おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
お知らせ
「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
* 学校中に運動会お馴染みの、あの焦燥感を煽る音楽が大音量で響き渡る。それを背景に、運動場では年代ごとの徒競走が続いていた。 元より不真面目な金光、自分の身内が出る内はまだしも、それ以外を真面目に見る気はないし、まして応援する気もない。誰かに電話を掛けたり、近くの人間を無理やり無駄話に巻き込んだり、あからさまに退屈そうにしている。 もっとも、すべての父兄が前のめりに参加しているわけでもなく、休日の朝から引っ張り出されて欠伸をしている者もあった。 そんな父兄の一人、小林は自分の子供が走り終わった後から眠い目をこすっていたが、ふと校舎の方を見上げた後、何を思ったのかとうとう自分の席を立ってしまった。 * 「ちょいじっとしててよ、入れにくいじゃん」 「嫌だってば! いい加減にしてよ」 有紀は相変わらず手向かったが、もはや建前の域に近いことを慶介は悟っていた。この女はそろそろ諦めているのだと。彼は相手を窓にへばりつかせると、豊満な尻肉をかき分け、スウェットズボンから取り出したペニスを割れ目にあてがった。 「じゃあ、入れま~す」 軽やかな宣言と共に、いきり立った肉棒がすんなりと濡れ穴に沈んでいく。 途端に前原が声を限りに叫ぶ。 「おい! 待て! 待ちなさい!」 「うるせえっての!」 すかさず竜二が前原のみぞおちにパンチを喰らわした。 「人が来たらアンタがマズいだろって、さっきペー助も言ってたろ?」 前原は無言だった。目を閉じてぐったりしている。 「あれ、ガチで死んだんじゃね?」 傍にいた浩樹が不審そうに覗き込む。 「すっちゃん、ちょいやり過ぎ」 「え、軽くやっただけなんだけど」 竜二はさして焦る風もなく、前原の頬をペチペチと叩いた。が、なんの反応もない。完全に伸びていた。 浩樹は彼の息と脈をちょっと見て、 「うん、大丈夫大丈夫。生きてるわ」 と軽く太鼓判を押した。竜二はそれに軽い反省を込めて、 「わりぃ。入っちゃったみたい」 と笑いながら応じた。 一方、慶介はそちらのやり取りなど一切気に掛けることもなく、入った肉棒を女穴の中でゴシゴシとこするのに夢中だ。有紀は彼によって押さえつけられ、露出した乳肉をべったりと窓ガラスに吸着させていた。柔らかい塊が胸板とガラスの間でつぶされる。 この教室は、校舎の端寄りの最上階にある為、運動場の真正面ではなかったが、競技中の様子は一部とはいえ見える位置にあり、こちらから見えるということは、逆もまた然りである。 「ヤバいんじゃね? これ。見えてんじゃね? ヤッてるとこ」 そんなことを言いながら、慶介は止めずに腰を振る。有紀は無言だ。前原の時みたいに、演技して気分を出すこともしない。 慶介はなおしつこく、 「オバサンの子供も見てんじゃねえの? その辺で」 と煽ったが、やはり彼女は沈黙を守っていた。 だが、続けて彼が、 「なんなら窓開けてやろっか」 と提案した時は、さすがに拒絶の声を上げた。 「ふざけないでよ!」 気の強い女らしく、鋭い目で中空を睨み付ける。 慶介は彼女のリアクションにニヤニヤしつつ、今度は押し付けていた乳房を窓から浮かして鷲掴みにした。 「うお、すっげ! 柔らけ~っ!」 目一杯広げた手で、握力込めてグニャグニャと脂肪球を揉みしだく。 「ちょ、痛い」 有紀は抗議したが、慶介は頓着せずに、その姿勢のままクルリと向きを変え、仲間にその手の中のものを見せつけた。 「見ろよ! 手の中に入んねえ」 そのレポート通り、確かに広げ切った指の端から端をもってしても、彼女の乳房はそこに収まりきらなかった。余った柔肉が垂れこぼれている。 「マジか」 「デケーな」 仲間達も口々に感嘆した。次いで彼らは、自分達もそれに触り始めた。 「は? ちょ、やっ、痛い」 有紀は眉間に皺寄せて肩を左右に振るが、それにつれて豊かな塊が地盤からタプリタプリ揺れると、返って面々を面白がらせ、益々いたずらをエスカレートさせた。浩樹は人差し指を柔肌に際限なくめり込ませ、竜二は乳首を延々と引っ張る。豊乳はそのいずれをも、圧倒的な対応力で許容した。 「なあ、これ、吸っていい?」 誰に許可を求めるでもなく、だが少なくとも有紀本人にではなく竜二が言い、彼は乳輪をきつくつまむと口をあんぐり開けて近づけていった。 すると、次の一瞬、一同を驚きが襲った。 * 「ねえ、お母さんは? お母さんは?」 有紀の下の娘、幼い瑞穂が舌足らずに言って姉のシャツを引っ張る。姉の清美はそれをうるさそうに払った。 「知らないわよ。お母さん忙しいんだから、大人しくしてなさい」 マせた口調で言って、母親代わりのつもりである。だがその実、自分は同級生との砂遊びに夢中だ。その同級生、本当はその幼稚な遊びに飽きているのだが、清美のしつこさに渋々付き合わされていた。 妹はすごすごと引き下がり、チュパチュパ指を吸って不足をやり過ごす。 * 「わっ、なんだこれ!?」 顔面に温かい汁が掛かって、竜二は面食らった。それは母乳だった。 「マジか!?」 「母乳出んの、オバサン!?」 少年らには初めて接する光景だった。悪ぶっているとはいえ、比較的モテる慶介を含めても、つい最近になってやっと性交の味を知ったような連中だ。この時初めて、母体としての女体の役割を肌で実感したようなものである。 よく見れば、その乳輪は赤黒く、周囲とのコントラストが鮮明であり、また乳首のくっきりとした陰影もまた、授乳に適した状態であったのだが、乳幼児の本能を忘却したオス達には、ただの卑猥な造形でしかなかった。 「なに、オバサンって赤ちゃんいんの?」 浩樹は問うたが、有紀は答えなかった。実際には、もう赤ん坊という年でもなく、口もきけば歩きもする幼児がいるばかりだが、有紀の乳の出は三年越しでもまだ止まらないのである。 「うお、母乳ウッマ!」 「なんだこれ、こんなんあり?」 竜二と浩樹は左右の乳首にそれぞれ吸い付いて、思い思いにミルクを飲んだ。 「イヤッ! キモい、この変態!」 母親としての強烈な不快感に苛まれ、しきりに罵る有紀。二十以上も年下で、確かに法律上もまだ子供とはいう相手なれど、この状況下において母性愛など微塵も感じるはずがない。 「おお、オレも吸いてえ! おおっ、もうイくわ!」 慶介は羨ましそうに叫ぶと、腰の回転を一際激しくした。それは、まさしく種付けの合図であった。 「おっ、ペー助、中出しかよ」 浩樹の煽りに、その以前からそれと察していた有紀、大いに異議を唱える。 「はっ? ちょっ、ふざけんな」 「ああ、そういえばオッサンは外に出してたっけ」 竜二が床を見れば、今でも前原の出した粘液が机の下に広がっていた。慶介は言った。 「オレさあ、潔癖だから床汚すとかできないんだよね。やっぱさ、教室はキレイに使わなきゃ」 彼の芝居じみた言い方に同調して、仲間も好き勝手を言う。 「どうせ中も外も一緒だって」 浩樹は言ったが、たとえそうだとしても、女としては無理矢理犯された男の汁が体の中に入ることこそがそもそも嫌だった。 「やめて! 離して!」 事の前にも増して激しく抵抗する有紀。だがこれはもはや逃れられない定めであった。 「あ、あ、イく! ……ああ、出る……出てる……ヤベ……チョー気持ちいい……」 若いエキスが言葉通りにたっぷりと迸る。注がれる身は知ろうまいが、それは彼女の母乳が如き白さで、且つそれよりずっと粘っこいものだった。 * 「いました?」 「いいえ、やっぱりもう帰っちゃったんじゃないかしら」 校舎の入り口で中年の男女が出会い頭に挨拶を交わす。相変わらず有紀を探していた。次の競技にも彼女はエントリーしていたのである。 「まさか、校舎の中にいるなんてことは……」 男が暗がりに目を凝らす。すると、タイミング良く、そこから父兄の花村が出てきた。また、校舎前の植え込みの方からは、同じく父兄の小林が現れた。 「いや、こっちには誰もいないみたいですよ」 花村は有紀を見ていないと言う。小林も同調した。二人は余人にはそうと分からぬ程度にちょっと目を見交わした、何か通じ合うものを感じて。 捜索隊の二人はそれを聞き、またそれぞれに散っていく。うち女の方は別の女と合流してブツブツ言った。 「ていうか、金光さんエントリーし過ぎじゃない? 出る気もない癖にさ――」 〈つづく〉 |
