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R18
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。

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「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。



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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

大輪動会-プログラム#21-

 *

「ただいまあ」

ガヤガヤと騒ぎながら、教室に数人の男達が入ってきた。すなわち、小林、羽根沢、森岳、沼尻の四名である。一旦離脱した者達が、また輪に戻ってきたわけだ。

「ヤッとるか?」

小林が居並ぶ面々を見回して、同行者と笑い合う。彼は羽根沢ら三人と元々顔見知りではなかったが、今日の経験を通して急速に間を詰めたものだ。彼自身、人当たりの柔らかい性格の為もあるが、加えて、この特殊な目的の共有が彼らに一体感をもたらしていたのは確かである。

「や、それがね、ちょっと」

矢板が帰還者らを制止して言う。そこで、小林も気づいた、ヒロインが合体を解き、あまつさえシャツと短パンを着用していることに。矢板はかいつまんで説明した、鎌先の計画を。

「なになに、スカですか?」

「やめてよ、こんなとこでブリブリは」

森岳と羽根沢がぶつくさ言う。沼尻は別な興味を持っているらしかったが、その場の趨勢は前者らに傾いていた。

「だからね、これから移動してもらおうってわけ」

鎌先が皆の意を汲み、なだめに回る。本事案の提案者として責任を持って遂行するつもりである。

 彼が向かおうとしている場所、それはトイレであった。そこへ有紀を連れていこうというのだ。その為にわざわざ服も着させた。道中で誰に出くわすとも限らないからである。その辺り、配慮である。その上、

「学校となれば、シャワーもあるからね」

とも付け加え、計画は万全であると説いた。

「しかし、これほんとに必要かね」

羽根沢はまだ鎌先のやり方に疑問を持っている。そこで鎌先は、

「そりゃそうさ、具合が全然違うよ。それに一回綺麗にしておくと、後々絶対いいよ。かえって楽だよ」

と、力説した。且つはまた、「もう浣腸しちゃったから」という切り札を出し、やむを得ないことだと最後は力ずくでねじ伏せた。

「フーン……」

聞いていた沼尻が、有紀の尻ひだをむんずと掴み、プルプルと揺する。

「これこれ、危ないってば」

見かねた袋田が、思わず後ろから注意した。漏らされるのを恐れたのだ。すると沼尻は笑って、

「もってくれよ、奥さん」

と、有紀の耳の裏に息を吹きかけた。

 有紀は既に気が気でない。もう始まったいたのだ、究極の焦りが。脂汗がにじみ、周囲の声も耳に遠い。

 いよいよ移動という段になって、付き添い兼監視者が選ばれた。すなわち、鎌先と沼尻である。大人数はもとより、年少者も不向きと鎌先が判断しての人選だ。この程度の役は二人で十分だとも。

「大丈夫か」

と、森岳は友人の酔狂を危ぶんだが、自分が行くとは決して言わない。そういう嗜好は全くないのである。この点は、ほかの者も一緒だ。文字通り、臭いものには蓋、という心境で、いかな劣情異常者共も、こればかりは見たくないというのが本音だった。

 こうして鎌先と森岳は、鬼気迫る有紀を介護して部屋を後にした。

 *

 あらかた撤収作業も終わった運動場にて、懸案はいよいよ有紀の荷物であった。手にした役員女性らは、まさか放置も出来ず、持ち主のことも探しあぐねていた。

「どうすんの、これ」

疲れた体には、バッグも重い。まして、重さ以上の重み、いや恨み。

 そんな時、仲間の一人が軽やかな声を上げた。

「あら、先生」

そこには、当校の女性教諭がいた。三人が渡りに船と事情を説明すると、

「まあ……」

と、この生真面目を絵に描いた様な教師は心からの同情を寄せ、すぐに学校で預かることを承諾した。ただ、生憎彼女は段ボール箱の荷物を抱えている。

「職員室まで持っていきますよ」

「ホント? すみません」

結局保護者三名連れだって、有紀のバッグを運ぶことになった。先を行くのは女教師。そのまま校舎の中へと一行は消えた。

 *

「ウ……ちょ……」

ぎこちない動きで、有紀が立ち止まる。さっきからもう何回もだ。

「おいおい、こんなとこで漏らさないでよ」

ニヤニヤしながら沼尻がからかう。しかし、それに感情を波立たせる余裕もなく、有紀はただひたすら神経を集中させて耐えていた。

「ン……」

二、三歩進んでは、また立ち止まる。震える息を吐く。本当なら一刻も早く極楽にたどり着きたいのに、だが駄目なのだ。

「(もう許して)」

そんな風に懇願する段階は、むしろ余裕のある時だと思う。実際、用便には立たせてくれているわけだ、管理下とはいえ。それだけ切羽詰まっているわけだ。ただ、ただ、そこに至る道のりが遠い。遠い!

「ア……」

もう終わりだと何回も諦めかけた。それを寸での所で踏みとどまって、また一歩踏み出す。もはやガスを漏らすのさえ恐ろしい状態。内股となり、足を小刻みに揺らして誤魔化す。肛門が熱い。

「頼むよお、奥さん」

沼尻は益々嬉しそうに、またしても彼女の尻たぶを揉んだ。さすがの鎌先もこれには苦笑して、

「コラコラ」

とたしなめる。相棒の嗜好が分からぬでもないが、今は時間も大切だ。

「ン、グ……」

もの凄い形相で、有紀は歯を食いしばった。腹部の不安は極限にまで達し、もう一刻の猶予もない。腹の中がグルグル鳴って異常を警報している。

 段々と大腿部から臀部にかけて感覚がなくなってくる気がする。考えてみれば、排出口自体がいつもの形と違うわけだ。さては、しっかりと締まっていないのではないか。あんなに太いものでくり貫かれたではないか。まだ開いているのでは? そして、そこからこぼれているのでは? ネガティブな思考は絶えない。

 そんな時だった、角の向こうから女の話し声がしたのは。

 咄嗟の機転で、鎌先が沼尻の腕を掴んで去る。掴まれた方は驚いたが、相手の視線に威圧されて否も応もない。鎌先の動きは素晴らしく速かった。あっという間に物陰に移動した。夕暮れ独特の慣れない目が、彼らをかばったのは幸運だったろう。

 だが、不運の極みは有紀である。ここで、彼女の頑張りは絶えた。

「あっ!」

ほとんど声を揃えて驚いたのは、かの女教師と保護者連中である。尋ね人とばったり出くわしたわけだ。

「ちょっと金光さん――」

早速教師が詰め寄る。その刹那だった。

「え?」

「ああっ!?」

「キャーッ!」

一斉に轟いたのは悲鳴。空っぽの廊下にこだまする。それと相前後して炸裂するは、有紀の足元の……

「イヤッ!」

すばしこく跳ね下がる女性陣の足に黄色く濁った飛沫が襲いかかる。ドドドッという怒涛が高みから放たれ、その場は一種の修羅、あるいは混沌と化した。

「な、な……!?」

瞬間、女性教諭は理解が及ばなかった。しかし、それが追いつくのと、怒りが沸騰するのとはほとんど同時だったろう。

「な、なんなんですか!」

怒鳴るや否や、彼女は理性を失っていた。眼前に出現したもの、それは校舎の廊下にあってはならないはずの沼であった。そしてその中心に、何やら茫洋とした人物が立っている。いや、知るも知らぬもないその女!

「あなた、何を……! いい歳して……ああ、もう……信じられない!」

小刻みに震える全身が、彼女の気の動転を如実に表している。そのヒステリーは、むしろ周囲の付き人を僅かに冷静にした。

「あ、か、片付けましょう……」

一人が言って、周囲を素早く見渡す。すると、掃除用具の入っているらしいロッカーが見つかった。連れの者達も同じ所へ緩々と向かう。しかし、生憎ながらこの不始末を片付けるには、その中の用具では不足であった。

 すると、まるで八つ当たりめいた風で吐き捨てるように女教師が言った。

「わたしがやりますから!」

彼女はすぐに駆けていって、どこからともなくモップとバケツを持ってきた。

 それをただ見ている主婦らではない。ある者は新聞紙を広げて落とし、またある者はそれをかき集め、最終的にゴミ袋にそれを回収していった。おかげで仕事は捗ったというものだが、さりとて好ましい出来事であるはずもない。

「うう……」

各々鼻をひん曲げて悪臭に耐える。実際以上に強烈に思えるものだ。そもそも、何が悲しくて、大の大人のお漏らしを処理しなければならないのだろう。考えるだに情けなくなる。認知症老人の介護ではあるまいし。

 そう思った時、ふと一人が当事者を見上げた。そいつはなんと当初の姿勢を崩すことなく、呆けたようにそのまま立ち尽くしているではないか。

 有紀は、ただ立っていた。自分でも自分が信じられなかった。粗相などという表現は可愛らしすぎる。もはや世界の終わりだと思った。

 今朝食べたのはなんだったろう。そうだ、ヨーグルトとフルーツだ。美容に気を使ったヘルシーメニューだ。昼は抜いた。だから、それ程でもないはずなんだ。そう、だからこの量で済んだ……

 彼女は立ち尽くしたまま硬直していた。どんな気休めも通用しない。その股の間から、何かの滴が落ちて波紋をつくる。そう言えば、胃腸からではなく尻から直接注がれたものもあったはずだ。食べ物以外に、出てくる汁もあるはずだ。それを、目の前の女どもが掃除している。ガラス珠のような目で有紀は前を向いていた。

「いつまでそうしているんです!」

怒号が飛ぶ。木偶の坊に、ヒステリー教師が気づいたのだ。

「ああ、もう!」

苛々としながら、彼女は博愛に動いた。自分が果たさねばならない職責に、そして相矛盾する侮蔑の情に苛々としながら。今為すべきこと、それは、有紀をトイレに行かせ、シャワーをさせ、着替えさせ……

「トイレに行くとか、しさいよ!」

通常であったなら、保護者にこんな口の利き方はせぬであろうが、今は自制できなかった。無論、誰もそれを責める者はない。

 暗がりの中動く人影は、同じ日に運動会があったとは想像もできない程、陰鬱な表情に沈んでいた。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼廊下
有紀、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼教室B
前原
▼教室C
慶介、浩樹、竜二、服部
▼廊下(教室Bの外)
比嘉
▼校舎裏
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

[2017/06/30 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#15-


 *

 母親が人前で失禁していた時、長女清美・次女瑞穂は我が事に没頭して、もはや運動会など一顧だにしていなかったから幸いであった。今までと何ら変わらぬ日常を過ごしていられた。

 災難は、長男佳彦である。彼は、まんじりともせずに見てしまっていた。我が母がグラウンドのど真ん中、高校生らの肩の上で小便を漏らしている場面を。

 咄嗟に父を見る。しかし、父はいまだ酩酊の中、またしてもうつらうつらと船を漕いでいた。ほんの少しほっとし、改めて前を見る。観衆が騒ぐ通り、もはや見紛うはずもない。母は漏らしたのだ。

「(……そんなことって)」

信じられなかった。あの格好つけの、少なくとも息子の目にはいつも隙の無かった母が、こんな大それた粗相をするなんて。

 佳彦は、素早く周囲に気配を走らせた。幸い、自分を見て噂している者はいないらしい。彼がまず気にしたのは、なんと言っても己への中傷である。今や小便を漏らした母の子になってしまったのだから。

 思えば、母は今日一日様子がおかしくはあった。開会当初こそいつも通りだったものの、その後程なくして姿を消すし、そうかと思えばやたらと競技に出るし、果ては、あのムカデ競争で……

「(……お母さん?)」

ついぞ考えたことのなかった程、彼は今母親を意識していた。これまで思慕の情さえなかったのに、突如として違和感を感じ出したのだ。この感情は一体なんなのか。その答えを探し、彼は朱に染まった頬を俯かせながら、微熱を帯びていた。

 そんな時だった。有無を言わせぬ鉄槌が、彼の脳天に振り下ろされたのは。

“ゴクリ”と生唾を飲み込む。迷いに沈んでいた彼の心が、ある方向へ傾き転がり出した。

 *

 その馬は、怒涛の如く突っ込んできた。狙うは敵軍の将、有紀その人。ほかの敵には目もくれず、号砲一下突撃を決め込んできたものだ。

「落ちるなよお」

馬の“ハナ”、土産物屋の店主こと羽根沢が馬上に声を掛ける。彼と組む左後ろには喫茶店の森岳、右後ろには駅員の沼尻、三人は同級生の飲み仲間である。

「大丈夫っす。手はず通り頼んます」

騎手の藪塚は言った。馬達より年下だが、ある種の絆を有する彼らは親しい同志であった。

“手はず”とは、競技の直前にした打ち合わせに基づくもの。事前に、藪塚の勤め先、温泉宿泊施設の上司・袋田から指示を受けてのことである。馬達より筋骨逞しい彼が、あえて羽根沢と位置を交代したのもその為であった。

