おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
お知らせ
「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
有紀はまた例の運搬方法で輸送されていく。後ろに矢板、前に比嘉。二穴結合でガッチリ固定され、盤石の態勢で廊下から玄関へと至る。当たり前に全裸だ。外へ出る時も、靴さえ履かせてもらえない。一方の男達は服を着る。ただ一部、慶介、浩樹、竜二のトリオを除いて。開放的な気分の三人は屋外へ出ても素っ裸で、役割を終えた前任者達から引き継ぎ、浩樹が膣、慶介が尻に入れて大空の下豪快に挟み撃ちした。 「ア~最高!」 慶介の歓喜が澄み切った空気に吸い込まれていく。同時に鳴りやまない肉ひだのさざめきもまた静かな木立ちの揺らめきに消えた。振り仰げば朝日を浴びてきらめく建物の窓々。その一つにはかの夫もいようが見られたらアウトだ。開けたロータリーに集団が屯し、女一人を公然と輪姦である。 終わって服を着る二人に代わって、男でただ一人まだ裸の竜二、しかし恥ずかしがりもせず膣に組み付く。向かい合う相方は七里川。 「いやあ、今日はよく働いたよ」 重労働でもこなしたかのように言う。実は先程来帰宅する者が出る度に運転手達は交代で車を出していたのであり、その点で確かに働いてはいた。もっとも、彼の意味するところは別にあるのだったが。とまれ、これから最後の奉仕が残っている。 「チェッ、もう終わりか~」 全行程を終え、あれだけヤッたのにまだ足りたい風で後ろ髪を引かれている竜二と友人二人を乗せて、七里川のタクシーが発車していった。これが最終第一便。歩いて下りられない距離でもないがサービスである。松倉と浪岡もそのつもりで待機中だ。 「これが最後だよ」 鈴木に念を押されて、祥吾と雅也が周囲の顔色を窺った。若さ故どうしてもヤりたい。そのことは重々承知で大人達は彼らに次を促した。残った大人は、残り時間が少ない事も勘案し、余裕の精神で遠慮を決めている。ただ一人、バス送迎を終えた薮塚だけがいきり立っていたが。 寛容に勧められた二人は、しかしか細い体躯故に立位でサンドイッチできず、やむなく一人ひとり順番に済ませることになった。いよいよ最終種目リレー。バトンは友人母の産道だ。地べたに背中を付かせるのは忍びなく、必然的に後背位を選んでのスタート。それも女が膝を地につかんばかりに腰を下げ、バスの下部にやっと掴まる体勢での合体だ。裸足が冷たいアスファルトを踏みしめ、息子の同級生の最後の頑張りに耐える。 まずは祥吾、続いて雅也。万感の思いを込めて腰を繰り出す。いびられた過去などもう遠い昔。こうやってただ気持ちよくしてもらうだけの肉の穴だ。今となってはモンスターペアレンツや問題児の影さえちらつかない。彼らは幸福に包まれながら種付けした。 「もう満足した?」 鈴木に訊かれて、少年達ははにかみながら素直に頷いた。 他方、当然のように次を始めようと進み出たのが薮塚だ。助平と呑兵衛は元来往生際が悪い。 「おい、いい加減にしないか」 袋田にたしなめられるも両手を合わせて頼み込み、半ば強引にぶち込んだ。バスの側面に手をつかせ、足を広げさせて後ろから太い物をガシガシと突っ込む。彼の腰のグラインドのせいで車体がゆさゆさと揺れた。 それを背景に祥吾と雅也は浪岡の、鎌先は松倉の車に乗って帰っていった。矢板は自分の店に戻る。袋田は鈴木らに申し訳なさそうに愛想笑いしていたが、同僚が望みをかなえて戻ってくるとこれを蹴飛ばして叱責した。 「さあ奥さん、帰りますよ」 鈴木が声を掛けた時、有紀はタイヤに額をもたせてうずくまっていた。彼女を使い終わった薮塚がそのまま手を放して放置したからである。比嘉がこれに肩を貸して起き上がらせ運ぶ。乗るのは彼女の家のワゴン車である。彼が裸体の女を後部座席に積み込む頃、運転席の鈴木がエンジンを掛けた。袋田と薮塚が去り行く車を見送る。 それと入れ違いで一台の黒塗りの車が入ってきて玄関に横付けした。金光を迎えにきた車だった。 「先生はまだ?」 車から出てきたスーツ姿の男は開口一番尋ねる。 「さあ……まだお休みかと思いますよ」 袋田は答えたが男は一瞥もくれず、黙って携帯電話を操作しだした。 「ああ、もしもし先生、着きました」 * 有紀を乗せたワゴン車は自宅に到着した。外で待ち構えていた島田がもどかしそうに駆け寄る。 「遅いじゃないか」 そうして三人で有紀を助け下ろすと彼女の自宅へと運び込む。途中門扉の脇に裸の佳彦が座っていて一団を睨んだ。この少年はとうとう一晩中素っ裸で屋外にいたのである。男らは荷物――かつてこの家の女主人だった物を、屋内に入って一番近くの部屋にあったソファーへ投げ出した。 有紀は呆然と天井を見ている。満たされた疲労と反比例な空虚が体内に渦巻いてクラクラする。帰宅したのは分かっているが思考は随分と遅れてくるようだ。いざ何から手をつけて良いか判断がつかない。 「ぼ、ぼく、お母さんを頼んだよ」 後から付いてきていた佳彦に対し、手持無沙汰だった鈴木がとりあえず声を掛けた。当然のように相手は無視である。そして彼は真っ直ぐに母のもとへ歩んでいった。大人達の胸には、 「この子に任せて大丈夫か?」 という不安が一斉によぎったが、これ以上打つ手はなかった。三人はそそくさと退散した。 〈つづく〉 〈現在の位置関係〉 ▼自宅 有紀、佳彦、清美、瑞穂 ▼大輪館 袋田、藪塚、金光、枝野 ▼電車移動 前原 ▼帰宅 恵太、優斗、豊、聡、翼、村本、猪瀬、舛添、島田、服部、花村、羽根沢、森岳、沼尻、高橋、小林、俊之、克弘、慶介、浩樹、竜二、七里川、祥吾、雅也、浪岡、鎌先、松倉、矢板、鈴木、比嘉 〈輪姦記録〉 挿入男根:37本 射精回数:170発 (膣86・口23・尻44・乳7・顔8・髪1・外1) |
* 「ねえ、いつまでやるつもり?」 疲れ切った気だるい調子で、有紀がボソリと呟いた。今しがた慶介から膣内射精を受け、続けざまに次の相手である隣人の上へ移動しながらだ。 「だって、起っちゃうんだもん」 浩樹はそううそぶいて、女の腰を手繰り寄せた。向かい合わせになって、腿の上に相手の尻を乗せる。もちろん、凹凸を噛み合わせて。 男根はなんの障害もなく、まるで入っているのが普通とばかり平然と、いかにもスムーズに恥穴へ侵入する。重力で体が落ちるのに任せて、尻の着地と一緒のタイミングでストンと。人によっては、こんな簡単に合体出来るのが不思議に見えるだろう。これが熟れ女、しかも輪姦された女の実力である。 有紀は背もたれに腕を突っ張って、なんとか体を支えた。そうしていないと車内の揺れで転がってしまいそうだからだ。今更命が惜しいではないが、自衛本能は失われていないようで。 「(まったく……)」 彼女は、そういう神経を忌々しく感じ、自分の殻に逃げ込むべく目を閉じた。しかし、思い出されるのは今朝からの地獄絵図ばかり。不良から、隣人から、子 供の担任教師から、息子の友人らから、そして今日初めて会った他人から、何度も何度も強 姦され、大勢の前で辱めを受け、恋人からは見放され、挙句、我が子に……! 「(イヤッ!)」 ハッとして、目を見開く。途端に、後続車であるバスのライトが激しく目を射った。有紀は微かに目を細めて、そちらから目を逸らす。無論、今跨っている相手の顔も見ない。彼女は少し窮屈な姿勢で、窓の外へと視線を逃がした。 息子に醜態を見られたことには、やはりショックを受けた。もう今までの生活には戻れない、そのことを確約させられたようで。彼は知ってしまったのである、母がただの女であり、情けなくも男達から凌辱されてしまったことを。そうなった今、もはやこれまでのような歴然たる力関係を保持することは出来ないだろう。軽蔑すら避けられない。彼女はずっと、自分が子 供達から誇りに思われていると、手放しで信じて止まなかったのである。 綺麗な母、それは子 供にとって憧れであり、誇りであるに違いない。ましてや有紀は、日の大半を費やして美貌を維持しているのである。身に着けているのは高級品ばかりだし、海外の最新トレンドだって常に頭に入れて、セレブリティらしい振る舞いに気を配っている。だから、付き合う人間は皆ハイソサエティだし、地域だの学校だの下賤な身分の者など鼻であしらって然るべきなのだ。羨望の眼差しを向けるしかない彼らのこと、無論こちらの通らぬ意見などない。強く、美しい母、これを尊敬せずしてなんとする。富と権力を手にした彼女は、紛れもなく成功者なのである。 「なあ、向こう着くまでさ、どっちが何発出せるか競争な」 慶介が浩樹を小突いて言った。それを耳ざとく聞いた服部が、助手席から振り返って笑う。 「若いねえ。そんなすぐ起つ?」 「起つ、起つ。ほら、もう起ってきたし。オレ、発射無制限なんすよ」 そう話す手元に握られたものは、確かに萎れている風ではなかった。 「マジかよ。けど、それって絶対先攻有利じゃん」 浩樹が腰を振り振り、女の背にしがみつきながら異を唱えた。胸板に圧迫されて、間にある肉乳がひしゃげる。その柔らかさが自身の乳首にこすれるのを愉しみつつ、彼はずり下ろした両手で尻を掴み、ぐっと手前に引き寄せた。ゾクゾクする快感が先端へ向け登りつめてくる。もう間もなくだ。 「起たなくなったらパスか、降参な」 そう提案を続ける慶介の言葉は、しかし、浩樹に聞き取られなかった。ちょうどそのタイミングで、この下賤の一員が、成功者の股ぐらへ子種汁を注ぎ込んでいたからである。パックリ開かれた肉尻の谷間、明るみに曝された陰唇はジュクジュクに濡れて、そのめくれ上がった所が、貝の如く芯棒に吸着していた。 「よおし、交代な」 すかさず慶介が言い、早速に慰み女を友人から外して引き寄せる。竿から竿へと渡りゆく、輪姦女は渡り鳥。 「今度はアナルやってみようかなあ」 そう呟いてから、彼はこうも言った。 「しかし、やっぱ狭いわ」 実際、中腰にもなれない車内は、体勢を変えるだけでもひと苦労だった。ファミリー向けワンボックスカーが、カーセックスはおろか、輪姦用に設計されていないことは言うまでもない。 すると、彼は何か閃いたように、前列の大人二人に向けて、ある申し出を行った。 * 「ギャハハ、ヤッてる、ヤッてる」 運転席の藪塚が前を指さして笑う。前の車にぴったりくっついて走るマイクロバス。その広いフロントガラスからは、前方の車体が停車の度にギシギシ揺れているのがよく見えた。しかもご丁寧なことに、前の車は車内灯を煌々と点けているので、中の人間の顔まで確認出来た。 「丸見えだね、あれじゃあ」 運転席の横に陣取る矢板が言った。彼だけではない。バス前方には幾人もの乗客がひしめいて、カーセックスの様子に注視していた。 もし、この辺りが人通りの多い土地であったならば、露出セックスとして多くの人目に触れたであろう。だが、生憎の過疎地域、しかも日が暮れれば、人っ子一人歩いてはいなかった。 「シート倒せばいいのに」 そうすればもっとよく見えるし、広くも使えるのに、と、竜二が唇を尖らせた。本音を言えば、自分も友人達と一緒の車に乗りたかったのだ。 車列は動き、その後すぐまた信号で止まった。十字路の、それも右手前の一画は空き地になっている為、かなり見通しの良い開けた場所である。例によってまた激しく揺れる車体が見られるか、とバスの乗客らは期待した。が、今度は違った。 「おっ、なんだ、出て来たぞ」 藪塚が指さす先で、確かに慶介が降車してきた。その彼によって、有紀も引きずり降ろされる。靴も履いていない、真正の裸姿で。 慶介は、彼女を後ろ向きにして車に両手をつかせると、引き寄せたその臀部をがっしりとつかんで、とうに露わにしている自分の股間をそれへドッキングした。立ったままの後背位である。 「おお、あいつら外でヤり始めたぞ」 藪塚を筆頭に、どよめきの声が上がる。その声が聞こえたわけではないが、慶介がギャラリーに向かってピースサインを作って見せた。激しく腰を振りながらである。夜の路上で、それも車道のど真ん中で人妻が一人、衆人環視の中、肛門にペニスを入れられている図は、彼ら熱狂の中にある者でなければ受け入れられないものだった。朝昼には通学路にもなる道だ。その路上で、犬のように尻穴で交尾する保護者がいるとは、ここを通る誰も想像しないだろう。 「マジかよ」 竜二が益々羨ましそうにつぶやく。そして、もしここで本格的にヤり続けるようであれば、自分も直ちに出て行って加わろうと思った。だが、あくまでも信号待ちの間の座興かもしれず、また降ろしてくれと交渉するのにも躊躇いがあったので、結局動けずにいた。 そんな中、別の角度から事態が動いた。 「あ、ヤベえ、車来たぞ」 すぐに気付いた藪塚が、今度は斜め前を指差す。そこには、右から交差点に進入してきた乗用車があった。それは、本来なら青信号なので通り過ぎるはずだが、なぜか緩々とスピードを落として、辻の手前で路肩に停車した。 「タクシーだな」 矢板が言った。だが、客も待っていない場所で、どうして止まったのかは分からなかった。 一同、ふいに声を潜める。その眼前で、タクシーの窓が開き、中の乗務員が顔を見せた。 「ヤバいんじゃないっすか……」 そう竜二が言いかけた時、それを制して矢板が言った。 「いや、これはひょっとすると……」 そして、運転席の後ろに座って、隙間から前を見ていた袋田に、「な?」と、ある同意を求めた。 「ああ、そうだ。あの人だね」 名前こそ出てこなかったが、その人物は二人の見知った顔だった。彼らだけではない。藪塚も、鎌先も、さらに、羽根沢、森岳、沼尻にも馴染みの顔だった。 「オーイ」 同じく窓を開け、身を乗り出して藪塚が彼を手招きする。と、相手もそれに応じて、車を降り、こちらに向かって歩いてきた。当然に、性交する男女の傍を通る。慶介は明らかに表情を緊張させていたが、今更逃げることも叶わないので、むしろ堂々と合体を続けた。それを遠慮なくジロジロと舐め回すように見ながら、タクシー運転手はバスの横まで来た。 「いやあ、あんた方かい」 目尻を下げ、鼻の下を伸ばしながら、運転手こと浪岡が挨拶する。 「おう、久しぶり」 旧知の者達が、車内から次々と挨拶を返す。その一々を見て、驚いた風を見せながら、 「まあ、あんなことするのは、あんたらぐらいだと思ったよ」 と、豪快に笑った。それから、有紀にまつわる事情を簡単に聞かされ、代わりに浪岡は、“客に呼ばれて向かう途中で、たまたま通りかかっただけだ”と、説明した。 それを聞き、矢板が感心して言う。 「そりゃあ、すごい偶然だな」 「やっぱり、縁があるのかねえ、こういうことには」 浪岡がまたガハハと笑った。そして、いかにも好色な目で有紀の方を見る。それに気付いた藪塚が、気を利かせて聞いた。 「そうだ、ヤッていきます?」 そうして、仲間達を振り返る。 「いいのかい?」 待ってましたと言わんばかり、喜色満面で浪岡が問い返す。それを見た矢板から思わず笑みがこぼれた。 「まだ時間あるんだったら」 「ウーン、客待たしてるからな」 「いいじゃん、サクッとヤッていきな」 逡巡する様子の浪岡を、鎌先が後押しした。他方、仕事に差し支えては気の毒だと、矢板は別の可能性も提案した。 「その後はどうなの。お客さん送った後は」 「うん、別に大丈夫。送るのもそこだから、すぐ済むよ」 そう答えて浪岡は、目的地まで告げた。聞いた一同は、異口同音に驚いた。それは、自分達がこれから行こうとしている場所と同じだったからである。 「ひょっとして電話してきた客って――」 羽根沢が尋ねると、案の定だった。客というのは運動会役員ら、その打ち上げ会場へ迎えにいくのである。電話をしたのは、どうやら鈴木らしかった。 「なんだ、それじゃあ――」 またしてもの偶然に感心しながら、矢板が今後の計画をかいつまんで説明した。その一環として、タクシーが利用されているのであるとも。 納得した様子で、浪岡も目を丸くしながらも肯いている。話は、当然の流れの如く、彼のこの輪姦劇参加についての方向へ転がった。 「いいんじゃない。行き先まで一緒だし」 旧知の面々には、何ら異論はない。続いて、竜二に視線が集まった。 「え、まあ……知り合いなんだったら……」 彼は口ごもるように歯切れ悪く賛意を示した。こういう場面で、行動方針を決定するのは、いつも慶介か浩樹だった。竜二はただ友らに付いていくだけだ。だからこの場合も、特に意見などはなく、どうするのがいいか判断出来なかったのである。 彼の次に確認を求められたのは、比嘉である。もっとも、彼が顧みられた時点で、既に大勢が決していたことは、彼自身よくわきまえていた。 「まあ、見られちゃったわけですしね」 一応理由らしいものを付加してイエスと答える比嘉。鎌先は、彼らが不満を感じているのではと危惧して、両名をまるで慰めるかのように、最後に言い足した。 「使える穴は増えてるしさ、逆に本数は減ってるわけだから、十分愉しめると思うよ。それに、あの人、“慣れてる”から」 そう話しながら、浪岡の方を見る。場に、仲間内特有の親しげな笑いが起こった。それで決まりだった。 「ああ、それと、もう一台呼ばれてるタクシーあるんだけど、松倉さんなのよ」 浪岡が大事なことを言い忘れていたと慌てて付け加える。松倉、それもまた、浪岡同様によく知られた男だった。それで、結局松倉も、後ほど合流することとなった。こうして、輪姦参加者は確実に二人増えることとなったが、それを聞ける位置に居ながら、有紀はただ右から左へと聞き流し、直腸をこする肉茎から劣情の垂れ流し汁が排泄されるのをひたすら待っていた。 〈つづく〉 〈現在の位置関係〉 ▼ワゴンカー車内 有紀、慶介、浩樹、小林、服部 ▼マイクロバス車内 佳彦、前原、比嘉、竜二、祥吾、雅也、藪塚、矢板、袋田、鎌先、羽根沢、森岳、沼尻 ▼タクシー降車 浪岡 ▼タクシー移動中 松倉 ▼打ち上げ会場 金光、島田、鈴木、花村 ▼帰宅 高橋、俊之、克弘、恵太、優斗、豊、聡、翼、清美、瑞穂 〈輪姦記録〉 挿入男根:27本 射精回数:72発 (膣47・口12・尻7・乳4・顔1・外1) |
* 前原は激しく後悔していた。どうして参加を断らなかったんだろうと。そもそもどうしてこの町に来たんだろうと。 「君も出たまえよ」 クライアントはそう言って、自身が参加する為に立ち上がった。それにノコノコついていったのが運のつきだ。 「(俺は何をしているんだ)」 前原は為す術もなく立ち尽くしていた。否、何をすべきかは知っていたが、行動に出なかったのだ。 後から割って入ってきた男が、前の女の股の間に手を入れている。公然と、白日の下で。それをただ漫然と見ていた。女は、しかもかつて惚れた相手である。 さっきちょっと目が合った。彼女の眼は虚ろで、またそこはかとなく暗かった。前原は知っている、その悲哀の訳を。彼はたちまち恐ろしくなって目を伏せた。自分の所為だと思った。だが認めたくもなかった。 男の右腕の動きは、傍目にも不自然だった。小刻みなる上下運動は、貧乏ゆすりとしても異常である。痴漢は誰の目にも明白だ。 「ン……ン……」 咳払いに似せて、時折有紀の苦しそうな吐息が聞こえる。また、わずかに外股になった膝頭がプルプルと震えている。 列が少し進んだ。すると、後方から愚痴をこぼす女の声が聞こえた。 「やだ、この辺なんか濡れてる」 前原も先程踏みしめた地面であり、その状況はよく分かった。運動場の乾いた土が、その辺りだけ水浸しになっていたのだ。そこは、つい今しがたまで有紀が立っていた場所である。 男の動きはいよいよ激しさを増し、彼女は背骨までガクンガクンと痙攣するようであった。そして、そのまま前の者との間を詰めていく。彼女だけではない。後ろの男も、さらにまた前原も、居並ぶ人間は皆間を詰め、すっかり密着するようになった。そうして腰の辺りに縄を握る。この縄の輪の中に人間がすし詰めになって走るのが競技だ。スタートは間もなくだった。 痴漢の背中から振動が伝わる。姦淫魔であり、一応のこと恋敵でもある間男だ。その背中に密着し、その体温、鼓動、そんなものを直に感じるとは不快極まりない。なんという屈辱的拷問か。 彼はいたたまれなかった。今ほど善意の第三者を羨ましく感じたことはない。もしも自分に何ら後ろ暗い所なかりせば、一思いにこの強制猥褻の罪を糾弾できたものを。げに恐ろしきは連座である。