「入れるよ」 男は宣言した。まるでここが二人だけの世界とでも言うような、傍若無人な通告である。 「ヒィッ!」 郁恵は頬を引きつらせた。同時に眉間の皺が深くなる。それら表情筋の動きは一気に深刻さを窺わせる程度まで進んで、やがてかっちりと固定した。 その時水面下では、先の割れた赤い頭が沈み、その続きの段差が沈み、さらにその続きのずず黒い竿が沈んで見えなくなる過程であった。 「……グッ……!」 刹那は言葉もなく、郁恵はただただ歯を食いしばる。 「入った」 真っ直ぐに視線を相手の顔の上に落として、男はまた一方的に宣言を発した。その顔はさすがに緊張のためか、一見怒ったようである。 「入ったよ」 念を押すようにもう一度言う。 郁恵はいたたまれない風で、顎を引いたり横へそらしたりした。その身を貫かれる理不尽さに、耐えて耐えてという風に。その悔しい忍耐の渦中で、彼女は言った。 「やめなさい……」 先程までとは一転、低い声だった。そして、どこか子どもを叱るような厳粛な口調でもあった。ただ、その声は震え、弱々しかった。 もちろん、そんな声は悪童の耳に届かない。若者は段々と表情をほころばせながら、さらに深く交わるべく、女の尻をきつく引き寄せて、 「ヤベェ……海でスんのチョー気持ちイー……」 と、ぼそりと一言つぶやくと、その自分の発した言葉で余計に確信を得たのか、 「ウワ、ヤッベ、マンコ止まんねえ!」 などと言って、相手の腿を抱え上げながら、いよいよ激しい腰振り運動を始めた。海中では当然、挿入された肉棒の出し入れが同時に行わている。 「やめなさい……!」 再び郁恵は言った。さっきの反省を踏まえてのことか、その中途までは力強い声音であった。が、語尾の方にかけては、一気に勢いを失っていた。 その時、彼らから少し離れた所、その波間に漂っていた人が、こんなことを言ったのが聞こえたからである。 「ヤダ、ちょっとあの人達、怪しくない?」 若い女性の声だった。郁恵が恐る恐る窺うと、同じ位の年格好の女性が並んでいる。いくら人が少ないといっても、やはりほかに客が全くないわけではないのだ。 「ウワッ! ちょ、マジびっくりした……!」 連れに言われて気づいた方の女性は、大きな声を出して驚いた後、笑いながら慌てて口元を両手で隠した。 後は二人、ヒソヒソと噂し合い、キャッキャと笑い合っている。 「アーア、見つかっちゃったね」 男は、さも残念そうに囁いた。ただし、行為はやめず、むしろ腰の運動は激しさを増すばかりだ。 二人の体は首から下が水に隠れており、その水は暗く底を見通せないので、決して性交が露見したとばかりは言いきれなかったが、男女が向かい合ってくっついている様を見れば、それだけでも十分大胆な振る舞いではあった。 若い女性達は、自分達で遊んでいる風を装いながらも、ちらちらと郁恵らを盗み見ては噂を続け、もうすっかりギャラリーと化している。 「けどまあ、バレてもいっか」 男はあっけらかんと言った。 「オレらもうラブラブだし。それに――」 郁恵の頬ににやけた彼の息が吹きかかる。郁恵は反射的に顔をそむけた。 「お姉さんとおマンコできたからさあ、もういいわ、なんか。もう捕まってもいいわ」 彼は言いながら、郁恵の左の腿まで持ち上げ、ついに彼女の肉体をすっかり海中で抱き上げてしまうと、そのまま、一歩、二歩と浜の方へ向かって歩き始めた。 「もう見せようぜ、オレらのラブラブセックス」 「なっ! 嫌っ!」 郁恵はうろたえて、しかしまだ女性達の存在を視界の端で窺って、抑え気味の声で否定した。 「いいじゃん。――じゃあ代わりにチューして、チュー」 男はまるで駄々っ子のように甘えて、唇を尖らせ相手に覆いかぶさる。 郁恵は顔をしかめた。が、避けることはしなかった。その口に、またレイプ魔の口が重なる。 「キャッ!」 瞬間、見物の女性らから、嬌声が上がった。彼女らにすれば、恰好の娯楽材料なわけである。場合によっては、そのいずれかがこの男の餌食として郁恵の代わりになっていたのかもしれないが、そんなことを知る由も無い。 生贄となった郁恵は奥歯を噛み、心底情けなさそうに俯いた。男が離れたその下唇から、彼の唾液がつららのようにぶら下がる。 と、ここで、今度は別の方角からも声が聞こえてきた。男性の声だ。 「……おい、見ろよ。あいつらヤッてんじゃね?」 見れば、若い男女の二人連れである。 彼氏の指摘を受けて、女性が応じた。 「エー、なわけないじゃん!」 女性は、しかし言葉とは裏腹に半信半疑の様子で、興味津々と郁恵らを窺っている。 その彼女に向かい、 「オレ達もヤッてみる?」 と言いながら、男性は彼女に後ろから抱きついた。 「バーカ!」 女性はそう言ってそれを振りほどくと、彼に向かってバシャバシャと水を浴びせかけた。 それを機に、水の掛け合いや、体の掴み合いをしだす二人。恋人同士の甘い時間を過ごしている様子である。 先程郁恵が助けを求めた時は、誰ひとり気づかなかったというのに、確実に周囲に人が増えていた。今なら絶対に助けてもらえる、だが、郁恵はもう声を上げなかった。 その間も、性器と性器は間断なく摩擦を続けている。 「ねえ、ちょっとエロい声出してよ」 男は囁いた。 しかし、郁恵は相変わらず無言で差し俯いている。 「出さないの、いつも。旦那さんとスる時」 男は重ねて呼びかけた。 しかし、やはり郁恵は無反応を決め込んでいる。 すると、彼は方針を変えて、別なことを申し出た。 「じゃあ、今度後ろからヤらしてよ」 言うが早いか、すぐにその体勢に入る。すなわち、両手で抱え上げていた郁恵の両腿をぱっと離し、彼女を裏向けた。 「ウッ、ウッ、ブッ……!」 急に投げ出されて、海水に鼻まで沈む郁恵。その上、目が回るような速さで浜辺の方を向かせられ、鼻と口に海水が入ったために彼女は焦って、海中で腕をバタバタさせた。 「バック。好き? 奥さん」 男はマイペースである。悠々と相手の尻を抱き寄せる。誰に見つかろうと恐れることもなく、彼女をまだ散々に弄ぶつもりだ。 「好きそうだよね。でっかいケツしてるし」 彼は、また水着を尻の谷間から右に引っ張って陰裂を露出させると、思い切りそこに男根をねじ込んでいった。肉棒は、何の抵抗もなく穴の中に吸い込まれていく。 「旦那さんともバックすんの?」 男は言いながら、乳房を鷲づかみにして彼女を助け起こした。これで外面的には、女と男が立って前後に列をなす格好になる。彼はそうしておいて、ビーチの方を顎でしゃくった。 「あれ旦那さんでしょ? あそこの傘の下にいるの」 それは、確かに郁恵の夫であった。さっき男が彼女をナンパした場所で、仰向けになって眠っている。 「起きればいいのにね。奥さんとおマンコしてるとこ見てもらいたいのに」 男はそう言って明るく笑った。 郁恵の視界にも夫は入っていた。が、彼女は決してそちらを正視することなく、といって全く見ないわけでもなくて、まさに目を泳がせている状態であった。その額から、幾筋もの汗が流れ落ちる。 「なあ、あれ、絶対入ってるって」 先程のカップルの男が、また恋人に声をかけた。一時ちょっと離れていたのだが、また近くまで回ってきたようだ。 「いいよ、もう。あっち行こうよ」 恋人の方はやや不快な調子で、彼氏の肘を引っ張った。 一方、左の方角にいた女性連中は、いまだ一定の距離を保って、郁恵らを肴にヒソヒソ話を続けている。 そんな中、別の方からは、母親らしき口調で、 「そっちは行ったらダメ。あっちで遊びましょう、あっちで」 と、我が子であろう男の子にきっぱりと言っているのが聞こえた。どうやら、郁恵らの様子に不穏なものを感じ取ったらしいのである。もはや、恋人がいちゃついている、との認識以上の違和感が漂い出しているのだろう。砂浜の監視員が注意をしに来るのも時間の問題かもしれない。 そんな切迫した環境の中、男はますます興に乗って、 「アー、バックもヤバい」 などと浮かれながら、ガンガン女穴を突きまくる。折しも、男の欲求にとり、そろそろピークが訪れる頃合いらしかった。 「アーヤベ、マジイきそう! マジで!」 彼らの周りの海面が細かく波打つ。無論、自然のためばかりではない。男は強く激しく腰を押し出していく。 「嫌……! や、やめて!」 今まで黙っていた郁恵がふいに口を開いた。それは、男が腰を突き出しながら、彼女のことを前進させたからであった。 「旦那のとこまで行こうよ」 男は悪びれもせずに言う。 「見せようぜ、中出しするとこ」 興奮しきっている彼の、卑猥な発言も腰の運動も加速して止まらない。 「スンマセーン、旦那さん。奥さん孕ませます!」 相手の耳の裏で囁きながら、彼は浜辺の傘の方をじっと見据え、だらしなく口元を緩ませた。 郁恵の足の裏に、サラサラした砂の中に埋まった何だかわからない固い角や、海藻の付着しているらしいヌルヌルした石などが通過していく。いつしか、彼女の足が海底に接着しうる地点まで戻っていた。 「やめて、もう……!」 必死に足指を地面に突っ張りつつ、郁恵は切に願った。そこには、切羽詰まった恐怖がみなぎっていた。その恐怖は、間もなく実体を伴って眼前に現れる。 「あ! あれ、息子さんじゃないっすか?」 男の指摘に、郁恵は絶句した。男の子が浮き輪と共にこちらに向かって来ていた。 