「上手くやれよ」

「思いっきりやってやろうぜ」

森岳・沼尻も口々に励ます。果たして、この四人のやる気が何に向けられたものか、やはり勝敗以外のものなのである。

 ドドドッと突っ込む。人馬一体の体当たりだ。ちょうど失禁騒ぎのあった直後である。彼らは騒ぎを見ていなかった。ただただ自分達の目標一筋である。その勢いに、審判員の女性もひるんで後ずさる。

「ワアッ!」

ぶつかられ、バランスを崩して竜二が叫ぶ。それ以上に悲鳴を上げたのは有紀だ。彼女は馬上ながらうずくまるようにして身を守った。思いがけぬ速攻に防戦一方である。

 藪塚はそれへ容赦なく攻撃を仕掛けた。本来、相手の帽子を取るか落馬させてしまえば勝ちであるが、彼はそれ以上のことを望んだ。すなわち、有紀の帽子のみならず、体操服にまで手を掛けたのだ。

「それそれ!」

「脱がせ脱がせ!」

羽根沢らが下から囃し立てる。すると、勘の冴えた慶介がすぐに企みに気付いた。慶介らとて否やはない戯れだ。要は、公衆の面前で白昼堂々有紀を裸にしてやろうというのだ。

「やれやれ!」

彼は隣の相棒にも語らって、積極的に協力を始めた。脱がしやすいように有紀の腿を固定し、さらに彼女の体を藪塚とは逆の方向へ引っ張ってみたりもした。

 しかし、元々サイズの小さい体操服を着ていたもの、ただでさえ密着度の高いシャツは脱ぎにくいところ、着衣が脇から上へ容易に上がらない。もちろん、脇を閉めて固まる有紀もいる。

「ちょっ、おい、ヤバいって!」

竜二が緊急事態を訴える。四方八方から伸びた手ともがき回る騎手の所為で、自身に掛かる体重があまりにも負担となった為だ。結果、彼の膝が崩れるのは時間の問題だった。

「あっ!」

その場の皆が叫ぶ中、とうとう有紀号は倒れた。たちまち上がる砂ぼこり。戦場ゆえ、周囲の武者の足元から舞う煙も常にある。その渦中にあって、男達はいつしか敵味方団結して事に当たっていた。藪塚も既に自ら下馬している。あくまでも目的は一つ。

「イヤァーッ!」

当人の悲鳴も虚しく、その被服は無理矢理剥ぎ取られていった。藪塚組が上半身を剥けば、下半身は慶介らの担当。完全に地べたに引きずられながら、有紀は為す術もなくひん剥かれていった。折しも、好天に恵まれた空から、今日最大の陽光が力いっぱい降り注ぐ。それが汗と何かに濡れた白い肌へ反射し、この校内で一人だけの全裸女を際立たせた。

 いや、正確には完全なる裸ではない。ご丁寧に靴まで脱がせてはいるが、他方で残されたものもあった。帽子である。それは、彼女の競技続行を企図したものだった。

「ギャハハ、ヤベえ!」

こらえ切れずに笑う慶介。裸の女一人を取り囲んで見下ろし、男六人の下品な笑いが止まらない。しかも、いたずらはこれにとどまらないのである。

 たちまち場内が悲鳴に包まれた。砂煙と男達の輪が解けると、その中から有紀が素っ裸で高々と掲げられ現れたのである。なんと、彼女は肌も露わに再び騎乗の人にされたのだ。それを担ぐのは、慶介、浩樹、それに竜二に代わって藪塚の混成軍。もう所属など目茶苦茶である。

 当然に近くの審判が警告を発する。何しろ一旦馬から落ちているわ、それ以前に騎乗者が裸だわ、到底競技の続行は不可である。だが、気後れした審判女性がか細い声でいくら注意しても、それに耳を貸す人間は生憎いなかった。仕方なしに助けを呼びに行く彼女。その隙を幸いと、有紀を乗せた馬は、まるで市中引き回しのように馬上を観衆に見せびらかし始めた。

「キャアーッ! キャーッ!」

観客の、殊に女性らは一様に不愉快極まるという表情でそれを非難した。もはや狂気の沙汰と言うほかないと。それらに見えやすいように、グラウンドのトラック外周まで行く人馬。近くを通ると、白日の下にさらされた女体の肌が艶めかしく濡れて光っている所や、荒い息に合わせて腹がうねる所、そして溢れる豊乳がしっかりと衆人に環視出来た。

 それから目を逸らす者も少なからずいた。主として女性である。彼女らは苦々しい顔で、あるいは憤慨して、中にはその場から離れる者もいた。特に子供連れの場合は、先を争って客席から離脱した。これらの動きで一時騒然となり、会場はさながらパニックの様相を呈した。

 会場と同じく、有紀の心中もパニックだ。今まで経験したことのない類の汗が全身から吹き出し、膝が覚えのない震えに苛まれている。ここまで追い詰められると、もはや思考も停止。ただただ固く閉じた腕を交差して、胸を覆い隠すしかできなかった。もっとも、彼女の乳房は豊満過ぎるが故に、その合間からこんもりとした肉をはみ出させてしまう。

 父兄らはそこを見逃さなかった。婦女子らと違って興がる彼らは、あるいは遠慮がちに、あるいはまじまじと女体を目で追った。中には密かにカメラを向ける猛者もいた。そういう者共にとって、標的の腕の位置こそもどかしい。

 すると、客の期待に応えるかのように障害物をどける手が横から伸びた。いつの間にか再建し追随してきた竜二らの馬である。騎手に竜二、馬に年配者三名の編成で挑みかかってきたものだ。彼らにとって、あくまで“競技”は続いている体である。帽子を狙ってたまたま相手の腕を掴んだだけだ。

 プルンッ! と、まるでマンガの擬音が聞こえそうな程に分かりやすく天から地へと弾んで脂肪球は露わになった。屹立した乳首は、まるで巨大プリンの上に盛られたアメリカンチェリーのよう。揺れる土台の上で硬くなっている。よく観察する者は、そこにわずかにミルクのまぶさっているのが見えたはずだ。また、表面に塗り込まれた何かの汁が、乾いてバリバリに張り付いることにも。張り付くといえば、背中や腋腹、それにうなじにも、何かの縮れ毛が付いてなびいている。開会当初あんなに決め込んでいたのに、いつの間にか随分野暮になったものだ。

「やだあっ!」

観客の女性らから口々に不平の声が上がる。顔を手で覆いつつも、その隙間からこの期に及んでなお観察を続ける彼女らは、もはや状況を愉しんでいると言うべきである。他人の不幸は蜜の味というやつだ。

 そういう好事家にとっての関心は有紀その人に向かう。就中批判の矛先もだ。第一に糾弾されるべきは担いでいる男共であるにもかかわらずである。

「あの露出狂、まだやる気?」

そんな風に舌鋒鋭く罵る者もいた。何しろ、有紀にはそもそも薄着で登場したという“前科”があるわけだ。もちろん、

「あいつら、絶対ヤッてるよな」

などと、慶介らを含めて噂する者もいたが。いずれにせよ、自分達に利害のないことだから、いくら言っても心は痛まない。

 ところが、ここに我が事として看過できない面々も居た。清美と瑞穂である。失禁騒ぎの時は気づかずに過ぎた二人だが、今度の騒がしさはさすがに放置できなかった。そうして前に来てみると、自分達の母が裸で担がれていたわけだ。

 とはいえ、二人には咄嗟に意味が分からなかった。裸だという異常さすら、そうと認識できなかったと言ってよい。姉妹はまるで有紀並に思考停止して、ただ漫然と母の乳房が人前で揺れ動くのを見送った。ただ、目撃したことは確かだった。なお、瑞穂は乳を見て口寂しく、チュパチュパと指を吸っていた。

 娘らの存在を忘れて、大人達は身勝手に有紀を嘲る。ちなみに彼女達の面倒を見るべき家政婦もまた野次馬となって雇用主の婦人の痴態を隠し撮りし、後で彼氏に報告するつもりでいる。

「上手くやりやがったなあ、あいつ」

身勝手な大人の一人、この計画の発案者の一人というべき鎌先が袋田に言った。すると、袋田が返事をするより先に、

「いやあ、期待以上でしょう」

と、右隣に立つ矢板が相槌を打った。矢板は袋田の勤務する宿泊所の傍で、「ベル」という喫茶店兼バーを営んでおり、また鎌先はあまり大っぴらには言わないが、ピンクサロン「リング」の店長である。彼らは、先程まで藪塚と組んでいた羽根沢らも含めて、卑猥な結託同盟だ。

「にしても、すごいねえ、あの奥さんのおっぱい」

矢板が目を細めて評した。直接の交流はないが、町議金光の妻であることを彼らは皆知っている。

「藪塚のヤツ、勃起しとるんじゃないか」

袋田が額に手をかざしてつぶやいた。

「ありゃあ勃ってるね。――あ、今乳揉んだ」

鎌先が指摘すると、

「あ、ほんとだ、揉んだ揉んだ。あの野郎どさくさ紛れに」

と他の二人も手を打って笑い合った。この三人、実はムカデ競争の時から密かに有紀に目を付けていた。その様子にただならぬ気配を感じたのは、彼らに特有の経験が培った勘の所為である。

「これ以上暴走しなきゃいいけど」

袋田がそう部下を心配すると、鎌先がニヤニヤして、

「ま、その前に俺達が暴走するかもね」

と、冗談とも本気ともつかぬ態で言えば、

「ちょっと愉しませてもらいたいもんだね」

と、矢板も口を挟んだ。それ以上この場でははっきり言わなかったが、三人の胸には、これからの方針がなんとなく定まっていた。

 さて、上司に心配されていた藪塚は、まさにその見立て通り、猥褻な気分満々であった。股間の隆起は隠すべくもない。

「ああ~、ヤりてえよ」

そう口に出しさえした。そのあまりの率直さに、浩樹が笑う。

「おっさん、心の声漏れてるよ」

「おっさんじゃねえ、オレはまだお兄さんだ」

三十路の藪塚は唇を尖がらせつつ後輩をたしなめると、

「お前ら、もうヤッたのか? なあ、正直に言えよ。ヤッただろ」

などと気さくに問い詰めた。女という共通のおもちゃを得て、一気に距離を縮めた感じだ。それには直接答えないで、慶介が言う。

「そんなにヤりたいんだったらさ、後で一緒にヤる?」

「お? マジか。マワしか~、久しぶりだな」

藪塚は嬉しそうに応じて、以前にも一人の女を大人数で一晩掛かって犯したと打ち明けた。二人は興味を引かれたが、まずはこれからの段取りをつけることが先決と、打ち合わせに興じだした。

 この間、話の中心になるべき主役は一切ないがしろだ。一度も意見を聞かれることなく、交尾相手達の予定を勝手に決められていく。彼女は家畜か、はたまた精液を回収する試験管か。もはや意思能力もないものか。人の親である面影をその身に見出すことは難しかった。

 現に息子の目に映っていたのは、いつもの母親ではない何かだった。それが、朝から休みなく子作りされ続け、父以外のペニスを何本も何本も、時には自分の同級生や息子である自分より年下の子のものまでねじ込まれてきたことを彼は知らない。風にそよぐアンダーヘアーの割れ目から、下腹がよじれる度に白濁液の垂れ出ている様までは見えていない。それでも感じ取る処が確かにあるのだろう。

 彼は今、呆れる位眠りこけている父の下を少し離れた所で、携帯ゲーム機を掲げて立っていた。ゲームをプレイしているのではない。画面に映っているのは、ほかならぬ母の現状である。撮影しているのだ、羞恥する母の裸体を。

 共に風呂に入ったこともない彼は、母親の裸をほとんど初めて見たと言ってよい。母の乳輪の大きさや色、母の性毛の整えられ方、そして母の生尻。その尻の乗っている青年の肩が肉に食い込んでいる。彼はその柔らかさを知らない。と、見ている間に誰かの手が母の豊乳を揉んだ。その瞬間、彼はビクリと痙攣し、腰を引いた。

 息子の見ていたもの、それは母親ではなく一人の女、いやメスだった。精子の匂いをプンプン振り撒く、種付け盛りの犯されたがり。股間の膨張がもう止まらない。


〈つづく〉


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[2017/03/14 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#14-


 *

「なんだか面白そうなことになってるねえ」

ある男がぼそりと呟いた。そして隣の男と目を見合わせる。そこへ、少し離れた所から小男が寄ってきた。集まった三人は、自分達だけに聞こえる声でボソボソとしばし話し合っていたが、やがて小男が、

「おおい、藪塚!」

と、騎馬戦出場準備者の方へ手を振った。呼ばれて来たのは、短髪の筋骨逞しい壮年男である。その彼に、小男は上司めいた態度で偉そうに何やら耳打ちした。藪塚と呼ばれた男は、その命を受け大きく肯き返す。そうして、意気揚々と持ち場に戻った。三人の男達は怪しげに輝かせた目でそれを見送った。

