おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
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「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
<登場人物> 枕必(ちんひつ)……有名書道家。須美恵の父。 須美恵(すみえ)……枕必の娘。書道教室を経営。 神雄(かみお) ……須美恵の生徒。鈴美と神雄の息子。 鈴美(すずみ) ……神雄の母。 瑞夫(みずお) ……神雄の父。 文子(ふみこ) ……枕必の古くからの愛人。 ※この小説はフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 『師匠のお筆』 5-1-1 「ええ、そうです」 枕必(ちんひつ)は電話口に向かって、ごく優しい声で言った。電話の相手に対し、とても丁寧に思いやっている様子だった。 「楽しみにしています。では……」 彼は紳士的かつ爽やかにそう言うと、静かに受話器を置いた。そして見下ろした。彼の足元にいざり寄る一人の女を。 「鈴美(すずみ)さん? でしょ?」 女は、“鈴美”という名の記憶が極めて曖昧であるといった風を装いながら聞いた。実際、彼女が鈴美に会ったのは、枕必の書道教室での一回だけだった。女は文子(ふみこ)だった。 「あの人に随分ご執心なのね、近頃は」 文子は枕必の腿に頬をすり寄せ、腰をくねらせた。腰から背中にかけて脂肪の溝ができる。彼女は今、全裸だった。 「コレだって、こんなにして」 すすっと頬を上に滑らせて骨盤の横に密着すると、目と鼻の先にあるペニスを見つめて、文子は言った。文子の見つめるそれは勃起して上向き、少し白いものの混じった透明な粘液にまみれて光っていた。枕必も下半身には何も纏っておらず、服を着ているのは上半身ばかりだった。 彼がそんな状況になったのも、すべて文子のせいだった。さっきまで文子は、そのいきり立った怒張を散々もてあそんでいたのである。それは、枕必が電話をかけている間中ずっとであった。 彼が電話をかけだすとほとんど同時に、すぐさま文子はその足元にじゃれついていた。 文子はまず、亀頭から二、三センチ先に舌を出して構えた。その時彼の陰茎は、海綿体に多量に水分を含んではいたものの、まだぶらりと下へ垂れていた。というのも、彼はその前に一度射精していたのだ。つまり、文子との一戦を終えた後で、鈴美に電話をかけようと思いついたのである。 文子が舌を構えていると、ツーッと粘ついた雫が尿道の出口、すなわち鈴口から滴り落ちてきた。それは、射精時に出尽くさなかった精液の残りであった。その汁の本体は、今なお文子の膣内に大量に入っている。文子は体内のそれを感じながら、舌の上にその残り汁を受けた。 残り汁は、最初に大きな雫がぼたっと落ちた後は、わずかな量がだらだらと垂れるのみだった。粘性が強いので、細い糸ながら中々途切れない。落ちた粘液は舌の先のくぼみに停滞するが、次第に表面をなめらかに移動し、ゆっくりとその奥の方へと流れていく。やがてじれったくなったのか、そのか細い糸をたぐリ寄せるように先へ巻きつけながら、文子は舌をその出口へと上昇させていった。 そうして舌先でチロチロと尿道口を舐め、さらに手で陰嚢を揉んで残りの汁を誘い出す。射精時に一時引き締まっていた睾丸もやや柔らかみを取り戻し、伸縮する皮の中をコロコロと玉が動き回る。文子はもう片方の手で竿をしごき、睾丸の方の手もゆっくりとそちらの方へ移動させていった。精巣から尿道へと、今出る精液をすべて放出させようという考えだ。 その甲斐あってか、亀頭の割れ目からじわりと粘液が浸み出す。文子は唇を亀頭にかぶせて、ストローよろしくチュウチュウとそれを吸いだした。出なくなると、再び舌先を動かして鈴口を刺激する。外から見ても舌の動きは分からぬが、頬をペコリとへこませて唇をわずかに締めたり緩めたりしながら、何かしら口の中をもごもごとしているのは見てとれた。 文子は口に受けた精液をそのまま中にとどめておいて、そのまま陰茎に唇をかぶせていく。すると口内で精液と唾液が混ざり合って潤滑液となり、彼女の唇がなめらかにペニスの上を行き来するのを助けた。口内で生成されたこのドロドロのローションをまとった舌を、らせん状にグルグル回転させながら巻きつけ、文子はペニスを深く飲み込んでいく。 枕必は電話に夢中で、文子の行為を止めようとも続きを求めようともしなかった。電話しながらフェラチオをされているというのは、少なくとも先方の鈴美などには想像だにできない状況だったが、枕必はいたって冷静で平生となんら変わらぬ様子で会話していたし、文子に対しても一切無関心な風であった。 他方、文子も枕必の対応にはお構いなしといった調子で、ただただ気の向くままに彼の一物を弄び続けた。 枕必のペニスは射精後も敏感になり過ぎるといったことはなく、そのことは、夫よりも多くくわえ込んだ自身の実績に照らして明らかであった。