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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「師匠のお筆」6-1

<登場人物>
枕必(ちんひつ)……有名書道家。須美恵の父。
須美恵(すみえ)……枕必の娘。書道教室を経営。
神雄(かみお) ……須美恵の生徒。鈴美と神雄の息子。
鈴美(すずみ) ……神雄の母。
瑞夫(みずお) ……神雄の父。
文子(ふみこ) ……枕必の古くからの愛人。


『師匠のお筆』


6-1


瑞夫は、今日も定時に仕事を終え会社を出た。残業という観念のない職場だった。そのまま電車に乗り、一時間ほどかけて帰宅する。いつも真っ直ぐに帰る。無趣味で交際範囲の狭い彼にとって、寄り道する当てなどなかった。

独身時代には、性風俗店に通ったこともあった。月に一度位の割で通った。だが、結婚してからは、そういう遊びに金を費やすことがなんだか勿体なくなって、それで行くのをやめた。飽きた、とも言えた。

そういえば、先日ふと魔が差して、久しぶりにファッションヘルスに寄ったのだが、間の悪いことに、その時貰った名刺を妻に見られてしまうという、彼にとってちょっとしたアクシデントがあった。

(あれは、まずかった)

そんな時に限って見つかってしまうというのは、何とも運のない話だと思った。

彼の妻・鈴美は、瑞夫の金の使い道を常々事細かに制限するということをしなかったので、彼としては、自分の趣味に使う分を比較的自由にねん出することができたのだが、だからといって、やはりそういう場所に出入りすることを、彼女が歓迎しているわけなどなかった。

(悪いことをしたかな……)

彼は、平生にもなく後悔していた。一体に無感動な彼が、他人に対してすまないと思うことは、珍しいことだった。

それというのも、近頃妻の態度が冷やかだと感じられるからだった。

一つ合点がいかぬことには、息子の態度までもよそよそしく感じられることである。やはりこれも、母親の影響によるものだろうかと、彼は考えていた。

(そういえば、今日も教室だったかな)

駅に降りた瑞夫は、ふと立ち止まって考えた。

神雄が書道教室に通い出してからというもの、息子ばかりか鈴美までもが熱烈に書道にのめり込んでいく様子を見て、彼としてはやっかみ半分、これまであまり関心を示してこなかったが……。

(よし)

これも、魔が差したというべきだろうか。妙に晴れ晴れとした気持ちで、彼はいつもの家路ではなく、別の道を選んで歩き出したのである。

その先に待ち受けるのが、世にも淫らな痴情教室であるとも知らずに……。


<つづく>



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<6章 目次>
1 2 3 4 5 6 7 8(終)

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