おことわり
R18
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妄想の座敷牢羞恥の風ましゅまろくらぶ



小説には、連続作品と一話完結作品があります。連続作品は、左「カテゴリ」の各作品名より一話から順番に読むことができます。また「目次」には、各作品の概要などをまとめた記事が集められています。

■連続作品
◆長編作品
「子宝混浴『湯けむ輪』~美肌効姦~」

◆中編作品
「大輪動会~友母姦戦記~」
「青き山、揺れる」 ▼「師匠のお筆」

◆オムニバス
「母を犯されて」

◆短編作品
「育てる夫」  ▼「最後の願い」  ▼「ママの枕」  ▼「ブラック&ワイフ」
「夏のおばさん」  ▼「二回り三回り年下男」  ▼「兄と妻」

■一話完結
「ふんどし締めて」
「旧居出し納め・新居出し初め」  ▼「牛方と嫁っこ」  ▼「ガンカケ」
「祭りの声にまぎれて」  ▼「シーコイコイコイ!」  ▼「サルオナ」  ▼「母の独白」
「童貞卒業式」 ▼「お昼寝おばさん」  ▼「上手くやりたい」 ▼「珍休さんと水あめ女」
「栗の花匂う人」「乳搾りの手コキ」 ▼「妻つき餅」 ▼「いたずらの入り口」
「学食のおばさん便器」 ▼「山姥今様」 ▼「おしっこ、ついてきて。」

作品一覧

湯けむ輪(39) 21:54

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後九時五十四分


天井が回る、空間が歪む、流されるままに流されて、ぼんやり映る視界の中で、彼女は揺らめいていた。

エレベーターを出て、移動して、それからほんの五分も経っていないというのに、体の中にはまた男が入っている。大浴場での一件以来、かれこれもう慣れっこになってしまった感覚、それがまた……。

およそ信じがたい成り行きだった。あの後、中年グループと向かった先は、ある一室。そこには、先に上がったあの三人の少年達も待機していた。そう、そこは彼らの泊まる部屋だったのだ。

さらに、そこには別の少年達もいた。やはり先の少年らと同様、部活動の合宿でこの施設に宿をとっていたそうである。聞けば、三人の後輩ということであった。すなわち、二年生が四人、一年生が二人……。

宇川ら中年達は、いい加減なことを言いつつ、勢いで彼ら新参少年達をも巻き込んでいった。既に一味と化した三年生達にも、もはやためらいはなく、毒を食らわば皿までとばかり、後輩達を消しかけた。

そして、その結果が今の状況だ。

「かまへん、かまへん! 今晩でみんな童貞卒業や」

牛滝の煽りを受け、早速に二年生の一人が倫子の中に入った。三国(みくに)という子だった。もっとも、倫子には、この期に及んで彼らの一人ひとりの同定など不可能であった。

彼女はといえば、部屋に入る時から妙に高揚した気分で、わずかに浴衣の前を押さえることで自意識は保っているつもりながらも、促されるままにただ単に足を運びゆくだけだった。一種の諦めの境地とも言えたが、むしろそれを盾にとっている風でもあり、少なくとも後悔や恐怖などは心に追い付いていない情況であった。

(これから、どうなるの?)

まるで他人事めいたそんな思いが、ぼうっとした頭に繰り返される。混乱、それが彼女のよりどころであった。ひたすらストーリーを追うだけの人になった気持ちで、肩を抱かれ、背中を押されて進みゆく。女にままありがちな破滅への憧憬を、現実のものとでもしたいかのように。

一度は冷めかかっていた頭も、娘の前で犯されてから、再び熱してしまっていた。そうしてまたしても家族という日常の傍を離れてしまっては、後はもう夢の中の旅路だ。旅の恥はかき捨てというが、この夢幻の境遇は、あまりにも世の常識とは懸隔があり過ぎた。今もまだ酔いは生きているのだろうか、この狂乱の渦中で、それは誰にも分からなかった。

狂乱は健全な精神を瞬く間に蝕んでいく。後輩少年達は、決して浮ついた心で時を送ってきたわけではない。それが、見知らぬおじさん・おばさんの登場で、大いに驚かされたものである。このあまりに唐突な椿事を僥倖と判ずるか否か、その判断も全くままならなかった。

しかし、彼らも男だったのである。どんなリスクをも乗り越えていく、オスの欲求というものを備えていた。かつはまた、そういった本能というものは、えてして鋭敏な計算を行うものである。そうして導き出された答えは明快であった。

「す、すっげ、気持ちいいです……!」

三国は言い、濡れた肉棒を震わせた。その肉棒の膨張度合が、彼の言葉を立証していた。

「そうやろ、そうやろ」

「イきとなったら、そのまま出したらええで」

「何発でもヤらしてもうたらええねんからな」

吉野、湊山、榊原といった面々が口々に囃したてる。

そのわずか数秒後だった。榊原の“何発でも”の言葉に心をくすぐられたようで、三国は急速にこみ上げたものを一気に挿入口深く放出していた。これが、彼の本能が出した答えだったわけである。

すぐに別な二年生が取って代わる。今度は白峰(しらみね)という者であった。彼は、布団の上に仰向かされて方々から親爺達に押さえつけられている倫子の股の間に入り、そのまま彼らの指導に従って分身を潜り込ませていく。

白峰も、三国同様の答えを求めていた。彼だけではない。後に控えている者も皆。

確かにまだ動揺はしているし、不安もある、それは少年達全員だ。しかし、既に賽は投げられたのだ、今さら一人だけ勝負を降りることなどできない。それは返って勇気の要ることだったし、それに、性を通じての男の連帯意識みたいなものもあった。結果、一同揃って順番に倫子と性交していくという掟が形成されたのである。

「ゆっくり腰動かして、チンポこすってみい」

「自分の気持ちええように動いたらええねんで」

「初めてでも、ヤることはわかったあるわなあ」

口々に忠告を行うのは、須賀谷、吉野、渡瀬。初体験でついつい焦りがちな腰使いをなだめた。白峰はそれらに一々応え、淫汁の海に肉竿を押し沈めていく。女体を共有することで、世代を超えた繋がりを感じる男達である。

劣情に支配された現場は異様な空気感だ。頭に血が上っている面々は、平生なら躊躇すべき点も難なく乗り越えていく。すなわち、たった一人の婦人に群がり、これを大多数で犯し尽くすということ、隣人が種付けし終えたのを見てなお、自分も交合しようとすること。あまつさえ、性交自体未経験かつ純情な者達にとっては、強烈過ぎて気持ちが萎えてもおかしくない状況でだ。

そもそも、白昼堂々と会っていれば、若者達はこの女に不埒な衝動を覚えたりしなかったであろう。彼らにとって倫子は“おばさん”であり、そしておばさんは性愛の対象となりえないのが常だからだ。ところが、このような形で出会い、ひと度“抱ける女”と認識してしまえば俄然話は別である。

加えて、倫子自身は知ろうまいが、一時に複数の男を入れた女体は発情しきっており、湯気のようにその身からは色香が立ち昇っている。それを些かでも感じてしまえば、もはやその女を憐れだとか、そういう風には思えないものだ。本当に色情狂の熟女が、わざわざ輪姦されに来ていると合点して、若者達は彼女をためらいなく犯していくのである。

(天井が回る……)

倫子はされるがままになって、彼らの性の相手を務めていく。

いつしか白峰も仕事を終え、三人目の二年生がそれに入れ替わっていた。


<つづく>



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[2011/06/10 21:54] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「二回り三回り年下男」(後編)

  *


その日、例によって二人は、波雄の部屋で男女の営みにいそしんでいた。

カーテンがそよぎ、そこから日光と風を運んでくる。その等身大の窓を一歩出れば、狭い裏庭である。

「やっ、ちょっと、ダメ、見られちゃう」

後ろから突かれたまま、そちらの方へと移動し始めた波雄を、登志子は甘ったるい声でたしなめた。今や痴戯の域に達している二人の性交である。

相変わらず諫めを聞かない波雄は、彼女の尻を叩きながら、腰を使って前へ前へと押し出ていく。たちまち、窓外に揃えられたサンダルの見える位置まで来た。往来を隔てる壁とは二メートルもない距離だ。壁が目隠しになっているとはいえ、やはり冒険である。

ところが、登志子は別に不安を感じていなかった。自分に限って見つかるなどということはないと、根拠もなく高をくくっていたし、また現在の肉欲に忙しすぎて、ついつい無茶なことも許容してしまうのだった。

「アッ、アグゥッ、ンハッ、ハオォ……」

さすがにこらえなければと意識しつつも、どうしても出てしまうメスの声。それでも事をやめようという考えはなく、絶頂を極められるかどうかだけが気がかりである。まさしく、全身全霊で交尾を愉しんでいる登志子だ。

と、その視界に、サッカーボールが転がってきた。陽光を反射して舞うその姿は、まるで夢の中のオブジェのよう、登志子はそう思いながら、ぼんやりと見ていた。次いで、それを追って少年が現れた時も、瞬間的には彼女は事の重大さに気が付かなかった。

しかし、段々と目が見開いてくる。そしてその目に、スローモーションのように飛び込んでくる現実。

「アアァッ!」

途端に脱力して叫ぶ熟女。それを、呆気にとられて凝視する少年。彼こそ、隣家の長男・学であった。

あまりの驚愕に、一時他人事のように事態を見つめだす登志子。近所のおばさんが若い浪人生と情事を愉しんでいるなんて、醜聞極まりなく笑い話にもならない。人生の幕切れとしては、あまりにも哀しくあっけないと思った。

一方の波雄は、まるで参った風もなく、彼女の上腕部をつかんだままガンガンと肉棒の連打を送り込み続ける。完全に、学に見せつける形だ。彼の頭には、深い考えなどなかった。ただ現在の興奮が全てだった。だから、この見せつけ行為に背徳心などなく、たとえ相手が子供でも興奮材料として利用するのみだった。

彼は、さらに一歩進んで思い切った行動に出た。なんと、学をこちらに招き寄せたのである。少年は躊躇していたが、波雄の半ば威圧的な指示によって、ソロソロと窓の入り口までやってきた。

「ちょ、ちょ、ちょっと、ちょっと、ちょっと!」

登志子はパニックになって、事態の推移に即応できない。そんな彼女を持ち上げ仰向かせて、波雄は下からズンズンと突きあげる。結合部が学に丸見えの状態だ。

「ヒッ! な、何を……!」

その常軌を逸した行動に、空恐ろしくなる登志子。混乱した頭に、様々な思いが噴出しごった返す。その中には、倫理的価値観もあった。すなわち、年若い学にこんな衝撃的な場面を見せて、彼の情操教育に悪影響を及ぼさないだろうかとの懸念である。

しかし、この考えはすぐさま彼女のシニカルな人格によってかき消された。この期に及んで、まだ年長者としての配慮を示そうということの愚かさ、その意識が支配的となったのである。実際、ここまで恥さらしな自分を見せておいて、今さら偉そうに人に範をたれる資格もあったものではない。