この恐怖の集団婦女暴行事件に、自分も関係者、就中加害者として引っ張られることだ。金光一家には同情するが、所詮保身第一の彼である。 痴漢は、そんな彼をせせら笑うかのように、露骨に愛人の股をまさぐり続ける。心なしか両脇の男達がそれとなく盾になっているようにも感じられた。係員らしく各ムカデ列の間に立つ彼らだが、どうも先程からこの周囲を離れない。列が進行した時にもだ。前原は彼らの顔を知らないが、輪姦があったのは知っている。だから、彼らもその一味ではないかと疑った。 * 鈴木は気が気でなかった。同僚の無茶には、ほとほと呆れ返ったものだ。もし自分が駆け付けてカバーしなかったら、横の列からは丸見えだった。いくら人口密度の極めて高い所で、人々の視線も下半身に届きづらいとはいえ、勿論全く見えないわけではない。 「ウゥック……ンゥ……」 人妻の喉を鳴らすのが聞こえる。情を知る者にとっては卑猥極まる鳴き声だ。鈴木は横目でそちらを盗み見る。すると、見るも憐れに汗だくの彼女が、明後日の方向を見つめて耐えに耐えていた。 「(いい気なもんだよ)」 スリルの中でよろしくやっている男女に対して、彼はやっかみ半分眉をひそめた。 もとより高橋にしてみれば、この女の醜態を世人に曝して構わないとの考えだったかもしれないが、鈴木には迷惑な話だ。高橋にしたって困るだろうに、まして本大会には妻も子も出ていると聞くのに、全く解せない。この輪姦劇に関わって以来の彼の破れかぶれには首をかしげるものがあった。いずれにせよ、鈴木にはこうして仲間をかばい、さりげなく遮蔽役を引き受けるしかなかった。 それは島田も同様だ。もしも事前に聞いていたら阻止していたところだが、既に始まってしまったものはしょうがない。周囲の目もあり注意もしにくい。仕方なしに鈴木と同じ役を担い、彼と反対側に立った。何しろ全員参加の競技であり、他の者は皆各列に入っている。自由に動けるのは役員の自分達だけなのだ。 隣の列後方からこちらに目配せを送っている者がいる。花村だ。少し離れた所からは慶介が、やはりこちらを見てにやけているのが見えた。その一々へ、島田は微かに首を振って応じる。 「(バレたら一大事だというのに)」 彼は顔をしかめた。緊張感のない連中は、既に高橋に気付き、その挙動を窺って愉しんでいるのだ。やはり間合いを置いた所からでも、よく観察すれば分かることは分かるのである。 高橋は仲間の懸念と期待をよそに、容赦なく有紀の秘穴をかき回した。土手も内壁も隈なく濡れそぼった所へ、小指を加えた四指でグチャグチャとやる。恥肉は蕩けそうな程に柔らかさを増し、自堕落な発情に拍車をかけた。 「ハ、ウッ……!」 有紀は思わず大きく息を飲み、そして口を押えた。二回目の潮吹きだった。ボタボタボタ、と水しぶきが地面を濡らす。それは、島田のズボンの裾にもかかった。彼は苦い顔をして、高橋へ自重を促したが、彼はそちらを見もせずにヘラヘラしていた。 ただ、この問題児の直後が前原なのは僥倖だった。そもそもが今日の件のきっかけとなった彼であったれば、無闇に騒ぎ立てはしないだろうというのが島田の明察である。 列の並び順は原則男女が交互であるが、高橋が割って入った為に男と男が続くことになっている。従って本隊は、先頭金光から順に、清美、佳彦、有紀、高橋、前原となっており、前原の後ろは無辜の女である。この女との間で壁の役割を果たすのが前原というわけだ。彼の責任は重かった。 * 罪を背負うとは、かくも重いものか。前原は痛感した。まるで刑罰を受けているようである。何が悲しくて愛人が辱められるのをかばわなければならぬのか。さりとて罪は暴けない。己もまた同じ穴のムジナだ。 彼は必死で肩をいからせた。また体全体を硬直させて直立し、わずかなりとも後ろへ振動が伝わらぬように努めた。それが無駄なあがきとは知りつつも。 後ろの女は、やはり気づいているのだろうか。もとより余所者の前原とは面識がないから、会話もない。彼よりもずっと背の低い彼女は、前の背にぎゅっとへばりつくような格好になって、ただただスタートを待っている。その頬の柔らかさだけが、背中越しに確かだった。 「ヒ……ッ!」 歯を食いしばって、有紀が天を仰ぐのが見える。またぞろ男の攻撃がヒットしたのだろう。ただ先程と違って今は男の背にくっついている為、彼女の下半身が実際何をされているのかまでは確認できなかった。 「(くそっ!)」 やるせない怒りが彼を焦らせる。不甲斐無い自分に苛立ちもする。さりとて行動には移せない。どうしようもないと居直れば、心が僅かに安らいだ。 ほんの火遊びのつもりだったのだ。ちょっとした気晴らしに昔の女に手を出しただけだ。無論本気ではない。向こうだってそのつもりでホイホイと乗ってきたではないか。その代償がこれでは些か釣り合わない。とは思うものの、もう自分の手からは離れてしまったこと。 「(これが終わったら、すぐに逃げよう)」 彼は決めた。証拠映像が流出したところで、あんな小さな端末で撮った不鮮明なもの、白を切り通せばなんとかなる。人違いだと言い切ってしまえば立証不可能だ。彼は自分にそう言い聞かせた。 それにしても不快なのは男の背中だ。と、こう感じて、前原はふと思った。痴漢は有紀に、有紀はその前の者にしがみついている。その者とは、彼女の息子だと。 「チッ」 彼は口の中で小さく舌打ちした。どこまでも下衆な野郎だ、と眼前の背中を蔑みながら。 だが、下衆はその行動の故に下衆である。彼にとって、次へのエスカレートは当然だった。 * 佳彦はイライラしていた。運動会に飽き飽きしている彼は早く携帯ゲーム機で遊びたかった。通常なら自分の楽しみを最優先する彼だが、今は父親以下家族が居る。不承不承従って並んでいた。 それにしても、妙なのは背後の母親だ。さっきからやたらと胸を押し付けてくるし、ハアハアと息も荒い。さらにそれへ、発走後は必要以上の振幅運動まで加わっている気がした。 「――ヨーイ、ドン!」 号砲一下、一斉にスタート。ちょうどその瞬間からだ、過剰な押しが顕著になったのは。 「ちょ、そんなに押さないでよ」 堪りかねて、佳彦が言った。 「ごめん、ごめん……」 いつになくしおらしい調子で母親は答えた。その声は苦しげであった。確かに、この窮屈な押し合いへし合いで駆けるのは困難な業だ。だが、それにしても弱り過ぎてはいないか。 「(どうかしたのかな?)」 佳彦の頭をちらりと心配がかすめる。が、それと同時にまたイライラとする感情が湧いてきた。 従来家族と過ごすことの多い彼である。家族が友達と言ってもいい。そんな中、以前こんなことを耳にした。 「お前、家族でカラオケとか行くのかよ」 それはクラスメイトが放った言葉である。別に佳彦に向けたセリフではなかったが、なぜと分からず心に引っかかった。ぼつぼつ多感な年頃の彼ではある。そのことがあって、家族で揃うことにやや警戒心を抱き出した今日この頃である。 様々な思いを胸に、隊列は走る、走る。運動場を端から端まで横切って、カラーコーンを折り返せば、後は元の場所へと一直線だ。どの列も実力伯仲。ほぼ横一線の折り返しである。 と、その時、痛恨のミスが金光隊に起きた。他の者は気づくまいが、実の所有紀が原因であった。 「アアァー……ッ!」 バラバラと列が崩れ、皆が将棋倒しになる。有紀の悲鳴が一際息子の耳に響いた。彼女は倒れ込んだまま、しばしは起き上がれない。 「ちょっと、何やってんの」 母の体重を一身に受けながら、佳彦は文句を言った。と言ってもあまり親に向かって語気強くは言えない彼、いつも通り甘えた口調ではあったが。 「アゥン……ごめん、ね……」 また謝る有紀。その声は先程より一層頼りなかった。その上、起き上がろうともがいている所為なのかどうなのか、下敷きになった息子の背へ、ズンズンとリズミカルな振動をその身から響かせる。 「ちょ、ちょっと待って」 なおも立てず、我が子へしがみつくようにして激しく体を揺さぶりながら、有紀は誰ともなしに猶予を請うた。 「早く立ちなよ。もう行くよ」 振り向けないもどかしさを感じつつ、佳彦は中腰で急かした。母の後ろの男も何かボソボソと言っている。はっきり聞こえないが、大方似たようなことを言っているのだろう。 「(後ろは確かうちの弁護士の人だっけ)」 佳彦は高橋の乱入に気付いていなかった。そして、そんなことよりも、父も妹ももう立ち上がっていることに焦りを覚えていた。 「行くよ、ほら」 彼は後ろ手に母の手を引っ張った。すると、母が言った。 「やめて、もう……イ、イくから……イきます……アァ……」 息も絶え絶えに、まるでうわ言のようだ。“行く”というなら良し、と佳彦は手を離す。 一同はようやく立ち上がり、再び走り出す。すると、以前にも増して変な前後運動が佳彦の背後から襲ってきた。走るのとは微妙に違うリズムが、母の突き出した胸からドンドン伝わってくる。 おまけに彼女の口から途切れ途切れのつぶやきが、まるで呪文のように聞こえてきた。 「ごめんね、佳彦ちゃん、お母さん……好き……ガマ……きない……」 「(え? 好き……?)」 佳彦は困惑した。こんなにストレートに親から愛を伝えられたことはなかった。またそういうことが似合わない人だとも思っていた。そして、なぜこのタイミングなのか、あるいは独り言なのかも分からなかった。 レースはいよいよ終盤。転倒が響いて、残念ながら一着は逃したが、金光まだ意気軒昂である。 「よしもうちょっとだ。佳彦、隣の奴ら蹴飛ばしてやれ」 と、無茶な注文を言う。言われた方は、今はそれよりも耳を澄ますのに必死だ。 有紀の告白は、ちょうど彼らがゴールテープを切る瞬間まで続いた。 「佳彦ちゃんの、背中……お母さん今、中……」 そしてその後、レースのプレッシャーから解放された為か、 「アハァ~……ッ!」 と、やや派手な溜め息をついた。それと同時に、彼女の足元の土は、また色を濃くしていた。 佳彦は到着と同時に急いで腰の輪から逃れた。すぐさま振り返れば、母が知らない男に肩を抱かれて立っている。満面の汗の中、呆けたような表情。ピチピチのティーシャツの大きく盛り上がった先端が、ほんのりと朱色だった。すぐにその周囲へ、ほかの者達が集まってきた。いずれも男だ。 佳彦は声を掛けようと思った。だが、そこへ父が来て機先を制せられた。 「惜しかったなあ、佳彦。あそこでこけなけりゃなあ」 佳彦は曖昧に応対し、また気になる方を見た。が、その時既に有紀の姿はなかった。いつの間にやら人ごみに紛れて移動したらしい。 「(お母さん、どこに行ったんだろう)」 彼は今日一日の中で、ようやっと本気で不審がりだした。 そんな不審をよそに、有紀は彼女のルーティンたる被輪姦女へと戻っていた。まるっきり精液の入れ物である。つい今しがた、我が息子の背中に身を預けながら白昼堂々交尾を果たし、痴漢に子種汁を注入された挙句気をやったばかりだというのに。 〈つづく〉 |
