おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
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「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後八時四分 なんと倫子の乳房をつかんだのである。これは、倫子にも他の二人にも思いがけないことだった。 「あっ! おっぱい触った!」 すかさず子供たちが叫ぶ。 それに対して肇は言い放つ。 「おちんちんを触られたお返しだ!」 勢いに乗った彼は、そのまま諸手で倫子の乳房を鷲づかみにした。柔らかい脂肪に、彼の指がめり込む。そうしながら、さらに彼は、こんな誘い文句まで言い放った。 「み、みんなも攻撃するんだ!」 初めの内呆気にとられていた二人も、この一言で我を取り戻した。彼らの行動は即座に決まった。ワーッとばかり倫子に寄って行く二人。いずれも頬を紅潮させながら。 小さな彼らは、精いっぱい手を伸ばして乳房にタッチする。もっとも、倫子の巨大な乳は、たとえ彼女が直立していても下から届きやすい位置にはあったが。 「こらこら!」 (この悪ガキどもめっ!) 倫子は、調子づく少年たちに苦笑した。しかしまだ、広い心で受け入れられるレベルだった。 (やっぱり男の子ねえ) ほほ笑ましくも思えた。それに、 (おばちゃんのおっぱいでも触りたいんだ) と考えると、建前上は一応拒否して見せても、何となく嬉しいような気恥ずかしいような気持ちは否めなかった。 とはいえ、際限なく触らせているわけにもいかない。 「ほらほら、もうおしまい!」 彼女は幕引きを試みた。 しかし、悪童どもは、そんなことでやめたりしない。聞こえなかったふりで、三人とも倫子の胸を揉みまわしてくる。特に肇の手つきは悪どく、乳首を転がしたり、肩や背中までさりげなく撫でてくる。 (ちょ、ちょっとちょっと) 幼い二人はともかく、さすがに高校生男子ともなると意味合いが違ってくる。それは、倫子の肌の受け止め方においてもだ。 (ダメダメ) 妙な成り行きになる危機感を感じて、倫子は作戦を変えた。 「こら! じゃあ、おばちゃんもつかまえちゃうぞ!」 倫子は、今度は翔太と修次の股間へと手を伸ばした。すると――、 (あっ……!) 彼女は、またしても驚かされた。彼らの言葉通り、確かに彼らの陰茎も勃起していたからである。比べるまでもなく、さっき握った肇のモノよりも小さい。だが、小さいながらもしっかりと男根の形はなしている。 (こんな子供でも勃起するんだ……) 倫子は妙に感心してしまった。彼らもまた、倫子のために勃起しているのだった。 (男の子なんだ……) 二人の顔を見てみる。彼らの表情は、いつしか固いものになっていた。彼らの興味がもはや遊戯にはなく、完全に倫子の乳房へと移っているのは明らかであった。もう股間に触られることすら、自然と性的興奮に結びつきつつあるようだった。 「あ、ねえ、ちょっと……」 さすがの倫子も戸惑いだす。と、その時、 「キャッ!」 急に彼女は叫んだ。小さい子の股間に触れるために屈んでいたのが、バランスを崩し、浴槽の床に尻もちをついてしまったのだ。 「アイタタ……」 倫子は言ったが、男子三人は笑うでもなく、転んだ彼女の裸体にそのまま群がりつく。 翔太と修次は、届きやすくなった乳房を相変わらずおもちゃにしている。乳房は、湯の表面にプカプカと浮いていた。彼らには、そんなことも好奇の対象である。 また、ズイと倫子の肩に当たったものがある。その独特の固い感触――、肇の肉棒だ。肇は、倫子の濡れた後ろ髪やうなじ、さらには背中にまでそれを押し付けだしていた。 「も、もう、やめなさい。ね?」 その勢いを恐れて、倫子は後ずさる。ついには、背中が湯船の淵にぶつかる所まで来た。 と、ここで動いたのが肇だ。といっても、彼女を気遣う行動に出たわけではない。彼はいきなりしゃがみ込んだ。そして、修次を押しのけ、なんと倫子の乳房に吸い付いたのである。 「えっ! ちょっと!」 予想外のことに驚く倫子。 するとそれを見て、今度は翔太までもが、 「ぼくも!」 と言わんばかりに、倫子のもう片方の乳房に吸いついたのだ。 (な、何この状況!) 他人の息子、――いや、仮に自分の子供でもあり得ないが、彼らに公然と乳を吸われるとは! しかも、一つずつに一人の口が吸い付いて……。 「や、やめなさいってば!」 頬を火照らせつつも、倫子は注意した。いくら大人の女としての余裕を示したくても、ここまで許すわけにはいかない。 だが一方で、強い好奇心にも惹かれていた。 右の乳の肇、左の乳の翔太。それぞれに吸い方が違うものだ。翔太が一生懸命にギュウギュウ吸いつくのに対して、肇は舌でベロベロと乳首を舐めたりもし技巧的である。年齢の差による違いをまざまざと思い知らされた形だ。 さらには、それが気持ちいいという思いを、たとえ表向きは否定しても、肉体は認めようとしていた。際立って異なる二人の個性が、絶妙な快感と異様な興奮を呼ぶのである。 「ひっ!」 思わず倫子は喘いだ。肇の舌が快感スポットに触れたのだ。 (ちょっと酔いすぎたみたい) 彼女は、なんとか余裕を取り戻そうと、平常心を思い出すことに努めた。もう既に、確実に体が感じ始めたことには気づいており、焦る気持ちがあった。 ふいに修次が言う。 「ねえ、僕も吸いたい」 肇が彼の居場所を取ったので、彼だけがのけ者だったのだ。 すると、それを聞いた肇は、つと立って彼に場所を譲ってやった。そうして自分は右に移動し、ちょうど倫子の真正面の位置に座る。自分から始めておいて、案外あっさりと乳房を諦めたものである。 譲られた修次は、嬉しそうに乳房に吸い付く。彼も兄同様、赤ん坊のように一生懸命脂肪を吸い込んだ。本当に母乳が出ると思っているようだった。 (この子にだけ、いやとは言えないし……) 勝手に己の乳房をやり取りされる理不尽な状況ながら、倫子はそう思い修次を止めなかった。仕方なしに、自分の乳を吸う兄弟たちを見守る。しかし、こうしてみると、母性的な気分が自分の中に生まれてくるような気がした。 もっとも、彼女にその暖かみをゆっくり味わう暇は与えられなかった。 彼女は尻もちをつき、壁に背をもたせかけてからというもの、膝を三角に立てるような格好で座っていたのだが、さっき、肇が位置を代わった時、彼はその膝と膝の間に座ったわけである。 つまり、肇の股間は彼女の股間と向き合う位置になったわけで――。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後七時五十五分 しかし、相手が誰であるかが分かると、一瞬にして子供たちの顔はほころんだ。 「あっ、肇(はじめ)兄ちゃん!」 それは、一緒に旅行に来た少年であった。 今回の旅行は、日頃から家族ぐるみの付き合いをしている仕事仲間の親睦会だったが、参加した四家族のうち一組の夫婦の息子として彼も来たのであった。 「あら、肇君も来たの?」 倫子は、入ってきたのが身内と分かってほっとしつつ言った。ここの風呂は混浴であるが、やはり知らない男性がやってくるかもしれないと思うと緊張するものである。 「はい。――ほかに誰もいないんですね」 腰回りをタオルで隠しながら、肇は湯船に入ってきた。 それを見て、倫子も前を隠すタオルを上げる。さっき遊んでいた時は、タオルの行方になど気を配らなかったが、 (さすがに、高校生の前じゃあね) 彼の体格が少年というよりもう男性のそれであるのを見て、倫子は節度を取り戻していた。 一方、テンションの上がった子供たちは、急に態度を改めるはずもなく、それどころか彼が加わったことでいよいよ勢いを増して、 「肇兄ちゃん!」 と叫びながら、彼に飛びつくわ、湯を跳ねあげるわと、縦横無人に暴れまわった。もちろん、彼らに先ほど油を注いでしまった倫子が、その標的から外されるはずもなく、 「おばちゃんも!」 と、彼女も容赦なく巻き込まれてしまい、せっかく気にしたタオルもはだけ、いつしか胸元まであらわになってしまった。 「やったわね!」 こうなると、倫子も子供だ。彼ら三人のどの母親よりも年上の大人のくせして、一番無邪気に騒ぎまわる。 ブルルン、バルルン――、そんな漫画じみた擬音がしっくりくるほど、彼女が動く度その乳房が大げさに跳ねまわる。人一倍豊かな乳房である。その重量の故、四十の峠を越えてはさすがに垂れ気味であったが、下辺から頂きにかけてのふっくら丸い曲線はなお美しくあった。また、先端の大輪はバラ色と呼ぶに相応しい華やかさで、かつ少し膨み出ている様子も特徴的であった。 他方、極端な胸の出っ張りのせいで目立たないが、実は豊かなのは胸ばかりでなく、二の腕や腰、尻などの膨らみもそれなりにあり、要するに彼女は全体に豊満な体型をしていた。もっとも、彼女自身が自認している通り、決して太っているほどではない。本人に言わせれば、四十路ともなれば垂みもしよう、という所である。 それでも普段なら、あえて人の目に触れさせようとは考えないが、今の相手は子供だ。真っ裸でいても、殊更気にはならなかった。そればかりか、恥じらいのかけらもなく、積極的に子供たちと戯れていく。 「あっ! おっぱい触ったな! 翔太(しょうた)君のエッチエッチ!」 ふざけて組み付いてくる子を倫子はからかう。 言われた子はちょっとひるむのだが、すぐに仕返しを試みてくる。ボディータッチなどは当たり前、タオルを奪い合ったり、湯に引きずり込もうとしたり、やりたい放題だ。 「肇兄ちゃんも触ったよ!」 今度はさっきの子が肇を攻撃する。 指摘されるまでもなく、倫子もそのことは察知していた。 (どさくさまぎれにぃ、こいつめっ!) 悪童の悪戯位で別に腹は立たなかったが、ちょっと懲らしめてやろうとは考えた。そこで、わざと大袈裟な調子を装って彼女は言った。 「うん、触られた!」 すると、大慌てで肇が首を振る。 「さ、触ってない! 触ってない!」 顔を真っ赤にしたその様子が、倫子にはほほ笑ましかった。 今の彼女には、はっきり自覚はないものの、少しばかり気分がウキウキとする所があった。男子の遊びの輪に、紅一点加わる楽しさといった所であろうか。 しかし、そうそう牧歌的なやり取りばかりが、いつまでも続くわけではなかった。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53 目次へ |
