おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
お知らせ
「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前六時二十分 「おやまあ珍しい」 老婆の一人が矢板を見とめて言った。彼女らはこの近隣の住人であった。この温泉は宿泊客以外にも開放されている。 「やあ、たまにはねえ」 笑顔を返す矢板。地域では顔の広い男である。 「今日はまた随分大勢いらっしゃるわ」 別な老婆が言った。この時間帯で、日頃なら考えられない盛況ぶりだという。三人は年寄の故に早起きの朝風呂なのだとか。 三人はほとんど枯れ枝のような小さな体で湯船に入っていった。とりあえずタオルで胸元まで覆ってはいる。が、強いて隠す気もないようだ。さすがの性豪達も、彼女らとの混浴に心ときめきはしない。元来混浴風呂の現実とはこういうものだ。 「あら、女の方もいらっしゃるわ」 間もなく倫子の存在も気づかれた。倫子は辛うじて引きつらせた口角で少しだけ顎を引く。本当なら“おはよう”の一言ぐらいかけたいところだが。 相手方もその微妙な反応に手ごたえの無さを感じたらしく、すぐに別の質問をしてきた。 「ご夫婦?」 はじめ倫子を見、彼女がまた言葉を返さずにいると、その視線は徐々に周囲に移ろいでいって、最終的に矢板の前で止まった。 「ええっと……」 矢板は困った。どういう方向で行ったものかと。チラリと渡瀬の方を見やる。 すると、その答えに先んじて、一人の老婆が驚き加減に声を上げた。 「あらっ! あらあらあら……」 そうして隣の連れの肩を揺する。揺すられた方は、そうされるまでもなくこれも気づいていた。もう一人もすぐに、 「まあ、まあ!」 と驚きだす。 ビクリッ! と倫子の肩が怒り、次いで小刻みに震える。彼女と肌を合わせる渡瀬の仕業だ。それ故に彼女、何も言えないでいる。 渡瀬の悪行は続いていた。新客到来の気配で一旦合体を解きはしたが、それはただ対面での結合をやめただけで、間もなく彼女の尻を持ち上げるや、己が股間の上に無理やり後ろ向きに座らせたのである。老婆が倫子に気付いたのは既にこの体勢に入った後で、つまり倫子と密着して後ろから見え隠れしていた渡瀬に気が付いたものである。 (ああっ!) 倫子は顔を伏せた。覚醒した途端のこの仕打ち。これでとうとう事件は露見したのだ。もう終わりなのだと彼女の目は虚ろになった。 ところが、である。新客らは批難するでもなく、また立ち去るでもなかった。動じることなく、なんと堂々と真っ向から二人を眺め出したのである。 「やっぱり夫婦なのね」 クスクス笑いながら一人が言う。 「まあまあ仲のよろしいことで」 もう一人はニヤニヤと笑って言った。自身らは色気ババアというのでもないが、低俗な醜聞は好みと見える。田舎じみた前近代的な趣味であろう。性に大らかなのだ。 「ヘヘエ、バレました? 恥ずかしいなあ」 渡瀬が明らかに心とは裏腹なことを言う。さらに調子に乗って、倫子ごと湯船の縁へザブンと上がったものだ。それまでは一応湯の中にいたので結合部までは見えなかったのだが。 これを見て、 「ギャー」 と老婆の一人が大仰に叫んだ。そして大笑いである。 隣の一人は、 「いやあねえ、もう」 と、軽く顔を隠す素振りこそ見せたものの、決して視線を逸らしはしない。他の一人に至っては、手を打ってガハハと笑った。 「ほうれ」 さらに調子に乗った渡瀬は、倫子の大股を大開脚させた。交尾の状況が丸見えとなる。 「おいおい、大丈夫かいな」 宇川が苦笑して矢板を見る。矢板も苦笑いしながら、とりあえずは大丈夫だという風に頷き返した。彼とて確信があったではないが、観客三人の明るさは、まるで酒でも入っているかのようにあっけらかんとして見えたものだ。 「かなわんなあ、渡やんには」 牛滝もお手上げとばかりに渡瀬の暴走を見守った。晴れて“夫婦”となった二人の愛の営みを、少なくとも周囲の誰もが公然わいせつだなどと責めたりはしなかった。 倫子にも止められない。もちろんのごとく止められない。そもそも再結合すら避けられなかった彼女は、ただただ諦めの中で震えるだけだった。久しぶりに人心地の恥ずかしさを知りつつ。 そんな中で、渡瀬は意気揚々と叫ぶ。 「オーラ、イッくでえっ!」 掛け声と共に、肉棒の上下運動は大きな幅で出し入れを繰り返した。割れた肉ビラに白いあぶくが沸き立ち、生々しい性の躍動を見せつける。 「あらやだよ、ウフフ」 にやけた観客のそんな感想を浴びながら、交尾は完遂した。 「ウ……ン……」 瞬間、倫子は拳を握りしめた。そして真一文字に口を閉じ、顎を上げた。究極の恥ずかしさに包まれて、体中がチクチク痛い。犯されるのではなく、ただ鑑賞され笑われるだけの恥ずかしめ。この理不尽な環境は、今までにない羞恥を生んだ。 そして倫子は、だからイッた。 そうと知っての上でもないが、渡瀬が好タイミングで尋ねる。 「どや倫子。お前もイッたんか」 倫子は答えず、ひたすら目を閉じて羞恥に耐えた。必死に鎮めようとする火照りだが、深いところからとめどなく湧いてくる。なぜまだイくのか、否、イッていない状態とはどんなだったか、何が何だかもう分からない。湯の中で足の指をぐっと閉じた。 「へへへ、見られたら余計感じよるんですわ、こいつ」 渡瀬の声が遠くで聞こえる。それを聞きながら、倫子は後ろに倒れ込んだ。“夫”の胸に背中を預けながら、生殖器を外される。ゴポッというような変な音が鳴って、濡れた女陰と肉茎が白昼に現れた。 それを見比べて、老婆達がギャーギャーわめく。そして口々に言う。 「まあ立派な天狗さんだこと」 「子宝の湯だからねえ、ここ。あたしも昔ヤッたのよ、ここで」 「あんらいやあね、トメさん」 ゲラゲラ笑って興奮した口ぶりだ。 「じゃあ、今度はお姉さんとシましょうか」 倫子を置いてけぼりにして、渡瀬が肉棒を垂らしながら会話に入る。 「あれまあこの人は」 本気とも嘘ともつかない態度で、三人組は大いに爆笑した。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 (101)05:52~(110)07:07、(111)07:15~(120)08:35 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時四十八分 さて、車を降りた一行は、次なる戦場へと向かう。“リング”という名の店だ。ピンクの看板に枠ぶちの豆球が寂しげである。知る人ぞ知る、といった所だろうか。宿泊所よりも駅に近い場所ながら、少し奥まった場所にあって、土地勘がないと探し当てられそうもない。大方は、やはり矢板らの手配客によって成り立つ仕組みであろう。 そこへ倫子は、藪塚と渡瀬に伴われて入っていく。この間も、無論全裸である。その姿はまるで、護送される囚人どころか、運搬される家畜同然であった。己の意思も何もあったものではない。 店に入ると、中はひと際暗かった。街灯の下にいた方がまだ見通しがきく位だ。そして、けたたましい音楽が鳴り響いている。曲は、かれこれ二十年程も前のヒットソングだ。その中に、時折男の声でアナウンスが入る。一種のマイクパフォーマンスのようだが、何を言っているのか倫子にはさっぱり聞き取れない。 そのマイクの男が、間もなくこちらへとやって来た。