* 「はいはい、イきましたイきました!」 有紀は投げやりに言った。その言い方にプライドへの固執ぶりを目ざとく見つけ、男らはここぞとばかりに笑う。 「『はいはい、イきました』だって」 慶介が発言をなぞれば、浩樹も、 「イッてたんだオバサン」 と、下衆な笑顔。有紀は大いに赤面した。言い回しを後悔してももう追いつかない。虚勢を張った己がいかにも間抜けに思えた。 内省的傾向は弱気を呼ぶものだ。加えて、言葉は口にすると独りでに力を持つ。嘘さえ誠にしかねない。 「じゃあもっとイかせてやんよ。イきっぱなしにしてやんよ」 と、花村が言って、再度ペニスを挿し込めば、本意でないのにもかかわらず、有紀は心のどこかで疑念を生じる自分に直面した。“ひょっとしたら”とばかりに。 この傾向は、そもそも三人四脚このかた加速していた。体にばかり言うことを聞かせられ、その上明るい場所に連れ出されてと絶え間ない緊張を強いられた結果、精神と肉体それぞれに興奮と発熱の症状が見られた。 「クッ……ンッ……!」 照れ隠しに呻きながら、彼女は唇を噛んだ。それをこじ開けて、改めて高橋の男根がねじ込まれる。二本の男根間にいるのが、もはや彼女の正位置とばかり当たり前に。 さらに、花村が終われば、これまた当然に高橋が彼の跡へとコンバートする。間断なく生殖活動は続く。 「『イきっぱなしにしてやんよ』」 心も顧みず、ただひたすら生殖器を刺激されるや、果たして望むべくもないオーガズムとて訪れるものだ。決してテクニカルでもなく、乱暴に強引にかき回されるだけなのに、前原相手の時のように、こちらから求める気持ちなど皆無なのに。 「ウゥ……」 有紀はまた悔し涙に震えた。自己嫌悪は、レイプ被害者の通る道である。まして凌辱による発情ほど情けないものはない。 「イ……ヤァ……」 いよいよ現実味を増した大波が迫るのを感じ、彼女は逃げ場を求めた。嘘のつもりだった報告が言霊と化し、真に迫った恐怖を演出する。 「オラ、出すぞ。ケツ上げろケツ」 高橋が腰を引き寄せた。二発目もなんのその、十分な種付け分量が有紀の産道に流し込まれる。ヒクつく肉と肉。だが彼女は、すんでの所で最悪の境地だけは耐えた。 「(フン、わたしがイくって? こんなクズどもの所為で? そんなわけない……)」 しかしもはや風前の灯である。そんな時、島田が不意に言った。 「やあ、先生」 有紀が顔を上げると、曇った視界の先に比嘉が立っていた。 * 比嘉は教師として、教育に個人的感情を差し挟んではいけないと思っている。あの問題児、金光佳彦に対してすら、どんなに腹立たしい目に遭おうが憎んではいけないと自分を戒めてきた。この点で彼は真面目な男である。 だが、聖職者が必ず聖人であるわけもなく、煩悩に苛まれもすれば、隠し事だってする。その意味で有紀は、比嘉の本性を見抜いていたのかもしれない。なぜなら、教師としての彼を全く敬おうとしてこなかったのだから。 「どうだ、デカチンの味は」 隣から小林が彼女に尋ねている。彼は比嘉の抜き身を見た時、 「おお、デカいねえ、先生」 と、いち早く讃えた男だ。実際比嘉の剛直は平均以上と思しく、またへそまで繁茂する陰毛がそれへ迫力を与えていた。 比嘉は周囲の視線に頬を赤らめながらも、欲望に任せて腰を振った。彼の骨盤がぶつかる度、柔らかい尻肉の表面が波を打つ。 「このクソ教師が!」 もしも普段の有紀なら、こう罵倒しただろう。彼に対してのみならず、実はおよそ教師一般に対して尊敬の念を持たない母親である。だから、幻滅という程のことはない。やはり彼も、教師という職を生業にするだけの、ただの男だったのだ、と嘲笑うだけだ。 ただ今はタイミングが悪かった。 「クウゥ……」 憤怒の情が後退し、代わって羞恥の情が支配的となる。有紀は声にならぬ声でむせび泣いた。何かの刑罰を受けているような心境で、壁に手を突き凌辱を受ける。ひと度来れば引きも切らぬのが女のアクメだ。 ここに至りなば、もはや相手の正体なぞに構う余裕はない。息子の担任だと認識したのも束の間のことだ。強姦魔はいずれも同じ顔であった。 だが、比嘉の方は違う。彼女をいまだ教え子の母親と見、なんとなればそれ故に陰茎を硬化させていた。参観日、三者面談、果てはクレームをつけに来校した場面が次々と脳裏に浮かんでいる。 もっとも、いくら彼が三十路の独身とはいえ、日頃より生徒の母親に片っ端から欲情しているわけではない。女子生徒には尚更、色目を使ったことなぞ一度もない。つまりは、あくまで一教師として分別のある男なわけで。 「んっ……」 射精しそうになり、一旦動きを止めて耐える。この要領は、いつも右手で慰めているのに似ていた。だが決定的に違うのは、今は妄想の相手が実体を伴っているということである。有紀は、彼のオナペットだった。 どうしてそういう目で見だしたのか、自分でも分からない。いつも理不尽な言い掛かりをつけてきて、敵とすら呼んでもいい相手だ。たとえ佳彦を憎まない彼でも、その保護者まで同様に愛せる程、博愛主義者ではなかった。 この倒錯した欲望は、彼を悩ませた。特に自分で処理を終えた後は、罪悪感に苛まれもした。生徒の保護者、しかも人妻を性的な目で見ることなど、彼の正義にとり、あってはならないことだった。それなのに…… 「くそっ、くそっ……」 不条理な性欲と意志の弱い自分を呪いながら、比嘉はいつもペニスをしごいた。頭に浮かぶのは、まともに話も通じないモンスターママ。その居丈高な振る舞い、恐怖すら覚える剣幕、そして、品のないコーディネートに包まれた、傍若無人な出っ張り。 今その巨峰を、比嘉は力任せに鷲掴んだ。脂肪にめり込んだ指の爪が白くなる。 「ア……ア、ガァ……」 壊れたように呻く女。彼はその全身を乳房ごと引き寄せた。散々弄ばれたらしい淫肉は、それでもまだ彼の欲棒を吸い込もうとするように感じられた。 「思いっきり中出ししてもらいな、オ・バ・サ・ン」 フィニッシュの近いことを察知して、高橋が言う。比嘉はその響きにちょっとためらったのも束の間、容赦もなく腰振りを速めた。どのみち我慢の限界である。前原の帰りを待ち切れず、フラフラと進み出た先程と同じだ。もう分別もどこかへ忘れた。 「フーッ、フーッ!」 鼻息荒く、彼は奥へ奥へ、との意識で肉棒を突き出した。先端の口が熱を帯び、今にもドロドロとした弾を射出しそうである。 「このっ……このぉ……っ!」 心の中で、これまでの憎々しげな像を必死で思い返す。彼女の悪性ぶりを散々強調する。要は、己のしていることよりも酷いというのだ。さらに言えば、そんな女だからこんな目に遭ってしまうのだ、と。 「……アアッ!」 思わず裏返った高音を発し、有紀は目を蕩つかせながら口を覆った。耐えて耐えて耐えぬいて、いずれ奴らを糾弾せねばならぬ身の上だ。負けてはならないのだ。しかし、敗色は濃厚…… 「アハハ、イけイけ、中出しでイけ!」 「うっ!」 有紀の喘ぎ声を笑って竜二が囃し立てたのと、比嘉がエクスタシーに達したのとはほぼ同時だった。モンスターペアレントの胎内に、これまでコケにしてきた教師の子種汁が一気に迸る。それは一斉に子宮内へ直射した。勢いと角度のついた亀頭は、とうとうその尖った先を母体の最奥へと突き入らせていたのである。 「ア、フ、ワ……ハッ……!」 白目を剥いて昏倒する淫母。決定的な絶頂が、彼女の正体を失わせた。 * 「――そいつがまた馬鹿な野郎でねえ。なんて言ったと思う?」 金光は饒舌にまくし立てる。毒にも薬にもならない話だ。前原はいまだ逃げ出せず、それに付き合わされていた。 と、そこへ、末娘の瑞穂が駆けてくるなり、父の膝の上へ向かい合わせになって座った。こういう時は何かをねだってくると、父は知っている。彼は座興とばかり、とぼけた振りして尋ねた。 「んん? どうした、急に」 娘は屈託なく言った。 「パパァ、瑞穂、妹欲しい」 「おいおい……」 弱ったなあという風に、前原を見る金光。前原は愛想笑いで応じた。聞けば、彼女も“お姉ちゃん”になりたいとか。 「じゃあ、弟でもいいの?」 酒臭い息で、父はからかってみる。娘はそれに考え及ばなかったらしく真剣に悩みだした。 その光景に接し、前原はさすがに頬を引きつらせた。そして思うよう、 「ママは今この瞬間にも、弟か妹を孕んでいるだろう。ただ、その父親は、パパじゃないんだ」 と。 〈つづく〉 |
