おことわり
R18
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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

旧居出し納め・新居出し初め
「いやあ、二人のおかげで、ホント捗るな」
啓成(ひろしげ)は隆々と筋肉の盛り上がった前腕で、日光にきらめく額の汗を拭った。褒められた二人は「いやいや」などと謙遜している。彼らもまたいずれ劣らぬ筋肉の持ち主だ。三人は学生時代のラグビー仲間で、啓成の一学年先輩が次郎(じろう)、一学年後輩が義就(よしなり)。今日は啓成の引っ越しを手伝いに来ていた。

 「ほぉんと。たった三人でもう片付いちゃった」
荷物をすっかり運び出した旧居から、セミロングの外はね茶髪を揺らしながら啓成の妻・厚子が出てくる。目鼻立ちのはっきりとした顔に派手なメイクを施した上、いかにも気の強そうな目力を湛えた、一種の美人である。ちなみに彼女と夫は元同級生で、次郎と義就を含め皆同じ学校に通っていた。

「恭章(やすあき)来い。新しいおうちに行くぞぉ!」
啓成は今日の為に借りたトラックの運転席に向かいながら、あと数か月で六歳になる息子・恭章を手招きした。息子は素直に駆けていき、父の太い腕にひょいっと抱え上げられて真ん中の席に納まる。助手席には次郎が乗り込んだ。トラックは定員の都合で全員一遍に乗ることが出来ない。大人の男三人は二人ずつ交代でこれまで二往復し家具を運搬してきた。運び出す荷物はこの便が最後である。

「出発進行!」

「オー!」
親子の元気な号令で、三人を乗せた車は走り出す。それを見送って、厚子と義就が屋内へ戻った。

「もう大体は掃除し終わったんだけど。あとさ、こういう……」
ガランとした家の中で、厚子はフローリングに這いつくばる。後から続く義就は、そのタイトジーンズの尻を絡みつくような視線でじっとりと眺めた。はち切れそうな程ピチピチに張った尻の表面には、くっきりとV字形の曲線が浮き出ている。彼はおもむろにそれへ近づくと、戯れに己の股間をピッタリとその谷間へ押し付けてみた。

「ちょっと、何してんの!」
驚いた厚子が咄嗟に腰を引いて逃れ、振り返る。その緩い胸元を、義就はじっと見つめた。厚子はその意味に気付いてTシャツの襟を押さえる。主張の強いGカップが深く黒い谷を覗かせていたのだ。

「相変わらず、でっけえな」
心の声をそのまま声に出す義就。あえてズケズケと品評するのも昔馴染みの気安さからだ。かつて一度は我が手中に収めた物。厚子と義就は学生当時に恋人同士であった。まだ啓成と付き合う前の話だ。

 彼は今日一日ずっとムラムラしていた。久しぶりに昔の女と会ってみれば、驚く程その体型が変わっていないばかりか、年輪を重ね、人妻となりまた母親となって、むしろ当時より強烈な色香がムンムンと肌から立ち上っている。作業をして汗ばんでくればなおさらの色気だ。

 朝からじっくりと盗み見てきて、義就はもう我慢の限界だった。

「あっちゃん!」
言うが早いか組み付いて、またぞろ股間を尻に押し付ける。

「キャッ!」
厚子は逃げる。床板に指を立て、這いつくばって前進する。男はそれへ覆いかぶさると、ある秘技を使った。

「ちょっと、やめて!」
たちまち苦悶の表情を浮かべ、女の口元が緩む。それは義就の得意技、押し倒しながらの全身くすぐりであった。あらかじめ弱点は心得ているのでツボを押さえるのは造作もない。甘え上手な後輩カレシは、よくこれを使ってじゃれたものだ。彼女の身もだえようは、ウィークポイントが年を経ても変わらないことを証明していた。

「ちょ、ムリムリ、ほんっと無理ってば」
多少の懐かしさも覚えつつ、厚子は苦しそうに笑いながら身をよじって逃れようとする。義就はもちろん逃すまいと押さえ、巧みに服を脱がそうとする。まずジーンズに手を掛ける。と、厚子がそこをガードしにくるので、今度はシャツをたくし上げにかかる。慌てて厚子がそちらに向かえば、改めてジーンズを。こうして、厚子の肌は徐々に剥き出しになっていった。