彼と出会ってからもう長い年月が経つが、夫以上の回数彼と寝てきたし、ひょっとしたら彼の亡くなった妻以上に彼の体を知っているかもしれないのだった。射精した後の枕必の陰茎をしゃぶるのは、文子にとってありふれた出来事だったのである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-2 文子は肉茎をほおぼりながら掌底で陰嚢をさすっていたが、茎が少し太さと長さを回復してきたと見るや口から吐き出し、舌先を裏筋からずっと陰嚢まで滑らせていった。 そうして陰嚢の裏側まで到着すると、舌をべったりと唇ごと柔らかな玉袋にうずめた。水分を含んだ海綿体が、ずっしりと彼女の鼻筋にのしかかる。文子は、しばらくそうして肉棒と玉袋を顔の上に置いてじっとしていた。 ふと枕必は下を向いた。見ると、自分の男性器を乗せている文子の顔がある。亀頭の先端は彼女の額に達し、そこで前髪に触れていたが、その感触が少し心地よかった。 そこで枕必は、彼女の髪の毛をまとめて亀頭から幹部にかけてまぶした。文子のパーマがかった茶色い髪が濡れたペニスにからむ。それまで無関心だった枕必が、電話をかけ始めてから初めて文子に示した反応だった。 文子はそれを拒むことなく受け入れていたが、その状態のままやがて膝で立って、枕必の下腹部に密着した。垂直になった肉棒が、髪の毛を間に挟みつつ、文子の顔と枕必の下腹で圧迫される格好だ。 文子は、枕必の尻の一つ一つの山を手のひらを広げてがっしりとつかみ引き寄せる。そうしておいて顔を上下に動かした。濡れた肉棒がざらざらと髪の毛の中を滑る、と同時に文子の鼻や額や頬の上をこする。文子は化粧がはがれるのもいとわずに、顔面でペニス全体をこすり上げた。 仁王立ちする男の足元に跪き、男性器を顔を使って愛撫する女。女の顔面がまるで男性器の相手にふさわしい生殖器であるとでもいうように。その姿は間が抜けたものでありながら、破廉恥極まるものであった。 文子は枕必の尻を一層抱きしめて、ぐっと顔を精嚢にめり込ませた。そして、そこを舐めしゃぶる。だらだらとよだれが垂れるのも構わず、文子は睾丸を口に頬張り、あるいは舌を袋の下の付け根まで伸ばして舐め上げる。 口の周りはいつしか粘液まみれでテラテラと輝き、精液と唾液が混ざり合った汁は顔中でミックスされて、同じくぐっしょりと濡れたみだれ髪をその表面に貼り付けた。 「はあ……」 ため息ついて文子は離れた。乱れた髪は顔に貼りつけたままで、整えようとはしない。動物的な生臭い匂いが文子の顔から漂う。その顔を彼女は再び股間に近付けて行った。 今度はより精嚢の方を中心にして密着する。鼻柱まで玉袋に埋まる形だ。そうしながら、文子は枕必の股を両手で開いてさらにその奥へと顔をのめり込ませていった。密着したままで尻の方へとスライドしていく。途中陰嚢の表皮まで尻の方へ引っ張られれることもあった。 深く潜ると次第に首の角度が急になり、文子は上向きながらずるずると股の間に埋もれていく。垂れ下がった睾丸の一個一個が鼻柱を仕切りにして両脇に分かれ、目頭の下あたりにそれが乗る頃、ようやく彼女は顔の移動をやめた。傍から見ると、上を見上げる女の顔の上に、向かい合わせに立つ男がまたがっている格好だった。 股間はじっとりと湿っていた。文子はそんな湿って滑りやすい尻と腿の肉を尖らせた唇で分け広げ、ようやくその奥にあるつぼみを見付けると、ピンポイントでいきなりそこを舌先でほじくった。 引き締まった皺の上をなぞると、舌の表面にビラビラとした感触がある。文子は、裏側から回した手で太ももの表をさすりながら、そうやって枕必の肛門を舐めた。 途中、顎が張って疲れるので一旦離れ、体を裏返して再度舐め始める。今度は枕必と同じ体の向き、つまり、頭が彼の尻の方、顎が彼の陰嚢の方という位置取りだ。尻に顔を近付けやすくなったので、文子はさっきより余計に力を込めてごしごしと肛門を舐めた。 そうしておいて、手を股間の前の方に伸ばす。すると、電話を始めた頃より明らかに固くなっていた男根が、すぐに手にぶつかった。文子はそれを逆手で握ってしごいた。 幹部の根元に作った人差し指と親指の輪っかを前方にスライドさせると、カリ首の段差が小指に当たる。と、元へ取って返す。また前へ動かす。それを繰り返しているうちに肉棒に血流が通い、さらに太く固く持ち上がってきた。 文子は、もう片方の手も逆手にしてそこに添えた。その間もアナルを舐めているので、彼女が両手を連ねて肉棒をつかんでいると、まるで尻に埋まっている文子の鼻が天狗のように伸びているみたいであった。 天狗の鼻は次第に硬度を増し、文子が手で下に押さえつけて離すと、大きくバウンドして撥ね上がるまでになった。文子は何度かそれをやって遊んだ。 枕必が電話を終えたのは、ちょうどその頃だった。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-3 彼は受話器を置くと、文子を一瞥しただけで特に言葉もかけず、黙ってソファーの上にかけた自分の服を取りに向かった。 