『師匠のお筆』 6-8 「アア、いいわ! その固いので早く突いてっ!」 一層の硬度を体内に感知し、期待で膣壁をうずうずさせながら文子は言った。 確かに瑞夫の固さは、今日一番だった。はっきりそうと意識はせぬものの、妻が寝取られているかもしれぬとの可能性をちらりと閃いた影響から、そうなったのである。 かくもねじれた心理を、どうして彼が抱くにいたったのか。彼にとっては、もはや夫婦間の危機ですら肉欲のスパイスにしかなりえないのだろうか。とにかく瑞夫の陰茎は、ひと際固く、そして大きくなっていたのである。 「アンッ! そう、もっと、もっと!」 文子は、その発達した剛直を気に入っていた。それをずんずん突き入れられ、その腰つきに合わせて起こる快感の波を意識しながら、彼女は悦び喘ぐ。 もしこれを鈴美が味わっていたら、彼女はどう思っていただろう。どうしてそうなったかの経緯は置くとして、とりあえず大きく・固くなった瑞夫のそれに触れたとき、彼女の性欲が枕必から彼に向き直る可能性はあっただろうか。 答えは、否である。多くの女がそうであるように、鈴美にとっても、肉棒の質なぞ大した条件ではない。むしろ相手や、その人との関係が問題なのである。彼女の体が発情するのは、相手が枕必という憧れの存在であればこそなのだ。 もっとも、瑞夫のそれがいくら今のような大きさになろうとも、実際には枕必のものがそれをさらに上回るスケールだったので、いずれにせよ彼に勝ち目はないのであったが。 さてその枕必の立派な肉棒で、今しも鈴美は肉穴を突きまくられている。 「アッ、アッ、アッアッアッ……!」 外に夫のいることは知らないから仕方ないかもしれないが、隣の部屋に息子のいることは分かっているのに、それでも鈴美は大胆に喘いでしまう。だがもし夫の存在に気づいていても、結局結果は変わらなかっただろう。 彼女にとって、枕必、ないし彼によってもたらされる快楽は、もはやすべてに優先する事項というわけである。 それが証拠というべきか、鈴美は今、一糸まとわぬ生まれたままの姿を彼の前にさらけ出していた。息子にいつ見られてもおかしくない、この危機的状況下においてである。およそ破滅的志向と言わずばなるまい。 これを命じたのは、無論枕必だ。彼は、自分は服を少しも脱ぐ気がないくせに、鈴美には、有無を言わさぬ実力をもって、全裸になれと命じるのである。 彼がこんな無茶を言うのは、実は少々鈴美に飽き始めているからである。 恋愛でもなんでも、時を重ねるごとに要求がエスカレートしていくのが自然だから、枕必の求めは理に適っているし、実際鈴美もその順序に沿う形で彼に従っているのであるが、枕必にとって現在の段階は、既に退屈の始まりであった。 なぜなら、彼が鈴美との関係で楽しみにしていたのは、性のイメージからほど遠い良妻賢母をいかにして籠絡するかという、その一点であったからだ。 それが済んだ今、彼女は通常の愛人と同じであり、それなら彼には足りているし、もっと好みの女もいるのである。 (悪い玉じゃあない) 枕必は思った。 (これの恋心はそれなりに楽しめた) 思いながら、指の腹でフニャフニャと乳房をいじくる。 (だが、物足りないな) 彼の豊富な履歴に照らせば、彼女との今後を類推することは容易であった。彼は、いつしかこれまでに付き合った女の中に鈴美と似たタイプを見つけ、その所属するカテゴリに彼女を分類しようなどと思案していた。 と言っても、表向きはそんな素振りを一切見せないのが彼の信条である。鈴美の前で、あくまでも彼は紳士だった。 「どうだ? 筆よりも、やっぱりこっちの方がいいだろう」 紳士は言った。このセックスをより良いものにしてやろうとの彼なりの気遣いである。 「こういう筆の方が、気持ちいいんだろう?」 「はっ、うぅっ……、はいぃ、はひぃぃ……!」 鈴美は彼の問いかけに答えたつもりだった。だが、度の過ぎた快感のせいで狂ったように歪む口では、思いのほか鮮明に発音できないのであった。 「ひっいぃおち、いひ……、きひ、おち……いいでふぅ……!」 「ははっ、そうか、気持ちいいか」 彼は笑った。呂律の怪しい物言いも、彼にはちゃんと理解できているらしい。そうして言うよう、 「困ったなあ、こんな淫乱な弟子は」 憐れむような口ぶりだ、快楽に魂を売った、目の前の三十路女のことを。 「この前やった筆もだが、師匠のお筆は、みんなこっちに挿すのか君は」 (ああ……師匠のお筆……) 鈴美は思った。 (なんて素敵……!) ちょうどそう思った瞬間だった。ガシャン! いくつかの置物が転げ落ちる。壁についていた手が滑って、傍の棚にぶつかったのだ。 「こらこら、あまり音を立てると、本当に聞こえるよ」 枕必がやんわりと叱る。隣室には神雄のみならず、枕必の娘・須美恵もいるのだから、彼としても、別に好き好んでそちらに知らせたいわけではない。 もっとも、彼はこれまでどんな女と付き合ってきたときも、殊更に娘にばれないように気遣ったりなど、何ら積極的な努力をしてはこなかったが。 「ダメじゃないか、しっかりしないと」 枕必は、鈴美のわき腹辺りを抱えて彼女を起き直らせると、自分の体ごと彼女を壁に押し付けた。そうして、彼女の髪に口をつけて囁く。 「ちゃんとしないと、神雄君に笑われるよ」 言いながら、密着した腰を前へ前へ押し出す。すると、鈴美の尻肉が枕必の下腹に圧迫されて歪んだ。 「“お母さん、ちゃんとセックスしてるのよ”って。“あなたの傍でも、ちゃんとセックスできるのよ”って。ほら」 枕必は、歪んだ尻肉をつまんで左右に引っ張った。おかげで、鈴美の肛門まで広げられ丸出しになる。 (神雄……神雄、ごめんね……。お母さん、枕必先生が好きなのぉ……!) 枕必の責め言葉で官能を掘り起こされ、肛門までさらされて鈴美はもだえ狂った。 「アアーッ! アッ、アヘェッ~!」 壁に半分口を押し付けたまま、鈴美は喘ぐ。枕必が後ろからくっついてくるので、自然とそんな格好になってしまうのだ。開けっぱなしの口からはだらだらとよだれが垂れ、舌は行き場なく壁を舐めている。 (気持ちいい! 気持ちいい!) 彼女はもう肉欲の虜だった。 そんな彼女に、枕必が畳みかける。 「先生のチンポが、好きで好きでどうしようもないんだな」 (ああ! 好きです! 先生のおチンポ! 先生のおチンポ!) 心で鈴美は応答する。もはや何を言われても無条件で受け入れてしまう境地だ。 「向こうの神雄君にも見せてやろう」 (おお! 神雄! お母さん、枕必先生のおチンポが、気持ちいいのぉっ!) そして、鈴美は狂い啼く。 「オッ、オッ、ォアアッ! ァハァッ! ンッンッンッ……!」 と、その啼き声が終わらぬうちに、パシィィンッ! 彼女の背中を、したたかに打つものがあった。枕必が、言葉責めの効果をさらに倍加させるつもりで、彼女に平手打ちをくれてやったのである。 期せずして、この時、平手打ちの音は隣の教室にも響いていた。ちょうど同じ頃、ただし、音の出所は別で。 「アヒィッ!」 須美恵は、尻をぶたれて啼いた。ぶったのは神雄だ。つい先ほどまでとは立場が逆転したわけである。 別に、さっきやられた仕返しというのではない。彼女の尻を上から眺めているうち、何となく叩いてみたくなっただけである。 彼としては、いつになく大胆な行動だった。彼女と関係を結んでから数カ月、ようやく彼も慣れてきたということだろう。漠然と、“怒られはしない”、という勘も働いていた。 実際、須美恵は怒らなかった。むしろ好ましく感じていたほどだ。 (ああ、この子ったらこんなことするの?) 須美恵は、神雄の中に男性の力強さを見た気がした。それに彼女の中の女性の部分が惹かれ反応する。 「アハァッ!」 須美恵の口から、色っぽい吐息が漏れる。 神雄は一打では飽き足らず、二打、三打と平手打ちを浴びせかけた。手に当たる感触を面白がっている様子だ。 ペチッ! ペチッ! その的は、尻から背中にまで至る。打ちすえられたところは、ほのかに朱に染まっていった。 「ウフゥッ! アンッ! アハァン!」 打たれる度に、須美恵は熱っぽい声を吐く。 (ちょっと調子に乗ってるみたいだけれど……、でも……、悪くないわぁ) 鷹揚に彼の振る舞いを許しながら、彼女は感じていた。 神雄だってそうだ。元より、彼のペニスは須美恵のヴァギナに突き刺さっているのである。 ペチャン! ペチャン! ペチャン! 肉茎の出し入れの度に、肌のぶつかる音が鳴る。少年の体重に比例した軽い音である。 だがその軽い一撃でも、女を啼かせるには十分なようで、 「アッ、アッ、アンッ!」 肌の響きに合わせ、須美恵は満足そうに声を上げるのだった。 そうして彼女の濡れた肉穴が、神雄の未発達な肉茎をくるめば、ほどなく彼の性感は、限界近くまで高まるのだった。 (ああ! イきそうだ!) そう心に叫んだのは、神雄ばかりではなく、教室の外にいる瑞夫もだった。息子と同じく、彼も今射精を身近に感じていたのである。 