「ウ、アアァ……」

嘆きの声を上げて、登志子は胸を覆い隠した。その身はいつも通りの全裸である。純粋に恥ずかしかった。くたびれた裸を、少年に見られなくなかった。

しかし波雄はその腕を取るや、非情にも一糸まとわぬ彼女をさらけ出させる。と、肥えた乳房が躍り出て、腫れあがった乳首が右往左往する。前屈みになるとそれらは垂れて、ブランブランと前後に行ったり来たりした。

学はそれを見ている。よく見知ったおばさんが、隣のお兄ちゃんと裸でくっついて、巨大な胸をタップンタップン揺らしている様を、まんじりともせずに見ている。

その視線の中、理不尽にも登志子の肌は燃え上がった。凝視される所が熱い。それは波雄と同様、学を性戯の一装置と見なしていることを意味していた。彼女は、そのことを意識に上らせぬよう、自分を偽るのに躍起になった。

しかし、もうとっくに体が高ぶっていたところへきて、事態の露見・身の破滅という絶望的状況下に追い込まれたとあっては、自制心など風前の灯だった。むしろ、いっそ狂乱して、我を忘れてしまいたいぐらいだった。

彼女がそうして自分の世界に落ち込んでいく頃、ふいに波雄はそこから離れて立ち上がった。離れられても、登志子は動かない。その刹那は、波雄らの会話も耳に入らなかった。

だから、ようやく気が付いて顔を上げた時には、目の前の光景のあまりの突飛さに、にわかにはついていけなかった。そこには、大と小二つの陰茎が、登志子の方を向いて活き活きと立ち並んでいた。うち、大の方が動いて、登志子の裏側へ回る。と、彼女を抱え、その股を後ろから開かせた。すると、小がその股の間へと、大の指令によって収まる。

「な、な、な、何を……!」

登志子は狼狽した。信じられないことが、今から起ころうとしているのだ。いかにその身が情熱に猛っていようとも、この行為が悪であるとの判別は十分についた。

「入れてみろよ。気持ちいいぞ」

頭の後ろから波雄の声が聞こえる。その言葉につられて、学が前進してきた。半ズボンを下ろし、下半身は靴下を残すのみとなった姿だ。

「やめて、やめ……やめさせて!」

登志子は言ったが、波雄はそれに頓着することなく、学のためにわざわざ挿入口を広げてやりさえした。

「この穴に入れるんだぞ」

秘裂は広げられ、内部の朱に近い桃色の淫肉が明るみに出る。そこへ、硬直した突起がくっついてくる。ちょっとこすれただけでも感じられる、固い――。

その固さが、登志子を焦らせた。

「だ、だ、だめよ、だめ、学君!」

学に最後の説得を試みる。波雄はともかく、学は正気づいてほしかった。が、しかし……。

「だ……めぇ……っ!」

そう言い終わらぬうちだった。入った――、少年は登志子の中に。

まだ先端まで包皮にくるまれたままの、ほとんど生まれたままの成長途上のペニス。ただ、それでも固さは申し分なく、まるで鉄筋のように硬化していた。彼も一人の男だった。

男は、その細い身で大量の肉をかきわけ進んでいく。肉の方でも彼を男と認識し歓迎するようで、うねうねと動いては潤滑液を出し、その活躍を助ける。折しも、肉の高ぶりは、最前からのまぐわいのおかげで、最高潮に達しようとしていた時も時だ。

と、そこへ波雄からの忠告が加わる。

「出したり入れたりして動いてみ?」

学は、素直に従って、健気にも腰を使い始める。いや、腰を使うというような大したものではない。尻を微かに微動させるのが関の山だ。それでも快感は十分に味わえているようで、肉茎が時折ピクンピクンと跳ねあがる。

「だめ、だめ、やっ……だめだったら……」

なおも拒絶の意志を示し続ける登志子の台詞も、いつしかうわ言のような調子を帯び始めた。どんなに小さくとも固さは固し、立派に勃起した陰茎である。女にとっての関心は、太さでも長さでもなく、究極的には固さにある。その意味で、学の道具は、合格点を与えられる女泣かせであった。

現に滂沱の涙を流す彼女の淫肉は、切なさを満々にみなぎらせて頂点へと加速していった。小さな鉄筋は洞穴内の余った空間の中、自由に跳ねまわってチクチクと壁を突っついていく。操縦者が初心者のため的確な責めは期待できないが、それが返って予想を超えた動きを生み、熟練の女穴をうならせる。

「ヒグッ……だめ、これ以上は……」

すっかりメスの悦びを謳歌しだした肉体に、登志子は慌てふためいた。つい先ほどまでは、教育者めいた配慮に思いを致したこともあったのに、今では少年を男と見なして淫行に励んでいるのである。相手はズバリ子供なのに!

ふと彼女の脳裏に、過日のやり取りが甦る。

「――もうすぐ十代なんだから、しっかりしてもらわないと」

「あら、もうそんなに大きくなったの?」

「そうなんですよ。いよいよ十代ですよ」

「早いわよねえ、子供の成長って――」

あの時は、誓って今日のような行為を願いなどしなかった。頭の片隅でも、ほんの一かけらほどでも思い描きなどしなかった。むしろ、こういう不届きな行いから少年を守るつもりで、保護者的な温かい眼差しを送ってきた。

犯罪行為――、そんな単語が胸にこだまする。登志子は戦慄した。このけがらわしく醜い行動、いたいけな少年を猥褻行為に導き、あろうことか、己は快楽の絶頂を極めようということ、なんと人倫の道に外れたことだろう。登志子は冠りを振った、忌まわしい事実を振り払おうとして。しかし、考えたくないことは次々と胸に去来していく。

二人の年齢差はいかばかりか。やっと二桁になったらしい彼。ということは……。

「イヤァッ……!」

驚愕の事実に、登志子はすんでのところで卒倒しそうになった。

干支が三回り、二人の間でする。十年ひと昔とされる世の中においてである。圧倒的な世代の差だ。場合によっては、孫と祖母である可能性だって否定はできない歳の差。そもそも、波雄とですら二回り以上も差があることからして異常なのである。そんな彼らと性交渉をする、自分の人生とは一体……、情けなさの極みを登志子は味わった。

彼女はギュッと目を閉じた。目の前の光景を直視できなかった、自分を犯すのが少年である事実を。だが、闇の中では返って彼の存在感が増すばかりだ。先ほど見た彼の形を思い浮かべ、膣肉がそれを確認していく。あの小突起が、皮かむりのまま愛液に溺れているのだと。

内壁は蠕動して子種を絞り出そうとする。相手はまだ子作りの準備も整わない体というのに、強欲な女性器は、すっかり受胎の体勢である。

「許してぇ……許してェ~……!」

登志子はむせんだ。それは、ありとあらゆるものへの懺悔だった。いつの間にか、股を押さえていた波雄の手は離れていたが、彼女は逃げ出すことを忘れていた。それどころか、かかとを少年の足の方へと、遠慮がちにではあるが、引っかけようとさえしていた。

少年は、身長も体重も彼女以下、ことに彼女のふくよかな体型の前では小人のようにすら見える身だ。だから、抱いて・抱かれて、という風には見えない。どう見ても、母親ほどの女性に男の子が必死でしがみついている感じである。異常な景色だ。傍目にはこれがセックスかどうか、疑わしくさえ見えた。

だが、確実にこれはセックスだった。自身にとって初体験となる膣への男根挿入を果たし、彼は本能で、それが実際には不可能であるのにもかかわらず、相手を孕ませようとしていた。己の人生の、四倍半以上を生きてきた女を。自分の母親よりも年上の女性である。彼は、一心にカクカクと尻を揺さぶった。

それを受け、登志子の欲求も今や最高潮である。全神経を股間に集中させて、彼の躍動に受け身をとっていた。已然、あってはならないこと、という後ろめたい情と、片や、こんな子供相手に、という強がりの情もあった。が、肉体の熱はどうしようもない。

ついに彼女は、少年の前に全ての恥をさらけ出した。

「ングオォ……イグッ、イグゥ~ッ!」

登志子は昇天した――。

文字通り、天にも昇る心地よさだった。同時に、少年ペニスを肉襞で抱きしめる。それは、敬慕の現れだった。愛しい人を帰すまいと、筋肉が引き締まり彼を引きとめる。

この瞬間、登志子は学を主人と認めたのだった。彼の女になったのである。三回り以上も年下の少年の女に。歳の差を超えた瞬間である。そこにいたのは、ただの男と女であった。

彼女は、彼に股を開き、彼のために女の役割を果たせることに喜びを感じていた。相手が、射精もできない陰茎であることなど関係なかった。ただその固さを愛し、それに我が肉体を支配されることに、女としての満足を感じたのだった。

「ウッ、ウッ……」

力んでいた下半身がプルプル震える。そこに密着する相手の背中へ、登志子はそっと手を回した。


  *


それからは、二回り下と三回り下の男たちが交互に登志子と子作りを行った。

二人の情婦となった彼女に、もはや否やはない。望まれるままに股を開き、彼らを替わりばんこに迎え入れていく。それが、一人の大人として最低なことだとは承知の上だ。彼女は堕落した。後はもう、楽な方へと流れていくのみである。

他方、二人の若者には、端から快楽の追求しか頭にない。目の前の熟女を使って、その有り余る性欲を解消していくだけだ。それは排泄に似ていた。彼らは、登志子の人格を選んでセックスしていたのではなく、ただペニスを出し入れして快感を得る道具として、彼女を使用していたのである。

波雄はもちろんのこと、幼い学にもまたそういう傾向があった。好奇心いっぱいの彼は、性や愛に対する知識を得るよりも先に、実践に夢中になってしまったのである。

彼のそういった、ある意味無邪気な好奇心は、登志子の胸をキュンとさせた。学と波雄の決定的な差は、体、とりわけ陰茎の大きさもさることながら、そういう所にあった。無知故のがむしゃらさというか、目的に対して学は一直線なのである。これは、登志子にとって好ましい男らしさであった。

だから彼女は、彼のそれが小さすぎて、中で隙間の空くほどであるにもかかわらず、自然と獣の声で啼いてしまうのだった。

「オッ、オッ、オオーッ……!」

三回りも年下の子供を相手にしているとは、到底思えない喜悦の声だ。彼女にとって、破廉恥などという概念は、もはや恐れるに価しなかった。秘めていた淫婦の性が開花したわけである。ついこの間まで、色ごととは程遠い、快活で人の良い、働き者の主婦であったのに。

結局その日は、日暮れまで三人で寝乱れた。男らと同様、いや彼ら以上に、登志子は肉欲の虜となっていた。性欲を発散していたのは、男たちばかりでなかったのである。一旦火のついた熟女の性欲は凄まじく、はるか年下の二人をくわえて、なお飽き足らなかったのである。


  *


この淫らな邂逅は、その後も惰性的に繰り返された。

時が経てば冷静に返る登志子だが、一たび習慣となったものは、容易に断ち切れなかった。それに、彼女も女なれば抱かれるほどに情が移る。その上、二人に対する母性的な愛情もある。妙なものだが、彼らを男と認めていながら、子供のように可愛いと思ってしまうのである。