「行くの? 逢いに」 その後ろ姿へ文子が問いかける。枕必は相変わらず黙ったままだ。 「そんなに大きくして。まあ、ちょうどよかったわね」 枕必の股間を示唆して、文子はからかってみせる。 「さっきあんなに出したのに……、お忙しいことよね」 畳みかける文子の揶揄にも一切反論することなく、枕必は淡々と服を持ち上げた。これからシャワーをしに行くつもりである。 「ねええ」 言いながら、文子はそれまでぺたりと床につけていた膝を立てて股を開いた。股間が枕必に見えるように。 「もう一回」 甘えた声で文子は言った。年に釣り合わぬ幼稚な物言いながら、本人に恥ずかしいという自覚はなかった。 枕必は見た。アルファベットのMの字のごとく開脚して座る文子を。彼女は枕必の視線を受け、小陰唇を自らの手で開いてさえ見せた。広げられた穴の暗がりから、ドロリと白濁液が床に流れる。二人がさっき愛し合った形跡だった。 それを見た枕必は、呆れた風に言った。 「もういいよ、今日は」 彼の気分はとっくに冷めていた。 「ああん、ずるいわ」 言いながら、文子は彼に近寄った。 「その分、あの人とするって言うの?」 文子は恨めしそうに言った。鈴美に焼きもちを焼いているような口ぶりだった。 しかし彼女が彼に絡んでくるのは、決して嫉妬の故などではない。そのことは枕必も承知している。文子は枕必にとって最も長く肉体関係を続けてきた女だが、それも彼女が嫉妬や束縛をせず、他の女との関係にも干渉しないことが大きかった。 それは諦めているとか許しているとか、そういうことではない。彼女には枕必の愛情などには興味がないのだ。言うなれば、肉欲だけが彼女にとっての至高の価値なのであった。 だから、今日彼を引きとめようとしているのも実は鈴美に妬いているのではなくして、今すぐに、とにかく大量に肉欲を満たしたいだけなのである。 「ここも、あの人は舐めてくれるのかしら」 文子は枕必に寄り添って、さっきまで自分が舐めていた肛門に、中指の腹を這わせた。 「悪い人ね。あの人、すごく真面目そうなお母さんだったのに」 言いながら、男根に指を絡める。 「ほんとに、女泣かせ」 文子の言葉で、ふと枕必は鈴美のことに思いを巡らせた。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-4 あの夜以来、枕必と鈴美は既に何度も密会を重ねてきた。つい先日も、例の工房で逢ったばかりである。 工房は、枕必にとって半作業場、半居住空間といった感じだが、初めて迎えた時に比して格段に打ち解けた鈴美は、ここへ彼のために手料理を作りにきたのであった。買い物袋を提げて、散らかった台所に現れたその姿は、まるっきり男のやもめ暮らしを訪れた恋人のそれだった。 「お口に合うか分かりませんけれど……」 はにかみながら鈴美は言い、手早く料理に取りかかった。その後ろ姿を思い浮かべると、なるほど、確かに文子の言うごとく、「いいお母さん」そのものだと彼は思った。 そういうところが枕必にとって良かった。これまた文子の指摘した通り、彼はこのところ鈴美にかかりっきりであったが、平凡で貞淑で、まるで情事とは縁のないような主婦と特別な関係になる、それが枕必にとって最も興奮を誘うシチュエーションであり、今の鈴美がまさにその理想的な存在なのだった。 彼女と文子とでは、比較するまでもなく違いは明らかだった。 鈴美がそのような主婦ならではの背徳感を常々抱えているのに対し、文子には当初からそのようなものは無く、それは長い年月の故にそうなったのではなくして、まさしく初めての逢瀬からそんなものは無かったのであるが、彼女はとにかく性に開けっぴろげで、いつでも肉欲至上主義なのであった。 また、文子がこのように肉欲そのものにのみ関心を集中させているのに対して、鈴美には肉欲に至るまでに愛情の裏打ちがあることも特筆すべき点であった。 文子は、前述の通り、枕必に恋を感じることはなく、二人はまるで長年連れ添った夫婦のようにさばさばとした心の通わせ方をしていたが、彼女はただ枕必の性技と彼との体の相性を強烈に欲するが故に関係を継続させているのであった。 他方鈴美は、完全に枕必に恋していた。恋という起爆剤があったればこそ、不倫からの快楽を求めたのであった。たとえ本性では、肉体的快楽への好奇心に突き動かされていたとしても。 一方、恋の戯れは枕必にも愉しいものだった。彼が言うどんなことも鈴美は目を輝かせて聞いたし、自分の言いつけを聞くことにかけては師弟の関係以上である様子も、男としての支配欲を満足させてくれた。恋に彩られた鈴美との逢瀬は、こうして枕必の琴線に触れたのである。 もっとも、恋愛感情のかけらもない文子との間柄ながら、あちらのみならず枕必の方でも彼女を手放さなかったのには理由があった。それは、やはり文子の理由と大差ないのであるが、彼女の体が良いからであった。 