 さあここまでくると後は簡単だ。確かに昔馴染みの油断もある。大体レ○プというのは知人によって行われるものだ。厚子も無論抵抗し続けたがそこは女の細腕。所詮男の、しかも剛腕な彼には敵いようもなかった。床に突っ伏して抑え込まれ、

「ちょぉっとぉ!」
非難も虚しく義就の勃起が厚子の背後からぶっ刺さって消える。下着を肉棒そのものでずらし、汗まみれの素肌を滑って、熱く蒸れた肉穴の奥へと、深く深く。

「スッゲ! 寝バックのマ○コ気持ちいい!」
家具もないガランとした部屋の中で重なり合う男女。強引にブラジャーごとめくり上げられ、露出した乳房がひんやりとしたフローリングの上にひしゃげる。横にはみ出たスライムのようなそれを、義就は倒れ込んだまま撫でまわした。手の平にポチャポチャした柔らかさが心地よい。そうしながら、じっとりと汗ばんだ後ろ髪の生え際に唇を寄せる。

 ゾワゾワと総毛だたせて、厚子は歯を食いしばった。過去の男に情愛など無く、今は純粋に友人として見ている。夫が助っ人に彼を連れてきたのには驚いたが、吹っ切れている分素直に受け入れられたものだ。だからこそ、この仕打ちは悔しかった。何より己の脇の甘さに腹が立った。

 とはいえ、事ここに至りなばもう終わるまで耐えるほかない。新居まで片道ニ十分。これまでの経験上、大体トータル一時間前後で行き来するはずだ。それまでになんとか! 夫も子 供も悲しませたくない彼女である。

 ゴリゴリに固まり切った怒張が、パチュンプチュンと小さなあぶくを弾かせながら、入り口の肉壁を両脇へこんもりと盛り上げつつ、しっかりとくっ付いたまま激しく出入りする。

「たまんねえよ厚子。お前も久しぶりのチ○ポ気持ちいいだろう」
勝手な男は一人悦に入っている。黙りこくっている女にもお構いなしに、密着して腰をくねらせる。男の腹と女の背中。裸の体温が互いに伝わり合う。それが男には心地よく、女には不快に受け取られた。

「旦那のチ○ポよりいいだろ。なあ、お前オレのチ○ポ大好きだったもんな」

「(そんなわけあるか!)」
厚子はどちらの問いも一蹴したが言葉には出さなかった。ただただムカムカした。入室を許可していない男は、しかし強引に居座って室内を荒らしまわっている。例えば天井を叩き、例えば床を踏み鳴らし、その上壁に汁気を撒き散らす。

「あの頃は生でヤらせてくれなかったけど、やっぱ生気持ちいいわ」
そう言われて厚子はハッとする。案の定、彼の台詞は次の通り続いた。

「なあ、このまま中出ししていい?」

「は? テメェ、ふっざけんな!」
これには遂に厚子も声を荒らげざるを得なかった。それも若い頃のようなお里の知れる口ぶりに戻って。冷静に言えば、避妊せずに交わりだした時点で危険なのだが、それよりもコイツの吐き散らかしが体内に注がれることこそ不愉快だったのだ。

「いいじゃん、いいじゃん」
義就は笑いながら言って上体を起こした。うつ伏せの女体に騎乗するような格好となる。その体勢で尻の両肉を広げると、肉棒をくわえている膣がパックリと開いてよく見えた。フニャフニャとした尻肉を両手で持って水面のように揺らすと、汗のたまった肛門までパクパクと開閉する。彼は上からその光景を見下ろしつつ、自身を出し入れして愉しむ。挿入当初は湿り気程度だったのが、いつしか穴の内部までヌルヌルと濡れそぼっている。

「エー、ダメ?」

「外に……ていうか、早くして!」
急かしたのは終わりを促す意味だったが、相手には伝わらなかった。むしろ気分が乗ってきたと捉えたものだ。義就は厚子の腰を持ち上げると、そのまま四つん這いにさせて後ろからガシガシと腰を叩きつけた。

「ちょ……早く(終わって)」

「なんだ、まだ早く? そっか、激しく突かれるの好きだもんな」

「ちが……」
パンパン、パンパンと空の室内に響き渡る、男と女の肌がぶつかり合う音、それから豊満な乳房同士が弾け合う音。厚子の鼻腔から刹那的に甘い吐息が漏れる。女とは経験を積むほどに男が恋しくなる生き物。まして日頃は夫婦という許された関係の中でのみ体を重ねていたら、その反動でどうしてもその場に臨んで慣れた反応を示してしまうもの。恥部が濡れるのも声が漏れるのもそういう理屈だ。