逢瀬の場所は、決まって波雄の部屋だ。そして、登志子が行くと、決まって学もやって来た。だから、情事はいつも三人で行った。

学は、登志子の後に来る時もあれば、登志子より先に来て待っている時もあった。

登志子が先に来ている場合、大抵は朝から性をむさぼった後なので、彼女はぐったりとしてだらしなくその身を投げ出していることが多かった。股間から精液を垂れ流し、べったりと床に転がったその姿は、まさに肉塊といった感じだった。

そこへやって来た学は、その白濁汁まみれの肉穴へ、ためらいもなく肉棒を挿入する。登志子は、波雄の使用後の穴の様子が一瞬気にかかるのだが、学はまったく頓着しない。ペタペタと股間をすり寄せて、満足を得るのである。

登志子もまた、それまで散々波雄の肉棒で快楽を得ていたのに、学が来るや、その新たな肉棒の到来に現金にも悦び勇んで、すぐに淫肉を濡らすのだった。

時に彼の到来は、波雄との最中のこともあった。そういう時、波雄は登志子を犬のように這わせながら合体して、まだ戸の開いていない玄関に向かうのが常だった。訪問者は、十中八九学だと分かっているが、そうであっても彼女には恥ずかしい。扉を開けた学の前で、後ろから交尾される姿をさらすのであるから。

もっとも、すぐに学も参加して合体するから、恥ずかしさも一過性のものではあった。ところが、一度この訪問者が、学でないことがあった。学が既にいる状況で、彼の母親がやって来たのである。これには、さすがの登志子も熱を冷ました。

「すみません、うちの子来てませんか?」

学の母は扉の向こうで言った。学が波雄の部屋へよく行っていることは、既に彼女の知る所であった。勉強を教えてもらっているとか、遊んでもらっているとか、息子からは聞いていた。それについて反対する気はなく、その日はただ彼を迎えに来たのだった。

それを知った波雄は、驚くべき行動に出た。なんと、学と交尾させたまま、登志子を玄関まで行かせたのである。狂気の沙汰だと思ったが、それに従う自分もまた変態の極みだと彼女は思った。それでも従ったのは、発情が行き着くところまで行っていたからである。

扉一枚隔てて相対する母と息子。母は知らない、息子が自分より年上の女と性交していることを。しかも目の前で、それもよく知っている相手と。もし事実を知れば、このふしだら極まる大家が我が息子を淫行に導いたものとして憤り、告訴したかもしれない。

登志子は気が気でなかった。気が気でなかったが、しかし確実に快感は得ていた。彼女はもう善良な大家ではなかった。世間を裏切っても快楽を追求するケダモノだった。

「ウッ、ンッ、ンッ、ン……ハアァ……」

ケダモノはケダモノ故に、そんな常軌を逸した状況において、自責の念にさいなまれながらも、アクメに達するのだった。向こうに相手の母親の立つ扉に手をついて、後ろから彼女の息子に男根を突き入れられながら。

結局その時は、波雄が我が身に累の及ぶのを恐れたために事なきを得たが、この一件は彼女に大きな影響を与えた。

結果、学が先に部屋に来て待っているとき、波雄と二人並んで既にパンツを下ろして待ち構えているのを見ると、思わずにんまりとしてしまうようになった。彼らはどちらも登志子に入れようと勃起しているのである。いわば、どちらも彼女の物だ。二本のペニスを独占できる悦びに、彼女はメスとして幸福感を味わうのだった。


  *


狂乱の関係は、その後一年余りも続いた。しかし、やがて終わる時は来た。この時登志子には、良い報せと残念な報せ、そして、そのどちらとも判断のつかぬ報せの三つがあった。

まず良い報せとしては、波雄が大学受験に合格したことである。二年の浪人生活を経て、彼は見事、志望の大学に入ることができたのだ。

一方、それに伴って、彼は引っ越すことになった。大学の寮へ入ることを両親が決めてきたからである。現在のアパートが、通学に極めて不便であることもあった。両親の決定に、基本的に逆らわぬ波雄である。これが、残念な報せだ。

引っ越しても、しばらくは時々彼は旧居にやって来た。そして、その度登志子と肌を合わせた。だが、新生活に忙しくなったのか、いつしか訪問はぱったりと途絶えてしまった。

残ったのは、登志子と学である。波雄を媒介にしてつながっていた二人である。が、彼がいなくなっても、実は二人の関係は切れなかった。男女の仲は続いていた。

登志子は、波雄が出て行っても、彼の部屋はあえて貸しに出さなかった。そして、その部屋で二人は会合した。彼女は学に勉強を教えてやったり、おやつを作ってやったりした。まったく保護者といった感じである。しかし、保護者ならば絶対にやらないことまで彼女はやった。メインの活動は、セックスであった。

「アアオッ、オッオッ、ま、学く、んンン~……ッ!」

彼女は相手の細い胴を抱き締めて喘ぐ。己の半分もない厚みの胴周りである。それはまるで小型犬のようで、きつく抱けば骨が折れそうであった。

二人の傍で、彼の投げ出したランドセルが艶やかに光る。学は学校からの帰りに、そのままやって来ることも多かった。一目散に飛び込んで来て、大家のおばさんに抱きつき唇を奪うのだ。

口づけを教えたのは波雄だったが、実践で鍛えたのは登志子である。彼女は、唇と同時に心まで奪われながら、今や大人顔負けの舌技を身に付けた彼に、よだれを垂らして尻尾を振るのだった。

二人の仲は、三人でいた時よりも、愛情の深いものになっていた。まるで、情事の最中の夫婦のように、室内ではいつも裸で、互いの性器をまさぐったりしゃぶり合ったりしながら本を読んだり、おやつを食べたりしてじゃれ合った。

こういう関係を続けられることは、登志子にとって、良いとも悪いとも判断のつかない、ないしは、つけたくないことだった。単純に、愛欲の上からは嬉しいことだったが、やはり社会通念上許されることではないとの意識もあるわけで……。

密会の後、ばったりと学の親に遭遇することもあった。すると、仲睦まじく笑い合うこの幸福な親子を見るにつけ、登志子は彼らを裏切っていることに、背徳感からゾクゾクと背筋を震わせるのだった。

と同時に、秘肉は蠕動し、さっき出された白濁液を腿の方へと垂れ流す。学の成長は早く、いつしか登志子の中で精通を終えていた。

「子供の成長って早いですねえ」

厚顔無恥にも彼女は言って、相変わらず世話焼きなおばさんを演じながら、心では、学といつまで今の関係を続けられるのかと考えていた。そして、続けられる限りはやっていこうと思うのだった。


<おわり>


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[2011/01/01 20:11] | 「二回り三回り年下男」 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
「二回り三回り年下男」(前編)

『二回り三回り年下男』



「波雄君? 今日燃えないゴミの日よ。ほら、早く出しなさい!」

ドンドンと戸を叩き、隣近所にも丸聞こえの大声で登志子は呼びかける。このアパートでは見慣れた光景だ。

ちょうどそこへ出てきた隣室の一家の主人も、いつものこととて苦笑しながら、この元気でお節介な大家に挨拶をした。

「おはようございます」

「あっ、おはようございます」

声をかけられて、登志子は途端に爽やかに振り向いた。

「ごめんなさいねえ、朝からやかましくて」

「いえいえ。大変ですね、大家さんも」

主人に続いて現れた妻が言う。さらにその後ろから息子が現れる。それを見た登志子、

「あらあら、みんな揃って出るのね。仲が良くていいわねえ」

と目を細めた。主人と妻は出勤、息子は登校である。皆行先は違うが、一緒に出発するのである。

「ほら、学、大家さんに挨拶して」

母に促されて、息子、

「おはようございます」

と、寝ぼけ眼をこすりこすり言った。

「はい、おはよう。えらいわねえ、早起きで」

登志子は笑顔で応じた。それを受けて父は、

「いや、もうすぐ十代なんだから、しっかりしてもらわないと」

と言って、息子のランドセルに手を乗せる。

「あら、もうそんなに大きくなったの?」

目を丸くする登志子。父はそれを聞くと、

「そうなんですよ。いよいよ十代ですよ」

と笑った。“十代”というフレーズを気に入っているらしい。子供の成長が嬉しい彼であった。

「早いわよねえ、子供の成長って。うちの子も学君ぐらいの頃があったんだけど、もう今じゃすっかりオッサンよ」

登志子はそう言うと、豪快に笑った。二十三歳になった彼女の息子は、大学を卒業後独立し、既に家を出ていた。

――三人家族は、こうして大家と挨拶を交わした後、それぞれの目的地へ向かうべく出て行った。その幸せそうな後ろ姿を見送ると、再び彼女は扉の方へと向き直る。

「波雄君、起きなさい! 今日予備校は?」

ドンドンと叩く。とうとうその喧噪に耐えかねて、中からドアが開いた。

「うるさいなあ、今日は休みだよ」

現れたのは、浪人生となって今年二年目に入る波雄。寝癖でボサボサの頭、よれよれのトレーナー姿の、いかにも不摂生そうな青年である。

「ゴミは? ……ああ、もうほらほら、またこんなに散らかして」

登志子は、彼が止めるのにもお構いなしに、開いたドアからズカズカと中へ入っていく。部屋の中には、脱ぎっぱなしの下着や、食べ終わったカップラーメンの容器などが散乱していた。彼女はそれらを拾い集めて、手早く選り分けていく。

「うるさいなあ」

波雄はもはや追い出すのを諦めて、ドッカと布団に腰を下ろした。止めても無駄であることは、もう十分思い知らされている彼である。何しろこのお節介な大家は、定期的にうちへ来てはこうやって頼んでもいない片付をしていくのである。

「ご両親に頼まれてるんだから」

その理由をこんな風に彼女は話した。波雄は大学受験のためにこの街へ出てきて、以来一人暮らしで予備校に通う毎日を送っているが、そんな彼の両親が、時々実家から出てきては、登志子に世話を頼んでいくというのだ。彼女はそれを快く引き受けたというわけである。

「もう、しょうがないわねえ」

登志子はぶつぶつ言いながら、散らかっている物をまとめていく。若くして一人暮らしと受験という二つの難問に同時に直面し、精神的にかなり不安定になっているであろう彼だ。それには同情を覚える。下手をすれば社会とすれ違う環境に陥って、孤独から思わぬ病に侵されぬとも限らない。そうならないように、ケアしてやりたいと思う。

それに彼女としては、自身の息子も大学受験をしたという経験から、どうしても他人事とは思われないのである。加えて、息子が独立したことから来る寂しさも多少は作用していた。いつしか、息子と波雄とを重ね合わせていた彼女である。そういう個人的な事情も、世話にいそしむ背景にあった。

「あ、あんまそっちの方はいいよ」

波雄は先ほどよりは幾分トーンダウンしながら、無駄とは知りつつも一応指示してみる。結果は、やはり予想通りであった。とはいえ、相手がこのなりふり構わぬおばさんであったれば、別に殊更に恥ずかしがるようなものもないのであったが。

「まったくもう……」

それでも彼は、いくらかは感じる照れを隠すべくぶっきらぼうに呟いて、顔から頭をぐるりと撫でた。そうして、ぼんやりと目の前の光景を見つめる。膝をつき前かがみになって作業をする登志子の、丸々と大きな尻がこちらの方に突き出されていた。腰からふくらはぎの下までを覆うぴったりと密着した布に、くっきりとパンティラインが浮き出ている。

