おことわり
R18
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なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

    
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「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。



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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

湯けむ輪(51) 23:54

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時五十四分


と、そこへ渡瀬も加わって話を補足しだす。

「カラオケに行くて言うてやったやんか?」

「そや、エレベーターで。ちょうどオレが奥さんに初めて中出しした時な」

榊原も彼の連携を歓迎し、言わなくてもいいようなことを交えて話を続ける。二人は倫子の顔を窺って代わる代わる話しては、彼女の記憶を呼び覚まそうと要らぬお節介を焼く。

「カラオケいうたら、ここしかないねん」

榊原がペラペラとしゃべる中、倫子も娘のセリフを鮮明に思い出していた。そう、確かに彼女はカラオケにみんなで行くと言っていた。そして、そう話す娘の前で、自分は男に背後から犯されていたのであると。

「それ思い出したもんやから、ウーちゃんらが、オレらもそこ行こか、いうことになってやな」

「そやけどあいつらひどいやっちゃで。この店に奥さん連れてきて、娘さんらの前で、もひとついじめたろう思っとったんやさかいな」

渡瀬のセリフに、榊原が笑う。つられて、マスターも笑う。彼はこの辺りの事情に、既に通じているようだ。

薮塚は身を乗り出して、興味津津と彼らの会話を聞いている。いまだ倫子の体を抱きとめたままだ。その手は最初肋骨の上辺りにあったのだが、いつしか位置が上がって、今では彼女の豊かに垂れた乳房が彼の手の甲に乗っかるような格好になっていた。

一方倫子はそのことには全く気を払わないで、ただただぞっとして固まっていた。つい今しがたまでここに娘らがいたのだと思うと、急速に心臓の鼓動が速まる。宇川らは、一体そこでどんな仕打ちをしようとしていたのであろうか。考えるだに恐ろしい。

いやそれ以前に、娘達はこの男らと同じ場にいたのだということ、これがまず恐ろしいことだった。

「えらい仲良なってなあ。さっきまでみんなで飲んでたんやで」

倫子の不安を裏付けるように、榊原が説明する。

「ほんま、奥さんもあの中に呼んだったらよかったなあ。――旦那さんもおったんとちゃうか」

「ワシも誰が誰かまでは分からんかってんけど、娘さんだけ分かったわ。あらええ子やね」

渡瀬も口を合わせる。冷静に考えれば、それほどの時間が経っているわけでもないのに、そんなに両グループが打ち解けたとは思われないのだが、とにかく倫子の身内、特に娘がこの男達と同じ場に居合わし、あまつさえ彼らと言葉を交わしたらしいことを知って、倫子はめまいを覚えた。なんという破廉恥極まる男どもであろうか。母親を輪姦した後に、その実の娘と何食わぬ顔で会話を交わすなんて!

倫子は、しかし、すぐに冠りを振った。否、破廉恥なのは自分であると。家族や気の合う仲間達と旅行に来ておきながら、己の身の不始末からいともふしだらな境遇に落ち込んだ責めをどう負うのかと。本当なら自分も皆と同じ輪で楽しい時を過ごしていたはずなのに。そうして、この中年男達のことも、ただ気のいい人達だと思って接するだけだっただろうに。

娘や夫のことを思うと、彼女は久しぶりに真人間の心を取り戻していた。すると、ついさっきまで親しい人々が集っていた空間で醜態をさらしていることに、急に恥ずかしさと情けなさが込み上げてきた。ひょっとしたら、今寄りかかっているテーブルに、娘が手をついていたかもしれないのである。愛しい我が子は想像だにしないことだろう、己の母が、スナックでしゃべったおじさん達に散々レイプされていた挙句に外へと連れ回され、この店にまで裸で現れたなんて。そう思うと、彼女が段々憐れにさえ思えてきた。

倫子は身をゆすって、薮塚の手を逸らした。

ところが、これは返って逆効果であった。薮塚は、ずれた手を元の位置へ直そうというそぶりを一度は見せながらも結局そうはせず、この機を得てなお開き直り、大胆にも彼女の乳房をむんずと鷲掴みにしたのである。これはもう、あからさまに卑猥な目的を持った手つきであった。

「母乳搾れそうっすね」

そんな憎まれ口さえ叩きながら、彼は握りしめた手をさらに狭めていった。本当に母乳を搾り出そうとするかのようである。そのせいで柔らかい脂肪は簡単にその形をいびつなものに変えてしまった。彼はそうしながらも、相変わらずモニターの映像にその目を釘付けにしている。

そこでは、いまだ激しく淫乱な宴が続いていた。実際に見ると、いつ終わるとも知れない長編作品である。たくさんの、それも幅広い年齢層の男達が己の男根をそれぞれに持ち寄って、絶え間なく一人の女を犯しつくしているのだ。たった一人の女を! 頭のてっぺんから足の先まで、ことごとく交尾されない箇所はないのである。これがアダルトビデオだとすれば相当にハードな作品だ。膣の中にも口の中にも、果ては肛門の中にも精液が溢れ返るほどに注がれ、顔にも浴びせられて、この女優の体当たりぶりたるや、驚異的なのである。

薮塚はこれを見て、目を離せないでいるのだ。無理からぬことである。ただでさえ過激なビデオなのに、しかもその女、当の本人が今この場にいるのだ。今乳房を揉んでいる女が、これほどのハードなセックスをやっていたのだ。彼をしてここまで大胆な振る舞いに走らせたのも、その衝撃度の故であった。

「スゲー……マジで、スゲーヤリマンなんすね……。この人、ほんとに変態なんですね」

彼は、客の頼みで女性を介助してきた、という一応の建前すらも忘れて、同じ客である倫子を見下し、自身の欲望を露骨に表に出し始めた。もはや、上司が傍にいることも何らの歯止めにならない様子だった。彼は思い切ったことに、左手で乳を握ったまま、一気にズボンのジッパーを下ろし、そのまま中のものを引っ張り出した。

「おっ! 威勢ええね」

渡瀬はそれをいち早く見つけるや、咎めるどころか嬉しそうにはやし立てる。

薮塚の股間に生えたそれは、骨が通っていないのが信じられないほどに筋骨隆々としたたたずまいを見せていた。

「若いもんなあ。そらこんなヤらしいの見せつけられたら、辛抱堪らんわなあ」

榊原はそれを覗き込みながら、ニコニコして同情的なセリフを吐く。彼は、語尾の辺りで袋田の方を向いた。

すると、視線を送られた袋田、彼もまた、しょうがないな、といった風の、他方でかつ、興奮して上気した表情を浮かべた。要するに、この場にいる者の中で、薮塚と倫子の性交を阻止する者など一人もいないということであった。無論、情をわきまえてビデオの再生を手伝ったマスターに異論のあろうはずはない。

ただ、ここに一人、唯一反対をなす者があった。

「嫌っ……!」

それは、当の倫子その人である。彼女は久しぶりに拒否の意思表示を示していた。娘らの話題が出て、わずかに正気付いたが為である。


<つづく>



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[2011/10/05 23:54] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(52) 23:55

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時五十五分


「何言ってんすか」

それを一向意に介さず、薮塚はいきり立った肉棒の真っ赤な先端を白い素肌に押し付ける。

「あんなガキにまでヤらせといて、今さら何カマトトぶってるんですか」

彼が指摘しているのはビデオの中の場面である。それは、見るからに骨格の未成熟な少年が、巨大な倫子の股の間に入って必死に小さな尻を振り、覚えたての射精で母親ほどの熟女に種付けを完了している所だった。

倫子は顔を赤らめた。“カマトトぶって”いるわけではなく、心から恥じらっていた。

「俺もおマンコさせて下さいよ」

そう言って、薮塚は彼女の左の耳の裏に唇をつけてそこを震わせる。

「あ……っ、アー……」

倫子は嫌がる意思を示すつもりで呻いた。が、後ろから抱きすくめられ、あの慣れ親しんだ固いものを体にくっつけられると、途端に戦意をくじかれて女々しい声に変わる。折角まともに戻りかかっても、それが持続したのはほんのわずかの間だけだった。ひと度地獄に落ちた者がそこから這い上がろうなどと片腹痛い、とばかりに、まるで運命が嘲笑っているかのようである。