* 前原は、誰も居なくなった教室でモゾモゾと動き出した。頭を打ってはいるが、意識に支障はない。実の所、これまでも気を失ってなぞいなかった。むしろ、本当に失神していたかったのだが。 音だけで聞いた地獄絵図はあまりに壮絶だった。もし自分を騙す為だけの芝居であったなら、どんなに幸せだったろうかと思う。現に静かになった教室には、惨状の形跡など微塵もなく、ただ己の精液がこぼれているのみである。 彼はその証拠を拭きとると、足音を忍ばせて廊下へ出た。今となっては、誰にも会わないようにと願いながら。 * 汗を振り撒いて男同士が引っ張り合う。但し、引いているのは綱でなく女だ。すなわち、男二人による女体の綱引きである。その内“後ろ側”からさっきまで引いていた小林が、自身の番を終えて一服しながら言った。 「体育館裏でタバコとか、昔を思い出すな」 それを聞いて慶介が自分も吸おうとし、島田からたしなめられる。また、火の始末はきちんとするようにと、小林も注意される。集団レ イ プはお咎めなしなのに。ここには、先程教室にいた面々が再集結していた。 「オラオラ、チ ン ポ気持ちいいだろ、オバサン」 小林の跡を継いで女陰に肉棒を刺す花村が乱暴に言った。人の親とはいえまだ若く、有紀の一回り年下ではあるが、大仰に彼女を年寄扱いだ。 「見られて興奮したか、この淫乱女」 こちらは口腔を犯す高橋、同じく女をぞんざいに扱いながら、先の出場レースのことを揶揄した。 有紀は久々に憤った。これまで絶望に駆られて深く落ち込んでいたものが、再び感情を取り戻した格好だ。衆目にさらされての自意識の過剰なる復活は、確かに彼女に影響を与えていた。 とはいえ、差し当たり何が出来るわけでもない。多勢に無勢だ。いつか逃げ出そうと強く誓い直しつつも、今は男達の罵声を無視するのがやっとだった。 そんな有紀を、花村が一層いじめにかかる。 「マワされまくって、もう何回もイッてんだろ」 彼は硬いモノで尻側の膣壁をズリズリと大きくこすりながら詰め寄った。二人の密着部には、トロトロの粘液が溢れ返っている。 もちろん有紀はだんまりだ。仮に口をきくにしても、花村の指摘を認めるはずはない。男ならではの独りよがりと、嘲笑でもって応酬するだろう。 「イキッぱなしか、おい。こんなにチ ン ポハめられんの初めてだろう」 そう花村が問うと、高橋は、 「いや、この女変態だから、どうせヤりまくってるぜ」 と憎々しげに笑った。まだまだ金光夫人を貶め足りない彼である。さらに高橋は、口から抜いたペニスで彼女の鼻柱をしたたかに打ちもした。 一方の花村は一旦合体を解くと、二本の指をそれに代えてねじ込み、 「派手にイッてみせろや」 と、激しく小刻みに動かした。それに高橋も同調し、 「オラ、イき顔見せろ」 と、犯され女の顎をグイッと持ち上げる。それを横手から覗き込んで不良少年らが面白がった。 「ほらオバサン、イく時は“イく”って教えてよ」 浩樹が言うと、その場の数人が“そうだ、そうだ”と手を打った。それでも有紀が黙っていると、とうとう高橋が言い放った。 「おいコラ、このままグラウンド引きずり出すぞ」 それまで表情を変えなかった有紀だが、この一言には不用意にも動揺した。 * 比嘉は体育館の方へ歩いていた。実は彼一人、群衆の視線がほかへ移りゆく中で有紀の姿を最後まで目で追っていたのだ。彼女は一位でゴールを通過した後、パートナーの父兄達に連れられて運動場を密かに出て行った。そもそもその出走前の様子もあり不審感を覚えた彼は、自身の出場を終えた足で彼女らの足跡をたどり出したのである。 元々比嘉もまた、有紀に快い感情を抱いていなかった。自身の受け持つクラスに彼女の息子佳彦がいるが、この息子の身勝手もさることながら、それに輪をかけて母親の言い分がひどい。 佳彦は日常的に指導に従わないことが多く、時には奇声を発し続けてこちらの言葉を遮ったり、試験中に堂々と不正を行ったりし、とかく自分の気に食わないことは受け入れようとしない。それもまた、教師が体罰等の強硬処置に出られないことを知っての上である。 母有紀はその事実を一切認めないばかりか、ことごとく息子の肩を持ち、そればかりか全てが教師側の責任であると豪語する。やれ依怙贔屓だの、やれいじめだなどと騒ぎ立てる。いわば、モンスターペアレンツとモンスターチルドレンの親子なのだ。強気の裏には、無論町議金光の存在がある。 比嘉にとっての救いは、校内の同僚をはじめ、他の生徒達までもが彼に同情してくれることであった。それ位金光親子の異常性が際立っていたわけで、周囲はとにかく問題に巻き込まれないようにと、彼らを避ける方針に一決していた。 体育館の傍まで来る。ここに至るや、もう人気はなかった。後は裏へ回るばかりであるが、果たして何やらそちらが騒がしいようではある。 と、その時、その角から猛スピードで後ずさって来た男とぶつかった。 「あっ、すみません」 反射的に謝る比嘉。ぶつかった相手は、明らかに狼狽した態で、言葉もなく立ち尽くしている。知らない顔だった。 だが、素性以上に気にかかったのは、その背後、角の向こうの騒がしさである。比嘉は妙な胸のざわつきを覚えて、好奇の目をそちらに向けた。途端に、 「あっ!」 と、思わず出そうになった声を、すんでのところで飲み込む。裸の女が一人、大勢の男に囲まれているのが目に入ったからだ。 すぐに顔を引っ込めて、思わずさっきの男を見る。すると男の方でも、丸くした目を真っ直ぐに見返していた。彼もまた、自分と同じ状況なのだろうと思われた。 比嘉は、もう一度足を踏み出した。男との相談よりも何よりも、真っ先に解消しなければならない疑問がある。それは、もはや確信的な事実ではあったが。 ちらり、と見て、また首を引っ込める。 「やっぱり……」 もう間違いなかった。あのふてぶてしい口元、濃厚な口紅、若づくりな厚化粧、ケバケバしい髪の色、遠目にも明らかだ。何より、あのたっぷりと肥えた乳玉は、当人でしか考えられなかった。 「金光君のお母さん……」 我知らずそうつぶやいていた。すると、それを聞いた傍の男がビクッと肩を怒らせた。つられて比嘉まで驚いた位に。彼は男に問いかけてみた。 「か、金光さん、ですよね」 相手は小刻みに肯き返す。そして、思い切った風に返事をした。 「ご主人に、知らせた方がいいですよね……」 比嘉は答えかねた。この場合、夫が受ける衝撃は確実な訳で。彼は、もし自分がその立場だったらと思うと、逡巡せずにはいられなかった。 すると、男は比嘉の返事を待たず、 「とにかく、誰か応援を呼んできます」 と言い捨てるや、焦った態で走り去って行った。随分動揺しているようだが、やたらに行動は早い。 比嘉は待つしかなかった。別に見張っていろとは言われていないが、また有紀を見る。心臓の動悸が否応なしに高まる。今にあの男が帰ってきて大騒ぎになるだろう。 すると、そう思った刹那、彼の視線の先で、件のモンスターママが叫んだ。 「イく、イきますぅ! イきますってば!」 * 「おう、なんだ君は。こんな所へ来ていたのか!」 金光は前原を見て、驚いて声を掛けた。便所に立った帰りにばったりと出くわしたものである。 「妻には会ったのか?」 「ええまあ……」 前原は必死の作り笑いで答えた。会ったも何も、つい今しがた輪姦される彼女を見てきた。比嘉は知るまいが、さっき助けを呼びに立った男こそ、前原だったのである。 「そうか、いや、今日声を掛けたとは聞いていたんだがね。まさか本当に来てくれるとは。――それにしても、あいつはどこ行ったんだか」 金光は言いながら、傍の椅子を勧めた。酒が入って上機嫌である。前原としては一刻も早く立ち去りたかったが、ここは仕方なしに座った。火遊びのツケが回ったものかよくよく運がなく、人気のない道を抜けて出ようと思えば輪姦現場に出くわし、人に顔も見られるし、挙句不倫相手の夫にはつかまるしと散々だった。 それにしても、彼女は一体これからどうなるものか。目撃者も待機していることだから、遅かれ早かれ事が露見するには違いない。そうなれば町は大騒動だ。目の前の町議も大変な目に遭うこととなろう。と、前原はいたたまれなかった。 〈つづく〉 |
* 「ほら、お父さん、早く早く!」 娘に急かされて、慌てふためく父。 「おっ、おお!」 彼はウトウトといつしか眠っていたのだ。今は借り物競争の最中。親を連れてくるようにとの指示で、清美が金光の許へ駆け寄ったのである。もっとも、本当なら母を連れて行きたかった彼女であった。 その様子を遥かに見下ろしていた鈴木は呆れかえった。島田を探して、とうとう例の教室までたどり着いた彼である。そこで現場を見て驚きかえったのは勿論であるが、どこか的外れな感性もあり、 「金光さんの奥さんには、まだ出てもらわなきゃいけないプログラムがあったんだけどなあ」 と、変な懸念を表明した。役目熱心ではある。 「まあ仕方がないじゃない。お母さんは、こっちが借り物してるんだから」 小林は自分で言って自分で大笑いし、周囲の同意を誘う。アルコールでも入っているような興奮状態である。 彼のみならず、男共は異様に昂揚した表情をしていた。薄ら闇が覆う休日の教室は、屈折した劣情の不穏な空気に満たされていた。 鈴木はその空気に僅かに肝を冷やしながら、さっきまで健全に運動会の進行をしていた同僚島田が、リビドー丸出しで女を抱いている姿を非現実的な構図として見ていた。 それは女の方にも言えた。つい先日のことだ。鈴木が駐車場の交通整理をしていた際、無茶なクレームを譲らず自分の車を禁止区画に止めさせたのが有紀だった。その理不尽な権勢には、ほとほと嫌気がさしたものである。 あの女とこの女が同じであるとは到底信じられない。いつも人の言うことに耳を貸さない女が無理矢理に体で言うことをきかせられているとは、なんという皮肉であろうか。 「そうだな」 自分の番を終えて、それまでの行為の卑劣さをすっかり忘れたかのように取り澄ました島田が口を開いた。鈴木のつぶやきを受けてである。 「運動会には参加してもらわないと」 * 「あっ、金光君のお母さん……」 教え子の母親と鉢合わせて、比嘉は挨拶した。が、“探してたんですよ”という二の句は思わず飲み込んだ。彼女の姿に、ただならぬ卑猥さを見たからである。 有紀は白いティーシャツと赤いホットパンツに身を包んでおり、朝のジャージ姿ではなかった。さらにそのシャツにピチピチの胸部が突っ張って輪郭も露わになっている。その上どうだ、先端は濡れて被服の下の赤茶色を透けさせているではないか。言うまでもなく、下着はつけられていない。 「が、頑張って下さい」 彼はそう言うのがやっとだった。有紀はどこか虚ろな目で会釈すると、いつになく黙りこくって去って行った。思わず後ろ姿を目で追えば、ホットパンツの裾から垂れた尻肉が見え隠れしていた。 彼女の両脇には父兄の男が付き添っている。花村と小林。これから三人四脚に揃って出場するのである。三人は素知らぬ体で列に紛れた。彼女の帰還に気付いたのは、比嘉のほか周囲の数人程度である。 出場は、もちろん有紀の望んだことではない。弱々しくはあったが、レイプの時と同様に断固拒絶した。だが、事の露見を防ぐ最良の手段と脅され、それに他の男達も納得して、狂気の圧力の中、一行はグラウンドへと降りてきたのだった。 提案者の島田を始め、姦通者達も彼女を取り巻き見守っている。