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なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

    
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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

夏のおばさん(前編)

『夏のおばさん』


「スイマセン」

ふいに声をかけられて、郁恵はまぶしい空を振り仰いだ。見れば、日に焼けた若者が、こちらに笑いかけている。

「一人っすか」

「よかったら一緒に遊びませんか」

矢継ぎ早に質問を浴びせてくる彼の目的は、一見して明白な、ナンパだ。

「エー、どうしようかなぁ……」

郁恵はまんざらでもなさそうに、にこやかな困り顔を作ってみせた。

それを見て、好感触と受け取った若者は、さらに押しの一手を打つべくパラソルの影に足を踏み入れる。

が、それ以上の交渉は、断念せざるを得なかった。

「オーイ」

「お母さん」

口々に呼びながら駆けてくる者達がある。子どもと大人とが入り交じった一群、どう見ても家族の体である。

それを見た若者、

「あ……失礼しました……」

きまり悪そうに言葉を濁し、たちまち去っていった。

それと入れ違いに、パラソルの下に入ってきたのは夫、

「イヤー、暑い暑い」

と、すっかり日焼けした贅肉をブルブル揺らしながら、バッグの方にしゃがみ込んだ。これからビールでも買いに行こうというのであろう、中から財布をつまみ出す。

「今ねえ、ナンパされちゃった」

彼に向かって、妻は今さっきの出来事を報告する。

「え?」

夫、特に気も無く聞き返す。

「サーファーみたいな男の子。結構イケメンだったなあ……」

妻は、格好のネタとばかりに、嬉々として話を続ける。

これを珍事と判断したのは夫も同様で、彼も少しだけ話に乗った。

「お前みたいな子連れのおばちゃんをか?」

皮肉っぽく口辺を歪めて尋ねる。

「あん、子ども連れとは思わなかったのよ。でもビックリでしょ、ウフフ」

「大方傘で顔まで見えなかったんだろうよ。それか、暑さでおかしくなっちゃったか……」

夫婦は軽口を言いあって、このちょっとしたアクシデントを笑った。

「――お前もそれ脱いで、泳いでこいよ。イケメンがまた寄ってくるぜ」

夫は妻のシャツを指さしてそう言うと、自分は海の家の方へと歩いていった。

「んもう」

妻は、少しく不満そうであったが、続々と戻って来た子どもたちが口々にせがむので、

「はいはい、分かった分かった」

と、一転快活に、軽い足取りで海へと向かった。

シャツを脱げば下はビキニ、なるほど、男の目に留まるのも不思議ではないたっぷりとした盛り上がりが際立っている。この豊満さにしてこの露出ぶり、ナンパは笑い飛ばしてみても、あながち色気がないではないのだ。