蝶ネクタイ、吊りバンド、ズボン、靴と、カッターシャツ以外はすべて黒で統一したいで立ち。店の制服らしい。 さらにその後ろから見知った顔も現れる。宇川だ。 「遅かったやないかぁ」 満面の笑みで新参の客達を迎え入れる。その上で、 「これが言うてた人、本日の主演女優様や」 と、さっきの制服の男に向かって倫子を紹介した。 紹介された方は、興味津津と相手の体を上から下まで舐めるように眺めまわす。 その彼に向かって、脇から矢板が挨拶する。 「鎌先(かまさき)さん、どうも――」 「ああ! どうもどうも――」 呼びかけられた男、愛想笑いを浮かべながら応対した。 「今日はすごいことになりますよ! わたしもびっくりしまして――」 矢板が話し始める。 すると、それを引き取って宇川が言う。鎌先と呼ばれた、この店の人間に対してだ。 「――そういうことやねん。ほんで、さっきも言うたように頼むわな」 この一言で、倫子は鎌先へと引き渡された。彼の背へ向けて、宇川が見送りの言葉をかける。 「すまんな、無理言うて」 何が“無理”なのか、その内容を倫子が知る由もなかったが、それはつまり、普段の店の営みとは違うことをやるという意味なのであった。 「――じゃあ、これをかぶってもらえますか」 そう言いながら、鎌先はある物を取り出した。それは、いわゆるプロレスラーがかぶるようなマスクであった。目、鼻の穴、口がそれぞれ開いており、後は側面に何やら飾りがついているようであったが、一瞬のこととてよく確認はできなかった。ほとんど無理やりに、倫子はそれを着けさせられる。 「よお、似合うやないか」 横から出てきた牛滝が、そんな彼女に声をかける。なるほど、先発した一団は確かに皆ここへ来ているようだった。店内は狭い。先ほどいた入り口、その続きのわずかな空間、見れば、そこいらに見知った男らの姿が揃っている。 「わしら、もう退散や。ちょっと見してもうたら、先帰るわ」 誰かが言っている。それに応えて、 「奥さんで散々満足さしてもうたさかいな。ほんで、この後もあるし……」 「ちょっと充電やな」 などと口々にしゃべる声が聞こえる。いずれも、もはや倫子にとり、他人ではない男達である。そういう声は不思議と聞こえるものだ。 「じゃあ、行きますよ」 どぎまぎしている倫子の背を、鎌先が押した。途端に視界が開ける。二人は狭い足場を縫って、真向かいの壁まで移動した。 「レディース・エン・ジェントルメン!」 スピーカーから声が響く。角度の所為か、今度は聞き取れる。 「皆様お待ちかね、本日のメインタイトルマッチ! 挑戦者はこちら――」 倫子は皆まで聞く耳を持たなかった。眼下の光景に言葉を失っていた。サイコロのような背の低いソファー、それが五つ六つひしめきあっていて、それらの前にひざまずいている女性が三人ある。彼女らは皆一様に、椅子に掛ける男性陣の股間に顔をうずめていた。情を知らない女にとって、初めて見るその状況は異様そのものである。 しかし、真の問題はそこではなかった。椅子の上にいたのが、なんと揃いも揃って確かに“見知った”男達の顔ぶれだったのである。それも、ある種今日肉欲を交わした男達以上に恐ろしき面々だ……。 そこへ、マイクの声が高らかに宣する。 「――リンさんです!」 耳をつんざくその名前に、倫子は思わず司会者の顔を見た。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時三十九分 「ほな奥さん、お次は運ちゃんにサービスしたってぇな」 藪塚が終えたのを見届けると、すぐに渡瀬は倫子を催促しにかかった。 「いえいえ、わたしは別に……」 運転手は“サービス”の相手として指名されていながら、まだ応じるとは言っていない。他方、はっきりと拒んでもいない。ただ、彼の心の弱さだけは明々白々であった。 もっとも、彼がどう逡巡していようとも、渡瀬が既に決定した事項である以上、それは絶対的方針にほかならなかった。倫子はいまだ藪塚の脈動とともに彼にしがみついていたが、やがて窮屈に体を折り曲げた態勢で、まだ直立して余韻に浸っている肉棒をズルリと抜き出させられた。 と、ここで一つの問題が持ち上がった。どうやって次の相手のもとへ移るかである。言うまでもなく相手は前方の座席にいるわけだが、そこに至る道にはタクシー故の障害があって、とても車内からスムーズに移動できそうもないのだった。渡瀬も普通の車の感覚でいたものだから、ついうっかりとこれがタクシーであることを失念していたものである。 「しゃあないなあ……」 彼は言ったが、しかしこれぐらいでめげたりはしない彼だ。次いでその口から飛び出したのは、倫子にも運転手にも思いがけない提案であった。 「外から回ろか」 なんと一旦車から降りて、助手席に乗り直せというのである。真っ裸の倫子にだ。 これにはさすがに渋る彼女だったが、渡瀬は問答無用で強行しようとする。 「大丈夫や、一瞬やからバレへんわ」 結局のところ彼の指示で、車は信号もない道で急遽停止することになった。繁華街でもない夜の街は暗く、また人っ子一人歩いていない。が、最大の難関は後続車である。それだけは彼の言うとおりに“大丈夫”ではない。既にこんな何もない場所で停車したこと自体、不審がられているであろう。 「ほれ、はよしなどっちみちバレんで。奥さんが行くまで動かへんからな」 これが最後通告となった。これ以上の時間のロスが、そのままゲームオーバーに直結するのである。もはや選択の余地はなかった。 とうとう倫子は走った。ドアをこじ開け、転がるように車外へ出る。そして、できるだけ身を低くして助手席のドアノブをつかんだ。確かに“一瞬”だった、ここまでは。 ところが、ここで小さなハプニングが起きた。なんとドアが開かないのである。運転手がカギをかけたままにして忘れていたのだ。 (開かない!) ガチャガチャとノブを引っ張って、泣きそうになりながら倫子は焦った。それもまた一瞬のことだったろう。しかし、足裏に伝わる路面の冷たさが、この時間を永遠のように錯覚させた。無論、ドアはすぐに運転手によって開けられ、彼女はまた転がるように中に飛び込んだが、彼女の焦りようは、勢い余ってサイドブレーキのレバーに乳房をしたたか打ちつけたほどである。 「ハハハ――いや焦ったなあ!」 後ろでは渡瀬が大笑いである。この男は、人の人生をおもちゃにしてなんともないのである。 倫子は今日初めて大きな怒りを覚えた。これまでにも怒る機会は十分あったろうにおかしなものであるが、えてして自然の感情とはそういうものである。ただし、感情は靄のように移ろいやすく、彼女の心もすぐに恥ずかしさ、そして情けなさの方にシフトしていった。髪を振り乱し肩で息をして、真剣に馬鹿な試練に立ち向かっている自分……。 (終わった……) 何もかも、人生も全ておしまいだと、彼女は思った。犯された上に嬲られて、むしろどこに明日への光明があるだろうかと。そう思うと、さっきの行為が客観的に蘇ってくる。ひたすら精液を流し込まれた膣や肛門、恥ずかしげもなく出っ張り垂れた乳房、だぶついた尻や腰、くたびれきった四十路の肉体……、そういうものを公然とさらして、ガニ股でなりふり構わず走る女……。 男達は彼女の噂をする。 「さすがにバレたんじゃないっすか?」 と、藪塚。 「そうかもしれんな。そやけど、さっきもあんだけまともにビデオ見て、全然気づきよらへんかったからなあ――」 と、渡瀬。