とはいえ、逃げ出すなら今しかなかった。なりふり構わずに、今度こそ助けを求めればいい。 そう思い迷う有紀の耳に、後方からヒソヒソと話す声が聞こえてきた。 「ねえ、あれ、金光さんの奥さんじゃない?」 「ほんとだ。今までどこ行ってたのかしら」 それは、有紀を知るらしい女同士の会話だった。この好機を逃さぬ手はない。有紀は両隣の男を振り払うべく、腹に力を込めた。が、彼女らの話題が、すんでのところで行動を思いとどまらせた。 「やだ、何あの格好」 一人が指摘すると、もう一人も同調した。 「わざわざ着替えてきたのかしら。どんだけ目立ちたいのよ」 「それにしたって、あの短いズボン何?」 二人は有紀の後ろ姿を見て、ホットパンツの丈を批判した。それは、高橋がどこかから調達してきたものだった。有紀は訳も分からぬままに、素肌にこれを身に着けていたのだ。すなわち下着も履かずに。 「ちょっと場違いよねえ」 「ほんとほんと、こんなとこで男受け狙ってさ」 「いい歳してやぁねえ」 「子供に恥ずかしくないのかしら」 女達は好き勝手に陰口を叩いて、クスクスと笑った。これを聞き、ハッとしたのは有紀である。遅まきながら、今やっと自分の衣装が異様なことに気が付いたのだ。閉鎖空間から公の場へ、その環境の変化にのみ囚われていた彼女は、自身の格好の与える印象にまでつい思い至らなかったのである。 こうして時機を逸した彼女、すぐに発走の番となった。 「位置について――ヨーイ……」 足を縛られ、がっしりと肩を抱かれ、その為に余計に乳房がせり出して、その先から母乳がにじみ出て…… 「ドン!」 三人は駆け出した。徒競走とは違う躍動が、不規則に乳肉を暴れ回らせる。その暴威に釘づけとなり、鼻の下を伸ばした男性観覧者が少なからずいた。 その内の一人、自分の夫にいち早く気付いたある妻が、眉根を寄せてたしなめる。 「あんた、どこ見てんのよ」 夫はドキリとしながら誤魔化す。彼は、有紀と同じ町内の服部だった。その誼で彼女らを見ていてもおかしくはないのであるが、後ろめたさは否めない。しかし懲りずに、 「でも……でっけえよな」 と、冗談めかして言って、妻から肩をはたかれた。もっとも、彼女にもすぐにその意が通じる位、有紀の乳房は存在感があったのである。さすがに客席からの一瞬では、彼女の透けた乳輪までは確認できなかったが。 有紀は、暖かい日差しと群衆の喚声を浴びて、クラクラと目まいを感じた。もはや自分の足で立っているという自覚がない。頭の中では、さっき聞こえた、 『子供に恥ずかしくないのか』 という文句が渦巻いていた。この一言が一番こたえた。子供と夫は彼女のステータスであり、その意味で現実感があった。 彼女は内腿をすり合わせ、にわかに恥じらいだした。胸も尻も衆目にさらし、嗤われている気持ちになる。過剰な自意識は抑制のしようがなく、とにかく体中に視線が突き刺さるようで、カーッと全身が熱くなる。 そんな有り様だから、ゴールと同時に物陰へ連れ込まれたのは、返って好都合だった。そして彼女はそこで、今しがたの伴走者らにそのままの勢いで犯された。 〈つづく〉 |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前二時二十四分 さて、公道でのひと波乱を終えた倫子は、松倉の車によって宿へと運搬されていった。小便まみれの彼女であったが、松倉は半ばヤケ気味でその乗車を許したものである。これに同乗したのは、牛滝、須賀谷、藪塚だ。倫子は藪塚の膝の上、否、肉棒の上に刺さって乗った。剛毅な彼はそのけがれをものともせず、そうしてまた色欲に没入したのである。 「ちょっとちょっと、あんまりこっち寄らんといてや」 隣に座る牛滝が、シッシとばかり手を払って、揺れる二人に注意する。 藪塚は一応それに応じる態で、後ろから倫子の乳を持ち上げわしづかみして彼女を支えた。ただ、陰茎はさすがにまだ半勃起状態で、串刺しの女に芯を与えるほどではなかった。 そんな調子で五人は揺られながら、間もなく宿に到着した。建物前のわずかなロータリーには、先に戻っていた袋田と湊山が立っていた。 「遅かったやんか」 待ちかねたという様子の湊山、タクシーから降車する一行に近づく。と、その背後から、大股開きの倫子を抱えた藪塚がぬっと現れた。湊山はそれを見るや、会話を中断して叫ぶ。 「やっ、えらいビチョビチョやん!」 髪の毛まで濡れそぼった倫子を指して言ったものだ。牛滝が笑いながらその理由を説明する。それを聞き、湊山、 「へえ~……オシッコかけられてしもたんか」 と言い、眉根を寄せて、しかし口元はニヤニヤ笑いながら女便器に近づいていった。そうして相手の虚ろな目を見据えながら優しげにささやきかける。 「えらい目におうたもんやなあ……倫子ちゃん……」 言われた倫子は、ピクリと跳ねた。それは、湊山が彼女の左乳首をキュッとつまんだからだった。 「ええ? 板橋倫子さん、四十……何歳やったっけ? 家族で温泉旅行に来ただけやのに、とうとうオシッコまでかけられて……」 言いながら、彼はつまんだ乳首をクリクリと半回転、さらに逆回転と繰り返し、さらにギューッと引っ張って、限界まで伸ばしてから離した。 「アン! ウ……フン……」 倫子は鼻を鳴らして媚びる。瞬時に赤みを増した乳首は、上向きに立ち上がり伸びた。ややドーム状のてっぺんを持つ、長めな円柱の型である。 「ほんまやで、四十過ぎてこんな目に遭うとは思わへんかったやろ」 横で見ていた牛滝が口を挟む。と、それを受けて須賀谷が言った。 「いや、歳関係ないやろ。四十前であろうと、ションベンかけられる人なんか普通おらへんねんから」 至極正論であった。やむなく牛滝も譲歩して路線を変える。 「まあせやけど、こんだけ一遍にチンポぶっ込まれたことはなかったやろ。……いうてもおサセはおサセやったんやろうけど」 すると、さっきの流れを継いでこれに対しても須賀谷が一言入れる。そこで、二人はじゃれ合うように軽い議論を始めた。 一方、湊山は独自の発言を続ける。倫子の弛んだ肉腹をさすりながらだ。背後から持ち上げられ、開脚させられて、そこは今蛇腹になっている。 「ここに仰山入ってるんやろ? なあ。パンパンに精子詰め込まれて……。仰山家族出来るなあ? 高齢出産頼んまっせ」 これを聞いて、牛滝がこちらに向き直って言った。 「ほんまや! 腹ん中精液だらけやからなあ、なんぼでも子供でけるで」 さらに彼は、宿泊所を見上げ大声でこう叫んだものだ。 「みなさ~ん! この奥さん、――倫子さん? に子供出来ました!」 中途で一旦自信なげに倫子を顧みつつも、結局その大きな声音は、ただでさえ静まり返った夜の空気にけたたましくこだました。 「あらら」 これには湊山も、ほかの皆も半ば呆れ顔である。 だが、もう叫んでしまったものは仕方がない。興に乗った牛滝は、倫子にも命じ始めた。 「ほれ、自分もおっきい声で言わんかい」 やむなしに倫子も宣言させられる。 「こ、子供できましたぁ……!」 しかし、それで主人は納得しない。もっと大きな声を出せと言う。その上、立て続けにセリフをつけていく。 「もっかい、『倫子、赤ちゃん産みます!』て、『高齢出産します!』て。はい!」 命令されて、奴隷は従順にそれを復唱していく。 「り、倫子、赤ちゃん産みますぅ! こ、高齢出産しますぅ!」 牛滝ほど整った声量は出ないが、それでも必死の大声だ。彼女はこの調子で、宿の壁に向かって宣言を続けた。 「――今日、わたし妊娠しましたぁっ! たくさんマワされて孕みましたっ!」 その途中で、玄関から人が出てきた。宇川と吉野である。 「おいおい、何しとんねんな」 ホールで待ちぼうけていた二人である。口々に驚きの声を漏らしている。 だが、倫子は止まらない。 「――あなたぁ、新しい家族よぉ! ――お母さん、今晩赤ちゃんできたのぉっ!」 後ろからはタクシーが来て止まった。先ほどの店に残っていた者達が、浪岡の車で送られていたのである。彼らも輪に加わって見守る。衆人環視の中で倫子は妊娠宣言を行うのだった。 「おい、兄ちゃん勃ってんのかいな? 勃ってんねやったら鳴かしたれ」 牛滝は藪塚に命じた。 今はすっかり硬い肉づきを取り戻していた藪塚、ゆっさゆっさと豊満女体を振って、念押しの子作りを始める。 「アッ! オッオ、オオォ~ッン!」 たまらずに受精メスは鳴く。潤んだ目で訴える。 「オンアァー……ア、こっ、これからぁ、まだまだ種付けしてもらいますぅっ! い、ヒッ、イーッ、板橋倫子、あ、アハァ、朝まで、子作り、頑張りますぅ~……っ!」 この宣言を最後に、肌妻は玄関の中へと運び込まれていった、種男達に取り巻かれながら。 <つづく> 現在時刻02:42(6時間49分経過) 挿入された男根=35本 発射された精液=69発(膣42・尻12・口6・顔2・胸5・手2) かけられた小便=3発 (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時四十五分 「ン、ホオォォ~……ッ!」 倫子は高らかに雄叫びを上げた。明るく開けた街路のど真ん中で。 「オォッ、オッ、オッ、ホッ、フォッ、フオォッ、フォーッ……!」 車のボンネットに手をつき、後ろから交尾をされ。 「ンウ~ン、アン、アンッ、アアンッ、アハァ~ン……!」 子作りペニスが勇んで躍動する度、四方八方に暴れ散らす牛並みの乳房。メス牛は恥も外聞もなく、繁殖の悦びを謳歌して止まない。 その様子を見て牛滝が言う。 「ハッハッハ、やる気満々なったなあ奥さん。――ほれ、いっぱいパンパンして体ではろてや」 彼は当事者ではない、横から見ているだけだ。今彼女の中にいるのは松倉(まつくら)という男、タクシーの運転手である。ここに来る往路で、倫子らの後から来ていた方のだ。すなわち、行きと入れ替わりで乗り換えたわけである。 「ハハ、パンパンだってさ。この人ほんとに素人なの? 意味分かってんのかな」 鎌先が向こうの角の方を何気なく見やりながら言った。その視線の先には、信号待ちをしているタクシーの姿があった。浪岡の運転するものである。倫子は彼にしたのと同様、今度は帰りの運賃を体で支払わされているのである。 