そのように変心した裏には、一瞬の気の緩みもあった。すなわち、娘は確かにここに来ていたが、今はもうここにはいない、という事実が、結局のところ安心を呼び込んだものである。

「いいですよね? 入れても。好きなんでしょ? チンポ」

薮塚は彼女の腰をつかみ、ぐっと引き寄せた。今にも後背位で合体する構えである。たとえ相手が断ろうとも、どのみち実行するつもりなのだ。

「よかったなあ奥さん。また新しいチンポ入れてもらえるで」

観客である榊原が、無責任な声をかける。

倫子はいやいやと首を振るも、腰だけは自然と受身の姿勢を取り始めていた。哀しいかな、これが今の彼女の真実である。男の性欲をいやというほどしつけられた肉体は、元からの年の功もあって、もはや従順になるしか術を知らなかった。

「入れますよ」

薮塚はいよいよ切っ先を裂け目に食い込ませていく。しおらしく控えた女尻は、その角度といいとても挿入に適していた。肉棒はなんのストレスも感じることなくすんなり潜り進んでいく。

「おっ、おっ、あったけえ!」

内部へと己を進ませるにつれその表面にまとわりつく肉壁の印象を、彼は狂喜して叫んだ。女穴は肉棒を優しくくるんで、その身に彼の全身を飲み込んでいく。

「ンッ、ンン~……ッ!」

倫子は下唇を噛んで、長いものの入り終わるのを待った。しがみついているカウンターに、垂れ下った乳房がぶつかってつぶれている。

すると、渡瀬が横から手を伸ばして、わざわざそれを引っ張り上げて台に乗せた。おかげで、悦楽を謳歌する尖った乳首も、男を誘惑する深い谷間も、みんな向こう側のマスターに丸見えとなる。

もっとも、間もなくしてそれらの位置取りは、乱雑に崩れることになった。乳房がスベスベと台の上を前後に行き来しだしたからだ。それは、薮塚が腰を使い始めたからであった。

「どや、具合は」

渡瀬が尋ねる。

「やっぱ生、最高っす」

薮塚は腰を止めることなく答えた。

「そうやろ」

大きくうなずく渡瀬。

「そのまま中に出したったらええからな」

彼は、端から避妊の気遣いなどしてこなかった者の一員として、当然の如く新人にも膣内射精を勧めた。無論、避妊具を装着していない時点で、どこに射精しようが結果は同じなのであるが。

「マジっすか。うわ、生中出しとか最高っす」

薮塚は大いに喜んで返事したが、最前からのビデオでそんなシーンはとうに確認済みであるから、びっくりするというほどのことはなかった。代わりに、実体験でなくては分からない感想を述べる。

「意外とまだ締まりいいですね、この奥さん。――ねえ、奥さん」

彼は、渡瀬から倫子の方へと話を向け変えた。そうして、言いながらバチンと尻をぶつ。

「ングゥッ……!」

倫子は一瞬のけぞって震えた。

「奥さんのマンコ締まりいいですよ。わざわざ締めてくれてるんですか」

もう二、三発も尻をぶちつつ、薮塚は卑猥な質問を浴びせかける。倫子を征服した後から、彼はどんどん強気になって、一応敬語らしい言葉は使うものの、その内容たるや破廉恥一辺倒になっていった。

「最高ですね、肉便器のくせに締まりいいとか」

「肉便器!?」

薮塚の発したキーワードに、渡瀬が敏感に反応する。

「ハハハ、肉便器ときたか! そらええわ。――奥さん、あんた肉便器やて」

彼は豪快に笑って、倫子の髪の毛を乱暴に撫で回し、さらに言葉を付け加える。

「あんたにぴったりの名前やなあ。なあ? あんだけマワされて、中出しされ放題やもんなあ」

言いながら、顎でテレビの画面を指し示す。画面の中は、相変わらずの輪姦ショーだ。

すると、ふいにマスターが思いついて言った。

「そういえば奥さん、自分で自分のセックス見て、どうなんです?」

これを受け、榊原も、

「おっ、そうや。自分が犯されてるとこビデオで見ることなんか、今までなかったやろしなあ」

と、手を打って身を乗り出す。

「しかも、それ見ながらまた犯されてるんですからねえ」

マスターはニヤニヤしながら言葉を足した。


<つづく>



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[2011/10/07 23:55] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(53) 23:57

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後十一時五十七分


「ンアッ! アアッ!」

倫子は答えを言う代わりに、短いあえぎ声を発した。それは無意識に出たものではあったが、結果として羞恥心を庇うことにもなった。こういう知恵は、男に対していつも受け身である女という生き物の構造上、必然的に処世術として備えられたものである。

一方、男はそういう誤魔化しを容易には許さない。

「どや、自分の見てたら興奮するか」

しつこくも渡瀬が問いかける。男は女を我が物にしただけでは飽き足らず、骨までしゃぶるが如くなお徹底的に辱めようとするものだ。

「ウ……ウウゥ……ッ!」

倫子は愁眉を寄せて、低く呻いた。寄ってたかって猥褻な話題を向けられ、ただでさえ後ろからの激しい責めを受ける身は気もそぞろ、一つ事に集中できなくてパニックになる。そうして、追い詰められて苦しくなると、むずがゆいような切なさが体の芯から込み上げてきて、急速に眼の前が真っ白になっていく。

「どや、またイくのとちゃうか」

渡瀬が彼女の反応を目ざとく指摘する。

「イく時はイく言わなあかんで」

まるでそれが定まった慣わしであるかのように彼は言った。

「奥さん言って下さいよ。ほら、もっとエロい声聞かせて」

薮塚も彼の尻馬に乗って、卑猥な指令を出す。それと並行して、硬直した男根をより一層精勤に突き立てる。

「そや奥さん、遠慮せんと声出したらええんやで。あの時みたいに」

榊原はビデオの画面を指し示す。

「見てみいな、あんな大きい声で喘いで」

言われて、倫子は思わず、その霞がかった目の端でそちらを窺いみた。別に彼の指摘を真に受けていたわけではなかった。そこに映っているのは、されるがままに男達の相手をさせられている、ただただ哀れな女の姿ばかりだと思っていた。が、真相は少し違った。

『アンッ! アッアッアッ……!』

女は男達の輪の中で、明らかに媚びを含んだ声で啼いていた。それを見る限りでは、決して被害者であるとばかりは言えないほどに。

(え……ええっ!?)

倫子は瞳を見開いた。そこに見たのは、レイプというよりもセックスであった。輪姦というよりも複数プレイであった。要するに、嫌々やっているという風には、どうにも見えづらかったのである。

(どうして……!?)

倫子には理解できなかった。なぜなら、自分では決して心から受け入れているつもりなどなかったからだ。それなのに画面の中の彼女は、AV女優さながらに派手な声を出して喘いでいる。その様子たるや、見ていて恥ずかしくなるほどである。もしこれが、倫子自身でなかったとしてもだ。

『イッ、イ、イヤァ……ッ!』

言葉では、一応拒否の姿勢を示してはいる。だが、それが全然本心からのものに聞こえない。そもそも、そういう拒絶の意思も含めて、あらゆるリアクションを抑え、ほとんど無反応を決め込んでいたつもり、あるいは声を出す気力もなかったはずなのだ。それがどうだ。現実には生き生きとして、男と対等に性交しているではないか。倫子は、自身の記憶とカメラの記録との懸隔に驚愕した。

「ほれ、見てみい。チンポくわえて離しよらへんわ」

渡瀬が耳元でささやく。彼の言葉通り、確かに、一度口から離れた肉茎が再び口元にあてがわれた時、何のためらいもなく吸いつき、何なら自ら迎えに行きさえする彼女の姿が画面にはあった。

倫子の顔は、カーッと耳元まで熱くなった。初めてこの映像に気がついた瞬間とはまた別種の恥ずかしさが込み上げてきた。初めの時のは、自分の裸とセックスが記録され公開されていることに対する単純な印象であった。それが今は、確固とした知識として、その破廉恥さを理解した感じなのである。例えて言うならば、大人になってから幼き日の無邪気な行為を思い出し、赤面するといったところだろうか。

もちろん、男達がそういう見方を強調するためも、また撮影者がこぞって卑猥に見える映し方をし、しかもそれを客観的に見ることで、被写体がいかにも淫乱そうに見えたためもあったろう。ただそれにしても、倫子には衝撃的に過ぎた。自分はいつもこんな顔で、こんな声で性を営んでいるのだろうかと、不審にも思う。

『どや奥さん、チンポええか、ええのんか』

誰かが問うている。それに応えて、

『ア……イー……イ、イイ……ッ!』

と、倫子は臆面もなく叫んでいた。聞きようによっては誤魔化しているようでもあるが、今の倫子には、確実に質問に答えているように聞こえていた。さらに間違いようのないことには、

『イ、イ……く……イく……イぐ……ヒぐ……っ!』

男になじられて、情けなくもエクスタシーをすら告白している。

(やめて! もう、やめて……!)

