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「なんだ、アイツ、もうイッてんのか?」
中広間で中継を見ていた竜二は、動かなくなった男女を見て拍子抜けした。
「仕方ねえじゃん、童貞ちゃんなんだから」
隣の浩樹が同じ画面を見つめながらフォローを入れる。手に持った袋からスナック菓子を取り出しながら。竜二もそこに手を伸ばし、映像を鑑賞しながら菓子を食う。飲食物は袋田が用意したものだ。
部屋にいた残りの連中は、慶介や小林から説明を聞いて、ようやくこの性交が特別なものだと理解していた。
「ヘー……近親相姦って初めて見たな」
七里川が呟いたが、それはその場にいる全員に共通する事実だった。アダルトビデオの企画などではない、疑惑を差し挟む余地など微塵もない、正真正銘実の母子による相姦劇である。
「すごいな……」
謎の感慨が一同を包み込む。圧倒されて、ともすると正気付いてしまう。島田はそんな雰囲気に触れ、周りが事の重大さに気付いたものと思い、小さなため息をついた。罪深いことをしたものだと。
だが、果たして他の者達は、そこまでの罪悪感は覚えていなかった。逆に、こういうシチュエーションに興奮を覚える趣味の者もたまたまいなかった。ただただ珍しい物を見た、という気持ちで、どちらかと言えばドキュメンタリー映像を見たような印象である。これは彼らが普段の親子をよく知らないから生じた現象だ。
そこへ、彼らとは真逆の立場の者達がやってきた。比嘉、祥吾、雅也の三人である。廊下から部屋に帰ってきたものだ。三人はここに来る途中、一切言葉を交わさなかった。それは、有紀と佳彦に特別な思い入れがある故に、その強さ故に返ってであった。
「(アイツ、ヤりやがった)」
三人の脳裏に、在りし日のモンスターファミリーが浮かぶ。何故、彼は拒否しなかったのか、決して強制されたわけでもないのに。三人に佳彦の心情は分からない。いや、分からないからこそ、モンスターなのか。結局そう結論付けるほかなく、彼らはそんなトートロジーを暗澹たる興奮の中で反芻するのだった。
*
「いや、おれはいいよ」
村本に参戦を勧められた金光だったが、言下にこれを退けた。だが、脈が全くないわけでもないことを、村本は太鼓持ちならではの勘で察していた。
「ヤッた方がいいですって。メチャメチャ気持ちいいんすから、この奥さん」
「おれは間に合ってるよ」
「いやホント。騙されたと思って。一発」
「しかしなあ……」
「何照れてんすか」
「照れやしないけどなあ」
金光にとって、村本のようにお祭り騒ぎするのにはまだ機が熟しきっていなかった。
「穴兄弟の契りを結んで下さいよ」
「ガハハ、なんでお前と兄弟にならんといかんのだ。いやだね、おれは」
二人がそんなじゃれ合いを続けていると、横から舛添が会話に合流してきた。
「ああ、じゃあ、金光さん。わたし、先に行かしてもらってもいいですか。いやあ、恥ずかしながら、ヘヘ、こんなんなっちまって」
彼は膨らんだ股間を隠そうともせずに頭をかいてみせた。彼が先に行きたいのは駆け引きではなく本心からだった。
「ほらあ、どんどん先越されますよ」
村本は肘でつつきながら非難すると、一方で舞台上を指し示した。
「見て下さいよ。あんなガキだって、まだ粘ってんすよ」
一同が見れば、先程来のミゼットレスラーがいまだ股の間で頑張っている。
佳彦はとうに一度射精していた。だが硬さは硬し、意欲はいまだ衰えずで、膣内から一歩も出ようとしなかった。射精して終わり、そういう常識が備わっていなかった為もある。
周りの大人達も、少年の射精があまりに早かったこと、彼が初めてだったこと、そして有紀との特別な関係に配慮して、無理に引き剥がそうともしなかった。
「(コイツ、いつまで!)」
目を見開いて天井を睨んだ有紀は、一気に顎を引くと、息子を、否、前まで息子と思っていた男をキッと睨みつけた。恐怖、絶望から、嫌悪、憤怒を経て、憎悪へと感情が移り変わっていく。今や輪姦男達のこれまでの仕打ちも忘れて、佳彦への憎しみに心は支配されていた。
「(なんなの、コイツ!)」
助けもしない、拒みもしない。普通にペニスをおっ起てて、実の母親を犯す。
「(キ チ ガ イが!)」