ところが、この色気があだになった。海に入って間もなくのこと、ふいの高い波にさらわれて、なんと胸の水着が外れてしまったのである。

「キャッ!」

慌ててこぼれた胸を覆い隠す。だが水着は見当たらない。郁恵は、しかし狼狽するほどのこともなく、愛嬌たっぷり、余裕たっぷりに子ども達に向かって救援を申し出た。

「ねえっ」

一言呼びかけ、次いで水着の捜索を依頼しようとする。が、それより僅かに先んじて、後ろから肩を突っつく者があり、とっさに振りかえった。

「どうも、さっきは」

笑顔の青年。波間からへそより上を出して、こちらに笑いかけている。どうして忘れようか、これなんつい先程声を掛けてきた、ナンパ青年であった。

「あら……」

郁恵は胸元に置いた腕を前よりきつく締めると、ちょっと膝を折って、首まで波の下に隠れた。

「オレも交ぜてもらえませんか」

「え?」

「ボール遊び。なんか楽しそうだなあって」

彼は言った。見ず知らずの青年ながら、郁恵ら家族が興じていた海中バレーに飛び入りで加わりたいという。

郁恵は、時が時だけに困惑した。

「ええっと……」

すると、彼女がためらう中、青年は急にくすくすと笑いだした。

「ひょっとして、何か探し物っすか?」

そう言って、さらに肩を震わせて笑う。

「え、あ、まさか……」

郁恵は不審そうに眉根を寄せた。

果たして、そのまさかだった。青年が海中からスーッと出した手に、オレンジ色の布と紐が握られている。

「あっ!」

郁恵は、思わず眉を上げて叫んだ。

「さっき見つけたんすよ」

彼は手に持ったそれをひらひらと振ってみせる。

郁恵はさすがに決まりが悪くなって、

「あの……ごめん、それ……」

と、ややしょんぼり首を前に出しながら、

「それ、あたし……おばさんの……なの。あの、ありがとう……」

何となく言葉を選び選び言って手を差し出した。

「へえ、おばさ……つうか、お姉さんのっすか」

青年は悪びれもせず、あっけらかんと驚いてみせた。だが、その後の行動は、到底無邪気なものとは言えなかった。

「けど、これデカ過ぎません? こんなあるんすか、お姉さん」

そう言いざま、彼はその布地を自らの胸に当ててみせる。

「ちょ、ちょっと、何するの!」

びっくりして、郁恵はそれを取り上げようと手を伸ばす。が、生憎なことに結果は空振りであった。

「ねえ、さっきのナンパの返事、まだ聞いてないんだけど」

青年は、彼女をかわしながら、地面を蹴って後ろに下がっていく。

「は? 返事?」

強い語調で聞き返す郁恵。相手を追うその指先は、依然空をかすめるばかり。

「このままさあ、一緒に泳ごうよ」

ナンパ男は言った。その顔には満面の笑みが広がっていた。

片や、追う郁恵、このまま行けば、実際そういうことになりかねないと、ちょっと冷静になるべく一瞬立ち止まってみる。その表情は険しい。

既に些かの距離を沖の側へと移動していた。浜の方を振り返ってみる。波打ち際に近い所で、我が子とその従兄弟らが夢中で遊んでいる。現金なもので、向こうから誘っておいて、もう今は母のことなどお構いなしの様子である。その向こうでは夫が、ビールをたらふく飲んで、すっかり昼寝を決め込んでいる。

「んもうっ!」

郁恵は頭にきた様子で、沖の方に向き直りきっとそちらをにらむと、大胆な動作で青年の方へと踊りかかった。

「返しなさいよ!」

今や完全に立腹した彼女である。なり振り構わずに水着に向かって猛進していく。

「おおっと、こっちこっち」

青年は軽快にそれをかわして後ろへ飛んでいく。すっかり彼のペースだ。たまに追跡者が息切れして立ち止まると、

「どうしたの? いらないの、このでっかくて恥ずかしい水着」

と、頭上でオレンジ色をブンブン回して煽りたてる。もう丸っきり幼稚な、例えば、幼馴染の学生などなら絵になりそうな追いかけっこだ。

この陽気で間の抜けた展開に、覚えず郁恵の頬にも少女の頃の面影が蘇りそうになる。が、それを自覚したのかすぐさま、

「もうっ! いい加減にしなさいよ!」

と、苦虫をかみつぶしたような表情に戻る。そうして、必死で彼を追いまわしていく。

ただ、僅かな気の緩みが、時に致命的な失点にもつながるもので。いつしか郁恵の足が砂地から離れるような地点まで来た時、ちょうどそのタイミングで、ようやっと彼女は相手に追いついたのだが……。

思わずギュッとつかんだのは、水着というよりも彼の腕、そして肩。細身のイメージに合わないがっちりとした筋肉だった。

「アーア、つかまっちゃった」

彼は嘆きながら、両手をおもむろにそのまま彼女の背中に回す。

「ちょ、ちょっと、早く返して!」

うすら寒いものが背筋を走ったのか、ふいに身震いし、郁恵は強硬にもがいた。ところが、細い割に腕力のある彼の腕はびくともしない。それどころか、彼女の腕の自由をさらに狭めようとすらしてくる。