文子は、乳房も尻もでっぷりとして大きく、また四十路に入ってからは他の部分にも脂肪が目立つようになってはいたものの、要するに豊満で肉感的な体型をしていた。その肉体は枕必の性欲を高め、そこに彼女の積極的な性と、一方実は従順な性格が加わって、彼が思い切り性欲をぶつけたいと思った時にうってつけなのである。また彼女の秘穴が、俗に言う名器であるらしいことも、枕必のお気に入りであった。 それにしても、いくら彼自身に妻が無いとはいえ、夫のある婦人と、しかも並行して関係を結ぶというのは決してありふれた状況ではない。久しく関係を続けている文子ならばこそ特別認められるということではないし、まして、鈴美はつい最近まで夫と子供と平穏に暮らしていたのに、枕必のために道義に外れることとなったわけで、世間一般では到底筋の通らない話である。 しかし、この件について彼自身は一切、まったくもって全然意にかいしていないのであった。どちらかに悪いとか、後ろめたいとか、あるいはこういう背徳感とスリルが楽しいなどとも、何とも思っていなかった。 以前、鈴美が文子も参加する彼の書道教室に一度だけ来た時、文子はこう言っていた。 「また新しい獲物が来たじゃない? また、食べちゃうんでしょ? それとも、もう?」 彼女はいたずらっぽく笑った。 「このお教室に来た人達、みいんな食べられちゃうのよね、先生に」 そう、鈴美にとっては彼女のこれまでの人生最大の事件である不倫の恋だったが、枕必にとってはこれまで幾度となく経験してきた数多の関係の一つに過ぎなかったのである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-5 鈴美があの教室で出会った、文子と年が近いと思われたあの二人の女も、ギャル風の容姿をしていたあの女も、みんな枕必と肉体関係を持っていた。そして、あの教室に通う限り、現在もその関係は続いているのである。いわば、あそこは彼にとってのハーレムなのだった。 どうしてそんなことが可能かというと、別に弱みを握って脅迫しているとかではなくて、ひとえに彼の行動力による賜物なのである。 彼が女を口説く際の積極さと手際の良さは、実に並々ならぬものであったし、あまつさえ、財産と地位を有してもおり、女好きのする風貌でもある。枕必は、そういう引き出しを各女の需要に合わせて出し入れすること巧みで、それを実地に適用し目的をやり遂げてしまうのであった。 それほど女を落とすことにバイタリティ溢れる彼であるから、鈴美のことも端から肉体を攻略する対象であった。 しかし鈴美は、枕必がこれまで付き合ってきたどの女に比しても、顔といい胸や尻いいとりたてて特徴のない女である。性格についても、これまでの女にも見られたいずれかのパターンに容易に分類できた。 それでも彼女に興味を持ったのは、先述の通り、色恋とまるで無縁そうな地味な母親を自身の手で性に目覚めさせることが彼にとって快感だからで、出会った瞬間の彼女が、その実現に年齢・容姿・雰囲気ともにまさにちょうどいい頃合いだったからである。 ところで、そういう風にいかに枕必が恋とは違う動機で鈴美に近づいたとはいえ、恋に燃える彼女をまったく愚弄し、その気持ちを傷つけようと企んでいたかというと、それは違う。 確かに、彼の中には鈴美のように一途で澄み切った恋心はなかった。だからこそ彼女の気持ちを冷静に受け止められ、そしてそれを利用したことは事実である。 しかし、だからといってただただ感情を介在させずに遊んでいただけというわけではなく、また影で彼女を嘲笑っていたわけでもない。彼は、彼女の気持ちに当意即妙な相槌を打ちながら、その都度彼女をいたわる気持ちでいたのである。 要するに、枕必は鈴美のことを可愛い女だと思っていたのだが、それはまるでペットを見るような、絶対的力関係から生まれる憐みの情を彼女に対して抱いていたということであった。 ある種、それはそれで残酷な感情であろうが、数々の女と相前後して同衾しておきながら、それについて何らの拘りも持たない彼に、もし誰かがそのことを責めてみたところで、まったくの梨のつぶてに終わったでろう。 「ね」 文子が言った。 「鈴美さんもいいけど、ね?」 文子は、勃起した肉竿を握りしめた。 「どうせまたできるんでしょう? 絶倫だもの」 後半は半分笑いながら文子は言った。彼女にとって絶倫という単語は、冗談の部類に入るものだった。 だが実際のところ、枕必はいわゆる絶倫と呼んでしかるべき男であったろう。数々の女と寝て、しかもそれらを一様に満足させるのは並大抵のことではないが、彼はいつもそれを成し遂げてきたのである。 今それを体現するかのように、彼の陰茎は大樹のようにどっしりと佇み、大いなる幹を張ってどんな風雨にも動じない構えを見せていた。 文子には垂涎ものだった。一度でもその絶倫を知れば病みつきになるという。彼女は今やその依存症であった。 我慢の限界という様子で、文子は彼の行く手を遮るべく部屋の戸に手をついて尻を突き出すと、後ろ手に枕必の勃起を自身の肉穴へと導いた。 