「お母さん」 そう呼びかけながら近づいてくる。紛れもない、郁恵の息子だった。よその家の母親が己の子に近づくなとすら注意していた所へ、また幾人かの人間が好奇の目を注ぐ輪の中へ、郁恵の息子は無邪気に寄って来る。 「じゃあ息子さんに見てもらいましょっか。妊娠するとこ」 男は囁いた。恥知らずな彼は、子供を前にしてもその母親を犯し続ける。 「……クッ!」 郁恵は力を振り絞って抵抗した。息子の存在が、彼女に再び力を与えていた。が、それは悪あがきにすらならなかった。 「お母さん」 少年は、とうとうすぐ傍まで来て止まった。知らない男のペニスが入っている母親の傍まで来て。そうして、物問いた気な表情で、母の後ろの男を見つめる。 「さっきお母さんと仲良くなってさあ――」 強姦魔は優しい笑顔でそれに応えた。さらには、 「一緒に遊ぼっか」 とまで抜けぬけと言った。明るい表情で、子供に親しみを与えるように。しかし真実は海の中、ますます勢いを増した腰振りによって、目の前の少年がかつて産まれ出でてきた膣の内壁を、硬直した肉の突起でグリグリと摩擦してえぐっている。 少年は何も知らない。彼はただ、知らない相手に声をかけられたので、とりあえず母親の顔を見て、彼女の判断を仰いだ。 「イイっすよね、お母さん」 いまだ言葉を失っている母親に、男が迫る。 しかし、彼女は答えない。卑劣な男根は、いよいよ苛烈に股間を暴れ回り、まさしく暴力の様相を呈している。彼女は今、闘いの最中なのだ。 男は、彼女が返答しないのをいいことに、勝手に話を進め、 「じゃあさ、向こうまで競争しよっか?」 と、浜の方を顎で指した。 少年は、再び母の顔を窺う。 母は何も言わなかった。ただ笑顔だけで応えた。もっとも、それは明らかな作り笑顔であった。 平生ならば、それに違和感を覚えたかもしれない息子だ。が、今は特に追及もしなかった。男の勢いに呑まれた観があった。 「イきますよ、お母さん」 勢いのままに、男は郁恵に問うた。 とっさに作り笑顔を凍りつかせる郁恵。それが、スタートを知らせる合図でないことが、明白であったのだ。 「イイ? イくよ?」 男は息子にも問うた。ニコニコしながらだが、一方でちょっとした凄味も混じらせて。 「うん」 少年は頷いた。 その瞬間だった。少年の返答が引き金となって、郁恵にぶち込まれていた暴力的な銃口が、白い火花を吐いていた。 男は勝ち誇って満面の笑みを浮かべる。彼にしてみれば、息子の許諾の下で、その母親に種付けを完了したというわけである。その頬は上気し、興奮の極地といった感じを表していた。 他方、郁恵の頬も上気していた。しかし、その興奮は喜びの故ではなく、緊迫する場面に遭遇したためと形容した方が適当なようであった。 憐れ、彼女の息子は、目の前で母が強姦されたことも、その犯人の策に踊らされて、母への膣内射精の許可を出してしまったことも知らず、早くも浜に向かって泳ぎ出していた。 少し遅れて、男が続く。彼はわざと出遅れて、ギリギリまで郁恵の膣内に精液を搾り出していたのである。 最後に残ったのは郁恵だ。彼女はすぐに動き出さなかった。 そのじっとしている僅かの間に、息子と男は見る見る遠ざかり、一気に波打ち際まで到達してしまう。そうして、そのままその辺りで戯れ始める。犯された女の息子と、彼の母を犯した張本人の男とがだ。 遠目にそれを目の当たりにした郁恵は、女陰に右人差し指を突っ込んで応急的に精液を掻き出しつつ、胸まで水に浸かっていられる限界の所まで急いで歩いていった。 その後、一番近くにいた親戚の子を何とか手招いて、彼にタオルを持ってきてもらい、それで胸を押さえてやっと陸に上がった。もちろん、めくりあげられていた股間の水着を元通りに伸ばすことも忘れてはいない。ただ、いかにも歩きにくそうな足の運びだけは隠しきれなかった。 「エー? 水着流された?」 やっとの思いで帰って来た妻に、呑気な夫は呆れ顔で言った。 妻はそれに詳しい説明をするのももどかしく、イライラしながらシャツを着る。 と、その時だった。 「スイマセン」 呼びかけられて、彼女は振りかえった。そして、目を見張った。 あの男が立っていた。なんと、自ら堂々と訪ねてきたのだ。郁恵が息子のことを連れ戻しに行こうとしていた矢先である。 「これ、水着……落としたんじゃないっすか……?」 男はオレンジ色のビキニを、いかにも遠慮がちの体を装って差しだしていた。 郁恵は何も言えなかった。 すると、 「あ、そうだ、それですよ。どうもありがとう!」 と、代わりに夫が礼を言って、水着を受け取った。人のいい夫はニコニコ顔である。 男も笑顔を返し、さらに振りかえって後ろから来ていた郁恵の息子に手を振ると、自分は海の家の方を向いて去っていった。 彼を見送った夫は、 「あれ、ひょっとしてナンパされた男か?」 と、ちょっとからかう風で訊いた。 郁恵はそれに、 「ううん、違う」 と返事するのがやっとだった。 夫から手渡された水着には、茶色い髪の毛と細かい砂が付着していた。郁恵の股間に、ヒリヒリと激しい痛みが走る。 (おわり) |
『夏のおばさん』 「スイマセン」 ふいに声をかけられて、郁恵はまぶしい空を振り仰いだ。見れば、日に焼けた若者が、こちらに笑いかけている。 「一人っすか」 「よかったら一緒に遊びませんか」 矢継ぎ早に質問を浴びせてくる彼の目的は、一見して明白な、ナンパだ。 「エー、どうしようかなぁ……」 郁恵はまんざらでもなさそうに、にこやかな困り顔を作ってみせた。 それを見て、好感触と受け取った若者は、さらに押しの一手を打つべくパラソルの影に足を踏み入れる。 が、それ以上の交渉は、断念せざるを得なかった。 「オーイ」 「お母さん」 口々に呼びながら駆けてくる者達がある。子どもと大人とが入り交じった一群、どう見ても家族の体である。 それを見た若者、 「あ……失礼しました……」 きまり悪そうに言葉を濁し、たちまち去っていった。 それと入れ違いに、パラソルの下に入ってきたのは夫、 「イヤー、暑い暑い」 と、すっかり日焼けした贅肉をブルブル揺らしながら、バッグの方にしゃがみ込んだ。これからビールでも買いに行こうというのであろう、中から財布をつまみ出す。 「今ねえ、ナンパされちゃった」 彼に向かって、妻は今さっきの出来事を報告する。 「え?」 夫、特に気も無く聞き返す。 「サーファーみたいな男の子。結構イケメンだったなあ……」 妻は、格好のネタとばかりに、嬉々として話を続ける。 これを珍事と判断したのは夫も同様で、彼も少しだけ話に乗った。 「お前みたいな子連れのおばちゃんをか?」 皮肉っぽく口辺を歪めて尋ねる。 「あん、子ども連れとは思わなかったのよ。でもビックリでしょ、ウフフ」 「大方傘で顔まで見えなかったんだろうよ。それか、暑さでおかしくなっちゃったか……」 夫婦は軽口を言いあって、このちょっとしたアクシデントを笑った。 「――お前もそれ脱いで、泳いでこいよ。イケメンがまた寄ってくるぜ」 夫は妻のシャツを指さしてそう言うと、自分は海の家の方へと歩いていった。 「んもう」 妻は、少しく不満そうであったが、続々と戻って来た子どもたちが口々にせがむので、 「はいはい、分かった分かった」 と、一転快活に、軽い足取りで海へと向かった。 シャツを脱げば下はビキニ、なるほど、男の目に留まるのも不思議ではないたっぷりとした盛り上がりが際立っている。この豊満さにしてこの露出ぶり、ナンパは笑い飛ばしてみても、あながち色気がないではないのだ。 ところが、この色気があだになった。海に入って間もなくのこと、ふいの高い波にさらわれて、なんと胸の水着が外れてしまったのである。 「キャッ!」 慌ててこぼれた胸を覆い隠す。だが水着は見当たらない。郁恵は、しかし狼狽するほどのこともなく、愛嬌たっぷり、余裕たっぷりに子ども達に向かって救援を申し出た。 「ねえっ」 一言呼びかけ、次いで水着の捜索を依頼しようとする。が、それより僅かに先んじて、後ろから肩を突っつく者があり、とっさに振りかえった。 「どうも、さっきは」 笑顔の青年。波間からへそより上を出して、こちらに笑いかけている。どうして忘れようか、これなんつい先程声を掛けてきた、ナンパ青年であった。 「あら……」 郁恵は胸元に置いた腕を前よりきつく締めると、ちょっと膝を折って、首まで波の下に隠れた。 「オレも交ぜてもらえませんか」 「え?」 「ボール遊び。なんか楽しそうだなあって」 彼は言った。見ず知らずの青年ながら、郁恵ら家族が興じていた海中バレーに飛び入りで加わりたいという。 郁恵は、時が時だけに困惑した。 「ええっと……」 すると、彼女がためらう中、青年は急にくすくすと笑いだした。 「ひょっとして、何か探し物っすか?」 そう言って、さらに肩を震わせて笑う。 「え、あ、まさか……」 郁恵は不審そうに眉根を寄せた。 