波雄は、そんな所を見てどうするんだと自嘲しつつ、つと立ってトイレに向かった。

彼女の尻を見たからといって、性的興奮を覚えるはずはない。彼は年上の女性が好きだったが、その対象になりうるのは、女優のように美しく、且つ清楚で儚げな人なのだ。登志子のようにがさつで、どこにでもいるようなおばさんではない。それに、彼女は年がいき過ぎている。自分の母親と同年輩くらいだ。若い彼は、そんな女を抱こうなどとは夢にも思わなかった。

トイレから帰ると、今度はこちら向きに屈みこむ彼女の姿があった。そのゆったりとしたカットソーの襟首から、深い谷間の空洞とベージュ色のブラジャーが覗いている。かなり豊満な乳房である。そして、余りにも無防備な態度だった。

波雄はまたぼんやりと彼女を眺め始めた。登志子は丸い輪郭にぱっちりとした目が特徴の、人懐こそうに見える愛嬌のある顔をしている。波雄は彼女にうざったらしく当たりつつも、心の内では彼女に悪印象を持ってはいなかったが、それも、彼女の人好きのする明るい造作のおかげであった。

ただ、それが彼女の健康的な言動と相まって、彼女を色気から遠ざけていた。これまではそうだった。しかし、こうしてその肉体をまじまじと眺めていると、ふいに彼の中で何かが変わり始めた。彼にしてみれば、魔がさした、という表現が適切であったろう。

事件は唐突に起きた――。

「ちょ、ちょっとどうしたの」

突然後ろから抱きつかれて、登志子は驚いた。ゴツリと、その尻に固いものが当たる。その一事で、あることを察知する彼女。だが、まだ半信半疑だった。

「あ、これ触っちゃまずかった? ごめんごめん、はい、離したから」

そう言って手にしていたシャツを離してみせる。と、相手はそれに関係なしに、彼女の腰のゴムに手をかけてきた。もはや目的は明白になった。登志子はそれを知ったが、そこは年の功である、笑いながら彼をいなした。

「ちょっとちょっと、どうしたの、波雄君」

冗談にして紛らわしてやろうという魂胆だ。彼とて一瞬の気の迷いからこんな挙動に出たのだろう、彼女にはそれが分かる。自分としては、大人の対応で彼を正気に戻してやろうと考えた。

とはいえ、いくら年齢を重ねていても、女がみんなこんな状況を経験しているわけではない。登志子だってそうだ。彼女は日常の延長上で、母親のように彼に対応しようとしたが、一旦行動に出た男の迫力は思いのほか凄まじく、そんな悠長に事を構えてはいられなかった。

「こ、こら、いたずらはやめなさい。お父さん、お母さんに言いつけちゃうわよ」

作戦を変えて、彼の弱点への攻撃を試みる。しかし、何の効果もなかった。その間も絶え間なく、相手は着衣を脱がそうとしてくる。既に下着まで一気にずらされ、尻の谷間までが露出させられていた。

不利を感じた彼女は、しかしまだ大人の寛容さは捨てきれずに、

「こらっ、おばさん怒るわよ!」

と、やや声を荒げて、相手を威嚇しにかかった。しかし、これもやはり効果がなく、時を同じくして、下着を膝頭まで脱がされてしまう。ここまで恥をかかされては、いよいよなりふり構っていられなくなった。

「ちょ、ちょっとやめなさい! 落ち着いて!」

登志子は、前へ逃げようとしたり、手を突っ張って相手をどかそうとしたり、さらに手近にあるものを投げつけようとしたりしたが、それらはことごとく阻止され、ついには彼によって手の自由を奪われてしまった。

波雄は、そうして彼女の尻を引き寄せると、自身のスウェットを手早く腿までずらした。途端に、いきり立った肉棒が飛び出る。自分でもつい先ほどまで想像だにしなかったことだが、彼の陰茎は今、登志子に対して勃起していた。

彼女の視界にも、それは入った。

「や、やめて……!」

初めて恐怖を覚えて、登志子は声を上ずらせた。現実離れした恐怖だった。自分が犯される、考えもしなかったことだ。しかも、この歳になって……、と、彼女はそこから閃いてとっさに叫んだ。

「落ち着いて! こんなおばちゃん相手に何やってるの」

それは、常識的な考えに基づくものだった。普通に考えて、二回り以上も年の離れた相手に欲情するなど、お互いにあり得ないことだと。

しかし、性欲は時として常識を超える。いよいよ登志子の尻に固い突起が当たった。彼女としては、かれこれ久しぶりに感じる固さだった。ピクリと、女の肌が反応する。

「やめなさい。本当に怒るわよ。け、警察呼ぶわよ」

彼女は言った。そしてまだ言葉を続けようとしたが、それ以上は言えなかった。大声を出されぬように、波雄が落ちていた自分の下着を彼女の口に押し当てたからである。その行為は、彼女を絶望と屈辱に追いやった。

「ンングッ! ングゥッ!」

髪を振り乱し、必死で最後の抵抗を試みる登志子。このまるで現実感のないレイプを、とんでもなく恐ろしいことだと自らに思い知らせるように。その口から洩れる声は、断末魔の叫びに似ていた。そして、その声の途切れぬうちだった。

ペニスは入った――。

後はもう成り行き任せ、波雄は彼女の口を押さえながら、全体に覆いかぶさるような格好で、後ろから突きまくる。湿り気の少ない陰裂だったが、肉棒は難なく奥へ到達した。

「ングフゥッ!」

痛みと悲しみと諦めが、登志子の心に交錯する。彼女は眉根を寄せて、波雄の下着を噛みしめた。後ろから突かれるということが、余計に犯されているとの観を倍加して感じさせた。

「やめてぇ、お願い」

不確かな発音ながら、彼女はそう言って相手をなだめようとする。今からでも遅くはない、こんなバカな行為はやめさせようと、彼女は思った。

夫への裏切りという気持ちは不思議となかった。それは、自らの意志による行いではないことから当然ともいえたが、そもそも既に愛の冷え切った相手に対して貞操の観念は希薄であったからである。

それよりもむしろ、息子とダブらせてきた波雄の身の上の方が心配だった。彼女は、こんなことをされてもまだ彼を恨んではいなかった。一つには今でも現実感がないのである。相手が、よく知っている子供だというのがその一番の理由だ。そんな子と自分が性交渉するというのが信じられないのである。

だが、彼女がどう思おうと、彼は男なのである。波雄は、そんな彼を止めようと手を伸ばしたものの失敗してつんのめった彼女にのしかかり、情け容赦なく腰を振り落とした。露出した尻肉に、うなりを上げて股間がぶち当たる。

彼にとって、もはや彼女は世話焼きのがさつなおばさんではなかった。立派な性対象であった。自分の母親と歳の変わらぬことなどどうでもいい、ただ肉欲を満たせさえすればそれでよかった。

「ンッ……ンフゥ……」

彼によって、登志子も無理やりに女にされていった。結婚して四半世紀、女に戻るのは久しぶりだった。久しぶりでも、体は覚えているものだ。意識しようとしまいと、男根に対して受け身をとってしまう。いつしか波雄のそれは、淫汁によって包まれていった。

「ダメ……やめて……」

いい歳をして、こんな年端もいかない子供に恥をかかされて、なんて情けない女だろうと思いながら、その脳裏からはいつしか危機意識の薄らいできたことを、彼女は薄々悟っていた。

波雄は、ほとんどうつ伏せに伸びた格好の彼女に上から重なって、布団や枕で自慰をするがごとく、肉茎を一直線に摩擦し続けた。相手の心情を慮っている余裕はない。これがレイプであることも分かっている。いや、だからこそ、一度踏み切ってしまったからには後戻りできないと思った。

彼は登志子にしがみついて、がむしゃらに腰を振った。いつも強気な熟女も、抑え込めば意外に弱かった。やはり女だった。彼は自分の腕力に優越感を覚え、また大人の女を屈服させられたことに満足を感じていた。彼にとって母親のように振る舞う彼女は、ある種権力側の人間であったのである。

「やめなさい……」

建前が登志子をさいなみ、苦しげに呻かせる。肉欲はある。だが認めるわけにはいかない。しかし、逃げられもしない。彼女はただ、この拷問がすむのを待つしかなかった。幸い、そう長く耐えなければいけないわけではなかった。

射精――。突然に体内に流れ込んでくる熱いエキス。やはり久しぶりの感覚……。

終わった――、そう思うと同時に、涙が頬を伝う。おそらくは、ショックから一気に解放され、肉体の緊張の糸が途切れたためであったろう。登志子は、緩んだ彼の腕の下から出した手で、それを拭った。喪失感はないが、少女のような振る舞いだった。

彼女は身を起こすと、一瞬いつもの習慣でティッシュペーパーを探したが、相手が夫でなかったことにすぐに気づき、恥ずかしさから思いとどまった。注入された精液が熱を帯びて体内をうずかせる。もう一刻も早くこの場から立ち去りたかった。

とりあえず、ずり下げられた下着を元の位置に戻すことにする。この間、二人とも無言だ。登志子は、彼を叱責せねばならないのだろうと思いながらも、何と言っていいか分からなかった。今はただ、心までは彼に奪われたのでないことに満足するほかなかった。

と、その時、まだ下着が尻の下に引っかかっている時に、またしても事件は起きた。

「ああっ!」

思わず叫んだ登志子は、したたかに後頭部を布団に打ち付けた。波雄によって、今度は仰向けに押し倒されたのだった。

「な、何するの。やめなさい!」

声が震える。前以上の恐怖が、彼女を襲っていた。今度こそが本当の凌辱だとは、彼女の本能が叫んだことだった。古びた貞操を汚されただけで終わりではなく、女としての性欲を掘り下げられること、そうして彼のにおいを染み付けられてしまうこと、それこそ決定的に恐ろしいことである。

「は、離して! いい加減にしなさい!」

登志子は抗うも、例によって身動きができない。波雄の体重が両肩にのしかかる。と、彼の唇がこちらのそれに落ちてきた。顔をしかめてそれをかわそうとする、が、無駄なあがきだった。

「ン、ンンッ!」

精一杯つむった口に、波雄の口元が密着する。兄弟と交わすような、背徳的な接吻だった。味は無い。その感想そのままに、若さに対する引け目と彼の行動に対する疑問がわき上がる。

波雄とて、つい先刻まで女の数にすら入れていなかった相手に口づけをすることになろうとは、ついぞ考えもしなかったことだ。しかし、実際に接してみると、顎に触れる産毛といい、ギュッと閉じた瞼の皺といい、その一つ一つの印象が、完全に女であった。彼は舌を尖らせて、彼女の唇をなぞった。紅は引かれていなかった。

「ンンン……ッ!」

登志子は両手を握りしめて、今や真に犯されている自分を自覚していた。体のみならず、心まで侵食されていく自分を。相手はオスの本能として、自分をメスに仕立てた上に、この身を支配しようとしているのだ。彼は知ろうまいが、自分には分かる。あまつさえ久しぶりの接吻が、彼女を焦燥と混乱に導いていった。