「旦那さんも災難だねえ。まさかカミさんが売春婦だったなんて」 鎌先は鼻で笑いながら倫子を見下した。その目前で、倫子は媚びへつらいつつ喘ぎ狂う。 「アァヘエェ~……ぼっとぉ……パンパン、してへえぇ……くりゃひゃぁい……」 よだれを垂らしながら、宙空を見つめて。その姿を後に、先を行くタクシーは角を曲がっていった。後を追うはずの松倉ドライバーは、しかし何ら焦るでもなく、女の操縦に専念する。既に浪岡の前例を見て段取りをわきまえている彼だ。 「おおぉふ、よく締まる……」 彼はそう呟きつつ、発情の腰を繰り出し続けた。すると、深夜の街に性交の音が轟く。 「ウァハァ~ン……きぼちイ~……ッ、イッ、ヘ…ッ、イぐ……イッ、ヒぐ……っ!」 肉の音に混じって、女の情念がこだまする。配偶者という社会制度をも乗り越えた彼女にとって、もはや怖いものなどなかった。その世間離れした表情を、須賀谷の持つビデオカメラが捉える。倫子はそのレンズに向かって言った。 「出ひて、くりゃさいぃ……中に……中に出してへェ~っ!」 無論、男どもに入れ知恵されなければ思いつかないセリフではあるが、それは本心と何ら乖離したものでもなかった。 彼女の願いに従い、松倉は“中に出し”た。 「オゥーラ、入ってるか?」 牛滝は訊いた。女の顎をつかみ、いつの間にか露わにした肉茎をその唇にあてがいながら。倫子はそれを口から迎えに行きつつ、コクコクと肯いて答えた。その反応を一応見届けて、彼は念を押すように言った。 「これで支払いは完了やで」 言われた松倉は、笑顔で合図を返す。本当に、これで弁済は終了したわけだ。倫子は確かに売春によってタクシー代を支払ったのである。その身の中に、今出た子種が熱い。 だが、“支払い”はこれだけで完了したのではなかった。 「よオーし、じゃあ今度はこっちを支払ってもらおうか」 そう言いながら出てきたのは、『リング』の店長、鎌先である。彼への債務とは、すなわち先ほどまで居た客達のプレイ料金、及び、今宵倫子がらみの特別の趣向を設けたことへの世話料であった。もちろん、これは本来倫子の関知せぬものである。しかし、なぜか倫子が体で弁済することになっていた。 鎌先はさも当たり前の調子で、剛直を後背位から侵入させる。 「ほウーら、しっかり払ってよオー」 取立人はじわじわと肉棒を挿し込み、そうしてまた抜き出し、段々とそれの繰り返しを早くしていった。片や一方的に債務を負わされた人妻は、しかしそんな理不尽な要求にもかかわらず、馬鹿正直に相手を務める。実は、彼の店で唯一金を出したのは板橋であったが、二人揃って律儀に支払いに応じる板橋夫妻なのである。 「ああいいねえ、中々の名器かもしれないよ、倫子ちゃん」 彼は堂々と本名すら呼び、人妻の産道を犯しぬいた。彼のものは妙に黒光りして、その茎には真珠のような玉が無数に浮いていた。そのヌラヌラと出入りするまがまがしさに、倫子は虚ろな目で啼いた。 「ンンッ! ンヒイィ~……ッ!」 その目はもはや焦点も合っていず、今の境遇さえ確かには分からないのである。ただ、えもいわれぬ快楽の園に遊んでいることだけは実感できていた。須賀谷のカメラは、その蕩けきった表情もしっかりと押さえている。 「ヒぐぅ、イヒくぅ、イく、イぐ、ヒく、ウゥ……ッ!」 馬鹿の一つ覚えの如く昇天を連呼して報告するメス牛。まさしく家畜の如く、理性のかけらもなく無知蒙昧の体である。そのあられもない姿は、またぞろ見も知らぬ新参人に対しても変化はなかった。 「エー、なんだこりゃ!」 「え? え?」 「あ……矢板さん……?」 口々にそう言いながらじわじわと近付いてきたのは、これまた倫子の預かり知らぬ男三人組であった。もっとも、矢板は知っていたようである。 「おっ、オー、いいところに来た」 彼もさすがに思いがけない様子でびっくりはしたものの、すぐに笑顔で彼らに応じた。しかし、彼らの会話はそこで中断を余儀なくされた。なぜなら、見境なしの淫乱女が、己の発情ぶりを大声で喧伝しだしたからである。 「見でえェ~ッ! おバンコ見てぇへェ~。マンコイくぅふゥ~。マンコイくの見てェ~……ッ!」 その言葉に応じ、鎌先は彼女を後ろから抱え上げる。おかげで、観客には結合部が丸見えとなった。女の裂け目に男の垂直棒が割り込んでいる所である。その継ぎ目からは、白濁液が泡立って溢れ返っていた。 口を占領していた牛滝は流れ上やむなく脇によける。その横には藪塚がいた。いつのまにか彼も股間を露出していた。性を営む男女、その傍で股間を露出する男達、となれば、この女一人、どんな目に遭っているか想像は容易である。 新参者達は、しばし絶句して凝視していた。その前で公然たる猥褻行為は続く。 「気おちヒイィ~……ッ、イッイッ! ヒぐっ! おチンボ、お、おチンプォいいのぉっ!」 ブッチャブッチャと音を立て、肉棒はいよいよ加速していく。その身は青筋を浮き立たせ、メスへの必死のパフォーマンスである。受け入れる側も悦んでいる。淫肉は赤くめくれ上がって泣いていた。その潤んだ瞳へ、パートナーから白い涙が贈られる。 「出て、アッ、中出て……アッ、ンッ気持ちいい! 中出し……中出し、もっと、もっとしてェ~」 倫子はもうどこを見ているのか、明後日の方向を向いて懇願していた。鎌先はぐっと腕に力を込めて彼女の肉体を引きよせ、男気を見せんとばかりに男根を根本までねじ込む。その姿は、オスの生殖本能に訴えかけるものがあった。共鳴した三本達が、無言の下に見事に持ち上がっていく。 やがて鎌先の太い栓が抜かれると、その後には、亀頭型にくり抜かれた膣穴がポッカリと口を開け放っていた。そこからつと白い蜜を滴らせながら、倫子は男の腕の上から艶めかしく所望する。 「どうぞ、皆さん順番に……おチンポ入れて、パンパンしてぇっ!」 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
「入れるよ」 男は宣言した。まるでここが二人だけの世界とでも言うような、傍若無人な通告である。 「ヒィッ!」 郁恵は頬を引きつらせた。同時に眉間の皺が深くなる。それら表情筋の動きは一気に深刻さを窺わせる程度まで進んで、やがてかっちりと固定した。 その時水面下では、先の割れた赤い頭が沈み、その続きの段差が沈み、さらにその続きのずず黒い竿が沈んで見えなくなる過程であった。 「……グッ……!」 刹那は言葉もなく、郁恵はただただ歯を食いしばる。 「入った」 真っ直ぐに視線を相手の顔の上に落として、男はまた一方的に宣言を発した。その顔はさすがに緊張のためか、一見怒ったようである。 「入ったよ」 念を押すようにもう一度言う。 郁恵はいたたまれない風で、顎を引いたり横へそらしたりした。その身を貫かれる理不尽さに、耐えて耐えてという風に。その悔しい忍耐の渦中で、彼女は言った。 「やめなさい……」 先程までとは一転、低い声だった。そして、どこか子どもを叱るような厳粛な口調でもあった。ただ、その声は震え、弱々しかった。 もちろん、そんな声は悪童の耳に届かない。若者は段々と表情をほころばせながら、さらに深く交わるべく、女の尻をきつく引き寄せて、 「ヤベェ……海でスんのチョー気持ちイー……」 と、ぼそりと一言つぶやくと、その自分の発した言葉で余計に確信を得たのか、 「ウワ、ヤッベ、マンコ止まんねえ!」 などと言って、相手の腿を抱え上げながら、いよいよ激しい腰振り運動を始めた。海中では当然、挿入された肉棒の出し入れが同時に行わている。 「やめなさい……!」 再び郁恵は言った。さっきの反省を踏まえてのことか、その中途までは力強い声音であった。が、語尾の方にかけては、一気に勢いを失っていた。 その時、彼らから少し離れた所、その波間に漂っていた人が、こんなことを言ったのが聞こえたからである。 「ヤダ、ちょっとあの人達、怪しくない?」 若い女性の声だった。郁恵が恐る恐る窺うと、同じ位の年格好の女性が並んでいる。いくら人が少ないといっても、やはりほかに客が全くないわけではないのだ。 「ウワッ! ちょ、マジびっくりした……!」 連れに言われて気づいた方の女性は、大きな声を出して驚いた後、笑いながら慌てて口元を両手で隠した。 後は二人、ヒソヒソと噂し合い、キャッキャと笑い合っている。 「アーア、見つかっちゃったね」 男は、さも残念そうに囁いた。ただし、行為はやめず、むしろ腰の運動は激しさを増すばかりだ。 二人の体は首から下が水に隠れており、その水は暗く底を見通せないので、決して性交が露見したとばかりは言いきれなかったが、男女が向かい合ってくっついている様を見れば、それだけでも十分大胆な振る舞いではあった。 若い女性達は、自分達で遊んでいる風を装いながらも、ちらちらと郁恵らを盗み見ては噂を続け、もうすっかりギャラリーと化している。 「けどまあ、バレてもいっか」 男はあっけらかんと言った。 「オレらもうラブラブだし。それに――」 郁恵の頬ににやけた彼の息が吹きかかる。郁恵は反射的に顔をそむけた。 「お姉さんとおマンコできたからさあ、もういいわ、なんか。もう捕まってもいいわ」 彼は言いながら、郁恵の左の腿まで持ち上げ、ついに彼女の肉体をすっかり海中で抱き上げてしまうと、そのまま、一歩、二歩と浜の方へ向かって歩き始めた。 「もう見せようぜ、オレらのラブラブセックス」 「なっ! 嫌っ!」 郁恵はうろたえて、しかしまだ女性達の存在を視界の端で窺って、抑え気味の声で否定した。 「いいじゃん。――じゃあ代わりにチューして、チュー」 男はまるで駄々っ子のように甘えて、唇を尖らせ相手に覆いかぶさる。 郁恵は顔をしかめた。が、避けることはしなかった。その口に、またレイプ魔の口が重なる。 「キャッ!」 瞬間、見物の女性らから、嬌声が上がった。彼女らにすれば、恰好の娯楽材料なわけである。場合によっては、そのいずれかがこの男の餌食として郁恵の代わりになっていたのかもしれないが、そんなことを知る由も無い。 生贄となった郁恵は奥歯を噛み、心底情けなさそうに俯いた。男が離れたその下唇から、彼の唾液がつららのようにぶら下がる。 と、ここで、今度は別の方角からも声が聞こえてきた。男性の声だ。 