おことわり
このブログには、エッチなことがたくさん書いてあります。まだ18歳になっていない人が見ていい所ではありません。今からこんな所を見ていると、将来ダメ人間になってしまいます。早くほかのページへ移動してください。 >googleでほかのページを検索する< なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。 |
お知らせ
「オナこもりの小説」は、エロ小説を気ままにアップしていくブログです。たまに、AV女優や、TVで見た巨乳のことなども書いています。左サイドにある「カテゴリ」から、それっぽい項目を選んでご覧ください。
小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。 ■連続作品 ◆長編作品 ▼「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」 ◆中編作品 ▼「大輪動会~友母姦戦記~」 ▼「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」 ◆オムニバス ▼「母を犯されて」 ◆短編作品 ▼「育てる夫」 ▼「最後の願い」 ▼「ママの枕」 ▼「ブラック&ワイフ」 ▼「夏のおばさん」 ▼「二回り三回り年下男」 ▼「兄と妻」 ■一話完結 ▼「ふんどし締めて」 ▼「旧居出し納め・新居出し初め」 ▼「牛方と嫁っこ」 ▼「ガンカケ」 ▼「祭りの声にまぎれて」 ▼「シーコイコイコイ!」 ▼「サルオナ」 ▼「母の独白」 ▼「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」 ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」 ▼「栗の花匂う人」 ▼「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」 ▼「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」 ★作品一覧 |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時三十分 そんな彼に向かって、亀山は念を押すように訊く。 「い、板橋さん、いいですよね? お、奥さんのおマンコに入れても」 相手の顔も見ず、自分の手元を凝視しながらである。その手に握られた欲棒の切っ先は、今にも陰裂に割って入ろうとしていた。 「ん? ああ。……しょうがないな、まったく」 板橋は呆れきった様子で投げやりに答えた。 「さっさと済ませろよ」 そう言いながら、渋そうな顔をしてみせる。今の彼にとっては、他人のセックスの補助など真っ平ご免こうむりたいのである。それでも一応は仲間が犯す女の腕を抱き、前屈みの彼女を支えてはやる。 「奥さん、どう? ご主人のチンポもお世話してあげたら」 ソファーにふんぞり返った藪塚が、要らぬお節介を焼く。これは本当にお節介なことで、板橋の股間は依然ピクリとも反応していないのだった。倫子が拒絶したのはそれ故である。初めはちょっと鼻先を股間に近づけてみたが、変化がないと知るや迷いなく顔をそむけていた。 一方、亀山の“チンポ”は剛毅である。それはいよいよ女陰を侵犯しようとしていた。 「入れますよ、板橋さん……」 律儀に最終確認を発して、相手の反応を窺う。しかし、板橋はもはや面倒くさいばかりで返答をパスした。もっとも、許容自体には疑いがないわけで、結局亀山はそのまま歩みを進めることにした。豊満な丸尻を引き寄せ、逆に自身の股間を押し出していく。 「ンッ、ホ、オア、ア、ア、アア、アァ……!」 男根のひと沈みごとにくぐもった声を漏らす倫子。つま先に力を込め、前に押し出されるのを耐える。自然、前方の補助役に接近することにもなる。補助役もいささか力を込め、踏ん張らざるを得なかった。期せずして夫婦の共同作業ではある。 「は、入りましたよ、板橋さん。奥さんに入りました」 亀山は言った。ここから先、彼はその都度の状況を板橋に報告していくことになる。 「お、奥さんの中、あったかいです。――すっげ締まります」 「ああっ、すご、気持ちいい! マンコが吸いついてくる」 「板橋さん――、奥さんどスケベですよ。自分で腰振ってます」 この一連の報告に、さすがの板橋も音を上げた。 「いや、別に一々報告せんでいいから!」 それまで無関心を貫いていた彼だが、とうとうたしなめずにはいられなかったものだ。すると、その真に迫った間があまりに絶妙だったもので、釣り込まれるように藪塚が噴き出した。板橋自身もすぐにおかしさに気づくや、彼もまた笑いを禁じえなかった。いまだいまいましいと思う気持ちはあるものの、結果として機嫌が直るきっかけにはなったのである。 その勢いで、彼は突拍子もなく核心に迫ることを言い出した。 「大体、“奥さん、奥さん”って、おれのカミさんじゃあないんだから」 この瞬間、藪塚、そして亀山もまた絶句した。それはほんの刹那的な時間だったが、たしかに一瞬の沈黙はあった。 その静寂を破ったのは、女の啼き声である。 「アアアッ! ンウー……ヒイィー……ッ!」 彼女の腹の中で、亀山の欲棒は一段と膨らんでいた。それがまた唸りを上げて、一層激しく猥門をこすり出したのである。 「アッ、アッ、アッ、アッ、アッ……!」 バックからの連突に負けて、いよいよ倫子は前方にその身をゆだねていく。真っ向から受け止めざるを得ない板橋。倫子は彼の懐の中で、別の男を愛し子作りに励む。前にいる男性は柱と同じ感覚なのだ。 「アン、アンッ、アア~ンッ!」 次第に甘え声で啼きながら、女陰を摩擦してくれる男根に媚びる。板橋はそれをただただ見下ろしていた。時折よろめくのは、亀山の腰振りがあまりに激しいからである。板橋は後輩に犯されている妻を受け止めながら、そのセックスの激しさにひたすら耐えるしかないのだった。その激しさは、彼がついぞ妻に与えてやれなかったものである。倫子が女の悦びを謳うのも故あることなのだ。 ただそれにしても、節操もなく喘ぎ狂う人妻だ。 「アァハアァ~ン……ンはいぃヒィ……イきまふぅ~……イき、イく……」 傍に寄って来た藪塚の囁きに応じて、アクメ近しと他人に告白する。藪塚は板橋のセリフ以来静かに、今度は大笑いではなく妙に静かに笑って見ていたが、にわかに立ち上がって倫子に寄ってきたのである。 他方、亀山は別な話題を振っていた。 「そういえば、この奥さん“リンさん”っていうんですよね」 それを聞いた板橋、また苦い顔をしてわざとらしく鼻に皺を寄せる。だがさほど不機嫌そうでないのは、この話題を後輩による冗談と受けとめたからである。もっとも、冗談にしても悪趣味とは思ったが。 「気持ち悪いこと言うなよ」 彼はいかにも嫌なことを思い出したという風に大袈裟に応じて、周囲の笑いを誘った。そんな中、渦中の人はマイペースにも自身の絶頂を告げる。 「イく……イく、イくイくイくっ、イぐ、イぐぅふぅっ!」 瞬間、どっとくず折れる。板橋は慌てて彼女の脇の下から手を入れて支え上げた。もしこれが妻なら、彼女は我が腕の中で、後輩・亀山のために性的絶頂を迎えたことになる。それは考えるまでもなく馬鹿馬鹿しいことだった。彼は、“リン”のようなメスの悦びの声も、またアクメを宣言する声も、妻からまだ聞いたことがなかった。 そんな彼を残し、妻はどんどんと先へ進んでいく。いつの世も女が先に大人になる。少女が初めて男を知るのと同じように、成熟した女になった今でも、倫子は今宵のわずか数時間で配偶者の知らぬエロスに開眼していた。あまつさえ、何も知らない彼の手の中で、倫子はこれより他の男の子どもの種を注ぎ込まれるのである。 「イくっ! 板橋さん、奥さんに中出ししてもいいですか?」 亀山は最終確認を行う。 板橋はぶっきらぼうに肯きつつ言った。 「だから、一々確認しなくてもいいって!」 それは、先ほど浮かんだうっとおしいモヤモヤをかき消す風だった。また、早く終了することは、彼の元来の望みなのである。 「ううっ!」 亀山は倫子の丸い背中にしがみついて、その精を芯から送り込んだ。三発目だったが、快感の上では今までで最高潮だったから、文句なしに放出できた実感があった。 倫子は顎を微かに震わせながら、今や顔面をすっかり板橋の腹に押し付けて、射精の悦びにひたすら悶絶していた。もしも快感の度合いによって妊娠の成否が分かれるのならば、今の性交で確実に亀山の子を宿していただろう。倫子の悦びはそれだ。