弱気になった彼女は、とうとう年輩者としての威厳を放棄し、最後の懐柔策に出た。

「誰にも言わないから、だからもう、やめて、ね?」

しかし、それを言い終わらぬうちに、開いた口の隙間から舌と唇が侵入してくる。半ば予想通りの、当然ともいえる結果だった。そして、それと相前後して、当然のように再突入してくるペニス――。

「ヒグッ!」

登志子は肩をいからせてのけぞった。


  *

どれほどの時間が経ったのか、今朝まとめたごみ袋に赤い日差しが当たって、暗く翳った部屋に影を伸ばしている。その影の横にこれまた黒い影。ただし、こちらは大きく揺らいでいる。そして、それが揺れるたびに、ごみ袋が微動する。

「ウッ、ウッ――」

室内に響くは女、いな、獣の啼き声。影の動くごとに啼いている。

「ウッ、ン、ンァガハアァ……」

時折大きく息を吐いて、顎を震わせる。恍惚と絶頂を味わっている証だ。震えているのは顎ばかりではない。大腿部などは、さっきから震えっぱなしである。それは、セックスが長時間に及んだためばかりではなかった。かれこれ二発目の射精時には既に震え始めていた。下腹部なぞは痙攣しっぱなしだ。柔らかい肉がプルプルとしている。

経験は十分にあったはずなのに、久しぶりだということは、まして活気に満ちた相手と行うということは、想像以上に負担のかかるものだった。はっきり言って、これは半世紀近く生きてきた中で、初めて知ったセックスだった。

波雄も波雄で、初めて知る快楽だった。今まで見落としてきた熟女の肉が、これほどに具合のいいものだとは知らなかった。三度目の挿入に入ってからというもの、彼の欲求は止まらなかった。完全にアニマルと化して腰を振り続けていた。

熟女の肌は緩い。その緩んだ皮に覆われた腿の合い間に割って入り、これを押さえつけ、ゴシゴシと肉竿で突いてやると、体中の柔肉がタプンタプンと揺れるのだ。ことに乳肉が圧巻で、瞬間的には鎖骨やへそまで覆いつくすほどに上下運動した。

登志子はいつしか全裸にひん剥かれていた。豊かな乳房は両脇へと滑り落ち、乳輪も楕円に広がって、彼女の年輪を最もだらしない形で説明していた。波雄は、それらをギュウギュウ揉んで手形をつけ、自らの足跡を刻印していった。

足跡は、無論それだけにとどまらない。何と言っても極め付きは、彼女の女性自身である。散々種を植え付けられて、誰がその主人であるかを教え込まされていた。今しも彼が遠のくと、ドップリと溜まった白濁汁が、淫肉の盛り上がりからはみ出てきた。明らかに容量オーバーである。

「ンンッ、ンー、ンフゥ……」

はめ込まれていたものが外れても、すぐには呼吸が整わない。もうずっとこんな調子だ。そうして落ち着かない内に、またはめ込まれてしまうのである。それを繰り返してきた。

外からは、近所を通る子供の声が聞こえる。学校から帰って来たというより、一旦帰宅した後遊びに行って、そこから帰ってきたという頃合だろう。もうそんな時間だ。隣室の学も、ぼちぼち帰ってきたのではないだろうか。

ようやく登志子は解放された。背中をヒクヒクとバウンドさせながら、ぐったりと全身を横たえる彼女。動けない。ただ、その身には深い満足があった。久々にメスとしての務めを果たせたことへの満足だ。

しばらくして、やっと右に寝返りをうつ。本当は起き直ろうと肘をついたのだったが無理だった。乳房をはじめとした柔肉が、右の方へトロリと流れ落ちる。重なった腿の間から、白濁液が、ブブッと卑猥な音を立ててこぼれ出る。転がされ放置されたその姿は、まさに犯された女の哀愁を漂わせていた。

事後の女は惨めだ。男本位の性処理に付き合わされていながら、後処理は自分で引き受けなければならない。既に凌辱された後とあっては、取り返しがつかない。登志子は、もはや自分の物とも感じられない股間辺りを手で囲いながら、衣服のありかを探った。

腰が抜けたようになり力も入らないことが、余計にその境遇を惨めにした。彼女は、波雄のお節介な介護なしには、服を着るのもままならなかった。プライドの傷つくことであり、断りたかったが、もはやそんなバイタリティーは残っていなかった。彼女は、なぜか上下の下着を取り去ってしまう彼の理不尽な補助を受け、あれよと言う間に玄関へと送りだされた。

「また来てよ、おばさん。それとも、泊まっていく?」

冗談とも本気ともつかない顔で、波雄が言った。

登志子は無言で首を振り、そのどちらをも拒否する。今できる最大限の意志表示だった。すると、その口をまたしても彼に奪われる。彼女に抵抗の余地はなかった。今日から誰が主人であるか、その身は嫌というほど思い知らされていた。

結局玄関先でもとどめの種付けをされて、登志子はふらふらになって帰宅した。


  *


強姦された女は自己嫌悪に陥ることが多いが、彼女も例外ではなく、非難の矛先は波雄ではなく自分に向かうのだった。彼への慈しみを捨てきれないこともあり、また、確実に性的満足を得てしまったこともあり……。

結局彼女が出した行動方針としては、今までどおりに快活に振る舞い、それでいて無防備になり過ぎぬよう、女として最低限度の身だしなみを整えようということであった。自分に隙があったから、波雄が変な気を起したのだと、彼女は反省していた。加えて、それでなければ、自分のような年増に本気になるわけがないとも考えていた。

あの日以来、さすがに彼の家へは足が遠のいた。が、大家と賃借人という関係上、日頃から顔を合わせないわけにはいかない。ただでさえ、周囲の掃除などこまめに働き回っている登志子なのである。

だから、過ちは重ねずにいられない運命だった。登志子は傍目に、以前と変わらぬ体を装っていたが、波雄は違った。あからさまに卑猥な視線を送ってきた。そして、隙あらば実際に挑みかかってきた。

まだ誰か同伴者がいる場合はいい。彼も大人しくしている。だが、一たび一人きりになるや、彼は屋外でもお構いなしに彼女を羽交い絞めにしてきた。現に、外で犯されたこともある。外階段の裏側で、壁に手をつかされ、後ろから……。

そういう時、彼女は声を上げられなかった。普段の大声にも似ぬ体たらくである。それは、一種のトラウマのせいでもあり、他方、己の外聞や、さらにはいまだ相手への思いやりなども気にかかっていたからである。しかしながら、やはり誰かに見られるとまずいということで、大抵は彼の家へと連れ込まれる形でまぐわった。

そんな気も知らず、彼は時に非道なことをする。

「あら、あそこのおうちって、波雄君ちでしょう? やだ見て、ブラジャー干してあるわよ。カノジョかしら? それともお母さん来てらっしゃるのかしらねえ。それにしても、大きなブラジャーねえ」

近所の主婦が指をさして言った。見れば、ベージュ色の上下の下着が、物干しざおにぶら下がっている。一階にある彼の家なので、見間違うはずもない。それは、登志子のものだ。彼女は真っ青になって、早々にその場を辞すと、波雄の家へ向かった。そして、抜き身の男根をおっ立てて待ち構えていた彼に、案の定犯された。そんなこともあった。

波雄は、登志子の予期に反して、本気だった。少なくとも、彼女の肉体に対しては、本気で欲情していた。たとえ彼女がつつましやかないでたちをしようとも、彼の願望は減退することがなかった。

そんな彼にほだされて、登志子も次第にこの不倫にはまっていった。既に、セカンド・レイプの時点でその兆候は顕著に現れていた。本気で求められ、本気の固さで貫かれるセックス。ついぞ御無沙汰だったものだ。あまつさえ、そのにおいをマーキングされてしまった彼女だ。女として、それは素通りできない。

女は、体を重ねるたびに情が移る。登志子も本能でそれに気づいていた。だからこそ、恐くもあった。いい大人になって、後戻りのできない痴情に溺れることは、理性にとって自殺行為なのである。

「もう許して。もうこれっきりにして」

口では何度もそう言った。だが、蜜壷からは淫汁が漏れて、折角の強がりを打ち消した。

夫に見向きもされなくなった性器。だが使用期限はまだ切れていない。それを、夫の知らぬ間に、二回り以上も年下の男に、彼用にかたどりされていく。そこにある背徳的な悦びを、いつしか彼女は覚えた。

「言うとおりにするから、乱暴にしないで」

いかにも観念したように言って、赤ん坊のように手を肩の横辺りに置いてグーパーし、股を開いて受け入れ体勢を取るようになる彼女。その後は、甘い声で啼くようになる。

女の声は、段階的に変化する。男根を入れられても、初めの頃は自分を守って、控え目に声を上げる。演技の混じることもある。いわば、女性のたしなみといった声だ。次いで、陶酔が始まると、今度は秘めていた淫性が現れて女の叫びを上げるようになる。そして最後に出すのがメスの声。

「アガァーッ、アグ、アグァゥァゥアー……!」

獣の啼き声と言ってもよい。オスの種付けを受け、本能から悦びむせぶのだ。個人差はあるが、ある程度の年齢を重ねた者の方が、ここへの到達は早くなる。

登志子の啼き声は、いつも獣のそれだ。心底堪え切れなくなって、自分を見失ってしまうのである。よく母親代わりなどと言えたものだったと我ながら思う。息子より年下のペニスと子作りして、メスの悦びを謳ってしまうのだ。

そうして、満たされた気持ちと恥ずかしい気持ちを抱えて、頬を火照らせながら彼の家を後にするのである。しまいには、自ら訪問するようにもなった。いわば、抱かれに来るのである。大抵は、惣菜などを差し入れに来たという体だった。

二人は互いに慣れてくると、肉体関係以外のつながりももつようになった。以前にも増して会話を交わすようになり、二人は親密の度を加えていった。不思議な関係だった。

波雄は、彼女を女として見ていた。が、同世代の恋人とは違い、仮に傷つけたとしてもかまわないというような、少々雑に扱ってもいいと思う相手だった。そこにはある種の甘えもあったが、やはり体が目当てだったということである。

一方、登志子の方には思いやりがあったが、彼女とて認めたくはなかったものの、自分を満足させてくれるのが彼の若さであるとの事実からは、どうしても目をそむけられなかった。どんなに男と女で対等に向き合おうとも、やはり年齢の壁はどこまでも付いて回るのだった。

とはいえ、奇跡的なバランスながら何とかそれに慣れていった登志子だった、が、まさかこれ以上の壁に立ち向かうことになろうとは、さすがに想像しなかった。


<後編へつづく>


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[2010/12/25 22:00] | 「二回り三回り年下男」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
学食のおばさん便器

『学食のおばさん便器』



“学食”――それは、淫靡な響きを持って心に響く単語だ。あの青春の日々は、今なお記憶の中で妖しい光沢を放っている。

そこが、食欲と同時に性欲をも満たす場であることは論を待たない。“男子校”“学食”“おばさん”とくれば、世間でも周知の事実であろう。実際に通った者でなければ、あるいは婦女子ならば知らぬこともありえようが。

