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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

「青き山、揺れる」(38)

「あぁあ、きったねえ。よく顔にザーメンなんかかけられるよね」

精液まみれの顔を撮影しながら、緑川は、あっちへ行けという風に、手をひらひらと振った。

祐子はそれに言い返すことなく、ただぼんやりと虚空を見つめていた、その股間から、ダラダラと愛液を垂れ流しながら。未来を失った彼女を支配していたのは、もはや肉の悦びのみだった。これからは、それをよすがに生きていくしかないのだ。

ところが、彼女がそう思った時だ。思いもかけぬ所から救世主が現れたのである。人生はまだまだ捨てたものではなかった。

「ただいま! あ! 祐子さん来てたんですか」

突然部屋の戸を開けたのは、黄本であった。彼はすぐに、その場のただならぬ空気に気づいた。

「おい、お前ら、どうしたんだ」

それが救いの言葉となった――。


――その後、結局緑川は黄本によってビデオを没収された。祐子としては、事なきを得たわけである。すると、のど元過ぎれば熱さ忘れるで、また性欲に負けて通い出すのが彼女だ。まったくもって懲りない。

ただ、さすがに緑川に対する苦手意識だけは払しょくできなかった。それ以来何度も顔を、のみならず肌をも合わせてきたが、いつも、彼が居ると分かった瞬間から憂鬱であったものである。

それでも、彼女が彼を拒みとおすことはなかった。理由は四つある。

第一に、たとい嫌な相手であっても、男、それも力士であるからには、その体を欲してしまうという、彼女の肉欲のあまりに旺盛であること。第二に、以前の脅迫体験が強烈な印象となって心に刻まれたがために、それがトラウマとなって、彼に逆らいづらくなってしまったことである。

以上は、それぞれ別方面からの理由づけではあれども、以前からの彼女の性質や、常識的な想定からいって、十分に考え得る話ではある。一方、残りの理由は、必ずしもそうとは言い切れない、少なくとも彼女にとっては意外なものであった。

それは、第二に挙げた“トラウマ”とも関連することなのだが、彼に理不尽を強いられていながら、その過程で、彼女が快感を得ているということである。

俗に、Sだ、Mだ、なととは軽々しく言うが、自他ともに豪快な気質と認める祐子にとって、自分がマゾ的性質を持っていると知ることは意外であったし、そもそもそんな状態が本当にあることすら初めて知ったことであった。

だが、現に彼女は虐げられていながら、肉体的にも精神的にも性的満足を覚えていたのである。これが第三の理由である。

そして、最後の理由は、彼、緑川に特有のものである。それは、彼の体、はっきり言うと、彼の男根が抜群に良いことであった。今や祐子は、破廉恥にもそのことを明らかに自覚していた。

もちろん、上述の通り、彼との間の主従関係めいた圧迫が作用している点は否めない。しかし、それだけでは語りおおせないのも事実なのだ。体の相性が良い、などと世間では言うことがあるが、ひょっとしたら、祐子と緑川もそういう間柄なのかもしれなかった。

緑川は、特別テクニックが優れているということもないし、第一愛撫をほぼやらない彼なので、それがあったとしても発揮されることなどない。だから、彼とのセックスで得られる快感は、専ら陰茎による直接の刺激であった。それが、良いというのである。

元来、男根そのもので気持ち良くさせられるのが、男らしく・好ましいことであると思っている祐子であるから、彼のセックスは望ましい形ではある。ただ、緑川の場合それだけではなく、男根自身が彼女にとり好みのタイプなのだ。

彼は、体格は小柄ながら、陰茎のサイズはかなり大きな方であった。太さも、また長さもある。しかし、女にとって、そういう事情はそれほど重要なことではない。では何がポイントかというと、強いて言えば、形ということになるが、結局のところ、それは入れてみないと分からないということで、実際祐子も、そうやって判断し彼に惹かれたのである。

という、以上の理由があって、初めはいつも抵抗を覚えるのに、最終的には必ず彼に従ってしまう祐子なのである。

今しも、彼に携帯電話のカメラを向けられて嫌な顔をしながら、彼女は命令に従って、またもやレンズの前に痴態をさらそうとしているのであった。


<つづく>




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