 義就は義就で、この久しぶりに手に入れた肉体を我が手に取り返すべく、まさに男を見せつけるべく奮闘したものだから中々に粘った。元々性には強い方だ。厚子が彼をフッたのも、実は彼の求めるしつこさとその態度の軽薄さの故である。

 男女はくんずほぐれつ揉み合い、ほかに誰もいない住居で恥知らずな営みを続ける。綺麗にした床を汗まみれで転がり、二人でハアハア言いながら、我が物顔でこの家を占拠している。本来主人夫婦がするべき営み。しかし夫は既に去り、残った妻だけが頑張っている。この家で最後に作られる命は、妻と間男による婚外子となってしまうのか。

 時間は刻々と流れる。体位は後背位から正常位へと移っていた。厚子は間男の手で大股開きさせられ、揺れ回る乳房も全部さらけ出している。ドスドスと上から下へ杭のように打ち付けられる男根。まだイかない。

「ンッンッ……!」
向かい合う相手の体を突き放そうともできず、厚子はしおらしく手の甲を口元に当てて眉根を寄せた。目は開けない。一つには男を見ないためで、もう一つには自分との闘いだ。女故に体が返してしまう反応を認めたくない。

 そんな中、遂に恐れていた時が訪れた。外に車のエンジン音が聞こえだす。それほど長く交わっていたのか、あるいは想定より早く戻ってきたのか。とにかく厚子にはすぐに危機が分かった。義就の胸をドンドンと叩き首を横に振る。

「ムリ! もうムリ!」

「あとちょっと、もうちょっとでイくから」

「ムリだって! 終わって! 早く!」

「中で、中でいい?」
厚子は遂にヤケクソでブンブンと頷いた。

「いいから、早く終わってぇ……!」
義就はラストスパートを掛けた。玄関の外ではもう話し声がする。ひと際高く聞こえるのは恭章の可愛い声だ。それを聞きながら、父ならぬ余所者男は全部の種汁を膣内に流し込んだ。そうしながら倒れ込み、厚子に唇を重ね、無理やりそれを開くと舌をねじ込む。ネロネロと舌を絡め、最後のとどめとばかりねぶり倒す。厚子はされるがままだ。

 気が気ではないスリルの中、痴穴を収縮させる厚子。肉体は桜色に染まり、少し前とは違った発汗で全身を濡らしながら肩で息をする。しかしその後の行動は速かった。彼女はすぐさま起き直って身支度を整える。

「おう、どうだ片付いたか」
息子を伴って啓成が入って来る。

「うん、まあ、大体」
そう言いかけて、厚子は慌てて手元の雑巾を取り寄せ床をさっと拭いた。先程自分が付けた背中の汗が跡になっているのを見つけたからである。彼女はそれを気取られないように早口で続けた。

「まあ、残ったとことか、あっち片付けてからまた来てやろっかな。後でまた思い出すこととかあるかもしれないし」

「そうか」
夫は特に気にすることもなく、

「しっかし、暑いな、この部屋」
と、室内に漂う独特の熱気に辟易し、シャツをつまんでパタパタとやった。その後ろで義就は涼しい顔をしていた。







 今度は新居に移動だというので啓成と恭章はトンボ返り、荷物の上げ下ろしがないからと厚子が同乗に立候補して、ようやく家族揃ってトラックに乗り合うこととなった。義就は待機である。ちなみに次郎は新居で待っている。

「すぐ迎えに来るからな」
啓成は義就に言ったが、当初はゲストの彼を先に乗せ、妻を後に回すつもりだった。それが、どういうわけか彼女が先に行くと強く主張するのでこうなったのである。

「後、ちゃんとしといてね!」
義就へ向かって、にわかに馴れ馴れしく厳しい指示を出す厚子。夫は少し驚いて首をかしげた。

「い、いいのよ。後輩なんだから」
確かに義就は二人に共通の後輩ではある。そういうものか、と深く考えずに啓成は車を出した。行程はニ十分程度のはずが、実際には十分少々で着いた。