そうじゃないかと、かつて疑ったことはあった。少し頭が足りないのではないかと。こういうことは、多くの母親が一度は危惧するものだ。だがまさか、こんな形でそれが証明されようとは思いもよらなかった。それと同時に、仮に世間一般よりは少なかろうとも、僅かばかりあったかもしれない母性愛が、この時完全に消滅した。
「(離れろ! この! このっ!)」
もしも足の自由が利いたなら、何度も蹴りつけてやっただろう。有紀は醜い獣を見るような目で、憎々し気に眼前の輩を蔑視した。
だが、佳彦はそれに気づかない。なんとなれば、彼は両想いだと信じている。ムカデ競争のあの時、後ろにいた母が初めて言葉に発してくれたこと。あれが愛だと思い込んでいる。大輪姦劇を知った後にもかかわらず、むしろ美化さえして。
*
あの時何があったか、言うまでもない。
スタートの直前、有紀は背後の高橋によって、さんざっぱら女穴をほじくり返された。それによって潮を吹かせられ、不本意にアクメする責め苦を負わされた。
なおかつ彼は、である。号砲一下、己の分身をねじ込んできたのだ。
「ハッ! ンッ!!」
明るい日の光が有紀の瞼の上をグルグル回る。三人四脚の時と同様な、狭から広、陰から陽への極端な状況変化が、それに即応できなくなっている鈍い体の感覚を翻弄する。それ故に感じ方も体育館時代と異なって、あんなに挿入されまくってきたのに、まだ新鮮味のある鋭さで襲ってくる。
高橋はピッタリと股間を密着させたまま前進する。憎らしい程器用な男だ。ジャージのゴムを玉袋の下に引っ掛けて、露出した竿をホットパンツの裾から潜り込ませている。手は縄ではなく、有紀の腰を掴んでおり、これはもう“立ちバック”ならぬ“歩きバック”プレイである。
「ヒッ! ハッ! ヒーッ! ハーッ!」
運動の呼吸が有紀は荒い。他のメンバーよりひと際大きい。彼女はその出っ張った胸を息子の背にきつく押し付けた。
「ちょ、そんなに押さないでよ」
即座に非難される。それに対し、ただ短く謝るのが今は精いっぱい。追い込まれた状況が、彼女の身も心も弱くしていた。
そのまま直線で突きまくられ、コーンを曲がる所では、とうとう膝が耐え切れなくなり、その場にくずおれてしまった。将棋倒しになった間も、高橋はこれ幸いと突きまくってくる。有紀の尻にのしかかって、今度は“寝バック”だ。もはや隠す気もないとばかり、彼の腰は上下する。有紀の尻はブルルンブルルンと波立つ。
息子の背に掴まりながら、母は産道を野太い棍棒でゴリゴリ削られ続けた。それは時間にして僅かの間だったが、弱り切った女にとどめを刺すには十分だった。もし彼女の顔を近くで見ることが出来たなら、その表情の著しい変化に誰もが気付いただろう。
「行くよ、ほら」
佳彦に手を取られた時、彼女は完全に女の顔で応えた。彼の背によだれを垂らしながら。
「やめて、もう……イ、イくから……イきます……アァ……」
そこに母親の面影はなかった。限界を超えた体は悲鳴を上げていた。もう女以上ではいられなかった。
復路でも高橋の攻めは止まらない。おまけに彼の指示で、卑猥な台詞を言わされる羽目になった。従わなければどうなるか、考えるだに恐ろしかった。
「ごめんね、佳彦ちゃん、お母さん、おマンコ好き過ぎて、運動会中もガマンできないの」
一言一言、後ろから囁かれる言葉を、オウム返しに言っていく。その多くは、佳彦を意識したものだった。息子の後ろで母親を寝取っている、という状況が高橋にとって琴線に触れるポイントであり、彼はそれをさらに強調したいのだった。
いくつかの台詞を言わせて、興奮の極致に達した高橋は、結局ゴールテープを切るより先に自分がフィニッシュした。たけり狂った男根が、膣内で跳ねる。
「佳彦ちゃんの背中で、お母さん今、中出しされてるの」
最後の言葉を言った後、有紀はまたしても絶頂した。オスの生命感あふれるたぎりに、女体が耐えられなかったのである。
佳彦の愛する母は、こういう女である。
〈つづく〉
〈現在の位置関係〉
▼大広間
有紀、金光、花村、猪瀬、舛添、村本、藪塚、前原、鎌先、佳彦、袋田
▼控え室
矢板、高橋
▼中広間
服部、羽根沢、森岳、沼尻、浪岡、松倉、七里川、慶介、浩樹、竜二、小林、島田、鈴木、比嘉、祥吾、雅也
▼帰宅
俊之、克弘、恵太、優斗、豊、聡、翼、清美、瑞穂
〈輪姦記録〉
挿入男根:32本
射精回数:94発
(膣56・口16・尻14・乳5・顔1・髪1・外1)