「ねえ、もうちょっと遊んでよ」

青年は妖しく囁きながら、郁恵を羽交い絞めに抱き寄せた。ボリュームのある水風船が圧迫されて形を崩す。

「なっ! ちょっ、やめて!」

額から流れた汗が、見開いた目の横を落ちた。郁恵は肘を突っ張って、狼藉者の罠から逃れようともがく。

「ヤベ、チョーかわいいよ、お姉さん。近くで見たら、マジオレ好みだわ」

男は、舐めんばかりに顔を近づけて、安っぽい口説き文句を並べ立てる。

郁恵は顔をそむけ、

「嫌……だ、誰か……!」

と、宙を見上げて助けを求めた。これはもう緊急事態だと早くも判断したらしく。

そんな彼女に、男は冷然と言い放つ。

「無理無理、来ねえよ。てか、誰も見てねえし。人少ねえじゃん? ここ」

確かにその言葉通り、この海水浴場の人口密度は低かった。かつて郁恵と夫は、そのことを喜んだりしたものだったが。

「誰か……!」

それでも諦めず、郁恵は助けを呼ぶ。

「無駄だってば。――けど、そうだね、変に邪魔されてもウザいし、あっちの岩場の方でも行ってみる? 二人っきりでさ」

不埒者はそう言って、不敵に笑った。彼の頭が近づいて、その茶髪が郁恵の頬に触れる。力づくで、本当に実行しそうな勢いであった。

「嫌っ! 嫌っ!」

必死で暴れまわる郁恵。海水と汗で乱れた髪の毛が、額に張り付く。

「いいじゃん、遊ぼうよ! てかさ、もうマジかわいいんだけど。人妻とかさ、子どもいるとか、もう関係ないわ。マジヤベえ」

浮ついた台詞を連発し、ナンパ男は剛柔取り混ぜて目の前の獲物を籠絡する構えである。もっとも、そのいずれもとどめを刺すには至らない。

「離してよっ! なんなの、もう!」

頑なに抵抗を続ける郁恵。その声音にはヒステリックに高い調子が混じっていた。

しかし、男は一向頓着しない。

「アーもうヤバい。チューしていい? チューしよ、チュー」

まるで酒に酔ってでもいるような強引な絡み方をする。ナンパとは飛び込み営業も同様、いささか下品な位食い下がって、己が主張を押し通すのが鉄則であるところ、ある意味、既定通りではあろうが、

「ちょっ、あっ、嫌っ! 嫌って!」

受ける方にすれば不快極まりないこともしばしばであり、現にこの場合も、郁恵は思い切り嫌がって顔を右左へと激しく振り向けた。

男は、しかし、それをものともせずに目的を遂行していく。嫌がる相手の頬に唇を押し付け、さらには舌で耳から首筋を舐めまわす。まるで、蛇のように不気味な絡みつきである。彼は舌先に女体の鳥肌を感じながら、ピチャピチャと唾液の音を立て、ついにはいとも奇抜なことを囁いた。

「ねえ、もうヤッちゃおっか、ここで」

彼にとり本懐の、とどめの一言であった。

それを聞いた瞬間、郁恵の瞳孔はさっと開いた。ビクリと肩には力が入り、体の芯まで硬直する。

「な、何言ってんの? バカじゃないの、あなた……」

切羽詰まった表情で、しまいにはカタカタと顎を震わせながら拒絶する。

「そんなにビビんなくてもいいって」

男は余裕で諭した。優しげですらあった。

「大丈夫、バレないって。二人だけの秘密ってことでさあ」

「い、いい加減にして!」

「いいじゃん! せっかくなんだしさあ、楽しもうよ!」

「やめてっ! 離して!」

二人の議論は平行線をたどる。一瞬はたじろいだ郁恵も、いよいよ最後の力を振り絞って激しい反抗を繰り返す。ここが、ナンパとレイプの分かれ道である。

「今さら何言ってんのさ。あんたも結構期待してたんでしょ?」

男は言いながら、ぐっと下腹部を相手の腹に押し付ける。かつ一方で、背中に回していた手をゆるゆるずらし、下方の双丘にまとわりつかせた。

たまりかねて、郁恵は叫ぶ。

「け、警察……」

それを途中で遮って男はせせら笑う。

「呼べよ。携帯持ってんの?」

彼は手の中の肉を握りしめてその感触を味わうと、そのまま谷間に沿わせて後ろから前へと、指を揃えて潜り込ませていった。

「うわぁ、ケツもチョーたまんねぇ」

さらには、

「お姉さん、Tバックも似合うんじゃない?」

などとからかいながら、ビキニを尻の谷間に無理やり引き寄せて、そこに挟んだりした。両の山が丸出しになる。そうして露出した尻をむんずとつかむ。丸々と膨らんだ尻だ。表面の柔肉に指が食い込んでいく。また、間の水着をズリズリと上下に引っ張って、股間を摩擦したりもする。