パンパンパンパン……! 肌の打ち合う音が鳴る。もう誰に知られることをも恐れずに、瑞夫は激しく腰を前後させて、文子の尻を揺さぶっていた。 「アア~ッ! アガァ~ッ! いいわぁ! いいわぁっ!」 文子も自分の世界に没頭して、ただただ快楽をむさぼる。そして、屹立した男根で、肉穴をほじくられる悦びに震えた。 「もっとぉっ! アブァァッ! もっとぉぉん!」 窓枠にしがみつき、豊かな乳肉をブルンブルン揺らす。乳房の反動は大きすぎて、時には壁にぶち当たり、激しくはじかれもした。 (ダメだ! 出る! このまま……このまま!) 精嚢から尿道にこみ上げてくる強烈な感覚、その快感に瑞夫の腰は止まらない。肉壁に亀頭がこすれる度にガクガクしながら、彼はハチャメチャに腰を振りまわした。 「来てぇっ! 来てぇぇっっ!」 射精が近いことを敏感に察知して、文子が叫ぶ。 勢いづいていた瑞夫は、それを聞き、なおさら肉棒を抜き去る努力を放棄した。 (うあっ! 中出し……! このまま! ううっ!) 快感が脳天を突きぬける! 瑞夫の腰は、ちょっと浮いたようだった。この瞬間、大量の精液が瑞夫の肉竿からほとばしり出たのである。 「はあっ! 出てる! 出てる出てる!」 ブルブルと尻の脂肪を震わせる文子。今彼女の膣内には、多量の精液が噴射されていた。その振動と、その熱さが、彼女の体内を躍動させる。 (出てる! 出てる!) まだ惰性で腰を振る瑞夫。文子の大きな尻にしがみついたまま。 その時! (出てるわぁ、神雄君の……) と、須美恵。 (ああっ! 先生の! 先生のが流れてくる!) 同じく、鈴美。 この瞬間、まったく奇跡的なことながら、三本のペニスから、時を同じくして、一斉に三つのヴァギナへザーメンが放たれていたのである! (熱い! 熱いわぁ! 先生の精液がいっぱい中に……!) 枕必の精液を膣内にあふれさせて、鈴美は窒息しそうなほどに興奮していた。彼の愛人に夫が射精していることも、彼の娘に息子が射精していることも知らないで、幸せそうである。 枕必だって、娘が、今自分が中出しした女の息子に、逆に中出しされているとは知らない。また、知ったところで大して驚きはしないが、自分の愛人が浮気していることも知らない。 娘も、父親の日頃の行状は知っていても、今しがた自分に射精した少年の母親に、彼が現に隣室で射精していようなどとは思いもしない。 (ああん、神雄君の、いっぱい出るようになったのね) ただただ無邪気に須美恵は喜んでいた。 神雄は、彼女の悦びを知らない。そもそも彼は何も知らない。大人たちの思惑を何も。いや、知らない方が幸せかもしれない。 母親が隣で父親以外の男に膣内射精されたことや、父親が外で会ったばかりの女とセックスしたこと。父親については、自分のセックスを覗いたばかりか、それを見てオナニーすらしていたのだ。 もちろん、その父親は、覗いたセックスが息子のそれとは知らないのである。そればかりか彼は、ここに息子や妻がいることすら知らない。 その上、息子がまだほんの少年のくせに一人前にセックスしていることや、妻が他人にいつも中出しされていることも知らない。 (中出し……気持ちいい……!) 瑞夫はのんきにも、ただ自分の射精に酔いしれているのみだった。 文子だけが、一部の関係を知っていたが、しかし彼女もやはり、今日の相手が誰なのかを知らないのである。 この卑猥なトライアングルの中で、彼らはただひたすらに肉欲をむさぼるだけの獣だった。 <おわり> << 前回 <6章 目次> 1 2 3 4 5 6 7 8(終) 一話から連続表示する 目次へ |
『師匠のお筆』
6-7 誘われていることは、瑞夫にもすぐに分かった。 (ああ、いよいよ……) この流れで合体しない結末などありえない、という風に、アブノーマルに始まった行為にもかかわらず、いつしかそれは当然のことになっていた。 だが、いざそれに移る前に、二つのちょっとした不安が彼の脳裏をよぎっていた。 第一に、どういう形で結合したらいいか、という問題である。野外で、しかもこんな限られたスペースでなしうる体位を、瑞夫はまだ経験したことがなかった。 しかし、これについては、彼に選択の余地などなかった。 (立ちバック!) それは、文子からの指定だった。彼女は後ろ向きになると、自らスカートをめくって尻を出し、パンティーラインを脇にずらして見せたのである。 (後ろから犯して!) 文子はこの体位を気に入っており、枕必にもよくせがむのだった。 瑞夫には経験がなかったが、こうなっては冒険するしかあるまい。向かい合ってする体位も予想していたが、それより簡単そうだったし、いずれにせよ新奇なことへの興味もあったので、もとより否やはなかった。 (生で……するんだな) さていざ彼女の尻に手をおきながら、ほんの一瞬瑞夫は思った。それが第二の問題として浮かんだものだった。 瑞夫は、避妊具を付けずに性交したことが、これまでほとんどない。本当の子作りのためだけにしたばかりである。夫婦間の交渉も、いつもコンドームありだった。 彼が一瞬ためらったのは、それ故にいつもと勝手が違うからだった。 (いいのか? いいんだな?) 相手の何も言わないことが、それについての回答だった。彼女には、避妊する気など端からないらしい。それでも瑞夫は、何となく背徳的な気分になった。 (生挿入か……!) 妻にもほとんど試したことのないそれを、会ったばかりの見ず知らずの女にする、妊娠や病気の虞もあったが、それらはむしろ念頭になく、瑞夫はとにかく“生ですること”それ自体にこだわっていた。 普段それを習慣づけない彼にとって、それを許されて行うことは、それだけで興奮の材料であった。 (入れるぞ!) 瑞夫は、自らを奮い立たせるように、心に叫んだ。 すぐに、亀頭を小陰唇の襞に密着させる。暗がりで、挿入口の辺りはいまいちはっきり確認できない。感覚だけが頼りだ。彼は亀頭の先を、ビラビラした肉襞にくっつけたまま上下してみる。 それを感じた文子は、勘違い気味に思う。 (ああん、焦らすのね) 彼女はじれったく思ったが、悪い気はせず、早く肉棒で貫かれるのを待ち望んで耐えた。 瑞夫も、早く入れたいのは同じだ。彼は、結局穴の位置を曖昧に認識したまま、ごり押しで挿入することにした。 相手の腰をつかみ、自分の腰を前方に押し出していく。すると、少し位置が高かったようで、直立した肉棒は先端から下に押さえつけられる形となり、結果斜め下方に肉を割って進んでいくことになった。 (ああ! あったかい!) 亀頭の表面では分かりづらかったが、幹部まで埋めると、女の体の熱が一遍に感じられた。 女の方でも同じである。 「アアッ!」 思わず文子は、少し大きめのボリュームで声を上げていた。歓喜の声だった。 (来たわ、来たわ!) 肉棒のぬくもりが嬉しかった。体の中に男を迎え入れられる喜びに、彼女の心は沸いた。それは、女としての本能的な喜びだった。体内に男が存在する、その間こそ、女に生まれてよかったと感じられる、至福の時という。 (いいわぁ! これ!) 肉穴を突き入ってくるそれの存在感に、文子は満足していた。彼のモノと枕必のそれを比べてどうのこうのという考えは、彼女にはない。ただ男が入ってきさえすれば、とりあえず良いのである。 だから、いつもと違うモノ、という実感はあまりなかった。この点は、瑞夫と大いに異なる。 (入れたんだ! ついに!) 妻以外の女とセックスできたことは、彼の気分を高揚させていた。その高揚感が大きすぎて、妻への申し訳なさなどは、さしあたり思い浮かばなかった。 そればかりか、妻の穴を思い出して、それと今の感触とを比較するのも難しかった。なんといっても、忘れかけていた生挿入の快感と感動が、彼の心には充満していたのである。 (うわぁ……なんだこれ!) 穴の中は熱い。密着する肉から、その熱が伝わってくる。決して肌を触れ合わせただけでは分からない、相手の本当の体温といった感じだ。 肉は濡れていて、それは肉竿の全方位に、ピッチリと余すところなく密着している。その表面は柔らかいのだが、柔らかいながらも、ギュウッと押し出して圧迫してくるので、どこか固いようでもある。 肉壁の当たり方が、コンドーム装着時とは明らかに違うことに、とにかく瑞夫はびっくりしていた。 ところで、こういう感動というのは、何も男に限ったことではない。女の方でも、男と感じ方は違うとはいえ、一定の心理的影響を受けるものである。 彼の妻である鈴美も、やはり日頃しつけないせいから、生身での挿入には少なからぬ感慨を抱いたものであった。彼女の場合、それを夫よりも早く経験していたわけだ。すなわち、枕必との不倫の中で。 現に鈴美は今も、外に夫がいるとも知らず、枕必のペニスを何の障壁もなしに体内へと受け入れていた。 「アェアア~ッ……!」 ゴリゴリと野太い男根が膣内を行き来する度、鈴美は気の遠くなるような快感を覚え、だらしなく口を広げ、よだれまで垂らして喘ぐのだった。 むき身のままの生殖器官を後ろから膣に挿入されるその有り様は、まるっきり動物の交尾と同じである。 薄布一つないだけで、肉棒の肌がぴっちり肉襞と接着するように感じられ、それは、男女の結合の生々しさ、あるいは真の姿を鈴美に教えてくれるような気がした。 彼女は、そもそもセックスそのものの流儀を枕必から習ったつもりでいたが、その一環から、避妊をしない交渉の正当性めいたものまで、いつしか信じるようになっていた。 (アア~……ン……先生のが、いっぱいに……) 膣の中が、枕必の肉棒で隙間なく埋められている状態を夢想し、鈴美は喜んだ。避妊具を使用していないことも含めて、これが愛のあるセックスの証だと思った。 