私も、世話になった男の一人である。そうして、男子校出身者のおそらく大多数がそうであるように、彼女らによって“男”にしてもらった人間である。

「学食行ってくる」

それは、ある種の隠語であった。中には、

「便器行ってくる」

などと、ややあからさまに言う者もあった。もっとも、普段の会話の中で彼女らを指す言葉は、そのものズバリ“便器”であったが。

我が校には、便器が三つあった。私が在籍していた当時は、当初、谷田さん、長谷川さん、それともう一人、ひょろ長く地味な印象の人がいたが、この人の名前は失念してしまった。いずれも五十代以上、下手をすると六十代にまで手が届いていたのではないかという人たちである。母親よりも年上だったろう。

それでも私は精勤に通った。恥ずかしながら常連であった。しかし、弁解をするわけではないが、経験者ならば共感してもらえるだろう。あの年頃の男というものは、頭の中まで精液が詰まっていると揶揄される位、実際性欲旺盛なのだから。

だから、いきおい依存症にもなる。手近な快楽に甘えてしまう。たとえ、怪物じみた相手であっても、女であれば使ってしまうのだ。

女、いな、彼らは便器であった。明らかに恋愛の対象外のその容姿から、そう蔑んで(というより、実際には無邪気に、何の疑いもなく口にして)いたのであったが、加えて、相手の人格に関係なく、入れて、出すだけという観点からも、そう呼ぶのがふさわしかった。

我々にとっては、彼らの“穴”だけが興味の対象だったのである。それ以外の場所は関係なかった。穴さえあれば良かったのだ。そういう点から見ると、それは、セックスというよりオナニーと言うのが適切であったろう。相手を慮らないので、自分ひとりでやっているのと何ら変わらなかったからだ。

学食の棟へ行って、彼らの詰め所に入り、そこに並んだ三つの穴のうちの一つに男根を挿入、そして射精。この一連の流れが、単調な学生生活の中で最も代表的な日常として繰り返された。私は、授業の時間割や教室での振る舞いなどは一切覚えていないが、あの淫欲に染まった日常だけは今でも忘れることができない。

ほかの者もそうではないだろうか。男としては、やはり一番強烈な思い出ではないだろうか。卒業生が集まって、あの頃の思い出を語れ、と言われれば、必ず早い段階で“学食”という言葉が出るはずだ。それは、仲間意識を確認するのに欠かせない、共通のキーワードである。

今なお、あの時の感覚はまざまざと思い出される。そこへ行く日は、登校時からムラムラとして落ち着かなかった。行ける日は、前もって決まっていた。何しろ、在校生に対して三つしかない便器であるから、毎日大変に混みあう。それで、あらかじめ整理券が発行されて、何月何日の何時何分が自分の番だと指定されるのである。

この予約設定は結構シビアで、一分でも遅刻するともう受付られなかった。そういう場合は、次の者が即繰り上がる。大体数人、多い時で十数人は常に順番を待って控えていたものだ。といっても、控室のようなものはないので、部屋の戸の前から階段にかけて列をなすことになる。

室内にたむろすることは、便器が許さなかった。特に長谷川さんが恐く、彼女の剣幕には誰も逆らえなかった。私語もほぼ禁じられたし、外で待つ間でもやかましければ、その時他の者との最中であっても関係なく、注意しに出てきた。いわゆる鬼ババだった。

谷田さんにも似たような迫力があったが、この人の場合は時間にうるさかった。彼女が管理する帳面には、誰がいつ利用したか、そしていつ予約しているかが克明に記録されており、これは入り口に広げてあって、利用者はまずその内の自分の欄にチェックをしてから行為に及ぶことになるのだが、これにもたもたしていると、怒声が飛ぶのが常だった。

また、制限時間にはいずれの便器も厳しかった。持ち時間は一人五分である。これに例外はない。延長も許されない。時間が来れば、途中でも退出させられる。だから皆、タイマーを気にしながら必死で腰を振った。タイマーは、三十秒前になると音が鳴るようになっていた。こういうシステムの都合上、遅漏の者は大変だったろうと、他人事ながら思う。

ちなみに、私が学食の便器を使う時は、必ずバックを選択した。それが早く済ますのにうってつけだったのもあるが、むしろ、顔や体などの余計なパーツの情報をシャットアウトして、穴だけに気持ちを集中させるためという理由が主だった。まさにオナニーである。そういう意味では、私は特にドライな性質だったかもしれない。

もっとも、ヌきだけを追求していくと、結局そういう形に落ち着くものだ。挿入以外も行えはしたが、これは全くいらざるサービスであった。

フェラチオなぞは、普通だったら喜ばしいオプションであろうが、あれは多少なりと魅力を感じる女性にしてもらって、初めて興奮するものだと思う。不細工な顔たちに股間に寄ってこられても、しかも挿入よりはるかに劣る刺激でなされても、ちっとも気持ちよくなんかない。

ところで、時々、便器と自分たちとどっちの立場が上なのか分からなくなることもあった。こちらの性欲に従わせているのだから、自分たちの方が上のようであるが、ルールを作るのはあちらであって、それに従わなければならない制度であるからには、便器の方が上かもしれないのである。

おまけに、我々は流れ作業で、ただただ精液を消費させられるだけという面もある。初体験の時もそうだった。こちらが初めてであろうと、向こうは知ったことではない。他の者と同じように、淡々とあっという間に済まされた。思い出も何もあったものではない。まるで、ベルトコンベアーに乗せられた商品のような感じであった。

それでも、私たちは納得していた。たとえ管理された射精であっても、それでよかった。それは、私たち自身が自主的に行っていると信じていたためもあったが、何よりも、どんな膣であっても入りたいと言いきれるほど、あの頃の性的好奇心が強かったからである。

ただ、やはりセックスは、相手あってのものだということは間違いない。本当に、相手の顔かたちでどうしてあんなにも気持ちよさが違うのだろうと思う。というのも、現実にそう実感させられる出来事があったからである。




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[2010/12/10 22:00] | 一話完結 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
山姥今様

『山姥今様(やまんばいまよう)』



岳雄(たけお)が目を開けると、そこには見慣れない天井があった。

「いたたっ!」

とっさに起き上がろうとして、彼は体中が痛むことに気づき、またやむなく布団に倒れこむ。

「あっ、じっとしてなきゃだめよ」

そう声をかけたのは、傍にいた女性だった。見れば、自分の母親程の年恰好の女性が心配そうにしている。

「けがしてるんだから、無理しちゃだめよ」

彼女はそう言って、乱れた掛け布団を元に戻した。

「けが?」

その時になって、岳雄はようやく気が付いた。腕に包帯が巻かれている。

「そっちは大丈夫」

腕を見る彼に彼女は言った。

「問題は足ね。多分捻挫だと思うけれど、しばらくは歩けないわ」

岳雄はちょっと足を動かしてみる。すると、右足が異様に重いことが分かった。

どうしてそんなことになったのか、落ち着いて思い返してみる。

(そうだ! みんなとはぐれて、その後、崖から落ちて……)

岳雄は大学の山岳部の一員としてこの山に来た。だが山道を行く途中、靴ひもを直す間にパーティーから遅れてしまうことがあり、慌てて後を追おうとして足を滑らせたのだった。

「ああっ! すいません。ちょっと電話貸して貰えますか」

仲間に無事を知らせるのが先決だ、彼はそう思った。

「大丈夫。ちゃんと連絡はしてあるわ」

と女性は言う。どうして? と問いたげな岳雄の機先を制して、彼女は説明する。

「これ」

差し出したのは学生手帳。

「ごめんね。連絡先を確認するために、リュックの中見させてもらったの。それでね、お仲間の皆さんには、あなたが無事だってことを知らせてあるのよ」

「あ、ああ……」

混乱する岳雄は、ただただ戸惑うばかりである。そんな彼に、彼女は親しげに語りかける。

「びっくりしたわよ。だって、あんな所に倒れてるんだもの。あんな所、普通気づかないのよ」

その時の状況を身振り手振りで教えてくれる女性。その様子から推して、人のいい奥さんといった風体だ。岳雄の緊張がわずかに緩んでいく。

女性が言うには、山菜採りの最中にたまたま地面に突っ伏す岳雄を見付けたのだという。彼女はこの山中に一人で暮らし、登山客に休憩場所を提供しているのだという。名を峰子(みねこ)といった。

明るい彼女にほだされる内、岳雄はようやく肝心な台詞を言っていなかったことに気が付いた。

「あの、ありがとうございました。助かりました」

「いいのよ」

峰子は軽く言って笑う。

「倒れてたのが若い男の子で、ちょっと得した気分だし」

岳雄も釣られてほほ笑んだ。

「さてと。あったかいスープでも用意するわね」

そう言うと、峰子は気合いを入れて立ち上がる。

「おばさん、がんばっちゃうわよ!」

彼女はそう言い残して、部屋から出て行った。


――翌朝。

「昨日はあんまり寝られなかったんじゃない?」

との峰子の問いかけに、岳雄は素直に答えた。

「あの……はい……」

実際ほとんど寝た心地がしなかった。風で揺れる木々の音を聞いたり、窓の外の闇を見詰めたり、部屋の中を見回したりして無為に時を過ごした。

部屋の中は整然と片付いており、小さな机といす、箪笥などが壁に沿って並んでいた。中で、最も岳雄の気を引いたのは、仏壇に飾られた写真だった。そこには、一人の青年が写っていた。

「岳雄君」

岳雄の口元にご飯を運びながら峰子は言った。岳雄は今、けが人の特権として寝たままに朝食を食べさせてもらっている。

「昨日も話したけれど、しばらく天候が荒れそうなのよね。で、けがも一刻を争うような症状じゃないし、しばらくここで安静にして、それからゆっくり下りたらいいと思うの」

この計画は昨晩にも聞いていた。彼の仲間も同意しているらしい。彼とて異論はない。そうした方がいいというなら、それが正しいのだろうと考えていた。そこで、彼はその部屋でしばらく療養することになった。

彼女の言葉通り、その日の午後から雲行きが怪しくなり、夕方には大雨が降りだした。




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[2010/08/23 22:00] | 一話完結 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
湯けむ輪(28) 21:00

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後九時


宇川の台詞に、少年たちは一見無感動に見えたが、よく見ればその微かな口元のほころびに、隠しきれない内心が満ち溢れていた。やはり一度ならずまたヤッてみたい、そう思うのは自然であり、そんな彼らにとって宇川の誘いは渡りに船だったわけだ。

「そやかて、もうできんのかいな?」

湊山が彼らの股間を見ながら聞いた。確かに、射精してまだそれほど間を経ていない彼らにとって、いくらなんでも再びの挿入は早すぎると思われた。しかし、それは杞憂に過ぎなかった。

