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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「青き山、揺れる」(6)

(どういうこと? これ……!)

祐子は困惑した。他人の性行為を目の当たりにしただけでも驚いていたのに、その上まさか不倫の現場に立ち会おうとは! しかし、紛れもなく目の前では、女将のいづ美と弟子の黄本が、あられもない姿で乱れていた。

「アッ、アンッ! 黄本君、すっごい! すっごい!」

いづ美は相変わらず歓喜の声で猛っている。誰はばかることない大きな声で、夫の弟子の肉棒に啼いている。その声のボリュームは、完全に不倫の情事を家中に証明しているようなものだった。

(どうして……?)

祐子はびっくりしていた。一体どういう了見でこんなあからさまなことが行われているのだろうか、彼女ならずとも驚きいぶかしむであろう椿事である。

しかし、その異常さもさることながら、彼女の思考をひと際占拠したのは、眼前の二人の迫力であった。彼女はただただ圧倒され、その目を奪われた。

どでかい尻が上下に揺さぶられる度、バチンバチンと弾ける肌の音、それに合わせて足元の地面が揺れているのは、決して気のせいばかりではないはずだ。凄まじい運動がそこでは繰り広げられていた。

その運動の中枢にある肉棒はふてぶてしい太さで、洪水のように水浸しの陰裂を広げきっている。それが埋まる時の重量感といったら、見ていて恐ろしいほどだ。きっと、想像を絶する重力が、振り下ろされる度に膣奥にかかっているに違いない。

(うわぁ……!)

祐子は生唾を飲み込んで食い入るように見ていた。無意識に太ももをすり合わせ、わずかに腰を後ろに引く。重いパンチでダイレクトに官能を打たれたかのように、彼女の発情は急速にやる方なくなっていった。

そんな彼女をよそに、二人はまぐわいながら会話を交わす。

「イイッ! アア、イイッ! 黄本君は? 黄本君はおマンコ気持ちいい?」

いづ美が問えば、

「あ、はいっ……! いいです!」

黄本が答える。

祐子はそれを聞いていてちょっと引っかかった。というのも、黄本が自分のファンであることをその時既に彼女は知っていたのだが、そういう男が他の女に性欲を傾けている様子が、どうにもしっくりこなかったからだ。

別に、祐子としては彼に愛を抱いていたわけではないし、彼と深い仲になってもいない。ただ、自分を応援する気持ちと日常の性欲とが、彼の中で別次元のものとして存在している実際を確認し、心中複雑になっただけである。

それには、愛はないとはいうものの欲望の範疇にはあった男がほかへ満足を求めにいっていることと、いづ美がそんな彼とうまいことやっていることへの、軽い嫉妬の情がからんでいた。

すると、そんな祐子の情を見透かしたように、いづ美がこんなことを言いだした。

「アン! ダメ、声出ちゃう。祐子さんにも聞こえちゃうわ」

思いがけぬ自分の名の登場に祐子はドキッとした。いづ美は続ける。

「祐子さん起きたんじゃないかしら。どうしよう、祐子さんに聞こえたら、ねえ、黄本君」

まるで緊迫感のない調子のいづ美だ。実際には聞かれてもいいと思っているとしか思えない。一方、それに対する黄本の反応は、こちらからではよく分からなかった。祐子は、さっきまでより一段と緊張して耳を澄ませた。

「黄本君、祐子さん好きなんでしょ? だったら、ほんとは祐子さんとしたいんじゃない?」

どういうつもりか、いづ美は祐子の話題を黄本に向け続ける。その話題の当人が、近くで聞いているとも知らずに。

「やらしてもらいなさいよ。押し倒して、こうやっておチンポ入れちゃえばいいのよ」

とんでもないことを言いだしたものだ。今晩のいづ美は随分と物騒である。だが祐子としては、黙って見ているしかない。それに、本当に言葉通りになるとも限らないわけだ。

もっとも祐子は、いづ美の言うような状況を想像して、妙な胸の高鳴りを覚えていた。すり合わせている太ももの内側へ、自然と手が伸びる。

他方、黄本は、いづ美のそそのかしに容易に乗らない様子だ。それに対して、いづ美はなおも誘いかける。

「じゃあ頼んであげようか? あの人もねえ、あたしが見たところ、結構好きな方よ。ね? 絶対やらしてくれるわよ」

祐子も自分の知らない所でとんだ評価を下されていたものだ。いづ美の言う“好きな方”とは、やはり黄本のことではなくセックスのことを指すのだろうと、祐子は直感で分かっていた。ずばり見抜かれていたわけだ。

彼女は、体の内がカーッと熱くなるのを感じた。同時に、股間を押さえる手に湿り気を覚える。いづ美に借りたパジャマなのに、その股間に下着を通して染みが広がっているのが分かる。

(あぁ……)

祐子は腰をくねらせて、どうしようもない切なさをアピールした。だがそのアピールを受け取ってくれる者はいない。彼女はただ、他人のセックスを見守って、さらに切なさを高めることしかできない。

黄本という、いわば自分の領域下にあるはずの男の交尾を見て、己は情けなくも欲情することしかできないのだ。彼女は情けない自分を自覚しつつも、たまらなくなって下着の中へ手を突っ込んだ。と、ほとんどそれと時を同じくして、黄本の方にも大きな動きがあった。

「アア~ン!」

艶めかしく媚びた声で啼いて、いづ美は伸ばしていた足を男の背中の方へ巻いた。そうして言う。

「あらあらあら、出てるわぁ」

いわゆる、男の終了の知らせだった。祐子は思わず見る、深々と埋め込まれた肉棒と、それを貪欲にくわえ込む魔物のような淫らな貝を。そこの繋がりでは今、ようやく交尾の目的が達せられているに違いない。時折陰嚢が脈動する様が生々しかった。

いづ美はいじわるっぽく言った。

「祐子さんのおマンコ想像してイッたでしょう? ……すんごく固かった」

それを聞いて、祐子の恥部のうずきは尋常じゃないぐらい激しくなった。

(あぁぁ……固いの……)

彼女はそれを抑えようと、とうとう本格的にそこを慰めようとしだした。しかし、そうはいかなかった。事を終えた男女が姿勢を正し始めたからである。

それを見た祐子は、見つかることを恐れ一目散にその場から退散した。


<つづく>




<目次>
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(51)~(60)

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