 *

「いくよ、おばさん」

慶介の号令で、左にいる浩樹と二人立ち上がる。しかし、先頭にいる竜二のタイミングが合わずによろめいた為、すぐさま元通りしゃがみ込んだ。

「おいしっかりしろよ」

浩樹が唇を尖らせれば、

「いや、いきなり過ぎだって」

と、竜二が言い返す。男子達はケラケラと笑った。ここだけ取って見れば、高校生三人組の爽やかなスポーツのようである。しかし、彼らの肩に戴くのは露出狂と化した慰み者なわけで。

「(何これ……この状況……)」

当の本人は今なお現状に付いてゆけず呆然としていた。気を失いそうで失わない、狂いそうで狂わない。一体彼女の心身に何者が同調出来るであろうか。わずか半日足らずの間に、休みなく一斉に強制交尾される女の心身だ。同じ境遇にならずば分かるまい。

 肉体的衝動ならとっくに麻痺するべき処だ。同じ快感が与えられ続けることなどあり得ない。ところが、本件の特殊なのは衆人の下へと断続的にさらされる点である。犯されては連れ出され、連れ込まれては犯され、また表に出され、挙句我が子を前に愚弄され辱められさえして……

「ちょっと、ほんとに出るのあの女」

「サイテー、マジサイテー」

「正気じゃないよねえ」

観衆のざわめきが大波となって押し寄せる。

「グッ……ウッ……」

今しも侮蔑の情を一身に浴びせられて、彼女はその身を縮こまらせた。かつてなかったことだ、こんなに身をすくませるなんて。いつも堂々として、厚顔無恥に世にはばかってきた。誰よりも強く、誰よりも偉く、我が身の美貌と若さと権力と財産と……

「(どうしてこんな……!)」

屈辱に次ぐ屈辱、否、全身をすべからく支配するもの、それはもはや恐怖だった。彼女はもう知っているのだ、布地のほとんどない服を着て、へそも尻の割れ目までも見られていることを? いや、そんな表面的なことだけではない。この世に、自分の味方なんて居ないことをだ!

「ヒイィッ!」

突然持ち上げられて、有紀は悲鳴を上げた。

「変な声出すなよ」

後ろから慶介が文句を言った。騎乗する騎手が持ち上げられるのは当然のことで、馬達は“よいしょ”と掛け声さえしていたのだから、責められるべきは身構えていなかった有紀である。

 だが物思いに沈んでいた者には唐突な出来事だった。その上、地に足のつかない態勢程不安なものはない。しかも、我が身を預ける相手が信用ならないとなればなおさらだ。有紀は、反射的に暴れ出した。手足をジタバタと振り回す。

「お、おい暴れんなって」

前を担当する竜二が迷惑がりつつ、なんとか後頭部で騎手の下腹部を押さえつける。その反動で、膣穴に残っていた白濁汁がジワリと漏れ出し、紺の半ズボンをさらに色濃く変えた。そんな股間を肩に乗せ、慶介がまた号令を掛ける。

「おい、いくぞ」

競技開始の合図はもう掛かっていた。馬は走り出す。

「いやっ、いやっ!」

有紀は冠りを振って抵抗するも、もう逃げられない。そのまま運動場の真っただ中へと運ばれた。

「(怖い! 怖い! 怖い!)」

只でさえ人に担がれるのは怖い。それが、朝からひと時も休まることのない不安心理を一気に爆発させたものだ。

「助けて!」

ついに彼女は叫んだ。もはやなんの自衛装甲も持たない、ありのまま生身の人間として。心を占めるのは恐怖、ひたすらそれのみ。

 だが、ここは戦場だ。

「やめて! もうやめて!」

何度も叫んだ。

「許して! 許してぇ!」

何度も何度も。幼い子供のように。ついには、温かいものが頬を伝いだした。それは決して悔し涙ではなかった。

「おい泣くなよ」

隣に来た騎馬武者が声をかけてくる。花村だ。彼が肩に手を置くのは小林。二人してニヤニヤ笑っている。有紀にとっては、自軍にも敵がいるのだ。

 小林の左後ろには服部という、同じ町内の者がいた。花村の言葉を耳にして有紀を見上げている。事情を知らない第三者。だが男なれば、卑猥な視線は禁じ得なかった。なんとなれば今朝から有紀の胸の躍動を凝視し、妻の顰蹙を買っていたものである。

 と、その時、

「ちょっと、あっち!」

服部の右隣りにいる馬役が言った。彼からは左が見えないこともあり、右前方の敵に照準を絞っていた。運動会を心から楽しんでいる善意の人である。

「あいよっ!」

花村は景気よく返事しながら、慶介へ目配せして去った。

「ウッ、ウッ……」

有紀は相変わらず泣いている。嗚咽、過呼吸、本来ならリタイヤを促されてもよいはずだった、が、周囲の同情は皆無。いとも珍しいことだが、へそを見せながら高い所で恐れおののく熟女の姿は、遠目になぜか滑稽だった。観客は残酷なつもりもなく、ただただ肩を揺らしている。

「泣くなよ、おばさん。後でまたチンポやるからさあ」

子供に飴をやるような言い方で、慶介は肩を上げ下げしてあやした。もちろん、優しさなどない。その証拠に、小器用にも彼は、巧みに片手を移動させて、騎手の秘穴へと中指を突き立てた。

「ウグゥェ……!」

有紀は悶絶した。

「オレも、オレも」

浩樹も見習って中指を入れる。すると、さすがに体勢が崩れそうになって竜二が怒鳴った。

「お、おい、何やってんだよ」

「うるせえ、お前しっかり持てよ」

浩樹はゲラゲラ笑って、なお指遊びを止めようとしない。公の場で二人の指を産道へねじ込まれた女は、今やほとんど竜二のみにおぶさるような格好だ。

「ちょ、重いんだよ、ババア」

堪りかねて竜二が叫ぶ。後ろの二人は爆笑だ。面白がって、半ズボンの脇からねじ込んだそれぞれの指を、グチョグチョ、グチョグチョと前後左右にかき回す。

「ヤ、メ、テェー……!」

そう有紀が絶叫するのと、ほとんど同時だった、馬達の肩に水しぶきが舞ったのは。

「オ、オ、オ……」

号泣する有紀。涙と鼻水、そして失禁。

「潮だよな、なあ、これ潮だよな」

思わず動揺した浩樹が慶介に問う。

「いや、これ……違うんじゃね?」

慶介は何とも言えない形に口を歪めて苦笑した。

「何? なんかあったの?」

状況の分からない竜二。

 砂ぼこりの濛々と立ち込める乱戦の中とはいえ、馬の肩が瞬く間にびしょ濡れになるとなれば、あまつさえ彼らの足を伝って滝のように水が流れるとなれば気づく者も出る。

「おいおい、マジかぁ」

高橋、これは端から目で追っていたものだから気づくも何もない。先程の花村、小林も同様だ。問題は、その余の者。

「だ、大丈夫ですか」

審判の一人が寄ってきた。心細そうな表情の女性だ。本音を言うと、面倒なことに巻き込まれるのは嫌だった。しかし、近くにいたのがたまたま自分だったので、行かないのは不自然だと思ったのだ。

「リタイヤします?」

さすがに指入れまでは見ていなかったものの、ただならぬ状況から、これは続行不能だ、そう彼女は判断した。すると、竜二が意外そうに言った。

「え、いやいや全然大丈夫っすよ、な?」

彼は、後ろの仲間に声を掛けたつもりだったが、返事する者はなかった。

 と、その時だった。

「どけどけぃっ!」

敵軍の騎馬武者がもの凄い勢いで突っ込んできたのだ。

 *

「ねえ! ねえねえねえ!」

「な、何?」

夫を応援していた主婦は、隣人に勢いよく肩を叩かれてびっくりした。

「ちょっと、あれ、あれ見て!」

隣人は興奮して指をさす。主婦もその先を見る。

「何?」

目線の先には騎乗の有紀が居た。

「何よ」

主婦は少しぶっきらぼうに言った。有紀の露出度の話ならさっきしたところだ。彼女は、有紀の態度が不愉快だった。あんなふしだらな女、視界に収めるのも真っ平だった。だからあえて視線を外していたのだ。

 隣人は、しかしお構いなしに続ける。

「あれ、ほら」

と、ここで、彼女は声を殺し、口だけで言った。

「お・しっ・こ」

「え?」

怪訝な表情で聞き返す主婦。本当に意味が分からなかった。そこで隣人は、唇を相手の耳に近寄せて囁いた。

「お、お漏らししてるの」

「ええっ!?」

素っ頓狂な声を上げた主婦に、周囲の者達が驚く。彼女は恥らって、声量を落とした。

「な、何言ってるの?」

「だから、あれよ、あれ。見て、ほら」

言われて目を凝らす。次第に目が慣れてくると、確かに、馬役の男子高生の服が二人とも濡れて……

「うっそぉ!」

主婦は口元を手で覆い隣人を見た。

 噂はたちまち広まった。何もその二人だけが気付いたのではない。独自に見つけた人間はほかにいくらでもいたのだ。方々から様々な感想が漏れ聞こえ、ざわざわとし始める。

「あのババア、ションベン漏らしてやんの」

「アハハ、バッカじゃない」

ストレートに笑い合う者。

「信じらんない、嘘でしょ」

そう批難しながら、口元を緩ませる者。

「最低……」

心底軽蔑した目を向け、真剣に怒る者。

「ちょっと、早く退場させなさいよ」

批判の矛先を運営に向ける者。

「あいつらも最悪だな。ていうか、なんであいつらあのおばさん担いでんの」

馬役に注目する者。反応は様々だが、同情する者はない。

 かくしてにわかに大騒動となったその失禁騒ぎだが、それはその直後に起きる事件の前触れに過ぎないのだった。


〈つづく〉


world200*40




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[2017/01/04 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#10-

  *

 ムカデ競争――。

 それは、複数人が縦一列に結合して走り、他の隊列と勝敗を決する競技である。一般に足首を前後の者と結わえる形が多いが、本大会では数年前に怪我人の出たことが問題となり、腰を縛る形式が採用されることになった。つまり、一つの輪っかの中でぎゅうぎゅう詰めになって並ぶわけで、あるいは“電車ごっこ”と形容した方がイメージしやすいかもしれない。

 実際の所名称の変更も検討されたが、当地の風物詩ともいうべき代表的種目であるが故に、愛着を込めて“ムカデ”と相変わらず称している。というのも、これには原則として全員が参加し、出ないのは、乳幼児や足腰の弱った老人ほか体の不自由な者などごくわずかなのである。

「うん、分かった分かった」

係員から縄の先端を渡され、金光は隊列の先頭に収まった。本日唯一の出場競技である。酒臭い息で後ろを振り返れば、そこには清美がいる、佳彦がいる。そして有紀がいる。金光家が一チームに集合だ。

「お前、どこ行ってたんだ」

妻がひょっこり現れた時、金光は問うたものだ。当然であろう。人から行方は訊かれるし、電話を掛けても出ないしで。

「いたわよ、ずっと」

半ば呆れた風を作って、うるさそうに有紀は答えた。

 そう言われてしまうと、つい“そうかもしれん”という気になる酔っぱらい。実際あの後すぐに見つかったのかもしれないし、競技に出ていれば電話も取れないだろう。何より、相手は現に汗だくではないか。余程運動をしていたものとも見える。

 そこで質問を変えた。

「飯は食ったのか」

「ええ」

と、有紀は答えたものの、これには子供達が疑問を呈した。

「エー、お母さんどこで食べたの」

「なんでお弁当食べなかったの?」

 迂闊なことは言えないものである。夫も改めて怪訝な顔になる。もしここで係員からスタンバイを促されなかったら、ちょっと面倒なやり取りになっていただろう。

 話を中断して、前述の通り列を作る一家。その背後から、そっと有紀の耳元へ囁く者があった。

「大好物のフランクフルト沢山食べてたよなあ」

クスクスと笑いながら、男は彼女の後ろにぴったりとくっついた。

  *

「お母さん達、見えないよお」

椅子の上で背伸びしながら唇を尖らせる瑞穂。幼すぎる彼女は家政婦と見学だ。家政婦は相変わらずの無関心ぶりで、スマートホンばかりいじっている。

 観覧者より出場者の方が多いグラウンドはごった返しており、とても目当ての人物を見つけられそうにない。それでもしばらくはキョロキョロしていたが、見えないと知るや早々に諦めて、瑞穂は砂いじりを始めた。それでなくても、この運動会への興味はとっくに失われているのである。

 午後の部開始一番のお遊戯の発表。これが彼女の今日の仕事の九割だった。これ以外に年代別徒競走もあったが、それも午前の早い時間に終わっているし、後はやることがない。自分と関係ないことに対する好奇心など持ち合わせてはいない彼女である。それはたとえ、身内が出る種目だとしてもだ。