「ああ……こら、できそうやね」

赤石の股間を確認した湊山は、すぐに認識を改めた。宇川がそれに言葉を足す。

「そやで。若いねんから、すぐ復活するわ」

「へえ、こらすまんかった。……若いてすごいねんなぁ」

感心する湊山。赤石の陰茎はもうすっかり勃起して、ビクビクと上下に脈動していた。

「まあでも、いっぺん口でしてもうたらどうや」

ふと思いついたらしく、牛滝が提案する。

「そやな、したことないねんしな。よし、口でもっと大きしてもらい」

宇川もそれに賛同する。

赤石はそれまで栃尾と揃って乳を吸っていたが、彼らの勧めによって、倫子の頭部の方へと移動した。空いたポジションには別所が、これまた勧められて陣取る。

赤石は倫子の頭の傍に立ち、牛滝の方を見た。牛滝は、それに応えて言う。

「かまへん、そのまま口に突っ込んだらエエ。口に入れたら、おばはん勝手にしゃぶりよるわ」

ひどい言われようである。だがそれが事実であることを、倫子は自ら証明してしまうのだった。赤石が倫子の口におずおずと陰茎を挿し入れると、彼女は歯を立てることもなく、それをチュウチュウ吸い始めたのである。倫子はもはや条件反射以上に、むしろ積極的に開放的な性に適応するようになっていた。

「ほれみい、もうおばはんケツまくってチンポ吸いつきまくりや」

“ケツまくって”とは、開き直ってという意味である。確かに倫子の態度はもう、開き直り以外の何物でもなかった。されるがままに輪姦を受け入れて、自ら口淫までするのだから。

「ほんまや、吸い付いてるわ。よっぽどチンポが好きなんやなあ」

赤ん坊が乳を含むように一生懸命肉竿を吸う倫子を見て、宇川が感心して言った。それを受けて、牛滝は彼と軽妙な掛け合いを始めた。

「好き過ぎるやろ。ドスケベ女やでこれ。……そやけど、熟女て皆こんな飢えとんねやろか?」

「そうちゃうか。アンタとこの嫁はんかて、今頃どこで何してるやら分からんで」

「ハハッ、そらないわ。あんなドブス、金もろてもかなんわ。そんな奇特な男がおんねやったら、もうそいつに譲ったるわ」

「そら分からんで。人のもんや思たら良う見えることもあるやろ」

「ほな、ウーちゃんにやろか? あれ」

「いや、そやなしにやな」

「そやろ?」

二人は笑いながら、もはや現状から離れた世間話に興じ出した。すると、それを引き戻そうとするかのように、湊山が倫子の方へと話題を戻す。

「まあでも、人妻はよろしいね。人妻ちゅうか、ちょうど熟れ頃食べ頃の体の時に、たまたまみんな人のもんになっとるっちゅうか。こんなエエ体しといて、それが一人のもんやっちゅうねんから、そらもったいない思いますわ」

「そらそうや! ほんで、これはまた特別上物やさかいな」

“これは”の所で倫子を指さしながら、牛滝は湊山に激しく同意した。それに調子づいて、湊山はさらに言う。

「しかし、この人も、六本チンポ入れて六発中出しさせんねやから、やっぱりとんでもないねえ」

彼は知ろうまいが、真実は“七本・七発”である。もっとも、どちらにしろ驚異的な数に違いない。ソープ嬢であれば、中々に優秀な稼ぎ頭になるところである。

「アホやね。もうこないなったら」

牛滝が湊山に応じて言う。

「チンポでパンパンされてアホなっとんねん。そらそうやわな、こんな牛ちち女、男がほっとかへんわ。きっと若い時分からオメコばっかりしとんねんて」

まるで罵るような口ぶりである。可哀想に、倫子はとんだ淫乱女のレッテルを貼られてしまった。彼女がこれまで経験した人数は、本当は今日経験した人数の半分にも満たないというのに。

牛滝はまだ決めつけ続ける。

「栄養がみんな乳の方に行っとんねん。ほんでアホやからオメコばっかりしよる。オメコしか能がないねんな。乳のでかい女なんかそんなもんやで。結局犯されに街歩いとるようなもんや」

途中から少年たちが耳を傾けているのを察して、彼らに教えを説くように話す牛滝。彼が妙に熱くなっているのを見て、笑顔ながらそれをやんわりとたしなめるように宇川が言った。

「エラい言われようやなあ、奥さん」

すると、それにまた牛滝がかぶせようとしてくる。

「いや、ほんまやて」

宇川はちょっとそれを遮って、倫子の股の間に立った。

「ちょっと自分らの前に、もいっぺんさして。おっちゃんもまた元気なってきてん」

彼は赤石らに断って、肉棒を倫子の股に当てた。彼の肉棒は、確かにまた直立していた。


<つづく>



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[2010/08/04 21:00] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(27) 20:57

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後八時五十七分


何といっても乳房だ、童貞少年の興味の矛先は。それは憧れの存在、夢にまで見た感触、乳房こそ女性の象徴であり、そこに触れることこそがセックスとさえ思われるのである。

そういう少年の心理をよくわきまえた上で、牛滝がニヤつきながら尋ねる。

「どや?」

「はい、や、柔らかいです……」

別所は倫子の乳肉をやんわりとつかみながら答えた。

ばっと開いた手を線対象に並べ、指を柔肉に突き立てつつ、その球体をつまみ上げるようにじわじわと動かす。おそらくこんな手つきは、こういう猥褻な場面以外で使用することもないだろう。まさに乳房を揉むための手つきである。

「めちゃくちゃでかいやろ?」

「そ、そうっすね」

巨乳やなぁ」

巨乳っすね……」

共通の卑猥な興味で、牛滝と別所はすっかりつながってしまったらしい。まるっきり、悪いことを吹き込む先輩とそれにそそのかされる後輩といった構図だ。

「乳首もいじったれ」

牛滝は指示を出し、別所はそれに従って倫子の乳首をつまんだ。ゆで上がったように濃い紅色の乳首は、その土台の乳輪からぷっくりと盛り上がって、とても素通りできない存在感を放っていた。

「ンフゥ……」

酔いつぶれて眠った者が寝言を言うような調子で、倫子は卑猥なため息をつく。乳首を刺激されたことは、たとえ気をやっている最中でも感じられるようだ。また、それに反応するということは、彼女がこれまで培ってきたセックス経験における流儀であり、かつ、実際にそうされることに心地よさを感じるからでもあった。彼女は、その特大の乳房に似つかわしく、それを弄られることに性的快感を得るたちだった。

「こないしてな……」

別所は自分なりの間で倫子の乳首をつまんでいたが、それにもどかしさを感じたのだろうか、牛滝は黙って見ていられず、とうとう手ずから乳首いじりを始めた。

まずは膨れ上がった乳輪をきつくつまんで引っ張る。乳房ごと引っ張る。大量の脂肪の塊が、凝り固まった乳首ごと引っ張られて伸びる、伸びる。

それを見習って、別所も真似をする。

「ヒッ……!」

若干の痛がゆさがあり、倫子は短く息を吸い込んだ。彼女の乳房は今、左右両方とも引っ張り伸ばされている。伸ばされている中間の乳肉は、下方にたわんでポチャポチャと揺れた。

ある瞬間で、牛滝はそれをぱっと手放す。すると、伸びていた巨乳が一瞬で地上に縮こまる。続いて、乳首を指先で小刻みにはじく。立ち上がった乳首が、指の先で激しく往来する。

別所はそれも真似した。牛滝が先導し、それを別所が追う。左右それぞれの乳房を、二人は競うように弄んだ。

やがて最終的に、そこへ口を持っていく。本日三度目、またしても倫子は二人の者に同時に乳房を吸われることとなったのである。

さらに牛滝は、他の少年二人を振り返って呼ぶ。彼らにも同じことをしろというのだ。彼は、自分のしゃぶっていた乳首に湯を浴びせてそれで清めたこととし、自分の場所を栃尾に譲った。別所も見習って赤石に譲る。

譲り受けた二人にとっても無論憧れの乳房、そして初めての乳房愛撫だ。彼らも別所のように以前より少しく大胆になって、各自思い思いにその脂肪に吸い付き、またそれを両手でこね回したりした。

「イ……ヒャァ……」

倫子は艶やかに啼いた。その声音には、ややもすると幸福感がにじんでいるように聞こえた。彼女の巨乳は虫媒花よろしく、その豊満さという蜜でオスたちを群がり寄せつけていたが、花とはそうして蜜を吸われることに満足感を覚えるものなのである。

一方その頃、別所は静かに果てていた。彼は始める時は余裕ぶっていたが、実際には思い通りにコントロールするまでいかなかったのである。射精先はもちろん膣内。

別所が終わったのを見届けて、宇川が言った。

「自分ら、もっぺんヤりいな。一回では物足りんやろ」


<つづく>



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[2010/08/03 20:57] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(26) 20:55

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後八時五十五分


「……ンッ……! ハアッ……」

激しいめまいを覚えて、倫子は昏倒した。一瞬間頭が真っ白となり、人々の声も遠ざかる。それは強烈なオーガズムだった。今までにもかなり高感度の快感はずっと続いていたが、かねて予期していた通りやっぱりそれを超えるレベルは存在したのである。

感度の天井を突き抜けたそのエクスタシーはまさに想像以上のもので、倫子にとっては久しぶり、いや生まれて初めてかもしれない感覚だった。セックスで気を極めるのは初めてではなかったが、思えば複数人と立て続けにまぐわうこと自体が初体験なわけで、それから得られる感覚というのがこれほどのものとは、到底事前に想像できるものではないのであった。

(気持ちいい……!)

もうそれしかなかった。倫子は全身これ官能となり、夢うつつの境を満足げに漂うのだった。

(イッた……イッてる……わたし……)

倫子はそれを自覚し、しかしうわべにはほとんどそれらしさを表わさずに、ただ恍惚となりながら静かに静かにその身を横たえるばかりだった。

だが、これだけ男が居並ぶという中で、その変化に気づく者が一人もいないはずはなかった。

「どないしたん、奥さん。気持ちよかったんかいな?」

察しのいい宇川が、早速倫子の傍に寄ってきた。彼は彼女の前髪の下に手を這わせ、指の甲で額を優しく撫でる。

「気持ちエエの?」

倫子はその時、自分でもどうしてそうしたのかは分からぬが、何のこだわりもなく素直にそれに頷き返していた。極めて素直に、可愛らしくかすかに顎を引いて。

おそらく、肉体的に満たされたという結果が、それだけ彼女の全身を支配していたということなのだろう。

宇川はその様子を見て、額に置いていた手を頬から顎の下へと移動させ、愛おしげにほほ笑んだ。その手に、彼女の汗がべったりと染みつく。

「おばちゃんもイッたて。よかったなあ」

牛滝が栃尾を振り返って言う。別に栃尾一人の頑張りによるものではなく、たまたま栃尾がその瞬間に居合わせただけだということを中年達のいずれもが分かっていたが、そこはあえて触れず栃尾に花を持たせてやったのである。

栃尾がそれを真に受けたのかどうかは分からぬが、照れ笑いを浮かべて彼は後進に身を譲った。射精を終えたことですっかり安心しきっている彼なのである。

さて、続いての順番は、ついにこの場で唯一の童貞となった少年、別所である。彼は、ひょろ長い体を押して、栃尾と持ち場を入れ替わった。

「おう、最後や、がんばりや!」

牛滝の声援に、はにかみながらも気さくに愛想を返す。既に三人目ともなると勝手も分かっているし、幾分緊張も取れているようである。

彼は栃尾のような失敗はせずに、いともあっさりと倫子の中に身を沈めた。

倫子は相変わらず静かに横たわったままで、新たな男が侵入してきたことにも殊更の反応を示さない。男たちもそれにはお構いなしである。彼女がイこうがイくまいが、男たちはただ彼女の体を利用するのみだ。