彼の言うのは、倫子らが店を出た直後の様子だった。トイレから出てきた倫子の夫は、まだ回っていた彼女の輪姦ビデオを見、しかもそこには彼女の顔まですっかり映っていたのに、まるっきり気がつかなかったというのである。 これを耳にした倫子の胸に、ほっと少し安堵の情が浮かんだ。彼女はそれに気付くと、また嫌な気持ちになった。だが希望とは容易に捨てきれぬものである。 やがて、車は再び走り始めた。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時二十四分 彼を見ていると、倫子はやはり平穏無事だった頃のことを思い出してしまう。バスから降りた時、玄関で出迎えてくれた従業員の中に彼の姿はあった。まだほんの数時間前のことである。まさか男女の仲になるなんて思いもしない。 あの時、倫子は休暇の楽しみに浮き浮きとして娘や他の奥さん連中としゃべりながら、彼の前を素通りし、入り口を通りぬけた。その後は温泉。夕食。宴。本当に気楽なものだった。そしてまた温泉へ。そして……。 「ああ……」 袋田は熱っぽい息を吐きながら、倫子の入り口を出たり入ったりした。唇を重ね、その中へ舌を挿入したりもする。彼の心にはもう、客に仕えるという気持ちなどなくなっているのだろう。何のためらいもなく性具をこすり合わせていく。その上己の欲望に忠実に、厚かましい要求までしだす。 それによって、倫子は床に四つん這いにさせられることになった。カウンター裏の床といえば客の視線を浴びることもないわけで、店内でも余計にきれいとは言い難い場所である。そこに寝転がらされるのも当然嫌だったが、今度手をついて目の当たりにしてみると、一層惨めな気持ちが助長された。 袋田は、そんな彼女に後ろから挑みかかっていく。背筋を伸ばすとさすがに頭が台より上に出る虞があるので、前かがみになって、対象の背中に重なりながらである。彼はそうしておいて、眼下に広がる白い素肌に、マッサージよろしく手のひらを這わせていった。指の腹でその滑らかさを確認し、時には指先を立てて柔らかい皮膚をくぼませたりもする。 「ン……ッ!」 倫子の口から不覚にも声が漏れた。全身の産毛が逆立ち、首から上へ向かってゾクゾクする感じが上ってくる。フェザータッチはあくまで補助的な性技であるが、この場面での効果は絶大であった。 その様子を目ざとく見つけた矢板、そして藪塚は、彼女を見下ろしてほくそ笑む。藪塚はまたこちらに回り込んできて覗き見していたのだ。ばれるかばれないかの瀬戸際で危なっかしい奴である。 折しもビデオの映像は、局所の拡大から遠景へと移り変わりつつあった。この分では、女優の顔が映るのも時間の問題である。 そのことは、倫子の位置からも一応確認することができた。体の向きを変えたことで、見上げればちょうどの所に画面がきていたのである。ただ、彼女にはもう怖くて直視などできなかった。加えて、そちらの動向を知ったところで、もはやどうにもできないという諦めもあり、彼女としては目下今の相手に集注するしかないのであった。幸いというべきか、今の相手の手腕は彼女をこちらに専念させるに十分であった。 袋田の手はさわさわと弧を描くように行き来して、彼女の背中を優しく摩擦していった。撫でられた皮膚は次第に温まっていく。他方で、肩から背骨に沿って、筋肉を揉み解すような動きもあり、ある種これらは性的な快感とは別個の心地よさを与えていた。もっとも、そのような間接的な愛撫こそ、えてしてセックスを盛り上げるのに必要だったりする。そのことは、倫子が吐息を我慢できない所によく表れていた。 「ンン……ハァ……」 彼女はまた息を吐いていた。それは一種の生暖かさを帯びたものだった。肩もみをされて気持ちいいのと、男のものに満たされて気持ちいいのとが同時に押し寄せてくるが、どちらかというと、前者の方が新鮮で大きな印象を放っていた。考えてみれば、これまで何度も何度も男根によってごりごりと直接的な刺激はされてきたが、女体のテンションを高ぶらせるような愛撫はほぼなかった。袋田のそれは、まさに愛撫であった。 そんな彼の手つきも、やがては核心に迫っていく。優しく爪を立てて腰から尻にかけてなぞった後、下腹から陰毛地帯、そして陰核へと指先は移行していった。かつ一方で、もう片方の手は尻の谷間に向かう。それは、彼女を悶絶に導く、黄金の配置であった。 「ンクゥ……ッ!」 思わず喉の奥から泣き声が絞り出てきて、倫子は慌てて右手で口を覆う。そのせいで、ガクリと右斜めにバランスを崩した。すると、それがために余計に彼の指が角度をつけて局部に当たる。おかげで倫子は左も崩れて肘をつき、とうとう乳房の垂れが地べたにこすれるようになってしまった。と、今度は地面の冷たさが乳首に一種の印象を与えて……。連鎖的に襲いくる快感である。 袋田は両手をフル活用して、一方ではクリトリスをはじき、もう一方ではアヌスをかき回していた。ただ、彼が巧みだったのは、ある程度の長さそれらを続けたら、途中でやめて、また背中や腿など中心地から離れた場所を撫でさする点である。このゲリラ作戦は見事に功を奏した。 「ンンッ……ハアァ……ンフゥッ……アアァ……!」 やむことのない切なさにさいなまれて、倫子はこらえ切れずに啼いた。こんなことは今日の中でも初めてだった。ペニス三穴刺しの強烈さとはまた一味違った快感である。しかもこれは、たった一人の手でなされているというのだから驚きだ。 (この人……) 倫子は喉を伸べて息を吸った。その視界に、彼女の全景が収まった映像が入る。下半身側からの撮影のため奥にある顔はまだ遠かったが、見ようによっては被写体の同定も既に可能である。だが、今の彼女にはそのことの切迫感はもう遠かった。ただその耳に、榊原らと酒を交わす夫の談笑が入る。 (この人、あなたより……) 何気なく恨めしい言葉が心に移りゆく。その刹那、彼女ははっとして慄いた。まだ良心は死に耐えていなかった。狼狽してその感想をかき消そうとする。例えば、袋田一人の力ではない、などと思い直してみる。しかしそれは、危険な方針転換であった。途端にその心へ、さっきの矢板のセリフが再来する。 『旦那さんの近くでヤることに興奮してるんですか?』 「ンムウゥフウゥ……ッ!」 倫子はくぐもった声で悶えた。その瞬間、彼女の股間からピューピューと透明な汁が勢いよくほとばしる。 (やめて、やめて!) 苦し紛れに必死の祈りの言葉を念ずる。今や彼女は肘をつくことさえ放棄して、地べたの上に伸びていた。自慢の豊乳も広がってつぶれ、後ろから突かれる度に床をモップがけしている。 と、ここで袋田に、 「気持ちいいでしょう?」 と囁かれた気がした。否、実際には何も言われてなぞいない。が、彼の腰つきにそういう声を勝手に聞いたのである。 他方、袋田は彼女の腰をつかんで上に持ち上げる。倫子は焦った。これまた実際には体勢を整えるだけのことであった。が、彼女は彼が焦れているのだと勝手に解釈した。 「き、ひ持ちいいでふぅ……!」 倫子は手の中で告白していた。それと同時に割れ目からは、再び大量の液体がほとばしり出る。倫子は深呼吸するようにゆったりと昇天した。 「ウウゥ……フウゥ……」 顔を真っ赤にして身悶える。良心は、これを恥と教えていた。一体何度目の恥か。倫子はまた恥をかいてしまった。