鈴美は、枕必との性交渉において、これまで避妊をしたことがない。彼による熟練のエスコートのままに、初回から何の違和感もなくそうしてきて、その後もその流れで今日まで来た。夫とのコントラストは鮮明だった。 と、彼女の胸の柔肉に指を喰い込ませながら、ふいに枕必が言った。 「旦那さんとは、最近どうなんだい?」 彼もやはり瑞夫が外にいようなどとは知らなかったので、そんな話題を持ち出したのは偶然だった。 「あ、あの人のことは……ア~……アァ~……!」 鈴美は頭を横に振ってみせた。神雄のこともそうだが、とにかく現実に引き戻されるようなことは言われたくなかった。まだ彼女には、こだわりが残っていたのである。 「何もそうむきになることはない。なあ?」 言いながら、枕必は彼女の頬を撫でる。 「こっちが気持ちいいんなら、それだけでいいじゃないか。んん?」 「アッ……! アフアァァ……」 具体的には説明できないものの、枕必の言わんとしていることを、鈴美は体で承知していた。今や彼によって与えられる肉の悦びは絶対で、夫のある身ということを前提にしてもなお、この悦びを否定しようとはしなかった。 下世話な話、もしも枕必が、 「夫のモノとどっちがいい?」 と聞けば、それに迷う鈴美ではなかった。彼女は堂々と、たとえ道義的にそれが許されぬことと自覚していても、あえて枕必の方を何のためらいもなく挙げただろう。妻であり母であることとそれは、決して矛盾しないのだと。 余談ながら、万が一、 「さっきの筆と、夫と比べたら、どうだ?」 と尋ねられても、彼女はほぼ迷いなく答えたであろう。“筆”であると。 憐れなのは夫・瑞夫であるが、筆よりも劣位に置かれたことはもちろん、妻がすぐそこで寝取られていることすら彼は知らない。彼は今、彼自身の不倫の性に夢中である。 そんな瑞夫に対して、ふいに文子が言った。 「ねえ」 言いながら後ろを振り返る。 「先生、見ながらしましょうか」 (先生?) 瑞夫は、ふいの提案にたじろぎながらも考えた。 (でも、この窓からじゃ見えなかったからなあ) 今の彼にとって、先生といえば枕必しか思いつかなかった。この教室本来の主のことを、彼は失念していた。 「うふっ、このまま動ける?」 文子は戸惑う瑞夫の手を後ろ手に取って、結合したままよちよちと歩き始めた。移動先は、最初の窓の前である。 「あら、見えないわね」 行き着いた先で、ひそひそと彼女は言う。 瑞夫も覗いてみる。確かに、そこに先ほどの女の姿は見えなかった。ただ声だけは時折聞こえてくる。どうやら窓の隙間からは見えない位置に移動したらしい。 もっとも、瑞夫にとってはそれよりも、枕必は奥の部屋にいると思っていたのに、手前の部屋にいると文子が指摘したことの方が疑問であった。彼は、思わずつぶやいていた。 「ん? 枕必は……」 すると、そのかすかな独り言を、文子は聞き逃さない。 「あら? 枕必先生をご存知だったの?」 彼女は意外そうに言った。そして、そのすぐ後に、彼女にはピーンとくるものがあった。またしても彼女は、勝手な情報をしゃべりだす。 「そうそう、つい最近も新しいお母さんを食べちゃったのよ。真面目でおとなしそうな人」 別に、瑞夫が鈴美の夫だと見抜いたわけではない。ただ、なぜかそういう話を今思いついたのである。言うなれば、女の直感というやつであろう。 「今あっちの部屋でやってるのも、その人とだと思うわ」 文子のこの情報で、瑞夫の疑問はとりあえず解消した。目の前の部屋にいるのは、枕必と別の師範であることが分かった。 だが、それと同時に、妙な胸騒ぎを感じずにはいられなかった。鈍感だった彼の心にも、ようやく危機感が芽生え始める。“最近” “新しい” “お母さん” “真面目” “おとなしい”これらのキーワードが示唆するものは何か。 ことごとく、鈴美を指し示すものではなかったか? とはいえ、まだ彼は、それを具体的に推理していたのではない。ほんの一瞬、それも漠然とそんな不安が閃いたというにとどまる段階だ。けれど、その漠然とした不安が、彼の心に微妙な影を投げかけたのは事実だった。 そうして瑞夫の男根が一段と固くなったのを、文子だけがいち早く察知していた。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <6章 目次> 1 2 3 4 5 6 7 8(終) 一話から連続表示する 目次へ |
『師匠のお筆』
6-6 瑞夫は、まず真っ先に乳房へ飛びついた。 彼女のその出っ張りは、服の上からでも十分確認できるほど巨大で、しかも思いがけない柔らさだった。ブラジャー越しにさえ、グニュグニュと形を変えることができたし、カップごとポチャポチャと揺らすこともできた。 また、いざ揉んでみると、 (重たい) と感じるほど、ずっしりと手や腕に負担をかけてくる。そこでそれをこね回すにあたっては、瑞夫はひじを張り、たっぷりと力を込めてせねばならなかった。 (これが、熟女の乳か) 歳を重ねるごとに惰性的に乳房が出っ張ってくる、そんな種類の中年女がいるイメージが瑞夫の中にはあったが、彼女もそんな類の一人だろうと思った。 (すごくいやらしいな、これ) 実際に揉みしだいてみて、彼の心は躍っていた。今まで熟女を敬遠していたのが嘘のようだった。 (おばさんの乳もいいもんだ) 瑞夫は悦に入った。ことに、それの柔らかいのが嬉しかった。見た目が大きいやつは固いのではないか、と何の根拠もなく考えていたが、柔らかかったのでほっとした形だ。彼としては、柔らかい方が母性的で安心するというのである。 男は、女性の乳房に対して、多かれ少なかれ何らかのこだわりを抱いているものであるが、一説にそれは、母親的な優しさを女性に対して求めていることの表れだという。瑞夫もまた、女にそういうものを期待していたのかもしれない。 また、彼は、乳房の中でも特に大きいもの、いわゆる巨乳に魅力を感じる性質であった。日頃から、道行く巨乳女性を目でよく追っていたし、風俗遊びをしていても、決まって胸の大きな娘を指名していた。 それでも、今日ほどの巨乳を実際に手にしたことはなく、 (なんてでかいんだ) と、彼は惚れ惚れするのだった。 しかもそれを着衣のまま揉むというのが、いかにも生々しくいやらしいことに感じられ、興奮した。そういうことをすのも初めてだった。妻の鈴美の場合は、およそ巨乳とは似ても似つかないので、数の内に入れられないのである。 ところで、こうして瑞夫は何の断りもなく彼女の胸を揉み始めたわけだが、その間、相手の女性は一切抵抗めいた態度に出ていなかった。これは一体どうしたことだろうか。 既に居直った瑞夫としては、たとえ抵抗しようとしまいと、どっちみちこの行為をやめるつもりはない。が、しかし、やはり気にはなる。 (やっぱり、誘っていたのだろうか) 彼はまだ疑心暗鬼だった。九割方そちらの説に傾いてはいたものの、はっきりとした確信は持てていなかった。女の次の言動を前にするまでは。 女が、瑞夫にも分かるほどのはっきりとした態度を示したのは、瑞夫がブラジャーに手をかけた時だった。 彼は、彼女に挑みかかってからこっち、ずっと鼻息荒く、そして焦っていた。ブラウスの前をはだけさせるのも、震える手先で、引き千切らんばかりにしてやっとできたものだ。 そんなだから、ブラジャーを前にしても、それを順序よくはずして脱がそうなどとは、初めから考えもしなかった。とにかく早く乳房を拝みたいというその一心だけで、それを乳房の上まで一気に引っ張り上げようとしたのだ。 その時だった。 「待って」 女が言った。そして、後ろ手に自らブラジャーのホックをはずしてみせたのである。 タガが外れて、どっとこぼれ出る乳房。これが、同意の合図だった。 それを見て、瑞夫としては、やはり安堵せずにいられなかった。いずれ強制的にするつもりであったとはいうものの、やはり女の方でもその気であると確認できたことに、彼は勇気づけられた。 この意義は、実際問題としても大きい。和姦となった時点で、それ以前の彼の罪は、帳消しとなる可能性が濃厚となったからだ。彼女さえ味方になってくれれば。 彼は、許された男が概してそうであるように、行為への甘えを強くして、一層図々しく女に組み付くのだった。 「アハン……」 瑞夫が乳輪に吸い付くと、女はわざとらしいほどに淫らなため息をついた。 彼女の乳輪は、かなり幅広で、色は深く沈んだ紅をしていた。乳肉は全体に重力に引っ張り下げられている感じで、そのトップにある乳輪も、服の上から想像していたより下の方にあった。 一方、乳房自体の大きさは予想通りで、それが最初に放り出された時は、大量の液体が、まさにドバッとあふれ落ちた感じだった。 (すごい……! すごい……!) 待望の巨乳を目の当たりにした瑞夫は、まるで少年のように純粋に、きらきらと目を輝かせていた。そして、口や顔や両手を使って、無我夢中でそれを揉みくちゃにして遊んだ。 肌の反発力はあまりなく、ペチャペチャした感触は水みたいである。ペチンと表面を軽く叩いてみると、もちもちとした質感が手のひらに張り付いてきた。 それをプルプルと左右に揺さぶれば、てっぺんに載る乳首はいつも遅れた時間差で移動するために、土台と頂上が互い違いに動いて見え、それはまるでプリンを揺すったように見えた。 また、一つの乳房を両手でぎゅっと締めあげた時は、どうして母乳が出ないのか不思議に思われた。どう考えてもミルクが中に詰まっているように見えたし、彼女自身すらまるで乳牛のように見えたのである。 乳首を口で吸い上げてみても、もちろんミルクは出ない。代わりに、しょっぱい味がした。それの谷間や、垂れた部分の裏側は、汗によってしっとりと濡れていたのである。 