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R18
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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

大輪動会-プログラム#21-

 *

「ただいまあ」

ガヤガヤと騒ぎながら、教室に数人の男達が入ってきた。すなわち、小林、羽根沢、森岳、沼尻の四名である。一旦離脱した者達が、また輪に戻ってきたわけだ。

「ヤッとるか?」

小林が居並ぶ面々を見回して、同行者と笑い合う。彼は羽根沢ら三人と元々顔見知りではなかったが、今日の経験を通して急速に間を詰めたものだ。彼自身、人当たりの柔らかい性格の為もあるが、加えて、この特殊な目的の共有が彼らに一体感をもたらしていたのは確かである。

「や、それがね、ちょっと」

矢板が帰還者らを制止して言う。そこで、小林も気づいた、ヒロインが合体を解き、あまつさえシャツと短パンを着用していることに。矢板はかいつまんで説明した、鎌先の計画を。

「なになに、スカですか?」

「やめてよ、こんなとこでブリブリは」

森岳と羽根沢がぶつくさ言う。沼尻は別な興味を持っているらしかったが、その場の趨勢は前者らに傾いていた。

「だからね、これから移動してもらおうってわけ」

鎌先が皆の意を汲み、なだめに回る。本事案の提案者として責任を持って遂行するつもりである。

 彼が向かおうとしている場所、それはトイレであった。そこへ有紀を連れていこうというのだ。その為にわざわざ服も着させた。道中で誰に出くわすとも限らないからである。その辺り、配慮である。その上、

「学校となれば、シャワーもあるからね」

とも付け加え、計画は万全であると説いた。

「しかし、これほんとに必要かね」

羽根沢はまだ鎌先のやり方に疑問を持っている。そこで鎌先は、

「そりゃそうさ、具合が全然違うよ。それに一回綺麗にしておくと、後々絶対いいよ。かえって楽だよ」

と、力説した。且つはまた、「もう浣腸しちゃったから」という切り札を出し、やむを得ないことだと最後は力ずくでねじ伏せた。

「フーン……」

聞いていた沼尻が、有紀の尻ひだをむんずと掴み、プルプルと揺する。

「これこれ、危ないってば」

見かねた袋田が、思わず後ろから注意した。漏らされるのを恐れたのだ。すると沼尻は笑って、

「もってくれよ、奥さん」

と、有紀の耳の裏に息を吹きかけた。

 有紀は既に気が気でない。もう始まったいたのだ、究極の焦りが。脂汗がにじみ、周囲の声も耳に遠い。

 いよいよ移動という段になって、付き添い兼監視者が選ばれた。すなわち、鎌先と沼尻である。大人数はもとより、年少者も不向きと鎌先が判断しての人選だ。この程度の役は二人で十分だとも。

「大丈夫か」

と、森岳は友人の酔狂を危ぶんだが、自分が行くとは決して言わない。そういう嗜好は全くないのである。この点は、ほかの者も一緒だ。文字通り、臭いものには蓋、という心境で、いかな劣情異常者共も、こればかりは見たくないというのが本音だった。

 こうして鎌先と森岳は、鬼気迫る有紀を介護して部屋を後にした。

 *

 あらかた撤収作業も終わった運動場にて、懸案はいよいよ有紀の荷物であった。手にした役員女性らは、まさか放置も出来ず、持ち主のことも探しあぐねていた。

「どうすんの、これ」

疲れた体には、バッグも重い。まして、重さ以上の重み、いや恨み。

 そんな時、仲間の一人が軽やかな声を上げた。

「あら、先生」

そこには、当校の女性教諭がいた。三人が渡りに船と事情を説明すると、

「まあ……」

と、この生真面目を絵に描いた様な教師は心からの同情を寄せ、すぐに学校で預かることを承諾した。ただ、生憎彼女は段ボール箱の荷物を抱えている。

「職員室まで持っていきますよ」

「ホント? すみません」

結局保護者三名連れだって、有紀のバッグを運ぶことになった。先を行くのは女教師。そのまま校舎の中へと一行は消えた。

 *

「ウ……ちょ……」

ぎこちない動きで、有紀が立ち止まる。さっきからもう何回もだ。

「おいおい、こんなとこで漏らさないでよ」

ニヤニヤしながら沼尻がからかう。しかし、それに感情を波立たせる余裕もなく、有紀はただひたすら神経を集中させて耐えていた。

「ン……」

二、三歩進んでは、また立ち止まる。震える息を吐く。本当なら一刻も早く極楽にたどり着きたいのに、だが駄目なのだ。

「(もう許して)」

そんな風に懇願する段階は、むしろ余裕のある時だと思う。実際、用便には立たせてくれているわけだ、管理下とはいえ。それだけ切羽詰まっているわけだ。ただ、ただ、そこに至る道のりが遠い。遠い!

「ア……」

もう終わりだと何回も諦めかけた。それを寸での所で踏みとどまって、また一歩踏み出す。もはやガスを漏らすのさえ恐ろしい状態。内股となり、足を小刻みに揺らして誤魔化す。肛門が熱い。

「頼むよお、奥さん」

沼尻は益々嬉しそうに、またしても彼女の尻たぶを揉んだ。さすがの鎌先もこれには苦笑して、

「コラコラ」

とたしなめる。相棒の嗜好が分からぬでもないが、今は時間も大切だ。

「ン、グ……」

もの凄い形相で、有紀は歯を食いしばった。腹部の不安は極限にまで達し、もう一刻の猶予もない。腹の中がグルグル鳴って異常を警報している。

 段々と大腿部から臀部にかけて感覚がなくなってくる気がする。考えてみれば、排出口自体がいつもの形と違うわけだ。さては、しっかりと締まっていないのではないか。あんなに太いものでくり貫かれたではないか。まだ開いているのでは? そして、そこからこぼれているのでは? ネガティブな思考は絶えない。

 そんな時だった、角の向こうから女の話し声がしたのは。

 咄嗟の機転で、鎌先が沼尻の腕を掴んで去る。掴まれた方は驚いたが、相手の視線に威圧されて否も応もない。鎌先の動きは素晴らしく速かった。あっという間に物陰に移動した。夕暮れ独特の慣れない目が、彼らをかばったのは幸運だったろう。

 だが、不運の極みは有紀である。ここで、彼女の頑張りは絶えた。

「あっ!」

ほとんど声を揃えて驚いたのは、かの女教師と保護者連中である。尋ね人とばったり出くわしたわけだ。

「ちょっと金光さん――」

早速教師が詰め寄る。その刹那だった。

「え?」

「ああっ!?」

「キャーッ!」

一斉に轟いたのは悲鳴。空っぽの廊下にこだまする。それと相前後して炸裂するは、有紀の足元の……

「イヤッ!」

すばしこく跳ね下がる女性陣の足に黄色く濁った飛沫が襲いかかる。ドドドッという怒涛が高みから放たれ、その場は一種の修羅、あるいは混沌と化した。

「な、な……!?」

瞬間、女性教諭は理解が及ばなかった。しかし、それが追いつくのと、怒りが沸騰するのとはほとんど同時だったろう。

「な、なんなんですか!」

怒鳴るや否や、彼女は理性を失っていた。眼前に出現したもの、それは校舎の廊下にあってはならないはずの沼であった。そしてその中心に、何やら茫洋とした人物が立っている。いや、知るも知らぬもないその女!

「あなた、何を……! いい歳して……ああ、もう……信じられない!」

小刻みに震える全身が、彼女の気の動転を如実に表している。そのヒステリーは、むしろ周囲の付き人を僅かに冷静にした。

「あ、か、片付けましょう……」

一人が言って、周囲を素早く見渡す。すると、掃除用具の入っているらしいロッカーが見つかった。連れの者達も同じ所へ緩々と向かう。しかし、生憎ながらこの不始末を片付けるには、その中の用具では不足であった。

 すると、まるで八つ当たりめいた風で吐き捨てるように女教師が言った。

「わたしがやりますから!」

彼女はすぐに駆けていって、どこからともなくモップとバケツを持ってきた。

 それをただ見ている主婦らではない。ある者は新聞紙を広げて落とし、またある者はそれをかき集め、最終的にゴミ袋にそれを回収していった。おかげで仕事は捗ったというものだが、さりとて好ましい出来事であるはずもない。

「うう……」

各々鼻をひん曲げて悪臭に耐える。実際以上に強烈に思えるものだ。そもそも、何が悲しくて、大の大人のお漏らしを処理しなければならないのだろう。考えるだに情けなくなる。認知症老人の介護ではあるまいし。

 そう思った時、ふと一人が当事者を見上げた。そいつはなんと当初の姿勢を崩すことなく、呆けたようにそのまま立ち尽くしているではないか。

 有紀は、ただ立っていた。自分でも自分が信じられなかった。粗相などという表現は可愛らしすぎる。もはや世界の終わりだと思った。

 今朝食べたのはなんだったろう。そうだ、ヨーグルトとフルーツだ。美容に気を使ったヘルシーメニューだ。昼は抜いた。だから、それ程でもないはずなんだ。そう、だからこの量で済んだ……

 彼女は立ち尽くしたまま硬直していた。どんな気休めも通用しない。その股の間から、何かの滴が落ちて波紋をつくる。そう言えば、胃腸からではなく尻から直接注がれたものもあったはずだ。食べ物以外に、出てくる汁もあるはずだ。それを、目の前の女どもが掃除している。ガラス珠のような目で有紀は前を向いていた。

「いつまでそうしているんです!」

怒号が飛ぶ。木偶の坊に、ヒステリー教師が気づいたのだ。

「ああ、もう!」

苛々としながら、彼女は博愛に動いた。自分が果たさねばならない職責に、そして相矛盾する侮蔑の情に苛々としながら。今為すべきこと、それは、有紀をトイレに行かせ、シャワーをさせ、着替えさせ……

「トイレに行くとか、しさいよ!」

通常であったなら、保護者にこんな口の利き方はせぬであろうが、今は自制できなかった。無論、誰もそれを責める者はない。

 暗がりの中動く人影は、同じ日に運動会があったとは想像もできない程、陰鬱な表情に沈んでいた。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼廊下
有紀、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼教室B
前原
▼教室C
慶介、浩樹、竜二、服部
▼廊下(教室Bの外)
比嘉
▼校舎裏
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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[2017/06/30 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#22-

 *

「シッ!」

服部は話し相手と目を見合わせた。竜二とて制止されるまでもなく気付いていた。大きな騒ぎ声が校舎内に響いている。

「何?」

パソコンに向かっていた慶介と浩樹も立っている二人の方を見る。その横顔をモニターの光がぼんやりと照らした。窓から射す夕日もいよいよ絶えつつある。

 見てこようかと申し出た竜二を、まあ待てと服部が止めた。今人に見つかっては説明が厄介だ。少し静まってからにしようというのが彼の考えである。

 結局彼らが部屋を出たのは、浩樹らの作業が一通り終わってからであった。

 *

 待たされる身には、一分一秒が通常よりも長く感じられる。まして、一人取り残されているならなおさらだ。前原は苛々とした感情から次第に不安になっていった。日は刻々と暮れていくというのに、相変わらず事態に動きがない。忘れられているのではないか、そう思って何度も扉の方に行った。そして、窓の向こうにいる人影を見てまた元へ戻る。それを繰り返した。

 そんな時だ、女の悲鳴らしきざわめきが聞こえたのは。

「なんだ!?」

咄嗟に彼は入り口へ駆け寄った。外にはやはり見張りが立っている。彼はコンコンと窓を叩いた。見張りの男が振り返り、そしてうるさそうに扉を開けた。

「なんだ?」

また便所か、という態である。

「なんだじゃないよ、聞こえたでしょ、さっきの」

「ああ……」

比嘉は気のない返事をした。しかしその目には明らかに動揺の色が浮かんでいることを前原は見逃さなかった。

 実際、比嘉は動揺していた。さっきの叫びが聞こえた時、すぐに思い浮かんだのは最悪の事態。すなわち、金光の母が、就中その“現場”が抑えられたことであった。考えてみるまでもなく、これだけ人の行き来する閉鎖空間で、絶対に見つからない場所などあるはずもなかったのだ。

 それでも表向き平静を装い、

「何か……転んだか……荷物でも落としたんだろう」

と、うそぶいてみたが、既に見抜いている前原はなおも食い下がる。

「いや、そんな風じゃなかった。あれは……」

ここまで言いかけて、彼は口をつぐんだ。その脳内にも比嘉と同じ推理が浮かんだ。

「じゃ、じゃあ――」

ここで比嘉が攻勢に出た。

「見に行くか?」

それは、彼らが初めて邂逅した、あの目撃事件を髣髴とさせる提案だった。

 前原はちょっと考えた。だが、どういうデメリットがあるかすぐには判断しかねた。

 比嘉も言う。

「だ、だけど、あんた、見つからない方がいいんじゃないか」

事が大きくなってこじれる、というのである。それは確かに前原にとって望ましくない展開だった。

「しかし……」

前原は比嘉を見た。お前が見てくればいい、と。

「俺は見張りだ」

これでは押し問答である。彼らの移動もやはり、隣室の動きに合わせざるを得なかった。

 *

 思い切りの悪い佳彦は、その時、やっと校舎裏口を開けて中に入らんとしていた。そこで、かの悲鳴を聞いたわけだ。

「ヒッ!」

彼はびっくりして固まった。暗がりの中、人がいるかどうかも怪しい静けさの中に、突如として響いた女達の叫び。ちょっとしたホラーであった。

 やや時間を置いて、彼はやっと少しの落ち着きを取り戻すと、依然身を低くしたまま、這うように廊下に出た。しかし、すぐに首をひっこめることとなる。

 廊下の先に幾人かの人影があった。内容の分からない話し声はそこから響いてくる。

 もう一度、そっと覗き見る。よく見ると、ひとりだけ呆っと突っ立っている者がいる。白い影。佳彦にはそれが、まるで幽霊のように見えた。そう思うと、もうそうとしか見えない。