 姉の清美が組体操に出た時もそうだった。すごいなどという感動は全くない。

 組体操には、清美のほか、豊、聡、翼も出ていた。そう、彼女ら姉妹の母親とさっきまでくんずほぐれつしていた連中である。それが今度は娘と組み合う。とりわけ同級生の翼は、清美と体を接する位置にいた。もっとも、性的想像力の欠如した彼らには、娘――あまつさえ魅力的な容姿とは到底言い難い彼女と接しようが、日頃と同様特別な感慨はなかった。

 彼らは何食わぬ顔で決められた段取りをこなした。彼らに罪悪感は微塵もなく、その意味で純粋無垢に見える彼らの外観は一面真実であった。彼らはその行いの意味すら、いまだにはっきりとは理解していなかったのだから。

「がんばってね」

近くを通る時に、我が子・豊へ声援を送った母親。無論想像だにしない、このいたいけな男児が、母である自分よりも年上の女と子作りしただなんて。そして、集団レ○プをしてきたその足で、再び運動会に参加しているだなんて。

 彼女が特別ではない。ほかの子の親も、ひいては会場中の大人達だってそうだ。一体誰がそんな突飛な考えをするだろうか。それでも事実として、その小さな短パンの中には既にオスの務めを果たした生殖器が収まっているのである。

「お母さん!」

その生殖器を抱えて、競技後に母の下へと駆け寄る聡。その頭を撫でて活躍を讃える母。親の知らないところで子供は成長すると言うが、彼の場合、既にして彼自身が人の親になり得る肉体を有していた。

 それでも年の割に幼い所のある彼は、母の腿に跨って甘えた。布地越しにではあるが、膣内射精をした陰茎が己の母の体に触れる。

「あら甘えんぼさん。みんな笑ってるわよ」

そう言って彼女がたしなめると、聡は顔を赤くして離れた。と、そこへ豊がやってくる。

「なあ、もっかいヤりにいこうぜ」

彼はそう言って友人を誘った。翼も一緒だ。親達は無邪気な遊びの相談だと思って、なんの気なしに見送った、輪姦に行く我が子達を。

 その横、――母を犯しに行く同級生らの横を清美が通る。相変わらず愛されない彼女は、誰からも声を掛けられることなく、妹の下へ直行した。

「――お父さん出るって、ムカデ。あたしも行ってくる。お母さんも出るかな」

そう話す姉の言葉を聞き、出たいと駄々をこねる次女。しかし彼女は年齢上出場できないのである。

 結局妹を残し、姉はグラウンドに向かった。豊らの親達も出場する。そしてまた、有紀も。

  *

「瑞穂ったらさ、我がまま言って――」

振り返って清美が先程のことを報告する。弁当の件はさておき、久しぶりの母なのである。続けて彼女は、自身の活躍ぶりをかなり誇張して伝えた。それを、間に居る兄が遮る。

「おい、前向けよ。もう始まるんだからさ」

彼が不機嫌なのは、運動よりも、もっと携帯ゲームをしていたかったからだ。

 有紀はそんな我が子達の会話に曖昧な笑みを浮かべていた。その目はどこか虚ろで、かつはまた以前にも増して汗をかいている。

「アッ、ハッ……!」

急に痙攣して、前に居る佳彦に胸を押し付ける。

「押すなよお」

「ごめんごめん」

息子に怒られ、謝る母。だが、彼女の腿はまだ震えていた。閉じようとしても閉じられない。いや、閉じさせない何かがある。

 背後の男の右肩が僅かに上下していた。もしこの場が静寂に包まれていたなら、クチャクチャという音が聞こえただろう。それは、今日だけで二十八発も注がれた精液の音。それが聞こえるのは有紀の股の間からだ。

 最後に注がれたのは竜二のだった。つい今しがたまで彼に抱えられ精液を注入されていた。このグラウンドに出る直前まで。

「オラオラ、駅弁だぜオバサン」

彼はそう言って、宙に持ち上げた女体へと腰を打ちつけた。それが有紀にとっての“弁当”だったわけだ。具といえば“フランクフルト”という名の男根ばかり。家族との時間も惜しんで食し続けてきた。とんだ大飯喰らいではある。

 唇からは、雅也の“ミルク”が零れ落ちた。先程飲まされたものだ。新鮮なそれは粘っこく上下の唇の間で糸を引いた。その白い口から満腹の訴えが漏れる。

「ヒィ……イヤアァ~……!」

もう食べられないというのに、聞き入れられない。竜二は当たり前のようにまたミルクを下の口へ飲ませた。そこの唇もやはり間に糸を引く。有紀は彼の首にしがみついた。不安定な体位の為に仕方なかった。それを捉え違えて彼は、

「オバサン、そんなにしがみつくなよ。危ねえじゃんか」

とニヤニヤ笑いながら苦情を述べれば、横からは、

「中出し大好きなんだよな、奥さん」

「ようやく素直になってきたじゃん」

と花村と慶介が口々に囃し立て、皆で下品に笑い合う。

 竜二は、密着の心地よさをさらに強めるべく、抱え上げたままの有紀の背を壁に押し付け、そのまま最後の一滴まで彼女の肉唇の奥へと送り込んだ。さらに、それが済んで壁伝いにズルズルと落下した彼女の顔がちょうど自分の股間の前に来ると、汁まみれの肉棒をその口へとねじ込んだ。

「やっべ、今日何発でもイけるわ」

彼は恍惚となりながら独り言を言う。その言葉通り、確かに続きでもう一回やりそうな雰囲気だった。

 しかし、それは実現しなかった。急に島田が入ってきたのだ。

「こんな所に居たのか」

その後ろから比嘉も顔を見せる。彼の案内だった。島田は言う。

「もうすぐムカデだぞ」

 全員参加のムカデ競争。当然ここにいる連中もだった。組体操参加者は既に抜けている。残っているのは、それを除く男十人と女一人。そのいずれもがエントリーしている。

「なんだよ、出なくてもいいじゃん」

竜二が不平を言って、島田から叱られる。高橋、花村も、戻らざるを得ない点で一致していた。つまり、男達全員が去ることになる。

 有紀は光明を見出した。しかしそれは、たった一瞬でかき消された。

「金光さん、あんたもだよ」

島田が宣告したのだ。

「ご家族がお待ちですよ」

後から現れた鈴木もうそぶく。

 それからは、先刻の三人四脚と同じだ。有紀はまた白のティーシャツと赤いホットパンツを着させられ、ご丁寧に両脇から護送されて運動場に出た。

「(逃げられない……)」

トラウマ的絶望が彼女を覆う。もう何をしても助からないのだと。

 運動場には既に人が溢れていた。その中を一直線に進んで、自分の組へ向かう。家族の待つ組へ。

「どこ行ってたんだよ」

開口一番、夫も子供らも口々に母をなじった。彼女は、暗澹たる想いで誤魔化す。正直な所、取り繕うのも億劫だった。それでも真相は明かせない。そのジレンマに苛立ちを覚える。

「(人の気も知らないで)」

家族と言えど、他の者と同じだった。ここに居る大多数の連中と同じように、普通に運動会に参加し、半ば気だるく、半ば楽しみもし、今日というありふれた一日を過ごしている。有紀とは明確な温度差があった。かつはまた、彼らは自分のことばかり考えている。

「(わたしが何されてたと思ってんの)」

彼女は静かな怒りに震えた。

「(何されてたか教えてあげましょうか)」

今度は自嘲的に笑う。

「(輪姦よ、輪姦。お母さん輪姦されてたのよ!)」

そう言い切ってしまうと、返って清々しくもあった。もはや恥も外聞もなく全てをさらけ出して助けを求めよう。ここには数多の人間がいるではないか。そう思いつく。

 まずは家族。前方に並ぶ三人。夫は千鳥足、娘は自慢話、息子は不機嫌。母の悲劇に思い至らないのは当然としても、その姿を見ても、彼らは一様に何も感じないらしい。朝と服装が違うことや、そのほか何かと変化が見られるであろうに。

「(助けてよ!)」

 背後を見ると、前原が居た。金光から誘われて、同じ組にねじ込まれたのだ。彼と目が合う。すると彼はちょっと憐れむような表情になって、視線を落とした。有紀はたちまち不愉快になる。この時、恋慕の情は一気に吹き飛んだと言っていい。

 では誰が、一体誰が助けてくれるだろう。大会委員の中には実行犯がいる。教師も共犯。じゃあ女は。同性なら同情も。そう考えた時、かつて耳にした陰口が脳裏をよぎる。

『わざわざ着替えてきたのかしら。どんだけ目立ちたいのよ』

『それにしたって、あの短いズボン何?』

 有紀は今も履いているホットパンツの裾をギュッと引っ張った。信用は遠かった。

「(誰か……)」

頼るべき者などいない、ようやくそのことに気が付き始める。一緒にPTAをやっている保護者。それも望み薄だ。いつも邪険にしてきたし見下してきた。そもそも顔と名前すらほとんど一致しないではないか。もはや四面楚歌の心境である。

 と、そこへ後ろから声を掛けてくる者があった。

「どうした、キョロキョロして」

救世主、……などいるはずがない。振り返るまでもなく敵だと分かる。それは高橋だった。彼は有紀と前原の間に入り込む。そして、

「ここが寂しいか」

と囁くや、ホットパンツの隙間から陰唇の中まで躊躇うことなく中指と薬指を潜り込ませた。有紀の身に屈辱的な不快と、近頃慣れ親しんだ切なさがこみ上げる。

「言ったのかよ、旦那や子供らに。“レ○プされました”って」

高橋は問いかける、が、有紀は無反応だ。構わずに、高橋は続ける、相変わらず膣穴をほじくりながら。

「言ってやれよ、“朝から中出しされ放題です”って。“チンポ大好きお母さんなの”って」

人差し指が加わって、中の指は三本になった。ポタリポタリと粘液が地面に滴り落ちる。

“もう何もかも終わりだ”と有紀は思った。ここで全て白日の下にさらされて、自分から打ち明けなくても悲劇は結末を迎えるのだと。考えてみれば、子供らに自分の境遇を説明できるわけがない。だが遅かれ早かれ、彼らは知ることになるわけだ。彼女はまるで死に際したように、去私の境地を錯覚した。もはやなるようにしかならないのだと。


〈つづく〉


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[2015/11/04 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
ママの枕 ~ステージ10~


「挨拶しっかりね、大きな声で。ハイは?」

控室で、ミナミはいつも通りのお説教である。この所快活さが鈍ってきたコウ、それは気になるが、あくまでもプロに対してのアシストこそ今最も必要なことと考える。その点、彼女は母親というよりもコーチのようだった。

 続いて、昨日の撮影の際のダメだし。演出家に言われたことを指摘し、

「どう言うの、ここで。ここよ、ここ。もっとこうでしょ」

と、もどかしそうに力む。息子はただうなだれて聞くのみ。少し痩せた頬に、さらりと髪の毛が落ちた。

 今日は健康食品のCМ撮影。映画撮影の合間を縫っての仕事だ。忙しい子役は、大人顔負けに労働する。しかも、その合間にはこの説教。だがそうでもしないとすぐにライバルに抜かれてしまう。生き馬の目を抜く芸能界だ。

「あ、先輩!」

部屋を出てスタジオへ移動する途中でミナミ親子は声をかけられた。見れば、最近事務所に入った子の母親である。まだ自分自身が子供のような若い母親。彼女は、その日焼けした黒い肌の中から、学生のような幼い顔でにこやかに笑いかけていた。

「あら、ユイさんも来てたんだ」

“先輩”としての風格を意識しながら、ミナミは出来るだけ明るく応じた。先日の入所以来、彼女はユイから何かと教えを請われ懐かれている。その成果が早くも今日に結実したらしい。

 一足先に打ち合わせをしていたというユイ。その後ろから、ミドルエイジの男性が現れた。今回のスポンサー企業の社長だという。父親の後を継いだ二代目若社長の噂は、事前にミナミも承知していたが、彼がそうだったわけだ。

 挨拶を交わすと、その最中から彼は、妙に馴れ馴れしい手つきでユイの肩を揉みだしだ。その所為で緩んだ胸元から、こんもりとした谷間が覗く。眩しいほどに張りツヤのある肌だ。

「(“打ち合わせ”ね……)」

ミナミは何かを察知しつつ、彼らとスタジオへ向かった。若社長ことニシナも、自身息子と出演するという。

 今回のCМは、“親子の愛”“命の絆”をテーマに、裸の親子らが触れ合う様子を何組も点描するというもの。体に優しい食品だとPRする内容だ。

 既に控室からバスローブ姿になって現場入りしている一行は、監督に呼ばれた順に一組ずつ裸になってスクリーンの前に出る。放映上はもちろん要所まで映らないが、撮影現場では全裸である。

 平生の裏方仕事から表舞台へしゃしゃり出たステージママには、嬉し恥ずかしい緊張感だった。被写体には幅広い年齢層の親子がいるが、メインキャラクターとしてはコウ親子が使われることと決まっている。あくまでコウにスポットが当たるとはいえ、ミナミも少なからず映るだろう。