「……おい、見ろよ。あいつらヤッてんじゃね?」 見れば、若い男女の二人連れである。 彼氏の指摘を受けて、女性が応じた。 「エー、なわけないじゃん!」 女性は、しかし言葉とは裏腹に半信半疑の様子で、興味津々と郁恵らを窺っている。 その彼女に向かい、 「オレ達もヤッてみる?」 と言いながら、男性は彼女に後ろから抱きついた。 「バーカ!」 女性はそう言ってそれを振りほどくと、彼に向かってバシャバシャと水を浴びせかけた。 それを機に、水の掛け合いや、体の掴み合いをしだす二人。恋人同士の甘い時間を過ごしている様子である。 先程郁恵が助けを求めた時は、誰ひとり気づかなかったというのに、確実に周囲に人が増えていた。今なら絶対に助けてもらえる、だが、郁恵はもう声を上げなかった。 その間も、性器と性器は間断なく摩擦を続けている。 「ねえ、ちょっとエロい声出してよ」 男は囁いた。 しかし、郁恵は相変わらず無言で差し俯いている。 「出さないの、いつも。旦那さんとスる時」 男は重ねて呼びかけた。 しかし、やはり郁恵は無反応を決め込んでいる。 すると、彼は方針を変えて、別なことを申し出た。 「じゃあ、今度後ろからヤらしてよ」 言うが早いか、すぐにその体勢に入る。すなわち、両手で抱え上げていた郁恵の両腿をぱっと離し、彼女を裏向けた。 「ウッ、ウッ、ブッ……!」 急に投げ出されて、海水に鼻まで沈む郁恵。その上、目が回るような速さで浜辺の方を向かせられ、鼻と口に海水が入ったために彼女は焦って、海中で腕をバタバタさせた。 「バック。好き? 奥さん」 男はマイペースである。悠々と相手の尻を抱き寄せる。誰に見つかろうと恐れることもなく、彼女をまだ散々に弄ぶつもりだ。 「好きそうだよね。でっかいケツしてるし」 彼は、また水着を尻の谷間から右に引っ張って陰裂を露出させると、思い切りそこに男根をねじ込んでいった。肉棒は、何の抵抗もなく穴の中に吸い込まれていく。 「旦那さんともバックすんの?」 男は言いながら、乳房を鷲づかみにして彼女を助け起こした。これで外面的には、女と男が立って前後に列をなす格好になる。彼はそうしておいて、ビーチの方を顎でしゃくった。 「あれ旦那さんでしょ? あそこの傘の下にいるの」 それは、確かに郁恵の夫であった。さっき男が彼女をナンパした場所で、仰向けになって眠っている。 「起きればいいのにね。奥さんとおマンコしてるとこ見てもらいたいのに」 男はそう言って明るく笑った。 郁恵の視界にも夫は入っていた。が、彼女は決してそちらを正視することなく、といって全く見ないわけでもなくて、まさに目を泳がせている状態であった。その額から、幾筋もの汗が流れ落ちる。 「なあ、あれ、絶対入ってるって」 先程のカップルの男が、また恋人に声をかけた。一時ちょっと離れていたのだが、また近くまで回ってきたようだ。 「いいよ、もう。あっち行こうよ」 恋人の方はやや不快な調子で、彼氏の肘を引っ張った。 一方、左の方角にいた女性連中は、いまだ一定の距離を保って、郁恵らを肴にヒソヒソ話を続けている。 そんな中、別の方からは、母親らしき口調で、 「そっちは行ったらダメ。あっちで遊びましょう、あっちで」 と、我が子であろう男の子にきっぱりと言っているのが聞こえた。どうやら、郁恵らの様子に不穏なものを感じ取ったらしいのである。もはや、恋人がいちゃついている、との認識以上の違和感が漂い出しているのだろう。砂浜の監視員が注意をしに来るのも時間の問題かもしれない。 そんな切迫した環境の中、男はますます興に乗って、 「アー、バックもヤバい」 などと浮かれながら、ガンガン女穴を突きまくる。折しも、男の欲求にとり、そろそろピークが訪れる頃合いらしかった。 「アーヤベ、マジイきそう! マジで!」 彼らの周りの海面が細かく波打つ。無論、自然のためばかりではない。男は強く激しく腰を押し出していく。 「嫌……! や、やめて!」 今まで黙っていた郁恵がふいに口を開いた。それは、男が腰を突き出しながら、彼女のことを前進させたからであった。 「旦那のとこまで行こうよ」 男は悪びれもせずに言う。 「見せようぜ、中出しするとこ」 興奮しきっている彼の、卑猥な発言も腰の運動も加速して止まらない。 「スンマセーン、旦那さん。奥さん孕ませます!」 相手の耳の裏で囁きながら、彼は浜辺の傘の方をじっと見据え、だらしなく口元を緩ませた。 郁恵の足の裏に、サラサラした砂の中に埋まった何だかわからない固い角や、海藻の付着しているらしいヌルヌルした石などが通過していく。いつしか、彼女の足が海底に接着しうる地点まで戻っていた。 「やめて、もう……!」 必死に足指を地面に突っ張りつつ、郁恵は切に願った。そこには、切羽詰まった恐怖がみなぎっていた。その恐怖は、間もなく実体を伴って眼前に現れる。 「あ! あれ、息子さんじゃないっすか?」 男の指摘に、郁恵は絶句した。男の子が浮き輪と共にこちらに向かって来ていた。 「お母さん」 そう呼びかけながら近づいてくる。紛れもない、郁恵の息子だった。よその家の母親が己の子に近づくなとすら注意していた所へ、また幾人かの人間が好奇の目を注ぐ輪の中へ、郁恵の息子は無邪気に寄って来る。 「じゃあ息子さんに見てもらいましょっか。妊娠するとこ」 男は囁いた。恥知らずな彼は、子供を前にしてもその母親を犯し続ける。 「……クッ!」 郁恵は力を振り絞って抵抗した。息子の存在が、彼女に再び力を与えていた。が、それは悪あがきにすらならなかった。 「お母さん」 少年は、とうとうすぐ傍まで来て止まった。知らない男のペニスが入っている母親の傍まで来て。そうして、物問いた気な表情で、母の後ろの男を見つめる。 「さっきお母さんと仲良くなってさあ――」 強姦魔は優しい笑顔でそれに応えた。さらには、 「一緒に遊ぼっか」 とまで抜けぬけと言った。明るい表情で、子供に親しみを与えるように。しかし真実は海の中、ますます勢いを増した腰振りによって、目の前の少年がかつて産まれ出でてきた膣の内壁を、硬直した肉の突起でグリグリと摩擦してえぐっている。 少年は何も知らない。彼はただ、知らない相手に声をかけられたので、とりあえず母親の顔を見て、彼女の判断を仰いだ。 「イイっすよね、お母さん」 いまだ言葉を失っている母親に、男が迫る。 しかし、彼女は答えない。卑劣な男根は、いよいよ苛烈に股間を暴れ回り、まさしく暴力の様相を呈している。彼女は今、闘いの最中なのだ。 男は、彼女が返答しないのをいいことに、勝手に話を進め、 「じゃあさ、向こうまで競争しよっか?」 と、浜の方を顎で指した。 少年は、再び母の顔を窺う。 母は何も言わなかった。ただ笑顔だけで応えた。もっとも、それは明らかな作り笑顔であった。 平生ならば、それに違和感を覚えたかもしれない息子だ。が、今は特に追及もしなかった。男の勢いに呑まれた観があった。 「イきますよ、お母さん」 勢いのままに、男は郁恵に問うた。 とっさに作り笑顔を凍りつかせる郁恵。それが、スタートを知らせる合図でないことが、明白であったのだ。 「イイ? イくよ?」 男は息子にも問うた。ニコニコしながらだが、一方でちょっとした凄味も混じらせて。 「うん」 少年は頷いた。 その瞬間だった。少年の返答が引き金となって、郁恵にぶち込まれていた暴力的な銃口が、白い火花を吐いていた。 男は勝ち誇って満面の笑みを浮かべる。彼にしてみれば、息子の許諾の下で、その母親に種付けを完了したというわけである。その頬は上気し、興奮の極地といった感じを表していた。 他方、郁恵の頬も上気していた。しかし、その興奮は喜びの故ではなく、緊迫する場面に遭遇したためと形容した方が適当なようであった。 憐れ、彼女の息子は、目の前で母が強姦されたことも、その犯人の策に踊らされて、母への膣内射精の許可を出してしまったことも知らず、早くも浜に向かって泳ぎ出していた。 少し遅れて、男が続く。彼はわざと出遅れて、ギリギリまで郁恵の膣内に精液を搾り出していたのである。 最後に残ったのは郁恵だ。彼女はすぐに動き出さなかった。 そのじっとしている僅かの間に、息子と男は見る見る遠ざかり、一気に波打ち際まで到達してしまう。そうして、そのままその辺りで戯れ始める。犯された女の息子と、彼の母を犯した張本人の男とがだ。 遠目にそれを目の当たりにした郁恵は、女陰に右人差し指を突っ込んで応急的に精液を掻き出しつつ、胸まで水に浸かっていられる限界の所まで急いで歩いていった。 その後、一番近くにいた親戚の子を何とか手招いて、彼にタオルを持ってきてもらい、それで胸を押さえてやっと陸に上がった。もちろん、めくりあげられていた股間の水着を元通りに伸ばすことも忘れてはいない。ただ、いかにも歩きにくそうな足の運びだけは隠しきれなかった。 「エー? 水着流された?」 やっとの思いで帰って来た妻に、呑気な夫は呆れ顔で言った。 妻はそれに詳しい説明をするのももどかしく、イライラしながらシャツを着る。 と、その時だった。 「スイマセン」 呼びかけられて、彼女は振りかえった。そして、目を見張った。 あの男が立っていた。なんと、自ら堂々と訪ねてきたのだ。郁恵が息子のことを連れ戻しに行こうとしていた矢先である。 「これ、水着……落としたんじゃないっすか……?」 男はオレンジ色のビキニを、いかにも遠慮がちの体を装って差しだしていた。 郁恵は何も言えなかった。 すると、 「あ、そうだ、それですよ。どうもありがとう!」 と、代わりに夫が礼を言って、水着を受け取った。人のいい夫はニコニコ顔である。 男も笑顔を返し、さらに振りかえって後ろから来ていた郁恵の息子に手を振ると、自分は海の家の方を向いて去っていった。 彼を見送った夫は、 「あれ、ひょっとしてナンパされた男か?」 と、ちょっとからかう風で訊いた。 郁恵はそれに、 「ううん、違う」 と返事するのがやっとだった。 夫から手渡された水着には、茶色い髪の毛と細かい砂が付着していた。郁恵の股間に、ヒリヒリと激しい痛みが走る。 (おわり) |
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