大人の女がイき狂う。

「オアァゥアア……イぐぅ……!」

子供部屋に似つかわしくない、情けない雌の鳴き声がこだました。

 長期休暇ともなると、帰宅部の彼であるから時間はふんだんにあり、小学生の頃以上に戯れはとめどもなかった。午前中から夕暮れに至るまで、ひとみの家で離れる暇なく体を重ね合う。そこはもう、セックスする為だけの家であった。

 朝の部の子作りを終えて、ひとみがよろめく足で昼食の準備に取り掛かった時も、理生は背後にピッタリとくっ付いてきた。

「コラ、危ないから」

やんわりと止めても、もちろん言うことを聞かない。尻に押し付けられた剛直は午前中の疲れも見せずに隆々で、柔らかい肌を深くえぐっている。

「ダメだってばぁ」

もはや気もそぞろで、彼女は尻に押し当てられた勃起のことばかり考えだした。理生の手が後ろから彼女の乳房を鷲掴みにする。

 ひとみは裸である。以前は何か一枚でも羽織るようにしていたが、近頃は彼がそうさせてくれず、家の中を全裸でウロウロしていた。いつ犯されても準備万端といった格好である。

 こうなると、宅配の人が来た時に厄介だ。慌ててシャツを被り、ちぐはぐなスカートを履いたが、例によって足腰が弱い。ヘロヘロになりながら何とか玄関へたどり着いた。

「具合でも悪いんですか?」

などと、気の良い運送屋に心配されたが、後から我が身を振り返れば、ノーブラだし、パイズリで出されたザーメンでシャツは貼り付いているし、口の中も白濁汁が残っており、喋るとあぶくが糸を引いたし、ノーパンの割れ目からは愛液が膝へ流れ落ちているしで散々な有り様だった。仮に犯されても文句は言えない淫乱女である。

 さすがにひとみは非難したが、理生は愉快そうに余裕の笑みを浮かべているのが口惜しかった。彼を受け取りに出せばいいが、家に居るのが変に思われはしないかと危惧したのである。

「アッアッアッ……!」

調理の手も完全に止めて、台所でバックから突かれるひとみ。身長差がほとんどなくなった理生は、僅かにかかとを上げるのみで立ったまま挿入出来る。

「ほら、ひとみさんのお昼ご飯だよ」

彼は絶頂が近くなるとひとみを床に座らせ、その口内に射精した。

「バカ」

親爺のような下らない冗談に苦笑しつつも、ひとみは有難くその熱いスープを飲み干す。本当に腹が膨れるようだった。ただこればかり飲んでいると、腹の中がチャポチャポ言いそうだ。

 それを言えば、こんなことがあった。

「出そう」

と彼が言うので、口に受け止めるべくペニスをくわえて待っていたら、出たのは何と別の液体だった。

「ンンッ!」

すぐ違和感に気付いて、ひとみは慌てて口を離す。手に握った陰茎を見れば、そこから薄黄色い噴水がチョロチョロと湧き出ていた。幸い普段程の本格的量ではなかったが。

「コラッ!」

彼女は足を叩いて叱る。理生は驚いて焦った。実は本当に射精するつもりだった彼である。それがどういうわけか刺激の方向性が間違って、放尿してしまったものだ。いわば事故なのである。

 彼は必死に謝って事情を説明し、何とか誤解は解けたが、さて困ったのは汚れたシーツである。

「もう!」

ひとみはふくれっ面を作って、お冠である。その怒りっぷりに、些か理不尽さを感じたのが理生であった。

「ひ、ひとみさんだって、お漏らししたことあるやんか」

今は彼女の前でだけ出す懐かしい関西弁で、彼は唇を尖らせる。ひとみとしては、思わぬ反撃にあったものだ。

「あ……」

思い当たる節が多過ぎる。いわゆる潮ではなく、交わりの最中に漏らした経験が確かにあった。あれもいわば事故である。その対策で、シーツの上からタオルを敷いてもいる。認めたくないが、年の所為で緩くなってきていた。

「そ、そうね……」

「ぼく何回も、ひとみさんのおしっこ飲ん――」

「言わないでそれ以上。分かったから」

ひとみは顔を真っ赤にして謝った。自分もひどいことをしていたものだ。お互い様である。

 ただこれをきっかけに、理生には新しい境地が開けたようだ。

「漏れちゃう! 漏れちゃう!」

と言いながら、彼は風呂場で度々小便した。ひとみは快く思わなかったが、緊急事態とあれば仕方がない。湯船に浸かっていると、立小便する陰茎の放尿口を下から眺める形となった。

「ヤだ、かかってるってばぁ」

床のタイルに当たった飛沫。彼女は湯をすくって、バシャバシャとそちらの方へ掛け相手ごと追いやった。

「汚いじゃない、もう」

「シャワーでジャーッて流したら大丈夫やって」

あっけらかんと言って、理生は何食わぬ顔。

「ひとみさんもおしっこして見せてよ」

こんなリクエストも出してきた。見たい見たいとあんまりしつこいので、つい調子に乗って、彼女は要求に従った。和式便器に跨る要領で床にしゃがむと、股の間からシャーッと尿を出す。理生にとっては、事故で漏らすのではなく正式に放尿する姿を初めて見たから、大変興味深かった。それも、惚れた女の一番隠したい姿であると思えば。

 実はこういう戯れに及ぶ以前に、彼との交尾によって散々女体は絶頂させられている。いわば発情しきった肉体と、恍惚とした満足感の中で行われるものだ。もちろん常識は辛うじて働くから、恥ずかしいとか汚いとか思うが、性戯の一環として位置付けると受け入れやすくなっている面はあった。

 二人が互いの小便を掛け合うようになるのにも、それ程の時間は要さなかった。初めはひとみの放尿に合わせて理生も出し始めただけだったが、二人で一つの水たまりを作る内に、段々と奔流を合成させるようになり、一つとなった奔流がさらに遡って、水源までたどり着いたものだ。

「かけないでよ、ちょっとぉ」

尿道口を探るように、理生の放尿がひとみの小陰唇にぶっかかる。鮭肉色の粘膜に、ビュービューと勢いのある温水が当たり、性毛も彼の尿でズブズブとなる。

 逆に、ひとみが理生へ向けて放尿させられることもあった。

「ひとみさんのおしっこ、あったかくて気持ちいい」

「恥ずかしいこと言わないでよぉ」

この戯れは我ながら愉快だった。性的興奮にしてはあまり直接的でなかったが、彼との距離をこれ以上ない程詰めている感じが快かった。

 二人はキャッキャと嬌声を上げながら、同時に放尿するようになった。立ったまま、互いに互いの尿を浴びせ合う。ひとみにはこの遊びが、まるっきり若い恋人同士のイチャつきに感じられた。実際相手は若いから、こういう発想も自然なのだろう。

「ひとみさんのおしっこだったら、全然汚くないよ」

少年はそう述べて跪き、その身に浴びるばかりか、口元を近づけさえした。仕舞いには陰裂へ直接口を付け、ガブガブと彼女の尿を飲んだ。口からジャブジャブと汁が溢れ、喉から胸を伝って膝へ流れ落ちる。

「イヤァ……」

羞恥で頬を染めながら、ひとみは何とも言えぬ高揚感を味わった。汚くないと言うが、自分ならどうだろうか。好きな人のものなら確かにそうかもしれない。まして、これはもう排泄というより、セックスの一部であるから。

 ある時、理生は彼女に服を着せたまま、その胸の谷間へペニスを挿し込んでいた。彼がずっと好んでいるプレイである。そして、そのまま射精すると、おもむろに言った。

「ねえ、おしっこもしていい?」

「ええ……?」

その後の片づけを思えば断りたいところだ。しかし、既に発情しきった身の上。それに、彼の望むことは何でもさせてやりたい。ひとみは今や、少年の思うがままだった。

「うん……」

しおらしく頷くと、直後に温かいものが乳房の間に広がりだした。まだ勃起している蛇口から、ジョロジョロと振動が肌に伝わってくる。カップの中はたちまちプールのようになり、そこから漏れ出た温水は腹から下も水浸しにする。

 ここのところしつけられた所為か、条件反射のように尿意が湧いてくる。彼女は相手の下腹に頬を寄せたまま、自らも漏らしてしまった。下着の濡れていくのが何とも背徳的である。

 理生は相手の頭を抱いたまま、女の服の中へたっぷりと排尿を終えると、己のホースをズルリと抜き出す。ビショビショに濡れ光って現れたそれを、ひとみはためらいもなくうっとりと頬張るのだった。仕事を為した男根を浄めるのは、女の口の務めだとばかりに。

 とにもかくにも、彼らは少しずつ行為自体にアブノーマルな試みを加えながら、飽きることなく愛を深め合っていった。

 受験勉強を要しない少年にとっては、勉強といっても定期試験の対策位である。ひとみはそちら方面がからっきしだったから、人生の先輩ではあっても教師をしてやることは出来ない。しかし、そんな彼女でも力になれることがあった。

 わざわざ夜中まで起きて試験勉強に挑んでいた理生は、夜分にもかかわらず、ひとみに連絡を寄越してきたものだ。予め今晩のことを伝えられてはいたから、彼女もうつらうつらとしながら一応完全には寝ていなかった。

 彼の指示通り、家の中の指定の場所に立つ。そこはちょうど、向かいの理生の部屋が見える窓だった。

「ねえ、おっぱい見せて」

少年の要求に、趣旨をおおよそ察した彼女は、

「まだまだ子供っぽいな」

と苦笑しつつも、素直に服をずり上げた。下着の内から、ブルリと豊乳がまろび出る。それと同時に、理生も下半身を露出していた。いつものように元気である。

オナニーの見せ合いっこしよ」

それは、例えば隣に住んでいる幼馴染の恋人と、ドキドキしながら親の目を盗んで行うような遊びだった。少年は、どうしてもこれがやりたかったのである。ひとみも嫌いではない。恋人ごっこは楽しいし、何よりもやはり、彼の企画なら喜んで受ける。

 椅子の上に座ると、同じく下半身を露出し、大胆にも彼女は外へ向かって股を広げて見せた。恥じらいは奥へ隠し、

「どうかしら? 興奮するんでしょう?」

といった、あえて挑発的な気分を前面に出す。幸い世間は寝静まって、秘密の邂逅に気付く者は猫の子一匹いなかった。

 理生は向こうの裸を見つけて歓喜したものの、月明りだけでは見えづらい。そこで、こちらのように電気を点けて欲しいと頼んだ。さすがに家の者にバレるからとためらったが、押しに弱いひとみは結局従ってしまう。煌々と灯りの点いた部屋で、彼女は裸体を披露するのだった。

「おおっ!」

理生は興奮して怒張を握りしめる。といっても、やはり自慰習慣のない彼である。いつでも欲求を発散できる快楽穴があって、それを下回る快感を自分で求める理由がなかったからだ。それで、自分から言い出した企画ながら、ただ漫然と肉棒を撫でるのみだった。

 一方のひとみは、これはもう熟練のオナニストである。理生と深い仲になる前は盛んに自分で慰めたものだ。慣れた手つきで陰裂に指を這わせると、やがては肉穴をほじり始めた。見られてするオナニーは初めてで、これには思いもがけず興奮する。彼女は室内の明るさも忘れて、ライトアップされたステージに猥褻なショーを繰り広げた。

 とはいえ、彼女にも物足りなさはあった。理生から愛されるようになってからは実際自分ではしていない。そんなことをしなくても欲求は満足していたし、そもそもそんな体力は残っていなかった。

「ねえ、これからそっちに行ってもいい?」

「ええ? ダメよ。見つかったら大変」

「大丈夫だよ。ぼくもう我慢出来ない」

そんなやり取りがあって直後には、ひとみの家から肉のぶつかり合う音が響いていた。

「ああ、やっぱり本物がいい」

互いにそう思い合い、相手の体を強く求める。

「アアーッ、ア、オ、オ、オオーンッ!」

深夜の交流の中、ひとみはアクメと疲労と睡眠欲に翻弄され、途中で失神してしまった。

 気が付いた時には、もう外が白々と明るくなり出していた。理生はまだ体の中にいた。

「え? ええっ!」

ガチガチに硬いままの肉棒が、股の間にぶっ刺さっている。

「あ、ひとみさん、起きた」

爽やかに彼が言う。ひとみは確かに起きたが、起きた傍からすぐイッてしまった。前代未聞の起き抜けオーガズムである。

「ごめんね、ひとみさん。ぼく我慢出来なくて。ごめんね……」

理生は申し訳なさそうに謝ってくる。彼女の体をまるでオナホールのように、自分の快楽の為だけに使っている気がして、後ろめたかったのである。

「謝らないで……」

朦朧とする頭で、ひとみは言った。惨めな気持ちになる。正気なら腹を立てていたところだ。二人は同じ気持ちで愛を営んでいるはずなのだから。

 結局一晩中セックスしていただけの彼が帰る時、ひとみは呆れ顔で訊いてみた。

「今日の試験、大丈夫?」

すると、少年は笑顔で答えた。

「バッチリ! 今日の科目、保健体育だから」

ひとみが赤面しながら、その頭を小突いたのは言うまでもない。





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[2023/03/27 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(8)リクエスト


十四歳



 ひとみはたまに、契約している会社へ打ち合わせに行く用事がある。

「ひとみちゃん、来てたんだ」

会議室から出たところで、ふいに呼び止められた。

「ああ、寺山君」

彼は小学校時代の同級生だった。この会社に勤めており、ここで偶然再会したのである。

 軽く挨拶を交わした後、彼は言った。

「どう、この後食事でも」

「ごめんなさい。今日は家族が来てて」

嘘をついた。家庭の事情を持ち出すのは、誘いを断る常套手段である。

 その足で彼女は屋上に向かった。無人の灰皿に近寄って、タバコに火を点ける。ストレスが溜まった時は、帰る前に一服していくのがルーティンである。今日は良い天気だ。

「見たわよ、ひとみ」

急に背後から声を掛けられた。一人の女が階段のドアを開けて立っている。理美という彼女はやはりこの会社の人間で、ひとみとは同い年ということもあり心安い仲だ。子供はいるが離婚して今は独身。細身で、ひとみともいい勝負の美人である。

「あんたまたムッツリーニに誘われてたでしょ」

ムッツリーニというのは、彼女が付けた寺山のあだ名である。独身で結婚歴もなく、どうにも冴えない彼のことを女性達は裏でからかっていた。

「そうなのよ」

渋い顔を作って、ひとみは横に来た友人に答える。

「でも、あの人やっぱ本気みたいよ。だって、あたしらのことは誘わないもん」

寺山の好意は確かにあからさまで、ひとみならず周囲の誰でも気づくレベルだった。本人は気にしなくても、こちらには迷惑な話である。

「だから面倒なんじゃん」

フーッと煙を吐き出す。彼以外にも言い寄ってくる男は何人もいた。それは、気さくで明るく、ざっくばらんに猥談にすら加わる、その社交的な彼女の方が原因を作っていたのだが、そんなことは意識する由もない。男も女もこだわりなく、楽しくやっているだけである。

「一回合コンとかしてあげればいいじゃん。お互い独身なんだしさ」

「ウソでしょ? マジで言ってんの?」

いかにも不本意そうに、ひとみが気色ばむと、理美は答えず、ケラケラと笑った。ひとみにすれば、寺山のことは良くも悪くも何とも思っていない。ただ、面白くない男は昔から恋愛対象として好みでなくて、その点彼が全然面白くなかっただけだ。