 ミナミは先程来の鬼コーチぶりとは打って変わって、少女のような期待感に胸高鳴らせていた。かつてはアイドルを夢見ていた彼女。本格的な撮影は、いわばグラビアのそれを想起させたものだ。実際、メイクをしてもらう段階から密かに興奮していた。建前上付添の母を演じてはいるが、本来自己愛の強い人間である。

 そんな身構えをよそに、先に呼ばれたユイがヒラヒラと軽い足取りでカメラの前に立つ。特別緊張もないらしい彼女は、金髪を黒い肩の上で揺らし、三つになったばかりの我が子を胸の前に抱いて堂々としたものだ。

「いいねえ。黒ギャルと赤ちゃんのギャップがいいねえ」

傍にいたニシナがぼそっと言った。確かにスタッフらにも微笑ましく見えているらしく、加えて彼女の開けっ広げな笑い声が若さ故の向こう見ずさとも相まって、現場の空気を和やかにしていた。素直にそれへ馴染めないのは、ミナミただ一人だった。

 続いては、ニシナ親子の番である。ある意味で本日の主役の登場に、クルーも総力を挙げて挑んだようで、現場の盛り上がりと一体感は最高潮に達した。

 その後を受けてのミナミらである。彼女は汗をかいた手でコウの手を引きながら、いかにも堂々とライトの下に進み出た。“人前で裸になることなんかちっとも恥ずかしくない”とでも言いたげに落ち着き払い、まるっきりモデルになったつもりである。どういう段取りで進むかももう分かっている。彼女はにこやかに監督の指示を待った。

 だが、ここで異変が起こった。急にクスクスと笑い声が起き始めたのだ。笑ってはいけないと知りつつも笑ってしまう、そんな態で、ある者は視線を逸らし、またある者は隣と目を見合わせてコソコソとする。

 遂に堪りかねた監督が指を差した。ミナミはハッとしてコウを見る。すると、彼女の慌てぶりが余程可笑しかったのだろう、一部からとうとう爆笑が起こった。ニシナも、またさらにユイまで大笑いしている。

 ミナミは赤面した。コウが勃起していたのである。

「コ、コラ……」

小声でたしなめてみるが、一向治まる気配はない。そもそも本人に悪気があるわけではなく、また彼自身、まだよく意味をわきまえていないのである。

 ミナミはすっかり狼狽してしまって、先程のモデル意識もどこへやら、とりあえずコウを後ろ向かせると、早くも涙目になって頭を下げることしかできなかった。

 撮影は一時中断。だが待てども依然萎えない。さりとて母は叱ることもできず、まさかそのものに触れるわけにもいかず、腹立たしいやら情けないやら。衆人環視の中で息子が勃起を見せ、おまけに親子揃って素っ裸。ミナミは絶望的な羞恥に震えさえした。

 ややあって周囲のざわつきが静まってくると、監督は撮影再開の号令を発した。

「大丈夫ですよ。元々……映らないアングルですから」

慰めるように優しく言って、母子にポーズを指示する。それは向かい合って抱き合う格好だった。コウが振り返ると、そのいまだいきり立っている陰部の登場に再び笑いが漏れたが、今度は監督が出す厳しい空気によってなんとか静められた。

 とはいえ、母の苦悩は終わらない。くっつくと直に当たるのである、我が子の勃起したペニスが。ポーズを変えても同じこと。あるいは腿、あるいは腹に、生々しく硬いものが当たる。

「(どうして治らないの?)」

息子の顔を窺ってみても、悪びれた様子はない。ただただ陰茎が立ってしまっているだけである。下腹部に密着した時など、心なしか大きくなったようにすら感じられた。柔らかな母体を圧して、あろうことか我が子の男根が食い込むのである。

 最もひどかったのは、正座した母の横に息子が立った時だった。母の乳に息子の陰茎が突き刺さったのである。これはミナミのそれが豊満であるが故に、余計にぶち当たったものだ。この時、ニシナの周囲からどっと笑い声が起きた。それというのも彼が、

「おいおい、あれじゃパイズリだよ」

と揶揄したのを、取り巻き連中が笑ったからであった。調子に乗った連中は、

「いいなあコウ君、ママにパイズリしてもらって」

「あのデカ乳じゃ、そりゃ息子も勃起するわ」

「うわあ、オレも挟まれてえ」

などと口々に冗談を重ねた。さらにあることないことが、被写体の耳に飛び込んでくる。

「あのエロガキ、どんだけ勃起すんだよ」

「いつも家でヤッてんじゃないの。“ママ~、おチンチン立っちゃったよ~”」

「“あら大変、ママのおマンコ使ってヌきなさい”って? 近親相姦かよ、ヤベえな」

「あの母ちゃん、どスケベな体してさ、あれで人前出てきてさ。見られて興奮してるよね、絶対」

「これ完全にAVじゃん」

 ミナミは泣きそうになりながら、なんとか踏ん張って無理矢理の笑顔を作った。一番恐ろしいのは、監督とカメラマンら主だったスタッフが時折顔を見合わせていることである。こんなに惨めな思いをしても骨折り損になりかねない、すなわちお蔵入りの可能性さえあるのだ。彼女は必死で優しい母親を演じたが、取り澄ませば澄ます程空回りを感じた。そして、そんな状態で撮影は終わった。コウの勃起は、とうとう最後まで治まらなかった。

 憔悴しきってバスローブに袖を通す。ふと下腹部に触れると、手にヌルりとした感触があった。胸騒ぎを感じてコウを見る。が、彼を確かめるより先に、ニシナに声を掛けられた。

「やあ、お疲れ様」

不甲斐無い働きしかできなかった手前、スポンサーにはまともに会わせる顔がないもの。逃したチャンスは二度と巡ってこないし、一度の失敗が将来を危うくすることだってある。レギュラーがない駆け出しのタレントにとって、一つ一つの現場が命がけだ。ただ誰しも思うのは、出来ることなら望みを繋ぎたい……

 ミナミとニシナはコウから少し遠ざかって話し始めた。ミナミはくねくねと腰を曲げ、時に前屈みになってローブの中をちらつかせ、対するニシナはニヤニヤ笑って、時にボディータッチなどしだす。急に間を詰めだした二人である。やがて母親は、元の場所へツカツカ戻ってくると息子へ短く言った。

「お母さん、これからちょっと社長さんとお仕事の話があるから、控室に戻っていてくれる?」

その後ろからニシナがにこやかに手を振っている。コウはそれに挨拶して母を譲り、自分は一旦控え室へ戻った。

 が、着替えが終わっても中々母が戻ってこないので、そこでじっと待っていられず、退屈しのぎにフラフラと探検を始めた。どこかで母に遭えるのではないかとの期待を込めて。

 その頃、母はもちろんニシナに抱かれていた。彼の部屋へ入るや否や、すぐに尻をまくられて、そのまま生の肉棒を挿された。

「やっぱり濡れてる。見られて、興奮してたんでしょ」

淫肉の熱を愉しみながら、ニシナが囁く。

「ヤ、アァ……違いますったらぁ~……」

淫婦は僅かに尻を移動して受け入れ体勢を調節しながら、床上手よろしく甘ったるく啼いた。その壁に手を突いた腋から、男の手が豊乳をまさぐる。

「このイヤらしい体見てさ、実はオレも勃起してたんだよね。コウ君みたいにさ」

「アア~ン、言わないでぇ~……」

 二人は次第に全裸となり、交尾に勤しんだ。CМコンセプトとは異なる、愛と絆の行為である。

 と、そこへ、彼の会社の部下、エノモトが入ってきた。

「あっ、社長……!」

びっくりして出て行こうとする彼をあえて引き留めるニシナ。見つかってしまったものは仕方がないと、彼を抱き込む作戦に出た。その追認を女に求める。

「なあ、いいだろ、奥さん」

「ああそんなぁ、困りますぅ……」

 愛情のない男女の営みは、あくまでもさばけている。部下のエノモトは頬を引きつらせた。

 コウは、時折元の部屋へ帰ったりしながらも相変わらず母が戻っていないので、とうとう三十分ばかりもブラブラ歩き続けて、遂に件の部屋の前を通りかかった。すると、ちょうど中からエノモトがベルトを締め直しながら出てきたのに出くわした。彼は思わずコウと目が合って、

「あ、さっきのボク……」

と一応声は掛けたものの、つい今しがたまで少年の母としていたことを思うとさすがに後ろめたく、二の句が継げなかった。

「今日はお疲れ様……ええっと、お母さんはね、まだ……」

やっと絞り出してそう言いかけた時、

「おっす、どうも」

と、廊下の向こうから別の男が歩いてきた。介護用品の会社経営者で、ニシナとはサーフィン仲間のイツキ。今日は誘われて道楽方々撮影に参加していたのである。

 彼はやって来るなり子供の目も憚らず快活に猥談を始めた。

「さっきのギャルママ、あれ見たっしょ。アイツさ、自分の子供抱いたまま、“中に出して~”って」

腰を振って見せながら得意げに語る。そうして、ニシナらのいる部屋のドアノブに手をかける。エノモトが慌ててそれを制止すると、

「ニシナに呼ばれて来たんだけど」

と、不思議そうな顔。だが、扉に空いた丸窓から中を覗いて、すぐに事情を合点した。

「あれさっきの勃起母ちゃんじゃん。はいはい、そういうこと。アイツも手が早いけどさ、……ったく、最近の母親ってのは恐ろしいね」

 エノモトは泣きそうな表情で首を振った。そこでやっとイツキもコウに気が付いた。

「あ……さっきの……」

ここで反省するかと思いきや、全くめげないのが彼という男である。

「おい、今日は大活躍だったな、おい!」

ケラケラ笑ってコウの股間をガッとつかむ。コウが逃げるとまたつかむ。コウはびっくりしながらも、この遊びに嫌な気はしなかった。もしイツキの倫理観が鬼畜めいていなかったならば、フレンドリーな楽しい兄貴分で済まされたかもしれない。だが、果たしてそうではなかった。

「まあ、芸能界って色々大変だわな。子役の母ちゃんも大変だ。ひでえ母親だけど、恨むんじゃねえぞ」

そう言うや、急に神妙な顔ですっくと立ち上がると、

「ちゅうことで、もうちょっとだけここで待ってくれな」

と言い残し、呆気にとられるエノモトを尻目にさっとドアを開けた。するとその一瞬空いた隙間から、恥ずかしげに喘ぐ声が漏れ聞こえた。

「……のおチンポも好きですぅ~、でも大人チンポの方がもっと、す、好きでしゅ……」

 バタンと扉が閉まる。また静けさが廊下に戻った。だが、残された二人の耳には今聞いた声がこびりついており、まだ続きが聞こえる気がした。

 コウはおもむろに立ち上がると、扉に向かって背伸びをし始めた。が、彼の背丈では到底窓まで届かなかった。

 それ以上放置すると開けてしまいそうなので、エノモトは幼子の手を取って引いた。それが彼の良心だった。

 しかし、中に入った男らにはそれが欠如していたようだ。エノモトがコウを別の所へ連れて行こうとするのを、コウが拒んだ直後にそれは起こった。

「……て、やめてっ!」

けたたましい声が響くと同時に、バッと扉が開いて、中からニシナが顔を出したのだ。

「お、ほんとだ、マジで来てた」

途端に彼の丸出しの股間がコウの眼前に現れた。コウの視線はそのまま自然と部屋の内部へ向かう。その先には母とイツキがいた。母は裸、そして今さっき中へ入ったばかりのイツキもまた裸になっていた。

 息を飲み、硬直するミナミ、そしてエノモト。対して、極めてラフな調子でイツキが言った。

「おい、勃起君。ほら見ろ」

彼は言うや否や、勃起した陰茎をズンと前へせり出した。

「オレもお前と一緒だ」

彼はそう言ったが、コウの時と違い、先端から玉袋の付け根まで早くもすっかり濡れそぼっていた。そこへ繁茂する縮れ毛と同じようなのが、よく見るとミナミの顎にも貼り付いている。

「どうする、お前も入るか? お前の母ちゃん気持ちいいわ」

まるでゲームにでも誘うように、イツキがコウに言う。この一言を聞いた刹那、我に返ったミナミが震え声で早口に言った。

「違うのよ、コウ。なんでもないの。お母さん、ちょっとお話……お仕事の続きがね……」

ダメで元々と、この期に及んでもまだ誤魔化そうとしている。これを受け、イツキがまた口を挟んだ。

「母ちゃん頑張ってんだよ、お前の為にな。お前を待たせて、チン……」

「閉めて! お願いもう、閉めてっ!」

イツキを遮り、発狂したようにミナミが叫ぶ。良心の人エノモトも血相変えて飛び出した。

「しゃ、社長! これ以上は」

「ああ~……」

ニシナも友人の麻痺感覚な悪ふざけにちょっと頭をかきつつも、彼もまたやはり常軌を逸した様子で、

「君はどうする?」

と、エノモトに誘いをかけた。もう一度輪に入るかというのである。エノモトは無論断ったが前科者には違いない。また、返答までに確かに一呼吸はあった。もしも事前に一度“済ませて”いなかったら、もっと迷っただろう。