「ああ……いいわぁ……」 女は、夢中で自分の乳房に吸い付く瑞夫に、まるで子供をあやすように優しく言った。余裕たっぷりの彼女は、淫らな風を強調して見せることに何ら恥じらう様子もない。それは、彼の気分を盛り立てるべく気遣うようだった。 その意向通りに調子づく瑞夫は、大きく口を広げて、まるで餅を吸い込むように、彼女の乳肉を口いっぱいに詰め込んでみせた。 「アア、オオォ……もっと、してぇ……」 彼女の大袈裟な反応は、どの位の本気が含まれているのか分かりづらい。ただし、相手との行為に前向きであるのだけはよく分かった。 ヂュウゥーッ! 瑞夫がその脂肪を吸引する時、口の端からは唾液混じりの大きな音が鳴った。それに合わせて口の際の乳肉の表面がブルブルと小刻みに波打ち、ブブッと屁のような音も鳴る。 音はほかにも、口を離すときに、パカッ! という、弾けるようなのも大きく鳴った。 「アオォァ……気持ちいい……」 女は、瑞夫の後頭部を強めに撫でながら言った。 瑞夫は、顔面を巨乳に押しつけて、その感触を楽しんでいる。 「うふふ……」 卑猥なため息の合間に、ふと女は笑った。彼の乳房への愛撫の様子があまりに無邪気なので、ちょっと滑稽に思えたのである。この笑いは、現在の二人の力関係をそのまま表しているようだった。 「まあまあ、ふふっ……」 口の周りを唾液でベトベトに光らせる瑞夫を見下ろして、彼女は嬉しそうに笑った。実際嬉しかった。自分の持ち物が、これほど男を夢中にさせると知って、誇らしかったのである。 元々己の巨乳には自信がある。が、現実に使ってもらってその効用を確認できたことは、大きな収穫であった。 決して、男になぶられるのが久しぶりというわけではない。それに、いつものそれに不満があったわけでもない。だが、長年つれそったパートナーではなく、新しい男に試すというのは、やはり新鮮な刺激があって良いのである。 しかも、相手はいつもの男よりも若い。彼女としては、日頃年齢を基準に考えたりしないつもりでいたが、そうは言っても、世代が下の男にも、自分が性の対象として見られうると知ったことは、有意義であった。 (先生、ごめんあそばせ) 女は、窓の向こうにいるであろう枕必に向かって念じた。 (でも、先生が放っておいて行っちゃうからいけないのよ) 冗談めかしながら、しかしまったく嘘でもない気持ちで、彼女は枕必を責めた。 (文子、この殿方のおチンポ、いただきますわね) 瑞夫は知ろうまいが、彼女こそ枕必の最も長いつきあいの愛人・文子であった。 さっきは、枕必と保護者の関係を、さも他人事のようにスキャンダラスに語ったくせに、本当は自分が一番彼と親密なのである。 「ねえ……当たるわね、これ。時々」 文子は妖しく頬笑みながら言った。彼女のひざ丈の白っぽいスカートの表に、瑞夫のペニスがぶつかることを言ったのだ。 文子は言いながら、その肉竿と陰嚢を、別々の手でつかんでいじり回した。 「あっ……!」 瑞夫はビクリと背中で反応した。思わず“すいません”という言葉が口をついて出そうだった。だが、彼が一瞬口ごもった隙に、文子が次のことを言い出したので、それを言う機会はなかった。 「一人でシてらしたんでしょう? さっき」 文子は、瑞夫の肉棒をゆっくり前後しだした。 「見てたのよ、あたし。ずぅっと」 彼女は、彼の顎の下から、彼の目をじっと見上げて言った。 他方、瑞夫はそちらを見られなかった。そして、何も言えなかった。ただ心臓を一突きされたように、チクリとまた恐ろしさが体を貫いたのを感じた。 文子には、彼の恐怖が手に取るように分かる。しかし、彼女には別に、彼を脅かしてどうしようという計算はなかった。ただし、ちょっといじめてみたい気持ちはあった。 「勝手に入って、覗きして。おまけに、人のおマンコ見て、おチンポ出して……」 肉棒をしごきあげるたびに、ハアハアと荒い息を漏らす彼を、文子はいじわるそうに見つめている。 「我慢できなかったんですか? 外でおチンポ出すなんて。人の家よ? ここ。外よ?」 文子は完全に楽しんでいた。 他方、瑞夫も、さっきまでの恐怖とは違って、新しい得体の知れない感情を覚えていた。 (おチンポ、とか……) 彼にも、彼女が本気で責めているのでないことはすぐに分かった。むしろ、わざと卑猥なことを言って、ムードを盛り上げているのだと。 だが、そうと理解できても、それ以上図に乗ることが、どうしても彼にはできなかった。まだ信用できないというのもあったが、それ以上に、彼女にこうしていびられるのが、ちょっと快感だったのである。 彼女の言い様は、彼にとってまさに絶妙で、瑞夫は、まるで愛を持って諭されているように感じるのだった。 「一人でスるの、つらいわよね」 今度は同情的な調子に変えて、文子は言った。さらに、ぐっと顔を彼に近付けて畳みかける。 「わたしもね、……スるのよ」 彼女は彼の手を取って、それを自身のスカートの中に導きいれた。 そうされて初めて思いつき、瑞夫は彼女の陰裂をまさぐり始める。その割れ目からは、早くも汁が染み出していた。 (この人……、淫乱なのか?) まるっきり自分のことを棚に上げて、彼は思った。こんなに大胆で積極的な女が世の中にいることに、彼は驚かされていた。彼は考えた。現実は、妄想していたよりもずっと単純で、女はずっと淫乱じゃないかと。 その間中もずっと、彼女の手は、巧みに速度を変えながら、目まぐるしく瑞夫の肉竿をしごき続けていた。 (ああ……手コキ……、気持ちいい!) 彼女に囁かれる責め言葉は、脳から柔らかい波を生じさせるような気持ちよさだったが、こうして手で直接陰茎を摩擦されるのも、やはり気持ちよかった。しかも、彼女の手技はツボをよく心得ていて、自分でするよりもよかった。 「でも、やっぱり二人でシたいわよねぇ」 文子は言った。一方、心には同時に別のことを思っていた。 (ああ、キスしたい) 彼女は、彼の唇をじっと見つめていた。 (キスしてほしい) だが、生憎彼は、こちらの要望には気づきもしなかった。そもそも、こちらの目を見ようともしないのだ。照れや遠慮は分かるが、もうちょっと柔軟になってほしい、と彼女は思った。 文子としては、唇を重ねることでより快感が増すし、何よりその行為そのものが好きだったので、ぜひともやっておきたいのである。彼女は、相手の好悪に関係なく、とにかくキスがしたかった。 ここで無理やり奪ってもよかったのだが、一応は相手を慮るという大人の対応を示すことにして、代わりに彼女は、彼の股間の方にアピールすることにした。もっとも、こちらも追々気にするつもりではあった。 文子はしゃがんで、彼の肉棒を一気に吸い込む。 瑞夫はまた驚かされた。頼まなくても、勝手に口淫を始めた彼女に。 (うわ! すごい!) 妻の鈴美なら、頼み込んだ末にやっとやってくれるかどうかなのだ。それも、やってくれるとしても不機嫌そうに。 (しかも、この人……フェラ……すごい……!) 金を払ってやってもらっても、こんなに上手い技には出会えないだろうと、瑞夫は思った。鈴美などもってのほかだ。思わず彼は彼女を見た。どうやっているのか、どうしても気になったのである。 すると、ちょうど文子も彼を見上げていた。目が合って、彼女はそれを細めてみせる。 「もっといいこと、しましょうか?」 肉棒を口から吐いて、文子は聞いた。 瑞夫としては、フェラチオが見たかったのであるが、彼が彼女と目が合って躊躇した瞬間に、残念ながらそれは終わってしまった。ただ、ドロドロに濡らされて、大粒の汁が滴る肉棒だけが、そのすごさを物語っているようだった。 文子は口淫をやめた代わりに、言葉通りの新たな行為に移った。 (パ、パイズリ!) 瑞夫は見た。さっきまで彼が一生懸命にこね回していた巨乳、その谷間に、彼のペニスが挟まっていくのを。それを見た彼の中では、フェラチオの感動さえも一気に吹き飛んでしまった。 文子は、自分で自分の乳を持ちあげて、器用に瑞夫の肉棒を挟んで見せる。彼女の乳房はボリュームが豊かな上に柔らかかったので、いきり立ったそれを難なく包みこめるのだった。 (すごい! パイズリとは!) 彼女の巨乳を目にしたときから、ぜひともそれは試してみたいことだった。しかしまさか、それを自分からやってくれるとは考えもしなかった。 文子の作った谷間に、肉棒は斜め加減に挟まっている。文子はそれに沿って、両の肉を同時に、あるいは交互に上げ下げする。緩い水風船が、それを割りそうなほど固くなっている棒の周りを跳ねまわっている格好だ。 (うわぁ……この乳マンコ、たまらん!) それは、手でやるほどの刺激ではなかったが、視覚的に興奮していた瑞夫は、このまま一気に昇天してしまいそうであった。知らず知らず彼は、文子の胸の谷間を膣に見立てたごとく、自らそこに向かって腰を振りだしていた。 それを見た文子は、冷静に思った。 (あら、ダメだわこの人。もうイきそうだわ) もう射精しそうだというのが、ちょっと意外な気がしたが、そう感じるのは、絶倫の枕必に慣れていたせいかもしれない。とにかく、彼女としてはまだイッてもらっては困るというので、やや強引に彼の腰を引き離すことにした。 「あっ、ああ……」 支えを急に失って、瑞夫はちょっとつんのめった。思わず、なぜ? という目で文子を見る。 その視線を受け止めながら、文子は立ちあがった。そして、彼女はさっきの問いへの答えを、唇で返した。 「ん、んん……」 瑞夫も拒まない。むしろ、待ってましたとばかりに舌を絡めてきた。 (いいわ……) キスとは最もエロティックな性技なのだという意見があるが、彼女はそれに賛成である。目と近い所から男の官能を味える、というのがその理由であるという。視覚と性感が結合するという意味らしい。 (男のツバ、おいしい……) さっきまでペニスをしゃぶっていた口で、相手の舌から直接唾液を吸い取りながら、文子は思った。彼女の中では、キスとフェラチオには、相通じる味があるのだった。 「フアッ! ヒァアン!」 尻の方から回ってきた瑞夫の指が、秘裂の襞をまさぐったので、彼女は喘いだ。 (欲しいぃ! もう、欲しいぃ!) 文子はやんわりと先方の肉竿に触った。そうしてみて、そいつがもう一旦山場は越したものと認識した。だが、これまでの流れからいって、相手の方から挿入してくるまで待つのは、時間がかかりそうだった。 (ダメ! 待てない!) 彼女はついに、自ら提案することにした。 「ねえ……」 肉竿を逆手でさすりながら、文子は彼にしなだれかかった。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <6章 目次> 1 2 3 4 5 6 7 8(終) 一話から連続表示する 目次へ |