悲壮な思いで、倫子は火照った顔をしかめた。折しも、込み上げた切なさが絶頂に上り詰める時だった。性器への摩擦はいよいよ加速し、またぞろあの昇天境地へと肉体はいざなわれていくようだ。ここ数時間来、むしろこちらの方にいることの多い境地である故に、行くというよりは帰るといってもよい位である。

かかる肉体的責めに加え、今は精神的プレッシャーもある。それが極地に達すると、脳天がジンジンとうずいて、頭の中は真っ白になる。羞恥の極みと女体の高ぶりが化合するのである。それは紛れもなく、快感の一種と認めざるをえないものだった。

「ン……ンヒィッ! アアアッ! アハァー……ン!」

ついに倫子は、ビデオの映像よろしく高らかに啼いた。その瞬間にはもう、自意識は飛んでいた。グーンと天に昇っていき、そのまま惰性で空に放り出される感じである。そうしてその漂う間に、彼女は心からの肉の喜びを謳歌するのである。

「ハハッ、奥さんまたイッてはるわ! 大きい声出してまあ」

榊原を筆頭に、男らは倫子のアクメ姿を揶揄して笑う。

しかし、倫子はもはやそんなものには構わない。

「ンッンッンッオッオッオッ……!」

喉奥から絞り出すような咆哮を上げ、薮塚の交尾に応じている。彼の絶え間ないピストン運動のおかげで、今晩は乾き知らずの恥部から、グッチャグッチャと液状音が鳴りやまない。

心の砦を落とされた彼女は、今や性の権化であった。加速度的に淫靡の色を増し、秘めていた性欲を露わに漏らしていく。それは、ある種幸せなことであったかもしれない。ひと度何もかも打ち捨てて、性の追求にまい進できるということは。

ところが、運命とはいたずらなものである。折角自分を諦めきれたのに、彼女が性に狂いきることはまだまだ許されはしないのだった。

それは、薮塚がバックから彼女の体を助け起こし、それと合体したまま、カウンターを背にして椅子に座った時に発覚した。彼女は気が付いてしまったのだ。部屋の角のソファーの上に、横たわっている人間がいることに。そしてその人間が、とても赤の他人とは思えないことに……。


<つづく>



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[2011/10/09 23:57] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(54) 00:00

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時零分


その人物は、こちらに背を向けた恰好で横たわっていた。その手前には、グラスや皿の乱雑に置かれたテーブルがある。つい今しがたまでそこにいたのであろう多数の人間の存在を匂わせる残骸である。その影に隠れていたせいで、ソファーの上まで見えなかったのだ。

しかし今、カウンター席の薮塚の膝の上に座らされて些か高くなった上背から見渡すと、その者の存在ははっきりと確認することができた。それは男であり、浴衣を着用していた。ちょうど渡瀬や榊原が今着ているのと同じ柄のものである。ということは、同じ宿泊所に泊まっている者ということになる。

では、渡瀬らと同じグループの一員だろうか。倫子は、むしろそうであることを願った。つい先刻の彼女なら考えられなかった仮定だ。だが、そう願いたくなる背景事情が、返ってそうではないという現実の蓋然性の高さを物語っていた。絶望的なことに、彼の肩、首、後頭部、髪型、見れば見るほど確信に変わっていった。

「どうしたんです奥さん。もっとエッチな声聞かせてよ」

ふいに薮塚が後ろから言ってきた。にわかに大人しくなった倫子に違和感を持ったようだ。

倫子は逡巡した。このようなことを一刻も早く切り上げるのが最良の手段であることは明らかであったが、そういう申し出が容易に受け入れられようとは到底思えなかったし、申し出るにしてもどういう理由をつけたらよいか悩みどころであった。憂慮すべきは、ソファーの彼との関係が他の者に勘ぐられることであった。

「ねえ、奥さぁん」

薮塚は甘ったるい言い方をしながら、彼女の首筋に舌を這わせ、併せて陰核包皮をつまんでいじくりだした。

「ン、ンン……」

倫子は、鼻にかかった声を漏らして、ひとまず誤魔化そうとする。彼女はまた混乱し、当座の策も何も考えられない状況にあった。陰核への刺激は現在の切迫感とも相まって、下半身にむずむずとした尿意のような焦りを生じさせる。

(こんなところを見られたら……!)

回転の鈍くなった頭で、ようやく彼女はそのことに思い至った。何よりも最悪の事態は、彼に現在の自分の姿を目の当たりにされることであるのは間違いない。当たり前のことなのに、その思考の順序が逆になるほど彼女はパニックに陥っていたのである。

(早くやめないと……!)

気持ちばかりが焦るが、体はついていかない。もう一刻の猶予もないというのに、なりふり構ってなどいられないというのに、行動を起こせない。

(どうして……?)

彼女は自問自答した。単に体が疲れきっているせいもある。だがそれ以上に、怠惰な流れに身を任せる、堕落した心の症状が作用していることに、彼女は気づいていなかった。動けないんじゃない、動かないのだ。だから、ずっとくよくよして、ずるずると無為な時間を引き延ばしているのである。

すると、そんな彼女の様子を観察して、周囲の男の方が異変に気づいてしまった。結局、外圧に期待する結果となってしまった倫子である。

「おっ、そう言うたら、あそこにもう一人おったなあ」

榊原が彼女の視線を鋭くキャッチして代弁する。

倫子は慌てて目をそらす、が、もう遅い。人間、想定外の事件に出くわせば、正直な反応を隠しおおせないものである。だが、ここからが正念場だ、と、彼女は弱々しいながらも覚悟を決めた。

「ああ、あの人なあ、奥さんのお連れさんやなあ」

渡瀬は言いながら、用心深い目で倫子のことを窺う。

倫子は何も言わなかった。努めて感情が表に出ないようにした。かくなる上は無反応を決め込んで、いよいよという間際になって隙をついて逃げ出せばいいと、そう漠然と冴えない頭で考えていた。しかし、これ以上の愚策はなかった。

「そや、あの人も起こして交ぜたげよか」

思いがけない提案をしだしたのが榊原である。

「おお、ええやないか。――奥さん、ここらで知り合いとも仲良なっときぃな」

渡瀬も加勢する。

倫子は目を見開いた。この期に及んで彼らの凶悪さをまだ過小評価してしまうほど、彼女の頭脳は機能していなかったのである。

その呆然とする眼前から、渡瀬の背中が容赦もなく向こうへと去っていく。

「よう寝たはるなあ。起きはるやろか。――オーイ……」

本気なのである。本気で起こそうとしているのである。堪りかねた倫子は、ついに音を上げた。

「やめてっ!」

久しぶりのはっきりとした言葉で、しかし大音声にはならない程度に気を付けて言った。やっとまともな手段をとった彼女である。その毅然とした態度のために、瞬間、ピリリと空気が緊張し、男どもは鋭気をくじかれる……はずだった。が、ふてぶてしい彼らに、彼女の影響力は何ら通用しなかった。