「もういっそフッてあげれば?」

「そうねえ……」

ひとみはタバコを消した。

「告白でもされたら、そうするわ」

 愛の告白なら既に八年も前から予約を受けている。手紙には平仮名ばかりの文字で、

「けっこんしたい」

と書かれていた。それはいまだに何枚も大事に残してある。当時は子供らしい振る舞いをただ微笑ましく感じたものだ。

 ひとみは、少なく見積もっても十は若く見えると評判だったが、近頃は、

「十歳若返ったとて」

と、悲観的に感じている。現実に年齢差が縮まることはないし、仮にそうなっても、意中の人との差はまだ依然として大きいわけで。

 理生は念願の私立中学に合格し、今は片道一時間以上かけて電車通学をしている。小学校から続けてきた流れで、何となく剣道部に入ったが続かず、夏合宿を終えると自然と部活からフェードアウトしていった。

 小学四年頃から始まった思春期のただ中ですっかり後ろ向きになり、おまけに両親の仲の悪さがいよいよ決定的となったことも、彼の性格形成に暗い影を落としていた。

 そんな少年のよすがは、やはりひとみであった。彼女がいればこそ生の意味を感じられる。

 学年で二番目か三番目に背が高かった六年生の頃、実は女子から好かれることも多かった。ほかの男子には決して無い、謎に大人びた余裕も魅力であった。しかし所詮は小学生のこと、恋愛に発展することはなかったし、何より彼自身全くこの件に気付いていなかったのは、その眼中にひとみしか居なかったからである。

 入学した中学は高校との一貫校で、よりにもよって男子校だったから、一層彼の周りから女っ気は遠ざかっていった。

「彼女出来た?」

などとは、訊くも愚かで形式的に過ぎると、ひとみはあえて口に出さずにいた。だが確認してみたい気持ちはあった。身内なりのひいき目を差し引いても、この頃の彼は女を引きつける雰囲気を醸し出していたから、出会いさえ掴めば上手くいきそうに思えたのである。

 もしも彼が恋を見つけたなら、喜んでやりたい。自分との関係は所詮夢のような気の迷いであり、いつまでも続く類のものではない。だからこそ、真人間としての少年の一歩を応援してやるべきなのだ。そう思って、しかし同時に、彼女はその日を恐れてもいた。

 理生は、ビデオや本などからも性の知識を仕入れだして、ひとみへの要求もどんどん積極的になっていった。

「もう、こんなイヤらしいこと、どこで覚えたのよ」

呆れたように揶揄しながらも、結局いつも彼女は受け入れてやる。それが彼の興味を繋ぐ為の姑息な悪あがきだと自嘲しつつも、反面彼の願いを何でも叶えてやりたくもあり……

初めて、

「おっぱいに挟んで」

とリクエストされた時もそうだった。乳房と乳房の間に陰茎を挟むという。こんなことは夫にもしたことがない。それは致し方ない部分もある。なぜなら、ある程度のボリュームがないと出来ない技だからだ。彼女らには、その発想すらなかったのである。

「こう? こうかしら?」

いつぞや初めてクンニリングスをされた時のように、今度は逆にひとみの方から教えを請わなければならなかった。酸いも甘いも経験したはずの女が、これから将来に向けて羽ばたいていく少年に性活指導を受ける。

理生とて初めての経験ではあり、最初は互いに覚束なかったが、繰り返しやる内に、指で竿を押さえず、乳肉だけで挟むのが気持ちいいと分かり、彼女も次第にそれが出来るようになっていった。

 ひとみの胸はここ数年でさらに肥大化し、ある時からもうワンサイズ大きい、Eカップのブラジャーを着けるようになっている。これは単に加齢による肉付きの為ばかりではない。盛んに男性と交わり続けた結果、ホルモンが過剰に刺激を受けたことも影響しているらしい。いまだ閉経もせず、更年期すら訪れていないのも、その所為であったろう。

「うんしょ、うんしょ」

重くなった乳房を持ち上げて、屹立した勃起にまとわせる。中身のたっぷり詰まった、重量感のある乳房である。張りの弱い肌はモチモチとしており、そこへ固まった肉棒が掘るように食い込んでいく。

「垂れてきちゃうのよ」

天然物の証として、自然に出てくる愚痴である。肩がこるなどという副作用も、昔なら考えられなかった悩みだ。おまけに理生からしこたま愛されて、どんどんと猥褻にも豊かに育っていく。それは彼の成長と同期するようだった。

 理生は、このいわゆるパイズリという戯れを好んだ。舐めたり吸ったりの末は、クライマックスとして最後は必ず所望した。必然的に、ひとみもパイズリ上手にさせられてしまった。

「イく! イく!」

遂に彼女は、フェラチオもせずに、乳房だけで射精へと導けるようになった。豊かな脂肪球に埋もれた中で、精液が噴射する。膣の中とも口の中ともまた一味違った、中出しの満足感。それは両者ともにあった。

 あるいは、乳の谷間から亀頭が出た瞬間に、ザーメンが噴き上がることもあった。

「キャアッ!」

これにはひとみも参った。予想もつかない角度で、胸元から顔射される。おかげで目に少し汁が入ってしまった。

「もう!」

相手の膝を叩いて抗議したが、しかし怒る程ではない。

相変わらず顔射は苦手だったが、それをしたがる彼を尊重し、以来何度もさせている。その内に、その熱とむせ返るような匂いに興奮を覚えるようになってきた。男の物になる満足感もある。心なしか肌の調子も良くなったように感じたが、これは精液を浴びた為ばかりでなく、そもそもセックス自体の効果が大きいのだった。

 理生の求めはエスカレートする。服の襟首から覗く谷間に、そのまま挿入したいと言い出した。

「エッチなんだから」

例によって勿体をつけながら、結局はやらせてやる。ざっくりと開いたキャミソールの胸元から、無理矢理に下へ向けた勃起ペニスを挿入する。もちろん下着も着けたままだ。

「こんなのがいいの?」

ちょっと前屈みになって入れやすいようにしながら、腰を振る少年と乳房で交尾する。体の中に入れられているような不思議さだ。元へ戻ろうとする竿のバネが、胸の底を激しくノックする。

「イヤらしい」

ひとみはいたずらっぽい笑みを浮かべて、眼前の下腹へキスした。

 普段着から見える胸の谷間をオマンコにして、そこへチンポを挿入する。憧れのシチュエーションに理生の興奮は最高潮だった。漫画で覚えた“乳マンコ”とは、まさに言い得て妙だと思った。彼はひとみのうなじを持って彼女の頭を抱き寄せ、そのまま下向きに精を流し込んだ。

「あっ!」

胸の中でドクドクといっているのが分かる。谷間に中出しされて、ひとみは下腹に顔を抑えつけられたまま、静かに彼が治まるのを待ってやった。この後、ベトベトになったインナーと、腹から流れ落ちた汁によってボトムスの縁まで濡れているのを見て、苦笑したのは言うまでもない。服の中は白濁汁まみれで、谷間上部には陰毛が貼り付いていた。

 性毛が生えだした小四の頃は、同級生の内でも早かったので、理生は大変恥ずかしがったものだ。皆で旅行に行った時なども、温泉で必死に隠していたという。それが今ではボーボーになって、皮も剥けているから堂々としたものだ。

 陰茎はすっかり大人仕様になって、もはや成人のそれと遜色ない。ただ若さ故に、その勃起の勢いはすさまじく、腹に対してほとんど鋭角である。どれだけ前日にひとみへ射精しても、次の朝には起きると立っている。この年頃なら普通だが、理生の場合、体が先に性の深奥を一通り覗いてしまったから、股間は成熟した男でも、心はまだまだ少年というアンバランスさがあった。

「ひとみさん」

中学に上がってから、理生はそれまでの“おばちゃん”呼びからこの呼び方に突然改めた。同時に“パパ”とか“ママ”とかも言わないようになったが、ひとみの場合だけはもっと特別な想いがあった。

「ひとみさん」

名前で呼ばれるのは、何だかこそばゆい感じだ。それで、

「“おばちゃん”って呼んでくれていいのに」

とひとみは言ったが、これだけは頑なに譲らなかった。

 一方で、

「ヤらせて」

などと言ってきたこともある。ひとみはムッとした。それ以前にも同級生のことを、

「童貞のくせに」

などと馬鹿にしたことがある。いずれの時も、彼女は厳として叱りつけた。きっぱりと突き放し、

「もう帰って」

と冷たく申し渡しもした。

理生はたちまち狼狽した。別に深い考えあってのことではなく、何となく同世代の流行りに乗って、覚えたてのことを言ってみたかっただけなのである。それよりも、ひとみを失うことは身を切られるよりも辛かったので、彼は平謝りに謝った。

そのしょげ方が滑稽な程極端だったので、ひとみは彼を許さざるを得ず、

「似合わないことを言ってはダメよ」

と優しく諭すのだった。

 喧嘩した後のセックスは燃えるという。二人の間に諍いはまずなかったが、たまにこうして気まずいことがあると、返って興奮の度が増したりもする。

「アアッ、イイッ!」

ひとみは彼の激しい腰つきに悶絶しつつ、相手の背にじわじわと腕を回した。彼女とて嫌われたくはなく、好んで説教するのではない。今回はよっぽどの場合ということだ。男の育ち方は女次第である。彼女は、その責任を知っていた。

 ところで、今日肉棒に装着されているのは、少年自ら用意したコンドームである。以前映画館へ二人で行った時も、喫茶店に入った時も、支払いはもちろんひとみだったが、それが理生には情けなかった。さすがに子供料金でなくなったのは良かったが、一緒に歩いていても親子のように見られるのが悔しい。せめてもの抵抗として、ひとみとの性交で使う避妊具は自分で用意したのだ。

「無理しなくていいのに」

よく意図も分からず、困ったような顔で彼女は言った。理生はまだアルバイトさえ出来ぬ年だ。そのコンドームは結局親の金で買ったものだった。

「ひとみさん、ひとみさん……」

抱きしめながら、理生はひとみの耳元へ囁く。

「ひとみさん、好き……」

名前で呼ばれると気恥ずかしくて、ひとみは耳まで真っ赤にしながら、しかし胸の奥はキュンキュンとして、同じように相手へ抱き着く。腕は背へグルリと回し、長い脚は、最初膝の裏辺りにかかとを掛けていたものが、次に尻の方へ移動し、遂には腰の上で足と足を交差させる事態になった。まるで抱き枕にしがみついているような格好だ。

「ああ……リオ君……」

硬い芯棒で身を貫かれながら相手にしがみついていると、彼の全身そのものが男根のように感じられる。それ位の存在感が体の芯にある。全く立派に成長したものだ。彼の肉体は生き生きと波動を発し、女に生のエネルギーを与えてくれるに相違なかった。

「好き……ひとみさん……ひとみさん……」

「リオ君……リオ君……リオ……アッ、アア……ッ!」

股間と股間は隙間なく接合し、離れる際には共に切なくなり、再びくっ付く時には共に幸せになった。二人の体と心はピッタリとシンクロしていたのである。

「イきそう! ひとみさん」

「あたしも……あたしもぉ!」

本当はとっくにイッていたが、ひとみは二人の同時を大切にしたがった。

「イく!」

「イく!」

共に宣言があって、二人の間では子種汁の譲渡が始まる。ゴム越しでも彼の子種が元気であることが、ひとみには内側の肌で分かった。

 理生が帰った後、ベッドには使用済みのコンドームが残されていた。どれもずっしりと重く、最後のものはまだ温かかった。ひとみは摘まみ上げたそれを、ちょっと頬に寄せてみる。

「今日も頑張ったわね」

呆れる程タフである。近頃はついて行くのもやっとだ。それにしても、夕方から始めてわずかの間に三つだ。ほかで出した分もある。

「すぐ無くなるだろうなあ」

折角理生が買ってきたコンドームであるが、やっぱり自分でも準備しておこうと、ひとみは密かに思うのであった。







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[2023/03/26 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(7)育ての熟女


十二歳



 ひとみは地域の剣道大会に来ていた。理生の応援である。彼の親も来ていないのに、隣人だけ来るのは妙なものだ。完全に育ての親のような顔で席に座っていた。

 理生は運良く勝ち進み、遂に決勝まで来た。が、そこで惜敗。試合前に先生から、

「よくここまで頑張った。負けることを気にせず楽に行け」

などと声を掛けられ、これは肩の力を抜いてやろうという配慮だったのだが、そういう甘いことを言われると、

「あ、負けてもいいんだ」

と受け取ってしまうのが彼なのである。とことん楽な方へ流れようとする。

 こうして試合では空振りだったが、寝所での竹刀は冴えに冴えて、勇猛果敢に相手へ攻め込んでいく。

「スゴい! ああ、スゴいわ、リオ君」

鋭い切っ先に懐深く突きまくられて、ひとみは立て続けに一本を取られた。

 それまでは専ら正常位だったのが、使える体位を増やし、今はバックで挿入している。ベッドへ四つん這いにならせた相手の大きな尻を掴み、上手に腰を叩きつける。性具には毛も生え、貫禄すら窺えた。

 精通を経て以降も、彼の訪問が絶えることはなかった。何のためらいもなく、何となれば次の日には普通に来ていた。理生にとって、ひとみの家は、彼にとってのいわゆる楽な方だったのである。何の不安もなく、ただ優しい気持ちで居られることが出来た。

 悩んだのはひとみの方である。一人前となった男性を相手にする以上、これまで同様の自由奔放な交わりを続けるわけにはいかない。そこでまずは、精子や性交の意味などを改めて説明した。男児にとってそれは、学校より早い性教育であった。

 理生はまず驚いた、これまでしてきたことが子作りだったことに。しかし、それ以上に、ひとみとそれを出来ていることに感動していた。彼女に自分の子を産ませたいとまでは、自分が子供だから現実的に思いも付かない。ただ、大人として対等の立場になれた気がして、それが嬉しかったのだ。これはもう恋人とか、いっそ夫婦と呼ぶべき関係ではないのか。

「気持ちいいだけじゃないのよ」

ひとみは諭すように、且つはまた寂しそうに語る。この結果、彼との関係を解消することになっても致し方ないことだ。ただ、自分から突き放すことはしなかった。

「もう出来ないの?」

すがるような目で、理生が問う。それを見ると、ひとみの心は一層揺れ動いた。体の欲を満たすばかりでなく、彼と過ごす時間そのものが、既に彼女の中で大きな意味を持っていたから。

「そうねえ……」

避妊という手段を取ればいい。ことセックスに限れば答えは簡単だ。それは最初から目の前にちらついているが、それへ安易に飛びついて良いものか。これまで散々、ありのままに言えば、若い性を食い物にしてきたくせに、ここまできて今さら彼女は真剣に悩みだしていた。

「イヤやっ!」

理生はいきなり飛びついてきた。そのまま相手を押し倒そうとする。

「待って! ダメ。今日は、ダメ」

ひとみは、まだ結論も出ないままに、とりあえずそれを押しとどめる。見れば、理生は薄っすらと目に涙を溜めていた。彼女は励ますように明るく笑う。

「別に、もう会えないわけじゃないんだから」

この子に判断を委ねるのは酷だ。何より卑怯だ。そう思った。

「今日はお口で我慢して。お口でしてあげるから、ね?」

ひとみはそう言うと、彼のブリーフを脱がし、既に半勃起状態のペニスへ唇を寄せていった。

「今日も精子出るのかな?」

わざと冗談めかして言い、上目遣いに相手を窺う。理生はいつになく落ち着かない様子だったが、口淫が始まると次第にそちらへ気を取られていった。

「ンフ……」

今までより男らしい匂いを感じるのは先入観の所為だろうか。男根をしゃぶり上げながら、ひとみは思った。舐める程に先端から汁が溢れ出す。確実に成長の跡が見られる。

 亀頭回りを段差に沿ってベロベロと舌で転がし、そこをすっかり濡らしてテカテカに光らせる。性に供する道具にしては美し過ぎる、無垢で鮮烈なピンクである。裏へ回って、縫い目から筋に沿って下降。竿は血管も浮いていず、これも清純なたたずまいだった。

