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ショートオムニバス・シリーズ 『母を犯されて』
ケース9 母・香菜 32歳 ざわめきから遠ざかった茂みの中に母娘はいた。 「全部出た?」 「うん」 香菜の問いに娘は頷く。下草と枯れ葉に水たまりが染み込んでいた。母はそれからあえて目を逸らし、パンツを上げた娘の手を引き何食わぬ顔で宴席へ戻ってゆく。 誰も気に留めることのない中、二人は元の位置に座った。ビニールシートの上には食べ散らかした弁当やつまみ。そこに頭上から降り注ぐ花びらが彩を添えている。空は青く澄み、春の風が穏やかに吹き渡る。 赤く染まった頬に心地よくそれを受けながら、香菜はつい杯を重ねた。普段の酒量は決して多くないが、元来飲めない口ではない。清々しい外気が彼女の気を後押しもする。陽気に浮かされた子 供達は、腹が膨れると走り回って遊びだし、大人達は一層話に身を入れた。 それでも二、三時間経てば退散する者が出てくる。しつこいのは酒飲みばかり。ただこの会の場合、そういう勢力の方が多かった。 さて、春の日といっても太陽が西へ傾くにつれて肌寒くなる。カーディガンの上から二の腕をさすりながら、香菜は席を立った。ここ高台の広場は見晴らしも良く、住民にとって絶好の集会場所であるが、用足しに不便なのが玉に傷だ。裏の寺にある公衆便所一択となるが、そこまで参道をはるばる上ってゆかねばならない。 階段の入り口で夫にばったりと出会った。 「トイレか?」 明け透けに言って、フラフラとよろめく。この分ではあの階段を上まで行ってはいまい。そう妻がいぶかる先から、 「その辺で済ましちゃえば」 と、彼はゲラゲラ笑った。日頃にもない粗雑さである。こういうとき、女は理不尽を感じずにいられない。切羽詰まった生理現象が尚更腹立たしくさせた。 山中はひんやりと涼しく、その中を香菜はトボトボと進む。家へ下りるよりは近い。だが上にたどり着いても空室とは限らない。じりじりする焦りもあって、彼女は低い段差で何度か躓いた。 「ちょっと飲み過ぎたかな……」 人のことをとやかく言えた立場ではないと思った。見渡せば周囲の緑は外から見るよりも深く、どこまでも覆い隠すよう。男らが出来心を起こすのも無理はない。実は香菜も娘にごねられて先程その茂みで野 小 便をさせた。寺から例年苦情が出ていることも知っている。だがこれだけの自然だ。実際は何ほどの影響があろうか。 酒で鈍った理性が彼女の脚をそそのかした。道から外れて草を踏み、ようやく身の丈を隠しおおせる位置に来た。緩んだ気持ちが急速に尿意を高める。香菜は下着を下ろし、とうとうその場にしゃがみ込んだ。 「ホッ……」 淡い背徳感が漏れてゆく。出始めると一気だ。普段意識する以上に沢山出るように感じた。 その時である。一体どこから湧いてきたのかと思う位唐突に人の影が動いた。 「えっ!」 咄嗟に身を縮こまらせる。もうこれ以上はしゃがめない程に。水流は未だ衰えない。爪先にぐっと力を込めて踏ん張る。不安定な斜面で窮屈になった筋肉が悲鳴を上げた。 「早くどっか行って!」 必死で念じる。だが、次に目を開いた時、その願いは空しくも砕け散った。 「おっ、奥さん!」 それは、下田という、顔と名前位は知っている程度な、上の年代の男性であった。やはり今日の花見に参加している。 「やあ、驚いたなあ。奥さんも野ションですか」 彼は初めこそ驚いていたものの、すぐに我が事の方が重大とばかり段取りを始めた。ズボンの前を開き、中からイチモツを取り出す。 「えっ、ちょっと!」 香菜の動揺が静まらぬ中、下田は彼女の横に立って立 小 便を始めたのだ。立っているのと座っているのと、男と女との違いはあれど、二人並んでジョロジョロとやる。 すると、そこへもう一人の酔客が現れた。大沢という中年男性だ。下田と親し気に挨拶していたが、その陰に香菜がいると知って驚いた。一瞬二人の関係を疑ったが、そうではないと知ると、 「最近は女の人も立ちションすんだねえ」 と呆れたように言い、彼もまた当たり前に小用を始めた。香菜を挟んで右隣りである。 「ちょ、ちょ、ちょっと……」 顔のすぐ横に男性の性器が並んでいる。