 すると、どうだ、それがくるっと踵を返し、こちらを向いたではないか。

 目が合った、気がした。彼はヘナヘナとその場にへたり込むと、しばし膝を抱えて震えていた。幸か不幸か、それが汚辱まみれの我が母とは知るべくもなく。

 *

「後ですぐ折り返す」

画面にはそうメッセージが表示されていた。島田からの返信だ。小林が現状を報告したものである。打ち上げに向かった島田や鈴木からは金光夫の現状を、他方居残り組からは金光妻の顛末を連絡することになっている。

「やらかしやがったな」

矢板が苦笑いした。さっきから続々と密偵からの報告が届く。それを聞いた第一声だ。

 悲鳴が聞こえてこの方、旧現場たる空き教室からは次々と身軽な者が偵察に出された。おかげで、何が起こったのか、彼らはつぶさに把握していた。実のところ、あまり聞きたくない話であり、露骨に気分を害した者も少なからずいた。

 しばらくすると、小林に島田から電話が掛かってきた。

「おいおい、さっきの話、本当かい」

開口一番、島田は非難の言葉を口にした。

「だから言ったじゃないか、あんまり羽目を外しちゃいけないよって」

「いやあ、そうは言ってもねえ、血気盛んな男達だもんだから」

小林が擁護する。鎌先のやり方が特別気に入っているでもないが、色々と面白い流れだとは思っている。いわば、彼にとってこれは祭りのようなもので。

「それにしたって、限度があるよ」

島田は納得出来ない。前原を捕える所からのくだりは、彼が大よその絵を描いてきた。高橋が、かつて入札案件で金光に出し抜かれた策をヒントにしたものだ。高橋は、いわばハメられたのであった。

 今回のケースで言えば、金光の顧問弁護士・前原に罪を押し着せ、スキャンダルで金光に打撃を与える作戦なのである。そのことは、主だった者達にも周知していたはずだ。事実として、大筋そのように事は運んでいるが、新入りの提案はイレギュラーであった。

 基本姿勢として、これ以上に事を大きくしたくないというのがある。保身が第一だ。それは共通認識のはずだった。が、一方で狂気的な性欲は否めない。大体からして、島田もその故に、打ち上げに立つ間際まで性交していたではないか。自分が済んだからいい、というのでは筋が通らない。島田もその弱みは自覚していた。

「まあ、とにかく――」

一段トーンを落として、彼は言った。

「そろそろ幕引きに向かわないといけないし、それに、とりあえず場所を――」

「ああ、それなんですけど、大輪館を使えばいいんじゃないかって」

小林が遮って言う。

「え? どこだって?」

「た・い・り・ん・か・ん。ほら、温泉の」

「ああ、ああ、温泉の。あの流行らない宿」

「ハハ、そうそう。あそこの人がね、仲間にいるんですよ、袋田さんと……ええっと……」

「いや、しかし、いくら人が居ないと言ったって、旅館だろ」

「それがね、今日休館日で――まあ、それで従業員さんが運動会に来てるんだけど――わざわざ開けてくれるって」

「ほお……」

思いがけない提案に、島田は思案した。確かに、それなら見つかる可能性は低いが、と同時に、この狂乱がもっと続くということになる。

「ああ、タダでいいって言ってますよ。サービスですって」

小林が電話する後ろで、袋田が笑顔で肯いている。その横から藪塚が、

「どうせ開けてても、お客が来ませんから」

と、電話口に聞こえるように叫ぶのを、袋田が“声が大きい”と、肘で小突いた。

「しかし、そんなに長くは出来ないよ。金光の奴が帰るだろうし」

「そこは島田さん、お願いしますよ」

「無理無理。わしはあいつと口も利けないんだから」

「そんなこと知りませんよ」

ワイワイと相談をし、結局可とも不可とも言えないままに島田は電話を切った。宴席に戻らねばならないからである。とはいえ、彼がどう望もうと、一行が大輪館なる旅館へ行くことになるであろうことは、もはや疑いがなかった。やると言えばやるだろう。もう男達の狂った劣情は止めようもないのだ。

 島田は、会話の最後に、有紀の荷物が残されていること、そしてその中に自家用車の鍵が入っているであろうことを伝えた。本来は、それらの回収によって、有紀を自宅までこっそり宅配し、終幕しようと目論んでいたのである。

 *

 有紀は身を清める為にシャワーを浴びていた。その足元がふらつく。だが倒れることはないから大丈夫だ。なぜなら、同じシャワーボックスに入って、わざわざ手伝ってくれる男達が居るからである。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼シャワー室
有紀、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼教室B
前原
▼教室C
慶介、浩樹、竜二、服部
▼廊下(教室Bの外)
比嘉
▼廊下(校舎裏口近く)
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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[2017/07/12 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#23-


 *

 部屋を出ながら、慶介は服部に聞いた。

「でも、こんなんで上手くいくんすかね」

「いくさ。いかせる」

服部は短く答えた。その横顔はこれまでの大らかさから一転、冷たい無表情だったので、さしもの不良少年もゾッとする程だった。この町の連帯意識は、その規模の狭さ故もあって強く、それはある種の閉鎖的闇にも通ずるもので、慶介は大人達が作るその深淵を垣間見たような気がした。

 見張り役の比嘉が顎を引いて合図する。服部は頷き返すと、一人で部屋に入った。不良ら三人は外で待つ。比嘉は別の用事を済ませに立ち去った。

 *

「ほおら、奥さん、残ってるやつも全部ひり出しなよ」

根元まで入った沼尻の中指がグリングリンと、右回転、左回転を繰り返す。しかし、中からはシャバシャバの液体が少し漏れ出た程度だった。

「さっきブリブリと、かなりやったからなあ。もう出尽くしたか」

鎌先がほくそ笑んで自分も指を立てる。これは沼尻に、代われ、という意図で出したものだったが、彼が引かないので、脇から無理矢理ねじ込んだものである。男二人の指が、すぼんだ皺の芯でうごめく。

「ハッアッウッ!」

のけ反った目の前に火花が散ったようで、有紀は中空に熱気を逃がした。その開いた口からよだれ、否や胃液が垂れて滴る。吐き気を催しても、今は何も出ぬようだ。

「もうスッカラカンみたいだな」

彼女の横顔を見て、鎌先は目を細めた。望み通りの具合に仕上がったものだ、と。

 果たして、その穴は完全に人手に渡っていた。かつては肉棒にてくり貫かれ、今は二人から指でほじくり回されている。もはや排泄すら自分の意思では許されず、ひたすら性交の用に供するべく、いや男共の一方的性のはけ口の為に開発された穴だ。ここに男らが性を吐き出す、いわば排泄する穴ではなく排泄される穴になったわけだ。

 と、その時、入り口から声が掛かった。

「金光さん、大丈夫?」

それは、先程の女教師だった。彼女がまた義務としての博愛精神を発揮して、有紀の身を案じに来たのだ。

「電気位点けなさいよ」

口の中でゴニョゴニョ言いながら灯りを点ける。

 鎌先と沼尻は目を見合わせた。しかし、指の作業は止めない。事ここに至りなば、露見まで待ったなしである。ある種の諦めと、一方でヒリヒリするような緊張感が彼らを焚き付けていた。有紀がただ一言助けを求めれば事態は収束に向かい得る。だが彼女には今どうしていいかが分からなかった。

 ブ、ブブブ……返事の代わりに、尻穴が空気を漏らす。

「う……」

女教師は眉間に縦皺を寄せた。彼女はまさか夢にも思わない、肘や肩のぶつかり合う狭いシャワー室で、一人の全裸女が、着衣の男二人に挟まれ、肛門をほじくられているとは。ただ腹の具合が悪い女がそこにいるだけとしか。

 男らの指は、肉棒経験後もなお慎ましいおちょぼ口を左右に引っ張り広げる。淵に引っかかる指は、いつしか各二本になった。計四本の節くれだった指が、グニグニと柔穴をほぐす。

 沼尻はもう片方の手で尻たぶを撫で揺すった。電灯を反射する白い脂肪から、ピチャピチャ音を鳴らして水滴が彼の足元に落ちる。男らはジャージの長ズボンを裾からまくり上げて脛を出し、足元は裸足であった。

 それら六本の足を、ちょっと覗けば外からも見ることが出来る。だがしかし、教師はそれが見える位置まで近寄らなかった。さっき耳にした“ブブブ”が、彼女の足を止めさせたのである。

「着替え、ここに置いておきますからね」

そう言って、部屋の入り口に置き場を求める。さしもの博愛精神もここまでの介護サービスがやっとだった。それでも尽くした方だと思っている、日頃の印象も良くない、その上大それた粗相をした保護者に対してなら。これが生徒なら別なのだが。

 とは言え、全くの放置というわけにもいかない。

「ほんとに大丈夫ですか」

一応の用事は済んだが、去り際にもう一度聞く。まだ返事を聞いていないのだ。シャワーは止まっているし、聞こえないこともあるまい。彼女は耳をそばだてた。すると、何やらピチャピチャ、あるいはクチュクチュいうような音が聞こえる。体を洗っているのか。それと同時に、

「ハ……」

と、微かながら有紀の声がした。これが返事か、とても明瞭ではない。だが女教師は、もうこれ以上追及しようとは思わなかった。思えば、あれだけの恥をかいた後なのだ、通常の神経ならいたたまれないだろう。これ以上の会話は、苛めのような気がした。

「着てらした物、ここにビニール袋置いておきますから入れて下さい。わたし、職員室に居ますから、終わったら声掛けて下さいね」

最低限の連絡事項を伝える。ちょうどそのタイミングで、

「ン……イ……!」

と、声が聞こえた。苦しそうではある。女教師は、しかし、もうこれを返答と受け取ることにした。実のところ、これ以上かかずらいたくない気分もあった。なんとなくながら、この人と関わることは得策でないと、何か不穏なものを感じたのだ。

 果たして、その勘は正しかった。実はその間、有紀の尻性器には男根が突き挿さっていたのである。指のみに飽き足らず、沼尻がとうとう本格的に性交を始めたのだ。挿入の瞬間、声にこそ出さないが、彼はうっとりと、まるで湯にでも浸かるかのように恍惚の表情を浮かべた。相棒へのアピールである。

 鎌先もまたニヤニヤと笑って、彼の方は前の穴をまさぐり出した。縮れ毛の茂みに割れ目を見つけると、肉びらをめくって中身を引き出さんばかりに内部を掻く。クチャクチャ、ヌチャヌチャと音が鳴って、性毛を伝い水滴が垂れた。

 そんな彼が、指に換えて自身の抜き身を挿すのに時間は掛からなかった。個室内で立ったまま、前後からの挟み撃ち。なんのことはない、女教師が心配して話しかけていたのは、膣と肛門に男根を入れられた、犯され保護者だったのである。彼女が聞いたのは、輪姦中の荒々しい吐息だったのだ。

 そうと知らない彼女は、

「もし体調が悪いんだったら、保健室で横になってもいいんですからね」

憐みの気持ちで、去り際にそう言った。すると、またしても、ブブブ、ブーという返事。彼女は顔をしかめて立ち去った。

「行ったか」

クスクスと笑いながら、沼尻が囁く。その手には、背中越しにがっしりと乳房が握られていた。隙間からは乳汁が流れている。

 危機が去ったと見るや、彼はたがが外れたように激しく腰を打ち付け出した。皺の収縮が伸びて、おちょぼ口が彼をむっちりと包み込みしゃぶり上げる。

「これこれ! このケツマンコがたまんねえ」

ヌメヌメした汁が光って、出たり入ったりする。

「完全にマンコになったよ。てか、マンコより締まりいいし」

「ハハ……でも、アナルぶっ込まれてると、前も締まっていいよ」

鎌先も笑顔で言い返した。彼曰く、

「やっぱり女は、前後の穴を塞いでやってからが本物だね」

とのことである。

二人が押したり引いたりを巧みに繰り返す内、気が気でない輪姦女はとうとう気をやり、激しく嗚咽した。

「ヒ、ア、ヤァー……ッ!」

その高音は、既に立ち去った女教師の耳にも辛うじて届いていた。ちょっとギョッとして彼女は振り返る。だが、改めて取って返そうとまでは思い至らなかった。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼シャワー室
有紀、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼教室B
前原
▼廊下(教室Bの外)
慶介、浩樹、竜二、服部
▼職員室
比嘉
▼廊下
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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[2017/07/20 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#24-


  *

 「どうも、お待たせしました」

 部屋に入るなり、にこやかな笑顔で服部は言った。その手に提げていた鞄を持ち主に返す。

「ああ、どうも……」

疲れた表情で前原はそれを受け取った。見ようによっては、少し頬がこけたようである。

「これで取り調べは終わりです。自由の身ですよ」

「そうですか」

前原は軽く会釈すると、出口へ向かって歩き出した。すると、それを呼び止めて服部が言った。

「もう遅いですからね、お送りしますよ」

「え、いえ、大丈夫です」

「いやいや、ここからじゃタクシーもつかまらないし。そう言えば、もう電車も終わってるなあ。生憎田舎なもんでねえ」

 服部はほとんど陽の落ちた窓の外に目をやった。

 「はあ……」

 前原はちょっと考えてから、

「じゃあ、お願い出来ますか」

と、不承不承頼んだ。これ以上関わり合いになりたくなかったが、致し方ない。

「それか、今晩は一泊していったらどうです? 柘植田(つげだ)まで出ても、もう乗り換えはないでしょうし、泊まる所もね」

柘植田とは、一番近くのターミナル駅で、ここで乗り換えてさらに本線を目指す。もっとも、柘植田自体がこの町とさほど変わらない田舎だし、服部の言う通り、そこまで行っても今日中に帰れる可能性は低かった。駅前にビジネスホテルなどもちろんない。