だが今日に限って言えば、恥のかき収めということはないのである。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時四分 一方、渡瀬や榊原は再び倫子をいじめにかかる。彼らにかかれば、彼女の一世一代の危機さえ戯れの材料なのだ。 「えらい急に慌てだしたもんや。身内の一人ぐらいバレたかて、もう今さら関係ないんとちゃうん」 そう話すのは渡瀬である。すっかり外道じみた彼は、いとも空恐ろしいことを簡単に言ってのけた。彼に言わせれば、例えば卓球部員らや薮塚のように、途中参加でもすんなりとこの輪に加われたのだから、その要領で一人増えたってどうってことないというのである。 すると、それをいさめてマスターが、 「いやあ、そうはいきませんよ。知り合いですからねえ」 と、口を挟めば、榊原も、 「そうやなあ。これから先の生活もあるからなあ」 と、マスターの発言に一定の理解を示す。もっとも、どう同情的なそぶりを見せようとも、当人の目の前で堂々と噂話をすることからして、それは一種の辱めにほかならなかった。現に榊原は、怪しげなる瞳を輝かしながら、鋭くも恐ろしげなことを言ってのけたものだ。 「あの慌てようからして、もしかしたら旦那さん本人という線もある……」 「なんやて! あれ旦那かいな?」 すかさず渡瀬が素っ頓狂な声を上げる。それは、倫子の驚愕を代弁するかのような大げさなものだった。 当の彼女は慌てふためいて、しかしそれを出来るだけ気取られぬようにと、がばっと上体を折って顔を伏せる。何しろ榊原が、油断のない眼でこちらを窺っているからである。 「まあ分からんけどな。あっちへ一緒に行ったかもしれんし」 彼はそう言いながらも、じっと倫子から視線を動かさない。 脇からは、渡瀬が顔を覗き込んできた。これではせっかく伏せている意味もなく、もはや表情を隠しおおせる自信もなかった彼女は、ギュッと瞼を閉じてかすかな抵抗を試みる。 「奥さん、あれ旦那なんか? え?」 渡瀬は親しみやすそうな笑顔を作って倫子の返事を誘った。 が、もちろん、これに唆される倫子ではない。聞こえない振りをして、口まで固く結ぶ。 折しも、藪塚の腰のグラインドは、いよいよピークに達する勢いであった。ほとんど椅子から尻を浮かせて、激しく腰を打ち付ける。それにつれ、カウンターの上のグラスやら何やらが、ガタガタと振動したほどだ。 倫子はとりあえずこの派手な運動に身を預けながら、ひそかに今後の方策を練ることになった。とはいえ、既に万策尽きた感のある中、あまつさえ挿入の常態化した彼女の体はふやけたようで、到底もう良い知恵など浮かびそうにないのである。 (逃げないと、とにかく……) 霞がかった視界と頭で、彼女は必死に決断を焦った。よろよろともがいて前に出ようとする。 すると、それと軌を一にして藪塚もまた前進を始めた。偶然にも連動した二人の動きである。これは、勢い余った藪塚が、さらに十全な腰振りを敢行すべく、自然な成り行きで倫子を押し出したからであった。 支えを失った彼女は、瞬間つんのめって倒れそうになる。が、藪塚が両の乳房をつかんだおかげで、辛くも転倒だけは免れた。しかし、不安定であることに違いはない。つま先立ちで、上半身屈曲してというのは。まるで、宙ぶらりんの感覚である。 その時思わぬ助けが現れた。否、お節介と呼ぶべきか。渡瀬が前方から彼女の手を握ったのである。もちろん、親切心などみじんもない。 「やっぱり旦那なんか? なあ。どやねんな」 ニヤニヤしながら彼は追及してくる。その表情の中には、そうであったらいいのに、という下劣な願望がありありと浮かんでいた。 その間も、藪塚はせっせと腰を叩きつけてくる。自ら腰を振り、同時に倫子の腰を引き寄せる。その連続だ。肌と肌がぶつかって、パンパンという音が響く。 倫子は前から後ろから一斉に攻められ、片やソファーの方は気になるしで、その心たるや千々に引き裂かれる思いだった。もうどの方面に軸足を置いていいかもわからず、頭は飽和状態となる。 そこへ榊原が声をかける。 「ああ、奥さん、そっち行ったら起こしてしまうんとちゃうか」 それは、倫子らがゆるゆると前の方へ進んでいき、結果ソファーとの距離を詰めることになったのを注意したものだった。 「いやいや、旦那さんのとこに行きたいんやで」 渡瀬はもはや決めつけて、勝手な解釈を施す。 他方、そう口々に揶揄されても、倫子にはもう訳が分からなくなっていた。この刹那、彼女はある種諦めていたと言ってもいい。なすすべもなく藪塚に押し出され、視界のぐるぐる回る中で地べたを歩く感触もなく、ただ無間の境を進みゆくだけだった。たとえその先に奈落が控えていようとも、その歩みを止めることはかなわなかった。 「奥さん、中に、中に出すよ!」 奈落の淵で、藪塚が吠える。背後から彼女を突き落とすべく。 パンパンいう音は話し声程も大きくなり、それと同時に行われている内容を確実に世人に知らしめた。すなわち、彼女の女穴と彼の男根の激しい摩擦であり、公然たる不倫的子作りである。 「言って、ほら、『中に出して』って、言って!」 興奮の絶頂で、彼の最後の要求は一気にエスカレートした。まるっきりアダルトビデオの男優さながらに、膣内射精を女の口から申し出させようというのだ。 「イ、イヤ……ッ!」 倫子は反射的に言っていた。何もかもに対する拒絶であった。 ところが、その意に反して、この時思いがけない出来事が起こった。それは一種奇跡的と言っても過言ではない巡り合わせであった。なんと倫子が言葉を発するより前に、倫子の言葉が伝えられたのである。 『な……アア……か、にぃ……イィ……な、中……ァハァ……だ……しぃ……ィヒィ……ッ!』 そう、それは、“女優”倫子のセリフであった。彼女が出演中の例のものは今なお絶賛放映中だったのであるが、これと現在の状況とが、偶然にもシンクロしたのだった。 これを受け、一瞬の間があった後、男どもは一斉に噴き出した。そして、 「すごいなあ!」 と、口々に言い合う。 それはちょうど、藪塚が精液を発射するのと同じ時であった。彼は皆が談笑する中で、フィニッシュを迎えていたのである。 「ハア~……」 気持ち良さそうに息を吐きながら、肉茎から精を続々と送り込む。 その感触は当然に倫子にも伝わっていた。 「ああぁ……」 藪塚とは別種のため息を吐く。きつく結んでいた口はいつしか半開きとなり、瞼もうっすらと開いていた。その表情は、今までになく切なげである。これまで信じられない量の子種汁を注ぎ込まれてきたが、今の一回は特別現実的な衝撃を受けるものだった。 薄眼で、前方を窺う。そこには相変わらず背中を向けて熟睡する男の姿。倫子はその後頭部に向かい、心ひそかに呟いた。 (あなた……許して……) 刹那、彼女はまた天上に昇り返っていった。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時零分 その人物は、こちらに背を向けた恰好で横たわっていた。その手前には、グラスや皿の乱雑に置かれたテーブルがある。つい今しがたまでそこにいたのであろう多数の人間の存在を匂わせる残骸である。その影に隠れていたせいで、ソファーの上まで見えなかったのだ。 しかし今、カウンター席の薮塚の膝の上に座らされて些か高くなった上背から見渡すと、その者の存在ははっきりと確認することができた。