「おっ、どうしたどうした。今さら別にかまへんやないか」

渡瀬が振り返って、唇を尖らせる。

横から榊原も口を添える。

「この人かて、奥さんとヤりたいてずっと思てはるて。なんせ、こんなエロい乳……」

「やめて下さい、もう……!」

倫子は彼の言葉を遮った。ひと度意思を表明した彼女は腹が据わって、今までになく強気で物を言えた。

さすがの男達もこれには驚いた。

「……まあ、お知り合いの方ですからねえ。さすがにバレちゃあまずいんでしょうよ」

とりなすように、マスターが言う。しかし、そう話す彼も含め、その場にいる男達の誰の口元にも薄笑いが浮かんでいた。彼女を気遣う者など一人もいないのである。

その最たる人間として、薮塚が彼女の腰をつかまえ、以前にも増した勢いで男根を出し入れしにかかる。それも、倫子が隙をついて離れようとしていた矢先のことだ。

「アアー、ヤベえ、イきそう」

彼は言いながら、ガタガタと膝を揺らして自分の上で相手をバウンドさせつつ、踊りまわる柔肉の果実を、後ろから回した手でもぎ取るようにつかんで下に引っ張った。たっぷりと垂れた果肉が、指の食い込みでできたへこみもろとも伸びる。性欲を爆発させている最中の彼には、周囲の状況の変化など関係なかった。ただ最後までやりおおせて、オスの本能を満たしたいというそれだけなのだ。


<つづく>



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[2011/10/15 00:00] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(55) 00:04

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時四分


一方、渡瀬や榊原は再び倫子をいじめにかかる。彼らにかかれば、彼女の一世一代の危機さえ戯れの材料なのだ。

「えらい急に慌てだしたもんや。身内の一人ぐらいバレたかて、もう今さら関係ないんとちゃうん」

そう話すのは渡瀬である。すっかり外道じみた彼は、いとも空恐ろしいことを簡単に言ってのけた。彼に言わせれば、例えば卓球部員らや薮塚のように、途中参加でもすんなりとこの輪に加われたのだから、その要領で一人増えたってどうってことないというのである。

すると、それをいさめてマスターが、

「いやあ、そうはいきませんよ。知り合いですからねえ」

と、口を挟めば、榊原も、

「そうやなあ。これから先の生活もあるからなあ」

と、マスターの発言に一定の理解を示す。もっとも、どう同情的なそぶりを見せようとも、当人の目の前で堂々と噂話をすることからして、それは一種の辱めにほかならなかった。現に榊原は、怪しげなる瞳を輝かしながら、鋭くも恐ろしげなことを言ってのけたものだ。

「あの慌てようからして、もしかしたら旦那さん本人という線もある……」

「なんやて! あれ旦那かいな?」

すかさず渡瀬が素っ頓狂な声を上げる。それは、倫子の驚愕を代弁するかのような大げさなものだった。

当の彼女は慌てふためいて、しかしそれを出来るだけ気取られぬようにと、がばっと上体を折って顔を伏せる。何しろ榊原が、油断のない眼でこちらを窺っているからである。

「まあ分からんけどな。あっちへ一緒に行ったかもしれんし」

彼はそう言いながらも、じっと倫子から視線を動かさない。

脇からは、渡瀬が顔を覗き込んできた。これではせっかく伏せている意味もなく、もはや表情を隠しおおせる自信もなかった彼女は、ギュッと瞼を閉じてかすかな抵抗を試みる。

「奥さん、あれ旦那なんか? え?」

渡瀬は親しみやすそうな笑顔を作って倫子の返事を誘った。

が、もちろん、これに唆される倫子ではない。聞こえない振りをして、口まで固く結ぶ。

折しも、藪塚の腰のグラインドは、いよいよピークに達する勢いであった。ほとんど椅子から尻を浮かせて、激しく腰を打ち付ける。それにつれ、カウンターの上のグラスやら何やらが、ガタガタと振動したほどだ。

倫子はとりあえずこの派手な運動に身を預けながら、ひそかに今後の方策を練ることになった。とはいえ、既に万策尽きた感のある中、あまつさえ挿入の常態化した彼女の体はふやけたようで、到底もう良い知恵など浮かびそうにないのである。

(逃げないと、とにかく……)

霞がかった視界と頭で、彼女は必死に決断を焦った。よろよろともがいて前に出ようとする。

すると、それと軌を一にして藪塚もまた前進を始めた。偶然にも連動した二人の動きである。これは、勢い余った藪塚が、さらに十全な腰振りを敢行すべく、自然な成り行きで倫子を押し出したからであった。

支えを失った彼女は、瞬間つんのめって倒れそうになる。が、藪塚が両の乳房をつかんだおかげで、辛くも転倒だけは免れた。しかし、不安定であることに違いはない。つま先立ちで、上半身屈曲してというのは。まるで、宙ぶらりんの感覚である。

その時思わぬ助けが現れた。否、お節介と呼ぶべきか。渡瀬が前方から彼女の手を握ったのである。もちろん、親切心などみじんもない。

「やっぱり旦那なんか? なあ。どやねんな」

ニヤニヤしながら彼は追及してくる。その表情の中には、そうであったらいいのに、という下劣な願望がありありと浮かんでいた。

その間も、藪塚はせっせと腰を叩きつけてくる。自ら腰を振り、同時に倫子の腰を引き寄せる。その連続だ。肌と肌がぶつかって、パンパンという音が響く。

倫子は前から後ろから一斉に攻められ、片やソファーの方は気になるしで、その心たるや千々に引き裂かれる思いだった。もうどの方面に軸足を置いていいかもわからず、頭は飽和状態となる。

そこへ榊原が声をかける。

「ああ、奥さん、そっち行ったら起こしてしまうんとちゃうか」

それは、倫子らがゆるゆると前の方へ進んでいき、結果ソファーとの距離を詰めることになったのを注意したものだった。

「いやいや、旦那さんのとこに行きたいんやで」

渡瀬はもはや決めつけて、勝手な解釈を施す。

他方、そう口々に揶揄されても、倫子にはもう訳が分からなくなっていた。この刹那、彼女はある種諦めていたと言ってもいい。なすすべもなく藪塚に押し出され、視界のぐるぐる回る中で地べたを歩く感触もなく、ただ無間の境を進みゆくだけだった。たとえその先に奈落が控えていようとも、その歩みを止めることはかなわなかった。

「奥さん、中に、中に出すよ!」

奈落の淵で、藪塚が吠える。背後から彼女を突き落とすべく。

パンパンいう音は話し声程も大きくなり、それと同時に行われている内容を確実に世人に知らしめた。すなわち、彼女の女穴と彼の男根の激しい摩擦であり、公然たる不倫的子作りである。

「言って、ほら、『中に出して』って、言って!」

興奮の絶頂で、彼の最後の要求は一気にエスカレートした。まるっきりアダルトビデオの男優さながらに、膣内射精を女の口から申し出させようというのだ。

「イ、イヤ……ッ!」

倫子は反射的に言っていた。何もかもに対する拒絶であった。

ところが、その意に反して、この時思いがけない出来事が起こった。それは一種奇跡的と言っても過言ではない巡り合わせであった。なんと倫子が言葉を発するより前に、倫子の言葉が伝えられたのである。

『な……アア……か、にぃ……イィ……な、中……ァハァ……だ……しぃ……ィヒィ……ッ!』

そう、それは、“女優”倫子のセリフであった。彼女が出演中の例のものは今なお絶賛放映中だったのであるが、これと現在の状況とが、偶然にもシンクロしたのだった。

これを受け、一瞬の間があった後、男どもは一斉に噴き出した。そして、

「すごいなあ!」

と、口々に言い合う。

それはちょうど、藪塚が精液を発射するのと同じ時であった。彼は皆が談笑する中で、フィニッシュを迎えていたのである。

「ハア~……」

気持ち良さそうに息を吐きながら、肉茎から精を続々と送り込む。

その感触は当然に倫子にも伝わっていた。

「ああぁ……」

藪塚とは別種のため息を吐く。きつく結んでいた口はいつしか半開きとなり、瞼もうっすらと開いていた。その表情は、今までになく切なげである。これまで信じられない量の子種汁を注ぎ込まれてきたが、今の一回は特別現実的な衝撃を受けるものだった。

薄眼で、前方を窺う。そこには相変わらず背中を向けて熟睡する男の姿。倫子はその後頭部に向かい、心ひそかに呟いた。

(あなた……許して……)

刹那、彼女はまた天上に昇り返っていった。


<つづく>



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[2011/10/19 00:04] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(56) 00:08