 精嚢はどうか。溌溂とした弾力があり、今は引き締まった状態。玉を口に含んで舌上に転がせば、本格的に稼働を始めた為か、心なしか重たく感じられた。

 ひとみはさらに股の奥へ顔を突っ込んで、玉袋の付け根、肛門の手前辺りを味わう。

「ああ……」

焦らされているようで、理生はもどかしかった。早く肉竿をくわえてほしい。やはり気持ちいいのはそこである。

 散々外周を散策して、ようやく上に帰ってきた。唇をすぼめて、ひとみは亀頭から根元まで、ゆっくりゆっくり隙間なくずり下がる。ビクビクッと震える相手の反応が愉しい。あとは上がり下がりを繰り返し、口をまるっきり膣に見立てて、男根と交尾した。

「ハア、ハア……」

男児の呼吸が荒くなる。絶頂というより、出したいという感じ。精通以前とは明らかに違う、射精欲求ともいうべき感覚が、彼のフィニッシュを急に早めていった。

「ン、ンッ!」

前触れもなく、突如として口中に熱いものが迸る。一撃は喉にぶち当たって、ひとみは悶絶した。

「すごい」

とめどもない量が次から次へと放出されてくる。射出砲はビクンビクンと暴れ、それ自体が口を圧迫するのに、その度に発射されるザーメンで、たちまち内室は満杯になった。

「ンン……!」

たまらずに、ひとみは勢いのまま飲み下していく。形の崩れにくい塊が、ドロリと喉を通る。精液を飲まされたのは、夫が死んで以来早九年ぶり程になる。懐かしい。

 彼女はたっぷりと時間をかけて子種汁を味わうと、うっとりして彼が治まるまでそのままくわえっぱなしでいた。そうして、最後にストローのイメージで、尿道に残った分をチュッと吸い出してからようやく離してやった。

「ビックリした」

事後、ニッコリ笑って言う。

「もう、イく時はイくって言ってよ」

「ごめん」

反省する男児を見て、ひとみはまた笑顔を向けた。

 そんな日があった後に、彼女の姿はあるクリニックの中で見られた。避妊について相談する為である。ひとみはまだ、月のものがあった。

 そういう所に顔を出すのは気が引けたが、女性医師は別段詮索することもなく、心安く応じてくれた。先方とて仕事である。検査を受け、経口避妊薬を処方されて帰った。

 これが、ひとみにとっての覚悟だった。あの子に責任は取らせられない。そしてまた、引き込んだのは自分である。彼はただ、手近な快楽に溺れているだけだろう。今から将来を考えられる年でもあるまい。いつかは自然と離れていく。その時まで準備だけはしておこうと。残りの時間は、そう長くもないだろうから……

 避妊の方法としてコンドームも考えたが、いくら成長しているといっても当時はまだ小さく、着けてもブカブカで彼の用には足らなかった。それが合うようになってきたのは、ここ最近である。四年生になって性毛が生えだした時点でも、まだ使えなかったのである。

 理生の性欲は年々、いや日を増すごとに激しくなっていった。性の、いわばエリート教育を受けてきた彼。ましてや、性的好奇心もぼつぼつ強まっていく年頃だ。もっとも彼の場合、周囲より遥かに早熟ではあったが。

 ひとみの生理周期についても、自然とわきまえるようになっていった。何しろ、サンプルが身近にあるのだ。実践による理解が一番早い。いわゆる安全日などという概念も自ずと知るようになった。休みの日に安全日だと分かると、もう歯止めが利かない。

 四年生以降、理生は週二回、進学塾へ通うようになっていた。母親の意向で中学受験を課せられたからである。それでも寸暇を惜しんで、ひとみの家へ駆け付ける。

 夏休みに入るとそれは顕著で、ラジオ体操へ行ってから一発、プールへ行ってから一発、友達と遊んでから一発、などと一日中種付けを挟んで行動した。おかげで、ひとみは日に何度もシャワーを浴びねばならず、ただでさえ潤いの少なくなってきた肌をケアするのが大変だった。男性はその場だけ考えておればよいが、女性は何かと気を遣うものだ。

 もっとも、肉体の欲求が充実している所為か、女としての色香は衰えを見せなかった。若さに触れ、そのエネルギーを吸い、あるいは彼に見合うようにと気を張っていることが功を奏しているのかもしれない。

 もう五十路に入っており、理生はとっくに興味を失うものと思っていたが、どうしてどうして、彼の慕い方は強まる一方。五十歳が、男性一般の性の対象から外れる指標だと考えていた頃も遠い昔で、彼はひとみという女を、とことんまで研究し尽くしたいようだった。

 理生はある時、家から一本のビデオテープを持ってきた。父親が隠し持っていた物だという。それは、無修正のアダルトビデオだった。

「イヤらしいわね、こんなもの見て」

ひとみは揶揄した。ちらりと隣を盗み見たのは、彼がこれを使って、一人でしている姿を疑ったからである。しかし、実際には、理生はまだ一度もオナニーをしたことがなく、製造する精液は全て、ひとみに提出していた。

 二人してキャッキャと画面を見る。熟年夫婦でもあるまいし、無論こんな猥褻な映像を見ずとも気分は盛り上がるわけで、実際二人は、まだ作品の途中からイチャイチャとし始めた。元よりそのつもりで集っている。

 ひとみは理生の薄い胸板を撫でまわし、勃起した乳首を甘噛みした。すっかり背の伸びた彼で、その身長は彼女に迫る勢いだが、骨格がまだまだ未熟の為、全体としては小さく見える。まさに少年という形容こそ相応しい。痩せ型で、贅肉など一切ない体は羨ましくもあった。彼女も、理生に言わせれば、十分痩せているのであったが、二十代の時に比べると何となく丸みを帯びている。

 その特に丸く膨らんだ双丘を、理生は下から支えるようにして揉み回した。ひとみがリードする一辺倒だったのに、この頃は彼も能動的となり、今では主導権の奪い合いだ。程なくして、互いの性器を舐め合う形となった。

 陰茎は大きくなり、もう陰嚢と同時に頬張ることが出来ない。代わってくわえごたえの出てきた竿が、むしろ正統な満足を与えてくれる。ひとみは溢れるよだれをベトベトにまぶして、逞しい怒張を頬張った。

腹側から見る角度こそ、いつも彼が見ている光景なのだろう。そう思うと、女だけが見られる裏側からの視点とはまた一味違った趣きがある。

「ステキ」

彼女はくわえながら顔を横に寝かし、腿の上につけた。ポコリと亀頭の形が頬に浮き出る。

 一方理生も、正対するのと天地逆転した女陰を、これはもう見慣れた形なのだが、いまだに飽きることなく愛でていた。いたずら心を起こして、丸見えのアナルをペロッと舐める。

「イヤン、そこ違うでしょ」

即座に叱るひとみの、この反応が可愛くて好きだ。恥ずかしそうに紅潮したおちょぼ口も愛しく見える。その穴が汚いこととはどうしても結びつかなかった。彼女の尻は引き締まってこそいないがあざもなく、少年は当たり前に見ているが、かなり綺麗な白い肌である。

その白さの中だから、陰部の色素は相対的に目立つ。目印のようなその凹みの内部は、まるで洪水のように愛液で浸水していた。こちらが舐める前からである。その貪欲な洞穴は、今でも難なくフィストを受け入れるが、理生も緩急を覚えてきて、闇雲にはやらない。

彼は、彼女の股の間から、テレビ画面へちらりと目をやった。彼にとってそれはオナニーの道具ではない。セックスの教材だ。これで学んだことを、ひとみで実践するのである。

中指と薬指を下向きに挿し込んで、中で折り曲げる。そして、そこにある壁を、連続して刺激した。腕が疲れるのも厭わずに、細かく細かく動かす。クチャクチャと水音が轟いた。

「アアン」

足元から嬌声が聞こえる。感じているのだ。彼は自信を持って、一層壁面をこそばした。

「ダメ、来ちゃう!」

程なくして叫んだ瞬間、ひとみは盛大に噴き上げた。潮である。理生は顔中にそれをかぶった。

「ヤだぁん」

体位を崩した彼女は、己のぶっかけた汁でグショグショに濡れている彼の顔を見て恥じた。相手はそれでも得意げに笑っている。

 理生はコンドームを準備した。六年生になった今では手慣れたものだ。初めて装着法を教えてもらった時、それはひとみの手ずからであったが、着けてもらっている最中に射精してしまったのもいい思い出である。その時彼女は、ペシリと彼を叩いて大笑いしていた。

 潮まみれの痴穴に狙いを定め、ゆったりと男根を挿入していく。

「アアン!」

と女の喘ぎ声が響くが、これはビデオの中のこと。女優らしく作り込んだ声で派手に騒いでいる。だが、ひとみも負けてはいない。こちらは心からの悦楽で淫らに鳴く。

「アッ、ア、ア……アアッ!」

女と女の声が交錯する中、実際の方がやはり実力は上である。

 ひとみは、挿入後間もなくイッていた。といっても、男と女では態様に相違があるから、イき始めたといった方が適切かもしれない。あえて男的な感性で言えば、女は何度でも昇天出来るといったところであろうか。男には羨ましいコストパフォーマンスである。

「イくぅ、イッてるぅ!」

蕩けた瞳で少年を探して、彼女はペタペタと相手の腕や腋に触った。

 理生は女を支配する悦びに震えながら、グッと耳元へ近づいて言った。

「ねえ、顔に出していい?」

「え……?」

よく分からないといった様子のひとみ。重ねて理生は言った。

「顔に……お顔に、出し……精子、かけてもいい?」

彼は如実に教材の影響を受けていた。

「ええ……?」

ひとみは戸惑った。彼女は家に居ても、きちんと化粧を絶やさない女性だ。化粧自体得意で、その美貌もこれによって倍化されている面は否めない。理生と逢う時はなおさら気を遣って念入りにやってきた。

 だから、それを台無しにするというのは、些か不本意である。これも若さ故の好奇心だろうか。そういえば、遠い昔に夫からされたこともある。あの時は自分も若かったが……

 彼女は迷ったが、切なく懇願してくる少年の希望を、冷徹に退けることは出来なかった。現に今愛されている彼の顔を見ていると、何でも許してやりたくなる。

「……いいわよ」

一度位は、という気持ちで、彼女は受け入れた。

「顔に……いいの?」

ウンと頷いてみせる。理生は喜んで男根を抜くと、手早くゴムを外して、ひとみの顔の上へ寄っていった。

 ひとみはギュッと目を閉じる。近くに熱気を感じる。ちょっとした緊張感があった。

「ンッ!」

白濁汁が迸る。狙った以上に正確で、それはピューッと顔の上に筋を作った。先頭は額左寄りの生え際に落ち、そこから斜めに顔面を横断して落ちた。そこから何本も何本も、次第に距離を短くしながら、ある線は眉間から唇へ、またある線は右目蓋から頬の下部へ、ほかにも両唇を跨いだり、こめかみに沈んだりしていった。最後の方は鼻回りに掛かり、さらに搾られると、一滴がボタッと鼻の頭に落ちて終わった。

 理生にとって、それはお漏らしのような解放感だった。出してはいけない所で出してしまう感覚。それに似ていた。女の人の顔に精液を排泄することは、物を知らない彼でも、背徳的な気がしたのである。

「終わった……の?」

目を開けられないから、ひとみには状況が分からない。喋ると、唇を伝って粘液が流れ込んできた。それはあぶくとなって、会話を妨げる。鼻の穴にも入ってきて、呼吸がしづらい。汁は元の場所にとどまっていないで、次々と耳の方や首の方、髪の中まで流れ落ちてくる。総じて、顔中が熱い。

 口内に射精された時を思い出す。あの時も、何しろ沢山出たイメージだ。あれと同様か、あるいはそれ以上の量がぶっかけられたことになろう。言いようのない落ち着かなさがあって、彼女は早く拭き取りたかったが、理生はまだ見ているようで動かない。

 小鼻の左右や目蓋の窪みに、白濁した水たまりが出来ている。見慣れた顔が一面汁だらけに汚れている。理生はじっくりと観察した。何度も間近に見て、その度に見とれることも多かったが、今はゾクゾクする程、芸術的な造形美に感じる。加えて、やっと彼女を我が物に出来たような感動もある。

「ねえ、もういい? ティッシュ取ってくれる?」

女の声がその感慨を破ったが、彼は答える代わりにペニスをその口へ持っていった。

「ン、あ、ちょっと……」

頼みと噛み合っていなかったが、ひとみはすぐ意図を察し、差し出されたものを素直に口へ収める。射精後にフェラチオしてやるのは、大抵いつもやっていることだ。唇周りのザーメンも一緒に流れ込み、口の中で肉竿にまぶさる。いつものように、まだ硬さを保ったままだ。

 やっと終わったと思ったら、理生はガバッと覆いかぶさってきた。股の間に戻っている。

「ねえ、もう一回」

「え? え?」

ひとみが戸惑うのをよそに、言うが早いか彼は再び挿入を開始していた。

「もう一回って、ちょっと……ン、ね、ねえ、ちょっと……」

乳房を鷲掴みにしながら、ゴリゴリと男根を摩擦する。

顔射……顔はもう、ダメだからね」

聞こえているのかいないのか、理生はひたすら腰を振る。数分後、また絶頂の波にたゆたっている頃、結局ひとみはまた、したたかに顔面シャワーを浴びせられるのだった。





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[2023/03/25 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(6)精通


九歳



 三年生になってクラス替えを経験すると、理生はにわかに友達が増えた。放課後に友人の家へ遊びに行ったり、逆に自宅へ招くようになった。

 昨年からは地域の剣道クラブにも所属し、週一回体育館に通っている。これは親戚の何某がやっているのを見て、自分もとなったからである。

 こうしてようやく日常生活を充実させ始めた彼であったが、同時に隣人との密かな関係は続けていた。それは彼にとってオアシスであり、何もかもさらけ出せる大切な場所だった。

「アアン、ダメェ」

夕暮れになると、その家では女の悶え声が寝室に響く。独り身であるはずの家主が、何者かに股を開いているのだ。

 理生はすっかり能動的な腰使いを会得していた。ひとみの腰に手を添え、自ら肉茎を抜き差し出来る。およそ小学生の動きではなかった。

「イイッ! 上手よ」

指導の甲斐があるというものだ。褒めて伸ばすタイプの彼女の気遣いも手伝って、彼は性のテクニックをメキメキと上達させていた。若い脳みそは吸収も早い。

 よく使う器官は優先して発達するようで、陰茎は加速度的に大きくなっていった。それでなくても成長期。殊に余所の子の成長は早い。近頃では、陰嚢とセットの丸呑み口淫も難しくなってきた。

 背も伸びて、クラスでは常に後ろから数えた方が早く、以前は通り抜けられた生垣の抜け穴も、今では通るのが困難である。それで最近は、上から乗り超えてやって来るようになった。玄関から来ないのは、周囲の目を気にしたひとみの助言による。