果たして、そのまさかだった。青年が海中からスーッと出した手に、オレンジ色の布と紐が握られている。 「あっ!」 郁恵は、思わず眉を上げて叫んだ。 「さっき見つけたんすよ」 彼は手に持ったそれをひらひらと振ってみせる。 郁恵はさすがに決まりが悪くなって、 「あの……ごめん、それ……」 と、ややしょんぼり首を前に出しながら、 「それ、あたし……おばさんの……なの。あの、ありがとう……」 何となく言葉を選び選び言って手を差し出した。 「へえ、おばさ……つうか、お姉さんのっすか」 青年は悪びれもせず、あっけらかんと驚いてみせた。だが、その後の行動は、到底無邪気なものとは言えなかった。 「けど、これデカ過ぎません? こんなあるんすか、お姉さん」 そう言いざま、彼はその布地を自らの胸に当ててみせる。 「ちょ、ちょっと、何するの!」 びっくりして、郁恵はそれを取り上げようと手を伸ばす。が、生憎なことに結果は空振りであった。 「ねえ、さっきのナンパの返事、まだ聞いてないんだけど」 青年は、彼女をかわしながら、地面を蹴って後ろに下がっていく。 「は? 返事?」 強い語調で聞き返す郁恵。相手を追うその指先は、依然空をかすめるばかり。 「このままさあ、一緒に泳ごうよ」 ナンパ男は言った。その顔には満面の笑みが広がっていた。 片や、追う郁恵、このまま行けば、実際そういうことになりかねないと、ちょっと冷静になるべく一瞬立ち止まってみる。その表情は険しい。 既に些かの距離を沖の側へと移動していた。浜の方を振り返ってみる。波打ち際に近い所で、我が子とその従兄弟らが夢中で遊んでいる。現金なもので、向こうから誘っておいて、もう今は母のことなどお構いなしの様子である。その向こうでは夫が、ビールをたらふく飲んで、すっかり昼寝を決め込んでいる。 「んもうっ!」 郁恵は頭にきた様子で、沖の方に向き直りきっとそちらをにらむと、大胆な動作で青年の方へと踊りかかった。 「返しなさいよ!」 今や完全に立腹した彼女である。なり振り構わずに水着に向かって猛進していく。 「おおっと、こっちこっち」 青年は軽快にそれをかわして後ろへ飛んでいく。すっかり彼のペースだ。たまに追跡者が息切れして立ち止まると、 「どうしたの? いらないの、このでっかくて恥ずかしい水着」 と、頭上でオレンジ色をブンブン回して煽りたてる。もう丸っきり幼稚な、例えば、幼馴染の学生などなら絵になりそうな追いかけっこだ。 この陽気で間の抜けた展開に、覚えず郁恵の頬にも少女の頃の面影が蘇りそうになる。が、それを自覚したのかすぐさま、 「もうっ! いい加減にしなさいよ!」 と、苦虫をかみつぶしたような表情に戻る。そうして、必死で彼を追いまわしていく。 ただ、僅かな気の緩みが、時に致命的な失点にもつながるもので。いつしか郁恵の足が砂地から離れるような地点まで来た時、ちょうどそのタイミングで、ようやっと彼女は相手に追いついたのだが……。 思わずギュッとつかんだのは、水着というよりも彼の腕、そして肩。細身のイメージに合わないがっちりとした筋肉だった。 「アーア、つかまっちゃった」 彼は嘆きながら、両手をおもむろにそのまま彼女の背中に回す。 「ちょ、ちょっと、早く返して!」 うすら寒いものが背筋を走ったのか、ふいに身震いし、郁恵は強硬にもがいた。ところが、細い割に腕力のある彼の腕はびくともしない。それどころか、彼女の腕の自由をさらに狭めようとすらしてくる。 「ねえ、もうちょっと遊んでよ」 青年は妖しく囁きながら、郁恵を羽交い絞めに抱き寄せた。ボリュームのある水風船が圧迫されて形を崩す。 「なっ! ちょっ、やめて!」 額から流れた汗が、見開いた目の横を落ちた。郁恵は肘を突っ張って、狼藉者の罠から逃れようともがく。 「ヤベ、チョーかわいいよ、お姉さん。近くで見たら、マジオレ好みだわ」 男は、舐めんばかりに顔を近づけて、安っぽい口説き文句を並べ立てる。 郁恵は顔をそむけ、 「嫌……だ、誰か……!」 と、宙を見上げて助けを求めた。これはもう緊急事態だと早くも判断したらしく。 そんな彼女に、男は冷然と言い放つ。 「無理無理、来ねえよ。てか、誰も見てねえし。人少ねえじゃん? ここ」 確かにその言葉通り、この海水浴場の人口密度は低かった。かつて郁恵と夫は、そのことを喜んだりしたものだったが。 「誰か……!」 それでも諦めず、郁恵は助けを呼ぶ。 「無駄だってば。――けど、そうだね、変に邪魔されてもウザいし、あっちの岩場の方でも行ってみる? 二人っきりでさ」 不埒者はそう言って、不敵に笑った。彼の頭が近づいて、その茶髪が郁恵の頬に触れる。力づくで、本当に実行しそうな勢いであった。 「嫌っ! 嫌っ!」 必死で暴れまわる郁恵。海水と汗で乱れた髪の毛が、額に張り付く。 「いいじゃん、遊ぼうよ! てかさ、もうマジかわいいんだけど。人妻とかさ、子どもいるとか、もう関係ないわ。マジヤベえ」 浮ついた台詞を連発し、ナンパ男は剛柔取り混ぜて目の前の獲物を籠絡する構えである。もっとも、そのいずれもとどめを刺すには至らない。 「離してよっ! なんなの、もう!」 頑なに抵抗を続ける郁恵。その声音にはヒステリックに高い調子が混じっていた。 しかし、男は一向頓着しない。 「アーもうヤバい。チューしていい? チューしよ、チュー」 まるで酒に酔ってでもいるような強引な絡み方をする。ナンパとは飛び込み営業も同様、いささか下品な位食い下がって、己が主張を押し通すのが鉄則であるところ、ある意味、既定通りではあろうが、 「ちょっ、あっ、嫌っ! 嫌って!」 受ける方にすれば不快極まりないこともしばしばであり、現にこの場合も、郁恵は思い切り嫌がって顔を右左へと激しく振り向けた。 男は、しかし、それをものともせずに目的を遂行していく。嫌がる相手の頬に唇を押し付け、さらには舌で耳から首筋を舐めまわす。まるで、蛇のように不気味な絡みつきである。彼は舌先に女体の鳥肌を感じながら、ピチャピチャと唾液の音を立て、ついにはいとも奇抜なことを囁いた。 「ねえ、もうヤッちゃおっか、ここで」 彼にとり本懐の、とどめの一言であった。 それを聞いた瞬間、郁恵の瞳孔はさっと開いた。ビクリと肩には力が入り、体の芯まで硬直する。 「な、何言ってんの? バカじゃないの、あなた……」 切羽詰まった表情で、しまいにはカタカタと顎を震わせながら拒絶する。 「そんなにビビんなくてもいいって」 男は余裕で諭した。優しげですらあった。 「大丈夫、バレないって。二人だけの秘密ってことでさあ」 「い、いい加減にして!」 「いいじゃん! せっかくなんだしさあ、楽しもうよ!」 「やめてっ! 離して!」 二人の議論は平行線をたどる。一瞬はたじろいだ郁恵も、いよいよ最後の力を振り絞って激しい反抗を繰り返す。ここが、ナンパとレイプの分かれ道である。 「今さら何言ってんのさ。あんたも結構期待してたんでしょ?」 男は言いながら、ぐっと下腹部を相手の腹に押し付ける。かつ一方で、背中に回していた手をゆるゆるずらし、下方の双丘にまとわりつかせた。 たまりかねて、郁恵は叫ぶ。 「け、警察……」 それを途中で遮って男はせせら笑う。 「呼べよ。携帯持ってんの?」 彼は手の中の肉を握りしめてその感触を味わうと、そのまま谷間に沿わせて後ろから前へと、指を揃えて潜り込ませていった。 「うわぁ、ケツもチョーたまんねぇ」 さらには、 「お姉さん、Tバックも似合うんじゃない?」 などとからかいながら、ビキニを尻の谷間に無理やり引き寄せて、そこに挟んだりした。両の山が丸出しになる。そうして露出した尻をむんずとつかむ。丸々と膨らんだ尻だ。表面の柔肉に指が食い込んでいく。また、間の水着をズリズリと上下に引っ張って、股間を摩擦したりもする。 「うぅっ……くっ……! やめなさいよ……っ!」 不快感と悔しさに歯がみしつつ、郁恵はのけぞるようにして浜を窺う。頼みの綱は夫であるが……。 「いいじゃん、お姉さん。ひと夏の恋ってことでさあ、思い出作ろうよ。家族とかちょっと忘れてさ、今だけ一人の女に戻るってことで」 男はややトーンを下げ、柔らかな物腰になって相手を誘いにかかった。 「今日だけだぜ? それって悪いことじゃないと思うけどなあ。ちょっとだけ、今だけ気持ちよくなってさ、秘密でさ。ねえ、楽しまないと損だよ」 盛んに“ちょっと”“ちょっと”と言い、とかく人妻の心を揺さぶるべく、ナンパ師は面目躍如とばかりに御託を並べたてる。 しかし、郁恵もさすがに人妻であるからには、にわかには受け入れられようわけもない。 「い、嫌だって、言ってるでしょうっ!」 腕の輪から逃れようと、地面に着かない足をバタバタさせる。 一方のナンパ師、長身の彼は地面に立ってなお悠々と波から首を出している。 「頼むよぉ、お姉さぁん。もうこんななってんの、分かるだろ?」 