「抜け道を見つけてさ」
そう言って笑う啓成。母子は揃って車を降りた。

「ウ~ン、やっぱり新しいおうちはいいなぁ!」
厚子はさっきまでの気分を切り替えようと、少し大げさに張り切ってみせながらリビングに入ると、そこで先客と目が合って思わず顔を赤らめた。次郎が待っていたのである。その傍を恭章が走り抜けていく。

「ねぇねぇ、ママ来て」

「どうしたの、ヤッちゃん」
彼が導いたのは二階にある自分の部屋だった。初めての自室である。そこには既にベッドと学習机が運び込まれていた。

「あとねえ、これ、エヘヘ」
それは真新しいゲーム機だった。

「あぁ、それ、もう開けちゃったの?」

「うん、パパがね、開けていいって」

「もぅ、あとでママにも見せてね」

「うん!」
彼は元気よく頷くと、早速ゲームをプレイし始めた。母は微笑んで部屋を去ろうと振り返る、その刹那であった。背後から忍び寄っていた次郎に出会い頭で唇を奪われた。あまりに突拍子もない事態に厚子は対応できないでいると、同時に彼によって羽交い絞めにされ、背中と尻を撫でまわされる。

 息子が何と言うか。だが反応はない。彼はもうあちら向きになってゲームに熱中しており、背中越しで始まった事件にまるで気付いていなかった。

 厚子は身悶えしたが例によって身動きできない。一旦接吻は外れたが、このまま声を上げては抱き合っている所を見られてしまう。彼女はやむを得ず首を横に振って目配せし、微かに相手を後ろへ押した。目だけで語り合う男にもその意図は伝わったらしく、彼は後ずさりして二人は廊下に出る。

 だが、出た所ですぐさま彼の攻撃が始まった。左手で乳房を鷲掴みにし、右手で股間をまさぐる。

「や、やめて!」
小声で訴えるが聞く耳を持たない。次郎は強引にジーンズを脱がそうとし始めた。この男も義就と犯意は同じなのは明らかだ。どうしてこう偶然にも立て続けに襲われなければいけないのか。厚子は彼に対してもまた油断していた浅はかさにげんなりした。

 次郎はあくまでも強引にジーンズを脱がそうとする。その揉み合いの中で彼女のボタンがちぎれ飛んだ。それはカツーンと音を立てて床に落ち、ジリジリと端を振動させた後ペタリと平たくなった。音は小さかったが静かな家の中では多少響く。

「ママ?」
恭章が顔を上げる。開けっ放しのドアの向こうには誰もいない。厚子は咄嗟に言った。

「ママね、下でお片付けしてくるから、ヤッちゃん、そこでゲームしてて」

「うん」
元より望む所だと彼は一も二もなく快諾した。その時、少しばかり緩んだ腕をかいくぐって、厚子は階下へ急いだ。次郎もピッタリと追ってくる。だが彼女には望みがあった。一階へ下りれば夫がいる。さすがに夫の前では暴挙に出られないだろうと。

 そういえば、夫は車を降りたか。階段を下りて、いや正確には下り切る一歩手前で彼女は気づいた。そうだ、アイツを迎えにいくと言っていた。トラックは無い。もちろん夫もいない。当ては、外れた。

「あっちゃん!」
次郎が後ろから組み付いてくる。

「やめて! 子 供がいるのよ!」
大声までは張り上げられぬものの、厚子は厳として抵抗する。ガサツに股間をまさぐられれば、先程注入された精液がチャプチャプと溢れ出しそうだ。それを知られるのも苦痛である。しかし当然に相手はやめてくれず、ボタンが外れて開いた引っ掛かりからファスナーを、まるで引き裂かんばかりに開いていく。

「うぅぅ……!」
腕を突っ張って抗っても、やっぱり先は見えていた。

「(どうしてこうも……)」
理不尽だし、情けない。こんなことになってしまって悔しい。それにこの人は昔からこういう所がある。厚子は思い出していた。彼女が次郎と別れたのは、口数少なく強引にことを進める点に半ば恐れを抱いたからである。そう、彼ともまた学生時代に付き合っていた。義就と付き合う前である。