「ねえ、ちょっとだけ。ねえ、ちょっと、ね?」 文子はひとり言のように言った。肉棒依存症の女の、あさましい願望のほとばしりであった。肉棒は、今にもその手によって彼女の穴へとその身を埋めようとしていた。 が、そうはいかなかった。枕必が腰を引いたからである。 「ねえぇ」 不満を露わに、文子は眉を寄せた。秘穴からは涙のように、愛液と精液がツーっと滴り落ちる。やはりもうやる気がないのか、と文子は大いに落胆した。 しかし、枕必の目は先ほど来の冷めたものではなくなっていた。彼女の執拗な誘いと、全身性欲の塊のような体が枕必の気まぐれに火を付け、彼はある趣向を思いついていたのである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
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5-1-6 「欲しい?」 枕必は訊いた。今さらながらの質問だったが、文子は勘繰るよりも先に頷いていた。 すると彼は、ニヤリと笑って執務机の方に歩いて行った。そして、そこら辺りから筆や硯などの書道道具をいくつか見つくろってきた。 それを見ていた文子は、既に彼が筆を手に取った時点で、どんな趣向を思いついたのかに早くも気が付いていた。そして、心がざわつくのを覚えた。 やがて、部屋の真ん中には、枕必の手によって書道の用意が一式広げられた。 「さあ」 枕必は文子を手招いた。その表情はにこやかだった。 「ええ……」 さっきまで肉欲に積極果敢だった文子だが、その勢いはどこへやら、あまり気の進まぬ足取りでのそのそと彼の方へ歩いて行った。 「ほら」 枕必は筆を取り、彼女に手渡した。かなり太く、また長くて大きな毛筆だった。 文子はそれを受け取ったが、なお決心がつきかねる様子で、しばしもじもじとためらっていた。 「久しぶりだな」 のんびりと枕必は言った。これからすることが、である。文子の躊躇には一向関心がないようだった。 引くに引けぬ状況と、やはり快楽への期待に負け、文子は観念した。彼女は筆を持ち、そして、その柄の部分を……、 「う……ん……」 軽くうめきながら、なんと自身の膣内に挿入し始めた。もちろん、彼女が始めた行為は通常の書道のためのそれではない。これこそが、二人の間で行われてきた趣向なのである。 テラテラと濡れ光る陰毛の茂みへ、極太の筆の柄が消えて行く。ズブリズブリと筆が膣に沈んでいくのに従って、割れ目の淵から白濁した汁が押し出されていき、それは筆の輪郭を伝って流れた。 「もっと奥まで」 枕必は、文子の尻を内またからパチンと叩いた。 文子は今、足をがに股開きにして、自分で自分のヴァギナに毛筆を突っ込んでいる。顎を引いて股間を覗き込みながら、指で割れ目を広げて。それはまるで、筆をペニスに見立てて自分自身を慰めているような格好だった。 「しっかりくわえて。落とすんじゃないぞ」 言いながら、枕必は硯に墨汁を満たした。そうするうち、長い筆のかなりの部分が文子の膣内に収まっていった。 「うん」 枕必は硯の方へ顎をしゃくった。その指示に従い、文子は腰を下ろしていく。今挿した毛筆に、墨をつけようというのである。 硯は床に置いてあり、そこへ上手く房をつけるのは中々一苦労だ。べったりと膝を折ってしまうと深すぎるし、さりとて中腰では届かない。文子は右手で筆を固定し、距離を測りながらゆっくり慎重に腰を落としていった。 すると、枕必が厳しい口調で命じた。 「手を離しなさい」 文子は従順にその命令に従った。彼女は右手を離し、ここからは膣の力だけで筆を挟むことになった。手が離されると、支えを失った毛筆が、まるで文子の股間に生えた男根のように見えた。 その疑似男根を再び硯につけるべく、文子は改めて腰を落とし始めた。と、その時だった。 バチンッ! 彼女の尻から平手打ちの音が響いた。 「ああっ!」 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
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5-1-7 バチンッ! また一つ響く。それは、枕必の平手が文子の尻をしたたかに打つ音だった。 「いっ! ああっ!」 思わず前のめりになって、文子の腰が沈む。と、膣に刺さった毛筆が硯の底に突き立った。 「いつっ!」 文子は短く悲鳴を上げる。股間に生やした筆が、膣奥の壁に深く衝突したのだ。筆は、ちょうど膣と硯の間でつっかえ棒になった形である。耐えきれず、文子は前方に手をつく。すると筆は斜め後ろへの傾斜となり、その先が硯の底をひっかいて墨汁の雫がちらほらと後ろに飛んだ。 そんな文子の尻を、枕必はまた引っぱたいた。 「ううっ!」 さらに前かがみになった文子は、このまま四つん這いになりそうな勢いで尻を後ろに突き上げる。その尻の表面には、枕必の手形が赤く浮き出ていた。 彼女の尻は、脂肪が豊富で丸々としている。