目尻を下げて生温かい息を吐きながら、彼は尻ごと引き寄せた相手の体に、自身の肉体をこすりつけだした。海水パンツごしにも明らかな固い突起、人妻の柔らかい腹をえぐる。 「ヤバ、もう我慢できない。いいよね、ヤッちゃって。ね? ヤらして。ね?」 彼は息を荒げて言いながら、今度は手前から奥へと、相手の股の間に腕を通し始めた。 「な、何考えて……っ! 嘘、やめてっ!」 郁恵はもちろん抗うが、先程の尻同様、股間の前面も“Tフロント”とばかりに水着を細められ、それを中央の割れ目に集められた挙句に、ズリズリと上下にこすられてしまう。海中にはみ出した陰毛と陰唇、それらが水着の食い込みの筋を境に土手のように脇へと盛り上がる。 「いいよね、このまま入れても。海で濡れてるから入ると思う。てか、それ以前に中から濡れてたりして」 男は、暴れる女をがっしりと抱え込み、揃えた指の数本の間接をクイクイと器用に動かして割れ目をまさぐると、そこに挟まっていた布地を引っ張って横へずらした。 「な、何すんのよ! 嘘っ! 嘘でしょ? 冗談でしょ? こんなとこで。ねえ、お願い!」 郁恵は絶叫した。断末魔を思わせる痛々しさだった。ここが正念場なのだ。これまでの戯れとこれからの過ちは次元が違うのだ。 しかし、その悲愴な叫びも、結局幾千幾万の波のざわめきと、底抜けに青く広がる空に吸い込まれるだけだった。それどころか、発声そのものも遮られてしまう。 男が、必死に声を上げる彼女の、その唇を奪ったからであった。彼女の口が大きく開いた一瞬の隙を見澄ましてのことである。 「ンッ! ンッンッ……!」 パニックに陥る郁恵。首の後ろを押さえつけられ、唇の裏側や前歯の表面を舌で舐めまわされる。 「アイスクリームの味がする」 僅かに開いた隙間から、男は早口で言って、また夢中で接吻を続行した。 郁恵の歯には、アイスクリームのコーンのかけらが付着していた。さっき浜辺で食べたものだ。それが、相手の舌にこそげ取られていく。 「見てたんすよ、さっき、ビーチパラソルの下でアイスクリーム食べてるとこ。あん時から狙ってたんすよね、絶対ヤりてえって」 男はいつの間にか、自身の海水パンツもずり下ろしていた。飛び出した抜き身のものが、郁恵のへその下からなぞって、縮れ毛の群生に早くも合流する。彼はそうしながら、同時に接吻の継続も怠らなかった。 「ング……ッ、ウゥフ……ウグッ……!」 途切れ途切れの呼吸の狭間で、時折嘔吐感を露わにする郁恵。唇の貞操を奪われたという事実が、重圧となって精神をさいなむのであろう。接吻とは、多くの女性にとり貞操に関わる重要な儀式なのである。 「ウッ……グッ……!」 その瞳が暗く濁っていく。 そんな彼女の右膝を、粛々と持ち上げる男。本気で、公然とここで性交を始めるつもりなのである。 「やめ……っ!」 彼との間に両手を突っ張る郁恵。 しかし、それをものともせず、とがった亀の頭は早肉びらの割れ目に先端を隠していた。 (つづく) |
『二回り三回り年下男』 「波雄君? 今日燃えないゴミの日よ。ほら、早く出しなさい!」 ドンドンと戸を叩き、隣近所にも丸聞こえの大声で登志子は呼びかける。このアパートでは見慣れた光景だ。 ちょうどそこへ出てきた隣室の一家の主人も、いつものこととて苦笑しながら、この元気でお節介な大家に挨拶をした。 「おはようございます」 「あっ、おはようございます」 声をかけられて、登志子は途端に爽やかに振り向いた。 「ごめんなさいねえ、朝からやかましくて」 「いえいえ。大変ですね、大家さんも」 主人に続いて現れた妻が言う。さらにその後ろから息子が現れる。それを見た登志子、 「あらあら、みんな揃って出るのね。仲が良くていいわねえ」 と目を細めた。主人と妻は出勤、息子は登校である。皆行先は違うが、一緒に出発するのである。 「ほら、学、大家さんに挨拶して」 母に促されて、息子、 「おはようございます」 と、寝ぼけ眼をこすりこすり言った。 「はい、おはよう。えらいわねえ、早起きで」 登志子は笑顔で応じた。それを受けて父は、 「いや、もうすぐ十代なんだから、しっかりしてもらわないと」 と言って、息子のランドセルに手を乗せる。 「あら、もうそんなに大きくなったの?」 目を丸くする登志子。父はそれを聞くと、 「そうなんですよ。いよいよ十代ですよ」 と笑った。“十代”というフレーズを気に入っているらしい。子供の成長が嬉しい彼であった。 「早いわよねえ、子供の成長って。うちの子も学君ぐらいの頃があったんだけど、もう今じゃすっかりオッサンよ」 登志子はそう言うと、豪快に笑った。二十三歳になった彼女の息子は、大学を卒業後独立し、既に家を出ていた。 ――三人家族は、こうして大家と挨拶を交わした後、それぞれの目的地へ向かうべく出て行った。その幸せそうな後ろ姿を見送ると、再び彼女は扉の方へと向き直る。 「波雄君、起きなさい! 今日予備校は?」 ドンドンと叩く。とうとうその喧噪に耐えかねて、中からドアが開いた。 「うるさいなあ、今日は休みだよ」 現れたのは、浪人生となって今年二年目に入る波雄。寝癖でボサボサの頭、よれよれのトレーナー姿の、いかにも不摂生そうな青年である。 「ゴミは? ……ああ、もうほらほら、またこんなに散らかして」 登志子は、彼が止めるのにもお構いなしに、開いたドアからズカズカと中へ入っていく。部屋の中には、脱ぎっぱなしの下着や、食べ終わったカップラーメンの容器などが散乱していた。彼女はそれらを拾い集めて、手早く選り分けていく。 「うるさいなあ」 波雄はもはや追い出すのを諦めて、ドッカと布団に腰を下ろした。止めても無駄であることは、もう十分思い知らされている彼である。何しろこのお節介な大家は、定期的にうちへ来てはこうやって頼んでもいない片付をしていくのである。 「ご両親に頼まれてるんだから」 その理由をこんな風に彼女は話した。波雄は大学受験のためにこの街へ出てきて、以来一人暮らしで予備校に通う毎日を送っているが、そんな彼の両親が、時々実家から出てきては、登志子に世話を頼んでいくというのだ。彼女はそれを快く引き受けたというわけである。 「もう、しょうがないわねえ」 登志子はぶつぶつ言いながら、散らかっている物をまとめていく。若くして一人暮らしと受験という二つの難問に同時に直面し、精神的にかなり不安定になっているであろう彼だ。それには同情を覚える。下手をすれば社会とすれ違う環境に陥って、孤独から思わぬ病に侵されぬとも限らない。そうならないように、ケアしてやりたいと思う。 それに彼女としては、自身の息子も大学受験をしたという経験から、どうしても他人事とは思われないのである。加えて、息子が独立したことから来る寂しさも多少は作用していた。いつしか、息子と波雄とを重ね合わせていた彼女である。そういう個人的な事情も、世話にいそしむ背景にあった。 「あ、あんまそっちの方はいいよ」 波雄は先ほどよりは幾分トーンダウンしながら、無駄とは知りつつも一応指示してみる。結果は、やはり予想通りであった。とはいえ、相手がこのなりふり構わぬおばさんであったれば、別に殊更に恥ずかしがるようなものもないのであったが。 「まったくもう……」 それでも彼は、いくらかは感じる照れを隠すべくぶっきらぼうに呟いて、顔から頭をぐるりと撫でた。そうして、ぼんやりと目の前の光景を見つめる。膝をつき前かがみになって作業をする登志子の、丸々と大きな尻がこちらの方に突き出されていた。腰からふくらはぎの下までを覆うぴったりと密着した布に、くっきりとパンティラインが浮き出ている。 波雄は、そんな所を見てどうするんだと自嘲しつつ、つと立ってトイレに向かった。 彼女の尻を見たからといって、性的興奮を覚えるはずはない。彼は年上の女性が好きだったが、その対象になりうるのは、女優のように美しく、且つ清楚で儚げな人なのだ。登志子のようにがさつで、どこにでもいるようなおばさんではない。それに、彼女は年がいき過ぎている。自分の母親と同年輩くらいだ。若い彼は、そんな女を抱こうなどとは夢にも思わなかった。 トイレから帰ると、今度はこちら向きに屈みこむ彼女の姿があった。そのゆったりとしたカットソーの襟首から、深い谷間の空洞とベージュ色のブラジャーが覗いている。かなり豊満な乳房である。そして、余りにも無防備な態度だった。 波雄はまたぼんやりと彼女を眺め始めた。登志子は丸い輪郭にぱっちりとした目が特徴の、人懐こそうに見える愛嬌のある顔をしている。波雄は彼女にうざったらしく当たりつつも、心の内では彼女に悪印象を持ってはいなかったが、それも、彼女の人好きのする明るい造作のおかげであった。 ただ、それが彼女の健康的な言動と相まって、彼女を色気から遠ざけていた。これまではそうだった。しかし、こうしてその肉体をまじまじと眺めていると、ふいに彼の中で何かが変わり始めた。