 とはいえ、ひとみの背丈にはまだまだ及ばない。同世代では割合高身長な彼女は、ヒールを履くと優に百七十センチを超える。

 今しも、そのスラリと長い手足に絡み取られて、男児はもがくように欲棒をひたすら打ち付けていた。その激しさは、乳房の躍動にも如実に表れていた。

「イく!」

自ら宣言して昇天する。すっかり慣れていた。ビリビリする衝撃が脳天を突き抜ける中、最後までしつこくピストンする。

 そうしてしばし落ち着くまで待つと、ぐったりと胸に倒れ込んで、相手を隙間なく抱きしめた。そのまま二人で余韻に浸る。

 これは、ひとみの所望だった。以前彼は、自分が終わってすぐに感想めいた言葉を口に出したことがある。これが彼女には不評だった。その内容はともかく、男が絶頂した後は、ただ静かに抱きしめてほしかったのである。そこに言葉は蛇足だ。男の満足をその身に受け止め、恍惚とまどろむ時間こそ、女にとっては至福なのである。

 ようやく解き放つと、ひとみはうっとりしながら、頑張った彼に口淫奉仕した。何度も交尾する内に、いつの間にか陰茎の包皮は剥けていた。痛みすら感じぬ内に、女の肉の中でいつの間にか。

「ウフフ、硬いなあ」

わざと淫らに言って、ひとみは目を細める。こういう明け透けな発言を、昔からよくやる。セックス中でなくても、猥褻な冗談には耐性がある方だ。

「エヘヘ」

理生は照れ笑いを浮かべながら、玉の方の奉仕をせがんだ。言われなくてもやるつもりで、ひとみは首を傾け、ハムハムと袋の皮をはんだ。まだ毛は一本も生えていない。それでいて亀頭を剥き出しにしているのだからマセたことだ。

 玉袋を二つとも一気に吸引すると、そのまま伸び上がり、彼女は手で竿を無理矢理折り曲げるように向かせ、もはやお約束となっている、竿玉両呑みに挑んだ。

「ファアァ……」

切なげに呻いて、男児は目をパチクリとさせる。何年か前より窮屈で、引っ張られる時に軽い痛みさえある。だが、己の全てを女の口の中に納める充足感は何物にも代え難い。この歳で、それも一人しか女を知らない癖に、偉く達観したものだ。

 顎が外れるのではないかと心配になる位思い切り口を開け、奥まで一杯にチンポとキンタマを頬張ってくれる。その所為で日頃の美人が台無しとなり、すっかり不細工に相好を歪めさせられた熟女を見ていると、彼は愛しさにたまらなくなって、その髪をよしよしと撫でまわした。歳の差を鑑みれば、まるで立場が逆である。しかし、彼女も満更ではない。

「これ、いつまで出来るかしら」

相手が小児でなければ思いつきもしなかった行為。夫にもしたことがなかった、彼だけの為に編み出した技術。成長すれば、いつかは当然出来なくなる。

 いや、それ以前に、こんな関係をいつまで続けられるだろうか。終わりは、きっと、いつか来る。

 そんな煩悶も、しかし何の不安もない彼氏によって一瞬で断ち切られた。

「ねえ」

彼の申し出で、いわゆるシックスナインの体勢となる。すなわち、二人は天地逆さまとなって、ひとみは仰向けに寝そべった理生の顔面に跨り、前方にそびえる彼の股間へと顔を沈めた。互いの性器をむさぼり合うのである。言うまでもなく、彼女が教えた体位だった。

 子供は覚えも早い。おまけに好奇心旺盛である。教えたことはすぐに吸収し、自ら研究もする。好きなことなら尚更だった。今しも理生は、ひとみの急所を的確に責め立ててくる。もう一々確認することもない。彼女は小学生の彼にすっかり感じる部分を知り尽くされていた。

「アアン、ダメったら、理生君」

ペニスから口を離し、鼻に掛かった声で甘えるひとみ。男児はヴァギナに口を付けたまま、クイックイッと腰を浮かした。しゃぶってくれというのである。仕方なくフェラチオを再開するが、どうにも集中しきれない。

 理生はクリトリスをしゃぶりつつ陰唇を広げると、穴の中へ遠慮なく指をねじ込んだ。この中の構造も経験で熟知している。まだまだ小さな彼の手だから、指といわず、手の甲、果ては手首まですっぽりと膣内へ収まってしまった。

「ハアアァ……ン!」

ひとみは露骨に喘いだ。未熟な陰茎よりも、こちらの塊の方が空洞をはっきりと満杯にする。彼女は寄る辺もなく身悶えた。精々小肉棒に掴まって耐えるのみだ。

 理生は無慈悲にも、肉穴の中をゴリゴリとかき回す。手首を回転させ、時にスナップを利かせながら、したい放題に弄ぶ。次から次へと滴り出てくるラブジュースは、クリトリスごと吸引した。一体にこれが子供のやり方だろうか。英才教育を受けた者こそ恐ろしい。

 穴の奥では指を展開し、闇雲に動かす。それぞれの指を折り、あるいは伸ばして、壁面のひだというひだをこすり続ける。これに腕の回転も加わるからたまったものではない。

「ヒイッ、ヒイイッ!」

ひとみは遂に泣き出して、懇願した。

「ダメェ、もう許してぇ、死んじゃうぅ」

 理生は、しかしすぐには許さない。言葉とは裏腹に、彼女が悦んでいるのを分かっているからだ。末恐ろしくも、女のやり口に気付き始めている彼だ。もっとも、ひとみしか知らない男児のことだから、女のひとかけらも真に理解しているとは言えなかったが。

「イきそう?」

気の大きくなった男児は、生意気にも煽るように問う。

「うん、イきそう。おばちゃん、イッちゃう!」

その淫らな告白を聞くと、理生は満面の笑みでニコニコとしながら、グチャグチャになった肉穴を、とどめとばかり激しくほじくった。

「イヤン、イくぅ! イ、イ、イくぅっ!」

踏ん張っていた膝を硬直させたかと思うと、一瞬後にはすぐ崩して、ひとみは倒れ込んだ。その際目の前に立っていた肉棒に、したたか顔面を打ち付けたものだ。

「おばちゃん、大丈夫?」

体位を解いた理生は、仰向けに寝かせた彼女の顔に近寄って、優しく尋ねた。目の前にぶら下げられたイチモツを、お返しとばかりパクリとくわえながら、

「ひゃいひょうぷ」

と、ひとみは答える。それを見て理生は可笑しそうに笑いながら、

「ねえ、もっかい入れていい?」

とねだる。

「え……」

ひとみはちょっと躊躇した。が、次の言葉を聞いて、にわかにホッとする。

「チンポ」

「ああ……」

今の今でまた腕をねじ込まれたら、さすがに負担が大きいと感じていたのである。このフィストファックは、理生が期せずして独自に発明した、凶悪なテクニックであった。

 彼は許しを得て、そそくさと腿の間に移動する。ひとみの影響で、このところ“チンチン”から“チンポ”に呼び方を改めていた。それを痴女穴にスッと挿し込む。

「ンウン……」

また余裕を戻して、あやすようにひとみが呻く。嵐のようなフィストファックに比べれば、ペニスは凪のような穏やかさに感じられた。

 それにしても、彼は今日既に何度かイッているが、元気なことである。明日が休みだといっても頑張り過ぎではないか。あるいは、射精をしないと、何回もイけるものかしらと、ひとみは漠然と考えていた。

 理生は肉茎をはめたまま自分の尻の裏へ手を回し、玉袋もまた膣内に押し込んだ。広がった肉穴は、難なく男性全部を丸ごと呑み込んでしまう。こうすると、ひとみが悦ぶのだ。

「アアン、ヤダァ、タマタマも入ってきたぁ」

案の定嬉しそうに、彼女は可愛い男児の頬を撫でて歓迎する。彼も、エヘヘと笑う。この技は、元々彼女から仕込まれたものだ。最初はあちらの手ずから始められたが、覚えた今はこちらで挿入するようにしている。

 せっせと腰を振る理生。陰嚢が抜けないようにするのにも慣れてきた。少し動きづらいが快感の度合いは変わらない。むしろ全身が熱くて好ましい。

「上手、上手」

その気遣いを見抜いて、ひとみは微笑ましそうに相手の背をさする。このまま昇天してきたら、その手をぐるっと回して、背中をギュウギュウと抱きしめるつもりだ。肉欲的にはもう満足させてもらえたから、後は客人をもてなすことに注力する。

 やがて、その時は来た。

「おばちゃん、イきそう。イく!」

「うん、おいで」

声変わり前の高い声が切なげに告げるのを聞いて、ひとみは優しく頷いた。

 が、その時である。違和感はすぐに彼女をハッとさせた。心なしか、いつもより躍動する精嚢。ビクンビクンと不穏な跳ね方をする陰茎。そして何よりも、胎内に広がりゆく熱……
それはどんどんと急速に体の奥へ広がっていく。

 ひとみはパッと理生と合体を解いた。例によって抱きしめるつもりだった彼は、突然のことにびっくりして固まる。

「あらっ!」

彼女は見た。そして、思わず口元を覆った。理生の亀頭に白い汁が付いている。自分の膣からも、同じく白濁した汁がはみ出ている。

「いつから?」

と訊こうとして、ひとみはやめた。相手も不審そうに驚いていたからである。その顔には疑問符が沢山浮かんで見えた。初めてだったことは明らかだった。

 理生は、ひとみの膣で精通を迎えたのである。

「これ、何?」

男児はようやくその年頃に相応しい素朴さで、おどおどしながら尋ねる。セックスのことで、久しぶりに不安になった。初めて気をやった、あの日以来の衝撃だ。

「ああ……」

ひとみは言葉を探した。やはり、性交を繰り返し行うことで、著しく成長が早まったのだろう。もっとも、息子のいない彼女には、精通それ自体の知識が浅かった。だが年長者として何かしら言葉を掛けてやり、まずは安心させてやらねばならぬ。

 それで口をついて出たのが、

「おめでとう」

の一言だった。咄嗟のことで、この場合に正しいのかどうか分からない。だが言葉に出してみて、ひとみは返ってそれに心を引っ張られ、本当に嬉しくなってきた。

「おめでとう! リオ君」

改めて、自信を持って言う。当人は呆気に取られており、まだ意味が分かっていない。ひとみは出来るだけ自分を落ち着かせて、諭すように話した。

「これ、精子よ」

「セイシ?」

「そう。精子。大人になった証」

理生は恐る恐る白濁液を摘まんでみる。ネバネバとしていて、何で出来ているのか全く想像つかない。

「大人の男の人しか出ないのよ。リオ君、おめでとう」

彼女もうっかりしており、これがどういう役割を担うのかの説明をすっ飛ばしていた。やはり唐突な事件で、舞い上がっていたのである。

 とはいえ理生も理生で、今は驚きの方が勝っていたから、詳しいことは追々また教えてもらうこととして、この時はそれで無理矢理に納得した。

 二人して浴室へ移動しシャワーを浴びる。

彼を洗いながら、ひとみは考えていた。理生も成長し、射精出来る体になった。片や自分は来年五十の節目を迎える。

「そろそろ潮時かな」

寂し気に彼女は俯いた。






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[2023/03/24 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(5)学習


七歳



 小学校に進学した理生は、無邪気で活発というより温和で大人しい子という雰囲気に成長した。新しい環境の影響と、元からの性質もある。クラスでは目立たない方で、他方知識の吸収が早く、相対的に頭の良いイメージが付いていった。四月生まれで、学年でも年長な点が、多少有利に働いた面はある。そして、同級生にはない経験も。

 ひとみの家には相変わらず訪れていた。世間では口数が少なく見られていた彼だが、ここではまだ元のあどけなさが健在であり、たとえ家族の前でも表さない幼さを、有りのままに発揮してみせる。それ程家主に心を許していたわけだ。

「新しいお友達は出来た?」

「ウーン……」

たまにそんな質問を投げかけてみても、理生は言葉を濁すばかり。彼の内気な性格は、ひとみもとうに察していた。彼女は外向的で友人も多くいたから、そういう悩みには疎かったが、一方で男故の孤独さには惹かれる部分もあった。

 ともあれ、理生はここへ人生相談に来ているわけではない。いわゆる鍵っ子で学校から帰ると一人で夜まで過ごさなければならず、且つ親の放任気味な主義もあったから、ひとみが半ば保護者的な役割も担っていたが、それにとどまるものではない。

 彼のひとみへの懐きようは尋常でなかった。それはそうであろう、何せ既にただならぬ男と女の関係になっていたのだから。

 二年前の春以来、二人は何度も混浴を重ねた。そしてその度に、理生はおばちゃんの股で快楽を得た。彼はもう性の快感を自覚している。自ら求めてもいる。今では逢瀬の場がベッドの上にまで発展していた。

「おばちゃん」

子犬みたいに鼻を鳴らさんばかりの甘ったるい声で寄り掛かりながら、理生は欲棒を陰裂に挿す。股の間でこするのではなく、穴の中に入れることを彼は既に知っていた。風呂で何度も交わる内には、さすがに真実を視認したのである。

「入ってる!」

初めての時は、見てもどういう状況かはピンとこなかった。オチンチンはどこに入っているのか。入っていいものなのか。疑問だらけだ。ましてや、これが子供を作る方法だとは夢にも思わない。それはもっと不思議な奇跡で、いつの間にか母の胎内に宿っているものだと、彼は何となく信じていた。

 理解力には限界がある。それでも、例えば子供の見る特撮番組で、最近の話は昔と比べて複雑過ぎるなどと批判する向きが久しくあるが、彼らが子供の頃に見ていたものを大人になって見直した時、果たして内容の全てを当時から理解出来ていたかというとそうでもなく、結局子供はいつの時代も自分の分かる範囲を自然と絞って、その中から勝手に楽しみを見つけていることに気が付く。

 この場合の理生がまさにそれで、おばちゃんの凹んでいる所にオチンチンを入れると気持ちいいという、この事実を覚えたことだけがとりあえず重要なのだった。精々、女の人はオチンチンが無い代わりにそこが凹んでいて、そこへちょうどオチンチンが入る、位に認識出来きたのは、この年頃で上々と言えよう。

 とにかく欲望に素直な男児は、日を置かずに訪ねては快楽穴にペニスを突っ込みズボズボとやる、それを繰り返すばかりだった。

 片や、ひとみはというと、もちろん分別のある大人であるから、ひと度社会に出れば常識人を装うのであるが、この家という閉鎖空間で一対一になると、理生への愛着も相まってつい体面を等閑にし、劣情のまま状況に甘んじてしまう。そうして夏を生き、秋を過ぎ、冬を越して、一年が経ち、と日々をただ重ねていったのだ。元来楽観的な性格もある。

 彼女にとって理生は不思議な存在だった。年齢差が大きいだけに恋愛対象なわけはないし、いまだに子供に欲情する趣味もない。色気はあるが誰彼構わず発情する女ではないのだ。それがどうした訳か特別な関係へと進んだ。単に勃起を見せられただけで、ここまで深みにはまりはしない。その後のこちらのいたずら心から、あちらのそれの受け入れ方、互いの性格、距離、時期、あらゆる展開が見事にしっくりきたのである。

「ねえ、もっといいことしてあげようか」

ニヤニヤと悪だくみする目で、ひとみはさらなる淫靡な世界へといざなう。ベッドに横たえた理生の下半身から、舌なめずりして上目遣いする。屹立した怒張が、潤んだ瞳に映った。