「勃起君!」

中からまた、イツキが良く通る声を出す。いつしか暴れるミナミの口を押えていた。彼はその状態のままで空いた方の二の腕の力瘤をグッと誇示すると、

「負けるな! 強く生きろ!」

と、理不尽なメッセージを力強くコウへ贈った。それが終わるのを見届けてから、ニシナがコウを見下ろして言う。

「んと、そういうわけでさ……ママのこともうちょっとだけ……マワすから、貸してな」

 コウは彼に話しかけられながらもその顔をもう見ていなかった。ニシナの背後でイツキが母をテーブルに押し倒し、それへ覆いかぶさるのが見えたからである。抗う彼女の肉ひだから、生臭く白い汁がこぼれ落ちた。それは今コウと手をつないでいるエノモトが、さっき注いだ精液だった。

 二人を残し、扉は閉まった。


〈つづく〉


world200*40




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[2014/12/30 22:00] | 「ママの枕」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#5-

  *

「ほら、お父さん、早く早く!」

娘に急かされて、慌てふためく父。

「おっ、おお!」

 彼はウトウトといつしか眠っていたのだ。今は借り物競争の最中。親を連れてくるようにとの指示で、清美が金光の許へ駆け寄ったのである。もっとも、本当なら母を連れて行きたかった彼女であった。

 その様子を遥かに見下ろしていた鈴木は呆れかえった。島田を探して、とうとう例の教室までたどり着いた彼である。そこで現場を見て驚きかえったのは勿論であるが、どこか的外れな感性もあり、

「金光さんの奥さんには、まだ出てもらわなきゃいけないプログラムがあったんだけどなあ」

と、変な懸念を表明した。役目熱心ではある。

「まあ仕方がないじゃない。お母さんは、こっちが借り物してるんだから」

小林は自分で言って自分で大笑いし、周囲の同意を誘う。アルコールでも入っているような興奮状態である。

 彼のみならず、男共は異様に昂揚した表情をしていた。薄ら闇が覆う休日の教室は、屈折した劣情の不穏な空気に満たされていた。

 鈴木はその空気に僅かに肝を冷やしながら、さっきまで健全に運動会の進行をしていた同僚島田が、リビドー丸出しで女を抱いている姿を非現実的な構図として見ていた。

 それは女の方にも言えた。つい先日のことだ。鈴木が駐車場の交通整理をしていた際、無茶なクレームを譲らず自分の車を禁止区画に止めさせたのが有紀だった。その理不尽な権勢には、ほとほと嫌気がさしたものである。

 あの女とこの女が同じであるとは到底信じられない。いつも人の言うことに耳を貸さない女が無理矢理に体で言うことをきかせられているとは、なんという皮肉であろうか。

「そうだな」

自分の番を終えて、それまでの行為の卑劣さをすっかり忘れたかのように取り澄ました島田が口を開いた。鈴木のつぶやきを受けてである。

「運動会には参加してもらわないと」

  *

「あっ、金光君のお母さん……」

教え子の母親と鉢合わせて、比嘉は挨拶した。が、“探してたんですよ”という二の句は思わず飲み込んだ。彼女の姿に、ただならぬ卑猥さを見たからである。

 有紀は白いティーシャツと赤いホットパンツに身を包んでおり、朝のジャージ姿ではなかった。さらにそのシャツにピチピチの胸部が突っ張って輪郭も露わになっている。その上どうだ、先端は濡れて被服の下の赤茶色を透けさせているではないか。言うまでもなく、下着はつけられていない。

「が、頑張って下さい」

彼はそう言うのがやっとだった。有紀はどこか虚ろな目で会釈すると、いつになく黙りこくって去って行った。思わず後ろ姿を目で追えば、ホットパンツの裾から垂れた尻肉が見え隠れしていた。

 彼女の両脇には父兄の男が付き添っている。花村と小林。これから三人四脚に揃って出場するのである。三人は素知らぬ体で列に紛れた。彼女の帰還に気付いたのは、比嘉のほか周囲の数人程度である。

 出場は、もちろん有紀の望んだことではない。弱々しくはあったが、レイプの時と同様に断固拒絶した。だが、事の露見を防ぐ最良の手段と脅され、それに他の男達も納得して、狂気の圧力の中、一行はグラウンドへと降りてきたのだった。

 提案者の島田を始め、姦通者達も彼女を取り巻き見守っている。とはいえ、逃げ出すなら今しかなかった。なりふり構わずに、今度こそ助けを求めればいい。

 そう思い迷う有紀の耳に、後方からヒソヒソと話す声が聞こえてきた。

「ねえ、あれ、金光さんの奥さんじゃない?」

「ほんとだ。今までどこ行ってたのかしら」

それは、有紀を知るらしい女同士の会話だった。この好機を逃さぬ手はない。有紀は両隣の男を振り払うべく、腹に力を込めた。が、彼女らの話題が、すんでのところで行動を思いとどまらせた。

「やだ、何あの格好」

一人が指摘すると、もう一人も同調した。

「わざわざ着替えてきたのかしら。どんだけ目立ちたいのよ」

「それにしたって、あの短いズボン何?」

二人は有紀の後ろ姿を見て、ホットパンツの丈を批判した。それは、高橋がどこかから調達してきたものだった。有紀は訳も分からぬままに、素肌にこれを身に着けていたのだ。すなわち下着も履かずに。

「ちょっと場違いよねえ」

「ほんとほんと、こんなとこで男受け狙ってさ」

「いい歳してやぁねえ」

「子供に恥ずかしくないのかしら」

女達は好き勝手に陰口を叩いて、クスクスと笑った。これを聞き、ハッとしたのは有紀である。遅まきながら、今やっと自分の衣装が異様なことに気が付いたのだ。閉鎖空間から公の場へ、その環境の変化にのみ囚われていた彼女は、自身の格好の与える印象にまでつい思い至らなかったのである。

 こうして時機を逸した彼女、すぐに発走の番となった。

「位置について――ヨーイ……」

足を縛られ、がっしりと肩を抱かれ、その為に余計に乳房がせり出して、その先から母乳がにじみ出て……

「ドン!」

三人は駆け出した。徒競走とは違う躍動が、不規則に乳肉を暴れ回らせる。その暴威に釘づけとなり、鼻の下を伸ばした男性観覧者が少なからずいた。

 その内の一人、自分の夫にいち早く気付いたある妻が、眉根を寄せてたしなめる。

「あんた、どこ見てんのよ」

 夫はドキリとしながら誤魔化す。彼は、有紀と同じ町内の服部だった。その誼で彼女らを見ていてもおかしくはないのであるが、後ろめたさは否めない。しかし懲りずに、

「でも……でっけえよな」

と、冗談めかして言って、妻から肩をはたかれた。もっとも、彼女にもすぐにその意が通じる位、有紀の乳房は存在感があったのである。さすがに客席からの一瞬では、彼女の透けた乳輪までは確認できなかったが。

 有紀は、暖かい日差しと群衆の喚声を浴びて、クラクラと目まいを感じた。もはや自分の足で立っているという自覚がない。頭の中では、さっき聞こえた、

『子供に恥ずかしくないのか』

という文句が渦巻いていた。この一言が一番こたえた。子供と夫は彼女のステータスであり、その意味で現実感があった。

 彼女は内腿をすり合わせ、にわかに恥じらいだした。胸も尻も衆目にさらし、嗤われている気持ちになる。過剰な自意識は抑制のしようがなく、とにかく体中に視線が突き刺さるようで、カーッと全身が熱くなる。

 そんな有り様だから、ゴールと同時に物陰へ連れ込まれたのは、返って好都合だった。そして彼女はそこで、今しがたの伴走者らにそのままの勢いで犯された。


〈つづく〉


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[2014/11/02 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ママの枕 ~ステージ2~


 たっぷりとあんこの詰まった二つの大福。その白き柔肌を破って中の苺が顔を出す。蜜に濡れ、あるいは練乳をまぶした真っ赤な三角錐。ミナミはまんじゅうを揉み割ると、出てきたそれを口に含んだ。

「(男ってバカよね)」

 心ではそんなことを思う。いわゆるパイズリは、胸の大きな彼女にとって初めての技ではなかった。といっても、以前やったのは大学時代だから、軽く十年以上前のことになる。夫はこれを所望しない。

「そうそう、もっと強く挟んでごらん」

 奉仕者の髪を撫でながら、ワダがにやけた口元で言った。今はソファーに座るワダの腿の上に、ちょうど双丘を乗せる格好だ。

 両の乳房の間で陰茎を挟む、そんな発想、男に言われるまでミナミは想像だにしなかった。これほどバカバカしく幼稚な行為があるだろうか、初めはそんな風に呆れもした。けがらわしいとまでは感じない。が、恥ずかしくはある。胸でペニスをしごいている姿を、冷ややかに見つめる自分がいるのだ。それは、行為に慣れた今でも変わらない。

「やぁんっ!」

 勢いついた肉棒が鼻にぶち当たって、ミナミは嬌声を上げた。内心のわだかまりはおくびにも見せない。ただ、何気ない風でそのまま口淫奉仕に切り替えていく。

 しかし、ワダは惑わされない。すぐにまた挟搾奉仕を求めた。ミナミは従順に乳房を持ち上げ、また挟む。

 ワダはとにかくこの性戯を気に入っていた。実の所、ミナミの技術もほとんど彼によって新たに仕込まれ、向上したといってよい。その指導は、初めて枕を交わした日から始まった。

 ――その日、初めての逢瀬にミナミは些か気負い込んでいた。

 ここに至るそもそものきっかけは、同じ事務所に所属する子役の母親、カズエに示唆されたことによる。カズエの娘、エリカは既に数々のテレビドラマに出演の実績があった。その母親の言うことであるから、同様の立場にあるミナミには大いに参考となりうる。その彼女曰く、

「金もコネもない素人にとって、母親の営業こそ重要」

ということであった。実際、カズエはかなり顔が広く、いつ見かけても必ず誰かと一緒にいたし、そしてまたその誰ともツーカーの仲であった。そんな時傍から見ていると、どことなく女性として輝いて映ったものである。

 いわゆる枕営業の話は都市伝説よりもまことしやかに聞いていた。そんなものは存在しないという人もある。だが、男性社会を渡り歩くにおいて、少なくとも女としての媚態が物を言う場面は確かにあり、事実カズエはその辺り自然にやってのけていた。男の前では一オクターブも高いのではと思われる声で大げさに笑いながら、やたらベタベタと相手の体にタッチする。メイクは派手。スカート丈は短い。そんな派手ななりを見るにつけ、邪推を抑える方が難しいのである。

「またダメでしたね」

 オーディションからの帰り道、コウと同い年の息子を持つシズカに声を掛けられた時、ミナミはイラついた。シズカの子供トモは親同様に大人しく、およそセンスがあるとも思えない。コウの方がずっと溌剌として華があると思う。それでも、"金"も"コネ"もない二人は結局世間からすればドングリの背比べ。このままでは所詮十把一絡げで日の目を見ることなく埋もれてしまうであろう。

 そう考えると、ミナミはつくづくやり切れなくなった。シズカのようにただ手をこまねいて終わるのは嫌だ。こと自分の愛息に関して出来る限りのことはしてやりたい。

 彼女は決意した。確かに、自分はカズエより五つも年上、シズカと比べても四つ上と若さでは劣る。だが妙に自信はあった。元来容姿は悪くないと思っているし、何より今は前のめりの意気がある。少々の無理なら聞く覚悟だった。

 ターゲットはまず事務所社長のワダである。コウの入ったこの事務所は業界トップとまではいかないもののそれなりの規模であったし、何より歴史が古かった。また代表であるワダは多方面に人脈を持ち、彼個人の顔で会社が存在感を放っている部分も大きかった。売れるにはまず、彼と事務所の推しが肝心だと考えたのである。

 とはいえ、彼の方から、

「息子さんをスターにしたいなら抱かせろ」

などと迫ってくるような、昼ドラじみた展開があるわけではない。むしろ、日頃から多くの母親らと接している彼にとって、どの女も大差なく見え、また逆に言い寄られることも多く、性に不足はないのである。

 だから、そんな彼と枕を交わせたことは、ちょっとした奇跡に近かった。ある飲みの席の帰り、そのままホテルになだれ込んだのである。ちょうどタイミングが合ったのだ。それはほとんど出会いがしら、行きずりの関係であった。

 もちろん以前から、折に触れて相談を持ち掛けたり、それとなくしなを作ったりはしてアピールしてきた。しかし、正直な所、ワダにとってミナミをミナミとして、つまり他の母親と区別して認識するには至っていなかったのである。だから、その夜彼女を連れ込んだのは、その時の勢いで、数ある女の中からたまたま手近にいたのを選んだに過ぎなかったのである。