  しかし、前原は、彼の提案のほとんど初めの方から首を横に振っていた。

「いえいえいえ、結構です。行ける所まで行って、なんとかします」

「そうは言ったって、柘植田に泊まるとこなんかないよ。そうだ、金光さんとこに泊めて貰ったら」

 「と、とんでもない」

ありがた迷惑な好意に、前原は辟易した。

 「どうして? あんた、顧問弁護士なんだろ」

 「いや、それはなんというか、ねえ?」

 彼は言葉を濁し、あまり普段はやらない下卑た笑いで誤魔化した。相手の思考レベルに合わせたつもりである。

「ははあ、そうか。こりゃ失敬。ちょっと意地悪だったかな」

察した風でニヤリと口角を上げながら、服部はサービスで同調してやった。

 「じゃあね……そうだ! 旅館に泊まっていきなよ。知り合いの所が一軒だけあるから」

「いえいえ、もうそんな」

「大丈夫だよ。誰も泊まってないし。バスもあるから、明日の朝一番で送ってもらうといい。今日は色々あったから、温泉にでも浸かって、ね」

前原がどんなに固辞しても、やたら頑強にこの警官は勧めてくる。ただどんなに世話を焼かれても、今度ばかりは断るつもりだ。こんなことをしてダラダラと居残っていたら、またぞろどんな憂き目に遭うかもしれない。

 だが、彼が食い下がるのも聞かずに、服部は出口の方へ向かった。

 「うんうん、まあまあ、とりあえず車回してくるから、もうちょっと待っててもらえる?」

 「いや、わたしも行きます」

 前原はしがみつかんばかりに間を詰めて、出口に近寄った。この場にまた残されるというのが、不安で仕方なかったのである。

 ガラガラ、と服部が戸を開ける。すると、そこに立っていた慶介ら三名とばったり出くわした。

 「おう」

 至近距離でぶつかったから少し面食らった風で、服部が挨拶する。続いて、いかにも気安く彼らに指示した。

 「ちょっと車回してくるから、お前ら、この人見ててくれるか」

 そう言い残すや、服部は早くも駆け出した。

  前原の顔がみるみる青ざめていく。

「お、お巡りさん! こいつらが……」

 上ずった声で叫んだが、時既に遅し。服部が角の向こうに消えるのと、竜二によって彼が室内に押し戻されるのとほとんど同時だった。

「な、何をする!」

 よろめきながら、前原は虚勢を張った。

 「なんもしねえよ」

「ていうか、おっさん、まだ居たんだ」

 若者らは口々にせせら笑うと、ぐいぐいと前原に迫ってゆく。前原、後ずさって背筋を凍らせた。冗談ではなく、命の危険を感じた。

「知ってるぜ、おっさん。校内でセックスしたのバレて、捕まったんだろ」

クスクス笑いながら、浩樹がなじる。それを聞いた前原、思わず目を見開いて相手を見た。その反応を見た三人は、一斉にゲラゲラ笑う。

 「お、お前ら」

キッと睨み返し、前原は腹に力を込めた。

 「お前らの所為で……」

 見紛うはずもない、愛人に対して今朝方ひどい仕打ちをした三人だ。さらにその後で仲間を増やして……

 「(こいつらさえいなければ!)」

カッとなって、彼は力強く一歩を踏み出した。

「おいおい、どこ行くんだよ」

 そう咄嗟に手を伸ばした竜二の脇を辛くもすり抜け、前原は走り出していた。こいつらと言い争っていてもらちが明かない、今はとにかく何も考えず、この場から去るのみだ、と。

「ちょ、待てよ」

 三人が追いかけてくる。前原は廊下へ出ると、服部の去った方へ一目散に駆けた。見張りをしていたはずの男、比嘉の姿は見当たらない。後ろの奴らにやられたのだろうか、そんな疑念が頭をかすめた。また、不良らが自分の取り調べを知っているらしいことも気がかりではあった。だが今は考えない。逃げることに一決している今、彼の思考はむしろスムーズだった。

  階段にたどり着く。そこを一気に駆け降りる。服部が見つからなければ、もう車のことなんかいい、走って逃げよう、この町を出よう、そう思った。

  そう思った矢先だった。一階に降りた彼は、思いがけぬものに出くわして足を止めた。

 「あっ!」

それは、金光の息子、佳彦だった。向こうもびっくりして、立ちすくんでいる。家に出入りしている関係上、無論顔見知りの仲だ。

  ほんの一瞬躊躇した彼だったが、すぐに使命を思い出した。辛うじて愛想笑いを浮かべて佳彦に頷くと、そのまま廊下を走る。冷静であったならば、少年が何やら恐怖に引きつった顔をしていたことに気付いただろうが、今そんな余裕はない。なぜ佳彦がここにいるのかも疑問に思わなかった。後ろから、階段を走り下りる足音が迫る。

 「(どっちだ!)」

 思いがけぬ出会いの為に、彼は狼狽して行き先を見失っていた。途中、妙に消毒液臭い場所に差し掛かったが、それが有紀の粗相の跡地だとは知る由もない。

 「アッ!」

ツルリと滑って、彼は転んだ。床が僅かに濡れていたようだ。彼は必死に両手をついて立ち上がると、なおも駆けた。

  間もなく、エントランスに出た。そこは、本日最後の残照を集めて、安堵の光をたたえているようだった。

 「(やった!)」

 歓喜しながら、靴箱の陰を曲がり玄関の方へ行く。そのまま、ほとんど体でぶつかるようにドアを開ける。つもりだった。

  が、その寸前で彼は気づいてしまった、ガラス扉の向こうに、シャッターが下りている。どうする? ドアの施錠を解き、シャッターを開けるか。それは自力で持ち上げられるのか。開閉スイッチを探すか。

 「(くそっ!)」

別の出口を探す方が早いだろう。そう彼が判断した時、その一瞬の逡巡が彼の明暗を分けた。

  振り返った時、それはゆっくりと、左から視界に侵入してきた。のそりのそりと、男の影。その向こうにも男。そして、その間に、うずもれるようにして、女、らしき物。

 「お……」

 手前の男がこちらに気付いた。が、彼が何か対応するよりも先に、右から現れた一団が、その注意を引いた。

 「よっ」

先頭の慶介が彼らに呼びかける。汗だくの前原に比して、追跡者らの誰も息ひとつ切らしていない。

 「よお」

女を介助する一人、すなわち鎌先も、慶介らに応じた。

  両組の再会を目の当たりにしながら、逃げ場を失った前原はただただ硬直していた。

 「あ……」

僅かに漏れ出たその声音は、ただ唸ったのではない。本当は、かつて己が愛したその人の名をつぶやくつもりだったのだ。しかし、彼にはそれが憚られた。そのあまりの変貌ぶりに、人定の自信を失ったからである。だが、ほかに該当する人間など居そうもないわけで、彼が呼ぼうとした名こそ、それの名である蓋然性が高かった。すなわち、有紀、と。

  女はうなだれて、その上髪の毛が影になり、その表情を読み取ることが出来ない。しかも、両脇の男らに肩を借りないと、立っている事さえままならない様子だった。

「(ま、まさか、もう……)」

最悪の場合を思いつき、前原は恐怖した。


 〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
 ▼正面玄関 
有紀、前原、慶介、浩樹、竜二、鎌先、沼尻
▼教室A 
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼運動場
 服部、比嘉
▼廊下
 佳彦
▼打ち上げ会場 
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅 
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂

 ひとみの内緒話





[2017/07/23 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#25-


 *

「誰が呼んだのよ、まったく」

口をへの字に結んで、ある主婦がこぼした。そちらを指して言わなくとも、皆誰のことか分かっている。知らぬは当人ばかりなり。この店で盛り上がっているのは、金光のいるテーブルだけで、ほかはあからさまに白けていた。

「今まで来なかったじゃんねえ」

友人の女も同調する。これまで金光が役員の打ち上げ会になど来たことはないのだ。

 向かいに座る島田は“まあまあ”と苦笑いでなだめながら、目の前の刺身を勧めた。本来なら、自分だって金光と同じ宴席になど出たくない。だが、今日ばかりは彼を間近に見ていなければならなかった。

「(それにしても……)」

溜め息つきながら、彼は考える。先程の電話で、小林が言っていた内容だ。

 本来なら、今頃有紀を自宅に送り届け、一連の事件からは既に手を引いているはずだった。この宴会は、それまでのいわば時間稼ぎ。家に帰った金光が、あられもない妻の姿を見て屈辱にまみれるか、あるいは妻がこの件を隠し通したとして、寝取りの真実を知るこちら側が密かに嘲笑うか、いずれにせよ、顧問弁護士と彼女との不適切な関係は動画の流出により世間に暴露され、金光は醜聞を避けられないという筋書きだった。

 たとえ自分を姦淫した犯人の名を有紀が訴えたとしても問題ないと踏んでいる。証拠がない上に、ここまで大がかりで突飛な話は真実味がなく、誰も真に受けないだろう。それに、恐らく金光は事実を公表しないだろうし、仮に追及を始めたとして、それを信じ、協力する人間はこの町に皆無だろう。なぜなら、彼は一番大切なもの、人望をないがしろにしてきたからだ。どんなに土地の名士で小金を持っていようとも、利潤の出ない個人的な用事にまで付き合う道楽者はいない。そして、その頃にはもう、スキャンダルによって彼の名声は少なからず傷ついているはずなのである。

 とはいえ、島田らの我が身に災難が降りかかるかどうか、それは一種の賭けだった。金光がその気になれば、直接的復讐に転じないとも限らない。それでも、島田はリスクを取った。慶介ら、コミュニティの若手が罪に走った以上、この船に乗るしかないのだ、と。むしろ、これを奇貨として、皆の敵を葬り去る機会だと考えた。

 島田はお猪口を煽った。酒が喉に染み通る。彼は熱い男だ。醜悪な罪人に成り下がってなお、この町の繋がりを信じている。その辺り、この閉鎖的地の因習文化を色濃く受け継いでいると言えた。

「(しかし……)」

一方で彼は頭を抱えた。現実は筋書き通りにいかない。彼らはまだ犯し足りないと言う。被害女性への同情心などいまだ湧かないが、さすがにこれ以上事を大きくしたくないという焦りはある。

「(金光が帰宅した時、妻が居ないとなると、奴はどう出るか……)」

彼は場を眺めた。白けきった空気。この宴は長くもつまい。しばらく考慮した後、彼は携帯電話を手に取り席を立った。

 *

「ンンニイギイヒイー……!」

歯を食いしばって、拷問に耐える有紀。死んだようであったのが、その時ばかりは息を吹き返す。

「ああ、ホントだ、ヤッベえ! すぐイッちまう」

「だろう?」

新しい快楽穴を味わい歓喜する竜二に、先達の沼尻が得意気である。功労者鎌先も嬉しそうだ。

 前原は膝を抱き、震えながらそれを見つめていた。玄関ホールからすぐ横の部屋に連れ込まれたその一瞬後には、もう地獄が再開していた。外道共に尻と膣同時の交尾を強いられるかつての愛人。目を覆いたくなる惨状ながら、しかし何故か目を離せない。

「女を置いて逃げんのかよ」

先程慶介に詰られた。逃げ出そうとしてもどうせ捕まえるだろうが、と恨み節を思う。だが真実未練はない。ないのだ。保身が第一。体裁など構っていられない。それに、女の方でも愛想を尽かしているに違いないのだ。

「(そうだよ。オレはクズだよ)」

そう居直って、前原は逃げ腰ながら有紀を見つめた。怖いもの見たさであった。この凶悪事件の結末、そして愛人の自分に向ける感情を。

 暗がりの中、白い肌がヌルヌルと動く。怖い、まるで亡者の様な女の乱れ髪が。そのやつれた頬の上の目が。その目に光はあるのか。それと目を合わせることが、

「(怖い!)」

とてつもない恐怖。それでも視線を外せないでいる。そんな彼を浩樹が揶揄した。

「おっさん、勃起してんじゃないの?」

浩樹は今、相方と共に有紀をシェアしている。竜二が後ろ、彼が前だ。

「次、おっさんヤッていいぜ? 好きなんだろ? このオバサンが」

クスクス笑いながら、彼は続けた。片や、竜二は、

「おお、ヤベえよ、こっちの締まりキツ過ぎ」

と、相棒程も余裕がないようで、というのも、両穴からこすり合う時、肉棒への締め付けが今まで以上になるからと、今にもエレクトしそうな勢いだ。

「どうだよ、おっさん、ああ言ってるぜ。次ヤんなよ」

傍で見守っている慶介が、前原を見下ろして囁く。前原は、背中を壁に押し付け、尻餅をついたまま、無視を決め込んで前を向き続ける。そんな相手に視線を同じ高さまで下げながら、慶介が今度はやや威圧的に言った。

「おっさんさあ、さっきまで捕まってたんだろ?」

僅かに感情を波立たせる前原。しかし、驚きを表すまでには至らない。慶介は続けて煽る。

「おっさんが犯人だったんだって? 明日警察に連れて行かれるんだってな。ご苦労さん」

「(そんなはずはない。もう解放されたんだ)」

前原は視線を動かしもせずに心で笑った。

「さっき言ってたぜ、ポリが」

少し雲行きが怪しくなってきた。だが、まだ動揺するには根拠が足りない。

「あんた、帰れるって思ってたろ。けど、今晩泊まって、明日署に連れてかれたらもう終わりだな。ほら、チカンって一回取り調べまで行ったらもう助からないだろ? あれとおんなじ。冤罪ってやつ?」

