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なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

    
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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「青き山、揺れる」(3)

思わずいづ美の目を見る。すると彼女もまた、こちらを見ていた、うっとりと、濡れた瞳で。その瞳がこちらの方へと距離を詰めてくる。見つめていると、引き込まれてしまいそうだ。

(きれい)

祐子は思った。そう思うのはいつものことだったが、今日のように余所行きの化粧に彩られている顔を、しかも間近で見ると、なお一層強く思うのである。

「どう? 久しぶりに」

いづ美のささやきが、優しく祐子の耳朶をくすぐる。そのまま心までくすぐられる感じだ。途端に全身の産毛が逆立ち、体の芯がゾクゾクと震える、いづ美との濃密な夜を思い出して。

“久しぶりに”――彼女の言ったその単語が、淫慾にまみれた数々の逢瀬を彷彿とさせた。祐子といづ美とは、既に友人以上の関係を築いて久しい。互いの美を認め、そして互いの本性を見抜いてからというもの、幾度も体を重ねてきた――。


「おっぱい、やっぱりすごく大きい!」

初めて裸を見せた時、いづ美はそう言って祐子を褒めた。実際、祐子のバストサイズは大きく、日頃着衣の上からでも目立つほどで、本人もそれは自覚していた。

「それに、とってもきれい」

いづ美は、祐子の胸が豊満なのを喜ぶ風であった。そんな風に言われると、嬉しいながらも照れてしまう祐子だったが、しかし、

「そんな……いづ美さんの方がきれいです」

決して照れ隠しではなく、心からそう思って彼女は言った。確かにバストは自分の方が大きかったが、形ぶりの良さからすると、いづ美には到底及ばないと思われた。

祐子の乳房は、すそ野の広いなだらかな丘陵型に、小さ過ぎる乳輪が特徴的だった。彼女はその乳輪の小さいのが妙に気恥ずかしく、それに対して、母親を感じさせるような広々とした胸もまた嫌だった。

総じて、彼女は自分の胸に余りいい思いはしていなかったし、サイズが大きいことすらも長所に数えてはいなかった。そもそも、学生時代スポーツ一辺倒で暮らしてきた自分の体には、色気などかけらもないと半ば諦めていたのである。

それに引き換え、いづ美の肉体の何と美しいことか、と祐子は思う。腰はくびれているのに痩せすぎるということはなく、全体に女性らしい丸みを形作る肉付きはあり、胸といい尻といい、とにかく均整がとれているのだ。

女性の目から見ても、むしゃぶりつきたくなる“いい女”なのである。祐子より五つ年上の彼女は、もう齢四十をとうに越していたが、その色気たるや今まさに爛熟期にあると思われた。祐子はそれを見て、間もなく自身にも訪れる四十路をいずれ彼女のように送りたいと思うのである。

そんな思いで、祐子はいづ美と素肌をすり合わせる。相手の滑らかな皮膚と柔らかい肉が、腕や腿に当たり気持ちいい。従来筋肉質な祐子の肉体にも近頃ようやく脂肪が増えてきたが、相手にもこんな気持ちよさがちゃんと感じられているだろうか、と彼女はやや危ぶんだ。

そんな危惧を知ってか知らずか、いづ美は祐子の体を愛でるように撫でて言う。

「祐子さんのおっぱい、すごく柔らかい。おいしい……」

細い指で絞り上げた乳肉を、その先端の小さな乳輪ごとぱっくりと口に入れるいづ美。そのまま巧みに舌を這いずり回して、乳首を勃起させようとする。

「アァ……アァ……」

官能の波に揉まれながら、祐子も負けじと相手の体をまさぐる。彼女の髪を撫でつつ、背中そして尻と指を這わせ、ついには相手の腰を抱き寄せる。抱き締めると折れてしまいそうな柔らかな骨。骨格の丈夫な祐子は、それを感じると愛おしくなる。そして、やっぱり女性の体はいいものだ、と思う。

とはいえ、別に彼女は同性愛者ではない。いづ美もそうだ。ただ、祐子の場合、同性と肉体的情事に及んだのはいづ美が初めてではなかった。

女子校に通っていた祐子は、その間部活動にあらゆる青春を捧げていたが、他方で抑えきれぬ性への好奇心と欲求を密かに同性の恋人へと捧げていたのである。それは本格的なレズビアンというのではなく、少女にままありがちな儚い誘惑であった。

もっとも、体格が良く、性格も大らかな祐子は割合にモテたものだ。そうして結果的に、男を知る前に、女によって肉の悦びを知らされた祐子なのである。

だからお手の物だ、とまでは言えないが、いづ美とそういう関係になった時、少なくとも大きな驚きというのはなかった。ただ相手の美しさに、ドギマギとしただけである――。


――今、思いもかけずいづ美から誘いかけられてみて、途端に女性の肉体の良さへと食指の向き始めた祐子であった。

「あの子たちより前に、ねえ、しちゃう?」

いづ美はなお色っぽく語りかける。

「それとも、今日はあたしとするつもりじゃなかったから、いらない?」

彼女の言う通り、確かに今日ここへ来る時は、彼女との情事は念頭になかった。しかし、いざ誘われてみると事情が違う。できるなら儲け物だ、いや、むしろしたい! いづ美としたい! 祐子は心に叫んだ。

そして、誘いに答えようとした。が、それより一瞬早く、いづ美が言った。

「なんてね。今日はもう着替えちゃったから、また今度。祐子さんも、今日あの子たちとするために来たんですもんね」

いづ美はそう言ってポンポンと布団を叩くと、さっきまでとは打って変わっていつもの快活な調子に戻った。

祐子は、急に梯子を外された感じでがっくりとした。“あの子たち”としたいのは山々だが、もういづ美の方へも気持ちが傾いていたのである。

結局祐子の肉体の飢えは、以前にもまして高まってしまったのだった。


<つづく>




<目次>
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(51)~(60)

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