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時八分


「ア~……」

藪塚はうっとりと息を吐き、つららのように白色透明な糸を引いて肉茎を抜き出した。

その瞬間、渡瀬の介助もむなしく倫子はどっとくず折れて、ソファーの角っこに頭からのめり込む。それはちょうど夫が眠るソファーの続きであった。ソファーは店の角に沿って、くの字形に設置してある。

「ウ、ウ~ン……」

夫は急に呻いた。これまで幾多の障害を乗り越えてきた酩酊も、振動にはさすがに反応したと見える。

「お、ぼちぼちお目覚めか」

榊原が言った。

しかし、夫は軽く寝相を直した程度で、目を覚ましはしなかった。

「かまへんがな。次しぃな」

渡瀬は我関せずといった態で、藪塚の“次”を促す。その視線は、袋田を指していた。

一方袋田は、その時夫の寝顔を覗き込んでいた。“この男が夫なのだろうか”と確かめる風である。ただいくら眺めようとも、誰と誰が夫婦かなんてところまで把握していなかった彼には、倫子の同行者であるという情報以外には確認のしようがなかった。

それで、彼はそのことを報告しつつ、渡瀬に指名されたのを受けて、マスターに話を振った。彼とマスターとは心やすい関係にあるらしい。

「矢板(やいた)さん、よかったらお先に」

勧められて、マスターこと矢板は、

「え、そうですか? いやしかし、旦那さんだったらねえ」

などと口では遠慮しつつも、自らカウンターの外へ出てきた。その上、

「いざとなると恥ずかしいですねえ」

と言いながら、結局ズボンを下ろしてしまう。この男も、どうやら悪性だ。

「いいんですかねえ、ほんとに」

誰の許可を求めているわけでもないのに白々しい物言いをしつつ、彼はいよいよ欲棒を取り出した。そうして、“よいしょ”と掛け声しつつ、倫子の尻を持ち上げる。

この間、倫子は終始無言である。何の意思表示もせずにうずくまっていた。本当なら逃げ出したいはずなのに、なす術もなくまた新しい男に侵入されようとしているのだ。

(あなた……)

頭の中で繰り返すうわ言もむなしいばかり。一体彼女の罪悪感は本心なのだろうか。今や彼女自身にすら心許ないことだった。ただ、彼女がどう思おうと、今からまた夫のそばで他の男に抱かれるというのは厳然たる事実である。

矢板の勃起した陰茎は、ダイレクトにゴールを狙い澄ます。グチャグチャに濡れたそこは以前より形すら変わったように思えて、倫子にはもはや恐ろしくて直視もできそうにない場所だ。逆にそれほどの故に、男からすれば狙いやすい。矢板はその淫猥のるつぼに、分身を一気に沈みこませていった。

「あ、あっ、ああ~……」

溜息ついて、腰を進ませる。するとそれに伴って、ジュプッ、ジュプッ、という粘り気のある汁の音が鳴る。それは、それまで乾いていた陰茎が、まるで湯につかるように急速に濡れていく過程を代弁していた。

「どないやマスター。ビデオで見た通りやろ」

榊原が言う。下劣な男どもには、たとえ他人の吐き散らかしで混ぜ返された陰裂を前にしても、ためらいの情など微塵もなかった。実にのん気なものである。

「ええ、でもやっぱり本物はいいですねえ」

矢板はそう話しながら、次第に局部の摩擦を激しくしていった。

「奥さん。奥さんとスるのは今が初めてですが、奥さんのアソコは先に知ってるんですよ。よっく見ましたからね。アップで見ましたからね」

彼は倫子に向けた体でありながら、その実観客の目を意識して話した。実際、観客達の反応は上々だ。

「そや! 奥さんのいやらしいオメコ、どアップで映ってたで。中に出されたザーメンもばっちり丸見えや」

渡瀬が喝采を送る。しかも彼は、興奮を満々にみなぎらせてこうも叫んだものだ。

「アー、なんやまたシたなってきた。――マスター、ちょっと悪いけど一緒に頼むわ。もう分かってるやろ?」

「ははあ、あれですか。あれやっちゃいますか」

阿吽の呼吸で矢板は動く。すでに段取りは重々承知の彼である。すなわち、一旦座って倫子を向かえ合わせに抱き直し、そのままの状態でソファーに仰向いた。

すると、浮き上がった彼女の尻めがけて渡瀬が覆いかぶさっていく。

「奥さん、ただいま。寂しかったやろ、一本では」

言いざま、彼は倫子のアヌスを深々と貫いた。

「ンヒイッ!」

これには、呆けていた倫子もさすがに声が出た。この感覚には慣れるものではない。もちろん、“寂しかった”なんてことありえない。だが、一度刻印されたものは消えず、永遠に体に刻みこまれる。しかもあれだけ何度もされたからには、体がもはやこの感覚を前提にしている節はあった。

「どや、よう締まるようになったやろ」

したり顔で渡瀬が問う。

「ええ。これが二本挿しですか! 初めてですよ」

嬉しそうに矢板が返す。

「実はワシかて今日初めてしてん。大体3P自体初めてやねん」

「そうですよね、普通そんな経験ないですよね」

二人は一つ女体を共有して、実に和気あいあいと語りあった。途中からは立ち上がり、二人して倫子を抱えあって揺さぶる。

やられ放題の倫子、この体勢に至りなば、もはや夫にばれるばれないの次元ではない。後は、体内の葛藤との闘いだ。

その様子を見ていた榊原は、袋田にしみじみと語っていた。

「あの人がもし旦那やったとしたら、あの奥さん、夫の横で二本もチンポ入れられて、ものすごいことしてんな。一本でも大ごとやのにやで。大体ケツにチンポ入れたことなんかあったんやろか」

何を今さら、といったようなことだが、彼はそれに頓着せず、袋田も純粋に感心して聞いている。

他方、倫子の耳にその声は届いていなかったが、これは幸いであった。こういう冷静な会話は、揶揄されるよりも一層惨めな気持ちを引き立たせるからだ。そうでなくても、二本一遍に男根を埋め込まれ、またぞろ衝撃的な混乱と恥辱を与えられているさ中である。

(こんな姿、あの人に見られたら……!)

当然にその懸念はちらつくが、それよりも今のこの肉の衝撃こそ喫緊の課題であった。

だがもし夫が本当にこの姿を見たらどうだろうか。そもそも長年連れ添ってきた間、妻の肛門にペニスを入れる発想すらなかった彼である。ところが妻は、今日会ってすぐの見ず知らずの男にその穴の処女を捧げ、引き続き何人もの男にそこを広げさせ、今ではすっかり性器にしてしまっているのだ。それだけでも信じられない光景に違いない。

「連れも言うとったけどなあ」

榊原は話を続ける。

「あの奥さん、もう旦那のチンポでは一生満足でけへんで」

そう話す彼の視線の先には、瞼を閉じようとして閉じ切れず、わずかに白目をむいたまま男達に寄りかかる倫子の姿があった。


<つづく>



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[2011/10/29 00:08] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(57) 00:12

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時十二分


「あんたもヤッてきたらどや」

榊原は袋田に言った。

「どうせもう今日は仕事上がりやろ?」

しかし、なお袋田は煮え切らない様子である。体自体は来るべき時に備えてすっかり臨戦態勢になっているが、どうにもタイミングを計りかねているようだ。

そんな彼を思いやって、矢板が声をかける。相変わらず倫子とまぐわいながら首だけそちらへ向けて。

「そうだ、こっちの方へおいでなさいよ。三穴同時ってねえ? わたしゃビデオで散々勉強したんですから」

彼は倫子の口を指差し、同志渡瀬にも笑いかけた。渡瀬も笑い返す。

この仲間の誘いによって、ようやく袋田も重い腰を上げた。立ち上がりざまにちらりと藪塚を見やる。どうにも彼の場合、遠慮というよりも照れがあったらしい。

袋田がそちらに向かうや否や、渡瀬は矢板と示し合わせてソファーの上に横になった。その上に倫子が仰向けにのしかかり、その彼女に対面して矢板が覆いかぶさる。今度は下の肛門に入った渡瀬が下に、膣に入った矢板が下に、倫子は引き続きサンドウィッチになって二人から突かれ放題だ。

いかに長いソファーといっても限りはあり、彼女がのけぞると、その頭髪の先は夫の足指に触れるか触れないかの距離になった。夫の眠るソファーの上、そのすぐ足元で、妻は慰み者になっているというわけだ。