「お、おばちゃん」

その行為を初めて目の当たりにした時、理生は驚愕した。オチンチンがおばちゃんに食べられたのだ。

「汚いよ」

第一に懸念した。想像だにしない遊戯だった。

「大丈夫。男の子のオチンチンはキレイなのよ」

そう説明されても実感がない。オチンチンはあくまでもオシッコを出す所だ。セックス経験者ながら自覚が無い、そこはそんな絶妙な立場だからこそ抱けた感想である。

「女の人は、オチンポ舐めたいの。舐めるのが仕事なのよ」

フフンと鼻で笑って、ひとみは半分冗談、半分本気で言った。無知な者に独善的知識を授けるのは大いに面白い。理生はまだ半信半疑ながらも、とりあえず納得することにした。

「気持ちよくない?」

意地悪い質問も正直に受け止める。ペニスの上を舌に這いずり回られて、気持ちよくないわけがない。

「嫌かしら?」

理生はブンブンと首を振った。その反応を予め確信していたくせに、ひとみはあえて謙虚に出る。

「ちょっとだけ、させてね」

その面長な輪郭をさらに長くし、鼻の下を伸ばして、ズズズッと小さな雄しべを吸い上げる。垂れ目がちな目の形は普段から親し気な印象を与えているが、細めたそれはこの時もいと楽しそうに見せる演出に一役買っていた。軽口の多い気さくな日頃とも相まって、まるっきり遊んでいるように見える。

理生は、股間にある大きな顔をそわそわしながら見守った。平均より余程小顔な彼女であるが、大人と子供では比較にならない。女の人の仕事だというのなら、ママもこんなことをするのだろうか。ふと思ったが、あの険しい顔が股間にうずまる姿をどうしても想像出来なかった。

左目尻の泣きぼくろは、ひとみの昔からのチャームポイントである。理生は好奇心でそこを押したこともあるが、それが今は上がり下がりしているのをじっとりと見つめた。動きにつれ、ジュッ、ジュッと粘ついた唾液の音が鳴る。

「ハァ……」

時折口から吐きだして、うっとりと肉棒を見つめるひとみ。それを頬に摺り寄せ、愛し気にため息をつく。また下部に潜って、玉袋の皺を舌先でねぶる。あるいは舌の腹で睾丸の形をベロベロと捕捉する。

「すごい」

これは両者が同時に抱いた感想であった。片や行為の意外さとめくるめく快感に、片や健気な雄々しさとこちらを悦ばせる食感に。二人して恍惚となりながら、口唇遊戯に興じた。

 ひとみはフェラチオが好きである。男を喜ばせたい思いやりもあるが、それよりも自身愉しみでやっている。おしゃべりらしく大きな口は、男根を頬張る時にこそ使いたいものだ。その威力を遺憾なく発揮し、例によって竿と袋の丸呑みを実行する。

「あ……あ……!」

理生は細い首をコクコク動かして、たちまち腰を跳ね上げた。その膝をひとみがやんわりと抑えつける。

「ああん、もっとしてあげたいのに」

そんな風に思っても始まらない。理生は果てていた。ひとみは得意満面で彼の顔を窺いつつ、名残惜しそうに、しばらくはじっとして口の中の肉塊を吐き出さなかった。

「イッちゃったのね」

ツヤツヤに濡れた唇で、ひとみは微笑む。コチョコチョと陰嚢をこそばしても、彼はうっとりと呆けていた。理生はこの時点で既に、イくという現象を知らされていた。だからもういつかのように怖がったりはしない。

 とにかく、ひとみからもたらされる知識と経験は多かった。偏ったジャンルのものが、ほとんどまっさらな素地へ雑多に積み上がっていく。

「ここは何ていう名前?」

ヴァギナを指さして、理生は問うた。男の子がオチンチンであるなら、女の子はどう呼べばいいのか。素朴な疑問だった。

 ひとみは、自分に卑猥な単語を言わせたいのかと勘繰ったが、これは大人びた発想である。いずれにせよ、答えてやるしか選択はなかった。

「オマンコ」

「オマ……?」

「オ・マ・ン・コ」

口の動きを見せつつ復唱させる。まさに言語学習である。案外これ程正式に俗語を伝授される例も世の中少ないのではないか。

「マンコに“お”を付けて、オマンコよ」

彼女にはちょっとしたこだわりがあって、“お”という接頭語を付けるのは相手の物と決めている。従って、自分のを指すときは単に“マンコ”という。逆に相手のを呼ぶときは“オチンポ”である。“チンポ”という呼び方は夫から仕込まれたものだ。今は子供の目線に合わせて“オチンチン”と言うことが多いが、本性が出ると“オチンポ”呼びが出てしまうこともあった。

「関西ではなんて言うんだっけ」

相手の方言に合わせて教えてやった方が良いのだろうかと、彼女は余計なことまで思案したが、“オメコ”という呼び名をこの時は思い出せなかった。

「でも、普段人前で言っちゃダメよ」

物静かな彼のことだからさほど心配はなかったが、念を押しておくに越したことはない。

「分かった」

物分かりの良い男児は素直に聞き入れる。さすがの彼も何となく憚るべき事柄をわきまえていた。ひとみとの逢瀬の中で、この快楽に伴う淫靡な影を薄々悟る内、それは以前から彼女との特別な関係について、二人だけの秘密にしておかなければいけないと教えられてから備えた処世である。

 理生は興味津々で股の間を覗き込み、遠慮なく次々と疑問を質す。ひとみは脚をМの字に開いたまま股間をさらけ出し、一々解説してやった。といっても、細かいことを説明するのは面倒だし、何より恥ずかしかったので、曖昧に濁す部分も多かった。

「ここが、クリちゃん」

「クリちゃん?」

「女の人の、オチンチン」

「え? 女の人にもオチンチンがあるの?」

「ウーン……」

人体進化の歴史めいた話を聞いたことがあるが、そんなあやふやな知識をひけらかして、この子に伝わるとは思えない。余計なことを付け加えると面倒なことになる。これは子供と対する時にままあることだ。

 教えながら、ひとみはいつしか顔を真っ赤にしていた。自分の発言がひどく馬鹿々々しいものに思えてくる。おまけに一々聞き返される度、それが助長されるようだった。

 そんなこととは露知らず、理生は無邪気に教えを請う。女の股間は謎だらけ。この際よく調べたいわけである。次から次へと疑問が湧いてくる中、特に思いついて彼は訊いた。

「ねえ、男の人はここを舐めるの?」

「え……」

女がオチンチンを舐めるならばと、自然に湧き出した仮説である。ひとみはどう答えていいか一瞬戸惑った。舐めてほしい本心が後ろめたい。自分から言い出すことは恥ずかしいし、それに、この子にそれを強いるのは申し訳ない気がした。

「ねえ、舐めちゃいけないの?」

「えっと……ねえ……」

逡巡する間にもジワジワと蜜の溢れるのが分かる。

「舐めて……みる?」

「いいの?」

言うが早いか、理生は唇を陰唇へ近づけていった。フーッと息が吹きかかり、薄い陰毛がそよぐ。

 ひとみはコクリと頷いた。

「舐めて……」

そのまま後ろに倒れる。舐められるところを見るのも恥ずかしかった。

「ここ? ここ?」

理生は一々尋ねてくる。それが非常にもどかしい。される方とする方では勝手が違うし、何分にも初めてだから正解を知らない。それで彼が指示を仰ぐのは当然であったが、気持ちは分かっていても訊かないでほしかった。試したことはないが、物言わぬ犬ならば本能だけでペロペロとやるのだろうから、今はその方がいいと彼女は思った。

 大人が曖昧に濁すので、理生は結局実践で学ぶしかなくなった。とりあえず、女のオチンチンと教えられたクリトリスを中心にしゃぶってみる。それは自分の陰茎と似ても似つかぬ形に見えたが確かに突起はしているので、ひとみがしてくれたように、それをペロペロと舌で弾いたり、唇の間に挟んでくわえるような格好を試みた。

「ハッ、アァ……」

ひとみは顔を赤らめて見悶える。久しぶりのクンニリングスを、まさか小学生にされるとは思わなかった。それでも体は正直で、恥も外聞もなく愛液を分泌する。

 理生は夢中になって舐めしゃぶる内、知らず知らず陰核の包皮を剥いていた。

「アアッ!」

直接の刺激を受け、ひとみは思わず声を上げる。その反応に驚きつつ、彼は生まれて初めて女に問うた。

「気持ちいい?」

それはひとみの受け売りであったが、期せずして彼女にやり返す結果となったわけだ。

 うんうんと頷くひとみ。目を手の平で覆っている。やり場のない恥ずかしさである。

 理生は勢いに乗って夢中で口唇愛撫を続けた。そういえば彼女が玉袋も舐めてくれたことを思い出し、陰核から下の方へ下りていく。こちらの方こそどう扱っていいのか分からない。それでも相手の反応を見つつ、大陰唇のひだから順番に舌を這わせていった。

「イヤァ……」

狂いそうになりながら、ひとみが囁く。それは羞恥から出た声だったが、理生は嫌がっているのかと勘違いして、大陰唇から一旦口を離した。実のところ、間違ったことをして怒られるのを恐れている彼である。代わりに、より内側の方へ向き、小陰唇の粘膜へと唇を滑らせた。

 返って感度の高い部分を責められ、ひとみの興奮は一挙に高まった。小さな顔が鼻まで女陰に埋めて奉仕してくれている。

「気持ちいい?」

「き、気持ちいい」

今度は言葉に出して答える。彼女は刹那的に我を忘れて、その頭を掴み自らの股間へ押し付けた。

「フゴッ!」

ヴァギナの粘膜で鼻も口も塞がれ、息が出来なくなって、理生は横向きに逃げる。すると、彼女の濡れた土手が頬に温かかった。そこでまた、ひとみがペニスに頬ずりしていた光景を思い出す。男児は今や顔中愛液まみれでベトベトになりながら、淫乱穴の入り口でズリズリと顔面をこすった。抜けた縮れ毛がその幼い肌に貼り付く。

 そうだ、竿も玉も丸呑みにするのだった。ほかに手本を知らないものだから、それが当たり前だと信じて、理生はクリトリスと陰唇を一口にカバーすることに挑戦しだした。しかし、それは困難というものだ。小さな口を目一杯に広げ、上唇を突起に引っ掛けると、辛うじて小陰唇の上部まで覆う。もがいている内に、舌は膣口をコチョコチョとほじった。

「イッ……アア……イく……!」

ひとみはとうとう降参して、小学生のクンニに屈服した。小さな頭を抑えつけたまま、さながらマスターベーションを愉しむが如き格好で、奔放に絶頂する。

 理生はキョトンとした顔でアクメした彼女を見ていた。まだ女もイくことを知らない彼であった。






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[2023/03/23 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(4)ブラックホール
 ひとみは畳に転がりながら、一人自分を慰めていた。眉根を寄せ、切なげな表情で見悶える。

「アアァ……ン」

多少わざとらしくでも声を出すのは、行為を盛り上げる為である。このところ、前にも増してムラムラする日が多くなった。

 例えば、食の量を控えている者が少しでも食べると、逆に刺激を受けて余計に腹が減ったりする。まさにそんな感じで、理生を招き入れたことが仇となり、彼女の肉体はさらなる悦楽を求めだしていた。手の届く所にそれがあると思うのがよくない。

 簡単に濡れそぼってしまう痴穴を指でほじくり、いわゆるGスポットを責め立てる。一方ではクリトリスも可愛がった。作業の合間にちょっと休憩するつもりが、気が付くとこれだ。もう半時ばかりやっている。

「イく……またイく……」

情けない声で鳴きながら、目と膣を潤ませた。いくらやっても空しさは埋まらない。今度は本格的に裸になってみようかと考えた。

 だが、その企画は破られざるを得なかった。

「あっ!」

と思って急いで下りると、やっぱり理生である。庭に眩しい笑顔が咲いていた。

「あら、いらっしゃい、子ダヌキちゃん」

ここに来られるということは、彼の母もあの一件を知らないわけだ。もしも知っていたら、理生を止めるどころか、ひとみを今頃警察へ突き出しているだろう。あの夜の事は、彼女の思い出にだけとどまっていた。

 ひとみは理生を招じ入れると、

「クッキー焼いたんだけど食べる?」

と、早速おやつを振る舞った。餌付けはバッチリである。美味しい、美味しいといって食べる彼に、ひとみはいつしか夫の面影を重ねていた。彼もよく手料理を喜んでくれたものだ。

「おばちゃん、好き」

理生の懐きっぷりはどんどんエスカレートしている。一線を越えた経験は知らず知らず彼の身に刻まれていたようで、今はひとみの膝に乗り、彼女の胸にためらいもなく抱き着いている。男子特有の尖った尾てい骨が、コリコリと腿の上を動く。向い合わせの股間は下腹の肉に埋め込まれていた。

 近頃の陽気の所為もあり、彼はじんわりと汗ばんでいた。ひとみは艶っぽく微笑みながら誘った。

「一緒にお風呂入ろうか」

風呂は既に温めてある。願ってもないことと、理生に否やは無い。

 二人して裸になって、まずは理生の体を洗う。もう暴れることもなく、素直に彼は奉仕を受けた。聞かぬ所といえば性棒位だ。再び見られた女の裸体を眼下に、彼は憚りもなく勃起していた。いまだにその意味を理解していないから、遠慮も恥じらいもない。

 ひとみは素知らぬ風で、そこをゴチャゴチャと弄びながら、今日も元気な有り様を悦び愉しんだ。彼はもう童貞ではない。己も知らぬ間に子作りを経験した。そしてまた、彼という男を迎え入れたひとみにとっても、それはもう特別な道具だった。まさに男根である。

「はい」

完了の合図を送ると、今度は理生が言い出した。

「ぼくがおばちゃんを洗ったげる」

「エー、おばちゃん恥ずかしいわよ」

言いながら、ひとみは腰掛けに座った。男児の溌溂とした肌を前にすると、改めて自身の張りの無さが浮き彫りとなる。だが理生にそんな見立ては微塵もなかった。

 スポンジを泡立てて、まずは背中からゴシゴシとやる。幼い力のこととて、精一杯やっても痛いことはない。小さな手が、背骨の浮いた細く長い背を行き来する。見る人が見れば、そのスリムな形とシミ一つない白い肌を美しいと形容しただろう。海外でモデルの真似事をしていた頃は、背中のざっくり開いたドレスなども幾つか着せられたものだ。

「パパやママも洗ってあげるの?」

一転母性的な温かい気持ちが湧いてきて、ひとみは優しく問いかけた。親孝行される方とする方のような構図である。

「ウーン……パパは洗ったげたことあるかな」

考え考え理生は答えた。親のことよりも今は目の前の女に夢中だった。腕や脚も念入りにこする。股の間は少しいい加減にやった。オチンチンのないことがやはり不思議で、構造的によく分からないからどこまでどうやって洗っていいか分からず、躊躇の末誤魔化したのである。ここへきて自慰のことをうっかり思い出したひとみは、そこを詮索されずに助かったわけであった。

 彼がこんなに熱心に体を洗うのは、一つには大人の真似事をやって褒められたいというのもあったが、メインの場所へたどり着いた時に怪しまれないようにとの配慮だった。そのことは、既にひとみも薄々察している。

 やがて理生は、満を持して胸部に到達した。この膨らみこそが目的地だったのだ。背後から手を回し、まず脇の方から突っつくように押す。この時点でもう弾力が手に返ってきて愉しい。そのまま滑って乳首の上を通過する。プニプニする感触を手首に覚えて新鮮だった。戻ってもう一度スライドする。脂肪の玉が揺れて、乳房を生々しく実感させる。

 スポンジを持ち替え、左の乳に移動する。持ち上げるように乳の下側から上へこする。ズシンとくる躍動が衝撃的だ。両の谷間から弧を描くように、上から下、下から上へと輪郭を撫でてもみる。どれだけ遊んでも飽きない玩具だ。