彼にしてみれば、魔がさした、という表現が適切であったろう。 事件は唐突に起きた――。 「ちょ、ちょっとどうしたの」 突然後ろから抱きつかれて、登志子は驚いた。ゴツリと、その尻に固いものが当たる。その一事で、あることを察知する彼女。だが、まだ半信半疑だった。 「あ、これ触っちゃまずかった? ごめんごめん、はい、離したから」 そう言って手にしていたシャツを離してみせる。と、相手はそれに関係なしに、彼女の腰のゴムに手をかけてきた。もはや目的は明白になった。登志子はそれを知ったが、そこは年の功である、笑いながら彼をいなした。 「ちょっとちょっと、どうしたの、波雄君」 冗談にして紛らわしてやろうという魂胆だ。彼とて一瞬の気の迷いからこんな挙動に出たのだろう、彼女にはそれが分かる。自分としては、大人の対応で彼を正気に戻してやろうと考えた。 とはいえ、いくら年齢を重ねていても、女がみんなこんな状況を経験しているわけではない。登志子だってそうだ。彼女は日常の延長上で、母親のように彼に対応しようとしたが、一旦行動に出た男の迫力は思いのほか凄まじく、そんな悠長に事を構えてはいられなかった。 「こ、こら、いたずらはやめなさい。お父さん、お母さんに言いつけちゃうわよ」 作戦を変えて、彼の弱点への攻撃を試みる。しかし、何の効果もなかった。その間も絶え間なく、相手は着衣を脱がそうとしてくる。既に下着まで一気にずらされ、尻の谷間までが露出させられていた。 不利を感じた彼女は、しかしまだ大人の寛容さは捨てきれずに、 「こらっ、おばさん怒るわよ!」 と、やや声を荒げて、相手を威嚇しにかかった。しかし、これもやはり効果がなく、時を同じくして、下着を膝頭まで脱がされてしまう。ここまで恥をかかされては、いよいよなりふり構っていられなくなった。 「ちょ、ちょっとやめなさい! 落ち着いて!」 登志子は、前へ逃げようとしたり、手を突っ張って相手をどかそうとしたり、さらに手近にあるものを投げつけようとしたりしたが、それらはことごとく阻止され、ついには彼によって手の自由を奪われてしまった。 波雄は、そうして彼女の尻を引き寄せると、自身のスウェットを手早く腿までずらした。途端に、いきり立った肉棒が飛び出る。自分でもつい先ほどまで想像だにしなかったことだが、彼の陰茎は今、登志子に対して勃起していた。 彼女の視界にも、それは入った。 「や、やめて……!」 初めて恐怖を覚えて、登志子は声を上ずらせた。現実離れした恐怖だった。自分が犯される、考えもしなかったことだ。しかも、この歳になって……、と、彼女はそこから閃いてとっさに叫んだ。 「落ち着いて! こんなおばちゃん相手に何やってるの」 それは、常識的な考えに基づくものだった。普通に考えて、二回り以上も年の離れた相手に欲情するなど、お互いにあり得ないことだと。 しかし、性欲は時として常識を超える。いよいよ登志子の尻に固い突起が当たった。彼女としては、かれこれ久しぶりに感じる固さだった。ピクリと、女の肌が反応する。 「やめなさい。本当に怒るわよ。け、警察呼ぶわよ」 彼女は言った。そしてまだ言葉を続けようとしたが、それ以上は言えなかった。大声を出されぬように、波雄が落ちていた自分の下着を彼女の口に押し当てたからである。その行為は、彼女を絶望と屈辱に追いやった。 「ンングッ! ングゥッ!」 髪を振り乱し、必死で最後の抵抗を試みる登志子。このまるで現実感のないレイプを、とんでもなく恐ろしいことだと自らに思い知らせるように。その口から洩れる声は、断末魔の叫びに似ていた。そして、その声の途切れぬうちだった。 ペニスは入った――。 後はもう成り行き任せ、波雄は彼女の口を押さえながら、全体に覆いかぶさるような格好で、後ろから突きまくる。湿り気の少ない陰裂だったが、肉棒は難なく奥へ到達した。 「ングフゥッ!」 痛みと悲しみと諦めが、登志子の心に交錯する。彼女は眉根を寄せて、波雄の下着を噛みしめた。後ろから突かれるということが、余計に犯されているとの観を倍加して感じさせた。 「やめてぇ、お願い」 不確かな発音ながら、彼女はそう言って相手をなだめようとする。今からでも遅くはない、こんなバカな行為はやめさせようと、彼女は思った。 夫への裏切りという気持ちは不思議となかった。それは、自らの意志による行いではないことから当然ともいえたが、そもそも既に愛の冷え切った相手に対して貞操の観念は希薄であったからである。 それよりもむしろ、息子とダブらせてきた波雄の身の上の方が心配だった。彼女は、こんなことをされてもまだ彼を恨んではいなかった。一つには今でも現実感がないのである。相手が、よく知っている子供だというのがその一番の理由だ。そんな子と自分が性交渉するというのが信じられないのである。 だが、彼女がどう思おうと、彼は男なのである。波雄は、そんな彼を止めようと手を伸ばしたものの失敗してつんのめった彼女にのしかかり、情け容赦なく腰を振り落とした。露出した尻肉に、うなりを上げて股間がぶち当たる。 彼にとって、もはや彼女は世話焼きのがさつなおばさんではなかった。立派な性対象であった。自分の母親と歳の変わらぬことなどどうでもいい、ただ肉欲を満たせさえすればそれでよかった。 「ンッ……ンフゥ……」 彼によって、登志子も無理やりに女にされていった。結婚して四半世紀、女に戻るのは久しぶりだった。久しぶりでも、体は覚えているものだ。意識しようとしまいと、男根に対して受け身をとってしまう。いつしか波雄のそれは、淫汁によって包まれていった。 「ダメ……やめて……」 いい歳をして、こんな年端もいかない子供に恥をかかされて、なんて情けない女だろうと思いながら、その脳裏からはいつしか危機意識の薄らいできたことを、彼女は薄々悟っていた。 波雄は、ほとんどうつ伏せに伸びた格好の彼女に上から重なって、布団や枕で自慰をするがごとく、肉茎を一直線に摩擦し続けた。相手の心情を慮っている余裕はない。これがレイプであることも分かっている。いや、だからこそ、一度踏み切ってしまったからには後戻りできないと思った。 彼は登志子にしがみついて、がむしゃらに腰を振った。いつも強気な熟女も、抑え込めば意外に弱かった。やはり女だった。彼は自分の腕力に優越感を覚え、また大人の女を屈服させられたことに満足を感じていた。彼にとって母親のように振る舞う彼女は、ある種権力側の人間であったのである。 「やめなさい……」 建前が登志子をさいなみ、苦しげに呻かせる。肉欲はある。だが認めるわけにはいかない。しかし、逃げられもしない。彼女はただ、この拷問がすむのを待つしかなかった。幸い、そう長く耐えなければいけないわけではなかった。 射精――。突然に体内に流れ込んでくる熱いエキス。やはり久しぶりの感覚……。 終わった――、そう思うと同時に、涙が頬を伝う。おそらくは、ショックから一気に解放され、肉体の緊張の糸が途切れたためであったろう。登志子は、緩んだ彼の腕の下から出した手で、それを拭った。喪失感はないが、少女のような振る舞いだった。 彼女は身を起こすと、一瞬いつもの習慣でティッシュペーパーを探したが、相手が夫でなかったことにすぐに気づき、恥ずかしさから思いとどまった。注入された精液が熱を帯びて体内をうずかせる。もう一刻も早くこの場から立ち去りたかった。 とりあえず、ずり下げられた下着を元の位置に戻すことにする。この間、二人とも無言だ。登志子は、彼を叱責せねばならないのだろうと思いながらも、何と言っていいか分からなかった。今はただ、心までは彼に奪われたのでないことに満足するほかなかった。 と、その時、まだ下着が尻の下に引っかかっている時に、またしても事件は起きた。 「ああっ!」 思わず叫んだ登志子は、したたかに後頭部を布団に打ち付けた。波雄によって、今度は仰向けに押し倒されたのだった。 「な、何するの。やめなさい!」 声が震える。前以上の恐怖が、彼女を襲っていた。今度こそが本当の凌辱だとは、彼女の本能が叫んだことだった。古びた貞操を汚されただけで終わりではなく、女としての性欲を掘り下げられること、そうして彼のにおいを染み付けられてしまうこと、それこそ決定的に恐ろしいことである。 「は、離して! いい加減にしなさい!」 登志子は抗うも、例によって身動きができない。波雄の体重が両肩にのしかかる。と、彼の唇がこちらのそれに落ちてきた。顔をしかめてそれをかわそうとする、が、無駄なあがきだった。 「ン、ンンッ!」 精一杯つむった口に、波雄の口元が密着する。兄弟と交わすような、背徳的な接吻だった。味は無い。その感想そのままに、若さに対する引け目と彼の行動に対する疑問がわき上がる。 波雄とて、つい先刻まで女の数にすら入れていなかった相手に口づけをすることになろうとは、ついぞ考えもしなかったことだ。