悪魔のような囁きを続ける慶介。

「あ、冤罪じゃねっか。おっさんは実際ヤッてたし。――ま、オレらの分も、頑張って償ってくれや」

「(何を言っている?)」

前原は思いを巡らせた。この程度の情報攪乱に取り乱すはずはない。が、ひょっとすると、先程の警察官とこいつらがグルだという可能性はある。そう言えば、さっき顔見知り風だったではないか。にわかに彼は不安になってきた。

 と、ちょうどその時、竜二が腸内種付けを終えた。すると、一緒に立って彼と板挟みで繋がっていた浩樹も、自分はまだ途中ながら一時接続を解いてみせた。そうして何をするかというと、使用済みの場所を見物人に見せつけるというのだ。

 ちょうど目と鼻の先に、今の今まで男根が嵌まっていた肛門が近づく。それはポッカリ黒い口を開けており、その淵から粘液をスーッと垂らした。顔をしかめる前原。すると、その感想を代弁するかのように慶介が言った。

「うわ、きったねえ!」

 前原は三角に折っていた足を手前に引き、一層縮こまって、足先に汁がかかるのを避けた。もっとも、実際には避けずともかかることはなかったのであるが。

「ほら、おっさん、空いたぜ。早くヤれよ」

「ケツの穴は初めてか。オバサンはもう初めてじゃないんだよなあ。ワリい、カレシさんよりお先に食っちゃって」

「いやいや、とっくにご経験済みなんじゃないの? でなきゃ、こんなにズブズブ入んないでしょ。マジこのオバちゃんのケツマンコ極上だから」

「どっちでスんの? マンコ? アナル? 好きな方選ばせてやんよ」

口々に囃し立てる竜二と浩樹。前原が相変わらず沈黙を貫いていると、慶介がまた先の続きを言い出した。

「ヤッた方がいいと思うよ。明日警察行ったらさ、もう当分女抱けないっしょ。それに――」

ここでグッと顔を近寄せる。

「ここでマワしたらさ、逃がしてやってもいいぜ」

「(な……?)」

前原は耳を疑った。次いで、一人納得した。

「(フン、そうか)」

こいつらは自分らの罪が露見することを恐れているのだ、と。そうして、仲間に引き入れようとしているのだと。

「ほら、早く、ヤッてるとこ見せろよ」

竜二がじれったそうに、携帯電話をいじり出す。それでまた録画しようとでもいうのか。

「(冗談じゃない。ヤるわけないだろう)」

前原は意思を固めた。仮に彼らの言い分通りだとしても、正当な手続きで以て対処すればいいだけの話だ。逃がしてくれるという提案は一見魅力的だが、それと引き換えにどんな搾取を受けるかもしれない。何より、この輪姦劇に連なるなど真っ平だ。

 だが、気持ちで抗っても、この窮地には変わりがない。男共に取り囲まれているのだ。

「オラ、さっさとヤれって」

掴みかからんばかりに脅す竜二。それを後ろから見て鎌先が、

「おいおい、無理強いはよくないなあ」

と穏やかに諌める。いや、止める気などは毛頭ない。それが証拠に、一歩も動かずに笑っている。

「お姉さんの方にも協力してもらったら?」

彼はさらにそんなお節介な提案までした。すなわち、有紀から奉仕させようというのだ。

「いいじゃん。カノジョにしゃぶってもらえよ」

「なんだよ、勃ってねえんだったら言えよな」

不良らは口々にからかいながら、前原のズボンに手を掛け始めた。

「や、やめ……!」

そう言いかけた時、ふっと後ろに気配を感じて、前原は咄嗟に口をつぐんだ。壁の外は廊下、そこに何か近づく者がいる。心が妙にざわつき出す。

「(そう言えば、さっき……)」

逃げている最中にあったはずだ、何か重要な、何か。

 その時、どうしてか分からないが、ある場面がふと脳裏に思い浮かんだ。

「なんのゲームやってるの?」

そう尋ねても少年は返事をしない。ちょうど母親を待っている間のことだ。無愛想な子で、いつ会ってもふてぶてしい態度であった。

 だが、前原はその程度のことで動じない。クライアントの家族に媚びることも、大事な営業だ。ちゃんと対策を用意して、次に会った時、彼は言った。

「裏ワザ教えてやろうか――」

 それは、ゲームに詳しい知人を使って手に入れた、不正な改ざんデータだった。

「――佳彦君?」

 彼はこちらを見た。その時初めて目が合った。そう、つい先程階段下で出くわした、あの目。

「暗いな。電気点けようぜ」

沼尻がスイッチの所に向かう。

「お、おい!」

止めようとして焦った前原がつんのめってこけた。ちょうどベルトを緩められている途中だったのだ。

「何やってんだよ」

口々に笑う男達。獲物がうつ伏せに伸びる格好になって、返ってズボンを脱がしやすくなった。灯りが点くのと、その光の下に前原の尻が露わになるのとはほとんど同時だったろう。教室の床に陰茎がこすれる。

「ま、待て!」

股間を押さえる前原、自身への攻撃と電灯を点けるのとどちらも制止したい。周囲にこの部屋が見つかってもいいのか、それを隠す為に暗くしていると思っていたのに、と面食らう。

「ほらほら、オバサン、好きなチンポしゃぶってやれよ」

仰向かせられた前原のもとへ、頭を掴まれた有紀が、ゆらゆら、ゆらゆらと、微かに揺れながら近寄ってくる。

 前原は改めて視線を向けた。頬を引きつらせ、まんじりともせずに彼女の顔を見た。するとどうだろう、その焦点の定まらぬ目には、なんの感情も見えないではないか。怒りも恨みも見えず、ひょっとしたら、自分の事すら認識していないかもしれないのだ。

「お、おい……」

恐る恐る呼びかけてみても、それらしい反応がない。

「(やっぱり分からないのか?)」

そう考えると、思わずほっとしてしまう。彼女に憎悪をぶつけられる心配がないからだ。やはりまず思いつくのは我が身の心配である。

「散々しゃぶらされたからな。前より上手くなって、びっくりするぜ」

浩樹が後ろで笑うのを聞いてか聞かずか、虚ろな瞳の有紀は、しかし着実に作業に入ろうとしている。相手が誰のものかにかかわらず、それを口に含み、発情させるのが仕事だ。

「や、やめろって……」

口の中でつぶやく前原。互いに望まぬオーラルセックスだ。一体何の為にするのだろうか。彼は近寄ってくる者が、意思を持たぬ動物のように見えて、急速に怖くなってきた。その逃げようとする所を、周りの手が押さえつける。

「あ、あ……」

顔が、近づく。股間に、近づく。

 と、その時だ、前原の視界を廊下の外の影がよぎったのは。ハッとして思い出す。

「(まずい!)」

彼の憂慮をよそに、教室のドアが、ほかの誰に気付かれることもなく、そおっと僅かに開きだした。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼教室D
有紀、前原、慶介、浩樹、竜二、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼運動場
服部、比嘉
▼廊下(教室D外)
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

[2017/08/11 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#26-


 *

「家からか?」

電話を終えた優斗に羽根沢が尋ねた。少し萎縮した様子で、少年が頷く。日が暮れても帰宅しない我が子を心配して、その母親が連絡をよこしたのだ。

 優斗は恵太のもとに寄った。この同級生もまた、手元のアプリケーションで親に返事をしているところだった。

「“金光君ちにいます”って言ってやりゃいいじゃんか」

小林が手近な者にそうアドバイスすると、克弘が同意も反対もしないで愛想笑いを返した。金光と距離を置く方針の家庭は多く、彼の家もその一つだ。金光の家にいるなんて言えば、むしろすぐ帰ってくるように言われるだろう。その点は、友人の俊之も同じだった。

 それに反して、金光家の名が有効な者もいる。雅也と祥吾だ。雅也の家は仕事上の繋がりから金光を無下には出来ないし、母子家庭の祥吾の家は、遅くまで留守である。何より、この二人は日頃から佳彦と交流があることを知られているから、不自然さがない。

「お子ちゃまは、そろそろ帰れってこった」

森岳がそう投げやりに呟くと、それをもう少しやんわりと袋田が言いかえた。

「あんまり遅いと怪しまれるからね。無理しないで、帰る人は帰った方がいいよ」

帰ると自ら言い出しにくかろうと気を回したものである。実際、この場で最年少の恵太や優斗はきっかけを自分でつかめない性質だった。もっとも、だからと言って、早く帰りたかったわけではない。

「んん? まだヌき足りないか? ヌき足りないんだろう」

ニヤニヤとして森岳が少年らの顔を覗き込む。すると、見られた方ははにかんで俯いた。図星なのである。

「それにしても、あいつらどこまで行ったんだろう」

腕組みして、小林が訝しがる。

「帰る前に、もう一発位な、ヤッてけたらいいのに」

それは彼なりの思いやりだった。聞いた少年らの顔がパアッと期待に輝く。

 *

 前原は教室の窓側の方、すなわち廊下と逆の方へと移り、低 学年用の小さな椅子に座っていた。その股間には有紀が顔をうずめている。

「分かった。逃げないから離せ」

先程そう言って、覚悟を決めたことを伝えると、続いて、座らせろ、と言い、椅子を求めて移動したのだった。そうして、わざわざ窓近くの席を選って腰掛けたのである。それもこれも、全て廊下から遠ざかる為だった。

「ヘッ、露出狂かよ」

竜二が口の中でつぶやくのを耳ざとく聞いて、浩樹が小突く。慶介も含め、不良三人衆の誰も前原の申し出に逆らわなかった。彼らの目論見にとっても、色々と好都合だったのである。

 電気を灯したせいで外は闇に沈み、窓には部屋が映っている。向こう側は見えず、ただ室内の光景だけ。そこには、諦めと蔑みの色を浮かべた、幽鬼のような白い頬があった。

「(お前の為だろうが)」

前原は、視線を眼下からも窓からも逸らして思った。ついさっき、女が自分をかつての愛人と認めたことを知った。思考は緩慢ではあるが、失われたわけではなく、彼我の岸を行ったり来たりするらしい。気づいた刹那、彼女の目にたちまち侮蔑の情が浮かんだのを、前原は見逃さなかった。

「(お前の為だろうが、クソッ)」

入り口の方を見やる。誰も気づかないが、隙間の漆黒に、微かに、ほんの微かにきらめく光がある。光は一定せず、ごく僅かではあるがまたたいていた。

 あそこからなら見えない、と前原は踏んでいる。己の顔を見られたことは仕方がない。が、肝心の母の顔は、そして彼女がしていることは見せるわけにいかないのだ。妙なもので、卑怯を自認する彼でありながら、越えてはいけない一線にはこだわりがあった。

 ところが、庇おうとしている相手には彼の気苦労が一切通じていない。彼女ときたら、実際にはこちらを見上げる位置にありながら、気持ちは完全にこちらを見下しに掛かっていた。真実を教えてやれたなら、どんなに楽だろうかと思う、お前と、お前の子供の破滅を回避する為なのだと。

「(それにしてもこいつ……)」

前原は、考えまいと努めながらも感じずにはいられなかった。翳りゆく肉棒が、口唇の摩擦で膨らみを増していく。唾液の中に、別の粘り気が加わってゆく。つい今朝も同じことをされたものだ、まだ愛人だったあの頃、愛をもって。

 無論、今、それが復活したとは思わない。が、行為自体は実にまめまめしく、まさしく奉仕活動にほかならなかった。先程誰かが言った通り、急速に慣れ、あるいは技術を仕込まれた結果だろうか。一体今日どれだけの本数をしゃぶらされたのか。ふとそんな考えが頭をよぎって、前原はそれを振り払った。

 だが、考えまいとすればする程、悪循環に陥るものだ。前原は最初、有紀に口淫させると聞いた時、ひょっとしたら噛み千切られるのではないかと危惧した。それが、思いのほか素直に始まったのは、一つに周囲からの脅迫もあるだろう。が、どうもそれだけではないのではないかと、彼は別な仮説を思いつきだした。

「(こいつ……)」

意思に反して猛り出す彼自身。有紀の奉仕は勢いを増し、睾丸を揉みしだき、竿を手で摩擦するまでになった。

「おいおい、やっぱりカレシさんにするサービスは違うね」

「妬けるねえ」

さすがに彼女の積極性を見逃せず、口々に面白がる男達。

「ヘッヘッ、元気になってきたじゃん、おっさん」

浩樹が揶揄する。

「(そうか)」

焦りながら、前原は半ば確信した。衆人環視の中、口先に反して勃起してしまうということ。その辱め、すなわち我が自尊心を傷つけることこそ、彼女の出来るささやかな復讐にほかならないのではないかと。

「(くだらない)」

自分の思い付きと、仮に本当にそうだったとしての彼女のやり口、そして何より、どうにもならない己が体の反応に対して、彼は落胆と焦燥を禁じ得なかった。そうこうする内にも、男根は今朝の如く種付け準備に着々だ。

「ク……ソ……」

もういい、とばかり身をかがめて逃げ、相手の肩を押し戻す。だが、彼の抵抗はすぐさま周りの監視者に止められた。

「なんだよ、イきそうなのか」

「(そうじゃない)」

なんの強がりか、前原は悔しそうに奥歯を噛む。なんのことはない、有紀のみか、自分もおもちゃにされているのだ。所詮は彼らの慰み者に過ぎないわけで。

「なんだかんだで勃起しちゃって。おっさんってさ、М? 見られて興奮するタイプ?」

自分を笑う声がグルグルと頭上を回る。その重みに耐えかねて、ふいに彼は窓の方へ首を傾けた。

「ヒッ!」

途端に悲鳴を漏らす。視線の先に映る目が、ちょうどこちらを見ていたのだ。青白い顔を傾け、唇をモゴモゴさせて。

 慌てて視界を前方に移す。すると、まるで追いかけてきたかのように、そこにもまた同じ目があった。

「あっ!」

背筋の凍る思いがした。その目はもはや何も語らず、蔑みも怒りも宿さずに、ただただこちらを見返していた。

「(なんなんだよ)」

前原の中で急速に苛立ちが募ってきた。自分の罪を棚に上げて、相手にそれを転嫁する。それは自尊心防衛の反動であり、且つはまた目下の恐れや恥じらいを払拭したい衝動からだった。