『師匠のお筆』 6-5 ――その瞬間、瑞夫の心臓は凍りついた。 先ほどまでの高揚感が、嘘のように引いていく。 彼は油断しすぎた。 ほんの三、四歩の距離に、相手はもう立っていたのである。 (はっ!) 振り向きざまに、瑞夫は眼を見開いた。 薄闇の中に、ぼやっと浮かび上がる白い顔。その顔が、首をかしげるようにして、そおっと瑞夫の手元を覗きこんでいた。 彼は恐怖した。それは、見つかったからの焦りではなく、純粋なる恐れだった。その瞬間、相手がこの世のものではない存在に思われたのである。 (わっ!) 気が動転した瑞夫は、思わず飛び上がって驚いた。いやもう本当に、文字通り飛び上がったのだ。 足を踏み変えるようにして地面を蹴り、手をばたつかせて虚空をつかむ。が、着地が上手くなかった。バランスを崩し、そのまま後ろへとひっくり返る。――いや、ひっくり返ってしまうところであった。 「あっ!」 瑞夫は、小さく叫んだ。その瞬間、彼は、壁に背中を打ち付けることも、地面に尻をつくこともなかった。 ただ、きつい香水の匂いに、鼻腔を占拠されただけである。 「しぃっ!」 白い顔が言う、唇の前に人差し指を立てて。 (女……?) よく見れば女だ。その女の柔らかな腕が、頼もしくも迅速に、瑞夫の体を抱きとめていた。 すぐに女は窓の中を覗く。そして、瑞夫の方に向き直り、“OK”と指で合図してみせた。中には気付かれていない、という意味だろう。 彼女の立ち居振る舞いは、実に落ち着いたもので、とても変質者を前にした態度とは思われなかった。 (な、なんなんだ……?) かろうじて女の機転は理解したものの、目まぐるしい状況の変化に、まったくついていけない瑞夫。パニックに陥った彼の頭脳は、もはや思考停止状態だった。 (どうしたらいいんだ……どうしたらいいんだ……) 彼は微動だにせず、ただまじまじと彼女の顔ばかり見つめていた。密着していたために、相手の顔は息が吹きかかりそうなほどの至近距離にある。 女は、ふっくらとした頬の丸顔に、ぼってりと厚ぼったい唇が特徴的だった。唇には真っ赤なルージュが引いてあり、油を塗ったようにその表面をテラテラ光らせている。 と、ふいにその角が吊り上がり、頬にえくぼが浮かんだ。 「ふふっ……」 女はほほ笑んでいた。それに合わせて、目尻のしわが濃くなる。 普段からよく笑うのか、そこには放射状の線がいくつも刻まれていた。彼女の年齢を感じさせる線だった。そんなこと通常なら気にならないのだろうが、こうして近くで見ると、相手の肌の質感などまでよく分かるものである。 (わ、笑ってる……?) 相手は別に笑っていたわけではないのかもしれない。顔立ちが明るいために、普段からほほ笑んでいるように見えやすいのだとも考えられた。 ただいずれにせよ、心落ち着かぬ瑞夫の目には、奇妙で不敵な笑みに映ったのは事実だ。 (一体何者なのか……?) 彼女の表情は自信に満ちて見えた。またその福々しい顔つきから推して、何不自由ない裕福な家庭の夫人か、あるいは彼女自身会社を経営するオーナーか、などと瑞夫は考えた。ある種の貫録まで感じられるのだった。 その推測が当たったかどうかは別として、しかし貫録だけはたっぷりに、ふいに彼女は瑞夫の腕を引っ張って言った。 「あっちでも」 言いながら、彼女は奥の方を指す。 唐突なことで、瑞夫には何のことか見当が付かない。というより、いまだ現実に戸惑っていて、頭が整理しきれていないのである。 しかし、そんな彼にはお構いなしに、彼女は強引に彼の腕を引いて歩きだした。今いた場所を離れ、壁伝いに移動していくこと数歩。そうして、行き着いたのは、これまた窓の前であった。 ただ、今度の窓はさっきよりもやや高い位置にあった。同じ階なのに、さきほどの部屋のよりもこちらの窓の方が高い所にあるのだ。 「ほら、聞いて」 女は、背伸びしながら窓の中を示した。彼女の背では、窓の底辺にも目が届かない。 一方、瑞夫の身長でも、顎を窓枠につけるのがやっとだった。その窓は閉め切ってあり、おまけに中を見通せない濁った材質のガラスをはめてあった。それでも彼は中をうかがいつつ、言われた通りに耳をすましてみる。 (あっ……!) ほんのわずか、ほんのわずかながら、声が聞こえた。それも、先ほどまで聞いていたのと同じ傾向の声である。 (ひょっとして?) そんな目で瑞夫は女を振り返った。意外な展開に直面し、一時的に絶望感から解放された気分だった。 女は瑞夫の目に、仔細ありげにうなずき返す。 「こっちでもシてるのよ」 ひそひそと彼女は言った。その顔は、他人の秘密は蜜の味と言わんばかりに、ニヤニヤと悪どそうに笑っていた。 「先生よ、ここの」 尋ねてもいない解説を、彼女は勝手にし始める。 「奥さんと……、あっ、奥さんって言っても、他人のよ」 女の語り口は、まるで近所の主婦が井戸端会議でしゃべっている様を想像させる、気さくな調子だった。 「それも……、生徒さんの……、お母さん!」 ここで女は一旦言葉を切った。相手のリアクションに期待しているらしい。 「お母さん?」 おうむ返しに瑞夫は聞いた。相手の巧みなペースに釣られて、反射的に発した言葉だった。 その時の彼は、相変わらず先行きの見えない不安から心ここにあらず、複雑な表情を浮かべていたのだが、その眉をひそめた様子が、結果的に女の期待に沿うものだったようで、 「そう! 保護者と、……ヤッてるのよ! 先生がよ?」 大いに気分を盛り上げて、彼女は言った。「ヤッてるのよ」と言う前には、壁を叩くようにして部屋の中を指し示し、口の横に手のひらを立ててみせるなど、身振り手振りまで交えた。 (先生? “枕必先生”……?) 少しずつ落ち着きを取り戻してきた瑞夫は、頭の隅の方で、漠然と以前妻の鈴美が口にした名前を思い出していた。 (そうか、枕必か) もし今の女の話が本当だとすると、中には鈴美だっているかもしれない。 だがその時の彼は、そんなこと思いつきさえしなかった。彼の頭はまだ完全に冴え切っていなかったし、それに何より、妻が浮気するなどとは夢にも思わなかったのだ。 (鈴美にも教えてやらねば) 寝ぼけた頭で、瑞夫はそう考えていた。女の言う“先生”というのが、果たして枕必かどうかの確認もせず、半ば早とちり気味の判断である。そして、その的外れな思いつきに続き、彼は早くも別の疑問にとらわれていた。 (だが、どうやって伝えたものか……) 当然の問題だった。覗きをして得た情報だとは言えないし、そもそも、今の状況を打開しないことには、鈴美とそんな会話を交わすことすらままならないのである。 (いや……、どうにかなるかもしれない……) 彼は、目の前の女を見ていてふと思った。“近所のおばちゃん”といった風の女のしゃべりを聞いているうち、彼にはいつしか、ある期待感が生まれていたのだ。それにともなって、気持ちも段々と落ち着いてきていた。 (このフレンドリーな女に調子を合わせていれば、なんとかやり過ごせるのではないか) (ひょっとしたらアレは見られていないのではないか) そんな甘い考えも生まれてきた。と、そこまで考えて彼は気が付いた。 (はっ! しまった、そうだ!) 彼は、さりげなく股間に触れた。いつの間にかしぼんではいたが、まだソレは出しっぱなしになっていたのである。瑞夫は、女の顔を見詰めたまま、何気ない風でジッパーを上げようとした。 が、その時、思いもかけないことが起こった。女が、瑞夫の企みを知ってか知らずか、彼が行動に移るのとほとんど同時に、彼の手に自分の手を重ねてきたのである。おまけに、女は唐突に質問まで投げかけてきた。 「ねえ、見える?」 彼の手の甲をさすりながら、彼女は言った。 「え?」 瑞夫はぎょっとしていた。固まったままで動けない。質問の意味も分からない。 「中の様子」 「ああ、い、いえ……」 瑞夫はやっとこさ答えた。中の様子が見えようと見えまいと、今さらどっちでもよかった。彼にとっての今の関心事は、彼女の真意、その一点のみなのである。 (ただのおばちゃんではない……) そう思い直した瞬間、恐怖が新たになる。一度淡い期待を抱いた分、余計にショックだった。 「すごいわよね、ここ」 そんな彼の恐怖も知らず、女は、瑞夫の耳に唇を近付けてささやく。 「この中で、二組もセックスしてる」 「ええ……」 消え入りそうな声で、瑞夫は答えた。今はもう、生殺与奪の権利を彼女に握られたがごとく、相手の出方をじっと待つばかり。 (いっそ、ひと思いに責めてくれれば) どうせ捕まるなら、と、そうも考えた。だが、わざとらしくここまで引っ張ってきたのには、何か特別な意図がありそうにも思えた。 果たして、女は意味深長なことを言いだした。 