「ウフフ」

ひとみは笑いを禁じ得なかった。乳房に興味があろうとは察していたが、ここまでとは思わなかった。一体に男子は皆そうなのか。新鮮に感じ、また微笑ましくも面はゆくなって、つい笑ってしまったのだ。しかし、お気に召して何よりではある。

 彼女の胸は従来薄い方だった。痩せ型の体格に似つかわしい小ぶりさだった。妊娠と出産を経て一時は膨らんだものの、基本的には変わらなかった。

 胸元がきついと感じ出したのは近年のことである。四十を超えて肉が落ちにくくなり、それでもスレンダーなスタイルは維持していたが、胸だけは中年らしく肥え、今ではDカップのブラジャーを付けている。谷間の出来たことは我ながら自慢で、夫にも見せびらかしたものだ。もっとも、それを愉しんでいた矢先に彼は逝ってしまったが。

 洗い終わって、共に湯船に入る。追い炊きをしない今日は向かい合わせの位置だ。

「おっぱいって浮くんやね」

余程感心したらしく、率直に理生が感想を述べた。実際、乳房はプカプカと水面に浮かんでいる。

「そうよ、初めて見た?」

ひとみは食い入るように見つめる彼がまた可笑しかった。自分でも意識しなかった発見を彼は与えてくれる。それもまた心地よい。

「触ってみる?」

からかうように言うと、理生は真に受けて大きく頷いた。許しを得て、今度は堂々と真正面から両の手を向ける。触診するような手つきでグニグニと乳房を挟み、その感触を確かめていく。表情は真剣そのものだ。

 それを見てクスクスと笑いながら、ひとみは訊いた。

「どう?」

「柔らかい」

真に迫った声で言下に理生は答えると、こうも付け加えた。

「ママのよりおっきい」

母しか比較対象を知らない彼であるが、なるほど、確かに彼女の体型では湯に浮かぶこともあるまい。ひとみはちょっとした優越感を味わった。

そんな儀式が終わると、例によってリサイタルが始まる。理生は首を振り振りよく歌った。あまりに盛り上がり過ぎて、折角温かかった湯も次第に冷めていった。それで、そろそろ上がろうとなるのが通常であるが、二人はそんな気にならなかった。

「少し冷えてきたわね」

そんなことを言いながら、ひとみは互いの体温で暖を取るように、何気なく相手の体を抱き寄せた。腿の間に細い腰を挟む格好で。

「うん」

理生はうっとりとしなだれかかり、彼女の腰に手を回した。無知ながらも、何となく気分を出しているように見える。ひとみの中で、またぞろ黒い欲求が急にざわめきだした。浴槽の底にあるまじき深海のような暗さの中、海藻のなびく秘貝からぬるい水が漂い出る。

「もうちょっとくっ付こうか」

「うん」

尻を引き寄せると、おあつらえ向きに彼の貝柱も直立していた。ひとみは自然と割れ目の位置を調節し始める。抱き合っている間に入ってしまうことならよくあるだろう。そんな甘い誘惑が脳裏にこだまする。

突起は行き先を求めて、ツンツンと恥丘をつつく。ひとみは、もうほとんど相手の尻を握るようにして掴み、遂に自ら誘導していった。理屈は脇へ置いて、この前の夜と同じ、ちょっとした事故、あるいはほんの出来心というつもりで。

「ン……ッ」

とうとう彼が帰ってきた。大した抵抗もなく、拍子抜けする程あっさり、ヌルリとペニスが割れ目に納まる。

「入った……」

正論を言っても始まらない。ひと度男女の契りを結んだ以上、いずれこうなる運命だったということ。ひとみの中に入った男根が、都合よくそう慰めてくれるようだ。

紛れもなく二度目の性交。しかも今日は起きている彼とである。理生にとっては実質これが初めてのセックスということになる。もっとも、彼はまだ陰茎が膣の中へ入っている事実に気付いてはいない。

「あったかい?」

耳に唇を付け、ひとみは微かに震える声で囁いた。顔を見られたくないから、相手の頭を胸元に抑えつけ、自身はその上へ覆いかぶさっている。

「うん……」

くぐもった声で理生は答えた。耳の中へ直接囁きかけられた時、ゾクゾクと脳が痺れた。それであやふやな気持ちになって、彼は念を押すように言い直した。

「おばちゃんのお股、あったかい」

「おばちゃんのお股……」

そのあどけない表現が妙に卑猥に思えて、ひとみは思わず復唱すると、その響きが益々意味を持って欲情を助長していく。

理生はまた、手にした感動を無邪気に述べ立てもする。

「なんかね、気持ちいい」

それはセックスに対する率直な感想だった。といっても、あくまで股の間に陰茎が挟まれているのだと思っている。ただとにかくオチンチンが気持ちいいことだけは確かだった。オナニーの経験もないのに、そこの快感は覚えた彼である。

「そう……」

平静を装いながら、ひとみは口元をだらしなく緩めた。

「気持ちいいでしょう? おばちゃんのお股」

気に入ったフレーズを今一度繰り返す。彼女の興奮はもう彼女でさえ否定出来ない。こうなると欲求は果てしなく高まるばかり。

 ひとみは背中からずり下がると、向かい合うというよりほとんど相手を上に乗せるといった姿勢になって、理生のことを羽交い絞めにした。

「おばちゃん……」

夢うつつの中で、当てもなく相手を呼ぶ理生。その顔からはいつしか日頃の快活さが薄れ、代わって艶めかしい色香が立ち昇っていた。およそ児童のそれではない。腰の使い方は心得ていないが、快感を求めてクネクネと回すように悶える。それを尻でコントロールするのがひとみだ。

「寒くない?」

「うん」

いまだ温め合う体裁を建前上続けながら、その実チャプチャプと水面が波立つ訳をどう説明するのか。肉びらの開口部で陰芯がモゾモゾとほじくり回す。ひとみは顎を伸べ恍惚と天を仰いだ。

「来そう……もっと……」

もう辛抱たまらぬと、尻を掴む手に力がこもる。もはや躊躇いもなく、その手は谷間に分け入って相手の肛門から袋の裏までギュウギュウと押した。

「ンウゥ……」

会陰を指圧された時、理生はか細い声で低く鳴いた。決して痛いのではなくて、ムズムズと切ないような快感が一気に押し寄せてきたのだ。彼は、余計にひとみへしがみついた。

 それを聖母のような大きさで抱き止めながら、その実魔女のような貪欲さで、彼女はおさな子の性具を押し込んでいく。痴れ穴は肉厚をおっ広げて、さながらブラックホールのように何もかも併呑する勢いだ。サイズの足らなさは仕方ないというのに、もっと、もっととバキュームしていく。とうとうそれは、陰嚢ごと内部に収納してしまった。

「カッ、ハアァ……ン!」

きつく眉根を寄せ、ひとみは大きく息を吸い込む。その脳裏に、口で彼を丸呑みにしたいつかの絵が浮かんだ。今は下の口で同じことをやっている。

「すごいことしてる」

己の変態性もここまで極まるとは我ながら予想だにしなかったこと。さすがの収縮穴も塊になった肉で押し拡がり、玄関ホールは満席である。彼女は瞬時に最高潮の幸福を得た。

 同じ時、ちょうど理生も絶頂に達した。再びの経験ながら今度は焦りを感じる暇もなく、何が何だか分からない衝撃の波に飲み込まれて、アップアップと溺れている。それで言葉を失って、女の熟れ肉に必死でしがみつく。もう甘えるの度を超越していた。

「イッてる」

呆けた悦楽の中でも、ひとみには分かった。尻の痙攣と内部のそれが連動している。アクメの膣中で男根は歓喜に躍動していた。同時に達せられることは、この上ない幸せを感じる瞬間だ。

 二人はしばし言葉もなく肌を合わせながら、絶頂の余韻に浸った。




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[2023/03/22 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(3)筆おろし
 その日は例のルートではなく、理生は玄関から来た。母親を伴ってである。

「ごめんなさいね」

「いいえ、全然」

ひとみはひらひらと手を振りながら答えた。一両日家を空けることになるので、息子を預かってくれというのだ。

 理生の母親はいかにも勝気そうなきっぱりとした物言いで頼み込むと、キャスター付き旅行鞄の取っ手を気忙しそうに触った。

「おばさんの言うこと、ちゃんと聞くのよ」

「大丈夫よね。いつもいい子にしてるもんね」

ひとみは理生にニコリと微笑みかける。彼も満面の笑みで応える。二人が仲睦まじいことは、既に母も了解済みである。彼女は、息子の懐きぶりに軽く嫉妬を覚えつつも、自分の用件を優先して隣人の好意に甘えるのだった。

 晴れて二人きりになると、ひとみは言った。

「今日、ケーキ作ろうと思ってるんだけど、理生君も手伝ってくれる?」

「うん!」

 翻訳家を生業としている彼女は、ほとんど在宅ワークで時間の融通が利いた。夫の残した遺産によって金銭面では余裕があったから、趣味の延長みたいな生活である。夫は生前そこそこ名の通った写真家であった。

 その点、理生の家庭はシビアで、二人して働いても彼らの理想には達しない。この地区に越してきて一軒家を構える位だから、それなりに収入はあるはずだったが、特に母親は仕事好きという性格も相まって、例えば菓子作りなどにかまけている時間が惜しいのだった。

 初めてのケーキ作りに、理生は嬉々として取り組む。聞けば、両親は喧嘩が絶えないらしく、温かい食卓など皆無らしい。ひとみの家は憩いの場となっていたのだ。

 一時間ばかりドタバタと共同作業に励んだ後、ケーキが焼き上がるまでの間、理生はまるで母親へ甘えるように、目上の女の肩を揉んだ。

「優しいのね」

別に媚びるのではなく、これは彼の真心からである。だが、大真面目に揉んでいるかと思ったら、段々と馴れてくるのに従って、その小さな手の位置が前方へと下がっていった。

「ねえ、ぼく今どこ触ってる?」

極めて容易なクイズだった。ひとみは空とぼけて、あえて言わせようという単語を言わない。

「さあ、どこかしら」

「エー、分からへんの?」

理生は笑いをこらえきれないといった調子で、それまで胸の上部に当てていた手を、さらに貪欲に下ろしていった。遂には突先の辺りをムギュッと掴む。

「コラ! 理生君のエッチ!」

怒られて、彼はウフフフと笑いながら飛びすさった。こんなことをしてじゃれ合う内にケーキも焼き上がる。二人でいると時間を忘れる位だった。

 二人してよく遊び、よく寝て、よく食べて、風呂にもまた一緒に入った。

「ねえ、マッサージして」

理生は甘えてきたが、もういかがわしい事はしなかった。ひとみは決して小児性愛者ではない自覚がある。年少の者を性の対象と捉える嗜好はないし、それは一般の大人と何ら違わない。理生にだって、元来慈愛的に接している。ただでさえ、自身の孫より年下だ。

 早六つになる彼女の孫は、両親と共に遠く欧州で暮らしている。何だかんだ都合がつかないらしく、もう二年は会えていない。娘は高校を出て留学中に今の夫である現地の青年と出会い、そのまま結婚、出産した。その点、自分も同じ年頃で産んでいるから、特別反対はなかった。欧州を生活拠点に選んだのは、彼女の幼少期まで一家がそこで暮らしていたからで、そちらの生活の方が馴染むのだろうし、また仕事上も都合がいいからと思われた。

 ひとみとしては、娘らに会いたいと寂しく思う日もあるが、第一に彼らの生活を尊重したいし、また他者に依存しない自身の性格もあって、一人暮らしを気ままに謳歌していた。それに、まだ心配される程年寄りではない、とは娘によく言っていることである。

「カレシでも作っちゃえば?」

本気とも冗談ともつかぬ体で、彼女は言う。

「それも悪くないわね」

と、ひとみは返しておいた。といっても、本格的に男探しする気はない。年寄りのつもりはないが若いわけでもないし、何よりこれから新しい関係を背負い込むのは厄介だ。男とは、彼女にとってもはや面倒なのである。

 ただ、その年頃の故に、如何ともし難い肉欲の昂りだけはあったが。

 理生は夜になると益々ハイテンションになって、中々寝ようとはしなかった。盛んにじゃれついてきて、ひとみの体に触りたがった。灯りを消して、ベッドに入っても、クスクスと笑いながら何かと組み付いてくる。付き合いのいい彼女もようやく呆れながら、何とかなだめすかして寝かしつけるのだった。

 彼には彼で、やり場のない欲求と寂寥がある。その幼い体でひとみにしがみついて眠った。股は彼女の左腿をしっかりと挟み込んでいる。

「寝たの?」

スヤスヤと寝息を立てる以外に返事はない。あれ程騒ぎまくっていたのが急に大人しくなると、返って大人の方が寂しくもなるものだ。ひとみは彼の頭をよしよしと撫でて、その手を背中に回しそっと抱き寄せた。

 しばらくそうしていると、その股間の存在感が大きくなってきた。それは意識の内にとどまらず、実際に膨らんでいたのである。

「あら……」

男児の興奮は別の方向へ発露していた。ひとみは別段動揺もせず、そのままにしておく。これが単なる代謝的反応なのか、目的を持ったものなのか判別出来ない。もし後者だとすると、こちらを女として見ていることになる。

 理生の表情をそっと窺ってみる。あどけない顔で眠っている。夜這いを企むような邪悪な影は微塵も見えない。

 ひとみは目を閉じて、自分も早く寝ようと思った。が、眠れない。隣が恨めしく思う程、眠気が遠ざかる。それに、時間が経つにつれて、何やら汗ばんできた。こうなってくると、胸元に置かれた手も重みを増してくる。

 その脳裏に、先日はっきりと補足した形が浮かんでくる。それは今、腿の柔肌にきつく押し付けられており、鮮明な記憶と像を結んだ。我知らず、唾が湧いてくる。

 自身の体の変化を、彼女は既に察していた。それでもあえて確かめようと、さり気なく下着の上へ手を這わす。案の定、筋に沿って薄い染みが出来ていた。何より、指で触れた瞬間、ジンジンと身内に電気が走った。

「よくないわ、こんな時に」

決して隣の男児に興奮したのではない。彼女自身のバイオリズムとして、欲求が悶々と高まっているのである。体とは長い付き合いだからよく分かる。

「どうしよう」

独り身に戻ってからは、したい時にしたい事を誰憚ることなくやってきた。そのツケが回ってきて、こんなタイミングで我儘を唱える。

 とはいえ、彼女も分別のある一人の大人だ。欲情した体を持ちながら、今は耐えるのみ。

 夫とは亡くなる直前まで交渉があった。それこそ事故の当日も体を重ねていたのである。彼ら夫婦にセックスレスという懸案はなかった。彼は性欲の強い方で、それを受け入れていた妻もまた必然そうだと言えよう。元からそうだったのか今となっては分からないが、少なくとも夫のしつけによって、肉体は一層淫らに開発されたものだと彼女は信じている。

 そういう快楽の味を教え込まれた女が、熟れた体を放置されることこそ不幸だ。三十させ頃、四十し頃などと、誰が言い出したか分からない標語があるが、実際科学的にも言い得て妙らしく、この上あと何年生きるのか知らないが、五十ござむしりなどと女の性欲が尽きぬことを想像すると絶望的である。

 このまま朝まで眠れないのかと思うと、ひとみは焦った。その手が、意志弱く股間周りを這いずりだす。まるで、掻いてはいけないと分かっているのに、痒くて掻かずにはいられないといった心境だ。