 いずれにせよ、ミナミにはチャンスに違いなかった。彼女は燃えた。めくるめく官能の技で、男を虜にする覚悟だった。無論、彼女とて夫を持つ身である。しかし、ここに至りなば、"不倫"など所詮低次元の話で、"息子の為"という大義名分こそ絶対なのだ。

 娼婦として足を踏み出した初めての夜、初戦を制した喜びに酔った彼女は、ワダの生殖器が体内に入ってきた瞬間、久しぶりのエクスタシーを覚えた程だった。また、彼の勃起は凄まじく、一回り以上も年上の中年男性には思えない手強さで、か弱き女体を圧倒したものだ。後に肌を合わせることとなるカトウといい、このワダといい、やり手の男はことベッドにおいても強い。まるでAV男優並の安定感あるセックスは、さすがの百戦錬磨。経験不足の一主婦は、ただ為す術もなく弄ばれるばかりだった。

 それでも一矢報いたとすれば、パイズリであろう。それはシックスナインの時だ。仰向けの相手の顔面を跨ぎながら、垂らした乳房の間に屹立した肉棒を入れたのである。

「おおっ!」

 ワダは、クリトリスから口を離して喜んだ。まんまとミナミの図に当たった。それからは、彼によるレッスンである。曰く、

「乳の肉だけでペニスをホールドすることこそ本来」

とのこと。ミナミは何度もダメだしを喰らいながら特訓させられた。以来、彼の方から呼び出される関係に昇格したのである。そうして、一時間以上も乳肉をこねくっては陰茎をしごくのが常であった。事後、筋肉痛を覚える程である。

 今日も今日とて、社長室での破廉恥遊戯。昼日なかから呼び出された保護者がせっせと励むパイズリ接待である。デスクの後ろの窓から射し込む日差しが、素っ裸の女体をキラキラと照らす。注意して見れば、向かいのビルからも行為の一部始終をすっかり見ることができるだろう。いや、それ以前に、この部屋に誰かが入ってくる可能性の方が高い。現に事務所内には、大勢の人間が働いているのだ。

 もし誰かがやってきた場合、ノックがあってからすぐに服を着るのにどれ位の時間が要るだろうか。ワダはいい、彼は股間しか露出していないから。だがミナミは一糸もまとわぬ姿だ。このまま対面できるわけがない。それはワダにとってもまずいことだろう。当然彼は相手を外で待たせるだろうが、その待ち時間が不自然に長くなってしまうのは仕方がないとしても、その辺りは上手く繕ってくれるのを期待するしかない。あるいは、執務机の後ろに服を持って隠れるか……

 と、ミナミが想定していた時だった。なんといきなりドアが開いて、マネージャーのヒサキが入ってきたのである。

「失礼しました」

出直そうとする彼女。それを押しとどめたのはワダである。恥部を見られても何食わぬ風だ。対するヒサキもヒサキ。いつも通りの無表情である。まるで日常の光景とでも言うように。

 ミナミは愕然として固まった。尋常でいられないのは彼女一人。自分ですら恥と感じている秘め事をあられもなく見られた。あまりのショックに、服を取り寄せることすら忘れていた。そんな彼女にワダは、

「おい、手が止まっているぞ」

と、痴戯を続けるようにと指図する。ヒサキは黙って見下ろしている。決断の時だった。

「(そ、そうよ、体を売って仕事を取っているのよ)」

ミナミは奥歯を噛んだ。もはや引き返す道はないのだ。ここは、いかにもさばけた女を装い、開き直って行為を続けるしかない。そうだ、あのベテランママ・カズエのように。彼女ならきっと、ここで止めたりはしない。それに、見られたといってもマネージャー一人ではないか。どうせ彼女には薄々気づかれいただろうし……

 彼女は再び乳房をすり合わせ始めた。ヒサキはそれへ一切頓着する様子もなく、淡々と報告を始める。その冷静さはまるで全てを見透かしているようで、ミナミの劣等感に拍車をかけた。“いい歳こいた女が、乳の間にペニスを挟んで媚びている”なんて、どう突っ張ったって無様である、と。

「(いいえ、これは仕事……仕事なの! ……コウ)」

彼女は強く心に念じた。“仕事”“営業”それこそヒサキと同じように、いや、今この事務所、向かいのビル、この街で働く全ての大人達と同じく、自分は頑張っているのだ、愛する我が子の為に! ミナミは一層力を込めて男根をしごいた。

 すると、それが結果を呼び込んだ。ワダが射精したのである。その飛びはいつにも増して勢いがあり、ミナミの顔面の中央へしたたかにぶっかかった。真っ赤な顔から滴る白い粘液。

「(終わった……)」

ほっとして顔を拭おうとティッシュペーパーを探すミナミ。だがワダが、それを許さなかった。そればかりか、

「入れてやる」

と言い様、彼女に挿入合体のスタンバイを命じた。

「(嘘でしょ)」

ミナミはワダの目を見た。彼は当たり前のように真顔で立ち上がっている。今度はヒサキをちらりと窺い見た。彼女は相変わらず無表情で、手元の報告書に目を落としている。ミナミに逃げ場はなかった。そっと執務机の端に手を置き、尻を後ろに突き出す。

「(わたしはこういう女……これが正しいこと……こんなこと位で……)」

めげそうな気持ちを必死に奮い立たせる。全身が熱い。しかし、のど元過ぎればなんとやら。ここさえしのげれば……

 が、彼は全然入ってこなかった。ちらりと振り返れば、ヒサキに渡された報告書らしきものを、相変わらずペニスをおっ立てたままで見つめている。その時の二人の表情たるや、完全にミナミの存在など無視した、ビジネスライクなものだった。

「うう……」

 惨めな思いでミナミは火照った顔を伏せた。五分、十分、いや実感としてはそれ以上の永遠とも思える無情な時間が経過した。

「(早くしてよ……)」

その陰唇から涙よろしく淫汁が漏れる。こんな場合でも、あるいはこんな場面だからか、いつにも増してポツリポツリと湧き出してくる。それが足の間の床を濡らしていく。考える時間を与えられることは拷問だ。

「しゃ、社長……早くぅ……」

ついに我慢できずに申し出てみた。ところがどうだろう。なんとワダは完全に無視である。聞こえなかったはずはないのに、なんの反応も示さない。致命的な赤っ恥である。ミナミは耳まで赤くなってうなだれた。薄っすらと涙がにじんでくる。

 だが、声を出したことで却って気持ちが吹っ切れた。こうなったらとことんバカを演じてやろうと、ワダの足元にすり寄って肉棒をしゃぶりだす。すると今度は彼の手がそれを遮った。

「それはいいから、向こうで待っていなさい」

掌底で額を押し返され、思わず尻もちをつく。恥の上塗りだった。彼女はすごすごと元の姿勢に返った。間違いなく、今まで生きてきた中で一番の屈辱だった。それでも元に戻ったのは、もはやプライドの為であった。

 ミナミは艶めかしく尻を振りつつ、自らの指で陰門をいじくりだした。

「ねぇ~ん、早く入れて下さいましぃ~……」

誤解のしないでもらいたいが、彼女はただの主婦である。プロのセクシー女優でも風俗嬢でもない。枕営業を始めたとはいえ、決して男性経験は多くない。ただちょっと、息子を有名人にしたいだけである。そんな女の一世一代の痴女芝居だ。

 それでも、願いは聞き届けられなかった。それどころか“静かにしろ”と怒られ、なおも放置された。結局そのまま、ヒサキが退室するまで、この愚かな母親は交尾待ちをさせられるのだった。

 部屋を出るとヒサキに出くわした。ミナミは努めて事務的に挨拶して過ぎるつもりだったが、相手の方が足を止めさせた。

「お疲れ様でした」

 嫌味じみたセリフを、何の抑揚もなく言うヒサキ。ミナミがそれに上手く切り返せないでいると、彼女は一方的に話を続けた。

「あなたは泣いたりなさらないんですね」

聞けば、以前ワダの部屋から泣いて出てきた女があったと言う。それなんシズカであった。


〈つづく〉


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[2014/05/13 22:00] | 「ママの枕」 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
湯けむ輪(111) 07:15

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前七時十五分


少女は駆けてきたままの勢いで、ドボンと湯の中に飛び込んだ。

「コラ!」

母親が叱りつける。

今までどこにいたものか、倫子が失念するのも無理からぬことではあった。すると、その理由が新たな脅威となって間もなく明らかとなる。

「走ったらダメだろ」

そう優しく諭しつつ後ろからやってくるのは、これなん少女の父、亀山であったのだ。娘は一時彼の元にいたものと見える。

亀山はこちらに来る途中で、すぐに倫子に気が付いた。本来、だからどうということはない。倫子一人を特別視する理由はない。が、少なくとも今の倫子には、理由があるものと確信する訳があるのだ……。

「あらやだ、混浴じゃない。恥ずかしいわ」

妙にテンション高く鶴巻の妻が言って、周囲から笑いを誘う。亀山も調子よくそれに乗っかって、彼は上手く輪に溶け込んだ。元々仲の良い一行なのである。

ただ、親しき仲にも礼儀は必要なわけで――

「あれ? そういえば倫子さん、タオルは?」

と、新木の妻が指摘すれば、たちまちその異常さが際立ってしまった。

「そうなの。お母さん、タオル忘れたとかって――」

娘も、信じられない、といった調子で同意を誘う。これに困らされたのは亀山だ。

「見ちゃダメよ」

そう言って、亀山の妻が彼の二の腕をつねる。他方、鶴巻の妻は、

「あら、いいのよ、ねえ? 倫子さん。なんだったら、わたしのも見る? こんなおばさんの体でよかったら」

と、おどけて見せた。この中で最年長の彼女。さすがに堂々とした切り盛りである。それとほぼ同い年の倫子、普段なら一緒になって亀山をからかうのだが、今日ばかりは軽く二の句を継ぐことができなかった。

亀山は視線を逸らしている。だが、隙をついて盗み見てやろうという気が、倫子の方にはひしひしと感じられた。見えていない湯の中、その下のタオルの、さらにその中まで彼女には易々と透視できるようだった。そこにわだかまっている肉棒の型を、彼女の肉壺は覚えこまされているのだ。

ああ、どうしてよりにもよって亀山が現れ、そして自分は裸なのだろうかと、倫子は大いに嘆いた。昨日の一件で、期せずして彼の本心を知ってしまった彼女だ。実のところ、昨晩のホステスが倫子だとは思ってもいない今朝の亀山であるが、その故に倫子の全裸姿は僥倖にほかならないのである。

「見てこの胸!」

興に乗った鶴巻の妻はまだ面白がって騒ぎ立てる。今日はいつもと違って倫子が乗ってこないので、ここぞとばかりに彼女をからかいだしたものだ。果ては、倫子の乳房の豊かさを、自らそれを持ち上げることで強調してみせる。

「や、やめてよぉ……!」

倫子は腕で胸を覆い隠して抵抗したが、雰囲気が壊れるのを恐れてあまり強くは拒めなかった。

その状況を前に、新木の妻が素朴につぶやく。

「ね、わたし前から思ってたの、ほんとおっきいなって。――わあ、すごぉい!」

口元を手で覆いながら、彼女は本当に感心しているようだった。

亀山はさすがに正視はできないものの、チラチラと窺いはしていた。彼にしてみれば憧れのオナペットの本物の乳房なわけだ。こんなチャンスは二度とないのである。

これに対し、もう何度も見て、しかもその都度揉みしだいてきた牛滝と湊山、さらにいつの間にか加わった宇川は、離れた所から堂々と見ていた。その視線に気づいた娘、

「もう、お母さんってば恥ずかしいから――」

と、半ば怒り気味に母及び大人達をたしなめる。亀山の妻もいい顔をしていなかった。その幼い娘は訳も分からずにゲラゲラ笑っている。

もし昨夜の出来事がなかったらどうだろうか。今の状況は常軌を逸しているだろうか。深い意味もなく、単なる戯れで済んだのではあるまいか。

だが事実は厳然として事実だ。これ以上けだもの達と同じ空間に純真な彼女らをとどまらせるわけにはいかない。亀山だって、時と場合によってはけだもの同然なのだ。しかし、そう考えてみて、倫子はたじろいだ。

(ああ、本当に……ごめんなさい……)

あっけらかんと笑っている少女、その父親と自分は過ちを犯してしまったことが強迫観念としてフラッシュバックする。その上、彼が邪まな思いを抱く男だと知ってしまったこと、それすらもなんだか申し訳ないように彼女は思った。

「肇も来ればいいのに」

親子が揃った様子を見て、新木の妻がつぶやく。

(ああっ、ごめんなさい……)

肇の名が、また倫子に切迫した悔恨を追加する。

「男の子は恥ずかしいのよ」

誰かがそう言う声も耳に入らなくなってくる。自然、会話からも遠ざかっていく。

肇は確かに一緒に風呂に入るのは恥ずかしいかもしれない。だが、昨日に限って言えば、倫子とは共に入ったのだ。そして――

(ごめんなさい……)

彼とだけではない。ここにいる奥さん連中の全ての伴侶と肉体関係を――

(ごめんなさい!)