 その内心を見透かしているのかいないのか、とにかく有紀の口淫は一層の猛威を揮う。今や隈なく濡れそぼった肉茎と玉袋。そこからダラダラと滴り落ちる粘汁。鼻孔を広げ、呆けたように狂いしゃぶるは、果たして演技か本心か。その手で隆々と育て上げられたる筋棒は、ピクピクとはしたなく小躍りして衆人の関心を誘った。

 内一人が、助け舟を出すようにしたり顔で言う。

「そろそろ入れさせてやんなよ」

その指令で、痴女風の裸体がゆらりと立ち上がらされた。それを見て、前原が今更ながらにハッとする。そうだ、裸だったと。チラリと扉を窺うも、この煌々と照らされた中では、そこからバッチリ見えていることは明白だ。

「チッ……」

誰にも悟られぬ位小さく舌打ちして、彼自身は自分の露出部が見えぬように上手く体を返しながら、そうして相手のこともさりげなく裏向けた。すなわち、窓に向かって有紀を立たせ、自分がその後ろから重なるという体位だ。これなら、部屋の入口側からは、ほぼ自分の後ろ姿しか見えないだろう。経験少なな“彼”には、ちょっと意味の分からない行為だろうと読んだのである。

 しかし、周囲は当然、そんな配慮を知らない。

「ヘー」

クスクス笑いながら慶介がつぶやく。要は、自分から窓外へ見せつける位置に立ったと見えたのだ。ほかの者もそういう目で見ている。

 黒い画面には、彼らのその細めた目が数々映っているはずだ。だが、前原にはその一々を確認する覚悟が無かった。そればかりか、己やこれから性交する女の顔すら見ることが出来なかった。ひょっとしたら、犯されながら、その犯す男の顔をまんじりともせずに彼女は見ているかもしれない。それは彼の精神にとって耐えられないことだった。

「クソ……」

だが、苛立たしさは続いている。これこそがもはやよすがだった。誰かに責任を押し付けて他動化しないと、正当化出来ないのである。

 前原は怒りに身を任せるつもりで、突先を肉びらにあてがった。と、その時、浩樹が思いもよらない口出しをした。

「ああ、そうだ。その前にさ、カノジョさんがあんなに頑張ってくれたんだから、お返ししてやりなよ」

「え……?」

急な話に、思わず毒気の抜かれた返事をする前原。だが、その一瞬後には、みるみる顔色が青ざめていった。それはすなわち、クンニリングスをしろとの命令だった。

「ガッハ、天才かよ、お前」

竜二が手を打って喜ぶ。すぐさま彼は友の援護に回って、前原の両肩を思い切り押さえつけ、彼を跪かせた。

「やめ、やめろ……、おい!」

恥も外聞もなく取り乱す前原。その眼前には、開ききった黒い穴ぼこが二つ迫る。

「ヒィッ! やめ……っ!」

皆まで言わせてもらえなかった。絶叫の後、彼の口と鼻は、丸々肥えた尻の狭間にめり込んでいた。後頭部を掴まれ、そのままグリグリと揺すぶられる。そして、一定時間それを続けられた後、解放された。

「オゴッ! ゴッ、ゴホッ!」

苦しげにむせ返り、前原は浅く速く息を吐く。すぐさま第二の突撃。拒絶も何も聞き入れられない。それからは何度も何度も、突っ込んでは離れ、息継ぎしては潜り、尻に向かってキツツキ運動だ。

「何嫌がってんだよ、恋人だろ?」

濡れた前髪を張り付かせ、鼻柱からトロロを垂らす間抜け面を、竜二がせせら笑った。

「グアァ……オ、オゲエェー……!」

キツツキは答えず、ただ吐き気を催すのみ。実際に吐くものが出なかったことは不幸中の幸いだった。

「舐めたことないの? いつもクンニしないわけ?」

浩樹にそう問われても返す言葉はない。普段ならば、やるのだ。エチケットだと思って、義務的にやっている。但し、陰唇に対してのみ。だが、今は……

 彼の気持ちを代弁するかのように、沼尻が言った。

「まあ、俺だったら嫌だわな。ケツの穴舐めるなんて、よくやるぜ」

シモで繋がるのは平気な癖に、口でするのは不潔だというのが彼の不浄基準である。大方の意見も共通していた。

 ただ鎌先だけは、

「いやあ、アナル舐めも中々乙なもんですよ。特にベッピンさんのおケツはね」

と、独自の見解で一線を画した。

 しかし、そんな彼でも今それをあえてやりはしない。汚らわしいというよりも、ほかの者の前でやることに、喫緊の必要性を見出せないからだ。何しろ、さんざっぱら色んな男達の子種汁を連射注入された雌穴に顔を近づけるというのは、この場の流れとして些か弱者に対する仕打ちを想起させたのである。

 実際、前原の顔面はグショグショに濡れていた。もう誰のものかも分からない、ただ自分のものでないことだけは確かな汁にまみれている。その上を、いつしか溢れ出した涙が、スーッと伝った。

 パックリ開いた肛門に鼻先が深々と挿し込まれる。鼻で息をしないようにしているから、臭いは分からない。鎌先によれば、臭くないはずだとのことだが、真実はどうか。いずれにせよ、この屈辱的拷問に、前原の心は完膚なきまでに打ちのめされた。

「ゴッ、オッ、オーッ、オーッ!」

肩を怒らせて息を吐くその口周りには、有紀の恥毛がそよいでいる。ぶつかった瞬間、柔らかい肉とその表面のザラザラした感触が肌に触れるが、その際に張り付いたものだ。嗅覚はシャットアウトしても、触感はそうもいかない。

 何より彼が恐れたのは、穴の奥から生温かい風が吹き出すように感じられたことである。縦に並ぶ内、上の穴から吹き出す温風といえば限定的だ。それを顔面に浴びるなど、正気の沙汰ではないと思った。一方で、下の出口からも風が来るようである。だとすれば、それは体温の熱気であろう。彼としては、上の方からのものも、それと同じだと、とにかくどうしても不潔なものでないと、願うしかなかった。

 そういう境涯にあるものだから、

「そろそろ入れるか」

と言われた時は、つい最前の怒りを忘れて、ほっとしさえしたものだ。だが、ここでも最後の一悶着があった。当然に下方の入り口を目指す彼に、

「折角だから、ケツマンコ使いなよ」

と、浩樹が促したのである。前原は戸惑った。まだ不浄の念が強かった。しかし、拒めばまたしゃがまされるだろうことを示されれば、もはや選択肢はほかになかった。

「う……ぐ……」

彼のプライドが汚れてゆく、洞穴に潜り、その壁に擦れて。ただオスである機能だけを活かされ、交尾の時期も相手も選ばせてもらえず、いや子作りさえ許されないで、産道の裏の道を掘らされる。そは如何なる役目の坑夫や。有為な精子はただ排泄に消えるのみ。

 もっとも、本当に人格を否定されているのは、その坑夫に腸掘削される、女鉱山にほかならずは言うまでもない。

 *

「ちょ、ちょっと、あれ見て! あれ、何?」

目の利く一人が素っ頓狂にわめく。三人の主婦、用事を終えてようやく帰らんと校門近くまで来ていた折のこと、何気なく振り返ったものである。

「え? 何よ」

仲間の突然な騒ぎようにギョッとして、同じ方向を見る。すぐには分からなかった。すると、もう一人が先に異変に気付いた。

「あっ!」

その後はもう走り出していた。ただ、ある程度まで来ると速度を落として忍び足になる。その頃にはもう全員が理解していた。

「嘘でしょ……」

絶句して、口元を手で覆い隠す。校舎一階のある部屋で、裸の女が窓に両手をついて、その豊満な胸を揺らしている。見紛うはずもない。

「か、金光さん……」

震える声で一人が口にした。露骨に言うも憚られる事実ながら、それはもう歴然とし過ぎており。

 こういう場合、とっさにどうして良いか分からない。あまりに突飛な事件に遭遇し、平和な彼女らは対処しかねた。

 するとそこへ、どうしてか服部がひょっこり現れた。

「や、なんですか、あれは」

 実はカメラを構えて窓下に潜んでいたなんて露程も疑わない善女達。内一名は、服部の職業も知っていたので、半ば安心してすがり付いた。

「ど、どうしましょう」

「いや、信じられないですね」

驚愕し、やがて眉を顰め、次第に怒り出す風の服部。か弱い女らとは別の感じで震え出してみせた。

 そこへ、まるで図ったように合流したのが比嘉だ。但しこれは全くの偶然。ちょうど自分の任務を終えた所、騒ぎを感じて駆け付けたものである。

 増えたギャラリーの前でもなお、淫らなシーンは止まらない。彼らの位置からは、有紀と、その背後にいる前原だけが、灯りの中で辛うじて見えていた。

「あれは……金光さんとこの弁護士の……」

本日二度目の観測者となった比嘉。動揺した会話の中で、自然と口を滑らせる。

「え、じゃあ、不倫……?」

これまた口を滑らせて、主婦が申し訳なさそうに口元を隠した。しかし、この頃にはもう、不謹慎な好奇心が頭をもたげだしている。ほかの同志もだ。

「エー、だって、さっき……ねえ?」

これはもう完全にゴシップ好きが恰好のネタにありついた様子である。彼女はそのまま思わせぶりに視線を配って、先に出くわした廊下の一件を話題に出しそうにした。

 が、生憎その機会は遮られた。

「学校で何をやっとるんだ!」

怒り心頭に発した態の服部が、注意すると言って校舎へ向かいだしたのである。

 慌ててそちらを追いかけつつ、比嘉が振り返って言った。

「あ、お母さん達は、もう帰って下さいね」

それを聞くと、服部も踵を返して同調した。

「そうそう、お気をつけてね。危険なことに巻き込まれちゃあいけませんから。後は任せて下さい」

「はあ……」

やや後ろ髪引かれる思いはありながらも、“危険”というワードに何やら重みを感じ、主婦連の猟奇の芽はここで摘み取られた。

「ああ、それから――」

比嘉が付け加える。

「このことは出来るだけ」

唇の前で指を立ててみせる。

「ハーイ」

言われた方はわざとらしく首をすくめ、少しいたずらっぽく小声になって返事した。そうして比嘉に守られ、校門の手前まで戻る。そこで男組と女組は分かれた。

 帰路、興奮冷めやらぬ女達は、当然とばかり口さがなく噂し合った。

「でもさ、あんなことの後で、よく出来るよね。汚くない?」

「ねえ、思うんだけど、あれもプレイとかだったんじゃない?」

「うわ……キモ……ヤバい、わたし吐きそう……」

「え、大丈夫?」

火の付いた彼女らを一体誰が止められようか。果たして、これ程の事件に遭って、しかも仲間があって、慎ましく自制する方が稀有である。

「見て、これ」

「あ、え、嘘、いつの間に撮ってたの?」


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼教室D
有紀、前原、慶介、浩樹、竜二、鎌先、沼尻
▼教室A
俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、袋田、藪塚、矢板、小林、羽根沢、森岳
▼運動場
服部、比嘉
▼廊下(教室D外)
佳彦
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


world200*40




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[2017/09/14 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#27-


 *

 たった一度の逡巡が取り返しのつかない結果を招くことがある。今の佳彦がそうだ。もっと敏感に気配を感じられていたはずなのに、ついに逃げるきっかけを失ってしまった。結果論ではあるが、上の階から来た一団が角を曲がって現れた時、出来ればその寸前に、兎にも角にも逃げ出しておけばよかったのである。それを邪魔したのは、あるいは好奇心だったのかもしれない。

「金光……」

廊下を歩いてきた一団のうち、先頭集団にいた者達が程なくして彼の存在に気付いた。教室から漏れる明かりに右半身を照らされていたのは紛れもなく佳彦であり、対する彼の目に映ったのは、友人の祥吾、雅也、克弘、俊之であった。思いがけぬ出会いに互いにギョッとし、気まずい空気が流れる。それを破ったのは、後から来た大人達だった。

「おい、何固まってんだ。さっさと入れよ」

小林はそう言って群衆を分け進むと、一切の躊躇なく教室の扉を開けた。中では、ちょうど前原が精も根も尽きた処だった。

「(クソ……)」

虚脱感に包まれて、すっかり戦意を喪失している。挿し込んだ“クソ”の穴が、いまだ海綿体をチューチューと吸引して離さない。そこから全ての精が吸い取られるようだ。低俗な欲望を果たせられて、彼の名誉はズタボロ。屈辱にまみれきっては、嘆く声も出ない。そのまましばらくは塞ぎ込んでしまう所だったが、しかし、それは許されなかった。

 彼が、まるでビンからコルク栓を抜くように、きつく締まった有紀の尻穴から男根を抜き出したちょうどその時だったのだ、教室の入り口が開き、小林らが入ってきたのは。ハッとして、とっさに目を走らせる。

「(居る!)」

ガヤガヤと入ってくる男達に紛れて、要注意人物はそこに居た。あれ程懸念していたのに、よりにもよって室内に入ってきた。前原は、また考えねばならなかった。まずはとっさに自身の身じまいをする。だが、次に庇うべき方はもはや手遅れだった。