しかもそこへ新たな男が加わり、空いている“穴”、すなわち口腔へと陰茎を放り込む。彼女がのけぞったのも、実にこのための布石であった。これぞいわゆる“三穴同時”の責め、矢板の言った通り、ビデオにも散々記録されている形である。部屋では、何しろ十九本ものペニスを一身で引き受けてきた倫子だ。この体勢は今や正ポジションとすら言っていいものになっていた。

「ああ~、ええわぁ。ごっつぅ締まりよる」

渡瀬は一人言って、下から器用に己が分身を出し入れする。

倫子の淫肛は、そのおちょぼ口の皺を目いっぱい開き、パックリと彼の野太い剛直をしゃぶり込んで離さないでいた。今晩開通したばかりの割には慣れたもので、既に滑りのいい粘液も常備済みなのである。それだものだから、彼女の方にも責任の一端はあるのかもしれない。

が、それにしても、彼の振る舞いは節操のかけらもなかった。彼だけではない。矢板も同罪だ。男達にとっては、倫子の境遇に対する同情など端からないのである。だから、夫らしき人物が起きようと起きまいと、いや、渡瀬に至ってはむしろ起きればいいと思うほどに乱暴に腰を使うのである。

「ンッ! ンゴ、フグゥォ……ッ!」

倫子はペニスに埋まった隙間から、息も絶え絶えに悶え声を洩らした。その口を埋めるのは袋田の陰茎。この期に及んでまた新入りである。一体何本この口に放り込まれてきたことか。もはや一つ一つの特徴などつかみきれない。そもそも、それぞれに違いなどあったのかさえ心許ないのだ。今までは、夫であれば、夫ならではの個性に愛着を覚えていたと思っていたのだが。

(夫……?)

そうだ、己の頭上の先にはその彼の現物があるのだ。倒錯の中で、ふいに倫子はそんなことを思いついた。きっと彼のものは今、穏やかであろう。ここにあるどの男根よりも静かになりをひそめているに違いない。かつては雄々しく立ち上がり、倫子に娘を孕ませるに至ったあの雄姿も今は昔。現在その地位になり代わるは、いずれも故なき他人棒。揃いも揃って仰々しい勃起を他人の妻に向けている。妻は夫の雄姿を思い出そうとしたが、もはやどうやってもできなかった。

どんな女だって、今現在入っているものが全てだ。それを超えて別の形を思い出すなんてことは、よっぽどの芸当である。おまけに、正面のみならず裏口や勝手口まで閉じられている現状においてをや、過去の男が帰ってくる隙なぞ微塵もないのだ。

「あ、ああ~……」

袋田も他の男同様に恍惚のため息ついて、倫子の肉の感想を伝えた。最大限に張りつめたその海綿体は、彼女の口を弄んでいる。

倫子は仰向けの状態で横を向かせられ、右から突き出された肉棒をその口にくわえさせられているわけであるが、頭は彼の手によってしっかりと抱えられ、己が意思を反映する余裕など全くなかった。ただひたすら彼の出し入れに合わせて、頭を前後に振らされるのである。彼女としては、その目まぐるしく息苦しい運動に、とにかく耐えて付いていくしかなかった。

こういう場面には今宵何度も遭遇してきたが、そもそもこんな行為があることは今日人生で初めて教えられたものだった。男性が主体となって、口淫を行うというものだ。これまでにも、男性の要望によってその足元になつき、奉仕をしたことはあった。そして、その際に頭に手を置かれたこともあった。

初めて男性器を口に含んだのは、学生時代に付き合った恋人だった。以来、フェラチオは決して嫌いではない。むしろ相手を喜ばせたくて進んでやってきた部分もある。一つには、口淫奉仕をせがむ男根が何とも無邪気でかわいらしく感じられ、ある種母性的な気持ちに誘われるからであった。

ところが、ひと度これが男性主体となるや、同じ男根同じ行為でありながら、なんと様相の変わることであろうか。あのかわいらしさはどこへやら、荒々しくて独りよがりな面ばかりが強調されるのだ。その一方的なやり方たるや、まるで膣に対する性交と同じである。つまり、彼女の口腔は膣であるので、そこに男根を挿入した場合には、そこへ向けてただ腰を振ればよいという仕組みなのだ。

「ンッ! ンガァハッ!」

倫子は顔をしかめ、喘いだ。

というのも、袋田が唐突に肉棒を抜き出すや、今度はそれで彼女の鼻柱をしたたか打ったからである。荒々しさを発揮しだした男は口で交尾するのに飽き足らず、さらに広範囲に支配域を拡大したいものらしい。彼はその後も、ベチベチと鼻や頬をぶった。それと同時に、陰嚢を口に押し付け、しまいにはそれを頬張らせた。いよいよもって、独善的な行為である。

顔を叩かれるというのは、極めて屈辱的仕打ちである。その上それをペニスをもってしてなされたとは、もうこの世の終わりのような惨めなことだ。女性にとり生命線ともいえる顔、とりわけ男どもも認める彼女の美貌もこうなっては形無しである。傍にいる夫にとっても自慢の美人妻だったかもしれないが、今ではよその男の勃起したペニスを鼻にぶつけられ、縮れ毛に覆われた玉袋を舐めしゃぶる顔面性器となり下がってしまった。

と、ここで背中越しに渡瀬の呻きが聞こえる。そう、いくら袋田の仕打ちがひどかろうとも、そちらにばかり気を使ってはいられないのが彼女の辛い立場なのだ。

「ああ、アカン。もう出るわ。悪いけど、お先やで」

彼は矢板に一言断りつつ、自身の終着を宣言した。その言葉と共に、倫子の肛門の奥で最後の硬直と振動がはじける。

「ンーッ! ンブフゥ……ッ!」

倫子は陰嚢の下で、苦し紛れに叫んだ。それもまた断末魔の叫びのようであった。ただし、彼女には終わりも休憩もない。次々襲いくる試練の前に、なす術もなく翻弄されるだけだ。そしてまた、次に訪れた試練ほど恐ろしいものはなかったに違いないのである。

ちょうど渡瀬がソファーから降りた時だった。どこかから音楽が聞こえ始めたのだ。

「おっ、なんや鳴ってるで」

「携帯か?」

渡瀬、次いで榊原が口々に言う。

初め、倫子はその音に気付かなかった。しかし、皆がしばし黙ると、次第に耳がそちらの方に集注していく。すると、それにつれて段々と彼女の瞳孔がまた開き始めた。あんなに狂乱に追いやられていたのに、スーッと一気に心が冴えていく。

聞き覚えのあるそのメロディは、依然眠り呆けている男の懐あたりから響いていた。


<つづく>



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[2011/11/04 00:12] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
湯けむ輪(58) 00:15

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時十五分


「……はい、もしもし――」

夫は無精をして寝返りもせずに電話に出た。その声は低く呂律も不確かで、電話の向こうの相手にも明らかに寝起きと悟られる風情である。

「――ここ? ん……?」

その相手に居場所を尋ねられたらしく、ここでようやく振り向いて顔を上げる。その寝ぼけた表情には、完全に戸惑いの色が浮かんでいた。

「おはようさん。ようやっとお目覚めでっか?」

榊原が笑顔で応じた。

「よう寝たはりましたなあ。起きはんの待ってたんでっせ」

その顔と言葉に接して、やっと夫は気がついたらしい。

「ああ! ハハ、いやどうも、すいません――」

頭をかきながら照れ笑いを浮かべ、電話の相手に、ここがスナックである旨を伝える。と、すぐにまた新しい質問が投げかけられたようだ。

「――え? お母さん?」

再び怪訝な表情に戻って、周囲を見回しだす。しかし、その視界に目当ての人物の姿は映らなかった。

その時倫子は、死んだような心地でその身を縮こまらせていた。間一髪だった。不幸中の幸いだったのは、渡瀬が満了した後だったことである。もしも彼が現役であったならば、夫の起きることなど物ともせずに、無理やりしがみついて己が本望を果たしていたであろう。ほんの一瞬が明暗を分けた。