その脂肪の多さもあり、また年齢的なこともあって、尻肉は少しく垂れ気味であった。その垂れた肉に圧迫されながら、その狭間からピンと真っ直ぐに毛筆が生えている。まるで尻尾のようだ。 「抜けそうじゃないか」 言って、枕必は筆をグリグリと回しながらめり込ませた。 「おおうっ!」 文子は、折りたたんだ膝を一瞬震わせる。肉壁を弄ばれる快さと、角ばった筆の尾が当たる時の軟い痛さを感じたせいだった。 「背筋を正して!」 枕必は命じて、文子の肩と背を相反する方向に押しながら、彼女を垂直に起き上がらせた。こうして再び筆を墨にひたす態勢ができあがる。 文子は恐々足のクッションで間合いを測った。その姿は、中腰と和式便器にまたがる格好のちょうど中間位の姿勢だった。 「手はここ」 さらに命令して、枕必は彼女の両手を後頭部に添えさせた。おかげで文子は、両の腋を広げ、和式便器で用を足す姿勢を取りながら、しかも膣に筆を差し込んで、おまけにそれに墨をつけようとしているという、どうにも間抜けな格好となってしまった。こんな四十路女の姿は、そうそう世間で見られたものではない。実際、彼女を知る誰も、彼女のこんな有り様を普段の姿からは想像できないだろう。 そういう情けないことになるのだから、文子がこの趣向を始める前にためらっていたのもうなずけるというものである。ところが文子はこの状況を、実は嫌がっているわけではない。そもそも本当に嫌なら、最初から拒否すればいいのである。いくら師弟の間柄とはいえ、あるいはいくら彼のことの運びようが巧みであれ、断れないほどの強制力はないのだ。つまり彼女は、自らこの状態を望んだのである。 確かに、これを始める以前に文子は躊躇していた。しかしそれは、このプレイが激しい羞恥心を煽るものであるために、しばらくやっていないと、それが多少の恐怖に変貌して彼女にプレッシャーを与え、結果独特の不安や緊張感を生じさせてナーバスになっていたものだ。一方いざ始めてみれば、のど元過ぎれば熱さ忘れるがごとく、それらが快感に変じていくことを彼女自身分かっていた。でも何度やってもナーバスになる。そういうものである。 では、なぜこんな情けない状況に追い込まれて、彼女は快感を感じるのだろうか。つい少し前まで積極的に男の肉棒を弄んでいた女とは相容れない性格のように見えるのに。 彼女の目的はあくまで肉欲を満足させることにあるから、そのために入用な肉棒は、いわば質に取られているようなもので、それがためいいなりになっている、それは一つある。だがそれは一番の理由ではない。では、何が最も強く彼女を突き動かしているのだろうか。 さて、そうこうするうちに墨をつけ終えた文子は、ようやく紙の方へと筆を移動させる段となった。足を抱けば、文子がごろんと横になっても十分お釣りがくるほどの大判の画面だ。 頼りない表情を浮かべて、文子は枕必をうかがう。その様を見て、彼はほくそ笑んだ。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-8 文子は、硯から紙面へとのっそりのっそり移動していった。右足、左足を交互に少しずつずらし前進していく。 両手を組んで頭の後ろに添えたままなので、陰裂に挿した筆を上手く気遣うことができず、房に付けた墨汁がぼたりぼたりと滴り落ちてしまうのをどうすることもできない。結果、足を進める度に黒い斑点が床の上にできていった。 さらには、柄を伝わって流れ出る白濁液もまたその雫に混ざる。墨汁の色の変化はちょっと見では分からぬが、そこには確実に精液と愛液がミックスされているはずだった。 その液で、文字を書いていくのだ。文子は、既に画面をいくらも汚しながらその上端に移動し、がに股の足を踏ん張って立った。膝はプルプルと震え、それは彼女の豊かな乳房をもかすかに振動させている。胸元の肌は鮮やかに紅潮していた。と、その紅潮が引くか引かないかの直後だった。 「ふっ! はぁっ……!」 文子は顎を上向け、目を閉じて大きく息を吸い込んだ。エクスタシーに達したのだった。 彼女はこの一連の行為のさ中で、性的興奮を高めていたのである。そしてこれが、彼女がこの屈辱的な仕打ちを拒まなかった最大の理由であった。文子は肉棒による満足を求めていながら、それとは別な、この理不尽な毛筆挿入行為によっても性的欲求を満たしていたのだ。これこそ、彼女の持つ被虐嗜好の現れである。 枕必はそんな文子の様子を見て、自然と口元をニヤニヤさせていた。 元来、本質的に女性には受容的な傾向がある、とは彼の持論である。性器の形状、つまり男性器を外から挿入されて初めて成立する仕組みに、その理由が求められるという。文子はその例のモデルケースということになる。 枕必は、今にも尻もちをつきそうな文子を支えるべく、彼女の脇腹を後ろから持った。肌に食い込んだ彼の手に、じっとりと汗が染みる。エクスタシーに達した文子は、体中に汗をかいていた。 「自分で立ちなさい、ほら」 文子の肩口に頬を寄せて、枕必は言った。相手は、しかし極度の興奮状態で容易に反応を返さない。