 丸出しの尻と、その狭間でブクブク白い泡を吹く穴。それが母のものであり、どうやら我が家の弁護士がその肛門に今までペニスを挿していたらしいことに、佳彦は既に気づいていた。ただ、その行為の意味までは知らない。自慰も射精もしたことがない彼だ。ただ猥褻な行いであろうとはさすがに予想し、犯された母の尻を呆然と見ていた。

 そんな佳彦や前原をよそに、先に居た方と後から来た方、大人達はこれまでの経緯を説明し合っている。その話し合いの中で、先に帰らねばならない年若い子達に、取り急ぎ有紀を使わせてやることが決まった。

「あんまり時間ないからな。さくっと済ませろよ」

そう促されて、少年らが顔を見合わせる。前の部屋に居た時、確かに彼らは性欲に逸っていた。しかし今は、状況が状況だ。何しろ、“使う”べき女体が血を分けた息子が居合わせているのである。日頃から面識のある四名はさすがに躊躇した。そこで彼らは、とりあえず後輩に先を譲ることにした。恵太と優斗が素直に進み出る。二人は佳彦を知らない。

 まずは恵太。素早く体操服のズボンを降ろすと、ピーンと元気な陰茎を露出した。今日は二発もやったし、散々ほかの者らのやり方も見てきたから手慣れたものだ。彼の背丈に合わせて、種付け相手が窓から引き剥がされ、そのまま壁沿いに下降して四つん這いとなる。これなら十分に届く。恵太は丸々と肥えた肉尻に手を突くと、その谷間へ向かって腰を突き出した。

「どっち入れた? ああ、マンコか」

沼尻が傍から話しかける。

「ケツも使えるんだぜ」

それを聞いて思いついた鎌先が、順番待ちの者達に呼びかけた。

「そうだ、ちんたらヤッてもしょうがないから、一遍にヤんなよ」

すると、優斗以外の四名が、またもや顔を見合わせる。そして、チラリと佳彦の顔色を窺う。佳彦は、普段の横柄な態度にも似ず、やはりまだ呆然と前を見つめていた。現実を認識しているのかどうかも、傍目には分からない。そこには、怒りも悲しみも見えなかった。

 佳彦は見た。ただただ見ていた。素っ裸の母親が、その半分程の身長の、その上華奢な体型の男 児に後ろからペニスを挿されている。彼は知ろうまいが、そいつは自分よりも年下なのだ。そんな奴が、自分の母親に子 供を産ませようとしているのだ。それも初めてではなく、今日だけで既に二回も子種を注いでいるのである。

 優斗が進み出る。彼は前に回り込んで口淫を強いた。本日二度目の口淫である。まだ毛も生えていない股間に、大人の大きな頭がかぶさる。その頭に軽く手を添えて、優斗はうっとりとした表情を浮かべた。

 その顔を、やはり佳彦は見ていた。後輩が母にペニスをしゃぶらせて、気持ちよさそうにしている。意味は分からない。このもはや子作りですらない行為が、ひたすら一方的な性欲発散であるとは想像だにしない。なぜ母は、小便の道具を舐めているのか。後ろからはそれを割れ目に入れられ、前後挟み撃ち。二人から同時に排泄具を挿入される母。排尿器官を相手にするのは、さしずめ便器である。“使われる”とはこういうことなのか。母は便器なのか。

「おいおい、口かあ。口もいいけどよ、折角だから、二穴挿しヤッてくれよ」

優斗を見て、鎌先が言う。言ってから、彼はまた思いついて、今度は指図を始めた。すなわち、複数姦の段取りを知らないのだろうと思って、それを教え始めたのである。

「いいか、イイ女ってのはな、共有するもんだ。――おい、こっち来い」

煽られて、戸惑っていた者らも遂に動く。この期に及んで、ヤらないと言う方が勇気が要った。それに、ヤりたくないと言えば、嘘になるのだ。

「お前ら小柄だからな……よしっ! 一気にヤッてみるか」

鎌先のテキパキとした指導の下、適材適所の配置が行われる。すなわち、優斗は一旦引き剥がされ、恵太の所へ、空いた口へ俊之と克弘、最後の穴に祥吾と雅也である。

「オーオー、すげえな」

「いや、さすがに無理だろ」

見物人が物珍しそうに囃す。慶介、浩樹、竜二にとっては見たこともない試みだ。

「マジか、マジで二本入るか」

床に寝かされた最年少組、両の陰茎を擦り合わせ、まるで一本のようにする。それへ、有紀が和式便器よろしく跨って膣入れ。その背を前屈みにし、露わになった後ろの空洞へ、これまた二本を一本にした二年生組が、そして前方口の二名も同様だ。三穴に二名ずつ挿すというのが鎌先の案である。

「もうちょっと……よし、頑張れ」

小兵だからとはいえ窮屈には違いなく、とりわけアナルへの二本挿しは困難である。かなり体を捻らねばならなかった。すっかり共同作業になって、観衆も熱を帯びる。まさに運動会、就中組体操である。それだものだから、完成に至った時は、一種の達成感を共有することになった。

「よしっ! 六人乗り完成!」

「スゲー!」

軽い拍手すら起きて、当事者を讃える。

「このババア、今六本もチンポ入ってんのかよ」

「幸せだな、オバサン。一度に六人から犯してもらえて」

勃起型に頬を膨らませる当の本人、間抜け面に虚ろな目である。

「六本同時にヌけるなんて、偉いねえ、奥さん。肉便器の鑑だね」

「これで、回転も速くなるな。すっかり輪姦専用になった。良かったね、奥さん」

 “回転が速く”それを象徴するかのように、早くも果てていたのは恵太だ。誰にも言えなかったが、組体操で試行錯誤している途中でもう漏らしていた。唯一気づいていたのは、一つ女穴をシェアしている同居人。密着する裏筋に友の脈動を感じ、チラッと隙間から表情を見たものだ。そんな彼も、友人に遅れること数秒の後に、射精。前後して、二人の子種汁が一人の年増女の産道に注入された。

 続いては、アナルペア。打ち上げ花火よろしく連発は続く。最初、佳彦のことが気になっていた二人。だが、共同作業の難しさは彼らの気を紛らわせてくれた。遂には行為に没頭するようになり、雅也などは、

「ケツの穴って、こんなに広がるもんだな」

と、つぶやいた程だ。件の穴、称賛の通り、二本の勃起男根を見事に同時丸しゃぶりし、ちゃんと本来あるべき性欲処理の務めを果たした。もう排泄ではなく、男性を悦楽に導く為の遊具であると自覚している彼女の肛門だ。腸内を二発の精液浣腸が逆流する。

 彼らに対し、少し時間の掛かったのが口を担当する上級生組だ。刺激がやや弱いこと、そして体勢が楽なことから、二人は佳彦への意識が比較的薄まらなかった。しかし、それがかえって功を奏した部分もある。

 俊之は、チラッ、チラッと佳彦の顔を盗み見、そして、股間にあるその母親の顔と見比べ、

「(金光、見てるか。お前の母ちゃんにオレ今チンポしゃぶらせてんだぜ。息子の前なのに、母ちゃんチンポ放さねえよ。お前の母ちゃん、フェラうめえ)」

などと、ひねくれた思考をすれば、相方の克弘も、

「(オレ、金光の前で、金光のおばさんにチンチン舐めさせてんだな。スゲーな、この人、子 供の目の前で六本も同時にチンチン入れられてるよ)」

と、一人劣情を高揚させていた。結果、彼らもまた難なく用を済ますことが出来た。俊之は口内に、克弘は勢い余って顔面に。

 ピュッピュ、ピュッピュと、女体のそこかしこで起こる射精。膣、膣、肛門、肛門、口、顔。まさに精液便所な有紀だ。それを見守るは彼女の息子佳彦。頭の中は飽和状態で、どう考えていいか分からない。だから、見ることしか出来ない。一体どうするのが正解なのだろう。怒るべきか、泣くべきか、止めなくてはいけないのではないか。一体、友達に母を使われた場合の正しい反応とはなんなのだろう。

 思えば、祥吾と雅也は何度も我が家に来ているし、当然母親とも面識がある。その際自分は気づかなかったが、二人は何か特別な感情を抱いていたのだろうか。

「(お母さんのお尻の穴に友達がオチンチンを入れている……)」

 俊之と克弘だって母とは顔なじみのはずで、それにいずれの者とも自分は今日の昼間しゃべっている。その時はやはり何も感じなかったが。

「(お母さんが友達のオチンチンを口にくわえている…)」

 佳彦はぼんやりとムカデ競争の時、母が何か囁いていたことを思い出した。あれがなんだったのか結局分からずじまいだが、ひょっとすると、今見ている光景と関係があるのかもしれない。そして、その後運動場で裸にされたことも。

 裸。母は裸。おそらく、あれからずっと裸のまま。そうして、よってたかって体のあちこちにチンチンを入れられ、みんなに“使われて”いる。そうだ、と、周りを見渡せば、母以外は皆男。ということは、今見ているようなことを、ほかの男達もしたのか。母はこういうことをする人なのか。チンチンと過ごす母。自分の知らない姿……

 彼の中で様々な思いが渦を巻く。そこには怒りも悲しみもまだない。が、一つ感情があるとすれば、それは嫉妬に似たものだった。

 これとは別方面に頭を抱えていたのは前原だ。彼の思考はほとんど停止していた。

「(終わりだ。どうしようもない。かわいそうに、あの子はもう立ち直れないだろう)」

 ただせめてもの救いは、有紀の方がまだ息子を認識していないらしい点だ。これだけは守りたい。

「(いや、それも無理か)」

自嘲気味に彼は口角を歪めた。彼に出来ることと言えば、精々両者の間に立って、視界を遮ること位だ。そんな誤魔化しがいつまでも通用するものではないだろう。どうやら親子関係に気付いているのは自分だけらしいから、それを悟られぬようにする位は出来るかもしれないが……

「(それも彼女次第……か……)」

諦めが先に立つと、自暴自棄になり、やはり優先すべきは自身の逃走であると、彼はそれのみ考えるようになった。

「もう学校に残ってるのは我々だけ?」

窓の外に目を凝らしながら、ふと矢板が袋田に聞く。すると、沼尻が代わりに答えた。

「いや、そういえば、もう一人居たんじゃないかな。女の先生みたいなの」

「じゃあ、早めに切り上げて、移動した方がいいね」

 そんな会話が交わされた時、ガラリと扉が開いた。服部、そして比嘉だった。服部は陽気に、今しがた外で見た婦人連中との経緯を語りだす。有紀と前原の性交を窓越しに目撃したあの件だ。だが、その話は、比嘉のただならぬ驚きようによって中断させられることとなる。

「か、金光君……!」

 その叫びに釣られて、ゆらりと有紀が首を巡らせた。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼教室D
有紀、前原、佳彦、慶介、浩樹、竜二、小林、比嘉、俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、服部、袋田、藪塚、矢板、鎌先、羽根沢、森岳、沼尻
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


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[2017/09/30 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#28-


「(しまった!)」

と比嘉は思ったが、もう後の祭り。

「(バレた!)」

心をざわつかせる前原。

 名を呼ばれ、無表情で振り返る佳彦。

 そして、有紀は……

「ヒ……イ……ギイ……ギャアアァァァー……ッ!」

断末魔にも似た絶叫が、夜の校舎にこだました。

「え?」

「何?」

誰にとっても想像以上の叫び。皆々驚いて有紀を見、そうして、その視線の先を追う。そこに佇むのは、果たして悪魔の子か。

「誰?」

「そう言えば、こんな奴いたっけ?」

気味の悪い感情に包まれる男達。それをよそに、有紀がこれまでになく暴れ出す。

「お、おい、押さえろ」

周りにいた少年らが雲散霧消し、代わって大人達が組みかかる。

「ギャアッ、イヤッ、ヤッ!」

なりふり構わぬ態で逃げようとする有紀。ひどい狼狽え様である。これには、さすがの前原も呆気にとられた。

「(こんなになるとは……)」

 それは、想像以上の反応だった。凌辱の場を見られることは確かに悲劇ではあるが、平生の応対はむしろ淡々とした印象であっただけに、我が子に接してこれ程の動揺があるとは思いがけなかった。やはり、母性がなさせる嘆きなのであろうか。

「ヤッ、イヤッ、離せ、離せぇっ!」

いまやはっきりと拒絶の意思を示しながら、有紀はその場から逃れようとする。視線は出来るだけ逸らす、もはや禍々しいと言うべき、己の血を分けた遺伝子から。そこに、愛とか配慮は無いと断言して良い。では、有るのは何か。

「なんだ?」

面食らった様子で、小林が周囲を、就中比嘉の顔を見る。比嘉は答えなかった。己の迂闊を悔いて、これ以上の罪を重ねまいと自重していた。

 だが、有紀の狼狽を見、その眼前にいる少年の年恰好を見れば、誰の目にも容易い推理ゲームである。程なく、彼は身近な若輩を捕まえて問うた。

「おい、あれ……息子か……?」

面と向かって問われた克弘、仲間に助けを求めたい所だが、誰も目を合わせてくれない。進退窮まって、とうとう彼は白状せざるを得なくなった。きまり悪そうに浅く頷く。

「感動のご対面ってやつ……?」

慶介がボソリと呟いた、言葉面とは裏腹に、真に迫った声音で。だが、その控えめな感情も一瞬のこと、たちまち仲間らと色めきたった。

「マジか、おい!」

「最悪じゃん。ヒくわ~」

口々に言い合うのは、やはり事態を面白がる風潮だ。

「違う! 違うの!」

乱れ髪の端を口に張り付けながら、有紀が絶叫する。周囲に対しては親子関係の否定、且つ息子に対しては現状の否定、その両方の意味を含む“違う”だった。今度は血走った眼をギョロリと佳彦に向けている。その目には、半ば憎しみが溢れていた。