皆が談笑するこの浴場内で、何度も何度も見知らぬ男達と一晩中――

「ごめんなさい!」

とうとう倫子は声に出して言った。驚いて振り向く人達。はっとした倫子は、すぐに体裁を取り繕った。

「……あ、わたし、もう上がるわ」

「あ、え? もう上がっちゃうの?」

引き留めたそうに娘が言う。それに、

「さ、先に入ってたから……」

と返し、倫子は有無を言わせず立ち上がった。無論、その姿をここぞとばかりに網膜に焼き付ける亀山。湯を滴らせて揺れる裸体をだ。倫子はしかしそれにもう構うこともなく、淵に向かった。

その後ろで声がする。

「のぼせちゃったのかしら」

「お母さん、ほんと何時から入ってたんだろ。ほとんど寝てないのかも」

「でもでも、なんだか確かにきれいになったんじゃない?」

「うん、やっぱり効果あるんですね、この温泉」

相変わらず話に花を咲かせる一行。倫子が脱衣所の戸にたどり着く頃には、すっかり別の話題に移っていた。だから、扉の内に消えた彼女が、横から出た太い腕に引っ張られた様子なんて、誰も気が付かなかった。


<つづく>




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[2013/04/08 07:15] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
湯けむ輪(110) 07:07

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前七時七分


いたたまれなかった。ここでは生きた心地もしない。とにかく早くこの場を逃れたいと、倫子は離脱を表明したのだった。

が、強気でいられたのも立ち上がった所までだ。途端に襲いくるのは立ちくらみ、そして膝の震え。彼女はつんのめった。

「あっ! お母さん」

とっさに娘が支えに入る。

「ンアッ!」

倫子は飛び跳ねんばかりに驚いた。口から飛び出たのは熱い吐息と喘ぎ声。少女の柔らかく温かい手が触れたのは、腹部そして乳房。その肉感的接触に長らく肉体活動を続けてきた女体は思わず……

(違うの!)

彼女は恐怖にかられてかぶりを振った。さんざっぱら輪姦され尽くした女だ。もはや我が子のボディータッチですら感じてしまう、そういうことだってあるかもしれない。脳裏に閃いたそんな考えを、母は必死に打ち消したものだ。

「大丈夫?」

当然の心配を我が子はしてくる。母はそれに応える余裕もなく、もはや焦燥を露わにしてもつれる足を無理やりに進ませた。心に去来するのは感謝ではなく、むしろ真逆の言葉である。

(触らないで!)

汚れきった体だ。清き乙女の触れるべきものではない。まして、母がそんな状態にあることを知らしめたくない。彼女は深く恥じ、かつ娘を憐れに思った。

だが、思うままにならない体である。結局娘の介助にすがるほかなかった。たとえ男達の慰み者となった惨めな体であってもだ。そうしないと、後ろからまた厄介な奴が追いすがってくる。

「ハハ、のぼせたんとちゃうか。おっちゃんも助けたろか」

その声につかまらぬように、倫子は必死で表に逃れた。よれよれの足を引きずるようにしながら。

その足が向かうのは無論脱衣所である。娘の足も自動的にそちらに向く。献身的な少女の細い腕が熟女の豊満な胴に絡む。熟女の濡れた体には様々な汁がこびりついている、何人もの男の……

「あ、やっぱり――」

急遽倫子は意を翻した。

「も、もう一回お湯につかっていこうかしら……」

それは淑女のプライドだった。あるいは、ほんの束の間魔手から逃れた安堵感の故だったのかもしれない。

二人は浴槽に向かう。倫子は周囲を見ていなかった。また見られなかった。この場合自意識過剰とばかりも言えないだろう。

だが、彼女としては見ておくべきだったかもしれない。

「あら――」

聞き知った女性の声が響いた。そこにいたのは鶴巻の妻だった。そればかりではない。新木の妻や亀山の妻もいる。皆先に湯船につかってくつろいでいた。

"しまった"とは思ったが、今更引き返すわけにもいかない。倫子は仕方なしに彼女らの傍に入った。

「どこに行ってたのよ、もお」

鶴巻の妻が唇を尖らせる。話題はすぐに核心に移った。

「ていうか、お母さん、部屋に戻ってきた?」

娘が畳み掛ける。母は根拠も自信もなく反射的に答えた。

「か、帰ったわよ。気が付かなかった?」

逆に高圧的にやり返す。すると、思いがけぬ助け舟が現れた。

「うん、そういえば……すっごく遅い時間じゃなかったですか?」

亀山の妻だ。"そんな気がする"と彼女。単なる勘違いに過ぎないのだが、これが思いがけず役に立った。

「ほんとぉ?」

さすがに娘は食い下がる。が、信じていないわけでもないのだ。そもそも帰ってこないと思うなら探しに行くのが普通だったろう。

そんな彼女を新木の妻がたしなめる。

「昨日はよく寝てたじゃない」

しかし、既に夕宴の時点で酔って寝込んでしまった彼女の言葉だったから、一同は"あんたが言うな"と指摘して笑い合った。倫子にとり久しく忘れていた朗らかさだった。

「なんだ、ずっとお風呂にいたのかと思った」

依然娘が冗談めかしながらも鋭いセリフを吐く。母はぎょっとしたが、他の者達は"そんなわけない"と一笑に付した。確かに通常ならあるはずもない話だったから。

と、ここで倫子は知りたくもないことに気付いてしまった。この同じ湯船の中に、まだ例の男どもが残っていたのだ。倫子はとっさに目をそむける。しかし彼らの存在が消えるはずもない。それは、牛滝と湊山だった。二人はニヤニヤして倫子の方を見ていた。

本当に一晩中、彼らと倫子はこの場にいたのだ。それは動かぬ事実である。そうだ、この湯の中には、彼らの蒔いた種が紛れ込んでいるではないか。そんな中に娘を入れるなんて! 倫子は己の浅慮を深く恥じた。

そこへ、更なる脅威が現れる。

「お先に」

そう言って笑いかけていったのは、先の老婆らであった。倫子の真実を知る証言者である。彼女らこそ、昨夜の悪夢と今朝の現実を繋ぐ架け橋。そう、全ては本当にあったことなのだ。幸い老婆らはそのまま去って行ったが、真相を知る者らには、彼女らの笑みが意味深に見えたものである。

「知り合い?」

娘が聞く。知り合いではない。ただ輪姦される様を見られ笑われただけの相手だ。

体を清めてから上がろうと考えていた倫子だった、その見通しが甘かったことを如実に思い知らされた。もはや一刻の猶予もない。

「もう上がらない?」

そう切り出そうとした、その時――

「ママー!」

亀山の娘が駆け寄ってきた。倫子はやはり混乱していたのだろう。この少女という懸念をまず真っ先に考えるべきだったのだ。


<つづく>


現在時刻07:15(11時間22分経過)
挿入された男根=35本
発射された精液=153発(膣80・尻28・口19・顔5・胸12・他9)




(001)19:53~(010)20:15(011)20:18~(020)20:44
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(041)22:22~(050)23:53(051)23:54~(060)00:20
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[2013/04/07 07:07] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
湯けむ輪(105) 06:24

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午前六時二十四分


「次誰? 自分しいな」

渡瀬は榊原に声を掛けた。

「え、どうしようかなあ……」

榊原はいつになく腰が重い。そういう者は、ほかにもいた。女性客の加入は、少なからず現場の空気を変えていた。

そんな中、浪岡と松倉のタクシー運転手組が、そろそろ退散すると言い出した。が、しかし、

「そやったら最後にヤッていったら?」

などと渡瀬から誘われると、一転覚悟が揺らぎだす。実のところ、地元の三老婆の登場に二人は若干動揺していた。なまじっかなことをして、他日顔を指されないとも限らぬ身分だと。

それでも、結局は性欲に勝てないのが男のサガだ。

「じゃあ、最後に一発だけ……」

頭をかきかき、まずは浪岡が挿した。

これを見て、さすがの豪胆婆どもも驚いた。夫と別の男が、夫の目の前で、しかも夫の指示によって妻と交わりだしたからだ。これにはいささかの説明を要した。

「わしら知り合いで。仲良うやっとるんですわ」

などと渡瀬が出まかせを言えば、浪岡もひとまず現設定を尊重して、

「奥さんお借りします」

と、話に乗っかる。

「へえ~、だから混浴なのね」

物好きな高齢婦人どもはこれにもたじろがない。筋の通らない内容ながら、なるほどと納得して、眼前で行われる後背位の交尾を鑑賞する。

さらには渡瀬が、

「いや実はこの奥さんがどスケベでね――」

と、折角の夫婦関係をあっさり解消し、これまでの経緯を誇張を交えながら有体に話し出しても、

「まあそうなの、イヒヒ」

などと素直に感心しては卑しい笑顔を浮かべて聞いている。恐るべき柔軟的思考の女達である。

倫子は頭が痛くなってきた。覚醒した彼女の脳みそをまたしても混乱が襲う。羞恥の熱とも相まって、体中がだるい。そこへきて、浪岡から松倉へのバトンタッチがあった。

「あらあらまあ、お盛んねえ」

目の前の交代劇に三人は喝采を浴びせた。立て続けに種付けされる女を目にしてこの反応だ。その上何気ない下品な言葉で彼女を辱める。

「若いっていいわねえ」

「ねえ、お乳だってあんなに張ってるじゃないの」

「ほんと、すごいお乳だこと。どれどれ……」

ついには倫子の乳房にまで手を伸ばす始末。

「まあ大きい! すごいわよ、ほら」

先に触った一人が後の者に感想を述べる。残りの者どもも次々に手を出していった。後背位でまぐわい中の倫子の乳房が垂れ下がっている所を、まるで乳牛のそれのように搾ったり持ち上げたりする。同性にとっても豊満な乳房というのは面白味のある素材だ。

その様を見て、宇川は、

「どえらいごっついおばはんらやなあ」

と、傍の者にコソコソと囁いて苦笑した。

「アッ、ヤッ……!」

倫子は拒否の姿勢を示したが、周囲の誰にも通じない。というより、本人にしてからが今後の方策について懐疑的なのである。もはやどうしていいのだか、どうしたいのかも分からなくなってきた。体内の熱はいや増すばかりで、脳天までしびれが広がっていく。

「ヤッ、アァ……」

垂れ下がった脂肪の塊をブラブラ揺らしながら、倫子は衆人環視の中で無限セックスに苛まれ続ける。終わらない。終わらせられない。どこまでもオス達は群がってくる。

「混浴ってすごいわねえ」

常連の癖に今更ながらの感想を述べる老婆の一人。すると、連れも同調して言った。

「ほんとねえ、あたし達も気を付けないと」

一体何に対する警戒なのか、それが誠からの言葉でないにしても、この場では空々しかった。折しも、松倉が役割を終えると、運転手組の両名が予告通りに退散したこともあり、三婆も急に湯船から上がり始めた。元より習慣での入浴であり、長風呂するつもりもないのだ。

三人は体を洗いに立つ。この瞬間、倫子は久しぶりに一人の体となった。残り九人の男達も、この期に至ってしばし手を出してこない。ようやくにして疲れが彼らを包みだしていた。

そこへ、パラパラと新しい客が入ってくる。いずれも老人の、今度は宿泊客である。昨夜の宴に加わらなかった客も、幾組かは泊まっていたのだ。

年を取ると、朝が早くなる。朝風呂は彼らにとって娯楽だ。男性の彼らの内には、全裸の女を見ていささか気を取られた者もあったが、いかんせん年が年である。これまでの男らのような、ギラついた劣情を体現するには至らなかった。

その意味では、この輪の最年長である吉野の活躍は特筆に値した。老人と呼ぶには早いにしても、既に老境に片足を突っ込んではいる彼なのである。とはいえ、さすがの彼もここまでが限界であった。部屋に戻ると言い出したのである。これに須賀谷も付いていった。こちらは、単に十分な満足を得たためであった。

これで、メスが一に対し、オスは七となった。そしてこの時程、倫子が脱出するのに相応しい機会はなかったのである。惜しむらくは、既に彼女の足腰が自前で立たなかった点である。もし逃げ出せていたならば、今次最悪の地獄を見ることもなかったろうに。

――時既に遅し。次に来た客は、懐かしいあの顔であった。

「あっ! お母さん!」

洗い場の老婆も振り向くほどに、浴場内に驚きの声が響いた。


<つづく>




(001)19:53~(010)20:15(011)20:18~(020)20:44
(021)20:47~(030)21:07(031)21:09~(040)22:03
(041)22:22~(050)23:53(051)23:54~(060)00:20
(061)00:24~(070)00:50(071)00:24~(080)01:36
(081)01:45~(090)03:59(091)04:12~(100)05:46
(101)05:52~(110)07:07(111)07:15~(120)08:35

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[2013/02/24 06:24] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
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