自分の夫のだって、放 尿する場面など見たことがないのに。香菜はぐっと下を向いて出来るだけ視界にそれらが入らないようにした。 目を閉じたいがそれは出来ない。身を低くしている方が当然小水と近い位置になる。すると、男らの放つ跳ねっ返りや蒸気が香菜の脚の方へ舞ってくるが、これが気になって仕方がない。変な緊張を強いられて早くも体中が痛い。 「いやあ、大自然の中でのションベンは開放的でいいですね」 下田は呑気なことを言っている。 香菜は耳まで真っ赤にしてただ俯くだけ。悲鳴を上げることも出来ない。恨めしいのは止まらない尿だ。草や葉にぶつかってチョロチョロと流れていく音が実際以上に大きく聞こえた。 「ふう……出た出た」 そう言って先に動いたのは下田だった。香菜はまだうずくまっている。 「あれ? 奥さんまだですか」 酒で出来上がっている下田は露骨に下品である。 「ひょっとして大きい方ですか」 「違います!」 香菜は反射的に否定したが、その瞬間あれが目に入って慌てて下を向いた。彼はまだ仕舞っていなかったのである。薄暗い中で一層黒ずんで見える萎びた茄子だった。 その内に大沢も終わった。やはり気になるのは香菜の様子だ。 「早く行ってよ」 香菜は心に願ってみるが、どうしたことか二人はもたもたしている。この間抜けな場面を面白がっているのかもしれない。そう思うと、一層惨めに感じた。実は香菜、とうに終わっていたのだが、足がつって立てなかったのである。 下田はじっと見下ろしていた。露に剥かれた白い双丘が後ろ髪を引く。彼はゴクリと生唾を飲み込んだ。 「大丈夫ですか。どこか具合でも」 「だ、大丈夫ですから。早く行ってください」 この時香菜はふいにゾッとする寒気を背筋に感じた。羞恥とは異なる危険を感じたのである。それは彼女の心中をざわつかせ、体勢を崩させた。 「あっ!」 ほとんど同時に叫んで、香菜が後ろにひっくり返ろうとするところを、咄嗟に下田が後ろへ回って受け止める。 「大丈夫ですか」 「大丈夫です……」 下田が支えなければ斜面を転げ落ちてしまう。だが、香菜には感謝よりも大きい懸案があった。彼女のショートボブの後ろに、明らかに彼の股間がある。それは今しがた見た茄子とは打って変わって、太く実り切っていた。 「あの、あの、もう……」 やんわりと助けを断ろうとしたが男は離さない。それどころか一層強く密着してくる。今やすりこぎのように成長したものが、後頭部を押している。 大沢の目も爛々と輝きだしていた。彼もまた一歩、一歩とじりじり歩を詰めてくる。 「あの……ホントに、もう……」 「でも離したら転びますよ」 下田の鼻息はいつしか荒くなっていた。心臓の鼓動も早まっている。思いは違えど、それは香菜も同じだった。現場を急速に緊迫感が取り巻いた。 下田は両脇から腕を入れて香菜を助け起こす。その手は明らかに胸に触れていた。香菜の足元がよろめいたのに合わせて、男は前方の木に彼女を押し付ける。咄嗟に手を突かなかったら顔面を強かに打っただろう。 「催してきたんで……こっちの用も足しておきましょうよ」 硬いものが生白い尻に触れる。尻はビクッと痙攣して引いた。それを肉棒が追いかける。男の犯意は明白であった。 「やめてください」 助けを求めて大沢を見るがすぐに目を逸らす。彼の大きなわだかまりが目に入ったからだ。 「奥さんも尻出して誘ってたんでしょう」 「違います」 「どうせ恥ずかしいところ見られたんだから、お互いに恥ずかしいことしましょうよ」 議論の余地など端からなかった。男根は静かに入ってきた、膣に近接し互いの尿の雫をまといながら。 「イヤァッ!」 そんな悲鳴を最初の出会いで上げればよかったのだろうか。汚れるのも厭わずに逃げ出せばこんなことにはならなかったのかもしれない。そう考えてみても、今も現に彼女は声を出せずにいる。声を殺して耐えるしか出来なかった。 下田は尻を引き寄せては押し返し、あるいは自分の腰を押し出しては引いて肉棒を出し入れした。香菜は樹木にすがりつき、尻を突き出してじっと耐えている。肉棒は次第に粘液にまみれテラテラと鈍く光った。それが白い谷間から出たり入ったりしている。 それをすぐ傍で凝視しながら、大沢は自分の肉茎をゴシゴシとしごく。彼も含め三人の熱気は、山と春の冷気の中でもいや増すばかり。呼吸は入り乱れ、ジワリと汗が噴き出してくる。やがては白濁汁も噴き出した。 「うぅっ!」 「やっ、な、中は……!」 下田の終焉を悟って香菜はようやく声を上げたが、言いかけて半分以上は諦めていた。だが下田も思惑は同じだったようで、結局彼は射精の直前に抜いて尻にぶっかけた。勢いついた迸りはスカートにも沢山かかり、それ以外は尻の上にボタボタと落ちた。 彼と入れ替わりで、大沢も当たり前に“用足し”に立つ。香菜も尻を突き出して待つよりほか仕方なかった。公 衆 便 所とは不特定の者に使用を許可された便 所であるが、不特定の者の“用を足す”のに彼女の体が使われるなら、彼女こそ“公 衆 便 所”と言えるだろう。大沢はその道理を証するがごとく、使用済みの便器に男根を突き入れた。 やることと言えば同じく出し入れである。香菜は入れられる時に「グッ」と歯を食いしばり、出される時に「ハッ」と口を開けて眉根を寄せた。彼女はこらえていた。が、こらえる前に飲酒が過ぎたようだ。 「アァッ!」 と切なく啼いた。その直後に大沢も気付いて思わず離れる。バシャバシャと二人の間に水しぶきが起こった。去就を迷っていた下田も近寄って来る。香菜はまた漏らしていた。 「またオ シ ッ コして、しょうがないなあ」 「ごめんなさい……」 なぜ謝罪したのかを当人は自覚していない。大沢も意に介さず、下腹部をびしょ濡れにしたまま再突入する。 ちょうどその頃、少し離れた草陰で彼らの様子を覗き見している者がいた。浅沼という少年である。あらかたの子 供は家に帰ってしまったが、酔っ払い家族の子は一部居残っていた。彼はほかの子との遊びにもいい加減飽き、ふと何気なく山の方へ入ってみた。そこで思いもかけない場面に遭遇したのである。 彼は自分のペニスを握り締めながら、まんじりともせずに現場を見ていた。異様な興奮がその身を包み、既に一度射精している。それへまた思いがけない珍客がやってきた。 「どうしたの?」 見れば幼い女の子。あっと思って、咄嗟に浅沼は右手で彼女の口を塞いだ。あまり慌てていたので精液まみれの手の平だった。彼女こそ香菜の娘であることを彼は知っていたのだ。 娘はびっくりして暴れ出す。浅沼はズボンを上げるのも後回しにして彼女を抑えつけた。それは彼なりの優しさだった。今の今、母親で搾り出した精液を娘の口に付けてさえ、守らねばならない捻じれた優しさだ。 母は輪姦されていた。その事実を隠してやりたい。 そんな気遣いも露知らず、大沢は香菜の膣内に子種汁を注ぎ込んだ。 「ア……ッ!」 香菜は愁眉を寄せて体の芯に熱い汁を感じる。そのしばらく後で、今度は別の汁が怒涛のごとく流れ込んできた。 「こうやって洗い流したら妊娠しないから」 大沢は膣の中で小 便していた。 「イヤァッ!」 さすがに敵わぬと身もだえする香菜だが、大沢はそれを許さじと抑えつけ、隙間なく密着して尿を注ぎ込む。当然穴の中に行き場はなく、それが溢れて香菜の脚を伝ってチョロチョロと滝のように流れた。 すると、それに対抗するかのように、今度は香菜がまた漏らし始めた。既に大沢の栓が抜かれ、ガニ股に開いた脚の間からジャージャーと垂れ流す。 それが終わってへたり込もうとするのを下田が受け止め、待ってましたとばかり海綿体を接続する。 「お行儀の悪い子には、お仕置きしないと」 彼も大沢に倣って、膣 内 放 尿をした。これでは文字通り、香菜の膣は便器である。 「すごいことしてる!」 浅沼はもう辛抱たまらんとばかり右手でペニスをしごき立てた。娘を抱きながら、非情にも母親でオナニーする。シコシコという振動が無垢な少 女に伝わろうとも関係ない。最初は持ち替えた左手でかろうじて彼女を押さえていたが、とうとうそれも及ばなくなった。 「ママー!」 娘は飛び出した。男達は脱兎のごとく逃げ出していく。余談だが、不慣れな山道を酔いどれが走ったために、下田は足を、大沢は腕を骨折する大怪我を負ったという。 「ママもここでオ シ ッ コしてたの?」 娘は屈託ない笑顔で尋ねた。母は水たまりの中で力なく笑い返した。 〈おわり〉
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