 有紀にとって、平生から佳彦は疎ましい存在だった。長じるに従って、その傾向は顕著になったと言っていい。小さい内はまだ気にする程でもなかった。しかし、中 学生ともなり、男の子から男性へと成長する様は、ある種不気味にも思え、己の理解が及ばなくなるようで不安だった。その点、同じ女である下の子二人はまだ感覚的に理解出来たものだ。

 もっとも、子 供らに対する愛情というものは、そもそもが希薄な人であった。お腹を痛めて産んだ子に対して、一体にそんな薄情な母親があるものかと疑問を呈する向きもあるだろうが、どこまでも自己愛の強い彼女にとって、子 供はペットと同格、しかも自分が構いたい時だけいればいいといった類のそれであって、その意味では装飾品と変わりないのである。

 三人も産んでおいて、傍から見れば理解に苦しむ所だが、その点も彼女の中で何ら矛盾はない。元々が政略結婚で、義務的に設けた子である。結果的に三人は多いが、産めと言われれば産んだだけのこと。そこに自らの意思はなく、ある意味、家畜のようなものだと自嘲したこともある。計画と無計画の狭間で誕生した産物、それらをただひたすら冷めた目で見つめる。それが彼女という生き物だったのである。

「おい、お前大丈夫か」

小林が佳彦の肩を叩いて尋ねる。その口辺には不穏な笑みがこびりついていた。

 佳彦は何も答えず、何も語らぬ目でしばし母と見つめ合う。その間、僅か十秒。有紀の方がまた視線を外すまで続いた。

「もう、いいでしょ……」

それまでと一転、一気に沈み込んだ口調で、有紀が呟いた。あまりに小さいその声は、押さえつけている男らにすら届かなかった。完膚なきまでに打ちのめされた彼女の脳天に、絶望の二文字が衝撃的に圧し掛かる。これまでと比較にならない真の絶望。彼女は、自分が最後まですがっていたものの正体を、今ははっきりと自覚することが出来た。それは、いずれ戻るつもりだった華々しい日常である。それへの執着が、その象徴的存在である登場人物との対面によって、脆くも崩れさったのだ。彼女はもう、以前の平穏に帰る道を、完全に失ったのである。

「オオアオォァ……」

低い唸りを吐いて、脱力していく。脇の男達が、すんでのところでそれを支えた。

 一方、普段の親子を知る者達には、軽いインタビューが行われていた。それによって、祥吾と雅也は佳彦の同級生、俊之と克弘は上級生であることが自白させられた。

「なるほど。それじゃ、知ってて犯してたわけだ、友達の前で、その母ちゃんを」

「そりゃなんと言うか……すごいな、最近の子は……」

 矢板と鎌先が顔を見合わせる。彼らとて、こんな場合は初めてだ。どんな反応をしたものか判断つかない。ただ、佳彦を助けようなどという意見は思いつかなかった。

 忸怩たる思いは、比嘉と前原。こんなことになる前になんとか出来なかったのかと、今更考える。だが相変わらず、何かしようとは今もって動かない。

 恵太と優斗は佳彦の下級生であったが、有紀との交流はほとんどなく、事前にその種の背徳感は持たなかった。今真相を知って驚いている。そして二人とも、もしも自分の母親だったら、という考えがチラリと閃くのを必死にかき消した。気持ちの悪い話だと思った。

「で、どうなんよ、ダチのママとヤんのは。興奮した?」

浩樹が興味津々で克弘の顔を覗き込む。克弘は苦笑いして誤魔化す。実際そういう感情はあったが、急に暴かれるのは恥ずかしい。

「ヤベえな、ガチで。同級生の母親マワすとか。しかも、息子にそれ見せるとか」

竜二は熱っぽく言った。彼には感動する要素があったようだ。

 他方、慶介は、今や時の人となった佳彦に、あっけらかんと呼びかけた。

「あんま落ち込むなよ。マワされたんだよ、お前のママ。けどもう、ヤられちゃったもんは仕方ねえじゃんよ」

「そうだそうだ。兄ちゃん、いいこと言うね」

小林が引き取って言う。

「ママはね、輪姦されたの。分かる? ここにいる奴全員、いや、もっと沢山の男とオマンコしてたの。今日の朝からずうっと、チンポ入れられっぱなしよ」

そうすると、それまで笑いをこらえていた沼尻や服部も、便乗してからかい始めた。

「セックスしてたんだよ、セックス。おじさん達と今朝からずっとね。セックス、習ったろ、学校で? 子供作ってたんだよ、おじさん達とママが」

「ボクは弟と妹、どっちが欲しい?」

「気持ちよかったぜ、お前の母ちゃん。なあ、良かったろ?」

再び口を開いた小林が、傍らにいる俊之に問うた。すると、俊之もとうとう悪ふざけに一歩踏み出した。

「き、気持ちよかったぜ、金光のおばさん」

大胆不敵にも、直接息子へ母親レイ プを告白したものだ。これを聞き、浩樹が彼の頭を軽くはたく。

「バーカ、さっきまで童貞だった癖によ」

と、そう言ってから思いついて、佳彦に向き直って言う。

「こいつら、お前の母ちゃんで童貞卒業したんだぜ。ていうか、今日だけで何人の筆おろししたんだろうな、このおばちゃん」

別に誰に訊くでもなく、また誰も応えるでもなく、ただ佳彦の母が性交の初体験を一日に何人も済ませてやったとの事実を伝えられたらよかった。ちなみに、真相は小中 学生九人である。

「まあ、こうやってさ――」

まとめるように、服部が語る。

「君のお母さんとみんなで仲良しして、みんな仲良くなったわけだよ」

それを聞くと、鎌先が妙に感動して、

「その言い方いいねえ。“仲良しして”っていいね」

と、しみじみと頷いた。

 その時、ふと慶介が気づいて佳彦に言った。

「あれ、お前……起ってんじゃね?」

「え? え? マジかマジか」

竜二が友人の指摘に色めき立つ。一同の視線が、少年のジャージズボンの前に自然と集まった。そこは確かにこんもりとして……

「お前も――」

そう慶介が言いかけた時だった。幾人かが耳をそばだてる。廊下に微かな足音が。

「ああ、お客さん来なすったな」

服部が思い出してつぶやいた。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼教室D
有紀、前原、佳彦、慶介、浩樹、竜二、小林、比嘉、俊之、克弘、祥吾、雅也、恵太、優斗、服部、袋田、藪塚、矢板、鎌先、羽根沢、森岳、沼尻
▼打ち上げ会場
花村、島田、鈴木、金光
▼帰宅
高橋、豊、聡、翼、清美、瑞穂


ひとみの内緒話




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[2017/11/25 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#29-


 *

 それは、かの女教師。シャワーから戻るはずの有紀を待ちぼうけしていたところ、どこからか響く絶叫を耳にし、取り急ぎ職員室から出たものだ。間もなく、ある教室から煌々と明かりが漏れているのを見つけた。

「え? 何?」

心細さから口に出して疑問を述べ、恐る恐るそちらへ近づいてみる。もう有紀と自分以外誰も残っていないはず、そう思っていた。

 ガラリ、と思い切って扉を開ける。と、その目に飛び込んできた光景に、彼女は短く悲鳴を上げた。

「キャッ!」

慌てて目を覆う。そこに居たのは、下半身を露出した男だった。慌ててズボンをずり上げる彼に押し戻され、女は廊下に後ずさった。

「な、ななな、なんですか!」

「やあ、すいませんすいません。着替えてる途中でして」

頭を掻くようにしながら、男が弁解する。それは服部だった。

「いや、片付けの後ね、みんなでちょっと話が盛り上がっちゃいまして。もう、ほんとにもう帰りますから」

早口で一気に畳み掛ける彼に、まだ不信感を露わにする女教師。そこへ、後から現れた比嘉が加わった。

「やあ、遅くまでご苦労様です、村田先生」

すると、たちまち態度を一変させる女教師・村田。

「まあ、比嘉先生もまだいらしたんですか」

急ににこやかになって、親しげに話しかける。この二人、勤務先は異なるが、勉強会等で度々顔を合わせており、知った仲なのだ。そして、村田の方は明らかに比嘉に気があった。

「すみませんね、騒がしくして……」

比嘉が、服部と同じ内容を繰り返す。最前はうさん臭そうにしていた村田だったのに、今度は安心したように肯いていた。

「あと、戸締まりしておきますよ。役員の方もいるし、明日にでも学校へ鍵を返しに来てもらいましょう」

「まあ、そんな、申し訳ない……」

「いえいえ。こちらこそ遅くまで番をさせて申し訳ないです」

爽やかに比嘉が提案すると、たちまち村田は笑顔になって、これまでの不機嫌も吹っ飛んでしまった。

「じゃあ、お言葉に甘えていいかしら。実は、母の面倒も見ないといけなくて……」

「そこまでお送りしましょう」

とんとん拍子に話は進み、比嘉は学校の鍵を受け取って、村田を送り出す運びになった。かに見えたが。

 ふいに思い出したように立ち止まって、村田が教室の扉の方を窺いだす。それを見て、服部が言った。

「なんです、先生。男の裸に興味がおありですか?」

それを聞くと、村田はムッとして、服部のことは完全に無視し、代わりに比嘉へ問うた。

「あの……金光さん、お会いになりませんでした? わたし、あの方を待っていて……」

「ああ……」

比嘉は特に動じることもなく、さらりと言ってのけた。

「見ましたよ。さっき帰られたみたいで」

「ええっ? 荷物は? 預かっているんですよ」

「持っていらしたと思いますけどねえ」

「まあ!」

村田はふくれっ面をして、有紀のあまりの身勝手さに憤った。自分に一声も掛けず、まるで隙を突くように鞄だけ持ち出して帰るとは! “まあまあ”と比嘉がなだめる。

「ああいう人ですから……」

それで通じるというのが、金光家の評判である。共通の敵の話題を交わしつつ、二人は廊下を歩き始めた。比嘉、さりげなく服部に目配せする。

 服部はニヤリと笑って、教室内に戻った。彼が咄嗟に着替え中の態を装ったこと、そして比嘉が村田を丸め込んだことは、実に上手く機転を利かせたものだ。

 村田の言った“荷物”は、既に回収済みである。その中に有紀が乗って来た車のキーがあった。

「よおし、運べ」

服部が室内に戻ると、次の作戦行動開始である。有紀は慶介と浩樹に両脇を抱えられ、全裸のまま運搬されることとなった。

「オラ、おっさんも立てよ」

竜二は前原を小突く。逃げる機会も手段も失った前原は、もはや言いなりになるしかなかった。事ここに至りなば、“もうどうにでもなれ”と、やけっぱちにもなる。

 ぞろぞろと動き出す一団。その中で最後まで動かずにいた佳彦に、鎌先が声を掛けた。

「君は、どうするの?」

 佳彦は、もうさっきからずっと硬直していた。熱い目蓋の裏には、いまだ母の輪姦シーンが焼き付いている。

「これから、場所を変えて、まだもう少し続きをするつもりなんだけどさ――」

鎌先は続ける。

「君も来るかい?」

二、三歩先へ行っていた矢板が、友人が来ないので振り返った。二人の大人の視線を集めて、佳彦はしかし、うんともすんとも言わない。

「仲間になるかい? もしかしたら――」

言いながら、鎌先は視線を少年の股間へと落とした。

「いいことが出来るかもしれないよ」

それは呪文のような響きを帯びていた。佳彦は、相手と目を合わさないで済む程度に目線を上げた。そして、おもむろに歩き始める。その一連の様子を見ていた矢板も、頬を緩め、前に向き直って歩き出した。最後尾になった鎌先が、灯りを消して、教室は空になった。

 この最後の三人が校門に到着する頃には、既に有紀の車は発進する所だった。家族用のワゴンカー。後部座席には有紀が積み込まれ、その両隣に慶介と浩樹、助手席に服部、運転は小林だ。

「いい車乗ってんなあ。あれ結構するよ」

矢板が指さして言う。その目の前で、

「じゃあ、お先に」

との服部の言葉を残して、ワゴンカーは門外へ出て行った。それを追うではないが、ゆるゆると三人も門の外へ出ると、路上に一台のマイクロバスが停まって、ハザードランプを点滅させているのを見つけた。幾人かがそれへ乗り込んでいる途中である。運転席の藪塚がこちらに手招きしていた。

「用意のいいこって」

矢板と鎌先は笑い合いながら、佳彦を間に挟んでバスに乗り込む。

「ヒュー、息子ちゃんもご参加かい?」

沼尻が目ざとく見つけて煽る。すると、それまでうなだれていた前原が、“何を考えているんだ?”とでも問いたげに眉根を寄せて顔を上げた。当の佳彦は表情を全く変えることなく、前の方の席に座る。

「これで全員?」

藪塚が訊くと、袋田が、まだ比嘉が残っていると伝えた。中 学生六名の内、祥吾と雅也以外の四名はここに乗っていない。さすがに家に帰ったのである。彼らの手には、今日撮り溜めた淫猥な動画が握られている。今晩からは、それをオカズとして、今日の強烈な思い出と共に、愚息を握る日々が続くのであろう。だから、途中で離脱するも、ホクホクだ。

 程なくして、比嘉が駆けてきた。

「すいません、お待たせして」

村田を見送り、すっかり門扉を施錠してきた彼。彼女からは、母親の介護のことなど聞かされ、それへ適当に話を合わせて肩が凝った。ちなみに、彼女が自分に好感を持っていることは薄々気づいているが、独身の身分でありながら、彼女に異性としての興味は一切なかった。あの鶏がらのような痩身と、何事も杓子定規な、まるでロボットのような振る舞い、そしてヒステリーには辟易である。彼にはまだ、憎まれっ子の肉豚オナペットの方が必要だった。