それは男であり、浴衣を着用していた。ちょうど渡瀬や榊原が今着ているのと同じ柄のものである。ということは、同じ宿泊所に泊まっている者ということになる。 では、渡瀬らと同じグループの一員だろうか。倫子は、むしろそうであることを願った。つい先刻の彼女なら考えられなかった仮定だ。だが、そう願いたくなる背景事情が、返ってそうではないという現実の蓋然性の高さを物語っていた。絶望的なことに、彼の肩、首、後頭部、髪型、見れば見るほど確信に変わっていった。 「どうしたんです奥さん。もっとエッチな声聞かせてよ」 ふいに薮塚が後ろから言ってきた。にわかに大人しくなった倫子に違和感を持ったようだ。 倫子は逡巡した。このようなことを一刻も早く切り上げるのが最良の手段であることは明らかであったが、そういう申し出が容易に受け入れられようとは到底思えなかったし、申し出るにしてもどういう理由をつけたらよいか悩みどころであった。憂慮すべきは、ソファーの彼との関係が他の者に勘ぐられることであった。 「ねえ、奥さぁん」 薮塚は甘ったるい言い方をしながら、彼女の首筋に舌を這わせ、併せて陰核包皮をつまんでいじくりだした。 「ン、ンン……」 倫子は、鼻にかかった声を漏らして、ひとまず誤魔化そうとする。彼女はまた混乱し、当座の策も何も考えられない状況にあった。陰核への刺激は現在の切迫感とも相まって、下半身にむずむずとした尿意のような焦りを生じさせる。 (こんなところを見られたら……!) 回転の鈍くなった頭で、ようやく彼女はそのことに思い至った。何よりも最悪の事態は、彼に現在の自分の姿を目の当たりにされることであるのは間違いない。当たり前のことなのに、その思考の順序が逆になるほど彼女はパニックに陥っていたのである。 (早くやめないと……!) 気持ちばかりが焦るが、体はついていかない。もう一刻の猶予もないというのに、なりふり構ってなどいられないというのに、行動を起こせない。 (どうして……?) 彼女は自問自答した。単に体が疲れきっているせいもある。だがそれ以上に、怠惰な流れに身を任せる、堕落した心の症状が作用していることに、彼女は気づいていなかった。動けないんじゃない、動かないのだ。だから、ずっとくよくよして、ずるずると無為な時間を引き延ばしているのである。 すると、そんな彼女の様子を観察して、周囲の男の方が異変に気づいてしまった。結局、外圧に期待する結果となってしまった倫子である。 「おっ、そう言うたら、あそこにもう一人おったなあ」 榊原が彼女の視線を鋭くキャッチして代弁する。 倫子は慌てて目をそらす、が、もう遅い。人間、想定外の事件に出くわせば、正直な反応を隠しおおせないものである。だが、ここからが正念場だ、と、彼女は弱々しいながらも覚悟を決めた。 「ああ、あの人なあ、奥さんのお連れさんやなあ」 渡瀬は言いながら、用心深い目で倫子のことを窺う。 倫子は何も言わなかった。努めて感情が表に出ないようにした。かくなる上は無反応を決め込んで、いよいよという間際になって隙をついて逃げ出せばいいと、そう漠然と冴えない頭で考えていた。しかし、これ以上の愚策はなかった。 「そや、あの人も起こして交ぜたげよか」 思いがけない提案をしだしたのが榊原である。 「おお、ええやないか。――奥さん、ここらで知り合いとも仲良なっときぃな」 渡瀬も加勢する。 倫子は目を見開いた。この期に及んで彼らの凶悪さをまだ過小評価してしまうほど、彼女の頭脳は機能していなかったのである。 その呆然とする眼前から、渡瀬の背中が容赦もなく向こうへと去っていく。 「よう寝たはるなあ。起きはるやろか。――オーイ……」 本気なのである。本気で起こそうとしているのである。堪りかねた倫子は、ついに音を上げた。 「やめてっ!」 久しぶりのはっきりとした言葉で、しかし大音声にはならない程度に気を付けて言った。やっとまともな手段をとった彼女である。その毅然とした態度のために、瞬間、ピリリと空気が緊張し、男どもは鋭気をくじかれる……はずだった。が、ふてぶてしい彼らに、彼女の影響力は何ら通用しなかった。 「おっ、どうしたどうした。今さら別にかまへんやないか」 渡瀬が振り返って、唇を尖らせる。 横から榊原も口を添える。 「この人かて、奥さんとヤりたいてずっと思てはるて。なんせ、こんなエロい乳……」 「やめて下さい、もう……!」 倫子は彼の言葉を遮った。ひと度意思を表明した彼女は腹が据わって、今までになく強気で物を言えた。 さすがの男達もこれには驚いた。 「……まあ、お知り合いの方ですからねえ。さすがにバレちゃあまずいんでしょうよ」 とりなすように、マスターが言う。しかし、そう話す彼も含め、その場にいる男達の誰の口元にも薄笑いが浮かんでいた。彼女を気遣う者など一人もいないのである。 その最たる人間として、薮塚が彼女の腰をつかまえ、以前にも増した勢いで男根を出し入れしにかかる。それも、倫子が隙をついて離れようとしていた矢先のことだ。 「アアー、ヤベえ、イきそう」 彼は言いながら、ガタガタと膝を揺らして自分の上で相手をバウンドさせつつ、踊りまわる柔肉の果実を、後ろから回した手でもぎ取るようにつかんで下に引っ張った。たっぷりと垂れた果肉が、指の食い込みでできたへこみもろとも伸びる。性欲を爆発させている最中の彼には、周囲の状況の変化など関係なかった。ただ最後までやりおおせて、オスの本能を満たしたいというそれだけなのだ。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後十一時五十七分 「ンアッ! アアッ!」 倫子は答えを言う代わりに、短いあえぎ声を発した。それは無意識に出たものではあったが、結果として羞恥心を庇うことにもなった。こういう知恵は、男に対していつも受け身である女という生き物の構造上、必然的に処世術として備えられたものである。 一方、男はそういう誤魔化しを容易には許さない。 「どや、自分の見てたら興奮するか」 しつこくも渡瀬が問いかける。男は女を我が物にしただけでは飽き足らず、骨までしゃぶるが如くなお徹底的に辱めようとするものだ。 「ウ……ウウゥ……ッ!」 倫子は愁眉を寄せて、低く呻いた。寄ってたかって猥褻な話題を向けられ、ただでさえ後ろからの激しい責めを受ける身は気もそぞろ、一つ事に集中できなくてパニックになる。そうして、追い詰められて苦しくなると、むずがゆいような切なさが体の芯から込み上げてきて、急速に眼の前が真っ白になっていく。 「どや、またイくのとちゃうか」 渡瀬が彼女の反応を目ざとく指摘する。 「イく時はイく言わなあかんで」 まるでそれが定まった慣わしであるかのように彼は言った。 「奥さん言って下さいよ。ほら、もっとエロい声聞かせて」 薮塚も彼の尻馬に乗って、卑猥な指令を出す。それと並行して、硬直した男根をより一層精勤に突き立てる。 「そや奥さん、遠慮せんと声出したらええんやで。あの時みたいに」 榊原はビデオの画面を指し示す。 「見てみいな、あんな大きい声で喘いで」 言われて、倫子は思わず、その霞がかった目の端でそちらを窺いみた。別に彼の指摘を真に受けていたわけではなかった。そこに映っているのは、されるがままに男達の相手をさせられている、ただただ哀れな女の姿ばかりだと思っていた。が、真相は少し違った。 『アンッ! アッアッアッ……!』 