しかし、実際に接してみると、顎に触れる産毛といい、ギュッと閉じた瞼の皺といい、その一つ一つの印象が、完全に女であった。彼は舌を尖らせて、彼女の唇をなぞった。紅は引かれていなかった。 「ンンン……ッ!」 登志子は両手を握りしめて、今や真に犯されている自分を自覚していた。体のみならず、心まで侵食されていく自分を。相手はオスの本能として、自分をメスに仕立てた上に、この身を支配しようとしているのだ。彼は知ろうまいが、自分には分かる。あまつさえ久しぶりの接吻が、彼女を焦燥と混乱に導いていった。 弱気になった彼女は、とうとう年輩者としての威厳を放棄し、最後の懐柔策に出た。 「誰にも言わないから、だからもう、やめて、ね?」 しかし、それを言い終わらぬうちに、開いた口の隙間から舌と唇が侵入してくる。半ば予想通りの、当然ともいえる結果だった。そして、それと相前後して、当然のように再突入してくるペニス――。 「ヒグッ!」 登志子は肩をいからせてのけぞった。 * どれほどの時間が経ったのか、今朝まとめたごみ袋に赤い日差しが当たって、暗く翳った部屋に影を伸ばしている。その影の横にこれまた黒い影。ただし、こちらは大きく揺らいでいる。そして、それが揺れるたびに、ごみ袋が微動する。 「ウッ、ウッ――」 室内に響くは女、いな、獣の啼き声。影の動くごとに啼いている。 「ウッ、ン、ンァガハアァ……」 時折大きく息を吐いて、顎を震わせる。恍惚と絶頂を味わっている証だ。震えているのは顎ばかりではない。大腿部などは、さっきから震えっぱなしである。それは、セックスが長時間に及んだためばかりではなかった。かれこれ二発目の射精時には既に震え始めていた。下腹部なぞは痙攣しっぱなしだ。柔らかい肉がプルプルとしている。 経験は十分にあったはずなのに、久しぶりだということは、まして活気に満ちた相手と行うということは、想像以上に負担のかかるものだった。はっきり言って、これは半世紀近く生きてきた中で、初めて知ったセックスだった。 波雄も波雄で、初めて知る快楽だった。今まで見落としてきた熟女の肉が、これほどに具合のいいものだとは知らなかった。三度目の挿入に入ってからというもの、彼の欲求は止まらなかった。完全にアニマルと化して腰を振り続けていた。 熟女の肌は緩い。その緩んだ皮に覆われた腿の合い間に割って入り、これを押さえつけ、ゴシゴシと肉竿で突いてやると、体中の柔肉がタプンタプンと揺れるのだ。ことに乳肉が圧巻で、瞬間的には鎖骨やへそまで覆いつくすほどに上下運動した。 登志子はいつしか全裸にひん剥かれていた。豊かな乳房は両脇へと滑り落ち、乳輪も楕円に広がって、彼女の年輪を最もだらしない形で説明していた。波雄は、それらをギュウギュウ揉んで手形をつけ、自らの足跡を刻印していった。 足跡は、無論それだけにとどまらない。何と言っても極め付きは、彼女の女性自身である。散々種を植え付けられて、誰がその主人であるかを教え込まされていた。今しも彼が遠のくと、ドップリと溜まった白濁汁が、淫肉の盛り上がりからはみ出てきた。明らかに容量オーバーである。 「ンンッ、ンー、ンフゥ……」 はめ込まれていたものが外れても、すぐには呼吸が整わない。もうずっとこんな調子だ。そうして落ち着かない内に、またはめ込まれてしまうのである。それを繰り返してきた。 外からは、近所を通る子供の声が聞こえる。学校から帰って来たというより、一旦帰宅した後遊びに行って、そこから帰ってきたという頃合だろう。もうそんな時間だ。隣室の学も、ぼちぼち帰ってきたのではないだろうか。 ようやく登志子は解放された。背中をヒクヒクとバウンドさせながら、ぐったりと全身を横たえる彼女。動けない。ただ、その身には深い満足があった。久々にメスとしての務めを果たせたことへの満足だ。 しばらくして、やっと右に寝返りをうつ。本当は起き直ろうと肘をついたのだったが無理だった。乳房をはじめとした柔肉が、右の方へトロリと流れ落ちる。重なった腿の間から、白濁液が、ブブッと卑猥な音を立ててこぼれ出る。転がされ放置されたその姿は、まさに犯された女の哀愁を漂わせていた。 事後の女は惨めだ。男本位の性処理に付き合わされていながら、後処理は自分で引き受けなければならない。既に凌辱された後とあっては、取り返しがつかない。登志子は、もはや自分の物とも感じられない股間辺りを手で囲いながら、衣服のありかを探った。 腰が抜けたようになり力も入らないことが、余計にその境遇を惨めにした。彼女は、波雄のお節介な介護なしには、服を着るのもままならなかった。プライドの傷つくことであり、断りたかったが、もはやそんなバイタリティーは残っていなかった。彼女は、なぜか上下の下着を取り去ってしまう彼の理不尽な補助を受け、あれよと言う間に玄関へと送りだされた。 「また来てよ、おばさん。それとも、泊まっていく?」 冗談とも本気ともつかない顔で、波雄が言った。 登志子は無言で首を振り、そのどちらをも拒否する。今できる最大限の意志表示だった。すると、その口をまたしても彼に奪われる。彼女に抵抗の余地はなかった。今日から誰が主人であるか、その身は嫌というほど思い知らされていた。 結局玄関先でもとどめの種付けをされて、登志子はふらふらになって帰宅した。 * 強姦された女は自己嫌悪に陥ることが多いが、彼女も例外ではなく、非難の矛先は波雄ではなく自分に向かうのだった。彼への慈しみを捨てきれないこともあり、また、確実に性的満足を得てしまったこともあり……。 結局彼女が出した行動方針としては、今までどおりに快活に振る舞い、それでいて無防備になり過ぎぬよう、女として最低限度の身だしなみを整えようということであった。自分に隙があったから、波雄が変な気を起したのだと、彼女は反省していた。加えて、それでなければ、自分のような年増に本気になるわけがないとも考えていた。 あの日以来、さすがに彼の家へは足が遠のいた。が、大家と賃借人という関係上、日頃から顔を合わせないわけにはいかない。ただでさえ、周囲の掃除などこまめに働き回っている登志子なのである。 だから、過ちは重ねずにいられない運命だった。登志子は傍目に、以前と変わらぬ体を装っていたが、波雄は違った。あからさまに卑猥な視線を送ってきた。そして、隙あらば実際に挑みかかってきた。 まだ誰か同伴者がいる場合はいい。彼も大人しくしている。だが、一たび一人きりになるや、彼は屋外でもお構いなしに彼女を羽交い絞めにしてきた。現に、外で犯されたこともある。外階段の裏側で、壁に手をつかされ、後ろから……。 そういう時、彼女は声を上げられなかった。普段の大声にも似ぬ体たらくである。それは、一種のトラウマのせいでもあり、他方、己の外聞や、さらにはいまだ相手への思いやりなども気にかかっていたからである。しかしながら、やはり誰かに見られるとまずいということで、大抵は彼の家へと連れ込まれる形でまぐわった。 そんな気も知らず、彼は時に非道なことをする。 「あら、あそこのおうちって、波雄君ちでしょう? やだ見て、ブラジャー干してあるわよ。カノジョかしら? それともお母さん来てらっしゃるのかしらねえ。それにしても、大きなブラジャーねえ」 近所の主婦が指をさして言った。見れば、ベージュ色の上下の下着が、物干しざおにぶら下がっている。一階にある彼の家なので、見間違うはずもない。それは、登志子のものだ。彼女は真っ青になって、早々にその場を辞すと、波雄の家へ向かった。そして、抜き身の男根をおっ立てて待ち構えていた彼に、案の定犯された。そんなこともあった。 波雄は、登志子の予期に反して、本気だった。少なくとも、彼女の肉体に対しては、本気で欲情していた。たとえ彼女がつつましやかないでたちをしようとも、彼の願望は減退することがなかった。 そんな彼にほだされて、登志子も次第にこの不倫にはまっていった。既に、セカンド・レイプの時点でその兆候は顕著に現れていた。本気で求められ、本気の固さで貫かれるセックス。ついぞ御無沙汰だったものだ。あまつさえ、そのにおいをマーキングされてしまった彼女だ。女として、それは素通りできない。 女は、体を重ねるたびに情が移る。登志子も本能でそれに気づいていた。だからこそ、恐くもあった。いい大人になって、後戻りのできない痴情に溺れることは、理性にとって自殺行為なのである。 「もう許して。もうこれっきりにして」 口では何度もそう言った。だが、蜜壷からは淫汁が漏れて、折角の強がりを打ち消した。 夫に見向きもされなくなった性器。だが使用期限はまだ切れていない。それを、夫の知らぬ間に、二回り以上も年下の男に、彼用にかたどりされていく。そこにある背徳的な悦びを、いつしか彼女は覚えた。 「言うとおりにするから、乱暴にしないで」 いかにも観念したように言って、赤ん坊のように手を肩の横辺りに置いてグーパーし、股を開いて受け入れ体勢を取るようになる彼女。