「興奮しちゃうわよね、こんな所にいると……」 ため息混じりの声が、瑞夫の耳に吹きかかる。妙に官能的なその声は、耳から直接彼の脳髄を揺さぶった。それにつれ吐息の熱までが、耳から全身に広がっていくようである。やがてそれは、彼の股間にまで到達した。 すると、まるでそのタイミングを見すましたように、女の指が、ふわっとそこに触れる。 「ふふっ……」 今度は確実に、女は笑っていた。 「え……?」 瑞夫はわが目を疑った。だが、女は確かに股間に触れていた。しかも、肉竿をその手にくるみすらしだしたのだ。 「興奮……、しちゃうわよ、ねえ?」 これらの言動に接して、その時ようやく瑞夫は確信した。 (見られていたんだ、やっぱり……) 当然と言えば当然かもしれないが、自慰の場面はやはり押さえられていたのである。しかし、それならそれで、なおさら今の女の行動は理解できない。 と、女の胸が腕に当たる。まるで、自分から押し当ててくるようだ。 転びそうなのを助けられて以来、瑞夫の体はずっと彼女に支えられたままでいた。要するに、二人の体は常にくっついていたのだ。それなのに彼は、今ごろになって初めて、彼女が“女”だというのを意識しだしていた。 (何を考えているんだ!) 相手にも自分にも、同時に瑞夫は問いかけていた。 ふと、彼女の胸の谷間が視界に入る。彼女は、薄闇でも目立つ、何やらガチャガチャとした複雑な色と柄のブラウスらしき服を着ていたが、その襟がわずかに開いていて、その隙間から見えたのだった。 腕に当たる感触から言っても、その洋服のせり出し具合から言っても、かなり大きな乳房であるのは確かである。 (どういうことなんだ……!) 瑞夫は逡巡した。状況から察するに、誘われているようである。だが、そんなことがあろうとは、常識から言ってとても考えられない。 (試されているのか?) そう考える方が自然な気がした。だが、もしそうだとしたら、今の彼にはとても説得力のある振り切り方はできなかったろう。なぜなら、女の手の中で、既に彼の陰茎はむくむくと棒状に成長していたのだから。 瑞夫は、改めて女のことをよく見た。彼の当初の見立てでは、自分の母親と肩を並べるほど、一般的に興味の対象とはなりえないはずの女であった。実際、街で彼女とすれ違っても、簡単に見過ごしていただろう。 少なくとも、彼の中では“熟女”に分類すべき女であって、そして、彼は通常熟女には興味がなかった。 (だって、おばちゃんじゃないか) そう考えていた。“おばちゃん”とはセックスする気になれないと。 だから、もし彼女がそれを望んでいるのだとしたら、彼の弱味と引き換えにしてやろうとの魂胆なのだと、いつもの瑞夫なら穿って考えるところだった。 しかし、今の彼の感じ方は違っていた。彼女を、あさましい性欲の持ち主、とさげすむ気持ちになど微塵もなれなかった。 確かに、熟女ではあると思う。その認識は変わらない。 (思ったほど老けてはいなさそうだ) とわずかに判断を修正はしたものの、やはり熟女は熟女。少なくとも、瑞夫より年上であるのは確かであったから。 それなのに、彼女はかわいらしく見えた。思えば、瑞夫は、妻以外の人妻の顔を、こんなに近くで観察したことなどなかった。まるで新しい美に気づいた思いだ。彼女は、今や確実に、彼の目に“女”として映っていた。 何より、彼女は魅力的な肉体をしていたのだ! (もういい! もうどうなってもいい!) 瑞夫はとうとう吹っ切れた。最初にあの窓を覗いた時の、あの積極果敢さを彼は取り戻していた。彼は、男の本能を遺憾なく発揮すべく、まっすぐに女の体に組み付いたのだった。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <6章 目次> 1 2 3 4 5 6 7 8(終) 一話から連続表示する 目次へ |
最近になってハマっているというわけではありませんが(むしろブームとしては下火ですが)、熟女優といえば、どうしてもこの人が早い段階で思い浮かびます。要は、そういう思考ルートになっているみたいです。
元々はあまり知りませんで、ちゃんと真正面から見たのは、「はなまるマーケット」にレギュラー出演されるようになってからでした。 中途からレギュラー入りした彼女は、当初その元気さ、前向きさが番組内で空回りしていたように記憶しています。ほら、あのメインの二人っていつ見ても気だるい感じじゃないですか。それで余計に浮いて見えたんですよね。そして藤吉さんの方でも、確かしばらく休んでらしたか、あるいはああいう系のポジションをなさったことがなかったとかで、それで気合いが入ってたんじゃなかったかと思います。 まあ、あの元気良さというのは、その後他の番組出演でも発揮されていますから、そういう人ではあるんでしょうね、健康的というか。少なくともそれがチャームポイントではあるようです。 で、その健康的という件なんですが、これは比較的良く言った方のもので、もう少しざっくばらんに言うと、“雑”ってことになるんだと思います。あんまり構わない感じですよね、顔も体も。女優なのに。 その傾向が如実に現れているのが、ずばり体型です。顔はまだいいんです、大して気を使わなくても。そんなに変わらないんです。何せ、元がいいですから。やっぱりきれいです。 問題は、その肉体美……。まあそれこそ健康的でいらっしゃる。ふくよかというか、ぽっちゃりというか、中年太りというか……。見よ! あの胴回り! ……素晴らしい。いや、実際素晴らしいですよ! 理想の奥さん像です。ま、確かに顔がいいっていうのは大きいですよ。でもね、あの自然に無理に逆らわない感じ、のびのびと楽しそうな感じ、いいじゃないですかっ! ほんと“かわいいおばさん”を地で行く人だと思います。素敵です。 よく藤吉さん、谷間が見えることや、横乳が結構出っ張って映ることがあるんですが、上記のように全体的にふくよかな人ですから(言い忘れたけど二の腕も健康的)、お乳だけがとりわけ大きいってわけではないと思うんですよね。視聴者の目はそこに行きがちですけどね。ま、せいぜいそこそこ位でしょう。ぽちゃっと、こう、底辺が持ち上げられた形だと思います。 ところで、こういう風に特徴を見ていきますと、私の中でもう一人、彼女とイメージのダブる女優さんが頭に浮かびます。原乳出子さんです。 原さんの胴回りたるや、……貫禄です。年々ほったらかしの度が過ぎて行く感じです。キットカットのCMなんかすごかった。でもでも! かわいい! とにかくかわいい。あんな人が同級生のお母さんだったら……、とか、そんな妄想にぴったり。 原さんの方が藤吉さんよりもややしっとりと落ち着いた雰囲気はありますが、色気とはまた違うんですよね。色っぽくはなくて、やっぱり健康的なんですよ。まさに良妻賢母って具合で。 それにしても、この二人の構わなさ加減は異常です。藤吉さんに至っては、近くにいたらきっと、胸チラなんかは日常茶飯事、ブラジャーなんかもその辺に普通に吊ってあったりとか、ひょっとしたら、腕に胸が当たっていても全然気付かずにいるかもしれません。要するに、無防備なんですよ。 あの人たちは、自分の体がエロいっていう自覚が、全然ないんでしょうかね。 <参考資料> 入浴する豊満妻を元祖巨乳アイドルが見守るの図 (この画像は拾い物です) 余談ですが、藤吉さんと原さんには、もう一つ大きな共通点がありました。それは、旦那が二枚目系俳優で、しかもいい人っぽいということ。やっぱり、ああいう理想形の奥さんを育てるには、いい旦那の存在が不可欠なのかもしれませんね…… テーマ:アイドル・女優・女子アナウンサー - ジャンル:アダルト |
『師匠のお筆』
5-1-11 仕方なしに、枕必は文子の元へと近づいて行った。だがそれは、彼女のリタイアを許すためではなかった。彼は文子の後ろに回り込むと、その乳房をもろ手で鷲づかみにし、それを持って無理やりに起き直らせたのだ。 「ひっ!」 強引に乳房を引っ張り上げられて、文子は痛がった。痛みにつられて腰を浮かす。こうしてとりあえず元の姿勢に帰ることはできた。 しかし、枕必の手はいまだ乳房をつかんだままだ。彼はその手を目いっぱい広げて、乳房のみならず胸板までも握りつぶさんとばかりつかみかかったが、行く手を阻む脂肪の量があまりに多過ぎるので手のひらが押し戻され、指先は胸板に到達するどころか、そこをかすめる機会さえついになかった。その豊かな脂肪は指の間からも大量にこあふれ出ていて、それにより指が胸の肉に沈み込んでいく様が一層強調されて見えた。 ともかくも、枕必がそうして胸を持っていたおかげで、文子は再び倒れ込まずには済んだのであった。 「続けなさい」 厳粛に枕必は言った。 「はい……」 気力なく文子は返事した。一度倒れてしまうと気持ちも途切れてしまい、続きは「お」の次からだ、とは頭で命じていても、中々体がついていきそうにない。 いささか億劫な気分でいると、その時、彼女はふいに背中に生温かいふくらみが当たるのを感じた。 (あ、アレが……) 懐かしい温もりが、コリコリと背中を押していた。文子がいじくった時の固さはもうなかったが、柔らかい中にも芯があり、ぼってりと厚みのある独特の重さが確かに感じられた。 まさしくそれは枕必の男根であった。 (重い……) 背中に乗せられて、文子は思った。しかし、嫌な重さではなかった。むしろ嬉しかった。 重さには、物理的なもの以外に、精神的な意味合いもある。生命にとって神聖な所、大事な場所、また自分との関係からいえば、自分が目標と狙うもの、そういう重さである。 今背中に乗せられてみて、その重みがずしりと心に響く思いだった。そうして意識すると、徐々に背中からエネルギーが伝わってくる気がした。 