「うぅっ……くっ……! やめなさいよ……っ!」

不快感と悔しさに歯がみしつつ、郁恵はのけぞるようにして浜を窺う。頼みの綱は夫であるが……。

「いいじゃん、お姉さん。ひと夏の恋ってことでさあ、思い出作ろうよ。家族とかちょっと忘れてさ、今だけ一人の女に戻るってことで」

男はややトーンを下げ、柔らかな物腰になって相手を誘いにかかった。

「今日だけだぜ? それって悪いことじゃないと思うけどなあ。ちょっとだけ、今だけ気持ちよくなってさ、秘密でさ。ねえ、楽しまないと損だよ」

盛んに“ちょっと”“ちょっと”と言い、とかく人妻の心を揺さぶるべく、ナンパ師は面目躍如とばかりに御託を並べたてる。

しかし、郁恵もさすがに人妻であるからには、にわかには受け入れられようわけもない。

「い、嫌だって、言ってるでしょうっ!」

腕の輪から逃れようと、地面に着かない足をバタバタさせる。

一方のナンパ師、長身の彼は地面に立ってなお悠々と波から首を出している。

「頼むよぉ、お姉さぁん。もうこんななってんの、分かるだろ?」

目尻を下げて生温かい息を吐きながら、彼は尻ごと引き寄せた相手の体に、自身の肉体をこすりつけだした。海水パンツごしにも明らかな固い突起、人妻の柔らかい腹をえぐる。

「ヤバ、もう我慢できない。いいよね、ヤッちゃって。ね? ヤらして。ね?」

彼は息を荒げて言いながら、今度は手前から奥へと、相手の股の間に腕を通し始めた。

「な、何考えて……っ! 嘘、やめてっ!」

郁恵はもちろん抗うが、先程の尻同様、股間の前面も“Tフロント”とばかりに水着を細められ、それを中央の割れ目に集められた挙句に、ズリズリと上下にこすられてしまう。海中にはみ出した陰毛と陰唇、それらが水着の食い込みの筋を境に土手のように脇へと盛り上がる。

「いいよね、このまま入れても。海で濡れてるから入ると思う。てか、それ以前に中から濡れてたりして」

男は、暴れる女をがっしりと抱え込み、揃えた指の数本の間接をクイクイと器用に動かして割れ目をまさぐると、そこに挟まっていた布地を引っ張って横へずらした。

「な、何すんのよ! 嘘っ! 嘘でしょ? 冗談でしょ? こんなとこで。ねえ、お願い!」

郁恵は絶叫した。断末魔を思わせる痛々しさだった。ここが正念場なのだ。これまでの戯れとこれからの過ちは次元が違うのだ。

しかし、その悲愴な叫びも、結局幾千幾万の波のざわめきと、底抜けに青く広がる空に吸い込まれるだけだった。それどころか、発声そのものも遮られてしまう。

男が、必死に声を上げる彼女の、その唇を奪ったからであった。彼女の口が大きく開いた一瞬の隙を見澄ましてのことである。

「ンッ! ンッンッ……!」

パニックに陥る郁恵。首の後ろを押さえつけられ、唇の裏側や前歯の表面を舌で舐めまわされる。

「アイスクリームの味がする」

僅かに開いた隙間から、男は早口で言って、また夢中で接吻を続行した。

郁恵の歯には、アイスクリームのコーンのかけらが付着していた。さっき浜辺で食べたものだ。それが、相手の舌にこそげ取られていく。

「見てたんすよ、さっき、ビーチパラソルの下でアイスクリーム食べてるとこ。あん時から狙ってたんすよね、絶対ヤりてえって」

男はいつの間にか、自身の海水パンツもずり下ろしていた。飛び出した抜き身のものが、郁恵のへその下からなぞって、縮れ毛の群生に早くも合流する。彼はそうしながら、同時に接吻の継続も怠らなかった。

「ング……ッ、ウゥフ……ウグッ……!」

途切れ途切れの呼吸の狭間で、時折嘔吐感を露わにする郁恵。唇の貞操を奪われたという事実が、重圧となって精神をさいなむのであろう。接吻とは、多くの女性にとり貞操に関わる重要な儀式なのである。

「ウッ……グッ……!」

その瞳が暗く濁っていく。

そんな彼女の右膝を、粛々と持ち上げる男。本気で、公然とここで性交を始めるつもりなのである。

「やめ……っ!」

彼との間に両手を突っ張る郁恵。

しかし、それをものともせず、とがった亀の頭は早肉びらの割れ目に先端を隠していた。


(つづく)


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