その後は、甘い声で啼くようになる。 女の声は、段階的に変化する。男根を入れられても、初めの頃は自分を守って、控え目に声を上げる。演技の混じることもある。いわば、女性のたしなみといった声だ。次いで、陶酔が始まると、今度は秘めていた淫性が現れて女の叫びを上げるようになる。そして最後に出すのがメスの声。 「アガァーッ、アグ、アグァゥァゥアー……!」 獣の啼き声と言ってもよい。オスの種付けを受け、本能から悦びむせぶのだ。個人差はあるが、ある程度の年齢を重ねた者の方が、ここへの到達は早くなる。 登志子の啼き声は、いつも獣のそれだ。心底堪え切れなくなって、自分を見失ってしまうのである。よく母親代わりなどと言えたものだったと我ながら思う。息子より年下のペニスと子作りして、メスの悦びを謳ってしまうのだ。 そうして、満たされた気持ちと恥ずかしい気持ちを抱えて、頬を火照らせながら彼の家を後にするのである。しまいには、自ら訪問するようにもなった。いわば、抱かれに来るのである。大抵は、惣菜などを差し入れに来たという体だった。 二人は互いに慣れてくると、肉体関係以外のつながりももつようになった。以前にも増して会話を交わすようになり、二人は親密の度を加えていった。不思議な関係だった。 波雄は、彼女を女として見ていた。が、同世代の恋人とは違い、仮に傷つけたとしてもかまわないというような、少々雑に扱ってもいいと思う相手だった。そこにはある種の甘えもあったが、やはり体が目当てだったということである。 一方、登志子の方には思いやりがあったが、彼女とて認めたくはなかったものの、自分を満足させてくれるのが彼の若さであるとの事実からは、どうしても目をそむけられなかった。どんなに男と女で対等に向き合おうとも、やはり年齢の壁はどこまでも付いて回るのだった。 とはいえ、奇跡的なバランスながら何とかそれに慣れていった登志子だった、が、まさかこれ以上の壁に立ち向かうことになろうとは、さすがに想像しなかった。 <後編へつづく> |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後八時八分 (うそでしょ!?) 倫子は絶句した。固いものが、彼女の股間に当たる。 (うそよね?) 故意ではないと思いたかった。が、依然として固いものは的をはずれない。少なくとも、彼の肉茎はいまだ勃起を維持している! 肇の顔を見る。彼は下を向いており、その両手は湯の中にあった。 倫子の頭に、非常警報がけたたましく鳴り響く。しかし、それでもまだ彼女は、取り越し苦労を信じていた。 (まさか……ね。子供の前だし……) この一瞬のためらいが明暗を分けた。 ズルリ――。 入った! 入りだすと一気だった。 湯の中で、肇の手が彼女の腰を引き寄せる。 (え……? 犯された……? わたし……) 衝撃的な事実が、倫子の意識を貫く。肇の肉棒が彼女の体を貫くのと同時に。 (うそ、でしょ? うそ……、知り合いの子に……わたし……) 肉棒は、もう膣の中ほどを越した辺りまで入っている。と、その張り出し部分が上壁を通過する瞬間、 「ン……ハァァ……!」 倫子は思わず熱のこもったため息を吐いた。もちろん、今さら温泉に浸かった気持ちよさを噛み締めているわけではない。ただ条件反射として、彼女の体はいつも通り男へ対応しようとしてしまったのである。 だが、理性はまだ確かだった。 (なんとか……なんとかしないと……) 彼女は眉根を寄せた。そして、女性らしく現実的な案を頭に巡らせていた。 (まだ入れられただけだから……すぐにやめさせれば……) だが、現実は時々刻々と進展していく。 「ンァッ!」 急に顎を突きあげる倫子。肉棒が、膣壁を強くえぐったのだ。 肇は静かに股間を動かしだしていた。 (ほんとに……ほんとに、なの?) 倫子は、肇の顔をうかがう。 と、その時、脇にいた翔太の顔が視界に入った。彼は、彼女を見つめていた。不思議そうな面持ちで。 「あっ、違うのよ!」 反射的に倫子は言っていた。 その言葉に、怪訝そうにする翔太。それに続き、修次までもが顔を上げ倫子を見だした。 その間も、肇の股間は微動し続けている。かろうじて湯に波は立っていないが、他の二人がいつ気づかないとも限らない。 倫子としては当然怒るべき場面なのだが、幼い兄弟の視線を思うと、どうしてもそれに踏み切れなかった。 「お、おばちゃん、のぼせちゃったみたい……」 とっさに思いついて言った。 「うん、そう……のぼせちゃって……ね、もう上がろう? ね?」 最後の「ね?」は、肇に向けられたものである。彼女としては、精いっぱいの策だった。 この策は、一面では効果があった。幼い兄弟たちがあっさりとこの提案を受け入れたのである。彼らとしても、もうぼちぼちこの戯れに飽きだしていたのであった。そこが、大人と子供の違いであろう。二人はまだ幼な過ぎたのだ。 一方、子供でなかったのが肇である。彼は、翔太と修次が各々湯から上がって、競い合うように脱衣所へ走り出すのをしり目に、なおもしつこく倫子の腿を引き寄せたのだ。 「ヒッ!」 ズルッと尻を前方に滑らされると、そこへグッと前より深く肉棒が入ってき、倫子は息を飲んだ。 (まだこの子……!) 肇の行動に驚く倫子。 (しゃ、しゃれになんない……!) バシャバシャと水音が高くなり、水面が激しく波打ちだす。肇がこのわずかな残り時間で、一気に最後までやり遂げようとしていることは明らかだった。彼は額に汗を浮かべ、その表情たるや真剣そのものだ。 (やめなさい……!) 倫子は手を彼の腹に突っ張ったが、その腕に力は入りきらなかった。 兄弟たちの歓声とともに、後ろで脱衣所の仕切り戸が自動で閉まる。と同時に、 「ヒッ……アー……!」 倫子の口から声が漏れ出る。脳裏には、さっき握った、あのペニスの像が浮かんでいた。 (あれが……あれがっ……!) 自然と膣が力む、思い描いたペニスの輪郭を、その襞で確認しようとするかのように。それは性的に成熟した女のサガだった。 (ダメよ……この子と、こんな……!) 理性とは裏腹に、彼女の足はさりげなく肇の腿に回りついていく。 バシャンバシャンバシャン……! 湯船全体が波打つ。その波紋の中心には、淵に背中を押しつけられる熟女とそれに覆いかぶさる少年。もはやあからさまにセックスだった。 (ああっ、ダメッ! ダメッ!) 熟女の性欲は急速に燃え上がり、それにつれ肉体の熱は急騰していく。こすれ合う肉の周りの湯は、いつしかトロリとした液体に変わっていった。 (もしこのままキスされたら……わたし……わたし……) 倫子は心につぶやいた。 だが若い彼は、そこまで気が回らない。今の彼にしてみれば、彼女にペニスをぶち込めているだけで満足なのである。 肉欲に火が付いた倫子は、それに少しの物足りなさを感じつつも、肇の過激な腰振りの中にしっかりと快楽を見出そうと努める。どうせ許されざる行為に踏み切ったからには、いっそとことんやり尽くしてしまおうとするかのように。 とはいえ、この限られた状況の中、しかも肇の一方的に欲望をぶつけるだけの拙い性技では、貪欲な彼女の肉体を鎮め尽くすことはできなかった。高速でありながら、しかし何のメリハリもないピストン運動の途中、終幕は突然に訪れた。 (いいっ……アッ……あっ? ああっ!?) 倫子が戸惑ったのも無理はない。それは何の前触れもなかったのだ。ただ気がついた時には、湯の中でも感じられる熱いほとばしりが、体内にどっと流れ込んでいた。 (いやだ……) 膣内に射精されること――。完全にその懸念を失念していた。というより、肇の自失が唐突過ぎて、彼女には心構えをする暇がなかったのだ。 そのことは、別な不満をも彼女に感じさせていた。勝手に体に射精されるのももってのほかだが、ここまで許したのに性的な満足を得られなかったことがそれである。彼女の性感には、まだまだ伸びしろがあったのだ。 肇は、ハアハアと呼吸を荒げながらも、すぐに肉竿を抜き去った。そしてそのまま浴場からも立ち去っていった。一度も倫子と目を合わせることなく、また終始無言で。 倫子はそれに構うこともなく、しばらくぼおっと天井を見ていた。これから昇りつめようというさ中に肉体を放り出され、しかし男に終わられてしまってはもうどうにもならないことを経験上よくわきまえていた彼女は、やはりあきらめて日常に帰るしかないのだった。 (シャワーしよ……) 憮然とした気持ちで、倫子は思った。とりあえず今の状態の股間では、彼女の日常に帰れない。 倫子はそちらに向かうべく、浴槽のへりに手をかけた。 ――と、それと同時だった。サウナ室のドアが開いたのは……。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53 目次へ |
| ホーム |
|