しおれかけていた文子のやる気に、再び弾みがついた。彼女は嬉々として作業を再開した。男根が体に触れている限り、無限のパワーがみなぎってくるような気さえした。そのやる気ぶりは、まるで鼻先に餌をぶら下げられた動物のようだった。 枕必は、文子の乳房を上方へ向けて握りしめ、男根を背中に下腹部ごと押し当てて固定し、彼女ないし彼女の筆と一体になって動いた。こうして膣に筆をはめ込んでいる文子を抱きしめ動いていると、文子自身が巨大な筆で、枕必はそれを使って書いているように見えないこともなかった。 二人は紙の上で共に体を移動させ、残りの文字をつづっていった。「ち・ん・ぽ」そう書きながら、背中にある実際のそれを意識し、文子の股間はむずむずとかゆいような切なさを帯びて熱していった。総毛立ち、乳首は勃起し、肌が一瞬冷たくなったかと思うと、全身からじっとりと汗が吹き出した。なんだかそわそわと落ち着かなかった。 「おほおぉ……」 文子の口の端からよだれがこぼれ落ちた。まだ挿入していないのに、もう結合している気分で、気持ちが良かった。このままでは、この書が書き終わるより先に、文子はまた気をやってしまうかもしれない。 彼ら中年二人は、こうして自分たちだけの変態的な世界に酔いしれるのであった。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-7 バチンッ! また一つ響く。それは、枕必の平手が文子の尻をしたたかに打つ音だった。 「いっ! ああっ!」 思わず前のめりになって、文子の腰が沈む。と、膣に刺さった毛筆が硯の底に突き立った。 「いつっ!」 文子は短く悲鳴を上げる。股間に生やした筆が、膣奥の壁に深く衝突したのだ。筆は、ちょうど膣と硯の間でつっかえ棒になった形である。耐えきれず、文子は前方に手をつく。すると筆は斜め後ろへの傾斜となり、その先が硯の底をひっかいて墨汁の雫がちらほらと後ろに飛んだ。 そんな文子の尻を、枕必はまた引っぱたいた。 「ううっ!」 さらに前かがみになった文子は、このまま四つん這いになりそうな勢いで尻を後ろに突き上げる。その尻の表面には、枕必の手形が赤く浮き出ていた。 彼女の尻は、脂肪が豊富で丸々としている。その脂肪の多さもあり、また年齢的なこともあって、尻肉は少しく垂れ気味であった。その垂れた肉に圧迫されながら、その狭間からピンと真っ直ぐに毛筆が生えている。まるで尻尾のようだ。 「抜けそうじゃないか」 言って、枕必は筆をグリグリと回しながらめり込ませた。 「おおうっ!」 文子は、折りたたんだ膝を一瞬震わせる。肉壁を弄ばれる快さと、角ばった筆の尾が当たる時の軟い痛さを感じたせいだった。 「背筋を正して!」 枕必は命じて、文子の肩と背を相反する方向に押しながら、彼女を垂直に起き上がらせた。こうして再び筆を墨にひたす態勢ができあがる。 文子は恐々足のクッションで間合いを測った。その姿は、中腰と和式便器にまたがる格好のちょうど中間位の姿勢だった。 「手はここ」 さらに命令して、枕必は彼女の両手を後頭部に添えさせた。おかげで文子は、両の腋を広げ、和式便器で用を足す姿勢を取りながら、しかも膣に筆を差し込んで、おまけにそれに墨をつけようとしているという、どうにも間抜けな格好となってしまった。こんな四十路女の姿は、そうそう世間で見られたものではない。実際、彼女を知る誰も、彼女のこんな有り様を普段の姿からは想像できないだろう。 そういう情けないことになるのだから、文子がこの趣向を始める前にためらっていたのもうなずけるというものである。ところが文子はこの状況を、実は嫌がっているわけではない。そもそも本当に嫌なら、最初から拒否すればいいのである。いくら師弟の間柄とはいえ、あるいはいくら彼のことの運びようが巧みであれ、断れないほどの強制力はないのだ。つまり彼女は、自らこの状態を望んだのである。 確かに、これを始める以前に文子は躊躇していた。しかしそれは、このプレイが激しい羞恥心を煽るものであるために、しばらくやっていないと、それが多少の恐怖に変貌して彼女にプレッシャーを与え、結果独特の不安や緊張感を生じさせてナーバスになっていたものだ。一方いざ始めてみれば、のど元過ぎれば熱さ忘れるがごとく、それらが快感に変じていくことを彼女自身分かっていた。でも何度やってもナーバスになる。そういうものである。 では、なぜこんな情けない状況に追い込まれて、彼女は快感を感じるのだろうか。つい少し前まで積極的に男の肉棒を弄んでいた女とは相容れない性格のように見えるのに。 彼女の目的はあくまで肉欲を満足させることにあるから、そのために入用な肉棒は、いわば質に取られているようなもので、それがためいいなりになっている、それは一つある。だがそれは一番の理由ではない。では、何が最も強く彼女を突き動かしているのだろうか。 さて、そうこうするうちに墨をつけ終えた文子は、ようやく紙の方へと筆を移動させる段となった。足を抱けば、文子がごろんと横になっても十分お釣りがくるほどの大判の画面だ。 頼りない表情を浮かべて、文子は枕必をうかがう。その様を見て、彼はほくそ笑んだ。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |
『師匠のお筆』
5-1-4 あの夜以来、枕必と鈴美は既に何度も密会を重ねてきた。つい先日も、例の工房で逢ったばかりである。 工房は、枕必にとって半作業場、半居住空間といった感じだが、初めて迎えた時に比して格段に打ち解けた鈴美は、ここへ彼のために手料理を作りにきたのであった。買い物袋を提げて、散らかった台所に現れたその姿は、まるっきり男のやもめ暮らしを訪れた恋人のそれだった。 「お口に合うか分かりませんけれど……」 はにかみながら鈴美は言い、手早く料理に取りかかった。その後ろ姿を思い浮かべると、なるほど、確かに文子の言うごとく、「いいお母さん」そのものだと彼は思った。 そういうところが枕必にとって良かった。これまた文子の指摘した通り、彼はこのところ鈴美にかかりっきりであったが、平凡で貞淑で、まるで情事とは縁のないような主婦と特別な関係になる、それが枕必にとって最も興奮を誘うシチュエーションであり、今の鈴美がまさにその理想的な存在なのだった。 彼女と文子とでは、比較するまでもなく違いは明らかだった。 鈴美がそのような主婦ならではの背徳感を常々抱えているのに対し、文子には当初からそのようなものは無く、それは長い年月の故にそうなったのではなくして、まさしく初めての逢瀬からそんなものは無かったのであるが、彼女はとにかく性に開けっぴろげで、いつでも肉欲至上主義なのであった。 また、文子がこのように肉欲そのものにのみ関心を集中させているのに対して、鈴美には肉欲に至るまでに愛情の裏打ちがあることも特筆すべき点であった。 文子は、前述の通り、枕必に恋を感じることはなく、二人はまるで長年連れ添った夫婦のようにさばさばとした心の通わせ方をしていたが、彼女はただ枕必の性技と彼との体の相性を強烈に欲するが故に関係を継続させているのであった。 他方鈴美は、完全に枕必に恋していた。恋という起爆剤があったればこそ、不倫からの快楽を求めたのであった。たとえ本性では、肉体的快楽への好奇心に突き動かされていたとしても。 一方、恋の戯れは枕必にも愉しいものだった。彼が言うどんなことも鈴美は目を輝かせて聞いたし、自分の言いつけを聞くことにかけては師弟の関係以上である様子も、男としての支配欲を満足させてくれた。恋に彩られた鈴美との逢瀬は、こうして枕必の琴線に触れたのである。 もっとも、恋愛感情のかけらもない文子との間柄ながら、あちらのみならず枕必の方でも彼女を手放さなかったのには理由があった。それは、やはり文子の理由と大差ないのであるが、彼女の体が良いからであった。 文子は、乳房も尻もでっぷりとして大きく、また四十路に入ってからは他の部分にも脂肪が目立つようになってはいたものの、要するに豊満で肉感的な体型をしていた。その肉体は枕必の性欲を高め、そこに彼女の積極的な性と、一方実は従順な性格が加わって、彼が思い切り性欲をぶつけたいと思った時にうってつけなのである。また彼女の秘穴が、俗に言う名器であるらしいことも、枕必のお気に入りであった。 それにしても、いくら彼自身に妻が無いとはいえ、夫のある婦人と、しかも並行して関係を結ぶというのは決してありふれた状況ではない。久しく関係を続けている文子ならばこそ特別認められるということではないし、まして、鈴美はつい最近まで夫と子供と平穏に暮らしていたのに、枕必のために道義に外れることとなったわけで、世間一般では到底筋の通らない話である。 しかし、この件について彼自身は一切、まったくもって全然意にかいしていないのであった。どちらかに悪いとか、後ろめたいとか、あるいはこういう背徳感とスリルが楽しいなどとも、何とも思っていなかった。 以前、鈴美が文子も参加する彼の書道教室に一度だけ来た時、文子はこう言っていた。 「また新しい獲物が来たじゃない? また、食べちゃうんでしょ? それとも、もう?」 彼女はいたずらっぽく笑った。 「このお教室に来た人達、みいんな食べられちゃうのよね、先生に」 そう、鈴美にとっては彼女のこれまでの人生最大の事件である不倫の恋だったが、枕必にとってはこれまで幾度となく経験してきた数多の関係の一つに過ぎなかったのである。 <つづく> << 前回 | 次回 >> <5章 目次> 1 { 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 } 2 { 1 2 3 4 } 目次へ |