とはいえ、今なお決して安心できる状況ではない。現に彼女は二人の男に挟まれて、その股間へ代わる代わるの口淫奉仕を強いられているのである。遮蔽物を隔ててといえども、いまだ夫の、しかも覚醒した夫の傍であることには変わりがない。

一度は倫子を助けたかに見えた矢板であったが、やはり彼に誠実な思いなど期待できようはずはなかった。あの時あの瞬間、とっさにカウンターの裏側へと彼女を伴って移動した彼。ほとんどその直後からイラマチオは始まった。しかもすぐ後から袋田も付いてきて、同じく露出した下半身を彼女に向けてきた。それからはカウンターの下で、交替ごう替の強制フェラチオである。

「……奥さん、でっか? 探したはるのん」

榊原が夫の会話に割って入る。

これだから油断できないというのだ。この鬼畜どもときたら、一体どんな暴挙に出るものやら分からないのである。倫子の心臓は今までになく激しく鼓動し、もう爆発寸前であった。まるで生きた心地もしない。

「ひょっとしたら、さっき来はった人ちゃうかなあ……?」

榊原の発言は、その実際の声音以上にいわくありげに響いた。

夫の口ぶりからして、電話の相手が娘であることは既に見当がついている。そしてそのことは、榊原についても同様であったらしい。元来、夫の存在に疑念を抱いていた彼。その推理を基に、いわば鎌をかけたわけである。

その罠に、夫はいともあっさりと引っかかった。端から疑いを持つ理由もないのだ、無理からぬことである。だがそうだとしても、倫子には不甲斐なく感じられた。

「来ました? ここ」

夫は言い、それから榊原の話す特徴を聞いて、そうそう、と無邪気にうなずいている。これで、倫子との関係は確定したわけだ。

「どこ行ったんだ、あいつ……」

彼はぶつぶつと言ったが、どこも何も、ほんの目と鼻の先にいるというのが、残酷にして滑稽な現実であった。

尋ね人は、辛うじて彼に見えない所で無法者たちの世話に勤しんでいた。海綿体はふてぶてしくもよく育ち、育ての母を苦しめる。その鋭い矛先は、上顎や舌、さらに喉奥にまでつっかえ、倫子は何度も咳き込みそうになりながら、すんでのところでこらえていた。ギリギリの賭けである。ここで音を立てないということが、事なきを得る唯一の正解なのだ。

無論、それをやりおおせたところで助かるかどうかは、男どもの気まぐれしだいである。倫子としてはいずれにせよ、彼らの言いなりになって卑劣な行為に加担するしか道はないのであった。

さても、それを一層思い知らせようとでもいうように、矢板が言った。

「ああ、あの人ですか。さっき来られましたねえ、たしか……」

ニコニコとほほ笑みながら、さりげなく首を下へと傾ける。なんという卑劣な男か! 女にペニスをしゃぶらせながら接客するだけでも驚きなのに、相手がその女と夫婦であると知ってもなお、その妻の口を犯しながら夫と堂々と会話を交わしているのである。しかも、わざわざ妻の話題すら口にしてだ。人倫のかけらも解しない男である。

それでも倫子は逆らうことができないでいた。喉の奥まで欲棒を押し込まれ、涙さえ流しているのに逃れられないのである。彼女の望みは矢板の次の一言だけ。その生殺与奪の権は、今まさに彼によって握られていた。

その悲壮な願いを重々わきまえつつ、彼は言った。

「……旦那さん、探しておいででしたよ」

言いながらほくそ笑む。

「なかなか口の達者な女性でね。――気持ちのいい人ですね」

不穏な発言であった。しかも話しながら、彼は倫子の髪を撫でそしてつかみ、彼女の頭をぐぐっと股間に近寄せた。心なしかその剛直は、先ほどよりも一層強張っているように思える。

それで口腔深く突き刺されたというのだから、される方はたまったものではない。もしあと一秒その状態が長く続けば、間違いなくギブアップして吐き出していただろう。本当によく耐えたものだ。白目を剥き、涙を流し、その滴はドロドロの粘液と混ざって顎から滴り落ちたが、彼女は決してペニスを口から出さなかった。

男達はひそかにアイコンタクトを取り合って目を細めている。矢板が今何をしているか知っている彼らには、この言葉遊びが娯楽なのである。

他方、夫を取り残してはまずいと、榊原が矢板の言葉を継いで言う。

「あっちまで行ったんとちゃうかなあ、ほら、さっき言うてた――」

それは、倫子一行がほかの店へ梯子していることを知らせるものだった。夫も行くはずだったのだが寝てしまい、結局残りの者たちだけで行ったということである。

「そうですか――」

夫は言い、そのことを伝えて電話を切った。どうやら、娘はそちらの方には行っていないらしい。

「ほな、これからそっち合流しましょか。あんさんが起きんの、待ってたんでっせ」

榊原は軽快に誘う。

「すいません――」

夫はへらへら笑いながら了承した。彼は、酒を注がれた時も“すいません”と返事していた。その態度は酔態とも相まって、いかにも愚鈍であった。妻が目の前の男達に何をされたか、現に今もそこで何をされているか知らず、呆れるほどに愚かな役者である。

だがその朴念仁も、ようやく肝心な所に気がついた。

「あっ! あれ、なんですか?」


<つづく>



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[2011/11/09 00:15] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(59) 00:18

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時十八分


その視線の先へと一同振り返る。皆は既に当たり前の感覚になって忘れていたが、そこのテレビモニターに放映中のものこそ、ほかならぬ倫子の凄絶なる痴態なのであった。

倫子は愕然としてまた慄いたが、その恐怖に引きつる顔に向かってトロトロに濡れた肉棒を押し付けながら、矢板は平然と言い放つ。

「ああ、夜だけの特別サービスですよ。大人のビデオ鑑賞会。秘密のお楽しみです」

言いながら、倫子にはペニスに頬ずりさせ、それのまとった粘液を塗りたくる。と、そこへ、横手から袋田のものも伸びてきて、倫子は次にそちらの方をしゃぶらされることになった。ただしこの間、矢板のものも手でしごき続けなければならない。これぞまさしく、ビデオの中の一場面のようであった。

「うわあ、すごいなあ!」

夫はまだ何も知らずに、映像を見て感心している。いかに酔っているとはいえ女優の顔を見ればさすがにその正体に気づくだろうが、いまだ異変は見えなかった。

そんな彼に向かって、榊原が悪魔のように囁く。

「もっと近くで見はったらどうでっか?」

「おう、そやそや!」

渡瀬が横から相の手を入れる。

無力な倫子は、お願いだからもうそれ以上余計なことは言わないでくれ、とひたすら祈ることしかできなかった。

そんな彼女をよそに、夫は誘いに乗って近づいてくる。そして、ついにカウンター席に陣取った。そのテーブルの向こう側には、台を背にしてしゃがんでいる妻がいるとも知らずに。

倫子は、もうこれで終わったと思った。こんな状態で気付かれないわけなどないと。

ところが、夫は相変わらずのん気に感嘆の声を上げている。

「わあっ! すごいことしてる」

画面には、二本の肉茎に串刺しにされる二つ並んだ穴の様子がアップで映し出されていた。それを見る彼は、ほとんどはしゃいですらいるように見えた。

それは、妻の知らぬ顔であった。男同士の会話とはこういうものなのか、と彼女は思ってもみる。だがそれにしても、彼の様子はまるで先ほど来の藪塚や矢板の様子に似通っていた。彼もまた多聞に洩れず、他の男どもと同様の猥雑な輩にほかならないのだろうか。殊更期待していたわけでないとはいえ、妻にはあまり知りたくもない情報であった。

そんな彼女の気も知らず、夫は憚りもなく叫ぶ。

「うわっ! 丸見えですよ、これ」

それを聞き、周囲の男達は下品な声で大笑い。

倫子は男根を頬張りながら、情けなくて恥ずかしくて、その顔を赤くしたり青くしたりした。ばれるばれないの問題もさることながら、この凌辱は精神的にこたえた。

何が“丸見え”だと言うのか。それは妻の股間であろう。夫はそれに気付かずに笑っているのである。まんまと出し抜かれて、己が妻の輪姦ビデオを見せられているのだ。なぜ気楽に笑っていられるのか。伴侶の恥部に見覚えはないのか。自分以外の男のペニスが、避妊もせずに妻を犯しているというのに! さらに、自分さえ使ったことのない性器、尻の穴まで知らぬ間に貫通させられているというのに!