 ソファーに押し倒された後で、ブンブンと両足を持ち上げられ、厚子はジーンズとパンティを膝まで脱がされた。その状態で指を秘穴にねじり込まれる。

「いやぁ…!」
羞恥の故の拒絶である。その中指にはネットリと白濁液がまとわりついたが、幸か不幸か彼は正確な意味を理解しなかった。確かに、ついさっきまでほかの奴とセックスしていたなんて想像しようもないことだ。次郎は何回もそうやって野太い指を出し入れし、肉穴を存分にほじった後、露出させた自らの怒張を迷うことなくそこに差し向けた。

「(ウソでしょ……?)」
愛撫も何もない。されたいわけではないが無い。そういえばそういう人だった。これも思い出したことだ。

「やめてよ、次郎さん、お願い」
最後の嘆願をしてみたが届かなかった。

「あっちゃん、ごめん」
言い終わる時には入っていた。高々と両足を肩に抱え上げられたまま、男根が一気に肉ビラへと沈んでいく。いとも簡単に入るものだ。

 旦那と比べさせるようなことを義就は言っていた。確かに各々形が違う。こうして立て続けに喰らうとなお分かる。それに昔の男の形なんて忘れ去っていたが、一遍に思い出すものだ。とはいえ、夫と比較したとて結果は見えている。もちろん、夫のだけがイイ。

「(ヒロ君ごめん)」
他人棒を突き立てられながら、厚子は心に詫びた。注意は階段の方に向いている。息子が下りてきたら終わりだ。

「(ヤッちゃん見ないでね。ごめんね。ママ、ママ……)」

 次郎は交わりながら彼女の衣服を剥ぎ取っていった。あろうことか上半身さえひん剥いたのである。

「いやぁ……いやぁ……」
ほとんど泣き顔になって厚子は許しを請うたが全く顧みられなかった。数分後には、座った彼に対面する格好で腰振り踊りを演じさせられることになった。

 ちょうどその時である。

「こんにちは。あら、今いらっしゃらないのかしら」
門扉から中を窺う声がした。近所に住む年配の世話焼き主婦である。引っ越しのさなかで先方は忙しいに決まっているが、自分はいち早く挨拶したくてたまらないのである。厚かましい彼女は、しきりに、

「あら、あら」
と言いながら敷地内まで入ってきた。そこで屋内にふと目を向ける。カーテンはまだ取り付けられていない。リビングの中は丸見えだ。バッチリと厚子と目が合う。乳房丸出しである。男と向かい合っている。背中越しだが、男の背も裸である。

「あっ、あらあらあら、まあまあまあ!」
主婦はあからさまに愛想笑いして頬を紅潮させた。

「お忙しいみたいね……どうも失礼しました」
誰に言うともなしに一人で喋って、彼女はそそくさと退散していった。

「(ああ……!)」
引っ越し早々の失態だ。彼女は脱力した。それもこれも目の前のバカ男の所為である。バカ男はただ芯棒だけを固くして、脱力している女体を貫き内側から支えている。

「(早く、早く終われ!)」
最終的に夫が戻るまでに事が済みさえすれば助かる。今の所まだ知らない人にセックスを見られただけだ。彼女は自分の顔も夫の顔もまだ知らない。浮気ではなかったということにできる。厚子はそう強く信じることにした。

 それにしても、片道に十数分。近道を見つけたと言っていたが……

「(来た!)」
本日二度目の危機である。トラックが帰ってきた。

「終わって! もう終わり!」
なりふり構わずに暴れるが次郎は離してくれない。男共はどうしてこうも往生際が悪いのか。次郎は体を離すどころか結合したまま抱え上げて、どこかへ移動しようとしている。