女は男達の輪の中で、明らかに媚びを含んだ声で啼いていた。それを見る限りでは、決して被害者であるとばかりは言えないほどに。 (え……ええっ!?) 倫子は瞳を見開いた。そこに見たのは、レイプというよりもセックスであった。輪姦というよりも複数プレイであった。要するに、嫌々やっているという風には、どうにも見えづらかったのである。 (どうして……!?) 倫子には理解できなかった。なぜなら、自分では決して心から受け入れているつもりなどなかったからだ。それなのに画面の中の彼女は、AV女優さながらに派手な声を出して喘いでいる。その様子たるや、見ていて恥ずかしくなるほどである。もしこれが、倫子自身でなかったとしてもだ。 『イッ、イ、イヤァ……ッ!』 言葉では、一応拒否の姿勢を示してはいる。だが、それが全然本心からのものに聞こえない。そもそも、そういう拒絶の意思も含めて、あらゆるリアクションを抑え、ほとんど無反応を決め込んでいたつもり、あるいは声を出す気力もなかったはずなのだ。それがどうだ。現実には生き生きとして、男と対等に性交しているではないか。倫子は、自身の記憶とカメラの記録との懸隔に驚愕した。 「ほれ、見てみい。チンポくわえて離しよらへんわ」 渡瀬が耳元でささやく。彼の言葉通り、確かに、一度口から離れた肉茎が再び口元にあてがわれた時、何のためらいもなく吸いつき、何なら自ら迎えに行きさえする彼女の姿が画面にはあった。 倫子の顔は、カーッと耳元まで熱くなった。初めてこの映像に気がついた瞬間とはまた別種の恥ずかしさが込み上げてきた。初めの時のは、自分の裸とセックスが記録され公開されていることに対する単純な印象であった。それが今は、確固とした知識として、その破廉恥さを理解した感じなのである。例えて言うならば、大人になってから幼き日の無邪気な行為を思い出し、赤面するといったところだろうか。 もちろん、男達がそういう見方を強調するためも、また撮影者がこぞって卑猥に見える映し方をし、しかもそれを客観的に見ることで、被写体がいかにも淫乱そうに見えたためもあったろう。ただそれにしても、倫子には衝撃的に過ぎた。自分はいつもこんな顔で、こんな声で性を営んでいるのだろうかと、不審にも思う。 『どや奥さん、チンポええか、ええのんか』 誰かが問うている。それに応えて、 『ア……イー……イ、イイ……ッ!』 と、倫子は臆面もなく叫んでいた。聞きようによっては誤魔化しているようでもあるが、今の倫子には、確実に質問に答えているように聞こえていた。さらに間違いようのないことには、 『イ、イ……く……イく……イぐ……ヒぐ……っ!』 男になじられて、情けなくもエクスタシーをすら告白している。 (やめて! もう、やめて……!) 悲壮な思いで、倫子は火照った顔をしかめた。折しも、込み上げた切なさが絶頂に上り詰める時だった。性器への摩擦はいよいよ加速し、またぞろあの昇天境地へと肉体はいざなわれていくようだ。ここ数時間来、むしろこちらの方にいることの多い境地である故に、行くというよりは帰るといってもよい位である。 かかる肉体的責めに加え、今は精神的プレッシャーもある。それが極地に達すると、脳天がジンジンとうずいて、頭の中は真っ白になる。羞恥の極みと女体の高ぶりが化合するのである。それは紛れもなく、快感の一種と認めざるをえないものだった。 「ン……ンヒィッ! アアアッ! アハァー……ン!」 ついに倫子は、ビデオの映像よろしく高らかに啼いた。その瞬間にはもう、自意識は飛んでいた。グーンと天に昇っていき、そのまま惰性で空に放り出される感じである。そうしてその漂う間に、彼女は心からの肉の喜びを謳歌するのである。 「ハハッ、奥さんまたイッてはるわ! 大きい声出してまあ」 榊原を筆頭に、男らは倫子のアクメ姿を揶揄して笑う。 しかし、倫子はもはやそんなものには構わない。 「ンッンッンッオッオッオッ……!」 喉奥から絞り出すような咆哮を上げ、薮塚の交尾に応じている。彼の絶え間ないピストン運動のおかげで、今晩は乾き知らずの恥部から、グッチャグッチャと液状音が鳴りやまない。 心の砦を落とされた彼女は、今や性の権化であった。加速度的に淫靡の色を増し、秘めていた性欲を露わに漏らしていく。それは、ある種幸せなことであったかもしれない。ひと度何もかも打ち捨てて、性の追求にまい進できるということは。 ところが、運命とはいたずらなものである。折角自分を諦めきれたのに、彼女が性に狂いきることはまだまだ許されはしないのだった。 それは、薮塚がバックから彼女の体を助け起こし、それと合体したまま、カウンターを背にして椅子に座った時に発覚した。彼女は気が付いてしまったのだ。部屋の角のソファーの上に、横たわっている人間がいることに。そしてその人間が、とても赤の他人とは思えないことに……。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後十一時五十五分 「何言ってんすか」 それを一向意に介さず、薮塚はいきり立った肉棒の真っ赤な先端を白い素肌に押し付ける。 「あんなガキにまでヤらせといて、今さら何カマトトぶってるんですか」 彼が指摘しているのはビデオの中の場面である。それは、見るからに骨格の未成熟な少年が、巨大な倫子の股の間に入って必死に小さな尻を振り、覚えたての射精で母親ほどの熟女に種付けを完了している所だった。 倫子は顔を赤らめた。“カマトトぶって”いるわけではなく、心から恥じらっていた。 「俺もおマンコさせて下さいよ」 そう言って、薮塚は彼女の左の耳の裏に唇をつけてそこを震わせる。 「あ……っ、アー……」 倫子は嫌がる意思を示すつもりで呻いた。が、後ろから抱きすくめられ、あの慣れ親しんだ固いものを体にくっつけられると、途端に戦意をくじかれて女々しい声に変わる。折角まともに戻りかかっても、それが持続したのはほんのわずかの間だけだった。ひと度地獄に落ちた者がそこから這い上がろうなどと片腹痛い、とばかりに、まるで運命が嘲笑っているかのようである。 そのように変心した裏には、一瞬の気の緩みもあった。すなわち、娘は確かにここに来ていたが、今はもうここにはいない、という事実が、結局のところ安心を呼び込んだものである。 「いいですよね? 入れても。好きなんでしょ? チンポ」 薮塚は彼女の腰をつかみ、ぐっと引き寄せた。今にも後背位で合体する構えである。たとえ相手が断ろうとも、どのみち実行するつもりなのだ。 「よかったなあ奥さん。また新しいチンポ入れてもらえるで」 観客である榊原が、無責任な声をかける。 倫子はいやいやと首を振るも、腰だけは自然と受身の姿勢を取り始めていた。哀しいかな、これが今の彼女の真実である。男の性欲をいやというほどしつけられた肉体は、元からの年の功もあって、もはや従順になるしか術を知らなかった。 「入れますよ」 薮塚はいよいよ切っ先を裂け目に食い込ませていく。しおらしく控えた女尻は、その角度といいとても挿入に適していた。肉棒はなんのストレスも感じることなくすんなり潜り進んでいく。 「おっ、おっ、あったけえ!」 内部へと己を進ませるにつれその表面にまとわりつく肉壁の印象を、彼は狂喜して叫んだ。女穴は肉棒を優しくくるんで、その身に彼の全身を飲み込んでいく。 「ンッ、ンン~……ッ!」 倫子は下唇を噛んで、長いものの入り終わるのを待った。