メスの役割故のものである。それは、婚姻という社会的関係以前のものだ。 「ああ……すごい……倫子さん、気持ちいいよ」 亀山はうっとりしながら言った。 それを聞き咎め、板橋がすかさず指摘する。 「“リンさん”だろ? しっかりしろよ」 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時二十七分 間もなくして、次のセックスが始まる。 「ふう……」 と溜息ついて肉茎を抜き出した藪塚の方へ近寄って、 「もう一回しちゃおうかな」 と言いつつ進み出た男がある。亀山だ。 「おいおい……」 板橋はやや焦り気味に後方を窺う。他の男達もそちらを見た。しかし、そこには誰もいなかった。従業員の鎌先も女達も皆いつしか下がっており、フロアには倫子ら四人以外に誰一人残っている者はなかった。 その様子を受け、なぜか藪塚が、 「どうぞどうぞ、ヤッちゃって下さい」 と、勝手に代理して許可を出す。勝手知ったる他人の家といった状況である。 亀山ははやる気持ちを笑顔に表して、早速に覆面女の首を抱きよせ、自らの抜き身とそれを近づけていった。抜き身は隆々と勃起している。それへ、彼女の半開きの口をかぶせていく。 「奥さん、しゃぶって」 彼は言ったが、相手の首を抱え自ら腰をすり寄せるその態度は、フェラチオを待つというよりもイラマチオを促すというのに近かった。倫子は相変わらず藪塚の膝の上に乗ったままで、首だけ前へ伸ばして相手の股間に顔をうずめている。そのだらしなく開かれた口は、すっぽりと彼の陰茎を飲み込んでいた。 「ああ、奥さん、口も気持ちいい」 感動の声を上げる亀山。だが、行為自体はすぐにやめて、早くも次に移ろうとする。貪欲な彼は時間に追われながら、目いっぱいやりたいことをやってしまいたいのである。 「パイズリして」 今度の要求は胸であった。口から抜いた肉棒を、それにまとわりつく粘液ごと相手の喉から鎖骨辺りにずらしていく。 倫子は藪塚に促されて彼の上から降りた。そうして亀山の足元にひざまずく。求められた行為“パイズリ”をするためである。ところがこの行為、彼女にはついぞ習慣がなかった。 「い、板橋さんはパイズリするんですか」 ふいに亀山は振り返って尋ねた。 「え?」 問われた方は、後方をちらちら気にしながら聞き返す。同じことは亀山も気にしており、時折店内に気を配ってはいた。しかし、鎌先はまだ来ない。 「パ、パイズリですよ。――例えば……お、奥さんと、とか……」 妙に興奮した調子で亀山は重ねて訊いた。これに対し、板橋は気もそぞろに答える。 「ああ、ないない」 実に淡白な返答であった。これこそ倫子の無知の証左である。先ほどは宿で男からされたが、それまでは胸の谷間に男性器を挟むことの発想すらなかった彼女なのだ。“こんなに大きな胸なのに”とは、この時亀山も藪塚も同時に思ったことである。 そんなわけだから、倫子には経験がなかった。ただ、それがどういうことなのかの想像は薄々ついていた。あまつさえ、亀山は陰茎を彼女の乳房に押し付け始めたからだ。倫子は熱に浮かされた奉仕精神と探求意欲によって、自分から乳房を持ち上げてこすりつけていく。 黄やピンクのライトを照り返す汗ばんだ柔肌へ、暗がりの中一層黒味を増した剛直が突き刺さる。互いに濡れた表面の故にツルツルとよく滑る。硬直した突起は、右へ左へとあっちこっちにそれた。たまに乳房の下にはまって、ぐっとその垂れ肉を裏側から持ち上げることもあるが、やっぱり滑って、時には勢いづいたまま倫子の顎へぶつかることもあった。懸命に自身の乳房がペニスで弄ばれるのを見下ろしていた彼女である。 「ンフ……」 硬いものが乳輪を通過する時は、思わず熱っぽい息を吐いた。ピクピクと痙攣しもする。今まで知らなかった新世界の快感、かつ己の乳房の巨大さがやっと、しかも男を満足させるために役立たせられることを教えられて、望外の悦びが彼女の大きな胸の中を熱くさせる。 他方、亀山はややじれったそうに、さらに上位の技を要求した。 「挟んで、おっぱいで挟んで」 求められれば何でもしてやりたい倫子だ。その女性的包容力は、男のリビドーを優しく包み込んだ。すなわち、持ち上げて作った谷間に、いきり立つ男根を受け入れたのである。 「はあ、あったかい……」 恍惚として呟く亀山。その身はすっぽりと柔肉の内に埋まっていた。倫子の豊富な脂肪球は、繁殖準備満々の男性生殖器をも難なく覆い隠したのである。その上で、擬似性交にも対応する。亀山が前後に腰を振り出したのに応じて、肉棒が乳房の間を出入りして摩擦し始めたのである。 (ああ、熱い……) 倫子も思った。胸の中を行き来する肉棒に、生命の根源たる熱が充満しているのを感じる。他方で、そのエネルギーを擬似膣である乳房とのドッキングで感じてしまっている背徳感もある。考えるだに淫靡な行為だと思った。男性の前にひざまずき、自ら乳房を持ち上げて寄せて谷間を作り、そこへペニスを挿入させてセックスするなんて、と。 「もっときつく締めて」 亀山は、まるで膣に命じるように更なる指令を出す。倫子は従順に言われた通りにした。左右から押す力を倍加させて陰茎を圧迫する。すると前よりも一層男根の感触が分かった。それに、別なことも。 「ンンフゥ……!」 下唇を噛んで、痙攣に耐える。より強く寄せたことで中央に寄った乳首の上を、硬直棒が往来するのである。その刺激は中々に強烈だった。発情して敏感になった勃起乳首を、同じく勃起した陰茎がダイレクトにこすり上げるというのは。では倫子はそれを避けるかというとそうではなく、むしろさりげなく乳首の中央寄せを怠らないのであった。 板橋に見られていようと無論お構いなしである。彼に教えられなかった行為を彼に延々見せつける。そもそも妻にとっては、夫婦の閨房でのみ仕込まれるはずのもの、それが性の技術であるが。 片や板橋は、業を煮やしてついに宣言を発した。 「じゃあ、もう先に出るからな」 これに焦ったのが亀山である。 「あ、待って。もうちょっと。最後は奥さんに入れさせて下さい!」 彼はそう言うと、すぐに倫子を立ち上がらせた。ところが、あまりに急いだため、彼女はバランスを崩してつんのめってしまう。と、それを抱きとめたのが、なんと板橋であった。 「あ、そのまま持ってて下さい」 亀山はこの状況をこれ幸いと利用し、倫子を板橋に受け止めさせたまま、その背後から結合を試みる。 「おいおい……」 板橋はあくび交じりに苦笑した。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時二十三分 隣を向いて、やかましいBGMにも負けない大声で呼びかける。呼ばれた方は、もう浴衣を直して立ち上がろうとしていたのだが、仕方なしに中腰のまま止まった。 そこへさらに念を押すべく、藪塚はまた呼びかける。 「ご主人、奥さんはオレのデカチンが好きなんですよ!」 その声の大きさに、他の客も振り返った。既に鶴巻や新木は席を立って出口の方に向かっており、亀山もそれに続かんとする所であったが、皆一様に立ち止まった。 「ははあ、そうですか」 いささか厄介そうにしながら、適当に相槌を打つ隣人。彼の中では、“奥さん”という“設定”の商売女がどんな嗜好を有していようと知ったことではなく、あくまでも他人事なのだ。だから、酔客の楽しい気持ちは分からぬでもないが、少々もてあまし気味である。 しかし、それを意に介する様子もなく、藪塚は言葉を続ける。 「旦那がフニャチンなんですって。可哀そうですよね」 悪意に満ちた笑みが、その辛辣なセリフを包む。名宛人は、そうと知らずに苦笑した。“面倒な人にからまれてしまった”、彼の胸にあるのはそんな懸念ばかりである。振り返って、亀山に同意を求める。その時点で鶴巻と新木はもう店を出ていたが、彼だけはまだその場に残って、状況を見守っていたのである。 二人の目の前で、藪塚は倫子にも話しかけてみせる。 「フニャチンの旦那じゃあ満足できないんですよねえ、奥さん。旦那の隣でも、ほかの男のチンポ欲しくてたまんないんでしょ?」 倫子の目玉がギョロリと右方に動く。が、間髪入れずに彼女は大きく肯いていた。さっきの延長上でもあり、また自覚的でもある同意だ。今やその首肯に焦りは微塵もなかった。虚を実が上回ったのである。藪塚の胸に頬寄せて、仲睦まじさをアピールしてもみせる。求められれば堂々と接吻し、舌を絡め、唾液を交換する。下品極まる誓いのキスである。 さらにその尻の穴へ、彼の指が挿入される。 「グッ……! ヘ、アァ……!」 舌を伸ばし、よだれを流し、犬のように口を開けながら、倫子は喘いだ。 「ほら、ご主人――、奥さん、もうアナルもズボズボですよ」 言いながら、藪塚は両手で倫子の肛門を開いてパクパクさせ、また小器用に人差し指を中に突っ込んでは、内部を自由にいじくってみせた。男の腿ににまたがる彼女の後ろ姿からは、その排泄の穴もまた性交中の穴も周囲からばっちり丸見えである。 それを見て、呼びかけられた方の見物人は眉をひそめた。彼の趣味ではなかった。それこそ、この人妻が今日までアナルバージンであった所以である。同時に、彼女がますます妻の像から乖離する所以ともなった。実際には、処女喪失にとどまらず数多の掘削工事を経ての完全開通にして、今ではひっきりなしの交通量を誇る名スポットとなっているというのに。 現に倫子は、ここへきて初めて純粋に尻穴で性的快感を得られるようにまでなっていた。それがあくまで膣の補助的快感なのかどうか、まだ自分では詳細に説明できかねたが、少なくとも悦びの内に甘受できるまでにはなっていた。 「ンン、エ、ホ、オ、オォ……!」 目を裏返しながら、甘くしびれる快楽に酔いしれる。プリプリした脂肪を痙攣させる様子は、まるでかき回されている己の肛門を見せびらかすかのようである。膣門からは、白く泡立った愛液が滴り落ちた。 これにまんじりともしないで見入りだしたのが亀山である。初めは同行人を待つだけだったのが徐々に前に寄って、今では彼よりも前で成り行きを見守るようになっていた。熱心な彼の股間は、いつしかまた膨らんでいる。 そんな観客のリクエストに応じるように、藪塚は倫子に命じて、わざわざ体位を変えさせた。今度は彼女を裏返して背中側から膝の上に乗せ、亀山らに彼女の性器を真正面から見えるようにする。あまつさえ、その両腿を抱えあげて、肉棒の刺さる陰唇をよく確認できるように気を使った。 亀山はそのサービスにまんまと乗せられて、ますます食い入るように結合部を注視しだす。しまいには膝を折って、至近距離から男女の接合を視界に捉えた。 「ご主人も、もっと近くで見て下さいよ。その方が奥さんも興奮するって」 引いて見ているもう一人に、藪塚は亀山同様のかぶりつきポジションでの観覧を勧める。 「いやいや、もういいですよ……」 すっかり冷めきっていた彼は、辛うじて愛想笑いを浮かべながら手を振る。と同時に、仲間に対して早々の退店を促そうとする。 ところが、それを拒んで、むしろ彼のことを引き寄せたのが亀山であった。 「板橋(いたばし)さんも、ほら」 彼の名を呼んで袖を引っ張る。その名字は、倫子のと同じものである。引っ張られた板橋は、いまだ千鳥足だった為もあって、よろめきながら男と女の接点の鼻先に近寄った。板橋の配偶者、板橋倫子が生殖行為を行う恥部の真正面である。彼を観客に得て、妻にぶっ刺さる極太はいよいよいきり立ち、その出入りを頻繁にしていった。 「ああ気持ちいい! ご主人、入ってるとこ見えますか」 興奮の極みの中、藪塚が大仰に問いかける。 「ああはいはい」 板橋は面倒くさそうに答えた。彼がこれほど冷淡なのは、リンというホステスに意識のどこかで妻と似た体型を見ていたためかもしれない。藪塚はじめ他の男達が彼女に欲情するのは、これに比して耐性がなかったためと思われる。いい女は、他人妻である限り魅力を減じないのである。 「奥さん――、ご主人観てますよ、奥さんのマンコにオレのチンポがズボズボ入ってるところ」 「ウン、ウ、ウア、ア、アア、アアァ……!」 耳をかじりながら囁く藪塚と、彼のとめどない腰振りによって暴れまわる豊乳、それに同調してブンブン頷く人妻。剛直は白い愛液を飛び散らせながら、淫乱妻の浮気な産道をこれでもかと犯しまくる。その激しい営みを、文字通り目と鼻の先で鑑賞する板橋と亀山。 その眼前へ、ついに藪塚はとどめの一言を放った。 「ご主人! 出していいですか、奥さんの中に」 淫らな肉と肉がぶつかり合い、性交のクライマックスを告げる。オスがメスに種付けするのに、一体誰の許可を必要としようか。 「はあ、どうぞどうぞ、ご自由に」 板橋は呆れながら言った。本来ならば、もっと以前の行為からして否定しなければならないはずであるのに。 片や身も世もなく喘ぎ狂う妻。 「アアッ! アアアッ!」 喜悦の表情を浮かべる彼女の胸の内を占めるのは、板橋でも亀山でもない。ただただペニスである。受精に憧れる股間は、ひと際熱を帯びていく。 「ああイくっ! イくイく! 出しますよ中に! ご主人!」 藪塚は叫んだ。 瞬間、顔をしかめる板橋。目を輝かせる亀山。意識を飛ばす倫子。 様々な思惑の中、一つの狂乱の背徳がはじけた。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時二十一分 さてどんじりに控えしは藪塚であった。彼ときたらついさっきここへ来る車の中でやったところだというのに、もう次の性交に備えて機能を充実させていたのである。フル充填された肉竿は申し分なく、まるっきり前二回に遜色ない雄々しさを誇っていた。はじけそうなほど溌溂とした真紅の膨らみと、その口から湧き出るつゆがメス肉を誘引してやまない。 狂った発情妻がその誘いに乗らないわけはなかった。倫子はまるで久々に再会できた愛する人の胸に飛び込むかのように、彼の股間に突進していった。そして、そのままストンと一気に腰を落とす。抱きつくなり己の股ぐらで男をくわえ込んだ倫子である。 するとそれを受け止めて、藪塚がささやいた。 「今女の子のフェラでイきそうになったけど、やっぱり倫子さんに入れてからにしようと思って、我慢してたんすよ」 その刹那、もう倫子はイッていた――。 「――ン……ッ!」 声は上げず静かに、しかし果てしなく昇り詰めた。 (あなた!) 目の前の人に対する感謝の念が湧きあがってくる。心身両面から満足感を与えてくれた彼だ。彼女の中の“あなた”は、今すっかりと彼にすり代わっていた。ギュッとその胸にしがみつく。大柄な彼の胸板は広く、それがまた愛おしさに拍車をかけた。 ところが、当の男は全然見当違いなことを訊いてきた。 「旦那さん、どうだった?」 胸の中の女を撫でながら、表向き優しさに満ちてではある。 倫子は答えなかった。一瞬は、何のことかすら分からなかった。例えば、すれ違っただけの無名な人の印象を、いつまでも記憶しているなんてことがあるだろうか。そういう感覚である。 すると、藪塚は重ねて訊いてきた。 「旦那さん――。あれ、ご主人なんでしょ?」 そう言われてみて、ようやく倫子は質問を理解した。と同時に、少し嫌な気分になった。折角の幸福に水を差されたような気がしたからだ。 “主人”と言うなら、今の彼女にとりそれは藪塚だった。妻として、いやメスとしてどちらが必要なオスかなんて、とっくに答えは出ている。隣の席の人がそれに当たらないことは明々白々で、それどころか男かどうかすらもはや彼女の中では疑わしいのだ。倫子は自分が一体誰の物なのかを、今はしっかりと理解していた。 それだものだから、彼女は答えに窮するというよりも、その辺りの理由を説明するのが億劫であった。とにかく隣の人の話は面倒くさい。もうどうでもいいのである。そこで倫子は、言葉よりも態度で示すことにした。相手の首に手を回して、ゆっくりと腰を使い始める。 「ンッ……アフ……」 敏感になった所に依然硬い肉肌がこすれると、倫子の口から恍惚の吐息が漏れた。幸せな硬さである。彼女は女としての悦びに打ち震えながら、頑張って腰を動かした。男を差し置いて自分だけがイッてしまって申し訳ない、あるいは恥ずかしいという気持ちもあり、また女として相手に射精してもらいたい、あるいはさせてやらなければならないという気持ちもある。実際のところは、膣満杯のペニスから早く子種を受け取りたいというのが本心かもしれなかったが、とにかく確かに言えることは、何よりも彼に誠を捧げたいということであった。 しかし、藪塚はそういった女の幸福にも感謝にも、また愛情にも無頓着である。倫子の腰振りは受け入れつつも、なお食い下がって尋ねる。 「ねえ、旦那さん、奥さんだって分かんなかったんでしょ? そういうプレイってどうっすか? 興奮しました?」 彼はどうしても背徳感を味わいたいらしい。どこまでも“元”夫にこだわった問いを発する。ただ、想像力に欠ける彼には、倫子が現にそういった期待を一時は抱きながらも、後には幻滅に至った経緯など微塵も予想できないのだった。ここに両者のジレンマがあった。 いつまでも答えない倫子に対し、藪塚は諦めない。あるいは、この行為自体が彼にとっての興奮材料なのかもしれなかった。 「旦那さん、奥さんだって分からずにチンポギンギンでした?」 倫子は黙って腰を動かしている。もっとも、今回の質問だけは明確に答えやすいものであった。イエスかノーか二択の内、答えは自明だったからだ。ただ、これにも応答しなかったのは、その答えがあまりにも情けなく、また恥ずかしかったからである。妙なところに、まだこだわりが残っていたものだ。 その脳裏に、つい今しがたのふやけた海綿体がよぎる。彼女はそれを慌てて打ち消した。思い出すだにいまいましい、侮蔑すべきものだった。ただそれの反動のおかげで、次の硬直棒で一気にアクメに達することができたこともあるから、その限りにおいては彼女にとって存在価値があったのかもしれない。もしあったとすれば、だが。 そんな折に、ようやく返答しやすい問いかけが来た。 「旦那とオレと、どっちのチンポが気持ちいい? オレの?」 藪塚はわざわざ言葉を付け足してまで訊いた。それは、質問というより要求だった。もっとも、たとえ求められなくとも、倫子は率先して答えてやりたかった。そこで彼女は素直に、それはもう世界中の女達の中で、今この瞬間一番だろうという程素直に、コクリと一つ肯いた。 このことは、藪塚を大いに喜ばせた。彼の喜んでいることは、言葉よりも表情よりも、彼の体の反応がいち早く示していた。 (ああっ!) 倫子も悦んだ。体の中でやんちゃ坊主が反り返り一段と硬く引き締まっている。それは再び連続したオーガズムを呼び込んだ。ピクピクと膣奥が収縮する感覚に酔い、倫子はしばし上下運動を忘れる。 「旦那のチンポよりいいんだ?」 図に乗った藪塚は、さらに返事を欲しがる。倫子は倫子でまた夢中で肯き返す。互いに有頂天の二人である。たどる道は違ってもゴールは同じとばかりに、噛み合わないはずの会話で上手く歩調を合わせていく。 「旦那よりデカい? ――硬い? ――デカいチンポ好き?」 立て続けに発せられる問いに、倫子は一々頷き返した。しかも次第に大きく、力強く。藪塚は不倫の背徳に興奮し、他方の倫子はもはや不倫など眼中にないのだが、二人の悦びは確かに同調しているのである。 とうとう藪塚は、隣の人にまで話を振った。 「奥さん、オレのチンポの方が好きなんですって、ご主人」 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時十七分 しばらくして、倫子は立ち上がった。心地よい疲れがその身を包んでいる。そのまま、彼女は向かった、次の仕事場へと。焦りはいよいよ募っていたが、前ほどの恐怖はなかった。それは、嵐の前の静けさを思わせた。 (あの人も……) 上気した面持ちの中、これまでの三者を振り返る。そして、次の客へと思いを馳せる。彼もまた仲間達と同じ反応を示すのだろうか。彼女の心には、一種の期待がにじんでいた。 ところが、である。 「スゴーイ! いっぱい出たね」 突如耳に入ったその一言が、思いもよらぬ方向からその期待を打ち砕いた。見れば、客の股の間にひざまずいた女が、相手の道具を処理しながら営業的笑顔で話しかけている。 (あなた……?) 呆気にとられて立ちつくす倫子。その時、ふと夫と目が合った。彼は下卑たにやけ顔をさらして満足そうにしていた。その心は傍観者の方には向いていず、今しがたの達成感に惑溺されているようである。 倫子はさらに見た、ひと仕事終えた男の根っこを。まだ辛うじて直立し、その先から泡を吹いている。女がそれをさらにしごき出し、その残り汁を含めて竿ごとおしぼりで拭って清める。 「もう! お兄さんったら」 不意に彼女は笑って、客の腹を軽くぶった。それは夫が肉棒の筋肉を動かし、相手の握る手元を狂わせたからである。女の前で彼は、まるで大名気取りだった。ソファーに腕を回し、手放しで下の世話をさせてご満悦である。 その様子を、妻は冷めた目で追っていた。いちゃつく男女、そして彼らの間にあるペニス。離れて見ていると、まるで遠い世界の出来事のようである。とりわけ夫のものは、初めて見たかと錯覚される程に他人行儀であり、かつ醜かった。倫子の心に暗い影が広がっていった。 やがて番が来て、彼女は次の客である彼についた。彼女は先の同僚のように股の間に座るのではなく、有無を言わせず相手の腿の上にまたがった。 「今さっきイッちゃってさあ」 またがられた夫は、聞かれもしない内からこんなことを言っている。それは言い訳でもあり、また相手に共感を求める誘い文句でもあった。もっとも、いずれにせよ倫子は応じなかった。彼女は黙って、しなびた海綿体を後ろ手に握りしめた。 「無理だよ、勃たないよ」 夫は笑い声で嘆く。妻はイライラした。このセリフは以前にも寝室で聞いた覚えがある。しかし、今日の彼女は既に見ていた。先ほど店の女にフェラチオされて、隆々と勃起させていたのを。その盗み見たところでは、心なしか史上最も大きくそそり立っていたようにさえ感じられていた。 倫子は無理やりに陰茎を膣内に放り込んだ。既にしょぼくれたそれは、ふにゃりとして中々言うことを聞かない。焦る手つきではなおさらだ。それでも、なんとか先の方だけは収めることができた。 「勃たないってば」 止めようとまではしないものの、呆れながら夫は言った。男側からすれば、ホステスのサービス熱心な所は評価したい。ただ、体のことはどうしようもない。まして、一度すっきりして気分も収まっている折も折だ。 だが、女はそれで許せない。女の情念は理屈で割り切れるものではない。分けても嫉妬に火がついたら最後、前後の見境がなくなることもしばしばだ。現に倫子の激情は今、身の破滅というスリルを上回って彼女を行動に走らせている。 (あなた……!) もちろん、真実を知られるわけにはいかない。しかし一方で、全く気付かれないのも悔しい。複雑な女心である。 「ンッ……ンッ……」 気分を出すために軽く声さえ出しながら、自分で腰を振る倫子。それにほだされて、客側もようやく仕事を始める。相手の乳房を持ち上げ、あるいは乳首を指ではじく。が、決して舐めたり吸いついたり、また接吻を求めたりはしなかった。気乗りしないのは明らかだった。いわば彼なりのサービスである。それは期せずして、夫婦間の営みのような形式的な愛撫だった。だが、それでも彼は妻の乳房だと疑わっていない。 (あなた……っ) 本来ならばそれでよかった。実際、さっきまでの彼女は、自分を自分と知らないで他の客らと同様に興奮する夫や、そんな彼とするセックスに好奇心を抱いていた位だ。 また実のところ、罪滅ぼしのつもりもあった。これまで散々裏切ってはきたが、せめて夫にも他の男らと同じ位か、出来ればそれ以上に感じさせられたかった。もしここまで追い詰められなければ、決して会いたくない相手であったが、ことことに至っては、むしろそれによって夫婦の尊厳を保つしかないと思われたのである。 ところが、いつまで経っても夫は回復しなかった。それどころか、いつの間にか穴から抜け出ていた。縮んだ陰茎は惨めにも陰肉に踏みつぶされ、自らは何も生み出さず、ただ倫子から漏れ出る雑多な粘液をまぶされて溺れるばかりである。夫はしかし特別気にも留めず、愛想笑いを浮かべなから、今はもう行為よりもまったりと会話を楽しみたい様子である。 (あなた……) 倫子は幻滅した。はじめの内は彼の小突起をクリトリスにこすりつけてまで悪あがきを試みたが、次第に馬鹿馬鹿しく、何より惨めな気持ちになってきた。同時に、相手の酒臭い息や、どうでもいい言葉に無性に腹が立ってきた。さっきまでの客には、ついぞ感じなかった印象である。今はもう、彼が不愉快でしかなかった。 これだけ多くの男達が倫子の中に精を放出している中で、本来唯一正当な権利を有するはずの彼が、よりにもよって唯一子種をまかないなんて、ほとんど信じられない奇跡だった。彼の友人も、さらにはその息子も、あるいは娘より年下の少年も、夫より年上の男性も、付き合いの長さに関係なく皆等しく発情して彼女を孕ませようと、すなわち彼女を妻として従えようとその男根で女陰を制圧してきたというのにである。 彼女は腰の揺さぶりを止めた。そして、まだ何か話している途中の男を残し、つと立ち上がった。今宵、彼は夫ではなかったのだ。ならば前途あるメスとして、いつまでも不能の人に時間を費やしている場合ではない。 「お、交代か?」 偽りの人はぼんくらにもそう言ったが、その声が耳に入っても、倫子は冷笑すら浮かべなかった。一刻も早く現役のオスを見つけねば! そう思って見回す彼女の瞳に、たちまち輝きが戻る。開かれた股の中枢で勇壮にそそり立つ長竿。それが、おいでおいでしている。 倫子の頬が緩む。彼女は早足で真に仕えるべき夫の元に急いだ。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時十三分 「ハアハア……」 両者はまるで二人だけの世界に没入したかのように甘い時を刻みだす。寸分の隙間もなく抱き合い、お互いから求め合って舌をからめる。射精の前後から、倫子の方も相手の背に腕を回すようになっていた。しっかりと抱きよせて固定し、相手の口を占拠する。まさに愛し合うセックスの体である。 精液を入れてしまわれれば、女体は自分ではなくその男の所有に帰するものだが、倫子もまた亀山によって手なずけられ、彼の命令に従いその種を孕まんとする勢いであった。それをさらに決定づけようとでもするように、彼の男根は一向に萎えない。膣の感覚では射精の有無を感知できない倫子でも、勃起は分かる。そこで彼女は、射精がいつまでも続くことを漠然と疑った。 すると、亀山がその実態を説明した。 「ねえ……もう一回していい?」 やや遠慮気味にではある。一度女を自分のものにして少しは落ち着いた様子だ。しかし、倫子への情熱の炎はいまだ冷めやらず、その驚異的な熱さは抜かずの二発を所望させたのであった。 ただ、こういう店には本来種々の制限があって、この店のように女性が回転して接客する場合にはなおさらシビアに判断されるものだ。もし今のような特殊なケースでなかったら、この願いは叶わなかった可能性もある。しかし、そこはやはり特別な今夜である。事情を知らない酔客にとっては、ただただ幸運であった。 新人風俗嬢は拒まない代わりに、濃厚な唾液の応酬によって答えた。業界の習いに則さない彼女にとって、これはただの性交に過ぎないのである。鎌先も何も言ってこなかった。彼女は軽くアシストすらように、自ら股間をすりよせていく。 対して、最初はさすがに及び腰だった亀山も、段々と最前の活況を取り戻していった。間もなく激しい腰振りを再現しだし、併せて持ち上げた乳房の先端を吸い上げていく。 「ンン、フ……ッ!」 倫子はその責めを受け、己が手の甲を口に当てながらのけぞった。思わず声が漏れる。愛を求められ、あまつさえ発情しきっていた肉体はあまりに脆かった。ことに乳首は敏感甚だしい。 その反応に気を良くして、亀山は一層責める。右・左、左・右と絶え間なく移動しては、母乳も吸い出さんとばかりに強く吸引する。その上吸われてたわんだ脂肪をその根本から両手で先端へと揉み搾っていく。 「ンッンッ、ンフ~ン……!」 かかる不埒な搾乳に、身も蓋もなくよがり鳴く豊乳熟母。暴れん坊の赤子の頭をきつく抱き寄せる。これは苛烈な求愛を耐え忍ぶためでもあったが、同時に更なる刺激を欲してのことでもあった。現に膝を揺り動かしては、自ら性交を助長している。貪欲なのである。 これに亀山も男気で応える。 「エロいよ、倫子。またいっぱい中出ししてやるからな」 実に驚くべき持続力によって連射を現実のものとする彼である。メス穴も受精の悦びに勇んで締め上げる。ところが、続いて発せられた彼の一言が、にわかにこの悦びに水を差した。 「旦那の横で思い切り孕ませてやるからな」 この時倫子はちょうどまたのけ反って宙空を見上げている最中だった。そこでこの言葉を聞いて、思わず彼女は左に視界を広げた。左側の席にいる者を見たのである。すると、たまたま相手もこちらを見ていた。 「アアァッ!」 たちまち彼女の口から断末魔の喘ぎがほとばしる。決して忘れていたわけではない、が、その存在が意識から遠のいていたのは事実だった。 「旦那よりオレの子供を産みたいんだろ?」 亀山は己の言葉に陶酔した様子で囁く。彼の中ではいまだ“リン”と“倫子”の同一視が続いているのである。すなわち、彼は倫子のみならず、恩人であるその夫をまで辱めんとするつもりなのだ。 「ンギ、イ、ヒ、イ、イ、イ……!」 倫子は歯を食いしばってこの凌辱に耐える。否、これは果たして凌辱なのか。女の体は、現に占拠されている男根の持ち物ではなかったか。折しもウィークポイントを亀頭で削られて、彼女は迷いだした。夫、それは我が子の父親であり、絶対的な存在のはずなのに。 「イッ、イッ、イィヒッ……!」 その腰は遠慮しない、迷いの中でも。ヴァギナは静止することなく仕事を続ける。ペニスを芯までしゃぶり尽くし、その精を自身に取り込もうとする考えだ。 熟妻は目まいを覚えながら打ち震えた。ゾクゾクする感じが背中から腹から同時に上ってくる。今は顔を右に向けて、その上念入りに目まで閉じていたが、さっき見た視線はその網膜から離れなかった。確かに目が合った、次の客と。忘れてはならない、次の客は決まっているのだ。 彼はまだ観ているのだろうか、そう思ってみても、発情した女体の欲するところは変わらない。厚かましくも素直に快楽に向けばく進していく。それでも保険はかけておきたい。 (あの人も気づいていない……気づいているわけない……!) そう自分に言い聞かせて、少しでも安心を得ようとする。安心の中でこそ最高の快感が得られると思うから。ところが、それをあざ笑うかのように亀山が、 「見てるよ、旦那。倫子が中出しされるとこ」 と囁きかければ、途端に脳髄がしびれて不思議な満足感が降りてくるのだ。倫子は反動で亀山の背中をかき寄せた。膣門がぐっと閉まる。 (来る……来ちゃう……っ!) 暗闇の中でも肌に突き刺さる視線が分かる。マスク越しとはいえ見られているのだ、かつての部下に種付けされる淫乱妻のアクメ顔を。そうと分かっていながらあえて登り詰める性感は、もはや如何ともしがたい。 「ンッ! アフッ!」 倫子は節操を保てなかった。昇天――。同着で亀山の精液が膣房に広がる。その激しい脈動の中、彼女は亀山と接吻を交わした。たとえ社会上の配偶者が誰であろうと、動物本来としての夫は常にどういう者であるかを傍観者に知らしめるかのように。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前一時七分 「ンンム……」 二人は余韻に浸りながら唾液を交換する。 その様子を、横からじっとりと眺めている者があった。次の番を待つ、亀山(かめやま)である。彼もまた今回の旅行の参加者の一人だ。 倫子は例の段取りに沿って、今度はもう鎌先の介添えも要せずにそちらに向かった。次にさばくべき客、という認識である。その心には、些かの安堵と油断があった。 だが、その心境に到達するには、まだまだ時期尚早であった。 「あああぁ、リンさん……」 倫子が腿にまたがるなり、亀山はその背に腕を回して彼女をきつく抱き寄せてきた。この時彼女は、前二者の経験を踏まえて、彼もまたこの場限りの性欲にまい進し、そのはけ口としてリンという女性を見ているだけだと信じていた。そこには、高揚しきった心と体と、そして男らが己をメスとして選んでくれたことへの一種の驕りが作用していた。それ故、もはや彼らの秘められた本性を目の当たりにしても、一定の慈しみを覚えたほどである。 ただ、そう判断してみても、亀山の興奮ぶりは少しく異常であった。かなり呼吸が荒いし、何より目が笑っていない。鬼気迫るほど、真剣そのものなのだ。 間もなく倫子は、その衝撃的理由を知ることになる。その瞬間は、唐突に訪れた。抱きしめた手を緩めて、ちょっと間合いを置いた亀山が、うっとりとした眼差しで彼女の目を見つめ始めたその時だ。 「リン……さん……。あの……リン子さんって、呼んでいいですか……?」 にわかにそんなことを申し出たのである。 倫子はぎょっとして固まった。 (バレた!) 心臓を握りつぶされたようである。これまでのことは、ほんの短い夢に過ぎなかった。やはり見抜かれていたのだ。つい己の淫乱症にかまけて甘い見通しに酔っていたが、普通に考えて気付かれないはずはない。そんな暗い絶望感が、彼女を再び取り巻いていく。どんなに狂っても、やはりバレたくはなかった倫子なのである。 「すいません……。でも……リンって名前だし……」 亀山はやや照れながらも己が主張を述べ続ける。 「体だってこんなに……む、胸も……」 倫子はもはやうわの空だった。知られているのといないのとでは、雲泥の差なのだ。彼女はまだどこかで、この痴態を隠し通せる未来を信じていたのである。 「アソコも……ああ、すごい……」 亀山は倫子の体の一部始終へ、まんじりともせずに視線を這わせた。そして、まるで高価な芸術品を扱うかのように、おずおずとその輪郭を撫でていく。その様子は、半ば狂気じみても見えた。 「ずっと……好きだったんですよ……!」 彼は言った。その一言が、新たな波乱を現場に呼び起こす。 (え?) 倫子は困惑した。素性がバレた上に、わけの分からない告白まで始ったのだ。だが、話は悪い方向ばかりにも進まなかった。 「――“その人”のこと。……だから、リン子さんって、呼んでいいですか?」 勢いのままに、心にため込んできたものを遂に吐き出したという態の亀山。その余勢をかって、彼は男根を陰裂にあてがった。 「入れていいですか?」 許可を欲しているのではない、それは確定事項だった。肉竿は、早くも割れ目の道へと潜り込んでいく。 「あっ、やっ……!」 (ま、待って!) 倫子は戸惑いを隠せない。一つ一つの事実を整理していく暇もないのだ。そんな中でも、男根の突入は止まらない。すぐに根本まで入って、二人は一体化した。本当なら、倫子は拒みたかった。二つのことをだ。一つは、“リン子”という名で呼ばれること、もう一つは、合体である。彼女の中で、ドキドキが治まらない。 「リン子さん、好きです! 好きです、倫子さん!」 興奮した亀山はうわ言のようにそう繰り返しながら、倫子の腰をかき寄せて揺さぶる。 (か、亀山君?) 段々落ち着いて考えてみると、彼が自分の正体に気づいたわけでないらしいことは、倫子にも何とか理解できた。彼は“その人”と確かに言ったのだ。だが、それ以外に打ち明けた内容は、一体どういうことなのだろうか。こちらは依然謎である。 すると、その問いに答えるかのように、亀山がひとりでに告白を続ける。 「初めて会った時から、ずっと好きだったんですよ! だから、ずっとこうしたいって……」 その言葉は、一々倫子をドギマギさせた。彼は確かに自分を同一人物だとは思っていないはずだが、妄想の空では既に同一視してしまっているらしい。彼の中では、完全に倫子を抱いていることになっているようだ。何とかそれを思いとどまらせたいが、理由が難しい。変に勘繰られては厄介である。それ故声も上げられずに、倫子は彼の述懐を聞くしかできなかった。 「ああっ、この胸! すごい……! いっつも谷間を覗いてた……ブラの線も……これ、このデカパイ!」 言いながら、亀山は彼女の乳房をブルブルと震わせた。両手でその周囲を包み小刻みに動かすと、柔い肉の表面はさざ波を作って振動する。 「お尻も……いつも見てた。パンツの線も。パンチラだってしょっちゅう。――そうだ、この前鍋した時、ずっとパンツ見えっぱなしでしたよね。倫子さん、いつも無防備だから。……それとも、わざと見せて誘ってたんですか?」 彼の口は、次第に滑らかになっていった。相手の尻を手の形がつく位ギュウッと握りしめて、己の性癖を続々と吐露していく。その偏愛ぶりは、一途というよりもむしろストーカー的だった。 (亀山君……わたしのこと、そんな風に……) 倫子は耳を赤くして彼の独白に耐えていた。その内容には驚きもし、同時に気恥ずかしさも感じた。彼の場合、常日頃から倫子その人を性の対象として狙い定めていたわけだ。これは、彼女にとり信じられない事実だった。 亀山は、以前夫の下で働いていた男である。いわばそこで修業し、後に独立したわけだ。年は新木よりも若い。下積み当時は一緒にいる時間も多く、倫子も女将さん的な立場で自然と彼をかわいがりもした。そんな若者が我が身を色気づいた目で見ていたなんて、想像もしないことだった。今では結婚して、可愛い奥さんと娘にも恵まれているのだから、なおさらである。 「いっつも倫子さんでヌいてたんですよ、このオッパイや、おマンコ想像して。――それから……フフッ……」 不敵な笑みまで浮かべる彼。その話の中身とも相まって、ぞっとする感じである。 「――奥さんの下着盗んだり、歯ブラシにぶっかけたこともありますよ」 (そ、そんなことまで!) 倫子の背筋を寒気が走る。自分の今の境遇を棚に上げて、今後の彼との距離の置き方などを思案しだす。しかも、彼は今“奥さん”と言った。それこそが、平生の彼の呼び方である。おかげで、一気に話が身近になった気がした。一方で、“倫子さん”とも呼ぶ彼。一人の女として見ている証である。 「倫子さんっ! 倫子ぉっ!」 ついには呼び捨てまでしだす始末。それに比例して、肉棒は益々凝り固まり、その摩擦はどんどん激しくなる。 (こんなことって……!) 煩悶する倫子。建前上は倫子と亀山ではないのに、これでは実質同然だ。まるで亀山に犯されているようである。その彼がまた、普段の爽やかな風貌とは打って変わって、屈折した性癖の持ち主だったからには、輪をかけて複雑な気分である。 ただ、彼の倫子への熱意は本物だった。肌を合わせると、はっきりとそれが分かる。彼は心から、倫子としたくてしたくてたまらなかったのだ。そういう一直線な求め方をされると、女の情は脆い。彼女の股間からは生暖かい汁が白く泡立って落ちた。 「おっ、おお、倫子、倫子! 好きだよ、倫子!」 いくら店内が騒々しいといったって、こんなに鮮明に名前を連呼しては、彼にとってもリスクが大き過ぎる。すぐ近くの席には、倫子の夫も控えているのである。そうでなくても、周囲の知人に聞かれるだけでまずいはずだ。だが、それでも彼はやめない。それほどの情熱を傾けているのである。 「ア……ン、ン……アッ……アフ……ッ!」 女体も次第に呼応していく。激しく求められるセックスは、やはりいいものだ。こんなに“好き、好き”連呼されて、現に逞しい態度で示されたら、既に燃え上がっている熱情の折も折、ほだされて股も緩んでくる。 「うああっ、イくぞ、倫子! 孕め! 俺の精子で孕めぇっ!」 「ンヒイィー……ッ!」 (亀山くぅ……んっ!) 亀山の掛け声とともに、彼の欲望の全ては、横恋慕する人妻の中へと一気に注ぎ込まれた。片や人妻、刹那は夫のことも忘れて、その歪んだ情熱に酔いしれる。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 目次へ |
「いよいしょっ! いよいしょぉっ!」 子どもの動きに合わせて、大人たちが声を揃える。 ここはマンション下の広場。今日は餅つき大会である。主役はもちろん子どもたち。といっても、参加しているのはほとんどが小学生以下であるから、杵をふるうのも危なっかしくて仕方がない。だから、大抵は大人が補助に付くことになっている。 「よいしょっ! それ、よいしょぉっ!」 今しも、小さな男の子が餅をつき終わった。まだ未就学児童の彼故、その後ろから杵を支えてもらっての作業であった。つまり、大人と子ども一組で一本の杵を振り下ろすのだ。 「よくつけたねえ」 今その補助役に就いていた男が、少年の肩に手を置きながら言った。米村というこの男は、このような奉仕活動に実に熱心で、地域でも知られた顔である。子どもの扱いも上手い。 男の子は嬉しそうに笑いながら、近くで見ていた母親のもとへと駈けて行った。母親、それを受け止めながら、米村ら担当者に会釈する。 それを見て、臼の傍で餅を返す役をしていた女性が彼女に声をかけた。 「お母さんもどうですか?」 「え、あたしですか?」 母親は困ったようにはにかんだ笑顔を浮かべた。そして、手を振って遠慮を表す。しかし、それは通らなかった。息子が喜んでこの企画に賛意を示したからである。 「そうですよ、碓井さんも折角だから」 米村も口を添えた。彼とこの母親、碓井鏡子とは知り合いの仲だった。地域の役員会で一緒になるからである。年は、今年やっと三十路をスタートさせた彼女に比して、彼は定年も間近の五十代と開いているが、同じ目的を共有する集まりに所属するうち、いつしかざっくばらんに話すようになっていた。 「そうですかぁ?」 方々から勧められて、仕方なしに鏡子は出て行った。午前中から始まった大会はもうあらかた済んでいて、順番待ちのいないことも彼女の登場を後押ししていた。 「じゃあ……」 杵を手に取る。成人である彼女に補助は必要ない。そう誰もが思った。が、その時だった。 「あっ!」 思い切りよく腕を振り上げた彼女が、なんと風にあおられてバランスを崩したのである。刹那、 「危ない!」 と、とっさに飛び出したのが米村だった。彼は、左手で竿をつかむや、右手で体を抱きとめて彼女を支えた。実に迅速かつ適切な措置だった。 「す、すみません……!」 鏡子は恐縮して首をすくめた。そうして、 「意外と重いんですね、これ……」 と、照れ隠しに言い訳をした。 その髪の香りが、米村の鼻腔をくすぐる。体を受け止めた手前、距離は近かった。彼は、右腕をちょっとこわばらせた。そこに乗る背や肩から、柔らかさと温もりが伝わってくる。 結局、鏡子は大人ながら、彼に手伝ってもらって餅をつくことになった。後ろから杵を持ってもらいつつ、ともにそれを振り下ろしていく。 「いよいしょ!」 さっきまでよりもややトーンの下がった掛け声が、後ろから聞こえる。ちょうど頭一個分米村の身長が高い。これが子どもだったら、彼の腹の辺りまでしかないところだが、さすがに成人女性ともなるとそんなに身長差は生まれない。自然密着の面積も大きくなる。声が遠慮勝ちになるのも無理からぬところだ。 しかし、妙な気遣いが差し挟まると、互いの間に微妙な空気の流れ出すもので、鏡子はいささか気恥ずかしさを感じずにいられなかった。そもそも、男性に後ろから抱えられるという姿勢は、通常の生活で滅多にあるものではない。だから、表面上こそ平静を装ってはいるが、内心相手の温もりを意識せずにはいられなかった。 それは、片や米村においても同様であった。むしろこういう場合、男の方こそ気を使うものである。それがいけないことだと理解していても、頭のどこかではやはり彼女を女と見てしまう。男のさがである。それ故彼は、出来るだけ隙間を開けて立つように努力した。 「いよいしょ……!」 しかし、離れて立つと厄介なのは、腕の力だけで得物を支えなければならなくなり、とりわけ手首への負担が大きいことだ。米村にはちとこれが厳しい。そこで、やむを得ず足を前に踏み出す。そうすると、どうしても触れ合う部分が出てくるが、腰の踏ん張りを利かせるためには仕方がないのだ。 だが、これはこれで厄介なのは、また相手の女を感じ過ぎてしまうことである。米村は地域の役員を引き受けて、しかも評判をとる位だから、このような場で公然と性欲を露わにすることなぞ決してない大人であるが、どういうわけか今日ばかりは勝手が違った。やはり男の立場としても、このように女性と密着する機会などまずないからであろう。意表を突かれたようなわけだ。そういう時に限ってエロスを感じるということは、ままあることである。 「いよいしょっ……!」 そういうことは、女の場合にも少なからずある。もし最初から下心見え見えで近づいて来られたならてんで相手になどしないのだが、こういう風に突発的に接触の機会が与えられるとどぎまぎしてしまうのだ。たとえ、相手の男性に異性としての興味がまったくなかったとしても。いや、あるいはそれが為返ってドキリとさせられてしまったのかもしれない。いわゆるギャップの妙である。 米村のことは、いい人だと思っている。新人の鏡子にも親切に色々教えてくれる。それも決して、下心の故ではなくだ。だがそれにしたって、はるかに年上と認識している彼に、男性としての温もりを期待してしまったことは、彼女にとって意外なことに相違なかった。 折しも、彼の腰が臀部にぶつかる。彼が腰を入れて構えだしたためだ。その所為で、彼の重心はやや下方に落ちた。鏡子の髪は今、米村の鼻の先にある。 「よいしょぉ……!」 米村は、にわかな逡巡にさいなまれていた。甘い香りと白いうなじ、腕やその他から伝わる柔らかさと温かみ……、そういったものが彼の理性を揺さぶりにかかる。いくら“よその家の奥さんだ”“あの子の母親だ”と言い聞かせてみても、己の邪な部分がそれを遮って誘惑をしかけてくるのである。こんなことになるとは思わなかった。 彼も男であるからには、それは彼女の美醜に興味がなかったわけではない。下心の全くなく近づいたかと詰問されれば、これを否定しきれない心の弱さもある。彼女は若くて可愛らしい女性だとも認めている。考えだすと、彼女の丸顔、小ぶりな目・鼻・口、和風な面立ち、少しぽっちゃりとした体型、そういうものをちゃんとチェックしていた自分に気づく。 だがしかし、彼女は人妻、そして自分も家庭を持つ身である。何よりいい歳して、若い女に欲情するわけもあるまい。そう、そうなのだ。実に馬鹿馬鹿しいことなのだ。なのに、なぜ男という生き物は、その客観的な思考を実地に生かせないのだろうか。なぜその先の顛末に思いを致せないのであろうか。たった今の性欲、これに我が身を乗っ取られたら、男は終わりである。 米村はさりげなく、本当にさりげなく、股間を前方に動かしていた。目指すは女の桃尻。これに股間を触れ合わせる。無論、少しでも避けられたら即座に中止して誤魔化すつもりだ。 「い、よいしょ……」 鏡子はすぐに知った。時々“当たる”ことを。実は、そういう可能性もあるかと真っ先に考えついていたのである。だから、元から神経をその辺りに集中させていた。ただ、それが当たっていると感じたのは、自分の思い過ごしかもしれないとも思った。米村がそんな行動に出る人とは到底考えられなかったし、何よりこんな場所で白昼堂々とそんな破廉恥な行為が成し遂げられるとはとても信じられなかったからである。 だが、それにしても接触は確かにある。わざとではないかもしれない。しかし、確実に局部が当たってくる。それはさながら、餅に杵が沈むような感じである。不意にそんな例えを思いついて、鏡子はその低俗な思いつきに恥入った。だが一度思いついてしまうと、変な絵が脳裏に浮かんで離れない。柔い膨らみに直立した竿が、ペッタン、ペッタンと打ちつけられる場面である。 女だからといって、性的な妄想を抱かないわけではない。特にこうして具体的な材料を与えられたならば、つい善からぬことを考えて、無聊を慰めたりするものである。妄想は退屈な日常へのスパイスだ。そうして、これに好奇心が加われば、いよいよもってスリルなフルコースの出来上がりである。鏡子には今、不愉快な気持ちはなかった。その頬がにわかに紅潮していく。 「よいしょぉ……ぅ」 ペッタン、ペッタンというより、実際には、グニャリ、グニャリという感じで、杵が餅をこねていく。手元の話ではない。腰元の話である。そして、ついにくっついたまんまになった杵は、餅をへこませて止まった。杵は杵だった。餅をつくのに相応しく、固い。 米村は、とうとう上半身まで隙間なく密着した。完全に前方の背中全体に覆いかぶさる格好である。初めは恐る恐るだったのが、相手が拒まないのでつい調子に乗ったものである。年甲斐もなく、彼は理性を見失っていた。自分が刑罰に向かって歩み始めたことにも気付かず、ただ欲求に素直になるばかりである。 と、その時、突然に彼は前のめりによろめいた。これはわざとではない。単なる油断である。この時、思わず彼は、彼女を羽交い締めにせんばかりにきつく引き寄せていた。 「す、すいません!」 当然謝る。ただし、餅の割れ目に杵の竿を沈着させて。 「い、いえ……!」 鏡子は反射的に答えた。表向きこの会話は、ただアクシデントに付随したやり取りにしか見えなかったが、その裏には、米村が自身の思わぬ発情を人妻に謝罪する隠喩の意味があると、そう彼女は解釈していた。それ故に妙に緊張して、半ば彼の語尾にかぶせ気味に答えたのである。 「いよいしょぉ……っ!」 再び餅つきが始まる。まだ数回しかついていないというのに、鏡子は汗びっしょりだった。さっきから子どもらを手伝っていた米村ももちろんである。二人して汗かきながらの共同作業だ。 とはいえ、本来なら子どもの付き添いである母親の飛び入り参加、ちょっと体験すればいいだけであり、何も本格的にやらずとも良いはずである。そう気づいてから、鏡子はたちまち不安になった。いや、実際にはまだ十回にも満たない回数しか餅をついていないので、誰も不信には思っていないのだが、気になりだすとキリがないものだ。 臼の傍に座って餅を返している女性。鏡子よりもはるかに先輩のベテラン主婦だ。彼女はとうに異変に気づいていて、それでも指摘できずに固まっているのではないだろうか。それから、少し離れたところで談笑している母親たち。ひょっとしたら、自分たちの破廉恥行為を噂の種にしているのではないだろうか。そして極め付きは我が息子。彼は大人の性向をまだ知ろうまいが、いずれ大きくなってから思い返して、この事実を疑うかもしれないし、そうでなくても、これはれっきとした裏切り行為である。 「よい……しょぉ……」 一方、この手の不安は米村にもぼつぼつ感じられていた。やはりまだ命は惜しかったと見える。ここでようやく、性的欲求を保身の利益が上回った。すると、直ちに彼は行動に出た。 「もう出来ますかね……」 杵が臼に落ちた時点で、ぱっと鏡子から離れる。一旦思いきると潔い身の引き方である。 これは鏡子にとり意外だった。もちろん歓迎すべきことであるが、いざこうなると、なぜか一抹の名残惜しさもある。ともかく、これで体験は終了だった。 ところが、実際の終了はもう少し後になりそうだった。臼側の女性が知人に呼び出された為に、役の交代を依頼してきたからである。これを断れない鏡子だ。今度は餅をこねる方を体験することになった。例によってこれに声援を送る息子が、自分もやりたいので、傍に駆け寄ってきて座った。親子並んでの延長戦である。 もっとも、今回は米村と離れているのだから何も憂慮すべき点はない。……はずだった。が―― 「よいしょ……ぉっ!」 代わって一人で杵を振るうことになった米村。それはいい。臼の前に立って己の作業に没頭している風だ。そしてその足元で、鏡子らが餅をこねる。足元で……、つまり、彼の腰辺りがちょうど顔の近くにあるわけで―― 「いよいぃしょぉっ!」 見てはいけないと思った。しかし、一度でも見てしまうと、どうしても目線がそちらに引っ張られる不思議。そうでなくても視界にはそれが入り込んでくる。鏡子は、息子がそちらに気づいてくれないように祈りながら、懸命に顔を伏せる努力を行った。 米村のジャージの股間には、突っ張った山が出来ていた。それが目線の周辺で存在を誇示する。こんな状態を見せては言い逃れできないではないか、と彼の心を責めてもみる。だが、この状況を回避する手立ては考え浮かばない。心なしか、山の頂きには雨が降っているようだ。本当はそんな事実はないのであるが、彼女にはそんな幻影が見えていた。濡れた染みの広がる光景だ。 「よいしょっ!」 当然米村にも自覚はあった。なんとなれば、濡れたわだかまりをすら見せつけたい位だ。欲情してしまった彼は、さっき折角踏ん切りがついたところだというのに、まだしつこく抵抗を試みていた。未練である。 この行為がどんなにリスクのあることかは分かっている。否、本当の意味では分かっていないかもしれない。ことが露見すれば、身の破滅だってあり得るのだ。それなのに見せつけたい衝動を収められないということは、危機への実感が足りないからであろう。その裏には、ひょっとしたら彼女はまだ一連の行為に気づいていないかもしれない、なんて、そんな甘い考えもいまだにあった。 「いよいしょぉっ! いよいしょぉっ!」 餅つきとは、古来男女の営みを象徴化したものという。打つ男性と受ける女性、そして、共同作業で餅を誕生させる構図。今、知らず知らずその象徴的意味を体感しながら、互いの心を一つにして、餅つきに精を出す男女であった。 〈おわり(?)〉 |
子宝混浴 『湯けむ輪』 ~美肌効姦~ こだからこんよく ゆけむりん びはだこうかん ――午前零時五十分 一方、彼は何の頓着もなくアナウンスを続ける。“素人”“人妻”“痴女”などといった、卑猥な煽り文句がその口から並べたてられていった。どれも、本日の“挑戦者”を表す単語である。 倫子の顔面から、一瞬に血の気が引いていく。耳朶を通過するどんなあざけりの言葉も、彼女は黙認することができた。しかし、名前は、名前だけは聞き逃すことができない。鎌先は、今確かに“リン”と言ったのだ! 彼女は眼を見開いて、正面を見た。そこには、授業参観よろしく部屋の後方にいならぶ男達の姿があった。父兄ならぬ、性の亡者どもである。ちらちら飛び散る妖しげな淡い光線にまだらに照らし出されて、彼らの顔一つ一つがスローモーションのように浮かんで消えていった。すると、それらはいずれもニヤニヤとほくそ笑んでいるではないか。 (知っている? わたしの名前を!) そう見なすのも無理からぬことだ。偶然にしても、“リン”などという名をたまたま思いつくとは話が上手すぎる。夫、ないしその仲間から聞き出したと考えるのが妥当である。 (ああ……!) 倫子は絶望の淵でめまいによろめいた。夫、仲間、そう、みんないるではないか。ここにみんな揃っている! 右手前に鶴巻(つるまき)、肇の父である。その後方に新木(あらき)、翔太と修次の父。その左側には亀山(かめやま)、まだ幼い娘がいる父親だ。いずれも知りぬいた仲。日頃から同業の誼で、家族ぐるみの付き合いをしている父親達であり、今回の旅行にも共にやってきた。 妻達はいない。ここに来て、その理由は質すまでもなかった。いわゆる、“そういう店”なのだ。妻には分からない、男だけの享楽の間。それが証拠に、見よ、彼らのあの堕落した態度を。誓って言うが、彼らの内誰もが、日頃は良き夫、良き父親なのである。それがどうだ、公衆の面前で下半身を露出しては、どこの誰とも知れぬ女どもに、金で口唇愛撫を強いているのである。 倫子は視線をそらした。正視に堪えなかった。今日は散々男どもの野獣にも勝る本性に触れてきたというのに、こと知っている人間となると桁違いの不快感があった。彼女は、彼らを軽蔑し、一方で憐みもしながら、体を震えさせた。衆人環視の中、マスク一丁のほかに全てをさらけ出した裸体を。 (なんてこと……) ここは地獄である。ここには絶望しかない。人の世に地獄はあったのだ。母として、妻としての倫子の終焉、それを目の当たりにする夫達の、よりにもよって退廃的なふしだらな態度。それらがぶつかって生まれた、これはもう奇跡だった。 鎌先にエスコートされ、倫子は白痴のようにふらふらと覚束ない足取りで、前方の席に進み出た。鎌先が何か言っているが、もう何も聞き取れない。混乱が板に付いていた彼女をさえ、さらに新たな、そして大きな衝撃で驚かせる男達の鬼謀に、倫子は完敗だった。笑いたくなる位だ。 「いいの? ほんとに?」 前面の男が、何か問うている。倫子は彼によって、力無く抱き寄せられた。彼の裸の腿にまたがる格好で。 「――生本番オーケーでございます。衛生面も心配ございません。本日だけのシークレット・マッチ! 本日だけの完全未経験の素人奥さまと、お客様方だけのサービスです――」 鎌先はほかの者にも聞こえるように、マイクを通して返答した。その後は場を移動して客席から離れながらも、また時折不鮮明なトーンで何か煽っていた。 「――奥さん素人だって? ――まだ入ったばっかり? ――この辺の人?」 男は倫子の腰を抱きながら、立て続けに質問を浴びせかけた。倫子は一つも答えないが、それでも彼はめげずに、むんずとそれぞれの乳房を鷲づかみにしながら、下卑たトークに余念がない。 「――顔が見えないのが残念だけど……いい体してるねえ」 既に劣情は高揚しきっているらしく、その手さばきには勢いがあった。ほとんど乱暴ともいえる位に、乳房を激しく揉みしだいていく。思い切り握り締めたり、そのまま縦横にぶんまわしたり……。 「リンさん……だっけ? おっぱい大きいねえ」 彼の声は聞きなじみのある、低くて渋みのある声だった。倫子はふいにはっとして顔を上げた。まるで今初めて気がついたかのような感覚である。だが、これは夢ではないのだ、そこにいた人が急に入れ替わるなどということはありえない。そうだ、彼は鶴巻、肇の父親にして、今回の団体の中で最も付き合いの長い人だ。 思わず直視した彼の目と、こちらの目が合う。鶴巻はそれを興味の表れと前向きにとらまえて、現行の話題を続けた。 「ねえ、おっぱい大きくていやらしいねえ。こんなでっかいおっぱいしてたら、そりゃあスケベにもなるよねえ。ねえ? スケベなんでしょ? リンちゃんは」 その発言は、先ほどの鎌先のマイク・パフォーマンスを踏まえたものだった。その中で倫子は、“淫乱”だとか“スケベ”だとか言われていたわけである。 倫子は鳥肌立てて顔をそむけた。こんな彼を見たくなかった。それは確かに一男性として自然な態度ではあるだろう。だが、肉欲を満々に漲らせて、それを露骨に露わにする彼の姿は幻滅ものだった。しかも、親しい知人の妻である自分に向かって……。 「アッ……!」 鶴巻の指が秘所をまさぐって、倫子は反射的にあえいだ。そして気づいた、相手が決して自分を、すなわち板橋(いたばし)の妻、倫子を対象としているわけではないことに。あくまでも、素人ホステスのリンに欲情しているらしいことに。 「ああっ、リンちゃん、ビショビショじゃないかぁ。やっぱりスケベなんだなあ」 嬉しそうに言って、鶴巻はさらに彼女の尻を近くに抱き寄せた。その柔らかいたわみに、屹立した肉棒が接触する。 ありえないことだ、と、倫子は動揺した、こんなマスクのおかげでまだ正体がバレていないなんて。いや、それよりもっと切実な問題は、鶴巻と性交してしまいそうなことだった。 <つづく> (001)19:53~(010)20:15、(011)20:18~(020)20:44 (021)20:47~(030)21:07、(031)21:09~(040)22:03 (041)22:22~(050)23:53、(051)23:54~(060)00:20 (061)00:24~(070)00:50、(071)00:24~(080)01:36 (081)01:45~(090)03:59、(091)04:12~(100)05:46 (101)05:52~(110)07:07、(111)07:15~(120)08:35 目次へ |