「服! 服!」
厚子はパニックになって脱ぎ散らかした服を指さした。すると次郎は己の服だけ拾っていく。そして、女共々とうとうそのままトイレに駆け込んだ。

「服……」
絶望した面持ちで固まる厚子。間もなく、彼女を探す声が聞こえた。

「厚子? 厚子?」
夫の声だ。

「い、今トイレ……」
不審がられる前にと自ら申し出る。次郎の体は離れた。だが素っ裸では逃げられるはずもない。夫は扉の前まで来た。

「トイレか。あのさ、冷えた飲みもんとかさ、あとつまみとか、なんかすぐ食べられるもんとか買い出しに行ってくるわ」

「そう」

「お前どうする?」

「うん、あたし、掃除とかしてるから、手ぇ離せないかも……」

「そっか、だよな。じゃあ、義就と行ってくるわ」
義就は今運転席で待機中である。

「ごめんね」

 その時、一旦離れていた次郎が再び動き出した。入り口に向かって立っていた厚子の腰を引き寄せ、背後から接続する。

「(ええっ!?)」
ズルリと、また呆気なく入ってしまった。今そこに夫がいる。扉たった一枚隔てて夫がいる。それと相対しながら、妻は別の男に貫かれてしまった。

「(ウソでしょ!?)」
不可抗力とはいえ、なんて破廉恥な行為をしているんだろう。

「(ヒロ君、許して……)」
下唇を噛んで罪悪感に震える妻。先程他人に見つかった時より後悔が大きい。同時に他人棒の存在感もまた大きい。ますます大きくなって体内の中心を占めている。言い訳しようもなく、根元までズッポリと入っている。つまりは女体がそれをくわえこんでいる。

「(もう、許してぇ!)」
扉に手をつくとガタガタ鳴りそうなので、厚子は木枠の細い部分にやっと手を突っ張って耐えた。攣りそうである。この筋肉の震えがまた情けない。間男は音を立てぬよう慎重に、それでもやはり腰を使う。厚子を愉しむことをやめない。彼の動きにつれて、木枠に伸ばして開いた両腕の間で豊かな乳房がブランブランと卑猥に踊る。

「なんか要るもんある?」

「ア、うん、ンン……そうだな、ア……今んとこ、オォ……大丈夫かな……アァ……」

「そうか。あれ? そういえば次郎さんは?」

「さあ……アァァ……」
さあも何も、今まさに中に、それも女房の中に“居る”。次郎は存在を自白するかのように、ここで自身をより大きく抜き差ししてみせた。個室内にはヌチャヌチャとぬめる音が立つ。濡れそぼった妻膣はきつく収縮していた。中でピュッピュッと先走り精液が漏れ飛ぶ。厚子は鼻をヒクヒクさせて切なげにドアを見つめた。

「そうか、あれ……? まだ帰ってはいないよな。外出てんのかな」

「わかんない……イヒィ……」
出ているといえば出ている瞬間もあるし、出していないという意味ならまだである。

 ともかくも、とりあえず啓成は会話を打ち切り、

「じゃあ、行ってくる」
と言って、去っていった。中の両名は安堵し、次郎は便座に腰掛け、厚子は引き寄せられるままに力なく彼の上に座った。だが、安心するのはまだ早かった。

「あっ! 厚子、お前!」
遠ざかったはずの足音が再び近づいてくる。厚子はうろたえて手を壁に突っ張った。腰はしっかりと掴んで固定されたままで逃げ場はない。

「脱ぎっぱなしじゃないか」
やはり見つけてしまったのである。

「下着までこれ……」

「ごめんなさい……イヒィ……」

「ごめんじゃないよ。ヤッちゃんにお説教できないよ」
夫の指摘はもっともである。そしてそれ以上に責められるべき罪が今なお継続中である。

 その時、厚子はさらにとんでもない事実に気付いてしまった。

「(鍵!? 鍵!)」
個室に鍵をかけていない。なんということだ。掛けようか、いや届かないか。いや届いたとて今さら掛けるのは変か。

「(どうしよう! どうしよう!)」
今の厚子はまるで洋式便器に座る様に扉を向いて腰掛けているが、実際は便座の上の、次郎の上に座っている。そして当然の如く彼によってその身は串刺しにされているのだ。しかも真っ裸で! これでは扉を開けられた瞬間に、他人棒を深々くわえ込んでいる妻の正体を、真正面からパックリご開帳することになってしまう。

「(どうしようどうしようどうしよう)」
全身の毛が逆立ち、脂汗が止まらない。体中が燃えるように熱く、毛穴という毛穴から蒸気が立ち昇る心地だ。

「(大丈夫開けない大丈夫、あの人は開けない、そんなことしない)」
啓成は優しく紳士である。そのはずである。

「パパー? 帰ったの?」
そこへ息子がやってきた。

「あ、ヤッちゃんに見つかっちゃったぞぉ」
どうやら父は母の脱ぎ散らかしを息子に見せているようだ。二人で笑っている。平和な家族の光景である。しかしこの平和は扉一つで崩壊するのだ。母は今、世界崩壊の引き金である。