「ダメなのに」

最初はパジャマの上から軽く表面を押さえるような感じ。それから撫でるような仕草となり、それでもはっきりと掴むことは避ける。紙一重の抵抗だ。しかし、そんなことをしても火照りは鎮まらぬばかりか、返って焦れた体がさらに求め始める。

 少しだけならと、意志薄弱に折れて服の中に手を入れる。建前上は、患部を落ち着かせる意図だ。手の平で下着の上を押さえるようにさする。もどかしい。夫と過ごした熱い夜が指の上にのしかかってくる。

「ダメよ」

指はひとりでに筋をなぞり始めた。もっと強く、何かの角に押し当てたい。物足りなく、寂しく涙する女陰を、彼女は次第に強く関節の骨でこすっていった。

「ア……」

陰核にぶつかり、ピクンと疼く。

「何してるの、わたし」

白々しく見下す理性を脇に除けて、ひとみはいよいよ本格的に自分を慰め始めた。指は肛門に近い位置までカバーし、行きつ戻りつしては恥部を摩擦する。腿の側面に当たる剛直が行為を励ますようだ。それを力強く感じながら、彼女は暗闇の中で息を吸い込んだ。

「ハアアァ……」

声こそ出さないが、呼吸は発情した雌の熱気をまとっていた。眠れぬまま、寂しい一人寝を慰める女は、実際には男児をその片手に抱きながらも、それの硬い所だけをおかずにしながら長い夜を超えようとするのだ。

 やがて、じんわりとした低い上り曲線ながらも、一応の感度の極致へ至ろうとしていた。

「イく……」

 ちょうどその時だった。

「おしっこ」

理生が唐突に目覚めたのである。ひとみは驚き焦って、咄嗟に右手を引き抜いた。彼に触れていたことすら後ろめたい気がして、思わずそちらの手も離してしまう。

「あ、おしっこ?」

尿意を催したのであった。一人では便所へ行けぬので、当然に付き添いを欲する。

 扉の前に着くと、ひとみは訊いた。

「一人で出来る?」

理生はちょっと考えた。出来るのであるが、そういう訊かれ方をすると、つい甘えたくなる。

「ううん」

彼は嘘をついて首を振った。実は以前にもこの家でトイレを済ます彼を見ていたはずのひとみだったが、この時はすっかり失念していた。それだけ動揺していたのである。

「じゃあ、お手伝いするね」

個室内に入る二人。といっても、ひとみには立ってすることも、補助といって何をすれば良いのかもよく分からなかった。おおよその見当から、やはり排尿の管を支えるべきなのだろうと思い、手を伸ばす。

 そこで、ハッとした。湿り気を帯びた方の手を出してしまったからである。だが、右サイドに立ってしまった都合上、今さら左手に変えるのも不自然だし窮屈だ。ひとみは人知れず頬を染めながら、オナニーした手でペニスを持った。心配しなくても、見た目に濡れているのが分かる程ではないと言い聞かせながら。

 陰茎は勃起したままだった。彼女はそれを押し下げて、便器に向ける。ほとんど色味のない水がシャーッと勢いよく迸り出る。手の中に奔流の振動が伝わってきた。終わると、トイレットペーペーで先端を拭う。理生にはそれが大人の仕草に感じられた。

 寝室へ帰ると彼はまた甘えてきて、今度は大胆にもひとみの上に乗っかった。

「コラコラ」

何となく気の抜けた声でたしなめつつ、またじゃれ合いが長くなるのかと、ひとみは苦笑を浮かべる。だが、案に反して彼はあっさりと眠りに落ちてしまった。

 困ったのは、ひとみである。彼を横へ下ろすことは訳ない。が、彼女の劣情がそれを押しとどめさせた。理生は今、胸へ顔をうずめるようにして寝ている。自然、その股間がちょうどひとみのそれと相対する位置にあった。依然として硬いままの棒が、彼女の割れ目にぴったりと押し付けられている。狙って出来ることではない。むしろ天然の奇跡だから心に響くものだ。

「理生君たら……」

イき損ねた肉体はまだ火照ったままだ。そこへきてのこの仕掛けは、もはやズルいとさえ思えた。大人の女をよくもここまで弄ぶと思うが、もちろん全ては彼女の独り相撲である。

 つい今しがた明るい場所で見たばかりの、そして自ら手で掴みもしたあれが、惨めに濡れた女の入り口で通せんぼしている。ひとみは抱っこするような手つきで、さり気なく幼い尻を持つと、ちょっとだけ強く抑えつけた。

「あぁ……」

言葉にならない充足感がある。鼻の奥がツーンとなって、懐かしい感触に彼女はしばし酔った。

「わたしったら何考えて……」

自分でも少し動いてみる。クリクリと陰核の上を、同じような精一杯の勃起がこすれた。紛れもない、これは男児を使ったオナニーだった。

「違うの……」

その空しい言い訳を、果たして誰が認めてくれるだろう。背徳的恥辱が彼女の心を暗く染めていく。

「このまま……」

性欲というのは人間の欲望の中でも原始的で強烈なものだ。それは簡単に、日頃の知性的な女性を一匹の雌に変えた。胸の上で寝息を立てる子を揺りかごのようになってあやしながら、その実快楽をむさぼっているのだ。

 だが、イけない。蛇の生殺しの如く、興奮に刺激が追いついてこない。もっと直接的な刺激が欲しい。いっそこのまま壊れてしまいたい。ない物ねだりは人間の十八番だ。女の理性はとうに破滅していた。

 ひとみは驚く程巧妙に、慎重に且つ迅速に、いとも大胆な挙動に出た。すなわち、己の下半身を剥くと、相手のそこもまた剥き出しにしたのである。露になった尻のもちもちとしたのを改めて抱き寄せ、自らの股間へあてがう。硬い肉棒が彼女の土手に食い込んだ。

「すごい」

紛れもない男。この五年忘れもしない感触が女陰を目覚めさせる。こうなると、もはや行き着く所まであと僅か。自分にこれ程の異常性が潜んでいようとは知らなかった。変質者に堕ちていく恐怖は確かにある。だがそれを欲望の波が押し流していく。

 ひとみは矢も楯もたまらず、その勃起を陰裂の内へ引き込んだ。

「ハアッ!」

軽く声を発し、慌てて口を覆う。とうとう彼女は男児の陰茎と合体してしまった。

 間違いなく初めてであろう彼の、初体験を奪ってしまったことについて、申し訳ない気持ちはある。だが一方で、彼が自分に好意を寄せており、また性的好奇心も旺盛であることを勝手に確信していた。所詮男と女は成り行きだ、などと高をくくってもみる。

「来る……!」

それは挿入してまだ僅かの内だった。既に仕上がっていた肉体は、極度の興奮を加え、絶頂を始めたのである。

「ハアァ……!」

甘ったるい息を吐いて、カッと目を見開くが、すぐにまた閉じた。現実を直視するのはさすがに怖かったからである。

 四十年の歳の差を軽く飛び越え、孫よりも年下の子と肉体関係を結ぶ。だが当人にはそんな意識はない。というより、欺瞞がそれをあえて意識に昇らせまいとする。

 ひとみは理生の尻を押し付けたまま、ジワリジワリと互いの性具を動かしていった。オーガズムの多幸感が完全に羽目を外させ、この一方的な猥褻を濃密なものにしようとする。妻の務めとして、夫にも絶頂させてやらなければならない。

 サイズは全然足りないが、入ってくれただけで今は満足だ。建物に例えるなら、精々玄関ホールでコチョコチョやっているばかりで、本当ならせめて能動的に出し入れしてほしいものの、さすがにそれは求め過ぎというもの。もはや犯してしまった罪ならばいっそ完遂させるべく、彼女は腰回りをクネクネと媚びるように自ら振った。

 その効果はてき面だった。理生は間もなく腰を痙攣させだした。寝ていても関係ないらしい。

「イッてる、この子」

今日は体の内側から、相手の振動が伝わってくる。体内に生命の波動を感じつつ、ひとみは愛おし気に理生を抱きしめるのだった。






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[2023/03/19 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(2)丸呑み
 日を置かずに、理生はひとみの家を訪れた。相変わらず服に泥を付けている。

「ねえねえ、お風呂入らへんの?」

その一言で、年長者は意図を察した。幼いながらも快楽の味を占めたと見える。

「今日は入りません。おうちで入ってきなさい」

ひとみはきっぱりと断る。この間のことで少々懲りていた。

「エー、入ろうよ」

理生は庭から上がってきて廊下を駆け出すと、一目散に浴室へと向かった。勝手知ったる他人の家である。

「ぼくもう脱いじゃうよ」

付いてこない相手に向かって大声で呼びかける。ひとみは廊下の角から、

「じゃあ一人で入りなさいよ」

と呆れたように返事した。

「エー、いやや、おばちゃんも一緒に入ろ」

ひょっこりと顔だけ出して理生が食い下がる。ひとみは別の手に出た。

「ママに言おっかなあ、リオ君が裸になって、おばちゃんとお風呂に入りたいって我儘言ってますって、言っちゃおっかなあ」

すると、理生はタタタッとこちらに駆けてきた。半ズボンは本当にもう脱いでいる。

「今日ママいないもん」

「じゃあパパは?」

「パパもいない」

勝ち誇ったように言う。共働きとは聞いているが、こんな幼い子一人家に残して不安ではないのだろうかと、ひとみは訝しんだ。

「ねえ入ろうよ」

改めてねだり出した彼に、

「入りませんよだ」

と言いながら、ひとみは逃げ出した。後を追う理生。こうして追いかけっこが始まった。一階の中、キッチンとリビングを行ったり来たりしながら、二人はキャッキャと走り回る。理生の興味もいつしかこの戯れに比重を移していた。

 子供の体力は無尽蔵である。おまけに一つ楽しみを見つけるとしつこい。四十五の大人にはきつく、先にギブアップしたのは仕掛けた方のひとみだった。

 呼吸を整えて、別の提案をする。

「ホットケーキ食べる?」

「うん!」

風呂のことも忘れて、理生は無邪気に頷く。ひとみはいそいそと手際よく調理してそれを振る舞うと、嬉しそうに食べる彼を見て、自らも目を細めた。

 腹が膨れると、理生はウトウトとし始めた。昼寝の時間というわけである。しばらくソファーの上でまどろんでいた彼は、その内本格的に横になった。スヤスヤと寝息を立てだしたのを見ると、ひとみはその頬を愛し気に撫でた。

「そうだ」

見ればシャツも結構汚れているので、この間に洗濯しておいてやろうと思いつく。どうせならと、彼女は下着も含めて全部剥ぎ取ってしまう。心配せずとも、理生はすっかり眠りこけて起きなかった。風邪を引かぬように毛布を掛けてやる。

 洗濯機から戻ってくると、幼い下半身がこぼれ出ていた。

「あらあら」

ひとみは苦笑すると、毛布を掛け直してやる。と、その視線がふいに一点で止まった。例の利かん坊が今日は大人しく鎮座している。彼女の中で、またよこしまな好奇心がむくむくと頭をもたげてきた。

 何気ない体で、ちょこんとした出っ張りを指で弾いてみる。バネ仕掛け程の反発はないが、新感覚の確かな手応えがある。手慰みに弄ぶには適当と思われた。ひとみは面白くなって、チョンチョンと何度もそれを突っつき、跳ねまわる様子を楽しんだ。彼女にとって、それは玩具であった。

 だが、しばらく経つと様子が違ってきた。玩具は自ら意思を持つかのように起動し始めたのである。あっと思う間に、それは過日のような有り様へ変貌した。

 ひとみはこの際よく観察してみようと、理生がやはり起きぬのをいいことに、そっと顔を近づけてみた。竿は健気に直立し、袋はさっきより吊り上がったようである。彼女は、そこに陰毛の一本も生えていないことが、生々しさを感じさせない原因だと知った。色の沈着もなく、他所と変わらぬ明るい肌色である。

 息を吹きかけてみる。匂いは無く、ただ湿った生ぬるい風が漂い返ってきた。さらに顔を近づけてみる。精巧に刻まれた皺は、しかし大人より遥かに少ないようで、竿部分のツルリとした皮は亀頭先端まですっかり覆いかぶさっている。息子のいない彼女には何もかも新鮮だった。

「キレイ……」

思わずそう嘆じた。そして、吸い寄せられるように頬に肉竿を押し戴いた。生温かさが肌にしっとりと馴染む。ひとみは両手で大事そうに捧げ持つと、もう片方の頬にも押し当てた。硬さの中に尊さを感じる。彼女は、まるで御利益を念ずるかのように、順番に顔面の上へ勃起を当てていった。

「ああ……」

生命の根源みたいなものを感じる。それは神秘的で、畏敬の念に値するものだった。両手で抱いたペニスに、うっとりと頬ずりする。それにつれて包皮が伸び縮みした。

 顔中に押し当てていく中には、当然唇の上も滑った。彼女はその一瞬だけ、ふいにハッとして離れた。だが、僅かの逡巡の後にはあっさりと翻意して、唇を近づける。かつて愛する人へしたように、ひとみは久しぶりで男性器に口づけをした。

 一旦始めると一度では済まなくなる。初めは竿と袋の間位に口づけたものが、竿の裏表、袋回り、内腿、陰部の付け根の下腹部など、遠慮なくキスの雨を降らせていった。キスの最中も、竿の先がこめかみや額の生え際に潜り込むのが心地よい。

「ステキ……」

そんなことを思う頃には、もう好奇心というより下心に近かった。子供ではなく、そこに居るのは一本の男根なのである。

 ひとみは、それを頬と手でシコシコと揉みつつ、唇をスライドさせて、その間に軽く挟んだ。もしもこの時の己を俯瞰で見られたら、男子児童の股間に顔をうずめる熟女の、そのおぞましい光景に寒気がしただろう。しかし、今眼前は発情した男性器で埋め尽くされていた。

「ちょ、ちょっとだけ……」

彼女は理生が起きぬように願いながら、唇の間からチロリと舌を出し、肉竿に触れた。たちまちゾクゾクとした刺激が身中を焦がす。懐かしい熱! 止まらなくなって、舌でチロチロと弾いていく。後から後から唾液が湧いてきて、動かす度にヌチャヌチャと唾が鳴る。何と言う神々しい味だろうか。

 こうなると、もう辛抱堪らぬ。先端まで伸び上がると、ひとみは吸い込むように竿ごと口内へ飲み込んだ。

「ンンフゥ……」

開いた鼻腔から官能的な息が漏れる。目を閉じて、久しぶりの食感を味わう。恍惚となって、彼女はしばらく動かずにいた。

 だが、久々に愉しむにしては、それはあまりにも小さかった。舌の半分も満たさない。口の中でモゴモゴとしてみたって、もうそれ以上大きくはならない。それでも諦めきれず、ひとみは恨めしそうに舌先を陰嚢の方へ伸ばした。竿を口にくわえたままである。

 夫は、ひとみの口を愛してくれた。野太いものを口いっぱいに頬張らされ、彼女は目を白黒させながら、そのままよくアクメを迎えたものだ。

「もっと……」

ここにきて、彼女の欲求は爆発した。上あごに男根を押し付けながら、舌と下唇を使って、器用にも玉袋を吸い込んだのである。なんと、ひとみは陰茎も陰嚢も、一息に丸呑みしてしまったのだ。

「フォゴ……ッ」

子供のものとはいえ、さすがに窮屈ではある。今や彼女の唇は根元の繋ぎ目まで達し、大きくカパッと開いた口が寸分の隙もなく下腹部に貼り付いていた。まるで、男児の股間という果樹に彼女の頭が実ったようである。