男達はそれを承知の上で、彼を愚弄しているのだ。度を越した悪趣味である。彼らこそ稀代の悪党であることは言うまでもない。しかし、夫もまたあまりにも間抜け、あまりにも不用心である。そしてまた、この夫にしてこの妻ありで、彼女こそある種諸悪の元凶といって過言ではないだろう。要するにこの空間には狂気だけが渦巻いており、ここにはまともな人間など一人も存在しないのである。

それを象徴するかのように、ビデオの中の倫子が狂おしく喘ぐ。

『アァハアァ~……ァンン! アアッ! アッ! アッ! ハッ! イヤッ! イヤァッ……イ、イイィ~……ィヒイッ!』

その声を耳にしても、夫はまだ無邪気に見入っていた。なんとなれば、興奮すらしている様子だ。

そんな彼に、榊原がまた囁きかける。

「どうです? こういうの見てたら、おさまりつかへんようになってくるのとちゃいますか」

彼はそうして次の店への移動を勧めるのであったが、今までの流れからして、それが健全な提案であるはずなどないのであった。

「いい店あるんですか?」

夫は乗り気である、情けないことに。

「そういう話でっせ? ねえ、マスター」

榊原は向きを変えて矢板に尋ねた。

「ええ。お連れさんはもう行ってらっしゃると思いますよ」

矢板はそう答えながら、電話を取って番号をプッシュしだす。タクシーを呼ぶのである。彼はその間も、倫子に男根をしゃぶらせることに余念がなかった。現在の番は彼であった。もちろんのごとく、空いた袋田の竿をしごきながら、倫子は彼らの肉棒に奉仕し続ける。

冷静に会話を運びながら淫らな行為に及ぶことは、矢板にとって朝飯前である。とうとう最後までその状態のまま通話を終えた。すると、彼は口淫中の倫子の髪を撫でながら、おもむろにこんなことを言いだした。

「わたしもちょっと行ってみようかな。――じゃ、準備するか」

それは言わずもがなの独り言、特に後半の一文はそうに違いなかったが、その折に際して、彼は袋田、榊原、そして倫子に向けて素早く目配せをした。果たして、これは意味のあることであった。

突然その場にしゃがみ込んだ彼は、やおら倫子の体を組み敷いたのである。


<つづく>



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[2011/11/10 00:18] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(60) 00:20

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前零時二十分


「大丈夫ですよ、奥さん。向こうからは見えませんから」

矢板はそう囁きながら、倫子の股の間に割って入る。普通ならば抗うはずの倫子であったが、ここでもやはり何もできなかった。そんな彼女を押さえつけて、矢板の男根がヌルリと侵入する。

「ほおら入った」

彼は倫子を正面から見つめながら言ったが、彼女は決してそちらを見なかった。せめてもの抵抗のつもりである。だが、そうやって視線をずらしたことで中空を見てしまい、慌ててまた眼を脇へとそらす。中空、すなわちテーブルの上には、ここから見えないとはいえ夫がいるのである。倫子はそのテーブルの淵を眺めることすら気が引けた。

「ご主人が寝てはったから店仕舞いが遅れたんですよ。ねえ、マスター」

頭上では、榊原がからかい気味に夫を責めている。

それを受け、夫は、

「すいませんね、どうも」

と、矢板に向かって謝った。ここでも軽々しい平謝りだ。しかも妻を犯している男に向かって。

だがさらに驚くべきは、これへの矢板の応対である。

「いやいや、いいんですよ。仕事ですから」

彼は倫子にペニスを突き刺しながら、彼女の夫に答えたのである。なんという大胆不敵だろうか。彼の場合、たとえ合体の最中であろうと、その冷静な会話術に変化はないのであった。

その上で彼は、倫子の唇を奪った。もうこれで、夫がなすべきことはすべて代理したというかのように。

途中、藪塚がカウンターの入り口から回り込んできたが、矢板はこれを手を振って退けた。しかしこれで、今何がなされているか、外の連中に確認されることとなる。

その間も倫子は、力無く股をおっ開げたままひたすら耐え忍び続けた。魔物の猛威は、初めゆるゆると、やがてじわじわと股間をすり寄せ回転するように動いて、次第に強い挿入で襲いくるようになった。その剛直はいよいよいきり立ち、まるでさっき入れたよりも膨張を増したかのようである。

一方で、その当人はこんなことを言った。

「あれ? 奥さん、さっきより締まりがいいんじゃない?」

相手の耳にだけ聞こえる声で囁く。

「もしかして、旦那さんの近くでヤることに興奮してるんですか?」

(そ、そんなことあるわけ……)

倫子は、その囁き声と共に耳元に吹き寄せる息にゾクゾクと総毛立ちながら、必死に唇を噛んだ。その時、かの膨張物が彼女の中の弱い部分を劇的にかすめる。

「ン……ッ!」

倫子は思わず呻いていた。

その表情を、ニヤニヤしながら矢板が見下ろしている。

「気持ちいいの? いいですよ、声出しても」

そうけしかけてもくる。

無論そう言われて、はいそうですかと開き直れるものでもなく、倫子は引き続き沈黙を守った。とはいえ、このまま倫子が黙って耐え続けても、ビデオの方は早晩素性が露見するかもしれない。これまでばれていないのがむしろ奇跡なのである。

『アッ、アッ、アンッ!』

映像の彼女は、相変わらず恥ずかしげもなく喘ぎ続けていた。その様子は、半ばやけくそ気味にも見える。彼女はいまだに、これが自分の姿だとは信じきれずにいた。

彼女自身がそうなのだから、夫にはなおさらなのかもしれない。彼は悪党どもと談笑しながら、再び酒を酌み交わしていた。いっそこのまま酔いつぶれてしまえばいいと、倫子は心ひそかに願う。それが最も現実的な助かる道ではないだろうかと。

「ああ、奥さん、奥さん……!」

矢板の腰の動きは、急速に激しくなっていった。男の道具と女の道具、二つの道具が隙間なく密着したままこすれ合って、そこに粘ついた泡を生み出す。もしビデオが流れていなかったら、その泡立つ音が夫の耳に入ったかもしれない。

こうなってくると、いよいよ最高潮である。そして、もちろん最後は……

「旦那さんには悪いけど……」

こう言いざま、彼のわだかまりは噴射していた。これでとうとう夫の役を全うした彼である。

その瞬間、倫子はわずかに腰を浮かし、キュッと尻を締め、下唇を震わせていた。彼女の中に、熱々の子種汁が大量に流れ込んでくる。また一人、彼女の上を男が通り過ぎて行ったわけだ。受け身の倫子は仰臥したまま、男の種付けの終わるのを待つ。

だが彼は三波ほど脈打たせたら、すぐに立ち上がった。但し、起きる時には倫子の手を引いて。それでどうするかというと、再び彼女の頭をホールドし、その口へ向け事後のイラマチオである。

「いやあ、ハハ。腰が疲れますよ」

矢板はそう言って、爽やかに夫に笑いかけた。

「終わった?」

渡瀬が彼に問いかける。

「いや、まだ……」

矢板は答えた。

倫子はその時、喉の入り口に注ぎ込まれる残り汁を、懸命に飲み下していた。確かにまだ、彼女の仕事は終わっていない。

だが、矢板がまだだと言ったのは、実はそのことではなかった。ほどなくして彼女は解放されたが、代わりに袋田に押し倒されてしまう。矢板のセリフに従って。

「悪いけど、袋田さん、続きヤッてくれる?」

袋田のものはすぐに入ってきた。硬さは先ほど口で確かめた通り、完全な臨戦態勢である。

あっという間の矢板から袋田への交代。しかも二人とも初めての相手。それを当たり前に受け入れていく倫子。今夜の彼女の使命である。

「すいませんねえ」

また何か言われたのか、今度は袋田にも誤っている夫。一体どんな作業をしていると思っているのだろうか。

それに対して、袋田もまた、

「いえいえ……」

と軽く返事をしつつ、問題の作業に精を出す。


<つづく>



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(101)05:52~(110)07:07(111)07:15~(120)08:35

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[2011/11/11 00:20] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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