「……おあ……すっげ……」

挿入した別所は、思わずつぶやいた。それを聞き逃さず、牛滝が尋ねる。

「エエやろ。ほんまもんのオメコは」

ニヤニヤしながら聞く。すると、同じようにニヤニヤしながら別所も返す。

「い、いいっすね」

知っている者だけに通ずる秘密を、共有しているといった体だ。彼自身やはり初めてのこととて緊張はしているのだろうが、この点、いささか他の二人よりは余裕を示せていた。

「好きなようにしたれ」

「はい」

牛滝の指令に返事し、彼は思い切って倫子の乳房に手を伸ばした。


<つづく>



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[2010/07/29 20:55] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(25) 20:52

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後八時五十二分


「イッたん? もう?」

ほどなくして牛滝も気づいた。聞かれて、赤石は心底恥ずかしそうに頷く。それを見た中年男達に、一様に温かい笑みが広がる。

「早いナ~、自分」

牛滝がからかって言うと、湊山が、

「いやいや、最初はそんなもんや」

と言ってフォーローし、宇川もそれに続けて、

「牛ちゃんよりマシやがな」

と言い、赤石をかばった。牛滝がそれに言い返して、場にまた和やかな笑いが広がる。

そんな中、赤石は顔を紅潮させながら、そそくさと陰茎を抜こうとしていた。すると、湊山がそれを押しとどめて言うよう、

「まだ出てるやろ? 最後まで全部出させてもらい。おばさんみんなオメコで飲んでくれはるから」

この彼の独自の判断で、赤石は陰茎の躍動が終わるまで膣内にとどまることになった。

「良かったなあ。初体験で生中出しやで? うらやましいわ」

改めて湊山が言う。赤石以上に、彼はその感動に価値を見出しているようだった。

「女も中出しされた方が気持ちエエからな。このおばちゃんも喜んどるで」

牛滝も話す。無知な少年たちは、熱に浮かされてぼんやりとしながらも、初めて接する生のその知識に単純に感心するのだった。

「次は?」

やがて、ほとぼりの冷めた赤石が倫子から離れると、宇川が少年二人を振り返って問うた。

すると、顔も体も丸こい線の、栃尾がのっそりと進み出る。彼はこめかみから汗の筋を流しながら、中年達を窺い窺い倫子の前に近づいていった。

「おっ、自分か。がんばりや」

牛滝が声をかける。栃尾は、何を言われるのか、といった風でビクビクしながらそれを聞き、小刻みに浅い会釈をしてそれに応じた。牛滝はそれを見てニヤニヤしている。

栃尾はいかにも緊張した様子で自分の陰茎の根元を持った。ちゃんと勃起はしていた。だが赤石と違い、亀頭の下の方が包皮にくるまれたままだった。それを目ざとく牛滝が見つける。

「まだ剥けとらへんねんなあ。入れる前に剥いたらどうや」

「えっ?」

といった感じで、栃尾は硬直する。牛滝の言う意味が分からないのだ。そこへ、宇川が助け船を出した。

「いやエエてエエて。オメコしてる間に、自然に剥けるわ」

この一言のおかげで、栃尾は行為を継続することができた。彼は、さっき赤石のを見た通りに、陰裂を亀頭で探りながらそこにあるはずの入り口めがけて腰を突きだした。

だが、入らなかった。ツルリと的を逸れて、陰毛の茂みの上にスライドする。もう一度やってみる。すると、またしても失敗してしまった。膣口はすっかり開いているし分かりやすいはずなのだが、問題は彼がそこをよく確認しないことである。よく確かめずに、勢いで腰を押し付けようとしてしまうのだ。

ついに見るに見かねた湊山が、情け深い表情で彼のもとへ寄って行った。

「大丈夫、落ち着いてしよな? エエか? ここの穴やで。よう見てみ?」

栃尾に語りかけながら、倫子の膣を指し示す。そしてさらに、その入り口を人差し指と親指で押し広げてさえみせた。

「ここやで? よし、こうして開けといてあげよ」

彼の言葉が終らぬうちに、穴からはドロドロと白濁液があふれ出てくる。栃尾はそれを見ながら、しかしそれに対して何らの感慨も抱かずに、ただもう目的の達成ばかりを考えて、指示通り陰茎をそこに当てた。

亀頭の上に、他人のザーメンがまぶさる。

「よっしゃ! おっちゃんも手つどうたろ」

急に牛滝は言って、倫子の左足を抱え上げた。それにより、股間の位置が一層明らかとなる。こうして、まるで分娩さながらに、人々の介助によって股間をさらされた倫子であった。

そんな介助の甲斐あって、栃尾はようやくのことで性交に成功した。彼の亀頭が、包皮もろとも倫子の膣内に埋まっていく。

「オオ~、おめでとう。入ったなあ。童貞卒業やで」

湊山は彼を祝してやった。

「はい……」

とりあえず所期の目的を達せられたことで一挙に緊張が解けたのか、栃尾はほっとして頬笑みを湊山に向けた。全身の力まで抜けたようだ。肩もだらんと下げている。そして、それは彼が性交を終了したことをも意味していた。

彼の終了は挿入開始とほぼ同時だった。既に入り口から精液を発射しながら、肉の間を分け入っていたわけだ。

「もうイッたか!」

大笑いしながら牛滝が言った。栃尾はそんな彼の言動にも、もうびくついたりしなかった。それぐらいほっとしていたということだろう、挿入という彼にとっての大挙をなしえたことに。

一方、この時深い感動を味わっていたのは、栃尾ばかりではなかった。


<つづく>



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[2010/07/26 20:52] | 「湯けむ輪」 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
湯けむ輪(24) 20:50

子宝混浴
『湯けむ
~美肌効


こだからこんよく
ゆけむりん
びはだこうかん






――午後八時五十分


「お先、お先」

胸の前辺りに手のひらを立てながら、湊山は軽く言って倫子の傍を離れた。一仕事終えた男根は、濁った糸を垂らしながら斜め下方を指している。

それがブランブランと行き過ぎるのと入れ違いに、赤石はおずおずと前へ進み出た。

「おっ、いよいよデビューやな」

牛滝が横から声をかける。

「ボクらがつこた後のお古で申し訳ないけど」

宇川も声をかける。中年親爺お得意の、年少者への冷やかしである。

赤石は彼らのそういう言葉に、顎を軽く引くようにして浅い会釈で応じながら、若干きまり悪そうに倫子に近寄っていった。

「自分からか?」

牛滝が問う。

「……っす」

ごく自然な形で譲られて、三人の内では赤石が一番手に行くことが決定していた。

彼は、倫子の背中あたりに触れようとする、が、勝手が分からない。本来ルールなど無用だからやりたいようにやればいいのだが、大人たちの手前、どうしても段取りがあるのではないかと思ってしまい、遠慮してしまうのだ。

そう彼がためらっている間に、ちょうど宇川が思いついて言った。

「前向きでしぃ」

彼はそれと同時に行動していた。すぐに倫子に近寄って、彼女を仰向けにし浴槽の縁の平たい岩の上に寝かせる。“前向き”とはすなわち、互いに向かい合って合体する意味らしい。

「せっかく“男にしてもらう”ねんから、ちゃんと相手の顔見てあいさつせなあかん」

すっかりセッティングを終えて、彼は赤石に訓示する。すると、傍から湊山もそれに賛意を示した。

「そやそや、初めての人やねんからな。ほんで、わざわざヤらしてくれはんねんから」

他方、牛滝は別の方向から注釈を加える。

「このおばちゃんかて、顔見ながらしたい思てはるわ。チンポしてもうてる男の子の顔をな」

倫子はそうして勝手に内心を解説されながらも、それには一切の無反応を決め込んでいた。ただ彼女の蜜壷から、大粒の濁り汁を一粒漏らしただけだった。

赤石はいよいよそんな倫子の腿の間に立った。彼の怒張は精一杯に膨れ上がり、今にもはじけ飛んでしまいそうである。見るからに若いペニスだった。それを縮れ毛の割れ目に密着させていく。

「分かるか? さっき見た穴やで」

股間を覗き込んで、宇川が脇から世話を焼く。それに対して、大丈夫、のリアクションを返しながら、赤石は膣口に亀頭を沈めていった。鮮烈な桃色の先端が、肉の襞の中にその身を隠していく。

「気持ちエエやろう?」

牛滝が聞いたが、聞くタイミングが早すぎて、赤石にはまだ実感はなかった。彼は反応を示せないまま、とにかく進路に沿って奥へ奥へと亀頭を進めていくだけだった。

「ンフゥン……」

少年赤石が男になると同時に、倫子もまた女になっていた。子作りの筋道が、彼の剛直に一直線に占拠されていくのが分かると同時に。

太さや長さはまだ成長途中と思われたが、その固さは倫子のメス肉も十分に満足のいくものだった。彼女はそれがために、彼の腿の裏にひそかに足をひっかけたりもしたものだ。そうして少年を引き寄せ、肉壁にコリコリと当たる剛直を体感する。既に盛り上がっている彼女の気は、もはや天まで上り詰めそうだった。

「ウッ、エェ……アェゥイー……!」

目と口を共に半開きにして倫子は喘ぐ。

「見てみぃ、おばちゃんも気持ちいい言うてはるわ。チンポ気持ちいいて、なあ?」

牛滝が倫子の顔を示しながら口を挟む。彼の解説は相変わらず倫子の許可を得ないものだったが、しかし今度ばかりは当たっていた。ほとんどその台詞をきっかけにして、彼女の心は性の悦楽一色に染まっていく。

(気持ちいい……! ああっ! 気持ちいい! 気持ちいい!)

彼女は心に叫びながら、けた外れのエクスタシーをただもう一心に追い求めていた。ある意味もうずっと快楽の頂点を極め続けてきたような感覚ではあったが、もう一つ天井を超えた快感が確かにあるはずなのだ、その境地にもうすぐ達せられる、倫子はそれを信じて待った。

一方、赤石は行ける所まで行った後、そのまま動かなかった。そうして倫子の腹や腰のあたりに頼りなく手を添えたりしていた。その手つきは恐る恐るといった感じで、まだ遠慮のある様子がはっきりと窺えた。

「そのまま動いてみ」

隣で見ている牛滝が、じれったそうに促す。宇川はそれをいささかうっとうしく思ったようで、

「かまへんで、ゆっくりしいや」

と、赤石に優しく加勢した。

赤石はそんなギャラリーたちに気を使ってか、ちょっと腰を前後しだした。だが、それもちょっとのことですぐにやめてしまう。そうして、さりげなく宇川の方を見、なぜかきまり悪そうにしだした。

「ん? どないした? 気持ちええか?」

宇川がやんわりと尋ねる。それに対し、赤石は下腹をかすかに痙攣させて、ただただ困った表情を浮かべていた。

彼がなぜ困っているのか、それに真っ先に気づいたのは倫子だった。彼女の股間には、本日もうすっかりお馴染みとなった、例のあの熱さが一遍に広がっていたからである。


<つづく>



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