しがみついているカウンターに、垂れ下った乳房がぶつかってつぶれている。 すると、渡瀬が横から手を伸ばして、わざわざそれを引っ張り上げて台に乗せた。おかげで、悦楽を謳歌する尖った乳首も、男を誘惑する深い谷間も、みんな向こう側のマスターに丸見えとなる。 もっとも、間もなくしてそれらの位置取りは、乱雑に崩れることになった。乳房がスベスベと台の上を前後に行き来しだしたからだ。それは、薮塚が腰を使い始めたからであった。 「どや、具合は」 渡瀬が尋ねる。 「やっぱ生、最高っす」 薮塚は腰を止めることなく答えた。 「そうやろ」 大きくうなずく渡瀬。 「そのまま中に出したったらええからな」 彼は、端から避妊の気遣いなどしてこなかった者の一員として、当然の如く新人にも膣内射精を勧めた。無論、避妊具を装着していない時点で、どこに射精しようが結果は同じなのであるが。 「マジっすか。うわ、生中出しとか最高っす」 薮塚は大いに喜んで返事したが、最前からのビデオでそんなシーンはとうに確認済みであるから、びっくりするというほどのことはなかった。代わりに、実体験でなくては分からない感想を述べる。 「意外とまだ締まりいいですね、この奥さん。――ねえ、奥さん」 彼は、渡瀬から倫子の方へと話を向け変えた。そうして、言いながらバチンと尻をぶつ。 「ングゥッ……!」 倫子は一瞬のけぞって震えた。 「奥さんのマンコ締まりいいですよ。わざわざ締めてくれてるんですか」 もう二、三発も尻をぶちつつ、薮塚は卑猥な質問を浴びせかける。倫子を征服した後から、彼はどんどん強気になって、一応敬語らしい言葉は使うものの、その内容たるや破廉恥一辺倒になっていった。 「最高ですね、肉便器のくせに締まりいいとか」 「肉便器!?」 薮塚の発したキーワードに、渡瀬が敏感に反応する。 「ハハハ、肉便器ときたか! そらええわ。――奥さん、あんた肉便器やて」 彼は豪快に笑って、倫子の髪の毛を乱暴に撫で回し、さらに言葉を付け加える。 「あんたにぴったりの名前やなあ。なあ? あんだけマワされて、中出しされ放題やもんなあ」 言いながら、顎でテレビの画面を指し示す。画面の中は、相変わらずの輪姦ショーだ。 すると、ふいにマスターが思いついて言った。 「そういえば奥さん、自分で自分のセックス見て、どうなんです?」 これを受け、榊原も、 「おっ、そうや。自分が犯されてるとこビデオで見ることなんか、今までなかったやろしなあ」 と、手を打って身を乗り出す。 「しかも、それ見ながらまた犯されてるんですからねえ」 マスターはニヤニヤしながら言葉を足した。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後十一時五十四分 と、そこへ渡瀬も加わって話を補足しだす。 「カラオケに行くて言うてやったやんか?」 「そや、エレベーターで。ちょうどオレが奥さんに初めて中出しした時な」 榊原も彼の連携を歓迎し、言わなくてもいいようなことを交えて話を続ける。二人は倫子の顔を窺って代わる代わる話しては、彼女の記憶を呼び覚まそうと要らぬお節介を焼く。 「カラオケいうたら、ここしかないねん」 榊原がペラペラとしゃべる中、倫子も娘のセリフを鮮明に思い出していた。そう、確かに彼女はカラオケにみんなで行くと言っていた。そして、そう話す娘の前で、自分は男に背後から犯されていたのであると。 「それ思い出したもんやから、ウーちゃんらが、オレらもそこ行こか、いうことになってやな」 「そやけどあいつらひどいやっちゃで。この店に奥さん連れてきて、娘さんらの前で、もひとついじめたろう思っとったんやさかいな」 渡瀬のセリフに、榊原が笑う。つられて、マスターも笑う。彼はこの辺りの事情に、既に通じているようだ。 薮塚は身を乗り出して、興味津津と彼らの会話を聞いている。いまだ倫子の体を抱きとめたままだ。その手は最初肋骨の上辺りにあったのだが、いつしか位置が上がって、今では彼女の豊かに垂れた乳房が彼の手の甲に乗っかるような格好になっていた。 一方倫子はそのことには全く気を払わないで、ただただぞっとして固まっていた。つい今しがたまでここに娘らがいたのだと思うと、急速に心臓の鼓動が速まる。宇川らは、一体そこでどんな仕打ちをしようとしていたのであろうか。考えるだに恐ろしい。 いやそれ以前に、娘達はこの男らと同じ場にいたのだということ、これがまず恐ろしいことだった。 「えらい仲良なってなあ。さっきまでみんなで飲んでたんやで」 倫子の不安を裏付けるように、榊原が説明する。 「ほんま、奥さんもあの中に呼んだったらよかったなあ。――旦那さんもおったんとちゃうか」 「ワシも誰が誰かまでは分からんかってんけど、娘さんだけ分かったわ。あらええ子やね」 渡瀬も口を合わせる。冷静に考えれば、それほどの時間が経っているわけでもないのに、そんなに両グループが打ち解けたとは思われないのだが、とにかく倫子の身内、特に娘がこの男達と同じ場に居合わし、あまつさえ彼らと言葉を交わしたらしいことを知って、倫子はめまいを覚えた。なんという破廉恥極まる男どもであろうか。母親を輪姦した後に、その実の娘と何食わぬ顔で会話を交わすなんて! 倫子は、しかし、すぐに冠りを振った。否、破廉恥なのは自分であると。家族や気の合う仲間達と旅行に来ておきながら、己の身の不始末からいともふしだらな境遇に落ち込んだ責めをどう負うのかと。本当なら自分も皆と同じ輪で楽しい時を過ごしていたはずなのに。そうして、この中年男達のことも、ただ気のいい人達だと思って接するだけだっただろうに。 娘や夫のことを思うと、彼女は久しぶりに真人間の心を取り戻していた。すると、ついさっきまで親しい人々が集っていた空間で醜態をさらしていることに、急に恥ずかしさと情けなさが込み上げてきた。ひょっとしたら、今寄りかかっているテーブルに、娘が手をついていたかもしれないのである。愛しい我が子は想像だにしないことだろう、己の母が、スナックでしゃべったおじさん達に散々レイプされていた挙句に外へと連れ回され、この店にまで裸で現れたなんて。そう思うと、彼女が段々憐れにさえ思えてきた。 倫子は身をゆすって、薮塚の手を逸らした。 ところが、これは返って逆効果であった。薮塚は、ずれた手を元の位置へ直そうというそぶりを一度は見せながらも結局そうはせず、この機を得てなお開き直り、大胆にも彼女の乳房をむんずと鷲掴みにしたのである。これはもう、あからさまに卑猥な目的を持った手つきであった。 「母乳搾れそうっすね」 そんな憎まれ口さえ叩きながら、彼は握りしめた手をさらに狭めていった。本当に母乳を搾り出そうとするかのようである。そのせいで柔らかい脂肪は簡単にその形をいびつなものに変えてしまった。彼はそうしながらも、相変わらずモニターの映像にその目を釘付けにしている。 そこでは、いまだ激しく淫乱な宴が続いていた。実際に見ると、いつ終わるとも知れない長編作品である。たくさんの、それも幅広い年齢層の男達が己の男根をそれぞれに持ち寄って、絶え間なく一人の女を犯しつくしているのだ。たった一人の女を! 頭のてっぺんから足の先まで、ことごとく交尾されない箇所はないのである。これがアダルトビデオだとすれば相当にハードな作品だ。膣の中にも口の中にも、果ては肛門の中にも精液が溢れ返るほどに注がれ、顔にも浴びせられて、この女優の体当たりぶりたるや、驚異的なのである。 