「(開けないでお願い開けないでお願いヤッちゃんお願い開けないでお願い、ママ見ないでママ見ないで、ダメ……!)」
悲壮な祈りの中、気が遠のいてきた。もし扉が開いた時は、本当に気絶してしまうかもしれない。ギューッと心臓が締め付けられる。全身がこわばる。女陰の中も引き締まる。いきり立った男根は限界に達した。

「ヒィッ!」
あらぬ声を発したその身の奥に、凄まじい勢いの子種汁が遡ってきた。

「ウッ……ハッ……!」
ドクンドクン、ドクンドクンと溢れかえってくる。説明されなくたって一発で分かる。今種付けされている。体の中で男が射精している。自分の体だから分かり過ぎるほど分かり切ってしまう。元より妻だから。夫との夜で最も幸せに達する瞬間。熱い。熱い。そしていつも自分も……

「ハアァー……ッ!」
情けない。夫と息子を近くに感じて、母はただの女だった。

「ママ、ダメだよぅ」
息子が言っている。これからドアノブに手を伸ばすところだ。

「ごめんね……」
グウッと顎を上向かせ、トロンとした目の端に涙をためる厚子。

「(ああ、来る……もう……)ダメェ……!」
目を白黒させながら、明後日の方向を向き口をあんぐりと開けっ放しにする。それは緊迫感の極致で絶頂に達した瞬間だった。程なくして彼女は失禁した。家族の目の前で、母は精子注入されながら小 便を漏らしたのである。その飛沫は、あるいは次郎の腿を濡らして便器に落ち、あるいは弧を描いて床に散った。新居で最初の汚れである。

「コラ、開けちゃダメだよ」
父にたしなめられ、息子は手を引いた。

「じゃ、行ってくるから」
夫は改めて買い物に出かけ、息子は自分の部屋に帰った。

 厚子は今は完全に後ろの男に身を預け、しばしぐったりとしていたが、彼に促され、崩れ落ちるようにして床に手足をついた。自分で作った生温かい水たまりの中である。陰毛の先からポトンとそこへ新しい雫が落ちた。そうして求められるがままに、事後の陰茎を舐め浄めさせられた。逞しい彼のものは悪びれもせずに彼同様の仁王立ちである。

 その後、個室を出た彼女は、邪魔者が去ったということで当たり前のようにもう一発種付け交尾させられた。まだ我が子が二階にいるこの家で、夫婦のようにまた熱い営みに励む男女。新居で最初に妻と子作りに挑んだのは、本来の夫ではなく余所の男ということになった。

 事後、厚子にとり何が辛かったといって、自分で汚した個所を自分で掃除しなければならなかったことである。自分がばら撒いた汗、愛液、尿。そして自分に出された精液。これらを、折角用意した真新しいタオルで拭き取るのは惨めだ。

 ともあれ、こうして彼女の不幸で多忙な引っ越しは終わった。

 さて、客人も帰って、息子がいつもよりも早く眠った夜、厚子にはまだ大事な用があった。

「ねぇ、ヒ・ロ・くん」

「なんだよ」
啓成はとぼけて見せたが、その実分かっている。こうして妻が甘えてくるのは、彼女が求めている時だ。彼は受け入れる。断ったことなど一度もない。そして毎回妻を徹底的に満足させる。

「(旦那より気持ちいいですって?)」
厚子は手でクリクリと夫の亀頭を転がし、やがてうっとりした面持ちで頬張る。

「(コレに勝てるわけないじゃない)」
口いっぱいに愛する人の味が広がる。美味。

 二人はやがて一つになった。

「ア……アァ……ン……」
歌うように自然に愛欲の声が漏れ出る。心から悦楽の響きだ。一突きごとにイく。昼間のなんて比べ物にならない位の深い充足感。この頼もしさよ。今日のアクシデントでは返って欲求不満になってしまった。それを彼は余すことなくフォローしてくれる。

 厚子は寝そべった夫の上で踊りながら窓の外を眺めた。月がキレイだ。カーテンはまだ付けていない。ふと人影に気付く。それは夜のウォーキングに出ていた例の主婦だった。

「ホホホ」
主婦は顔を赤らめながら軽く会釈して過ぎた。

「やだぁ……(また見られた)」
だが後悔は不思議とない。昔の男達をフり、啓成を選んだこと。これが絶対的に正しい。それだけで満足する。

「(ご近所にスケベな奥さんってバレちゃった)」
厚子は母であり妻でもあるが、もちろん女なのである。


〈おしまい〉
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