それでも、彼にはこの趣向をやめるつもりはなかった。 「できないのかい? やめるかい?」 心にもないことながら、枕必は訊いた。 「欲しいんじゃなかったの?」 彼は続けてささやいた。まさに悪魔のささやきのようだった。これにつられて、文子は言った。 「欲しい……、です……ぅ……」 「だったら、ほら、ここに」 枕必は紙面を手で叩く。 「欲しい物書きなさい」 それは、ここでの絶対的な命令であった。これをやらなければ終われないのである。文子の方でも、それは重々承知している。 「はい……ぃ……」 少しずつ気分が落ち着いてきた文子は、意識して息を整えた。 その様子を見て、枕必は手を離し立ち上がる。そして、作業の全体を一遍に視界に収められる位置まで離れていき、彼女の周囲をゆっくりと歩いたり、時に立ち止まったりした。久々に眺めるこの光景を、彼は最大限満喫するつもりでいるのだった。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
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5-1-9 文子は作業を開始した。通常手で持つところを膣穴で代用しているので自ずと作業手順も異なり、普通ならほとんど手と腕だけを動かすべきところ、今はまず体全体を書きたい場所に移すところから始めなければならない。文子は、相変わらず後頭部を抱えたまま、そろりそろりと足を運んで画面左上の方へと移動し、そして、荒い息を吐きながら筆先を画面に落とした。 手で書くのと違い、横棒一本引っ張るのにも骨が折れる。何しろ、筆先の向きが安定しないのだ。おまけに、いくら太めの筆とはいえ、膣の圧迫だけでこれを持つというのは中々過酷な話である。ましてや文子は特殊な鍛錬を積んだわけではなく、あまつさえ穴の内部は粘液でドロドロに濡れていて滑りやすい。筆が抜けないように気を使うだけでも一苦労だ。 文子は膣が締まるように意識して、下半身に力を込めた。すると、肛門がきつく閉まって、尻の筋肉がプルプルと震える。その尻を尻文字よろしく前後左右に振って、何とか文字を作っていく。出来上がるのは、細い線や太い線の入り混じったもので、もちろん全体のバランスなどはもってのほかのいびつな書だ。果たして、これを書と呼んでいいものかどうかの議論もあろう。 書家・枕必は、その点どう解しているのか。 彼はずっとニヤニヤと笑いながらこの様子を見ていたが、もはや自分ではその笑いを禁じることができないほど、この状況を楽しんでいた。彼にとって、これは性的な戯れでありながら、一方純粋に独立した一個の趣味でもあった。 枕必の元には、以前に創作されたこの類の“書”が、既に大量に保管されている。実は、彼が過去にこの趣向を命じたのは、文子だけではない。これまでに関係した幾人もの女性に、これと同じことをさせてきているのである。そうやって出来上がってきたこれらの作品を、彼は後生大事にわざわざコレクションとして残してきたものだ。 彼曰く、これには性的興奮を刺激されるのみならず、もはや芸術的興味すらそそられるということである。女性が膣を使って作品を生み出すということは、女性ならではに宿命づけられてきた行為であり、それ故にある面でこれは人生そのものですらある、と彼は言う。その正邪はともかくとして、枕必がこのコレクションを眺めるとき、大いに心満たされることは事実であった。 作品を見れば、枕必は容易にそれが生み出された時のことを思い出すことができる。 多くの女性に見られた反応は、この行為の性質上、恥じらいおののいて震えるというものだった。涙を流す者もざらにあった。ある学生の弟子を二人並ばせた時は、二人が二人とも極度の羞恥心のために泣きだしてしまったものだ。 また、羞恥心以上に屈辱感を強く抱く者もいる。とりわけ、書道を真面目にやってきた者にそういった例は多かった。やはりこれも枕必の弟子で、幼少の頃より書道を習ってプロとなった者なぞは、情けなさのあまり発狂しそうなほどに身悶えた。彼女としては、長年ライフワークとして培ってきた書道のキャリアを、こんな変態じみた性戯に活かすことになろうとは夢にも思わなかったであろうし、さぞかしショッキングだったのだろう。膣に筆を挿すという発想自体、考え付かなかったに違いない。 ところで、それほど心理的に負担を与えるものでありながら、憤慨したり拒み通したりする女性はこれまで一人もいなかった。そこが、女性の心理の複雑微妙な所である。これには色々な要素がからんでいる。 まず、そもそも関係を持った女性すべてにさせているわけではないので、あらかじめ受け入れられると思しき女性を見抜く枕必の眼力の鋭さがある。そして、両者の間の信頼関係、加えて彼への憧れや忠誠心がある。関係を最初に築くのと同様、彼の事態の運び方の上手さも忘れてはならない。要するに、以上枕必が指導者の故に成り立つ事情というのがある。 一方、女性が先天的に内包する条件もある。