 最後の一人を乗せて、ようやくバスは走り出す。佳彦にとっては行き先も分からない、文字通り深い闇の中へ。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼ワゴンカー車内
有紀、慶介、浩樹、小林、服部
▼マイクロバス車内
佳彦、前原、竜二、比嘉、祥吾、雅也、藪塚、矢板、袋田、鎌先、羽根沢、森岳、沼尻
▼打ち上げ会場
金光、島田、鈴木、花村
▼帰宅
高橋、俊之、克弘、恵太、優斗、豊、聡、翼、清美、瑞穂


world200*40




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[2017/11/27 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
大輪動会-プログラム#30-


 *

「ねえ、いつまでやるつもり?」

疲れ切った気だるい調子で、有紀がボソリと呟いた。今しがた慶介から膣内射精を受け、続けざまに次の相手である隣人の上へ移動しながらだ。

「だって、起っちゃうんだもん」

浩樹はそううそぶいて、女の腰を手繰り寄せた。向かい合わせになって、腿の上に相手の尻を乗せる。もちろん、凹凸を噛み合わせて。

 男根はなんの障害もなく、まるで入っているのが普通とばかり平然と、いかにもスムーズに恥穴へ侵入する。重力で体が落ちるのに任せて、尻の着地と一緒のタイミングでストンと。人によっては、こんな簡単に合体出来るのが不思議に見えるだろう。これが熟れ女、しかも輪姦された女の実力である。

 有紀は背もたれに腕を突っ張って、なんとか体を支えた。そうしていないと車内の揺れで転がってしまいそうだからだ。今更命が惜しいではないが、自衛本能は失われていないようで。

「(まったく……)」

彼女は、そういう神経を忌々しく感じ、自分の殻に逃げ込むべく目を閉じた。しかし、思い出されるのは今朝からの地獄絵図ばかり。不良から、隣人から、子 供の担任教師から、息子の友人らから、そして今日初めて会った他人から、何度も何度も強 姦され、大勢の前で辱めを受け、恋人からは見放され、挙句、我が子に……!

「(イヤッ!)」

ハッとして、目を見開く。途端に、後続車であるバスのライトが激しく目を射った。有紀は微かに目を細めて、そちらから目を逸らす。無論、今跨っている相手の顔も見ない。彼女は少し窮屈な姿勢で、窓の外へと視線を逃がした。

 息子に醜態を見られたことには、やはりショックを受けた。もう今までの生活には戻れない、そのことを確約させられたようで。彼は知ってしまったのである、母がただの女であり、情けなくも男達から凌辱されてしまったことを。そうなった今、もはやこれまでのような歴然たる力関係を保持することは出来ないだろう。軽蔑すら避けられない。彼女はずっと、自分が子 供達から誇りに思われていると、手放しで信じて止まなかったのである。

 綺麗な母、それは子 供にとって憧れであり、誇りであるに違いない。ましてや有紀は、日の大半を費やして美貌を維持しているのである。身に着けているのは高級品ばかりだし、海外の最新トレンドだって常に頭に入れて、セレブリティらしい振る舞いに気を配っている。だから、付き合う人間は皆ハイソサエティだし、地域だの学校だの下賤な身分の者など鼻であしらって然るべきなのだ。羨望の眼差しを向けるしかない彼らのこと、無論こちらの通らぬ意見などない。強く、美しい母、これを尊敬せずしてなんとする。富と権力を手にした彼女は、紛れもなく成功者なのである。

「なあ、向こう着くまでさ、どっちが何発出せるか競争な」

慶介が浩樹を小突いて言った。それを耳ざとく聞いた服部が、助手席から振り返って笑う。

「若いねえ。そんなすぐ起つ?」

「起つ、起つ。ほら、もう起ってきたし。オレ、発射無制限なんすよ」

そう話す手元に握られたものは、確かに萎れている風ではなかった。

「マジかよ。けど、それって絶対先攻有利じゃん」

浩樹が腰を振り振り、女の背にしがみつきながら異を唱えた。胸板に圧迫されて、間にある肉乳がひしゃげる。その柔らかさが自身の乳首にこすれるのを愉しみつつ、彼はずり下ろした両手で尻を掴み、ぐっと手前に引き寄せた。ゾクゾクする快感が先端へ向け登りつめてくる。もう間もなくだ。

「起たなくなったらパスか、降参な」

そう提案を続ける慶介の言葉は、しかし、浩樹に聞き取られなかった。ちょうどそのタイミングで、この下賤の一員が、成功者の股ぐらへ子種汁を注ぎ込んでいたからである。パックリ開かれた肉尻の谷間、明るみに曝された陰唇はジュクジュクに濡れて、そのめくれ上がった所が、貝の如く芯棒に吸着していた。

「よおし、交代な」

すかさず慶介が言い、早速に慰み女を友人から外して引き寄せる。竿から竿へと渡りゆく、輪姦女は渡り鳥。

「今度はアナルやってみようかなあ」

そう呟いてから、彼はこうも言った。

「しかし、やっぱ狭いわ」

実際、中腰にもなれない車内は、体勢を変えるだけでもひと苦労だった。ファミリー向けワンボックスカーが、カーセックスはおろか、輪姦用に設計されていないことは言うまでもない。

 すると、彼は何か閃いたように、前列の大人二人に向けて、ある申し出を行った。

 *

「ギャハハ、ヤッてる、ヤッてる」

運転席の藪塚が前を指さして笑う。前の車にぴったりくっついて走るマイクロバス。その広いフロントガラスからは、前方の車体が停車の度にギシギシ揺れているのがよく見えた。しかもご丁寧なことに、前の車は車内灯を煌々と点けているので、中の人間の顔まで確認出来た。

「丸見えだね、あれじゃあ」

運転席の横に陣取る矢板が言った。彼だけではない。バス前方には幾人もの乗客がひしめいて、カーセックスの様子に注視していた。

 もし、この辺りが人通りの多い土地であったならば、露出セックスとして多くの人目に触れたであろう。だが、生憎の過疎地域、しかも日が暮れれば、人っ子一人歩いてはいなかった。

「シート倒せばいいのに」

そうすればもっとよく見えるし、広くも使えるのに、と、竜二が唇を尖らせた。本音を言えば、自分も友人達と一緒の車に乗りたかったのだ。

 車列は動き、その後すぐまた信号で止まった。十字路の、それも右手前の一画は空き地になっている為、かなり見通しの良い開けた場所である。例によってまた激しく揺れる車体が見られるか、とバスの乗客らは期待した。が、今度は違った。

「おっ、なんだ、出て来たぞ」

藪塚が指さす先で、確かに慶介が降車してきた。その彼によって、有紀も引きずり降ろされる。靴も履いていない、真正の裸姿で。

 慶介は、彼女を後ろ向きにして車に両手をつかせると、引き寄せたその臀部をがっしりとつかんで、とうに露わにしている自分の股間をそれへドッキングした。立ったままの後背位である。

「おお、あいつら外でヤり始めたぞ」

藪塚を筆頭に、どよめきの声が上がる。その声が聞こえたわけではないが、慶介がギャラリーに向かってピースサインを作って見せた。激しく腰を振りながらである。夜の路上で、それも車道のど真ん中で人妻が一人、衆人環視の中、肛門にペニスを入れられている図は、彼ら熱狂の中にある者でなければ受け入れられないものだった。朝昼には通学路にもなる道だ。その路上で、犬のように尻穴で交尾する保護者がいるとは、ここを通る誰も想像しないだろう。

「マジかよ」

竜二が益々羨ましそうにつぶやく。そして、もしここで本格的にヤり続けるようであれば、自分も直ちに出て行って加わろうと思った。だが、あくまでも信号待ちの間の座興かもしれず、また降ろしてくれと交渉するのにも躊躇いがあったので、結局動けずにいた。

 そんな中、別の角度から事態が動いた。

「あ、ヤベえ、車来たぞ」

すぐに気付いた藪塚が、今度は斜め前を指差す。そこには、右から交差点に進入してきた乗用車があった。それは、本来なら青信号なので通り過ぎるはずだが、なぜか緩々とスピードを落として、辻の手前で路肩に停車した。

「タクシーだな」

矢板が言った。だが、客も待っていない場所で、どうして止まったのかは分からなかった。

 一同、ふいに声を潜める。その眼前で、タクシーの窓が開き、中の乗務員が顔を見せた。

「ヤバいんじゃないっすか……」

そう竜二が言いかけた時、それを制して矢板が言った。

「いや、これはひょっとすると……」

そして、運転席の後ろに座って、隙間から前を見ていた袋田に、「な?」と、ある同意を求めた。

「ああ、そうだ。あの人だね」

名前こそ出てこなかったが、その人物は二人の見知った顔だった。彼らだけではない。藪塚も、鎌先も、さらに、羽根沢、森岳、沼尻にも馴染みの顔だった。

「オーイ」

同じく窓を開け、身を乗り出して藪塚が彼を手招きする。と、相手もそれに応じて、車を降り、こちらに向かって歩いてきた。当然に、性交する男女の傍を通る。慶介は明らかに表情を緊張させていたが、今更逃げることも叶わないので、むしろ堂々と合体を続けた。それを遠慮なくジロジロと舐め回すように見ながら、タクシー運転手はバスの横まで来た。

「いやあ、あんた方かい」

目尻を下げ、鼻の下を伸ばしながら、運転手こと浪岡が挨拶する。

「おう、久しぶり」

旧知の者達が、車内から次々と挨拶を返す。その一々を見て、驚いた風を見せながら、

「まあ、あんなことするのは、あんたらぐらいだと思ったよ」

と、豪快に笑った。それから、有紀にまつわる事情を簡単に聞かされ、代わりに浪岡は、“客に呼ばれて向かう途中で、たまたま通りかかっただけだ”と、説明した。

 それを聞き、矢板が感心して言う。

「そりゃあ、すごい偶然だな」

「やっぱり、縁があるのかねえ、こういうことには」

浪岡がまたガハハと笑った。そして、いかにも好色な目で有紀の方を見る。それに気付いた藪塚が、気を利かせて聞いた。

「そうだ、ヤッていきます?」

そうして、仲間達を振り返る。

「いいのかい?」

待ってましたと言わんばかり、喜色満面で浪岡が問い返す。それを見た矢板から思わず笑みがこぼれた。

「まだ時間あるんだったら」

「ウーン、客待たしてるからな」

「いいじゃん、サクッとヤッていきな」

逡巡する様子の浪岡を、鎌先が後押しした。他方、仕事に差し支えては気の毒だと、矢板は別の可能性も提案した。

「その後はどうなの。お客さん送った後は」

「うん、別に大丈夫。送るのもそこだから、すぐ済むよ」

そう答えて浪岡は、目的地まで告げた。聞いた一同は、異口同音に驚いた。それは、自分達がこれから行こうとしている場所と同じだったからである。

「ひょっとして電話してきた客って――」

羽根沢が尋ねると、案の定だった。客というのは運動会役員ら、その打ち上げ会場へ迎えにいくのである。電話をしたのは、どうやら鈴木らしかった。

「なんだ、それじゃあ――」

またしてもの偶然に感心しながら、矢板が今後の計画をかいつまんで説明した。その一環として、タクシーが利用されているのであるとも。

 納得した様子で、浪岡も目を丸くしながらも肯いている。話は、当然の流れの如く、彼のこの輪姦劇参加についての方向へ転がった。

「いいんじゃない。行き先まで一緒だし」

旧知の面々には、何ら異論はない。続いて、竜二に視線が集まった。

「え、まあ……知り合いなんだったら……」

彼は口ごもるように歯切れ悪く賛意を示した。こういう場面で、行動方針を決定するのは、いつも慶介か浩樹だった。竜二はただ友らに付いていくだけだ。だからこの場合も、特に意見などはなく、どうするのがいいか判断出来なかったのである。

 彼の次に確認を求められたのは、比嘉である。もっとも、彼が顧みられた時点で、既に大勢が決していたことは、彼自身よくわきまえていた。

「まあ、見られちゃったわけですしね」

一応理由らしいものを付加してイエスと答える比嘉。鎌先は、彼らが不満を感じているのではと危惧して、両名をまるで慰めるかのように、最後に言い足した。

「使える穴は増えてるしさ、逆に本数は減ってるわけだから、十分愉しめると思うよ。それに、あの人、“慣れてる”から」

そう話しながら、浪岡の方を見る。場に、仲間内特有の親しげな笑いが起こった。それで決まりだった。

「ああ、それと、もう一台呼ばれてるタクシーあるんだけど、松倉さんなのよ」

浪岡が大事なことを言い忘れていたと慌てて付け加える。松倉、それもまた、浪岡同様によく知られた男だった。それで、結局松倉も、後ほど合流することとなった。こうして、輪姦参加者は確実に二人増えることとなったが、それを聞ける位置に居ながら、有紀はただ右から左へと聞き流し、直腸をこする肉茎から劣情の垂れ流し汁が排泄されるのをひたすら待っていた。


〈つづく〉




〈現在の位置関係〉
▼ワゴンカー車内
有紀、慶介、浩樹、小林、服部
▼マイクロバス車内
佳彦、前原、比嘉、竜二、祥吾、雅也、藪塚、矢板、袋田、鎌先、羽根沢、森岳、沼尻
▼タクシー降車
浪岡
▼タクシー移動中
松倉
▼打ち上げ会場
金光、島田、鈴木、花村
▼帰宅
高橋、俊之、克弘、恵太、優斗、豊、聡、翼、清美、瑞穂


輪姦記録〉
挿入男根:27本
射精回数:72発
(膣47・口12・尻7・乳4・顔1・外1)


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[2017/12/20 22:00] | 「大輪動会」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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