「すごい……」

自身の思い付きもまた興奮の糧にしながら、口中を満たす息苦しさに、むしろひとみは幸福感を覚えていた。秘芯がカーッと熱くなり、ゴクリと生唾を飲み込む。口腔で、もはや形もよく分からない肉塊を、舌で輪郭を舐め回しながら捕食。存分に出汁を抽出する。

 思うように動きづらいながらも、少しずつ上下に頭を揺さぶってみる。これはもう、相手を喜ばせるというよりも、自身の欲求を満たす為だけの技だ。もしも理生が起きていたなら、確かにこの前以上の刺激的快楽を知ったのであるが、生憎と夢の中。それでも肉体の現象は休んでいない。

 またしても、彼女はやり過ぎた。理生は例によって、突発的に痙攣を始めたのだ。

「あっ……」

ブハッと丸呑みを一気に吐き出して、ひとみは顔を上げる。

「イッた……の……ね?」

先日の経験から、前より焦りはなかった。やはり精液は出ていず、ただただ唾液でベトベトに濡れた陰茎が残るのみ。自分のしでかした残骸だった。

「ごめんね……」

ひとみは心から恥じ入って、ティッシュペーパーを手に取った。そうして陰部を丁寧に拭き清めながら、しかし最後に、しつこくも名残惜しそうに、陰茎をチュッと吸うことを忘れなかった。






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[2023/03/18 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
育てる夫(1)初昇天


五歳



 ひとみは、恥丘の縮れ毛を手の平に感じながら、中指をぴったりと割れ目に沿わせ下降させていった。指先を腿の間まで潜り込ませると、ほんのりと汗ばんでいるのを感じる。

「一行さん……」

ちらりと仏壇の写真を見る。いつかと変わらぬ笑顔がそこにあった。かれこれもう五年になる。以来、疼く体は独りで慰める日々だ。殊に近頃は回数が増えた。四十も半ばになって、いよいよ性欲は盛んである。

「ン、ンン……」

胸元もまさぐり、自ら気分を出す。頬が色づきだすに連れて、陰裂はぬめりを帯び始めた。濡れやすくなったものだ。

「ア……アァ……」

誰もいない家は僅かな声でもよく通る。己の息が耳にこだまするのも興奮の材料だ。ひとみは思い切って下着をずらし、指を立てて花びらの口をなぞり回した。そして、わざとピチャピチャという音を鳴らしてもみる。

「ンハァ……ン……」

恥ずかしそうに見悶えしながら、しかし一層あからさまに、まるで誰かに見せつけるかのように膝を起こして股間を開き、両脇の指で器用に陰唇を左右へ広げると、中指を第二関節の手前まで挿入していった。より確かな刺激が訪れる。

「アハァ……!」

行為の虚しさは承知しているつもりだ。だがどんなに惨めでもやめることは出来ない。散々しつけられた快楽を急に無いものとされて、女の肉が平気でいられるわけもない。体は覚えている。罪である。

「ああ……イく……」

遠慮がちにひとみがそう言った、ちょうどその時、コツコツという物音がして中断を余儀なくされた。彼女は、すぐに身なりを正すと、足早に階下へ向かう。この時、表情はもう一転して平生の爽やかさに戻っている。

「あらあら、ヤンチャな子ダヌキさんがまた来たのね」

ガラス戸を開けながら、ひとみは自然と笑みを浮かべた。それは、隣の家に住む理生(りお)という男の子だった。生垣の破れ目をくぐって来たのだ。大人は無理でも、猫や小型犬はもちろん、五歳の子供でも訳なく通り抜けられる。

「まあ、今日は随分泥んこの子ダヌキさんね」

昨夜降った雨の所為で地面がぬかるんでいたのだろう。見れば、理生の膝から下は泥で汚れていた。

「カタツムリいたよ」

そんなことを言って差し出した手もまた泥だらけである。ひとみはとりあえず、彼を浴室へと連れて行った。

「あのねえ、ママがねえ――」

よく喋る子である。ひとみは終始ニコニコしながら、ハイソックスを脱がせた。そのたどたどしい物言いと、二親とも関西出身の影響を受けたアクセントも相まって余計に可愛らしい。

「もう、これも全部洗っちゃおう」

彼から一枚一枚被服を脱がせていく内、何かと世話してやりたい老婆心も湧いて、結局軒並み洗濯機に放り込んでしまう。そうして丸裸になった理生の手を引いて、ひとみは風呂場に入った。

「こらこら、じっとしなさい」

決して叱るでもなく、こそばそうにキャッキャとはしゃぐ彼に、まるでペットを洗うかのような調子でシャワーを浴びせていく。楽し気に騒ぐ彼とじゃれ合う内、仕舞いにはひとみもずぶ濡れとなってしまった。

「ああ、もう、おばちゃんも濡れちゃったじゃないの」

さも困ったという顔を作って、シャツの裾を絞る。

「もういいや、おばちゃんも脱いじゃお」

彼女は理生の快活さにつられて無邪気にそう言うと、さっさと衣服を脱いで、回転する洗濯機の蓋を開けた。下着を履き替えたかったのでちょうどよくはある。

「いつもお風呂は誰と入るの?」

「パパとかママとか。ぼく一人でも入れるよ」

「ほんとに? 偉いね」

ゴシゴシと体を洗われながら、理生はやや口数を減らしていった。母には無い胸の膨らみに面食らっている。ひとみは元来スレンダーな体型であるが、中年に入って少しずつ肉付きがよくなっていた。

「はい、じゃあこっち向いて」

背中側が終わって、言われるがままに回れ右する理生。そのすぐ眼下に豊かな双丘が広がり、彼はこれが予期せぬ幸運であったことを知った。遠慮もなく、まじまじとそこに眼をやる。

 ひとみは和式便器に跨るような明け透けな姿勢で膝を折り畳み、背の低い彼の華奢な体を優しくスポンジでこすっていく。小さかった頃の娘を思い出す。ただ違うのは、股の間の造りである。孫とまだ風呂に入ったことはないが、あの子もこんなだろうかとふと思った。

 小さな陰茎を慎重に摘まみ上げ、その裏側をこする。それも陰嚢も、想像より遥かに小さかった。ミニチュアのサンプルみたいに、まるで現実味がない。

「へえ……」

何度も見たはずの形ながら、ひとみは妙に感心してしまった。改めてその精緻な構造を知った感覚である。

 ここで、ようやく理生が大人しくなったことに気付き、取って付けたように尋ねる。

「大丈夫? 痛くない?」

「うん」

理生は依然乳房を見つめていた。腕の上下に合わせて、そこも土台から上がり下がりする。隣で二の腕の脂肪が震えるよりももっと大らかな波打ちが表面に起こり、反面紅桃色のくっきりとした乳輪は、落ち着き払った安定感を示していた。

 女を知らない男児であるから、その色香までは説明出来ない。しかし、豊かで艶のある髪がきらめき、面長で下膨れの白い頬に薄っすらと汗が流れる様は、どことなく日頃のおばさんたる枠を超え、新しい一面を感じさせる気がした。

 ひとみが異変に気付いたのは、そんな時だった。

「あら……」

ミニチュアがいつしか鎌首を持ち上げていた。摘まみ上げる補助も要らず、健気に自立している。

 チラッと上を窺う。その表情にはいつも通り屈託がなかった。ただ視線は合わない。彼女はようやく女として、その意味と行方を察した。それでもあえて胸は隠さず、

「ママはちゃんと洗ってくれるの?」

などと何気ない会話を続ける。少しからかってみたい気になった。

「こういう所もちゃんと洗わなきゃね」

そう言って探りを入れつつ、股の間に腕を差し込み、既に洗ったはずの尻の方へスポンジを這わす。股の内側を丹念に洗うというのである。ただ、ピーンと立った竿が腕に平行にピタリと寄り沿う時、彼女は急に体の芯がゾクゾクとするのを感じた。懐かしい感覚だった。

「痛くない?」

しつこくも確かめてみる。

「うん」

理生はやはり無邪気に頷く。己の発情には気が付かない。女の腕に跨って、陰茎も陰嚢も、肛門さえも乗っけている非現実さにも同様だ。

 ひとみはさり気なく、しかし思い切って、竿を掴んでみた。掴むといっても手で握る程のスケールはなく、精々指三本で足りる程度。そうしてやはりさり気なく、シコシコと軽くこすってみる。

 彼女は質問を変えた。

「気持ちいい?」

先程来よりやや間を置いて、理生は、

「うん」

と返事した。そういう聞かれ方は初めてだったが、そう問われれば今が気持ちいいことは確かなのだった。

 それを聞くと、ひとみは一瞬何か逡巡したが、冠りを振って気持ちを切り替えると、さっと立ち上がってシャワーを手に取った。

「じゃ、流していくね」

石鹸の泡を、肌に手を添えながら洗い流していく。滑々として、柔らかいが何のたるみもない皮膚が元気に水を弾く。勃起は継続していたが、今度は見ないようにした。

 理生としては、これ以上何かがあることを知らないから、ムズムズとする心の昂りを覚えつつも、されるがままに体を洗われ終わった。ただ、家なら入りたがらない癖に、この時ばかりは湯に浸かりたいと言い出した。

「だって、あったまってないわよ」

ひとみは困った風で湯船に手を入れてみる。実際、温水といった程度だった。

「大丈夫」

と言って、理生は構わずに飛び込んでしまう。そうして、プールみたいだ、とはしゃぎ、バシャバシャと水を立てる。また快活さが戻ったようだ。

「おばちゃんも!」

勢いのまま、ひとみに手を差し出す。

「おばちゃんも?」

訝しむように、彼女は理生の瞳を覗き込む。それは清く澄みきって好奇心いっぱいにキラキラと輝いていた。その中に、爛々と燃える雄々しさのようなものを見た気がして、ひとみの頬がだらけるように緩む。

「じゃあ、一緒に入ろうかしら」

自覚なく、理生が来た当初よりも彼女は上機嫌になっていた。

「やだ、やっぱり冷たいじゃない」

ごねながらも風呂に浸かる。湯の吹き出し口に共に向き合う形で二人は陣取った。ひとみの膝の上に理生が後ろ向きに座る体勢だ。理生はひとみと向かい合いたがったが、熱くて危ないからと言われ、仕方なく従った。

 理生はひとみに乗せられて、しきりに歌を歌った。保育園で覚えた歌もあれば、何かの番組の主題歌もあった。風呂に入る時はよく歌うのだという。

「上手い、上手い」

彼女が褒めそやすと、理生は良い所を見せようと得意になって歌った。次第に湯の温度は上がり、二人の体もカッカと温まっていく。互いの体温の高まりは、肌を通してダイレクトに伝わってくる。理生はひとみの腕に抱かれていたが、熱がりもせず、拒む素振りも見せずに彼女の胸に身をまかせ続けた。

 腹に回したひとみの手の甲に、硬い突起が時折当たる。初めはへその辺りにあった手も、いつしか下腹部へと下がっていた。ひとみが、今一度確かめるつもりで、つい軽く当ててみたのが始まりだ。その時まだ芯はなかった。だが、もう一度、もう一度と当てる内に、また膨らみだした。ちょっとした戯れだった。

 一曲歌い終わると、次の曲を探す。その間が、理生には少し気まずい。割合によく覚えている方ではあったが、レパートリーにも限界がある。次第に選曲の間が長くなっていった。ひとみはニコニコしながら、時に助け舟を出して、自分も知っている童謡を一緒に歌おうと誘う。理生は今や顔を真っ赤にしながらそれに応えた。

 トン、トンとぶつかる頻度が、こちらの思うより多くなった。理生はひとみの膝の上でモゾモゾと動き、小さな尻の位置を変える。その度に恥毛が擦れ、それにつれて淫肉も動いた。ひとみは上気した頬を男児の柔らかな髪に寄せる。乳房はもっぱら彼の背中に押し当てっぱなしだ。彼女は、とうとう手の甲もべったりと男根に添わせてみた。いきり立った棒は、倒れるどころかこちらを押し返さんばかりだ。

 理生はすっかり集中力を欠いて、次の曲を見つけられなくなった。

「どうしたの? のぼせちゃった?」

「ううん……分からへん……」

「もう上がろっか?」

「ううん、もうちょっと」

頑なに今この時間の延長を望む。実際、当人にのぼせている実感もなかった。

 ひとみの口元には、いつもの母性的なそれではなく、いつしかニヤニヤと何か企むような笑みが浮かんでいた。彼女は抱き直す要領で男児の股間に手を入れた。手の中に玉袋、手首に肉茎を当てて、抑えつけながら彼の軽い体を抱き上げる。

「大丈夫?」

「うん……」

曖昧な答えを返す理生。我知らず股間を前に突き出す。反動でその細い肩がひとみの分厚い胸を押しつぶした。

「ちょっとマッサージしよっか」

男児の反応に滑稽さを感じながら、ひとみは陰部を握った手を、患部をほぐすようにコネコネと動かした。柔らかい中に硬いしこりのあるものを、あるいは上下に、あるいは旋回するように揉んでいく。

 もう片方の手はあばらの上を行き来する。いかにももろそうな骨の下から、トクトクと心臓の鼓動が伝わってくる。乳首は硬くなり、肌には粟粒が浮き出した。ひとみは今やすっかりその身の中に相手を抱え込む体勢になった。まるでぬいぐるみを抱くような格好である。

 彼の頭部に頬を摺り寄せながら、その長い指で、それはちょうど先程陰唇を撫でていたように、袋の筋から竿の裏をなぞっていく。そうしててっぺんまで来ると、先端を四本の指先で包み、そのまま下降させる。間もなく亀頭の口が手の平の窪みにぶつかった。するとまた上昇。これをゆっくりと丹念に繰り返す。

「気持ちいい?」

今一度尋ねてみる。

「うん……」

熟女の胸に全力で体を押し付けながら、理生は夢うつつで答えた。例えば、犬や猫が撫でられて腹を見せ、うっとりとしているような調子だ。

 いたいけな彼のありのままな反応にほくそ笑みながら、ひとみはいよいよ興に乗って、そのか細いしこりを親指と人差し指で挟み、上下にシコシコと、今度はさっきまでより余程早くしごきだした。伸縮する包皮の感触もまた愛おしい。

 気まぐれに始まったこの遊戯も、しかしいたずらの度が過ぎた。次の瞬間、理生は下腹を中心に激しく痙攣し始めたのである。それは僅かの間だったが、二人を大いに焦らせた。

「大丈夫?」

さすがにやり過ぎたと思って、ひとみは一転心配になる。

「う、うん……」

初めての経験で、自分の身に起こったことが彼にも分からない。その年頃の故に、射精はもちろんしていない。実は、精通前でもエクスタシーは得られる。このことを二人は共に知らなかった。

「なんか……」

理生は青ざめた顔で告げた。

「オチンチンがスースーするよ」

「オチンチン? 見せて」

彼は立ち上がって、素直に陰部を見せる。ひとみは、顔の前に来たそれをしげしげと見つめた。外面的に何ら変化はない。

「おしっこ出そうな感じ?」

理生はちょっと考えてから、

「ううん、出そうじゃない」

と答えた。ひとみもまた考え込む。しかし考えても分からないし、今は彼の不安を和らげることが先決だった。

「ちょっとお風呂に浸かり過ぎたのかもね」

的外れな推理を自覚しながら、彼女は自分自身にも言い聞かせるように言うと、この問題をなかったこととするかのように、彼の手を引いて風呂から上がった。






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[2023/03/17 22:00] | 「育てる夫」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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