まだ文子ほどには至らぬまでも、潜在的に被虐嗜好の女性は多いし、その点はある意味枕必の先の持論が合致するのかもしれぬが、ともかくこれはこの趣向を許す一つの下地となりうる。さらに、女性にもやはり性的好奇心というのはあるわけで、これを刺激されて、一風変わった性的趣向に興味を示すことはむしろ自然なことでさえあるのだ。 実際、すべての者が最終的に協力的となり、またこれに愉しみを見出すようになっていく。そういう面では、この作業に携わった女性の順能力は高いといえるだろう。 文子もそんな女性の一人だ。その作業に取り組む懸命さは、ギュッと閉まった肛門の力の入り具合からもよく分かる。それを見ていると、枕必はついさらなる試練を与えてみたくなる。もっと追い込まれた後にできる、ギリギリの創作を確かめてみたいというのだ。 彼は、きつく閉じた彼女の肛門に、指を入れてやろうかと企んだ。しかし、すんでのところでそれは思いとどまった。なぜなら、以前別の女にそれをやって、紙の上に大便を漏らされたことがあったからだ。さすがの彼も、それには辟易した。女にかけて百戦錬磨の彼も、書道道具の上に糞をされるのは趣味に合わなかったようである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』 5-1-10 と、見ている間に文子は一つの作品を書き上げた。普通に手で書くよりも何倍もの時間をかけて。 「おちんぽ ほしい」そう書いてあった。欲しい物を書けという、枕必の指示に従ったものだ。膣で書かせる書道、いわば“膣書道”では、いつもこんな卑猥な題材を書かせるのが常だった。 だが最も卑猥な言葉は、実は下世話な文句そのものではない。それは、左下に書かれた作者の署名である。自分の名前を自分の膣で書かせられる、これほど間抜けで侮辱的なことはないからだ。それを書く女には、情けなさと恥ずかしさが津波のように押し寄せるだろう。さらにこれを卑猥な文言の横に記せば、身動きできない証拠を突きつけられた気持ちにもなる。自らこのばかばかしい行為を承認してしまったようなものだからだ。 名前ばかりをひたすら書かせたこともあった。誇り高い女であるほどこの屈辱の衝撃は大きいようで、自身教室を主宰して教え子を持つある女師範などは、名前を大書した後、ショックのあまりその上で失禁してしまった。膣で署名するだけでなく、それに尿までかけて、結果的により徹底的に自分の名を辱めることとなってしまったのである。 今日の文子の作品にも、署名がしてあった。それにしても、こんな場合にも様式に則り、ちゃんと左の隅に書くというのは、なおさらこの行事のばかばかしさを際立たせているようである。前述の通り、膣で書く場合には書きたい場所まで体全体を運ばねばならないから、署名が左下にあるということは、わざわざそこまで移動して書いたということになるが、膣から毛筆をぶらぶらさせて、これを落とすまいと必死で力みながらよちよちと尻を振る大人の女の格好というのは、どう理由をつけても間抜けなものに違いないだろう。 そうして一仕事終えた文子は、普段の厚かましさにも似ず、恥じらって弱々しく縮こまっていた。軽い疲労感もあり、枕必の判断を待つその表情は、どこか力無げにも見えた。また、羞恥と緊張という内心の影響のほか、見た目以上にハードな運動を終えたことから、素っ裸にもかかわらず彼女の肉体はカッカと火照っていた。 「ふむ……」 枕必は作品を見た。ひょろひょろとした頼りない線が、全体的に右側に偏っていた。字自体は読める方だった。場合によると、どう首をひねっても読めないときがあるのだ。 その作品が気に入ったのかどうか、彼の表情からは何も読み取れなかった。彼は、評価を下すことなくそれを少し離れた場所へ持って行って置いた。そうしておいて、言葉を発する代わりに新しい紙を持ち出し、文子の前に広げた。次の創作にかかれというのであった。 「ああ……」 何か言葉にならぬ声を文子は発した。許しをこうべく、甘えているつもりらしかった。だが、どんなに甘えてみても結果は変わらない。もはや彼女にとって、次の創作は責務だった。 文子は諦めて、今一度墨をつけに硯に向かった。そして、また紙の上に戻る。「おちんぽ ほしい」改めてそう書き、署名もした。枕必はそれを受け取る。するとまたしてもそれを脇にのけて、新しい紙をセットした。一からのやり直し、その繰り返し。苦行だった。 二回目は早く済んだが、三回目からは徐々にスピードが落ちていった。スピードには個人差があるが、文子は年齢的に厳しく、比較的早めの段階で体力を大幅に消耗していった。顎からは、いつしか汗の雫が滴り落ちる。 時折よろめいて、尻や手をつくことも多くなった。そうして六回目を数えた時、「お」を書いたところで彼女は尻もちをつき、とうとう起き上がれなくなってしまった。足が疲れて、ついに体を支えきれなくなってしまったのである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |