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なお、掲載している小説はすべて虚構であり、実在の人物・団体等とは一切の関係がございません。

    
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小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

ママの枕 ~ステージ7~

 灯りのともった看板が車窓の外を流れていく。ミナミはそれらを瞳に映しながら、心では先程までの邂逅をずっと思い出していた。

 運転席のヒサキは終始無言である。ジンの手配によって、彼のマンションまで迎えに来てくれた彼女。着替えまで用意してくれていた。その際かけた礼の一言以来、会話は途切れている。

 もっとも、今日あったことは話せるはずもない。誰とも共有できない経験だ。が、話したい気持ちは山ほどある。この胸の高鳴りは今なお冷めやらない。

「また逢える?」

別れ際、そう彼は聞いてくれた。さっきからもう何度も思い返しているシーンだ。その問いに、ミナミはただ素直に、極めて素直に頷き返した。何らの懊悩も、逡巡も差し挟むことなく。

「ン……」

官能的疼きに襲われて、彼女は運転席に気付かれぬようにそっと目を閉じた。サイクルは長くなってきたが、先程来何度もやって来ている。もう事後随分経っているのにだ。こんなことは初めてだった。

 思えば、ジンとの交わりは初めて尽くしだった。始まりのキスからしてそうだ。抱き締められ、そのまま唇を重ねられて、それから長い長い唇と唇の触れ合い。頭の中が蕩けてしまった。立ち尽くす足から力が抜けて、彼女は何度も崩れ落ちた。その度にジンに助けられた。そしてミナミは、軽くイッた。キスだけでイッた。これがまず初めてのこと。

 総じて、ジンの手際は鮮やかに丁寧だった。といって、これまでの業界人らの如く、経験の豊かさをまざまざと見せつけるような力ずくないやらしさが全く感じられない。とにかく優しく、女性の体をじんわりと温め、その性感を着実に高めていく、いわば施術である。全身隅々まで指の這わされぬ所はなかった。愛されている実感が体内に満ち満ちてゆく。ミナミは二の腕をちょっと掴まれただけで、またしてもイッた。

 本当に、何度エクスタシーを味わったか分からない。いくらミナミが感じやすい性質だからといって、性器に触れられる前からそこまでの境地に至ったことはない。まして、彼は乳房すらを後回しにしたのである。ミナミのシンボルとも言える、過去の男性がまず飛びついて確保した部分をだ。なんという離れ技であろうか。おかげで、その舌が乳頭を捉えた時には、彼女の絶頂は既に目盛を振り切っていた。

「アッ……ゥフゥ~……ッ!」

快楽の大海原に漂い全身に波を受けて、ミナミには早くも疲労が襲い来ていた。オーガズムと共に寄せる、あのぐったりとする感覚だ。彼女の理性を辛うじて保ったものは、ジンの優しい笑顔だった。

 彼に誘われ、彼の分身に挨拶する。それは、本人と同様に悠然とブレもせずに立っており、何より美しく映った。ミナミはそっと手を伸ばし、柔らかい毛と共に根元を握った。

「あぁ……」

うっとりとため息が漏れる。指先からどんどんと生命力が伝わってくる。それに女性自身が激しく反応する。

「(信じられない、持っているだけで!)」

彼女はもう片方の手も添えた。もっと感じたいという思いと、両手でしがみつかなければ耐えられないという思いで。実際そうしているだけでアクメが止まらない。秘園は土砂降りで、花びらは大輪を開き切って生命を謳歌している。

「(いつまでもこうしていたい)」

ミナミはそう願った。だが、ただしがみついているだけで相手が満足するとは思えない。彼女は何より、ジンに喜んでほしかった。かつはまた、己の欲求だって当然にある。ミナミは、陰唇と同様に濡れそぼった唇を開き、唾液で溢れかえった口中へバラ色の三角錐を招じ入れた。

「ン、ンンフゥ……ッ!」

途端に走る電流のような強烈極まる刺激。感涙を浮かべてオーガズム。ミナミは幸せだった。幸せ過ぎて恍惚となった。こうなるともう止まらない。後から後から湧いてくる唾液をかき混ぜながら、肉竿に夢中でむしゃぶりつく。そして絶え間なくイく。

「(どうしてこんなに……美味しいの!)」

信じられないことだった。今までどちらかと言えば嫌々やってきた行為、少なくとも自分の何の得にもならないと思ってきたことが、今全く逆の結果を生んでいる。フェラチオだけで昇天できた。甘美な味は彼女の幸福感そのものだ。

 しかし、その幸せも一旦打ち切られた。彼の指示であった。

「(もっとしてあげたいのに……)」

遠ざかる肉棒を恨めしそうに見送るミナミ。それはたっぷり濡れて輝いていた。ジンはそこへコンドームをかぶせる。そうして、先に寝かせたミナミの横へ寝そべると、彼女の割れ目を確かめるように軽くいじった。

「ンッ!」

ミナミは不安に身構えた。快楽への興味は尽きない、が、快感に我を忘れてしまうことが怖いのである。彼女はぐっと歯を噛んだ。

 しかし、そんな付け焼刃が通用するはずもなかった。ジンはペニスをあてがい、その愛液の海へとゆっくり沈めていく。

「ンンアアァ~……ッ!」

入った瞬間、ミナミは高らかに啼いていた。慌てて口を覆うも、時既に遅し。そんな彼女へ覆いかぶさりながら、ジンはニッコリとほほ笑んで言った。

「結構おっきい声出すんだね」

 ミナミは耳まで赤くなった。恐れていた通りだと。一方、ジンはこうも言った。

「すごく興奮する。もっと聞かせて」

 それを聞いて救われたというでもないが、確かに少しだけ気が楽になったミナミだった。もっとも、彼女に元々こらえられる余裕などないのだが。

「アッ、ンッ、ンッ……!」

許しは得たものの、やはり気を使って控えめに声を漏らす。男の欲しがる喘ぎ声など、所詮は可愛げのあるレベルだろうと彼女は思っている。そして、自分のそれは限りなく下品なものであるとも。だから結局は歯を食いしばって耐えなければならない。

 それともう一つ、重大な問題。

「(ああっ、ダメ、見ないで!)」

ミナミは出来るだけのけ反ったり横を向いたりして顔を逸らした。感じている時の醜い顔を見られたくなかった。化粧すらしていない年増女が性に狂う顔。この期に及んで失うものもなかろうと言うは易し、当事者にとってはやはりやり切れないものである。

 すると、またぞろそんな女心を見透かしたかのように優男が囁いた。

「かわいいよ、感じてるミナミ」

 彼の眼はしっかりとミナミのアクメ面を見据えていた。たちまち堰を切ったように溢れ出す女の声。

「ア、アア、アアア~……ッ!」

人間楽な方に流れるもので、彼女の場合もそうだった。免罪符を得て、彼女の理性は飛んだ。

「アッ、アガッ、ガアハナァ~……ッ!」

 正気を失えば、むしろ楽である。こんな声を出してはいけない、こんな顔を見せてはいけないと気張れば気張る程、その行為の虚しさを知らしめられるばかり。片や、快楽に己を解放してしまえば後は愉しむだけである。許しだって出ているのだ。

 ジンは粘っこい動きから次第に速めていき、やがて一定スピードを維持しながらペニスの出し入れを行った。そうかと思うと、突然それをやめて、横の回転を入れ出す。腰使い一つとっても、実に巧みであった。が、果たしてそこまでの技量が今の場合に必要であっただろうか。ミナミはただ一突きごとに絶頂していたのだから。

「アグッ、ダメ、アアッイ……イギヒィー……ッ!」

我を忘れて啼きながら、彼女は今度こそ、"今が永遠に続けばいい"と願った。ペニスが、セックスが、これほど気持ちいいと素直に思えたことがあっただろうか。今更ながらに、セックスのセックスたる意味を悟った気がする。やはり相手あっての行為なのだと。相手こそ重要なのであると。これはもはや、営業ではなかった。

――事後、散々気をやってヘトヘトになって、ただただ幸福そうにベッドに横たわる人妻をしっかりと抱きしめながら、ジンはそっと囁いた。

「大丈夫。コウ君のことも、ぼくに任せて。ね?」

 何もかも許されたような、胸のつかえがスーッと取れるような救いの言葉。ミナミの目から、温かい水が零れ落ちる。そのまま彼の胸に甘えると、彼はより深く抱きしめてくれた。


〈つづく〉


ひとみの内緒話
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