薮塚はこれを見て、目を離せないでいるのだ。無理からぬことである。ただでさえ過激なビデオなのに、しかもその女、当の本人が今この場にいるのだ。今乳房を揉んでいる女が、これほどのハードなセックスをやっていたのだ。彼をしてここまで大胆な振る舞いに走らせたのも、その衝撃度の故であった。 「スゲー……マジで、スゲーヤリマンなんすね……。この人、ほんとに変態なんですね」 彼は、客の頼みで女性を介助してきた、という一応の建前すらも忘れて、同じ客である倫子を見下し、自身の欲望を露骨に表に出し始めた。もはや、上司が傍にいることも何らの歯止めにならない様子だった。彼は思い切ったことに、左手で乳を握ったまま、一気にズボンのジッパーを下ろし、そのまま中のものを引っ張り出した。 「おっ! 威勢ええね」 渡瀬はそれをいち早く見つけるや、咎めるどころか嬉しそうにはやし立てる。 薮塚の股間に生えたそれは、骨が通っていないのが信じられないほどに筋骨隆々としたたたずまいを見せていた。 「若いもんなあ。そらこんなヤらしいの見せつけられたら、辛抱堪らんわなあ」 榊原はそれを覗き込みながら、ニコニコして同情的なセリフを吐く。彼は、語尾の辺りで袋田の方を向いた。 すると、視線を送られた袋田、彼もまた、しょうがないな、といった風の、他方でかつ、興奮して上気した表情を浮かべた。要するに、この場にいる者の中で、薮塚と倫子の性交を阻止する者など一人もいないということであった。無論、情をわきまえてビデオの再生を手伝ったマスターに異論のあろうはずはない。 ただ、ここに一人、唯一反対をなす者があった。 「嫌っ……!」 それは、当の倫子その人である。彼女は久しぶりに拒否の意思表示を示していた。娘らの話題が出て、わずかに正気付いたが為である。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午後十一時五十三分 「おう、来た来た!」 扉を開けた瞬間から、早速に声がかかる。かけたのは榊原、正面のカウンター席に座ってこちらを振り返っていた。 テーブルの向こう側からは、この店のマスターらしき男が話しかけてくる。 「おっ! 主役の登場ですね!」 カウンターを挟んで対峙しているのは、この二人だけだ。店内はがらんとしていた。渡瀬が先ほど言っていた、“状況が変わった”というのはこういうことらしい。 それを見て、倫子は少しだけ安心した。が、それもつかの間、彼女にはそれ以上事態を冷静に把握する余裕など与えられなかった。すぐに、どうしても看過できない光景がその目に飛び込んできたからである。 それは、おそらく普段ならばカラオケに使われるのであろうモニターであった。マスターの頭上に置いてある。そこに、今は全く異質なもの、すなわち、裸の男女の絡み合う姿が映りこんでいたのである。まさかこんなカラオケビデオはあるまい。何しろ、勃起した陰茎が濡れた膣に入る様子を赤裸々に映しているのである。 倫子は急な胸騒ぎを覚えて、じっとその画面に見入った。モジャモジャと茂る縮れ毛、それをかき分けて現れる鮭肉色の小陰唇、そこに突きたてられるいきり立った陰茎……。大写しにされるとすごい迫力である。焦げ茶色の太い棒が唸りを上げて行き過ぎる度に、ヂャプヂャプという水の摩擦音がスピーカーから響く。 さらにアングルが下降すると、そこにもう一本肉棒が現れる。そう、男は一人でなかったのだ。しかもそのもう一本は、通常あらぬ所に挿入されている。肛門である。こういう場面はよく見なれていないととっさにはそれと分からないかもしれないが、陰唇のすぐ下にある穴は、確かに排泄の穴で間違いはなかった。そこが丸く広がって、大便よろしく男根をひり出しているのである。その脇で、男の腿に圧迫されて形を歪めている弛んだ尻がいかにも生々しかった。 倫子は頬を引きつらせながら、しかしまんじりともしないで、なおも画面を見続けた。元々アダルトビデオ位で顔をしかめるような性分でも、また年齢でもない彼女であるが、さすがにこれはアブノーマルに過ぎ、いつもなら目をそむけていたであろう代物である。が、今日はこれと同様のことを身をもって経験してきた彼女だ。また、そのせいで神経が麻痺しているきらいもある。だから、こんなもの見せられてもなんでもない、はずだった。 それなのに、今の彼女ときたらどうだ。妙に不安そうな面持ちで、ぐっと息をつめて見守っているではないか。そう、これと同じことを、ついさっきまで行っていたのだ、と、その事実が鮮明に意識されればされるほどに……。 カメラは素人が撮影したかのように、時折被写体から外れて布団や畳なぞを間に挟みながら、女優の体の様々な個所を次々と映していった。足の小指の爪の形、右脇腹にあるほくろの位置、かなり豊かだが垂れ気味の乳房の輪郭、後頭部から見るヘアースタイル……、倫子は知らず知らずの内に確認を始めていた。 画面は間もなく、後頭部から横顔へと移動する。もはや紛れもなかった。 「ああっ!」 たちまち悲鳴を上げて、彼女は前方に駆け出す。が、足元の頼りない彼女は、そのままつんのめってしまった。そこを助けたのが薮塚である。 「おおっと!」 彼はとっさに胴に手を回して、タイミングよく彼女を受け止めた。ちょうどその手の下に、ビデオの中の女と同じようなほくろがあったのだが、彼はまだそのことに気づいてはいない。しかし、それを知らずとも結論に大差はなかった。もちろん、彼もまたモニターを食い入るように見つめている。その目に、きっちりと女の顔が焼き付けられている。さっき見つけた全裸の女の、その顔を焼き付けたのと同じように。 「あ……あ……っ!」 倫子はテーブルに寄りかかって、しばし言葉を失っていた。画面の向こうの女は、ペニスを口いっぱいにくわえこんでいる。よく見る女だ。確か、鏡の中で見る。だが、いつも見ているのは、こんな顔ではない。見ず知らずの男のペニスをくわえて、相好を歪めて……。 その頬にも別のペニスがひっついている。さらにこめかみにも。引きの映像が映れば、なんのことはない、彼女の周囲一帯、隙間なくペニス、ペニス、ペニスだ。胸にも腹にも足にも、それらが擦りつけられている。なんという光景だろう。 この女はよく似ているが、知らない人に違いない、倫子はそう思うことにした。しかし、そんな彼女を周りの男達が現実に引き戻す。 「よう撮れてまっしゃろ。スガちゃんがビデオ回しといてくれたんや」 画面を凝視する倫子に向かって、榊原がまるで自分の手柄のように得意げに言った。 「おお、なんやもう見とったんかいな」 横から、渡瀬が口を挟む。 「今始まったとこや。マスターが見たいさかい言うて、線つないでくれて」 榊原が言うと、マスター、ヘヘヘッと下卑た笑みを浮かべた。榊原は話を続ける。 「今さっきまではあの子らがおったやん? ほれ、奥さんとこの――」 それを聞いて、にわかに倫子は耳をそばだてた。それまではぼんやりとして、彼らの会話も右から左に流れていたのである。 「娘さんら。今までここにおったんやで」 榊原は淡々と言い放った。刹那、倫子の背筋が凍りつく。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 (101)05:52~(110)07:07、(111)07:15~(120)08:35 目次へ |