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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「師匠のお筆」 5-1-8
『師匠のお筆』


5-1-8



文子は、硯から紙面へとのっそりのっそり移動していった。右足、左足を交互に少しずつずらし前進していく。
両手を組んで頭の後ろに添えたままなので、陰裂に挿した筆を上手く気遣うことができず、房に付けた墨汁がぼたりぼたりと滴り落ちてしまうのをどうすることもできない。結果、足を進める度に黒い斑点が床の上にできていった。
さらには、柄を伝わって流れ出る白濁液もまたその雫に混ざる。墨汁の色の変化はちょっと見では分からぬが、そこには確実に精液と愛液がミックスされているはずだった。
その液で、文字を書いていくのだ。文子は、既に画面をいくらも汚しながらその上端に移動し、がに股の足を踏ん張って立った。膝はプルプルと震え、それは彼女の豊かな乳房をもかすかに振動させている。胸元の肌は鮮やかに紅潮していた。と、その紅潮が引くか引かないかの直後だった。

「ふっ! はぁっ……!」

文子は顎を上向け、目を閉じて大きく息を吸い込んだ。エクスタシーに達したのだった。
彼女はこの一連の行為のさ中で、性的興奮を高めていたのである。そしてこれが、彼女がこの屈辱的な仕打ちを拒まなかった最大の理由であった。文子は肉棒による満足を求めていながら、それとは別な、この理不尽な毛筆挿入行為によっても性的欲求を満たしていたのだ。これこそ、彼女の持つ被虐嗜好の現れである。

枕必はそんな文子の様子を見て、自然と口元をニヤニヤさせていた。
元来、本質的に女性には受容的な傾向がある、とは彼の持論である。性器の形状、つまり男性器を外から挿入されて初めて成立する仕組みに、その理由が求められるという。文子はその例のモデルケースということになる。

枕必は、今にも尻もちをつきそうな文子を支えるべく、彼女の脇腹を後ろから持った。肌に食い込んだ彼の手に、じっとりと汗が染みる。エクスタシーに達した文子は、体中に汗をかいていた。

「自分で立ちなさい、ほら」

文子の肩口に頬を寄せて、枕必は言った。相手は、しかし極度の興奮状態で容易に反応を返さない。それでも、彼にはこの趣向をやめるつもりはなかった。

「できないのかい? やめるかい?」

心にもないことながら、枕必は訊いた。

「欲しいんじゃなかったの?」

彼は続けてささやいた。まさに悪魔のささやきのようだった。これにつられて、文子は言った。

「欲しい……、です……ぅ……」

「だったら、ほら、ここに」

枕必は紙面を手で叩く。

「欲しい物書きなさい」

それは、ここでの絶対的な命令であった。これをやらなければ終われないのである。文子の方でも、それは重々承知している。

「はい……ぃ……」

少しずつ気分が落ち着いてきた文子は、意識して息を整えた。
その様子を見て、枕必は手を離し立ち上がる。そして、作業の全体を一遍に視界に収められる位置まで離れていき、彼女の周囲をゆっくりと歩いたり、時に立ち止まったりした。久々に眺めるこの光景を、彼は最大限満喫するつもりでいるのだった。


<つづく>




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