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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「青き山、揺れる」(9)

そして祐子は、ついに黄本に抱かれた。いやその貪欲さからいえば、むしろ彼女から黄本を抱いたといった方が適当かもしれない。それほどに彼女は彼を欲していた。

その逞しい腕、分厚い胸、両手を広げても包めない胴周り、それらあらゆる身体的特徴が彼女の興味を捉えていた。ということはつまり、祐子は、黄本の人間よりもその肉体を欲していたということである。

男という存在、しかも力士という男であり、その力士であるが故の肉体が欲しいということ、それが彼女にとっての性欲を満たすということなのだ。極めてドライな考え方ではあるが、有り体に言えばそういうことである。

「ンン……」

初めてその身を抱き締められた時、祐子はもうそれだけで恍惚となった。念願だった力士の抱擁、しかも挨拶程度ではない本気の愛撫のそれを受け、天にも昇る心地であった。

元来祐子は相撲が好きだ。それ以前にスポーツが好きだ。そもそも彼女がアナウンサーを志したのも、スポーツに関わって、その感動を伝える手伝いがしたかったからである。スポーツは、いわば彼女のライフワークであった。

分けても相撲が好きで、彼ら力士には並々ならぬ敬慕の情を抱いてきた。彼らは大きい、まずそれだけでも憧れた。体格の良い祐子とでも比較にならない、それが彼女の心をときめかせた。やっぱり男はそうでなくては、と力士の大きさに頼り甲斐のある男性を見出し、祐子は惚れ惚れするのだった。

そういう男たちが、厳しい男社会に揉まれてストイックに闘う様は、何とも美しく見えた。祐子はいつしか相撲の虜となり、熱烈に声援を送るようになったのである。

だが一方で、例によって後ろめたい情が祐子の心の内を占めてもいた。確かにスポーツとして相撲は応援しているし、相撲取りのことは尊敬している。その気持ちに嘘偽りはない。しかし、相撲を見ていると、どうにも抑えがたい邪念が心に芽生えて仕様がないのだ。

何しろ、自分にとって理想の男性たちが、目の前で真剣勝負を繰り広げるのである。それも裸でだ。全身の筋肉を隆起させ、その上に汗をかいて、肉と肉をぶっつけ合うのである。それはそれは祐子にはこたえられない趣味だった。

だが、そういう目で見ている自分に気づいた時、祐子ははっとしたものである。

(相撲をそんな目で見るなんて!)

純粋に相撲を応援しているファンたちの間で、彼女は恥ずかしかった。国技である立派なそれに卑猥な妄想を持ちこむなど、なんて不謹慎なことだろうと思った。それは、スポーツを敬愛してきた彼女の誇りからしても、許されざることだった。

しかし、どんなに彼女の潔癖さが頑張っても、例の因習と同様、ついにそれを退けることはできなかった。相撲を見る時は必ず、彼女の胸は熱く燃え、それにつれて女陰がジュンと潤みだすのを禁じえなかった。

ひょっとしたら相撲にはそういうセックスアピールの側面もあるのではないか、そんな風にすら思われだした。そしてそう考え出すと、いづ美の言っていた言葉が俄然真実味を帯びてくるのである。

(女には相撲は取れないが、彼らの性欲を受け止めることはできる)

それは逆に男にはできないことであり、いうなれば女ならではの相撲なのだと。

考えてみれば、男は闘って強さをアピールし、女はそれを見て宿す子の父親を決める、この関係のなんと原始的で素朴なことか、男と女のあるべき姿ではないか、祐子はそう思った。

今しも黄本の手が祐子の豊乳を持ち上げて優しく揉む。これがいわゆる祐子の相撲である。

「ンフ……」

ごつい手が添えられると、さしもの大きな乳房も形無しである。だがそれが嬉しいと、祐子には感じられた。そのことは、何度回数を重ねても変わらない。既に初めての日から今日まで、彼らは何度も肌を合わせてきていた。

祐子はその心地よさにすっかり味をしめ、今や常連である。ここに来れば至高の快楽が得られる、そうと知った彼女の性欲はますます加速し、この場所に来ることを完全に卑猥な目的と同化させていくのだった。

もはや相撲もスポーツもなかった。力士とのセックス、ただそれだけに依存する祐子なのであった。そして、今日も今日とて朝から待ち切れず、勇んで努素毛部屋にやってきたわけである、力士の肉体を味わいに。


<つづく>




<目次>
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